JP2009215902A - 内燃機関の点火装置 - Google Patents

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光宏 泉
Hisanori Kataoka
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Abstract

【課題】点火コイルの発熱状態を把握して、適切な多重点火動作を可能にした点火装置を提供する。
【解決手段】一次コイルL1と二次コイルL2とが電磁結合された点火コイルCLと、一次コイルL1の電流を制御する点火制御回路IGNと、一次コイルの電流を検出する一次電流検出回路DT1とが一体化されて構成される。点火制御回路IGNは、一次電流検出回路DT1の出力信号に基づいて点火コイルCLの発熱状態を把握するコンピュータ回路MCを有し、コンピュータ回路MCは、点火コイルCLの発熱状態に対応して一次コイルの電流を制御可能な制御手段ST10〜ST11を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、多重点火動作が可能であって、点火コイルの発熱に拘わらず安定した点火動作を維持できる内燃機関の点火装置に関する。
内燃機関の各気筒において、一点火サイクル中に、混合気への点火動作を複数回実行する多重点火方式が知られている。多重点火方式では、ECU(Electronic Control Unit)から、一点火サイクル中に複数個の点火パルスが供給され、各点火パルスのON時に蓄積された一次コイルの充電エネルギーが、点火パルスのOFF時に放出されて、点火プラグの点火放電が実現される。
この多重放電方式では、一点火サイクル中に複数回の充電動作を繰り返すため、点火コイルの発熱が不可避的に増加するところ、ECUによる一方向の放電制御では、特に高負荷時に、点火コイルの発熱によって損失抵抗が増加して、充電エネルギーが不足するという問題がある(図6(b)参照)。一方、低負荷時には、無駄なエネルギー充電が行われるという無駄も問題となる(図6(c)参照)。
そこで、かかる問題点に関連して、点火コイルの動作状況をECUに帰還させる特許文献1に記載の発明が知られている。
特開2001−050147号公報
この発明では、点火コイルを駆動する点火制御回路から、エンジン制御装置ECUに対して、点火コイルの一次電流が電流閾値を超えたことを示す検知信号を帰還させており、エンジン制御装置では、一点火サイクルにおける二回目以降の点火コイルのON/OFF制御のOFFタイミングを、点火制御回路から受けた検知信号に基づいて決定している。
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、OFFタイミングを規定する電流閾値が固定値とならざるを得ないので、高負荷時には、二回目以降の点火タイミングが遅れる一方、低負荷時には、二回目以降の点火タイミングが早まる傾向となり、最適な点火制御を実現できないという問題がある。
すなわち、多重点火方式では、単発点火方式より、点火コイルの損失抵抗での消費電力が増加するので、これに対応して損失抵抗の抵抗値が増加して、一次コイルの充電特性が緩慢となる(図3参照)。そのため、一次電流が電流閾値に達するまでのON時間が、点火コイルの発熱に対応して長引くことになり、その分だけ、高負荷時に点火タイミングが遅れる傾向となる。
なお、特許文献1に記載の構成の場合、点火コイルの損失抵抗が大きい場合や、点火コイルの放熱性能が不適切な場合には、点火コイルの発熱によってON時間が長引き、このことが点火コイルの更なる発熱の原因となって、遂にはシステムが熱暴走するおそれもある(図4参照)。ここで、一次コイルの電流値を制限する保護回路を設けることは一般的であるが、一次コイルの電流値を如何に制限しても、上記のような事態を回避することはできない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、点火コイルの発熱状態を把握して、適切な多重点火動作を可能にした点火装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、一次コイルと二次コイルとが電磁結合された点火コイルと、前記一次コイルの電流を制御する点火制御回路と、前記一次コイルの電流を検出する一次電流検出回路とが一体化されて構成され、前記二次コイルの誘起電圧を受ける点火プラグに近接して配置される多重点火可能な点火装置であって、前記点火制御回路は、前記一次電流検出回路の出力信号に基づいて前記点火コイルの発熱状態を把握するコンピュータ回路を有し、前記コンピュータ回路は、前記点火コイルの発熱状態に対応して前記一次コイルの電流を制御可能な制御手段を有している。
本発明では、コンピュータ回路において、点火コイルの発熱状態が把握できるので、点火コイルの発熱によって損失抵抗が増加しても、これに対応して、一次コイルの通電時間や電流上限値を抑制することができ、それ以上の発熱を防止することができる。また、コンピュータ回路は、一次電流検出回路と一体化されて構成されるので、一次電流検出回路の出力信号をECUまで伝送する場合と比較して、配線長が短い分だけ、配線に重畳するノイズによる誤判定の可能性が大幅に低減される。このように、本発明はノイズの影響を受けにくいので、一次電流検出回路の出力信号の信号レベルを抑制することもでき、一次電流検出回路の電力損失を抑制できるだけでなく、点火コイルの発熱を抑制する上でも効果的である。
コンピュータ回路は、好ましくは、ECU(Electronic Control Unit)から、一点火サイクル中に、第1と第2の点火パルスを受けて多重点火動作を実行している。この場合には、第2の点火パルスを受けた場合だけ多重点火動作を実行するのが効果的である。また、第1の点火パルスによって、一点火サイクル中における、一次コイルの一回目のON動作時間を規定するのが好ましく、この場合には、ECUが、各点火サイクルにおける点火プラグの最初の放電タイミングを決定できるので好適である。
一方、第2の点火パルスは、一点火サイクル中における、二回目以降の多重点火動作の許容区間を規定するのが好適である。この場合には、ECUに規定された許容区間の時間内で、コンピュータ回路の制御に基づいて、最適な多重点火動作を実行することができる。この点、ECUにおいて多重点火の動作タイミングを決定しようとしても、燃焼状態に応じて変化する点火コイルの動作状態に対応した安定した多重点火を実現することができない。
コンピュータ回路は、一点火サイクル中における、一次コイルの一回目のON動作に基づいて、一次コイルの二回目以降のON動作時の充電目標値である一次電流閾値を決定するのが好適である。簡易的には、一回目のON動作終了時の一次電流の値を一次電流閾値とすれば良い。もっとも、点火コイルが過熱されている場合には、一回目のON動作終了時の一次電流値より(過熱状態に対応した)適度に低い値が、一次電流閾値として採用される。
また、コンピュータ回路は、一点火サイクル中における、一次コイルの二回目以降、または三回目以降の充電開始タイミングを、二次コイルの電流に基づいて決定するのが簡易的である。この場合、一次コイルのOFF動作時に流れる二次コイル電流の二次電流閾値を設けておき、二次コイルの電流が二次電流閾値に達したタイミングで、一次コイルをON動作させるのが好適である。コンピュータ回路が、第1と第2の点火パルスをECUから受ける実施形態では、二次電流閾値は、第2の点火パルスを受けた瞬間の二次電流の値に決定するのが簡易的である。この場合には、三回目以降の一次コイルの充電開始タイミングが、二次電流閾値に基づいて決定される。
何れにしても、コンピュータ回路は、一点火サイクル中における、一次コイルの一回目のON動作に基づいて、点火コイルの発熱状態を把握するのが効果的である。例えば、ON動作時間終了時の一次コイルの電流値に基づいて、一次コイルの電流の立上り特性を把握することができ、この立上り特性から点火コイルの発熱状態を把握することができる。また、所定の電流基準値を設定しておき、その電流基準値に達するまでのON動作開始時からの経過時間によって、点火コイルの発熱状態を把握するのも好適である。
点火コイルの発熱状態を把握したコンピュータ回路は、点火コイルの発熱状態に対応して、一点火サイクル中における、それ以降の多重点火動作を決定する。例えば、発熱状態に対応して、二回目以降の一次コイルのON動作時間が抑制される。より具体的には、一次コイルのON動作時の充電目標値である一次電流閾値を、点火コイルの発熱状態に対応して決定し、一次電流閾値に達したタイミングで、一次コイルをOFF動作させるのが好適である。
一方、コンピュータ回路は、点火コイルの発熱状態に対応して、一点火サイクル中における一次コイルの二回目以降のON動作回数を抑制するのも好適である。なお、ON動作時間とON動作回数の双方を抑制するのも好ましい。
以上の通り、本発明によれば、点火コイルの発熱状態を把握して、適切な多重点火動作を実現することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。図1は、多重点火可能な点火装置であって、点火プラグPGを駆動する点火コイルCLと一体化された点火制御回路IGNの回路構成を図示したものである。一体化された点火コイルCL及び点火制御回路IGNは、点火コイルCLの誘起電圧を受ける点火プラグPGに近接して配置される。
図示の通り、点火制御回路IGNには、ECUから点火動作用の制御信号CTLを受ける入力端子INと、点火プラグPGの劣化を示す報知信号ERRをECUに出力する出力端子OUTと、バッテリ電圧Eを受ける電源端子BTと、一次コイルL1に接続される第1端子1STと、二次コイルL2に接続される第2端子2NDと、アースに接続されるグランド端子GNDとが設けられている。また、二次コイルL2は、逆方向電流を阻止するダイオードDを経由して点火プラグPGに接続される。
点火制御回路IGNは、詳細には、一次コイルL1と二次コイルL2とからなる点火コイルCLと、一次コイルL1の電流をON/OFF制御するトランジスタQ1と、二次コイルL2の誘起電圧によって点火放電される点火プラグPGとを中心に構成されている。
一次コイルL1は、トランジスタQ1のコレクタ端子とバッテリとの間に接続されて、バッテリ電圧Eを受けている。一方、二次コイルL2は、逆方向放電を阻止するダイオードDと、点火プラグPGと、二次電流検出回路DT2とで、閉回路を構成している。そして、点火プラグPGの放電時には、ダイオードD→二次コイルL2→二次電流検出回路DT2の経路で放電電流が流れる。
二次電流検出回路DT2は、二次コイルL2とアースと間に接続された電流検出抵抗R6と、電流検出抵抗R6の両端電圧を受けるT型のローパスフィルタFi2とで構成されている。図示の通り、ローパスフィルタFi2は、直列接続された抵抗R7,R8と、抵抗R7,R8の接続点とアースとの間に接続されたコンデンサC2とで構成されている。そして、電流検出抵抗R6の両端電圧は、ローパスフィルタFi2を経由してワンチップマイコンMCに供給されている。
トランジスタQ1は、具体的にはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成され、そのエミッタ端子とアースとの間には、一次電流検出回路DT1が接続されている。一次電流検出回路DT1は、一次コイルL1とアースと間に接続された電流検出抵抗R1と、電流検出抵抗R1の両端電圧を受けるT型のローパスフィルタFi1と、OPアンプによる非反転増幅回路とで構成されている。
電流検出抵抗R1における電力損失を抑制するため、電流検出抵抗R1の抵抗値は、可能な限り低い方が望ましく、例えば、10mΩ程度の抵抗値に設定される。電流検出抵抗R1の両端には、2つの抵抗R2,R3とコンデンサC1とでT型に接続されたローパスフィルタFi1が接続され、ローパスフィルタFi1の出力電圧は、OPアンプQ2の非反転入力端子(+)に供給されている。
一方、OPアンプQ2の反転入力端子(−)とアースとの間には、入力抵抗R4が接続され、反転入力端子(−)と出力端子との間には、帰還抵抗R5が接続されている。したがって、OPアンプQ2は、増幅率(1+R5/R4)の非反転増幅回路として機能する。
トランジスタQ1のゲート端子には、駆動回路DRが接続されており、駆動回路DRは、ワンチップマイコンMCの制御に基づいてトランジスタQ1をON/OFF動作させている。ワンチップマイコンMCは、ADコンバータを内蔵して構成され、点火コイルCLの一次電流に比例する信号電圧e1と、点火コイルCLの二次電流に比例する信号電圧e2とが、別々のADコンバータに供給されている。また、ワンチップマイコンMCは、ECUから制御信号CTLを受ける入力ポートと、ECUに報知信号ERRを出力する出力ポートが内蔵されている。なお、ワンチップマイコンMCやOPアンプQ2の電源電圧は、バッテリ電圧を降圧させる安定化電源回路RGにおいて生成される。
ワンチップマイコンMCは、ECUから受ける制御信号CTLに基づいて、トランジスタQ1をON/OFF制御している。図1(b)に示す通り、多重点火動作が実行されるべき点火サイクルでは、ECUからワンチップマイコンMCに、二個の点火パルスSG1,SG2からなる制御信号CTLが供給される。ここで、一個目の点火パルスSG1は、トランジスタQ1の一回目のON動作時間を規定する制御信号であり、二個目の点火パルスSG2は、二回目以降の多重点火動作の許容区間を規定する制御信号である。
そこで、一個目の点火パルスSG1は、そのまま、ワンチップマイコンMCから駆動回路DRに供給されて、トランジスタQ1をON動作させる。ここで、一個目の点火パルスのパルス幅がTであれば、一次コイルL1の一次電流iは、ゼロから開始して、遮断電流値=E/r*(1−exp(−r*T/L1)に達したタイミングで遮断される。なお、一次電流iが遮断された時に二次コイルL2に誘起される高電圧によって点火プラグPGが放電する。前式において、Eはバッテリ電圧、rは点火コイルCLの一次側の全損失抵抗、L1は一次コイルのインダクタンス値、expは指数関数を意味する。
以上の通り、各点火サイクルにおける一回目の点火動作については、完全にECUの制御に基づいて実現される。したがって、ECUは、多数のセンサ信号に基づいて運転状態を把握しつつ、各運転状態に応じた最適なタイミングで、混合気の点火動作を実現することができる。
このようにして、一回目の点火動作が終わると、ワンチップマイコンMCは、一回目の遮断電流値=E/r*(1−exp(−r*T/L1)を、その後の一次電流の原則的な電流閾値TH1に設定して、二回目以降の点火動作を制御する。すなわち、図1(c)に示す通り、二回目以降にON動作したトランジスタQ1は、一次電流が電流閾値TH1に達したタイミングでOFF動作するようワンチップマイコンMCによって制御される。
但し、点火コイルCLが過熱状態である場合には、ワンチップマイコンMCは、電流閾値TH1を上記の遮断電流値=E/r*(1−exp(−r*T/L1)より低下させることで、二回目以降のON動作時間を短縮化する。点火コイルCLが過熱状態であるか否かは、トランジスタQ1の一回目のON動作時間Tと、一回目の遮断電流値=E/r*(1−exp(−r*T/L1)との比率から判定することもできるが、より正確には、所定の目標値Iに達する迄の一次コイルL1の通電時間Tによって判定することができる。そこで、本実施形態では、後者の手法を採用することとし、一個目の点火パルスSG1のON時に、一次電流検出回路DT1からの信号電圧e1を監視することで、点火コイルCLの過熱の有無を判定している。
いずれにしても、一個目の点火パルスSG1に基づくトランジスタQ1のON動作が終わると、続いて、二個目の点火パルスSG2の立上りタイミングで、トランジスタQ1の二回目のON動作が開始される(図1(c)参照)。また、このタイミングでは、二次電流検出回路DT2からの信号電圧e2に基づいて、二次電流の電流閾値TH2が決定される(図1(d)参照)。
そして、二個目の点火パルスSG2の立上りタイミングに同期して開始されたトランジスタQ1の二回目のON動作は、一次電流が電流閾値TH1に達したタイミングで停止される。すると、その後は、二次電流が負の電流初期値からゼロに向けて増加するが、その二次電流が電流閾値TH2に達したタイミングで、トランジスタQ1の三回目のON動作が開始される。
以下、同様であり、一次電流が電流閾値TH1に達すると、ワンチップマイコンMCによって、トランジスタQ1がON状態からOFF状態に制御され、その後、二次電流が電流閾値TH2に達すると、ワンチップマイコンMCによって、トランジスタQ1がOFF状態からON状態に制御されて多重点火動作が実現される。このような多重点火動作を繰り返していると、やがて、二個目の点火パルスSG2がON状態からOFF状態に戻るので、その後は点火動作が禁止される。
以上、点火コイルが過熱状態でない通常時について、図1(b)〜(d)に基づいて説明した。しかし、点火コイルが過熱状態となって場合には、先に説明した通り、電流閾値TH1を低下させることで点火コイルのそれ以上の発熱を抑制する。その抑制制御の重要性を説明するため、以下、念のため、点火コイルCLの発熱と信号電圧e1との関係を説明する。
今、トランジスタQ1がt=0の瞬間にON動作して、一次コイルL1への充電電流iが0から増加する場合を想定する。このようなコイル充電動作時には、点火プラグPGが放電していないので、二次コイルL2の二次電流を無視することができ、バッテリ電圧をEとして、下記の回路方程式が成立する。E=L1*di/dt+r*i・・・・(式1)
なお、式1において、rは、一次コイルL1の損失抵抗と、検出抵抗R1などの総和であるが、R1≒0であることから、ほぼr=一次コイルの損失抵抗であると考えてよい。そして、式1を解くと、一次コイルL1の充電電流iは、
i=E/r*(1−exp(−r*t/L1)・・・(式2)と与えられる。
式2から明らかな通り、充電電流iの立上りは、一次コイルL1のインダクタンス値と、損失抵抗rとに密接に関係している。ここで、一次コイルL1のインダクタンスが、負の温度係数を持つのに対して、一次コイルL1の損失抵抗≒rは、正の温度係数を持っている。そのため、多重点火を繰り返すことによって、点火コイルCLが過熱状態となると、r/Lの値が増加するものの、一次コイルL1の飽和電流E/rが大きく減少するので、図3に示す通り、充電電流iの立上り特性が緩慢となる。
ここで、充電電流iが0から、特定の目標電流Iまで増加するに要する通電時間Tは、T=L/r*Ln(E/(E−r*I))・・・(式3)で与えられるので、点火コイルCLが発熱するほど、目標電流Iに達するまでの通電時間Tが増加することになる(図3)。なお、Lnは、自然定数eを底としたログ記号である。
また、t=0からt=Tまでの損失抵抗rにおける消費電力量P[J]=∫[i*r]dtを計算すると、
P=E*L/r*Ln(E/(E−r*I))−E*L*I/r−L*I /2・・・(式4)となる。
式4において、第1項は、損失抵抗rの増加に対応して増加し、第2項は損失抵抗rの増加に対応して減少し、第3項は固定値である。そのため、消費電力量P[J]は、図4に示すように、横軸に示す損失抵抗rの増加と共に増加する。したがって、点火コイルCLの発熱によって、一次コイルL1の損失抵抗rが増加すると、増加した消費電力量P[J]の分だけ、一次コイルL1の発熱が加速されることになり、もし一次電流の電流閾値TH1(=目標電流I)を固定化すると、過熱の正帰還ループが形成されることになる。
そこで、本実施形態では、所定の基準電流Iを設定し、その基準電流Iに達するまでの通電時間Tを常に把握し、各点火サイクルにおける一回目の点火パルスの通電時間Tが、通電閾値TTHを超えるか否かによって、点火コイルCLが過熱状態か否かを判定している。具体的には、ワンチップマイコンMCは、フィルタ回路Fi1と非反転増幅回路Q2とを経由して、検出抵抗R1の両端電圧である信号電圧e1=R1*iを受け、その信号電圧e1が、所定レベルR1*Iに達するまでの通電時間Tに基づいて点火コイルCLの過熱状態を判定している。
そして、通電時間Tが通電閾値TTHを超える過熱状態では、多重点火動作における二回目以降の点火パルスの個数やパルス幅を減少させている。そして、このような抑制動作によって過熱状態が解消されると、再び、初期設定通りの多重点火動作を再開する。
いずれにしても、本実施形態では、基本的には、点火プラグPGを多重点火するので、点火プラグPGは、点火タイミング毎に複数回放電する。そのため、内燃機関内の混合気が不均一であっても確実に燃焼が維持され、リーン燃焼やEGR制御による燃費向上を実現することができる。一方、本実施形態では、点火コイルCLが異常に発熱した場合には、多重点火動作を抑制するので、それ以上の発熱を防止することができ、要するに、無駄な電力消費や点火プラグPGの劣化を抑制できる。
なお、式2や式4から確認される通り、点火コイルCLが過熱されて損失抵抗rが増加すると、目標電流Iに至るまでの通電時間Tが増加し(図3参照)、消費電力も増加するので(図4参照)、この状態が継続すると、点火コイルCLが焼損するおそれがある。
ところで、本実施形態では、基本的には、多重点火動作を採用し、点火タイミング毎に点火プラグPGが複数回放電するので、その分だけ点火プラグPGの劣化が避けられないという問題がある。ここで、点火プラグPGが放電しない場合を想定すると、一次電流遮断時の二次コイルL2の誘起電圧は、電流遮断時の一次電流値に対応した値、つまり、一次電流iの時間微分値(di/dt)に比例した値となる筈である。なお、本実施形態では、この二次誘起電圧が、例えば30KV程度になるよう設計されている。もっとも、点火プラグPGが正常であれば、それより十分低い電圧で放電を開始し、放電開始時の誘起電圧E2は、実際には、例えば1kV程度となる。一方、点火プラグPGが劣化してプラグ間ギャップが増加すると、この放電開始時の誘起電圧E2は、その分だけ上昇する。
したがって、純理論的に割り切ると、点火プラグPGの劣化は、図5に示すように、放電開始時の二次コイルL2の誘起電圧E2や、初期電流値E2/r2から検出できるとも考えられる。しかし、本発明者の研究によれば、実際には、(1)二次電流iの初期値(二次電流ピーク値I)は、その瞬間の一次電流i(一次電流ピーク値I)に対応すること、(2)したがって、二次電流ピーク値Iは、点火プラグの劣化状態とは殆ど無関係であること、(3)一方、二次電流の放電特性は、点火プラグの劣化状態と密接に関係していること、(4)具体的には、点火プラグが劣化するほど、二次電流iが素早く放電することが確認された。
したがって、本実施形態では、この知見に基づき二次電流iの放電曲線に基づいて点火プラグの劣化を判定するべく、二次電流検出回路DT2を設けている。すなわち、図1に示す通り、本実施形態では、ワンチップマイコンMCが、フィルタ回路Fi2を経由して、検出抵抗R6の両端電圧である信号電圧e2=R6*i2を受けるよう構成され、その信号電圧e2の推移に基づいて点火プラグPGの劣化状態を判定している。そして、この判定結果は、ECUに通知されるので、劣化異常の通知を受けたECUでは、エラー報知などの対応処理を採ることができる。
以上、本実施形態の原理説明を終えたので、最後に、図2に基づいて、ワンチップマイコンMCの具体的な動作内容を説明する。図2は、内燃機関の運転時におけるワンチップマイコンの定常的な動作内容を示すフローチャートである。
先ず、ワンチップマイコンMCは、内蔵された入力ポートをアクセスして、ECUが制御信号CTLを出力しているか否かを判定する(ST1)。そして、制御信号CTLの立上りエッジが検出される場合には(ST2がYes)、判定フラグFGが0か1かを判定する(ST3)。ここで、判定フラグFGは、一個目の点火パルスSG1による点火動作中(FG=1)か、二個目の点火パルスSG2による点火動作中(FG=2)か、未だ、点火制御動作を開始していないか(FG=0)を区別するためのフラグである。
そこで、判定フラグFGが0である場合には、今が、一個目の点火パルスSG1の立上りタイミングであると判定できるので、トランジスタQ1をON駆動して判定フラグFGを1に設定する(ST4)。一方、判定フラグFGが1である場合には、今が、二個目の点火パルスSG2の立上りタイミングであると判定できるので、トランジスタQ1をON駆動して判定フラグFGを2に設定する(ST5)。また、この瞬間の二次電流検出回路DT2からの信号電圧e2に基づいて、その後の二次電流の閾値TH2(図1(d)参照)を決定する(ST6)。なお、判定フラグFGの値が2であるなど、0でも1でもない場合は、エラー状態であるので何もしない。
ところで、ステップST2の判定がNoの場合には、次に、制御信号CTLの立下りエッジが検出されたか否かが判定され(ST7)、制御信号CTLの立下りエッジが検出された場合には、判定フラグFGが1か2かを判定する(ST8)。ここで、判定フラグFG=1の場合には、今が、一個目の点火パルスSG1の立下りタイミングであると考えられるので、トランジスタQ1をOFF駆動する(ST9)。
また、点火コイルCLが過熱状態でないか判定すると共に、点火プラグPGが劣化していないかを判定する(ST10)。先に説明した通り、過熱状態か否かの判定は、一個目の点火パルスSG1のON時に、一次電流が基準電流ISに達するまでの通電時間TSを計測し、計測された通電時間TSを、通電閾値TTHと比較することで実行される。また、点火プラグPGが劣化していることは、このタイミングにおける二次電流検出回路DT2からの信号電圧e2(=E2/r2*R6)に基づいて判定される。
続いて、その後の一次電流の電流閾値TH1(図1(c)参照)を決定する(ST11)。点火コイルCLが過熱状態でない場合には、このタイミングにおける一次電流検出回路DT1からの信号電圧e1に基づいて、電流閾値TH1が決定されるが、過熱状態である場合には、電流閾値TH1を降下補正した値が採用される。
一方、ステップST8の処理において、判定フラグFG=2と判定された場合には、今が、二個目の点火パルスSG2の立下りタイミングであると考えられるので、トランジスタQ1をOFF駆動すると共に、判定フラグFGを0に設定する(ST12)。
以上説明した何れかの処理が完了すると、判定フラグFGが2であるか否かが判定される(ST13)。これは、このタイミングが、二個目の点火パルスSG2のON時であって、ワンチップマイコンMCによる多重点火動作時であるか否かを判定するためである。そして、判定フラグFG=2の場合には(ST13がYes)、一次電流検出回路DT1からの信号電圧e1に基づいて、一次電流が電流閾値TH1に達したか否かが判定され(ST14)、電流閾値TH1に達した場合には、トランジスタQ1をOFF駆動する(ST15)。
逆に、一次電流が電流閾値TH1に達していない場合には、二次電流が電流閾値TH2に達したか否かが判定され(ST16)、電流閾値TH2に達した場合には、トランジスタQ1をON駆動する(ST17)。このようなステップST13〜ST17の処理によってワンチップマイコンMC独自の制御による多重点火動作が実現される。
そして、多重点火動作を継続していると、やがて、二個目の点火パルスSG2の立下りエッジが検出されるので(ST7がYes)、この場合には、その時のトランジスタQ1のON/OFF状態に拘わらず、トランジスタQ1が強制的にOFF駆動されて、今回の点火サイクルの処理が終わる(ST12)。
以上、図2に基づいてワンチップマイコンMCの動作内容を詳細に説明したが、具体的な記載内容は、特に本発明を限定するものではない。例えば、点火コイルCLの過熱状態が検出された場合には、その後の電流閾値TH1を抑制する制御に代えて、或いは、この制御に加えて、点火回数を抑制するのも好適である。また、報知信号ERRについては、必ずしも、ECUに伝送する必要はない。
実施形態に係る点火装置を示す回路図である。 図1のワンチップマイコンの動作を示すフローチャートである。 点火コイルの一次電流の変化を示すタイムチャートである。 点火コイルの発熱によって損失電力が増加することを示す図面である。 点火コイルの二次電流の変化を示すタイムチャートである。 従来技術の問題点を説明するタイムチャートである。
符号の説明
L1 一次コイル
L2 二次コイル
CL 点火コイル
IGN 点火制御回路
DT1 一次電流検出回路
MC コンピュータ回路
ST10〜ST11 制御手段

Claims (9)

  1. 一次コイルと二次コイルとが電磁結合された点火コイルと、前記一次コイルの電流を制御する点火制御回路と、前記一次コイルの電流を検出する一次電流検出回路とが一体化されて構成され、前記二次コイルの誘起電圧を受ける点火プラグに近接して配置される多重点火可能な点火装置であって、
    前記点火制御回路は、前記一次電流検出回路の出力信号に基づいて前記点火コイルの発熱状態を把握するコンピュータ回路を有し、前記コンピュータ回路は、前記点火コイルの発熱状態に対応して前記一次コイルの電流を制御可能な制御手段を有して構成されていることを特徴とする内燃機関の点火装置。
  2. 前記コンピュータ回路は、ECU(Electronic Control Unit)から、一点火サイクル中に、第1と第2の点火パルスを受けて多重点火動作を実行している請求項1に記載の点火装置。
  3. 前記第1の点火パルスは、一点火サイクル中における、前記一次コイルの一回目のON動作時間を規定している請求項2に記載の点火装置。
  4. 前記第2の点火パルスは、一点火サイクル中における、二回目以降の多重点火動作の許容区間を規定している請求項2又は3に記載の点火装置。
  5. 前記コンピュータ回路は、一点火サイクル中における、前記一次コイルの一回目のON動作に基づいて、前記一次コイルの二回目以降のON動作時の充電目標値である一次電流閾値を決定している請求項1〜4の何れかに記載の点火装置。
  6. 前記コンピュータ回路は、一点火サイクル中における、前記一次コイルの二回目以降、または三回目以降の充電開始タイミングを、前記二次コイルの電流に基づいて決定している請求項1〜5の何れかに記載の点火装置。
  7. 前記コンピュータ回路は、一点火サイクル中における、前記一次コイルの一回目のON動作に基づいて、前記点火コイルの発熱状態を把握している請求項1〜6の何れかに記載の点火装置。
  8. 前記コンピュータ回路は、前記点火コイルの発熱状態に対応して、一点火サイクル中における、前記一次コイルの二回目以降のON動作時間又はON動作回数を抑制している請求項1〜7の何れかに記載の点火装置。
  9. 前記二次コイルの電流を検出する二次電流検出回路を更に有し、
    前記二次電流検出回路は、前記点火コイル、前記点火制御回路、及び前記一次電流検出回路と共に一体化されて構成されている請求項1〜8の何れかに記載の点火装置。
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