本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、火花点火式の4ストロークガソリンエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。
図2に、火花点火用の電気回路を示している。点火プラグ12は、点火コイル14にて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイル14は、半導体スイッチング素子131を有するイグナイタ13とともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
内燃機関の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0からの点火信号iをイグナイタ13が受けると、まずイグナイタ13の半導体スイッチ131が点弧して点火コイル14の一次側に電流が流れ、その直後の火花点火のタイミングで半導体スイッチ131が消弧してこの電流が遮断される。すると、自己誘導作用が起こり、一次側に高電圧が発生する。そして、一次側と二次側とは磁気回路及び磁束を共有するので、二次側にさらに高い誘導電圧が発生する。二次側の誘導電圧は、10kVないし30kVに達する。この高い誘導電圧が点火プラグ12の中心電極に印加され、中心電極と接地電極との間で火花放電する。
点火コイル14の一次側コイルは、半導体スイッチ131を介して車載の電源バッテリ17に接続する。半導体スイッチ131を点弧し、バッテリ17から供給される直流電圧を一次側コイルに印加して通電を開始すると、一次側コイルを含む一次側(低圧系)の回路を流れる一次電流は逓増する。
図3に、一次側コイルへの通電開始後の一次電流の推移を例示する。図3中、電流制限機能が働かない場合を破線で描画し、電流制限機能が働く場合を一点鎖線で描画している(実線については、後述する)。バッテリ17及び一次側コイルを含む一次側の電気回路をRL直列回路と仮定すると、t=0時点にて直流電圧Eを印加した場合の一次電流I(t)は、
I(t)≒{1−e-(R/L)t}E/R
となる。即ち、過渡現象として一次電流は逓増するが、その増加の速さは徐々に衰える。十分に長い時間が経過すると、図3中の破線のように一次電流はE/Rに飽和する。
イグナイタ13は、一次電流の過大化を抑制する電流制限機能を有している。この電流制限機能は、今日普及している既製のイグナイタのそれと同様である。具体的には、制御回路132が、検出抵抗133を介して、一次電流を当該抵抗133の両端間電圧の形で恒常的に計測する。そして、その一次電流(抵抗133の両端間電圧)の大きさが規定値以下である間は半導体スイッチ131を点弧する一方、規定値を超えたときには半導体スイッチ131を消弧する。これにより、一次電流を図3中の一点鎖線のように規定値にクリップする。
なお、イグナイタ13は、点火コイル14またはイグナイタ13自身の温度が上限値を超えるような異常発熱を感知した場合に、一次側コイルへの通電を強制的に遮断する機能をも有している。
本実施形態における点火コイル14は、気筒1に充填された混合気への火花点火のために最低限必要となるエネルギよりもずっと大きな放電エネルギを発生させることのできる、従来のコイルと比べて大きなインダクタンスを有するものである。
気筒1の燃焼室内に充填された混合気に着火するために必要となる火花放電のエネルギは、通常30mJ程度である。従来の点火コイルは、専ら30mJ程度の電気エネルギの印加を受けて火花放電電圧を発生させることを想定したものである。故に、その耐熱限界も、30mJないし50mJ程度のエネルギなら十分に耐えられるという程度に過ぎない。
これに対し、本実施形態では、必要に応じて火花放電のエネルギを増強することを考えており、最大で100mJないし130mJの電気エネルギを点火コイル14に印加する。従来の点火コイルに100mJもの大きな電気エネルギを印加すると、これが過加熱して損傷する懸念がある。本実施形態における点火コイル14は、混合気への火花点火のために必要となる電気エネルギよりもずっと大きな電気エネルギを蓄積することができ、また、そのような大きな電気エネルギが印加されたとしても発熱による損傷を生じないような高い耐熱性を有するものである。尤も、平常時は、火花点火に最低限必要な程度の電気エネルギのみを点火コイル14に印加するようにして、エネルギの浪費を避ける。
図3中、時点t1が、気筒1の点火タイミングである。この時点t1において、当該気筒1に付随するイグナイタ13の半導体スイッチ131を消弧し、当該気筒1に付随する点火コイル14の一次側コイルへの通電を遮断し、同点火コイル14にて発生する誘導電圧を当該気筒1の点火プラグ12の中心電極に印加する。
時点t0が、平常時における点火コイル14の一次側コイルへの通電開始時点である。即ち、時点t0から時点t1までの期間が、点火コイル14の一次側コイルへの通電時間となる。図3中、平常時において一次側コイルを流れる一次電流を実線で描画している。
翻って、時点t0’は、点火プラグ12に入力する火花放電のための電気エネルギを平常時よりも増大させる場合の、点火コイル14の一次側コイルへの通電開始時点である。即ち、時点t0’から時点t1までの期間が、点火コイル14の一次側コイルへの通電時間となる。通電開始時点t0’が平常時の通電開始時点t0よりも早いことから、この場合の通電時間は平常時の通電時間よりも長くなる。図3中、この場合の一次電流を一点鎖線で描画している。
既に述べた通り、点火コイル14の一次側コイルを流れる一次電流は、半導体スイッチ131の点弧(時点t0または時点t0’)の後逓増する。従って、点火タイミングt1にて一次側コイルを流れている一次電流は、通電開始時点t0’を早めるほど大きくなる。一次電流が大きくなることは、点火コイル14に印加する電気エネルギが大きくなることを意味し、ひいては、半導体スイッチ131の消弧(時点t1)により誘起され点火プラグ12の中心電極に印加される誘導電圧が大きくなることを意味する。
要するに、通電開始時点t0’を早める(点火タイミングt1において一次側コイルを流れている一次電流を大きくする)ほど、点火プラグ12に入力される電気エネルギが大きくなる。その結果として、点火プラグ12の中心電極と接地電極との間で生ずる火花放電の電圧が高くなり、火花放電が継続する時間も長くなる。
本実施形態のECU0は、燃料の燃焼の際に気筒1の燃焼室内に発生するイオン電流を検出し、そのイオン電流を参照して燃焼状態の判定を行うことができる。
図2に示しているように、本実施形態では、火花点火用の電気回路に、イオン電流を検出するための回路を付加している。この検出回路は、イオン電流を効果的に検出するためのバイアス電源部15と、イオン電流の多寡に応じた検出電圧を増幅して出力する増幅部16とを備える。バイアス電源部15は、バイアス電圧を蓄えるキャパシタ151と、キャパシタ151の電圧を所定電圧まで高めるためのツェナーダイオード152と、電流阻止用のダイオード153、154と、イオン電流に応じた電圧を出力する負荷抵抗155とを含む。増幅部16は、オペアンプに代表される電圧増幅器161を含む。
点火プラグ12の中心電極と接地電極との間のアーク放電時にはキャパシタ151が充電され、その後キャパシタ151に充電されたバイアス電圧により負荷抵抗155にイオン電流が流れる。イオン電流が流れることで生じる抵抗155の両端間の電圧は、増幅部16により増幅されてイオン電流信号hとしてECU0に受信される。
図4に、正常燃焼における、イオン電流及び気筒1内の燃焼圧力(筒内圧)のそれぞれの推移を例示する。図4中、イオン電流を破線で描画し、燃焼圧力を実線で描画している。イオン電流は、点火のための放電中は検出することができない。正常燃焼の場合のイオン電流は、火花点火の終了後、化学反応により、圧縮上死点の手前で減少した後、熱解離によって再び増加する。また、燃焼圧がピークを迎えるのとほぼ同時にイオン電流も極大となる。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通するEGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、特にサージタンク33に接続している。
点火コイル14への通電やバルブ23、32類の開閉駆動、車両に実装された電装系への電力供給源となる発電機(オルタネータまたはモータジェネレータ、図示せず)は、内燃機関のクランクシャフトからエンジントルクの供給を受けて発電し、その発電した電力を車載のバッテリ17に充電する。
内燃機関の運転制御を司るECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、車載のバッテリ17の電流及び/または電圧を検出する電流/電圧センサから出力されるバッテリ電流/電圧信号e、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、燃焼室内での混合気の燃焼に伴って生じるイオン電流を検出する回路から出力される電流信号h等が入力される。
出力インタフェースからは、イグナイタ13に対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR率(または、EGR量)といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
また、ECU0は、内燃機関の始動(冷間始動であることもあれば、アイドリングストップからの復帰であることもある)時において、電動機(スタータモータまたはモータジェネレータ)に制御信号oを入力し、電動機によりクランクシャフトを回転させるクランキングを行う。クランキングは、内燃機関が初爆から連爆へと至り、エンジン回転数即ちクランクシャフトの回転速度が冷却水温等に応じて定まる判定値を超えたときに(完爆したものと見なして)終了する。
本実施形態のECU0は、車両の運転状況に応じて、内燃機関の気筒1への燃料供給を一時中止する燃料カットを実施する。図5に、車両が減速して停止する際にECU0が実行する処理の手順例を示す。ECU0は、所定の燃料カット条件が成立したときに(ステップS1)、インジェクタ11からの燃料噴射を停止する燃料カットを行う(ステップS4)。ステップS1では、少なくとも、アクセルペダルの踏込量が0または0に近い閾値以下となり、かつエンジン回転数が燃料カット許可回転数以上あることを以て、燃料カット条件が成立したものと判断する。
但し、燃料カット条件が成立したとしても、即時に燃料噴射を停止するわけではない。エンジントルクが比較的大きい段階で、急に燃料供給を遮断すると、エンジン回転数や車速がステップ的に急落するトルクショックが発生し、運転者を含む搭乗者に衝撃を感じさせる。このトルクショックを軽減するべく、燃料カット条件が成立した後、遅延時間の経過を待ってから(ステップS3)、はじめて燃料噴射を停止する(ステップS4)。遅延時間中には、スロットルバルブ32の開度を縮小ないし全閉して気筒1に充填される吸気量及び燃料噴射量を減量するとともに、点火タイミングを遅角補正することにより、エンジントルクを積極的に低下させる。
さらに、上記の遅延時間中、各気筒1にて点火プラグ12による火花放電を続行する(ステップS2)。その上で、当該ステップS2では、火花放電を惹起するために点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさを、遅延時間外に混合気に火花点火するために点火プラグ12に入力する電気エネルギよりも大きくする。即ち、点火コイル14の一次側コイルへの通電を開始する時点t0’を平常時のそれt0よりも早め、その通電を停止する時点t1で一次側コイルに流れている一次電流を平常時と比べて増大させる。
これにより、吸気量及び燃料噴射量の少ない遅延時間中にあっても、混合気の着火及び燃焼の安定性を十分に高めることができる。加えて、遅延時間中に火花放電を通じて点火プラグ12の電極及びその近傍の部位が加熱される。結果として、後に実行される燃料カットの終了(燃料噴射の再開)直後の時期における点火プラグ12の電極及びその近傍の部位の温度を引き上げることが可能となり、同時期における混合気の着火及び燃焼の安定化に奏効する。ステップS2はいわば、後に訪れる燃料カットに備えて点火プラグ12を予熱しておく処理となる。
一次側コイルへの通電を開始する時点t0、t0’は、一次側コイルに印加される電圧の大きさに依存することは言うまでもない。点火タイミングt1に所要の一次電流を確保するために必要となる通電時間は、一次側コイルへの印加電圧が大きいほど短くなるからである。基本的に、現在のバッテリ17の電圧が高いほど、通電開始時点t0、t0’を遅くする。
ステップS2にて点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさ、換言すれば半導体スイッチ131の消弧時点t1で一次側コイルに流しておく一次電流の大きさは、吸気温(または、外気温)が低いほど増大させることが好適である。これは、気筒1に流入する吸気の温度が低いほど、燃料カット中に気筒1内及び点火プラグ12が強く冷却されることに基づく。
燃料カットの開始(ステップS4)後、所定の燃料カット終了条件が成立したときには(ステップS6)、燃料カットを終了することとし、インジェクタ11からの燃料噴射を再開する(ステップS7)。ステップS4では、アクセルペダルの踏込量が閾値を上回った、エンジン回転数が燃料カット復帰回転数まで低下した等のうちの何れかを以て、燃料カット終了条件が成立したものと判断する。
なお、燃料カット中は、内燃機関のポンピングロスを低減してエンジン回転数の低落を抑制する目的で、スロットルバルブ32を全閉せず、ある開度以上に開いている。それ故、エンジン回転が継続する燃料カット中は、ある程度以上の量の吸気即ち空気が気筒1を通過する。
しかして、本実施形態では、燃料カット中に、各気筒1にて点火プラグ12による火花放電を実行する(ステップS5)。当該ステップS5においても、火花放電を惹起するために点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさを、混合気に火花点火するために点火プラグ12に入力する平常の電気エネルギよりも大きくする。即ち、点火コイル14の一次側コイルへの通電を開始する時点t0’を平常時のそれt0よりも早め、その通電を停止する時点t1で一次側コイルに流れている一次電流を平常時と比べて増大させる。
これにより、燃料カット中に火花放電を通じて点火プラグ12の電極及びその近傍の部位が加熱され、燃料カットの終了直後の時期における点火プラグ12の電極及びその近傍の部位の温度が引き上げられる。従って、燃料カット終了直後の時期における混合気の着火及び燃焼の安定化に奏効する。
ステップS5にて点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさ、換言すれば半導体スイッチ131の消弧時点t1で一次側コイルに流しておく一次電流の大きさは、吸気温(または、外気温)が低いほど増大させることが好適である。また、ステップS5にて点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさは、そのときのエンジン回転数が高いほど、または燃料カット中に気筒1を通過する吸気量が多いほど、増大させることが好ましい。吸気の流通量が多いほど、気筒1内及び点火プラグ12が空冷されるからである。
ステップS5の火花放電は、燃料カットの開始(ステップS4)直後から実行してもよいが、燃料カットの開始からある程度の時間が経過した後にはじめて実行してもよい。あるいは、燃料カットの開始後、エンジン回転数が低下して燃料カット復帰回転数に近づいたら、即ちエンジン回転数が燃料カット復帰回転数に所定値を加算した値を下回ったら、ステップS5の火花放電を開始するようにしてもよい。
ステップS5にて点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさは、恒常的に一定としてもよいが、燃料カット中にこれを変化させることも考えられる。例えば、ステップS5の開始当初は、平常時に混合気に火花点火するための電気エネルギと同等の電気エネルギを点火プラグ12に入力し、燃料カットの開始からある程度の時間が経過した後、またはエンジン回転数が燃料カット復帰回転数に近づいたら、点火プラグ12に入力する電気エネルギを平常時のそれよりも増大させる。
燃料カットの終了(ステップS7)後は、点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさを、混合気への火花点火のために必要となる平常時の大きさまで減少させる。但し、燃料カット終了条件の成立時または燃料カットの終了直後において、アクセル開度が所定以上となっている、即ち運転者が内燃機関及び車両の加速を要求している場合には、点火プラグ12に入力する電気エネルギを平常時のそれよりも増大させてエンジントルクの増強を図ることが好ましい。
本実施形態では、気筒1に設置した点火プラグ12において火花放電を惹起して気筒1内の混合気に点火する火花点火式内燃機関を制御するものであって、気筒1への燃料供給を一時中止する燃料カット中、当該気筒1に設置された点火プラグ12において火花放電を惹起するとともに、そのときに点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさを、気筒1内の混合気への点火のために点火プラグに入力する電気エネルギよりも増大させる内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、燃料カット中に気筒1を通過する空気に起因する点火プラグ12の電極部分の温度降下を抑制でき、燃料カット終了直後における混合気への火花点火を確実ならしめ、安定した燃焼を得ることができる。従って、燃料カットの終了直後の時期に必要十分なエンジントルクを確保できるようになり、再加速のもたつきを軽減ないし回避することが可能となる。
並びに、本実施形態では、気筒1に設置した点火プラグ12において火花放電を惹起して気筒1内の混合気に点火する火花点火式内燃機関を制御するものであって、気筒1への燃料供給を一時中止する燃料カットを実行する条件である燃料カット条件が成立してから実際に燃料カットを開始するまでの遅延時間中、当該気筒1に設置された点火プラグ12において火花放電を惹起するとともに、そのときに点火プラグ12に入力する電気エネルギの大きさを、遅延時間外に気筒1内の混合気への点火のために点火プラグに入力する電気エネルギよりも増大させる内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、遅延時間中に点火プラグ12の電極部分を予熱し、燃料カット中に気筒1を通過する空気に起因する点火プラグ12の電極部分の温度降下を抑制できる。結果、燃料カット終了直後における混合気への火花点火を確実ならしめ、安定した燃焼を得ることができる。従って、燃料カットの終了直後の時期に必要十分なエンジントルクを確保できるようになり、再加速のもたつきを軽減ないし回避することが可能となる。
加えて、気筒1に充填される吸気量及び燃料噴射量の乏しい遅延時間中の混合気の着火燃焼も安定化する。これにより、遅延時間中に燃焼不安定ないし失火が発生してトルクショックを起こすことが回避される。また、遅延時間中の吸気量及び燃料噴射量をより一層削減することも可能となる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、燃料カットの開始前の遅延時間中及び燃料カット中のそれぞれで、点火プラグ12に入力する電気エネルギを増大させた火花放電ステップS2、S5を実施していたが、両ステップS2、S5のうちのどちらか一方のみを実施し、電力消費及び燃焼消費の節約を図ってもよい。燃料カット中にステップS5を実施する場合には、遅延時間中に火花点火のために点火プラグ12に入力する電気エネルギを平常時の大きさとするができる。逆に、遅延時間中にステップS2を実施する場合には、燃料カット中に点火プラグ12による火花放電を停止することができる。
複数の気筒1を具備する内燃機関の一部の気筒1に対する燃料供給を一時中止する、いわゆる気筒休止運転を行っているときに、その燃料供給が中止される気筒1において、点火プラグ12に入力する電気エネルギを平常時よりも増大させた火花放電を実行してもよい。また、内燃機関のアイドル回転を停止させるアイドルストップ中に、点火プラグ12に入力する電気エネルギを平常時よりも増大させた火花放電を実行してもよい。
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。