JP2015017573A - 火花点火式内燃機関の制御装置 - Google Patents

火花点火式内燃機関の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アイドルストップ条件の成立後アイドルストップに至るまでの期間におけるバックファイアの発生を抑止する。【解決手段】所定の燃料カット条件の成立に伴い燃料噴射を一時中止する燃料カットを実施し、また、所定のアイドルストップ条件の成立に伴い内燃機関のアイドル回転を停止させるアイドルストップを実施する内燃機関にあって、アイドルストップ条件が成立してアイドルストップを開始する際に点火プラグによる火花放電を停止する時期を、内燃機関の温度または吸気の温度に基づいて変更するようにした。【選択図】図2

Description

本発明は、車両に搭載された火花点火式内燃機関の運転を制御する制御装置に関する。
車両に搭載される内燃機関では、その運転状況に応じて燃料噴射を中断する燃料カットを行うことが知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。通常、アクセルペダルの踏込量が0または0に近い閾値以下となり、かつエンジン回転数が燃料カット許可回転数以上あるときに、燃料カット条件が成立したものとして燃料カットを開始する。そして、アクセルペダルの踏込量が閾値を上回った、エンジン回転数が燃料カット復帰回転数まで低下した等の何れかの燃料カット終了条件が成立したときに、燃料カットを終了、燃料噴射を再開する。
燃料カット中、燃料噴射を停止していても、点火プラグによる火花放電は続行することが多い。これは、点火プラグの電極近傍の部位の温度の低下を抑制して、燃料カット終了後の混合気への着火及び燃焼を安定化させる意図である。
また、近時では、信号待ち等による車両の停車中に、内燃機関のアイドル回転を停止させるアイドルストップを実施することも普遍化している(例えば、下記特許文献2を参照)。既知のアイドリングストップシステムでは、車速が所定以下で、ブレーキペダルが踏み込まれており、冷却水温及びバッテリ電圧が十分高い、といった諸条件が成立したときに、内燃機関を停止させる。アイドルストップ後、運転者がブレーキペダルから足を離すかアクセルペダルを踏み込む等の再始動要求があったとき、またはアイドルストップしている時間の長さが所定以上となったときには、内燃機関を再始動する。
特開平10−030477号公報 特開2012−137018号公報
アイドルストップ条件が成立してアイドルストップを実施する場合においても、内燃機関の回転が完全に停止するまでの間は、点火プラグによる火花放電を続行することが通例である。
だが、内燃機関が顕著に減速すると、エンジン回転センサを介したクランクシャフトの回転角度の検出精度が低下する。そのため、適切な火花放電のタイミング、即ち各気筒の圧縮上死点を把握することが難しくなり、不適切なタイミングで火花放電を惹起してしまう懸念が高まる。
仮に、気筒の吸気バルブが開いているときに火花放電が行われたとすると、当該気筒の吸気ポートに残留している燃料成分や、燃料蒸発ガス排出抑制装置(チャコールキャニスタ)が吸気通路内に放出した燃料蒸気に着火してバックファイアが発生するおそれがある。このようなバックファイアは、吸気通路にダメージを与え得るため、決して好ましくない。
本発明は、上述の問題に初めて着目してなされたものであり、アイドルストップ条件の成立後アイドルストップに至るまでの期間におけるバックファイアの発生を抑止することを所期の目的としている。
本発明では、所定の燃料カット条件の成立に伴い燃料噴射を一時中止する燃料カットを実施し、また、所定のアイドルストップ条件の成立に伴い内燃機関のアイドル回転を停止させるアイドルストップを実施するものであって、アイドルストップ条件が成立してアイドルストップを開始する際に点火プラグによる火花放電を停止する時期を、内燃機関の温度、吸気の温度及びエンジン回転数に基づいて変更することを特徴とする火花点火式内燃機関の制御装置を構成した。
本発明では、アイドルストップ条件の成立後、内燃機関の回転が顕著に衰える前に、点火プラグによる火花放電を打ち切ることとしている。無論、エンジン回転数がある程度以上高いときには、エンジン回転センサによるクランクシャフトの回転角度の検出精度が高いため、点火プラグにおける火花放電を続行したとしても、吸気バルブの開いているタイミングで火花放電を惹起する可能性は少ない。
吸気ポートに付着し残留する液状燃料(ポートウェット)の量は、インジェクタからの燃料噴射量が多いほど、つまりは内燃機関を高負荷で運転するほど多くなる。よって、内燃機関の温度や吸気の温度が高い状況では、内燃機関の温度や吸気の温度が低い状況と比較して、点火プラグによる火花放電を打ち切る時期を早め、バックファイアの発生を未然に防ぐ。
本発明によれば、アイドルストップ条件の成立後アイドルストップに至るまでの期間におけるバックファイアの発生を抑止することができる。
本発明の一実施形態における内燃機関の概略構成を示す図。 同実施形態の内燃機関の制御装置が実施する処理の手順例を示すフロー図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、ポート噴射式の4ストロークガソリンエンジンであり、複数の気筒1(特に、三気筒エンジン。図1には、そのうち一つを図示している)を具備し、各気筒1の吸気ポート近傍に燃料を噴射するインジェクタ11を設けてある。
各気筒1の燃焼室の天井部には、点火プラグ12を取り付けている。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
内燃機関には、燃料蒸発ガス排出抑制装置が付随している。普遍的な燃料蒸発ガス排出抑制装置は、チャコールキャニスタと呼称され、燃料タンクにおいて蒸発した燃料蒸気を活性炭を充填したキャニスタ35に吸着させて捕捉し、適時その燃料蒸気を吸気通路3に送出して吸気に混交し、気筒1にて燃焼処理するものである。
キャニスタ35は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側の所定部位(サージタンク33または吸気マニホルド34)に接続している。キャニスタ35と吸気通路3とを接続する流路上には、当該流路を開閉する制御バルブであるパージVSV(Vacuum Switching Valve)36を設けてある。パージVSV36を開弁している間、当該流路を介してキャニスタ35と吸気通路3とが連通し、スロットルバルブ32の下流に発生する吸気負圧によってキャニスタ35内の燃料蒸気が吸気通路3に引き込まれる。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(運転者が要求する機関出力、いわば要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、ブレーキペダルの踏込量を検出するセンサから出力されるブレーキ踏量信号d、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温度及び吸気圧力を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号e、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、車載バッテリの充電状態を示唆するバッテリ電流(または、電圧)及びバッテリ温度を検出するセンサから出力されるバッテリ状態信号h等が入力される。
出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、パージVSV36に対して開閉制御信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング、燃料噴射圧、点火タイミングといった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
また、ECU0は、内燃機関の始動(冷間始動であることもあれば、アイドリングストップからの復帰であることもある)時において、電動機(スタータモータまたはモータジェネレータ)に制御信号oを入力し、電動機によりクランクシャフトを回転させるクランキングを行う。クランキングは、内燃機関が初爆から連爆へと至り、エンジン回転数即ちクランクシャフトの回転速度が冷却水温等に応じて定まる判定値を超えたときに(完爆したものと見なして)終了する。
本実施形態のECU0は、車両の運転状況に応じて、気筒1への燃料供給を一時中止する燃料カットを実施する。並びに、信号待ち等による停車の際に、内燃機関のアイドル回転を停止させるアイドルストップをも実施する。
図2に、車両が減速して停止する際にECU0が実行する処理の手順例を示す。ECU0は、所定の燃料カット条件が成立したときに(ステップS1)、インジェクタ11からの燃料噴射を停止し、かつ点火プラグ12による火花点火を停止する燃料カットを行う(ステップS2)。ステップS1では、少なくとも、アクセルペダルの踏込量が0または0に近い閾値以下となり、かつエンジン回転数が燃料カット許可回転数以上あることを以て、燃料カット条件が成立したものと判断する。
因みに、燃料カット条件が成立したとしても、即時に燃料噴射を停止するわけではない。エンジントルクが比較的大きい段階で、急に燃料供給を遮断すると、エンジン回転数や車速がステップ的に急落するトルクショックが発生し、運転者を含む搭乗者に衝撃を感じさせる。このトルクショックを軽減するべく、燃料カット条件が成立した後、遅延時間の経過を待ってから、はじめて燃料噴射を停止する。この遅延時間中には、点火タイミングを遅角補正し、エンジントルクを積極的に低下させる。
原則として、燃料カット中、各気筒1における点火プラグ12による火花放電は続行する。これは、火花放電により点火プラグ12の電極近傍の部位を加熱してその温度降下を抑制し、燃料噴射再開後の混合気への着火及び燃焼を安定化させる意図である。
燃料カットの開始後、後述するアイドルストップ条件が成立する前に、所定の燃料カット終了条件が成立したときには(ステップS3)、燃料カットを終了することとし、燃料噴射を再開する(ステップS4)。ステップS3では、アクセルペダルの踏込量が閾値を上回った、エンジン回転数が燃料カット復帰回転数まで低下した等のうちの何れかを以て、燃料カット終了条件が成立したものと判断する。
また、ECU0は、所定のアイドルストップ条件が成立したときに(ステップS5、S6)、内燃機関のアイドル回転を停止させるアイドルストップの実行を開始する(ステップS7)。ステップS5、S6では、車速が所定値(例えば、10km/hないし13km/hの値)以下で、ブレーキペダルが踏み込まれており、冷却水温及びバッテリ電圧が十分高い、といった諸条件がおしなべて成立したことを以て、アイドルストップ条件が成立したものと判断する。
燃料カットの開始後、燃料カット終了条件が成立することなく、アイドルストップ条件が成立したならば(ステップS5)、燃料噴射を再開せず、燃料カット状態のままアイドルストップに突入する(ステップS7)。これとは異なり、アイドルストップ条件の成立前に燃料カット終了条件が成立して(ステップS3)燃料噴射を一時的に再開し(ステップS4)、しかる後にアイドルストップ条件が成立して(ステップS7)アイドルストップへと移行する(ステップS7)こともある。それ故、アイドルストップ条件の成立時点におけるエンジン回転数は均一でなく、アイドルストップ条件の成立機会毎に高かったり低かったりとばらつく。
その上で、ECU0は、アイドルストップ条件が成立しアイドルストップを開始する場合において、各気筒1の点火プラグ12による火花放電を打ち切る時期を、アイドルストップ条件の成立時または燃料噴射の停止時における内燃機関の温度、吸気温度及びエンジン回転数に基づいて決定する(ステップS8)。
アイドルストップ条件の成立に起因してインジェクタ11からの燃料噴射を停止したとしても、内燃機関(のクランクシャフト)の回転は即座には停止せず、なお惰性で回転を続ける。そして、内燃機関の回転が続く限り、各気筒1内でピストンが往復動するとともに各気筒1の吸気バルブ及び排気バルブが開閉し、吸気通路3から吸気が気筒1に吸引されて排気通路4へと排出される。だが、この間燃料の燃焼は起こらないことから、吸気の流通により気筒1の燃焼室内が冷却されてその温度が低下してゆく。点火プラグ12の電極近傍の温度をできる限り高く保ち、アイドルストップ後の再始動時における混合気の着火燃焼の安定性を担保するためには、アイドルストップ条件の成立後も点火プラグ12による火花放電を続行することが望ましい。
しかしながら、エンジン回転センサによるクランクシャフトの回転角度の検出精度は、当該クランクシャフトの回転速度が顕著に遅くなると低下してしまう。即ち、適切な火花点火タイミングである各気筒1の圧縮上死点を把握することが難しくなる。にもかかわらず、点火プラグ12による火花放電を続行すると、不適正な点火タイミング、特に吸気バルブが開弁する気筒1の吸気行程中に火花放電を惹起してしまう懸念が高まる。さすれば、気筒1に連なる吸気ポート内に残留しているポートウェット分の燃料や、キャニスタ35から吸気通路3に放出された燃料蒸気に着火して、吸気マニホルド34内に火炎が伝播するバックファイア状態に陥りかねない。
そこで、本実施形態では、バックファイアが発生する危険の度合いに応じて、アイドルストップ条件の成立後に点火プラグ12の火花放電を続ける期間の長さを調整するようにしている。
具体的には、ステップS8にて、内燃機関の冷却水温及び/またはサージタンク33内の吸気温を参照し、冷却水温が高いほど、また吸気温が高いほど、点火プラグ12による火花放電を打ち切る時期を早める。冷却水温や吸気温が高いことは、アイドルストップ条件の成立前に内燃機関を高負荷運転していたことを意味する。高負荷運転中は、インジェクタ11からの燃料噴射量が多く、その分だけより多くの液状燃料(ポートウェット)が吸気ポートに付着する。吸気ポートに付着した液状燃料は徐々に揮発して失われてゆくが、アイドルストップ条件の成立時点でも依然として残存している可能性が高い。アイドルストップ条件成立前に内燃機関を高負荷運転していれば、アイドルストップ条件成立後にも少なからぬ量の液状燃料が残存していると考えられる。従って、点火プラグ12による火花放電を早めに停止し、バックファイアの危険を回避する。
逆に、内燃機関の冷却水温や吸気温が低いならば、アイドルストップ条件の成立前に内燃機関を高負荷運転しておらず、アイドルストップ条件成立時に吸気ポートに残存している液状燃料も少ないと考えられる。即ち、バックファイアの危険が低いということであるから、点火プラグ12による火花放電を停止する時期を遅らせて、点火プラグ12の電極近傍の温度を維持するようにする。
なお、既に述べた通り、内燃機関(のクランクシャフト)の回転速度が比較的高い間は、エンジン回転センサを介して各気筒1の圧縮上死点のタイミングを精度よく検出することが可能であり、気筒1の吸気バルブが開いている不適正なタイミングで点火プラグ12の火花放電を惹起してしまう懸念はない。よって、ステップS8にて決定する火花放電の停止の時期は、アイドルストップ条件の成立時または燃料噴射の停止時におけるエンジン回転数が低いほど早め、高いほど遅らせる。
ECU0は、アイドルストップ条件の成立後、ステップS8にて決定した時期が訪れたときに(ステップS9)、点火プラグ12による火花放電を停止する(ステップS10)。
アイドルストップ条件の成立後、所定のアイドルストップ終了条件が成立した暁には(ステップS11)、内燃機関を再始動する(ステップS12)。ステップS11では、運転者がブレーキペダルから足を離した、逆にブレーキペダルがさらに強く踏み込まれた、アクセルペダルが踏み込まれた、アイドルストップ状態で所定時間(例えば、3分)が経過した等のうち何れかを以て、アイドルストップ終了条件が成立したものと判断する。
本実施形態では、所定の燃料カット条件の成立に伴い燃料噴射を一時中止する燃料カットを実施し、また、所定のアイドルストップ条件の成立に伴い内燃機関のアイドル回転を停止させるアイドルストップを実施するものであって、アイドルストップ条件が成立してアイドルストップを開始する際に点火プラグ12による火花放電を停止する時期を、内燃機関の温度、吸気の温度及びエンジン回転数に基づいて変更することを特徴とする火花点火式内燃機関の制御装置0を構成した。
本発明によれば、アイドルストップ条件の成立後、内燃機関の回転が顕著に衰える前に点火プラグ12による火花放電を打ち切り、吸気通路3に火炎が伝播するバックファイアを適切に予防することが可能となる。
また、アイドルストップの際の内燃機関(特に、気筒1の燃焼室内)の温度が十分に高ければ、アイドルストップ後の機関の再始動における混合気の着火燃焼の安定性も高いと予想される。つまり、点火プラグ12による火花放電を続行して電極近傍の部位の温度低下を抑える必要性に乏しいといえる。従って、内燃機関の温度及び/または吸気の温度が高いほど火花放電を早期に打ち切るようにして、電力消費を抑制し、以て燃費性能の向上を図る。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、アイドルストップ条件の成立後点火プラグ12による火花放電を打ち切る時期を決定するにあたり、アイドルストップ条件の成立時または燃料噴射の停止時における触媒41の吸蔵酸素量を考慮に入れてもよい。
アイドルストップを実施する前には、燃料カットを実施していることが多い。燃料カット中は、燃焼成分を含まない空気が気筒1から排気通路4を経て触媒41に流入し、その空気に含まれた酸素が触媒41に吸蔵されることとなる。酸素が充ち満ちた触媒41内においては、排気ガス中に含まれる有害物質の一つであるNOxの還元反応を促進することが難しくなるため、そのままだとNOxの排出量が増大してしまう。
触媒41に吸蔵された酸素を消費してNOXの排出量の増大を抑制する方法として、アイドルストップ条件の成立後速やかに点火プラグ12による火花放電を停止することが考えられる。アイドルストップ条件の成立後における点火プラグ12の火花放電は、アイドルストップのための燃料噴射の停止前に生じたポートウェット分の燃料やキャニスタ35から放出された燃料蒸気を気筒1の燃焼室内で燃焼させる働きをしている。つまり、アイドルストップ条件の成立直後に点火プラグ12の火花放電を停止すれば、ポートウェット分の燃料やキャニスタ35から放出された燃料蒸気を燃焼させずに触媒41へと送り込むことが可能となる。触媒41に流入した未燃燃料は、触媒41に吸蔵された酸素と反応(酸化または燃焼)する。結果、触媒41に吸蔵されていた酸素が消費されて減少し、NOxの還元能率が高まる。
よって、ステップS8では、触媒41に吸蔵されている酸素量が多いほど、点火プラグ12による火花放電を打ち切る時期を早めることになる。制御装置たるECU0は、気筒1に充填される吸気の流量及び燃料噴射量(燃料カットを含む)に基づき、現在触媒41に吸蔵されている酸素の量を恒常的に推算している。吸蔵酸素量の推算手法は、既知のものを採用することができるので、ここでは説明を割愛する。ECU0は、アイドルストップ条件の成立時(または、アイドルストップのための燃料噴射の停止時)における触媒41の吸蔵酸素量を参照して、火花放電の打ち切りの時期を調整する。
例えば、触媒41の吸蔵酸素量が顕著に多い場合には、アイドルストップ条件の成立後即座に点火プラグ12による火花放電を停止する。このとき、アイドルストップのための燃料噴射の停止前に二回噴射している(二つの気筒1のインジェクタ11が噴射した)燃料を燃焼させずに触媒41に送り込むことで、触媒41からの酸素の放出を促進しても構わない。
逆に、触媒41の吸蔵酸素量が顕著に少ない場合には、アイドルストップ条件の成立後、点火タイミングが3回以上訪れてから点火プラグ12による火花放電を停止する。さすれば、各気筒1のインジェクタ11から噴射された燃料がおしなべて気筒1の燃焼室内で燃焼され、未燃燃料は殆どまたは全く触媒41に流入しないこととなる。
上記実施形態では、ステップS8にて、アイドルストップ条件の成立時または燃料噴射の停止時におけるエンジン回転数を考慮して点火プラグ12による火花放電を停止する時期を決定していたが、これに代えて、アイドルストップ条件成立後にエンジン回転数が下限値まで低下したら点火プラグ12の火花放電を停止することとし、その下限値をアイドルストップ条件の成立時または燃料噴射の停止時における内燃機関の温度及び/または吸気の温度(さらには、触媒41の吸蔵酸素量)に応じて調整するようにしてもよい。その場合には、内燃機関の温度が高いほど、また吸気の温度が高いほど(さらには、触媒41の吸蔵酸素量が多いほど)下限値を高く設定して、点火プラグ12による火花放電を早期に打ち切る。
その他、各部の具体的構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両に搭載される内燃機関の制御に適用することができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
11…インジェクタ
12…点火プラグ
35…燃料蒸発ガス排出抑制装置(キャニスタ)
41…触媒

Claims (1)

  1. 所定の燃料カット条件の成立に伴い燃料噴射を一時中止する燃料カットを実施し、また、所定のアイドルストップ条件の成立に伴い内燃機関のアイドル回転を停止させるアイドルストップを実施するものであって、
    アイドルストップ条件が成立してアイドルストップを開始する際に点火プラグによる火花放電を停止する時期を、内燃機関の温度または吸気の温度に基づいて変更することを特徴とする火花点火式内燃機関の制御装置。
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