JP2009214075A - 分離膜配設体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多孔質基体1と、多孔質基体1の表面に配設された分離膜11と、多孔質基体1の表面に分離膜11に接するように配設された膜状のシール部12と、分離膜11とシール部12との境界部分13に分離膜11とシール部13との両方を覆うように配設された膜状の被覆用ゼオライト21とを備えた分離膜配設体100。
【選択図】図1
Description
本発明の分離膜配設体の一の実施形態は、図1に示すように、多孔質基体1と、多孔質基体1の表面に配設された分離膜11と、多孔質基体1の表面に分離膜11に接するように配設された膜状のシール部12と、分離膜11とシール部12との境界部分13に分離膜11とシール部12との両方を覆うように配設された膜状の被覆用ゼオライト21とを備えるものである。本実施形態の分離膜配設体100は、多孔質基体1として、図2に示す中心軸方向に貫通する複数の貫通孔2が形成された柱状のモノリス形状基体1aを用い、分離膜11がモノリス形状基体1aの貫通孔2の内壁面5に配設され、シール部12がモノリス形状基体1aの両端面4,4に配設されたものである。図1は、本発明の分離膜配設体の一実施形態を示し、多孔質基体1の中心軸に平行な平面で切断した断面を示す模式図である。図2は、本発明の分離膜配設体の一の実施形態を構成するモノリス形状基体1a(多孔質基体1)を模式的に示す斜視図である。
本実施形態の分離膜配設体100を構成する分離膜11としては、ゼオライト膜、炭素膜、チタニア膜等を挙げることができ、これらの中でもゼオライト膜が好ましく、DDR型ゼオライト膜が更に好ましい。
本実施形態の分離膜配設体100を構成するシール部12としては、ガラスシール、金属シールを挙げることができ、これらの中でも、多孔質基体との熱膨張係数を合わせやすい点に優れることより、ガラスシールが好ましい。ガラスシールに用いるガラスの物性としては、特に限定されないが、多孔質基体の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有することが好ましい。また、ガラスシールに用いるガラスとしては、鉛を含まない無鉛ガラス等が好ましい。
本実施形態の分離膜配設体100を構成する被覆用ゼオライト21は、上記のように、分離膜11とシール部12との境界部分13に、分離膜11とシール部12との両方を覆うように、すなわち、両方に重なるように配設されている。これにより、シール不良を防止することができる。本実施形態の分離膜配設体100においては、被膜用ゼオライト21が境界部分13に配設されると同時に、モノリス形状基体1aの両端面4,4全体に亘って配設されている。被覆用ゼオライト21が、分離膜11と重なる部分の重なり幅W1は、0.01〜50mmであることが好ましく、0.1〜5mmであることが更に好ましい。0.01mmより短いとシール不良が発生し易くなることがあり、50mmより長いと分離膜面積が小さくなることがある。被覆用ゼオライト21が、シール部12と重なる部分の重なり幅W2は、0.01mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることが更に好ましい。0.01mmより短いとシール不良が発生し易くなることがある。尚、被覆用ゼオライト21とシール部12との重なり幅W2の上限は、特に限定されず、本実施形態の分離膜配設体100のように、被覆用ゼオライト21がシール部全体に亘っていてもよい。
本実施形態の分離膜配設体100においては、上記のように、多孔質基体1として、図2に示すような、モノリス形状基体1aを用いているが、多孔質基体1の形状は、これに限定されず、用途に応じて任意の形状とすることができる。例えば、板状、筒状、ハニカム形状等を挙げることができる。なお、本実施形態にいう「モノリス形状」とは、中心軸方向に貫通する複数の貫通孔が形成された柱状を意味し、例えば、その中心軸方向に直交する断面が蓮根状になっているものをいう。多孔質基体の外形としては、円柱状、楕円柱状、又は多角柱状であることが好ましい。以下、多孔質基体が、上記モノリス形状基体である場合について説明するが、上記のように多孔質基体の形状はこれに限定されるものではない。
次に、図1に示す本発明の分離膜配設体の一の実施形態の製造方法について説明する。まず、多孔質基体の両端面にガラスペーストを塗布し、所定温度で加熱することによりシール部を形成する。分離膜としてDDR型ゼオライト膜を用いる場合には、その後、1−アダマンタンアミン、シリカ及び水を含有する原料溶液に、上記シール部を配設した多孔質基体を浸漬し、DDR型ゼオライト種結晶の存在下、DDR型ゼオライトを水熱合成して、多孔質基体の表面の、シール部に隣接した位置に「1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト膜」を形成する。そして、500〜700℃で加熱することにより、DDR型ゼオライト膜に含有される1−アダマンタンアミンを燃焼除去することにより、多孔質基体の表面の、シール部に隣接した位置にDDR型ゼオライト膜を形成して、DDR型ゼオライト膜配設体を得ることが好ましい。以下、各工程毎に詳細に説明する。
本実施形態の分離膜配設体の製造方法において用いる多孔質基体は、上記、本発明の分離膜配設体の一実施形態において挙げられた多孔質基体であることが好ましい。
多孔質基体の表面に、ガラスペーストを塗布する。ガラスペーストを塗布する部分は、特に限定されず、多孔質基体の表面の中で、多孔質基体内から外部に、又は外部から多孔質基体内に、ガス、液体、微粒子等が移動することを防止しようとする部分に塗布することが好ましい。本実施形態においては、多孔質基体(モノリス形状基体)の両端面にガラスペーストを塗布する。
分離膜としてDDR型ゼオライト膜を用いる場合には、まず、1−アダマンタンアミンとシリカ、水、その他要すればエチレンジアミン、その他添加剤を混合して原料溶液を調製する。本実施形態では、DDR型ゼオライト膜を形成するための構造規定剤として1−アダマンタンアミンを用いる。シリカとしてはシリカゾルを用いることが好ましい。例えば、添加剤として微量のアルミン酸ナトリウムを使用すると、DDR型ゼオライト膜を構成するSiの一部をAlで置換することもできる。このように置換することにより、形成されるDDR型ゼオライト膜に分離機能に加えて触媒作用等を付加することも可能である。原料溶液の調製に際して、シリカに対する1−アダマンタンアミンの比の値(1−アダマンタンアミン/シリカ(モル比))は、0.002〜0.5が好ましく、0.002〜0.2が更に好ましい。0.002より小さいと構造規定剤である1−アダマンタンアミンが不足してDDR型ゼオライトが形成しにくいことがあり、0.5より大きいと膜状にDDR型ゼオライトを形成しにくいこと、また高価な1−アダマンタンアミンの使用量が増えるため製造コスト増につながることがある。シリカに対する水の比の値(水/シリカ(モル比))は、10〜500が好ましく、10〜200が更に好ましい。10より小さいとシリカ濃度が高すぎてDDR型ゼオライトが形成しにくいこと、DDR型ゼオライトが形成しても膜状に形成しにくいことがあり、500より大きいとシリカ濃度が低すぎてDDR型ゼオライトが形成しにくいことがある。
原料溶液にシール部が配設された多孔質基体を浸漬し、DDR型ゼオライト種結晶の存在下、DDR型ゼオライトを水熱合成して多孔質基体の表面に、「1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト膜」を形成する。ここで、「種結晶の存在下」とは、種結晶が、水熱合成時に、多孔質基体表面に接触した状態で存在していることをいう。従って、種結晶を予め原料溶液中に分散させておき、そこに多孔質基体を浸漬して水熱合成してもよいし、種結晶を多孔質基体表面に予め塗布しておき、その多孔質基体を原料溶液中に浸漬して水熱合成してもよい。また、種結晶を原料溶液に分散させるとともに、多孔質基体表面にも塗布しておき、多孔質基体を原料溶液に浸漬して水熱合成してもよい。種結晶を、均一に多孔質基体表面に配置させるという観点からは、多孔質基体表面に種結晶を予め塗布することが好ましい。
次に、貫通孔2の内壁面5に1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト膜が配設された多孔質基体1を、500〜700℃で加熱することにより、DDR型ゼオライト膜に含有される1−アダマンタンアミンを燃焼除去して多孔質基体の表面にシール部に隣接するように配設されたDDR型ゼオライト膜(分離膜11)を形成する。このとき、分離膜11とシール部12との境界部分13は、分離膜11とシール部12とが密着し、シール不良がないことが好ましいが、境界部分13に隙間があってもよい。後の工程で、被覆用ゼオライト21を配設することにより、この隙間が塞がれ、高いシール性が保たれるからである。
まず、水酸化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、水及びシリカ、要すればその他添加剤を混合してMFI原料溶液を調製する。本実施形態では、MFI型ゼオライト膜を形成するための構造規定剤として水酸化テトラプロピルアンモニウム及び臭化テトラプロピルアンモニウムを用いる。シリカとしてはシリカゾル溶液を用いることが好ましい。MFI原料溶液の調製に際して、シリカに対する水酸化テトラプロピルアンモニウムの比の値(水酸化テトラプロピルアンモニウム/シリカ(モル比))は、0.05〜0.5が好ましく、0.2〜0.4が更に好ましい。0.05より小さいとMFI型ゼオライトの生成が不十分となり膜化において欠陥が発生しやすいことがあり、0.5より大きいとMFI型ゼオライトが粉末として生成しやすく膜化しにくいことがある。シリカに対する臭化テトラプロピルアンモニウムの比の値(臭化テトラプロピルアンモニウム/シリカ(モル比))は、0.05〜0.5が好ましく、0.2〜0.4が更に好ましい。0.05より小さいとMFI型ゼオライトの生成が不十分となり膜化において欠陥が発生しやすいことがあり、0.5より大きいとMFI型ゼオライトが粉末として生成しやすく膜化しにくいことがある。シリカに対する水の比の値(水/シリカ(モル比))は、10〜250が好ましく、20〜100が更に好ましい。10より小さいと原料溶液がゲル化し、膜化において欠陥が発生しやすいことがあり、250より大きいと原料溶液中のシリカ濃度が薄すぎて膜化が不十分になることがある。
分離膜及びシール部を配設した多孔質基体(モノリス形状基体)の側面全体にマスキングテープを巻き、必要に応じて、端面の所望の位置にマスキングテープを貼り付け、その後、そのモノリス形状基体を耐圧容器内に一方の端面を下にして載置する。MFI原料溶液を、モノリス形状基体の下側の端面から所望の高さになるまで耐圧容器内に入れる。その後、水熱合成を行うことにより、モノリス形状基体の一方の端面について被覆用ゼオライト膜が配設された分離膜配設体が得られる。そして、他方の端面についても同様にして被覆用ゼオライト膜を配設することにより、モノリス形状基体の両端面に被覆用ゼオライト膜が配設された分離膜配設体を得ることができる。
多孔質基体として、両端面全体に、貫通孔の開口部を塞がないようにガラスシールが施された、アルミナ製のモノリス形状基体を用いた。モノリス形状基体の構造としては、直径30mmφ、長さ160mm、貫通孔に面する最表層の平均細孔径0.1μm、直径3mmφの貫通孔を37本有するものとした。
フッ素樹脂製のボトルに6.31gのエチレンジアミン(和光純薬工業社製)を入れた後、0.993gの1−アダマンタンアミン(アルドリッチ社製)を加え、1−アダマンタンアミンの沈殿が残らないように溶解した。別のボトルに100gの水を入れ、84.12gの30質量%シリカゾル(スノーテックスS:日産化学社製)を加えて軽く撹拌した後、これにエチレンジアミンと1−アダマンタンアミンを混合した溶液を加えて約1時間撹拌混合し、原料溶液とした。その後、原料溶液をフッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器に移した。
フッ素樹脂製のボトルに3.05gの40質量%水酸化テトラプロピルアンモニウム(SACHEM社製)を入れた後、1.595gの臭化テトラプロピルアンモニウム(和光純薬社製)を加えた。さらに、10.57gの水と、8.00gの30質量%シリカゾル(スノーテックスS、日産化学社製)を加えて約1時間攪拌混合し、MFI原料溶液とした。
実施例1と同様にして、モノリス形状基体の貫通孔の内壁面にDDR型ゼオライト膜を形成し、モノリス形状基体表面にガラスシールとDDR型ゼオライト膜とが隣接するように配設された分離膜配設体を作製した。得られた分離膜配設体について、実施例1の場合と同様に、分離膜とシール部(ガラスシール)との境界部分を電子顕微鏡で観察した。図4A及び図4Bに示す電子顕微鏡写真によれば、多結晶からなるDDR型ゼオライト膜とガラスシール31は接しておらず、これらの間には隙間があった。そして、その隙間部分(モノリス形状基体表面34)には、DDR型ゼオライト35の結晶が疎らにしか存在しておらず、モノリス形状基体の表面が露出している領域があった。図4Aは、比較例1で作製された分離膜配設体の、DDR型ゼオライト膜とガラスシールとの境界部分を示す電子顕微鏡写真であり、図4Bは、図4Aの電子顕微鏡写真の中の一部の領域S2を拡大した電子顕微鏡写真である。
Claims (5)
- 多孔質基体と、前記多孔質基体の表面に配設された分離膜と、前記多孔質基体の表面に前記分離膜に接するように配設された膜状のシール部と、前記分離膜と前記シール部との境界部分に前記分離膜と前記シール部との両方を覆うように配設された膜状の被覆用ゼオライトとを備えた分離膜配設体。
- 前記分離膜が、DDR型ゼオライト膜である請求項1に記載の分離膜配設体。
- 前記被覆用ゼオライトが、構造規定剤を含有するか、又は、平均細孔径が酸素6員環により形成される細孔の細孔径以下である請求項1又は2に記載の分離膜配設体。
- 前記被覆用ゼオライトが、MFI型ゼオライトである請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜配設体。
- 前記多孔質基体が、中心軸方向に貫通する複数の貫通孔が形成された柱状のモノリス形状基体であり、前記分離膜が前記モノリス形状基体の貫通孔の内壁面に配設され、前記シール部が前記モノリス形状基体の両端面に配設された請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜配設体。
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