JP2009214046A - 静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法 - Google Patents

静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗着効率を損なうことなく、火花放電や絶縁破壊を抑制することが可能な静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】以下の構成を備えた静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法。(イ)少なくとも放出端は、焼結温度T1、電気比抵抗ρ1の絶縁性セラミックスと、焼結温度T2(T1<T2)、電気比抵抗ρ2(ρ1>ρ2)の導電性セラミックスとの複合体からなる。(ロ)導電性セラミックス含有量は、9〜11wt%である。(ハ)絶縁性セラミックスの平均粒径(D1)は、0.5〜10μmである。(ニ)導電性セラミックス/絶縁性セラミックスの粒径比(D2/D1)は、1/800〜1/5である。(ホ)静電塗装用回転霧化頭は、抵抗値が106〜1012Ωである。(ヘ)絶縁性セラミックス粒子の周囲に、導電性セラミックス粒子が0.1〜2.0μmの間隔で不連続に分散し、導電パスを形成している。
【選択図】図6

Description

本発明は、静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法に関する。
自動車の外板の塗装やアンダーコートには、一般に、回転霧化式の静電塗装機が用いられている。回転霧化式の静電塗装機は、塗料を遠心力により霧化するための回転霧化頭を備えている。回転霧化頭は、塗装機本体に内蔵されたエアモータの回転軸先端に取り付けられており、かつ、高電圧ケーブルを介して−60〜−120kVの高電圧を印加できるようになっている。回転霧化頭をエアモータによって高速回転させ、かつ、高電圧ケーブルを介して回転霧化頭に高電圧を印加した状態で、塗料パイプを介して回転霧化頭に塗料を供給すると、回転霧化頭先端から帯電した塗料粒子が噴霧される。塗料粒子が帯電するのは、回転霧化頭の先端でコロナ放電が生じ、コロナ放電によって空気がイオン化し、噴霧された塗料粒子がイオン化した空気を吸着するためである。噴霧された塗料粒子は、電気的に接地された被塗装物に向かって静電力により飛行し、被塗装物の表面に塗着する。
回転霧化頭は、一般に、アルミニウムやチタン合金などの金属が使用されている。このような回転霧化式の静電塗装機を用いて被塗装物に塗装をする場合において、
(1)回転霧化頭が被塗装物に異常接近したとき、あるいは、
(2)回転霧化頭と被塗装物の間に存在する空気が絶縁破壊したとき
には、回転霧化頭と被塗装物との間に火花放電が発生する場合がある。
火花放電が発生すると、作業者が感電したり、あるいは、塗料に含まれるトルエンやキシレンなどの可燃性溶剤に引火し、火災事故を起こすおそれがある。そのため、回転霧化式の静電塗装機においては、通常、高電圧発生装置と商用電源との間に遮断スイッチが設けられ、過電流検出器により高電圧ケーブルを流れる電流値が所定の電流値以上になったときに電流を遮断するようになっている。しかしながら、遮断スイッチが作動しなかったり、あるいは、遅れが生じることがあり、回転霧化頭と被塗装物との間の火花放電を完全には抑制できないという問題があった。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、回転霧化頭を絶縁性樹脂材料により形成し、回転霧化頭の後部側から塗料放出端縁に向けて回転霧化頭の外周側を周回するように螺旋状半導電体(ポリエステル、エポキシ、フッ素樹脂等の絶縁性樹脂材料に導電性材料を混練したもの)を設けた回転霧化頭型静電塗装装置が開示されている。
同文献には、
(1)螺旋状半導電体の抵抗値は、螺旋状半導電体の後端から前端までの長さ寸法により決定されるので、螺旋状半導電体を高抵抗とすることができる、
(2)塗装時に回転霧化頭と被塗装物が異常接近又は接触しても、螺旋状半導電体の高抵抗によって過電流を抑制することができる、
(3)螺旋状半導電体の部分的な厚さの不均一や螺旋状半導電体中に含まれる導電材料の不均一が生じても、螺旋状半導電体の全体的な抵抗値を一定に保つことができる、
点が記載されている。
また、特許文献2には、回転霧化頭及び塗装パターン調整用のシェーピングエア噴射用リングを絶縁性樹脂材料によって形成し、シェーピングエア噴射用リングの先端外側に半導電性材料(ポリエステル、エポキシ、フッ素樹脂等の絶縁性樹脂材料に導電性繊維を混練したもの)からなるリング電極が設けられた回転霧化型塗装装置が開示されている。
同文献には、このような構成を採用することによって、回転霧化頭と被塗装物が異常接近しても、浮遊容量に蓄えられた電荷が瞬時に放電するのを抑え、放電エネルギーを低くすることができる点が記載されている。
また、特許文献3には、回転霧化頭を絶縁性樹脂材料により形成し、回転霧化頭の外周面には取付部から塗料放出端にかけて半導電性膜(ポリエステル、エポキシ、フッ素樹脂等の絶縁性樹脂材料に導電性繊維を混練したもの)を形成し、半導電性膜の後端を回転霧化頭の回転軸と接触させ又は微少隙間を介して離間させた回転霧化頭型塗装装置が開示されている。
同文献には、
(1)回転霧化頭と被塗装物が異常接近しても、浮遊容量に蓄えられた電荷が一気に放電するのを抑え、放電エネルギーを低くすることができる、
(2)半導電性膜と回転軸との間に空気絶縁層が形成されると、半導電性膜と空気絶縁層の合計の抵抗値を大きくすることができ、放電エネルギーをより低くすることができる、
点が記載されている。
さらに、特許文献4には、導電性金属材料からなるエアモータに絶縁性材料からなる回転軸を取り付け、回転軸先端にはエアモータ先端と離間するように絶縁性樹脂材料からなる回転霧化頭を取り付け、回転霧化頭の表面に半導電性膜を塗布し、回転霧化頭後端とエアモータ先端の間にある回転軸表面に半導電性膜を形成し、エアモータの先端には半導電性膜が塗布された第1の制限リングを取り付け、回転霧化頭の後端には半導電性膜が塗布された第2の制限リングを取り付けた回転霧化頭型塗装装置が開示されている。
同文献には、
(1)エアモータに印加された高電圧は、第1の制限リング→回転軸表面の半導電性膜→第2の制限リング→回転霧化頭表面に塗布された半導電性膜に順次供給されるので、回転霧化頭の塗料放出端縁においてコロナ放電を発生させることができる、
(2)回転軸に絶縁性材料を用いているので、回転霧化頭と被塗装物が異常接近しても、回転軸と被塗装物との間の短絡を防止することができる、
(3)エアモータの先端及び回転霧化頭の後端に、それぞれ、半導電性膜を塗布した第1の制限リング及び第2の制限リングを設けたので、エアモータから塗料放出端に向けて大きな電流が流れても、エアモータの先端と回転霧化頭の後端との間で火花放電が発生するのを防ぐことができる
点が記載されている。
特開平10−151377号公報 特開平08−187453号公報 特開平08−150352号公報 特開2000−117155号公報
上述した従来技術においては、いずれも火花放電を抑制するために、回転霧化頭を絶縁性樹脂材料で形成している。また、回転霧化頭の塗料放出端において塗料を帯電させるために、回転霧化頭の外周面全体に半導電性膜を形成し、あるいは、回転霧化頭の外周面に螺旋状の半導電性膜を形成している。
しかしながら、絶縁性樹脂製の回転霧化頭を用いた場合、以下のような問題がある。
(1)回転霧化頭の外側に半導電体膜を形成した場合には、回転霧化頭の洗浄や取り替え時に半導電体膜が剥離することによって抵抗値が経時変化しやすい。さらには、塗料流動による塗料放出端の摩耗により、塗料を均一に帯電しにくくなる。その結果、静電塗装の特徴である高塗着効率を損なうおそれがある。
(2)半導電体を螺旋状に設ける場合には、回転霧化頭の洗浄や取り替え時に起こる半導電体膜の剥離の問題は避けられるが、回転霧化頭の素材が樹脂であるため、塗料流動による半導電体の摩耗により均一な塗料帯電がしにくくなり、摩耗が進行した場合には塗料を帯電できなくなるおそれがある。さらに、構造が複雑で製造プロセスが煩雑となる。
(3)いずれの場合も、抵抗値を変えるためには、抵抗値が異なる半導電体材料をそろえる必要があり、回転霧化頭の抵抗値を任意に制御することが難しい。
(4)回転霧化頭が樹脂製であるため、塗料流動によって摩耗しやすく、また、高電圧の印加電圧依存が大きい。
(5)塗料帯電する部位である塗料放出端が樹脂製であるため、絶縁破壊しやすい。さらに一端、火花放電を起こしてしまうと、樹脂が絶縁破壊するために、使用できなくなるおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、塗着効率を損なうことなく、火花放電や絶縁破壊を抑制することが可能な静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、塗料流動による摩耗、及び、これに起因する塗料帯電の均一性の低下を抑制することが可能な静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、製造プロセスを煩雑化させることなく、1種類の混合組成の粉末を調合するのみで抵抗値の制御が容易な静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る静電塗装用回転霧化頭は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(イ)少なくともその放出端は、焼結温度がT1であり、電気比抵抗がρ1である絶縁性セラミックスと、焼結温度がT2(T1<T2)であり、電気比抵抗がρ2(ρ1>ρ2)である導電性セラミックスとの複合体からなる。
(ロ)前記複合体は、前記導電性セラミックスの含有量が9〜11wt%である。
(ハ)前記複合体は、前記絶縁性セラミックスの平均粒径(D1)が0.5〜10μmである。
(ニ)前記複合体は、前記絶縁性セラミックスの平均粒径(D1)に対する前記導電性セラミックスの平均粒径(D2)の比(D2/D1)が1/800〜1/5である。
(ホ)前記静電塗装用回転霧化頭は、抵抗値が106〜1012Ωである。
(ヘ)前記絶縁性セラミックスからなる1個又は2個以上のマトリックス粒子の周囲に、前記導電性セラミックスからなる導電性粒子が0.1〜2.0μmの間隔で不連続に分散し、導電パスを形成している。
また、本発明に係る静電塗装用回転霧化頭の製造方法は、以下の工程を備えていることを要旨とする。
(a)焼結温度がT1であり、電気比抵抗がρ1である絶縁性セラミックス粉末及び焼結温度がT2(T1<T2)であり、電気比抵抗がρ2(ρ1>ρ2)である導電性セラミックス粉末を含み、前記導電性セラミックス粉末の含有量がXwt%(但し、9≦X≦11)である1種類の原料混合物を得る原料混合工程。
(b)前記原料混合物を成形し、少なくとも前記静電塗装用回転霧化頭の放出端を得ることが可能な形状を有する成形体を得る成形工程。
(c)前記静電塗装用回転霧化頭の抵抗値が106〜1012Ωとなるように、焼結温度を変えて前記成形体を焼結させる焼結工程。
相対的に焼結温度の低い絶縁性セラミックス粉末と、相対的に焼結温度が高い(さらに好ましくは、絶縁性セラミックスと化合物を形成しない)導電性セラミックス粉末とを混合し、所定の温度で焼結させると、絶縁性セラミックスが優先的に粒成長し、相対的に粒径の大きい絶縁性セラミックス結晶粒の周囲に相対的に粒径の小さい導電性セラミックス結晶粒が均一に分散した複合体が得られる。そのため、出発原料の組成が同一であっても、焼結温度を変えるだけで導電性セラミックス結晶粒の粒子間距離が変わり、複合体の体積抵抗率を広範囲に制御することができる。
このようにして得られた複合体を静電塗装用回転霧化頭の塗料放出端に用いると、空気の絶縁破壊による火花放電が抑制され、塗料を帯電させるためのコロナ放電を霧化頭全周に渡って均一に発生させることができる。これは、回転霧化頭全体が高抵抗であると同時に、導電性セラミックス結晶粒が均一に分散しており、放出端を構成する複合体の体積抵抗率が適正な値で、かつ、全周に渡って均一になっているためである。さらに、複合体は、絶縁性セラミックスの周囲に導電性セラミックスを不連続に分散させているので、絶縁破壊しにくいだけでなく、塗料流動による摩耗及びこれに起因する塗料帯電の不均一化を抑制することができる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 静電塗装用回転霧化頭]
本発明に係る静電塗装用回転霧化頭は、少なくともその放出端が絶縁性セラミックスと導電性セラミックスとの複合体からなる。
[1.1 形状]
回転霧化頭は、一般に、ベル型、ディスク型、半球型などの形状をしており、開口端部には、放出端を持つ。放出端の内周面には、放射状に霧化溝が形成されている。放出端に霧化溝が形成されていると、回転霧化頭の中心部に供給された塗料が開口端部に向かって拡がり、霧化溝から塗料を液糸状に放出させることができる。霧化溝から放出された液糸状の塗料は、液糸の先端で途切れて微細な液滴となる。霧化溝は、塗料を微細な液滴とするだけでなく、塗料が液滴となる際に気泡の巻き込みを防止する作用がある。
本発明に係る静電塗装用回転霧化頭の形状は、特に限定されるものではなく、ベル型、ディスク型等、いずれの形状であっても良い。また、回転霧化頭は、全体が後述する複合体からなるものでも良く、あるいは、放出端のみが複合体からなり、後端(回転軸との取付部分側)が他の材料からなっていても良い。また、塗料を効率よく霧化させるためには、放出端には、霧化溝が設けられているのが好ましい。
[1.2 抵抗値]
電気比抵抗の異なる材料から複合体を作製する場合において、導電性材料の量、分散形態等を制御すると、複合体の体積抵抗率を制御することができる。従って、回転霧化頭の形状、複合体の使用部位、複合体の体積抵抗率等に応じて、回転霧化頭全体の抵抗値を制御することができる。
後述する複合体が放出端を含む回転霧化頭の一部を構成する場合、及び、回転霧化頭の全部を構成する場合のいずれにおいても、回転霧化頭全体の抵抗値(放出端から後端の間の抵抗値)が低い方が、高い塗装効率が得られる。しかしながら、回転霧化頭全体の抵抗値が低くなりすぎると、火花放電しやすくなる。従って、回転霧化頭全体の抵抗値は、106Ω以上が好ましい。
一方、回転霧化頭全体の抵抗値が高くなると、塗装効率が低下する。従って、回転霧化頭全体の抵抗値は、1012Ω以下が好ましい。
[1.3 複合体]
[1.3.1 絶縁性セラミックスと導電性セラミックス]
回転霧化頭の少なくとも放出端を構成する複合体は、絶縁性セラミックスと導電性セラミックスを含むものからなる。
本発明において、「絶縁性セラミックス」とは、その電気比抵抗ρ1が導電性セラミックスの電気比抵抗ρ2より高く、かつ、その焼結温度T1が導電性セラミックスの焼結温度T2より低いものをいう。絶縁性セラミックスの電気比抵抗ρ1は、1012Ωcm以上が好ましい。
「導電性セラミックス」とは、その電気比抵抗ρ2が絶縁性セラミックスの電気比抵抗ρ1より低く、かつ、その焼結温度T2が絶縁性セラミックスの焼結温度T1より高いものをいう。導電性セラミックスの電気比抵抗ρ2は、10-2〜106Ωcmが好ましい。また、焼結中における導電性セラミックスの粒成長を抑制し、複合体の体積抵抗率の制御を容易化するためには、導電性セラミックスは、絶縁性セラミックスと化合物を形成しないものが好ましい。
「焼結温度」とは、セラミックス単独又は焼結助剤共存下において、相対密度90%以上の焼結体が得られる温度をいう。
回転霧化頭全体の抵抗値を広範囲に渡って制御するためには、絶縁性セラミックスの電気比抵抗ρ1と導電性セラミックスの電気比抵抗ρ2の差は、大きいほど良い。
また、焼結温度のみによって回転霧化頭全体の抵抗値を広範囲に制御するためには、絶縁性セラミックスの焼結温度T1と導電性セラミックスの焼結温度T2との差は、大きいほど良い。すなわち、焼結時の絶縁性セラミックス結晶粒の成長速度は、導電性セラミックスに比べて大きいほど良い。
絶縁性セラミックスとしては、具体的には、
(1)Si34、SiAlON、ムライト、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、スピネル、ジルコン、マグネシア、チタンアルミ、ジルコンなどの構造用セラミックス、
(2)金属間化合物、
などがある。複合体には、上述したいずれか1種の絶縁性セラミックスが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
導電性セラミックスとしては、具体的には、
(1)SiC、B、C、B4C、
(2)周期律表のIIa族(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、4族(Ti、Zr、Hf、Rf)、5族(V、Nb、Ta、Db)、6族(Cr、Mo、W、Sg)、10族(Ni、Pd、Pt)、11族(Cu、Ag、Au)、13族(B、Al、Ga、In、Tl)、及び、14族(C、Si、Ge、Sn、Pb)の炭化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物
などがある。複合体には、上述したいずれか1種の導電性セラミックスが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
これらの中でも、絶縁性セラミックスがSi34からなり、導電性セラミックスがSiCからなる複合体は、焼結時の結晶粒成長の差が大きいことから、複合体の体積抵抗率の制御が容易であり、しかも、高強度の複合体が得られるので、回転霧化頭の放出端を構成する材料として特に好適である。
Si34/SiC複合体の場合、焼結助剤として、Y23を含むもののが好ましい。また、焼結助剤として、Y23に加えて、MgAl24及び/又はAl23をさらに含むものが好ましい。低融点化合物系の焼結助剤を用いた方が、緻密な焼結体を得やすい。焼結助剤を添加すると、Si34が粒成長しやすくなるので、複合体の体積抵抗率の制御がさらに容易化する。焼結助剤として、Y23とMgAl24を用いる場合、Y23の含有量は4〜10wt%が好ましく、MgAl24の含有量は2〜10wt%が好ましい。焼結助剤の量を変化させると、焼結性が変化するだけでなく、複合体の体積抵抗率も変化させることができる。
[1.3.2 導電性セラミックスの含有量]
導電性セラミックスの含有量は、複合体の体積抵抗率と、複合体の強度、破壊靱性、摩耗等の機械的特性に影響を与える。一般に、導電性セラミックスの含有量が少なすぎると、複合体の体積抵抗率が大きくなり、強度等の機械的特性も低下する。高い塗装効率と高い機械的特性を得るためには、導電性セラミックスの含有量は、9wt%以上が好ましい。
一方、導電性セラミックスの含有量が過剰になると、複合体の体積抵抗率が小さくなる。また、導電性セラミックスの含有量が多くなるほど、複合体の機械的特性は増加するが、導電性セラミックスの含有量が過剰になると、機械的特性は逆に低下する。火花放電を抑制し、高い強度を得るためには、導電性セラミックスの含有量は、11wt%以下が好ましい。
[1.3.3 絶縁性セラミックスの粒径]
絶縁性セラミックスの粒径は、複合体の体積抵抗率と強度に影響を与える。一般に、絶縁性セラミックスの粒径が小さくなるほど、複合体の強度は向上するが、導電性セラミックスの粒子間距離が短くなるために、複合体の体積抵抗率は低下する。火花放電を抑制し、高い強度を得るためには、絶縁性セラミックスの平均粒径は、0.2μm以上が好ましい。ここで、「平均粒径」とは、短径の長さの平均値をいう。
一方、絶縁性セラミックスの粒径が大きくなりすぎると、複合体の強度が低下し、複合体の体積抵抗率も著しく大きくなる。高い塗装効率と高い強度を得るためには、絶縁性セラミックスの平均粒径は、10μm以下が好ましい。
[1.3.4 粒径比]
絶縁性セラミックスの平均粒径(D1)に対する導電性セラミックスの平均粒径(D2)の比(D2/D1)は、複合体の体積抵抗率と強度に影響を与える。一般に、粒径比が大きくなるほど、複合体の強度及び体積抵抗率は低下する。火花放電を抑制し、高い強度を得るためには、粒径比(D2/D1)は、1/800以上が好ましい。
一方、粒径比が小さくなりすぎると、破壊源となる導電性セラミックスの凝集体を形成しやすくなるため、複合体の強度が低下し、複合体の体積抵抗率も著しく大きくなる。高い塗装効率と高い強度を得るためには、粒径比は、1/5以下が好ましい。
[1.3.5 粒子間隔]
複合体は、絶縁性セラミックスからなる1個又は2個以上のマトリックス粒子の周囲に、導電性セラミックスからなる導電性粒子が0.1〜2.0μmの間隔で不連続に分散し、導電パスを形成しているものが好ましい。
マトリックス粒子は、通常、複数個が集まってセルを形成している。マトリックス粒子又はセルの周囲に分散している導電性粒子の間隔が短くなると、複合体の体積抵抗率が低下する。従って、導電性粒子は、平均で0.1μm以上の間隔で不連続に分散しているのが好ましい。
一方、導電性粒子の間隔が長くなりすぎると、複合体の体積抵抗率が著しく増大する。従って、導電性粒子は、平均で2.0μm以下の間隔で不連続に分散しているのが好ましい。
このような導電パスは、放出端の周方向に渡って均一に形成されているのが好ましい。
[1.3.6 強度]
回転霧化頭には遠心力が作用するので、複合体は、この遠心力に耐えうる強度を有していれば良い。塗装効率を向上させるためには、複合体の強度は高いほど良い。
回転霧化頭に作用する引張応力は、使用条件にもよるが、通常、20〜100MPa程度である。従って、引張強度は曲げ強度の約1/2であることから、霧化頭を破壊させずに塗料を微粒化するためには、複合体の4点曲げ強度は、200MPa以上が好ましく、さらに好ましくは、300MPa以上である。
[1.3.7 絶縁性セラミックス粒子のアスペクト比]
原料組成が同一である場合、絶縁性セラミックス粒子のアスペクト比(長径/短径)は、複合体の体積抵抗率に影響を与える。一般に、導電性粒子の量が一定である場合において、絶縁性セラミックス粒子のアスペクト比が小さくなるほど、導電性粒子の間隔が短くなり、複合体の体積抵抗率が低下する。火花放電を抑制するためには、絶縁性セラミックス粒子のアスペクト比は、1.2以上が好ましい。
一方、マトリックス粒子のアスペクト比が大きくなりすぎると、導電性粒子の間隔が長くなり、体積抵抗率が著しく増大する。従って、マトリックス粒子のアスペクト比は、20以下が好ましい。
[1.3.8 相対密度]
一般に、複合体の相対密度が高くなるほど、高強度が得られる。実用上十分な強度を得るためには、複合体の相対密度は、90%以上が好ましい。相対密度は、さらに好ましくは、95%以上である。
[2. 静電塗装用回転霧化頭の製造方法]
本発明に係る静電塗装用回転霧化頭の製造方法は、原料混合工程と、成型工程と、焼結工程とを備えている。
[2.1 原料混合工程]
原料混合工程は、焼結温度がT1であり、電気比抵抗がρ1である絶縁性セラミックス粉末及び焼結温度がT2(T1<T2)であり、電気比抵抗がρ2(ρ1>ρ2)である導電性セラミックス粉末を含み、前記導電性セラミックス粉末の含有量がXwt%(但し、9≦X≦11)である1種類の原料混合物を得る工程である。
原料混合物は、絶縁性セラミックス粉末及び導電性セラミックス粉末のみを含むものでも良く、あるいは、必要に応じて、焼結助剤、バインダー、分散剤などがさらに含まれていても良い。
焼結助剤は、絶縁性セラミックス及び導電性セラミックスの組成に応じて最適なものを選択する。例えば、絶縁性セラミックスがSi34からなり、導電性セラミックスがSiCからなる場合、焼結助剤としては、Y23、MgAl24、Yb23、Al23、MgOなどがある。これらは、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。特に、Y23−MgAl24、又は、Y23−Al23の組み合わせが好ましい。
バインダー、分散剤等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを添加すれば良い。
本発明において、体積抵抗率の異なる複数種類の複合体を得るためには、原料組成の異なる複数種類の原料混合物を製造する必要はなく、1種類の原料混合物を製造するだけで良い。この点が、従来の方法とは異なる。
導電性セラミックスの含有量が9〜11wt%である複合体を得るためには、原料混合物中に含まれる導電性セラミックス粉末の含有量Xを9〜11wt%とすれば良い。ここで、「導電性セラミックス粉末の含有量」とは、絶縁性セラミックス粉末、導電性セラミックス粉末、及び、必要に応じて添加される焼結助剤の総重量に対する導電性セラミックス粉末の重量の割合を言う。
同一の原料混合物を用いて体積抵抗率を変化させるためには、相対的に粒径の大きな1個又は複数個の絶縁性セラミックス結晶粒の周囲に、相対的に粒径の小さい導電性セラミックス結晶粒を分散させれば良い。絶縁性セラミックス結晶粒が大きくなるほど、導電性セラミックス粒子が形成するネットワーク構造のひとつひとつのセルサイズが大きくなって、導電性セラミックス粒子が分散する領域が減少する結果、より少ない導電性セラミックス量で導電パスを形成しやすくなる。これによって、少ない導電性セラミックス量で複合体の体積抵抗率が低下する。
絶縁性セラミックスとして相対的に焼結温度が低いものを用い、導電性セラミックスとして相対的に焼結温度が高いものを用いると、導電性セラミックス結晶粒を粒成長させることなく絶縁性セラミックス結晶粒のみを任意の大きさに粒成長させることができる。
しかしながら、焼結温度のみで制御するよりも、予め平均粒径の異なる粉末を出発原料に用いた方が、結晶粒の粒径比の制御がさらに容易化する。そのためには、絶縁性セラミックス粉末の平均粒径(d1)に対する導電性セラミックス粉末の平均粒径(d2)の比(d2/d1)は、1/100〜1/5が好ましい。
[2.2 成形工程]
成形工程は、原料混合物を成形し、少なくとも静電塗装用回転霧化頭の放出端を得ることが可能な形状を有する成形体を得る工程である。
上述したように、複合体は、回転霧化頭全体を構成していても良く、あるいは、放出端のみを構成していても良い。成形体は、回転霧化頭全体又は放出端を含む回転霧化頭の一部分が得られる形状であれば良い。
成形方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法を選択すればよい。成形方法としては、具体的には、プレス成形法、CIP成形法などがある。また、焼結後の仕上加工の工数を削減するために、成形体に対して生加工を施しても良い。
[2.3 焼結工程]
焼結工程は、静電塗装用回転霧化頭の抵抗値が106〜1012Ωとなるように、焼結温度を変えて成形体を焼結させる工程である。
焼結温度は、複合体の組成に応じて、最適な温度を選択する。例えば、絶縁性セラミックスがSi34である場合、焼結温度は1600℃以上が好ましい。Si34を含む原料を1600℃以上に加熱すると、α−βの相変態が生じ、かつ、液相が生成するので、マトリックス粒子の粒成長が容易に進行する。
また、SiC含有量が10wt%であるSi34−SiC複合体の場合、直径40mm、高さ50mm程度のベル型回転霧化頭全体を複合体により構成し、焼結温度を1800〜1880℃に変化させると、霧化頭全体の抵抗値を106〜1012Ωの範囲で変化させることができる。これは、焼結温度を変化させることによって、Si34結晶粒のみを優先的に粒成長させることができ、焼結温度に応じてSiC結晶粒の粒子間距離が変化するためである。
他の組成を有する複合体も同様であり、焼結温度を制御するだけで、絶縁性セラミックス結晶粒を優先的に粒成長させることができる。また、この時、原料混合物に含まれる粉末の粒径比を最適化すると、絶縁性セラミックス結晶粒の粒径制御がさらに容易化する。
焼結工程終了後、必要に応じて仕上げ加工を施すと、本発明に係る静電塗装用回転霧化頭又は放出端を含む回転霧化頭の一部分が得られる。
[3. 静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法の作用]
相対的に焼結温度の低い易焼結性の絶縁性セラミックス粉末と、相対的に焼結温度が高い導電性セラミックス粉末とを混合し、所定の温度で焼結させると、絶縁性セラミックスが優先的に粒成長し、相対的に粒径の大きい絶縁性セラミックス結晶粒の周囲に相対的に粒径の小さい導電性セラミックス結晶粒が均一に分散した複合体が得られる。特に、相対的に粒径が大きい絶縁性セラミックス粉末と、相対的に粒径が小さい導電性セラミックス(特に、絶縁性セラミックスと化合物を形成しない導電性セラミックス)を出発原料に用いると、このような組織を有する複合体が容易に得られる。そのため、出発原料の組成が同一であっても、焼結温度を変えるだけで導電性セラミックス結晶粒の粒子間距離が変わり、複合体の体積抵抗率を広範囲に制御することができる。
このようにして得られた複合体を静電塗装用回転霧化頭の塗料放出端に用いると、火花放電や絶縁破壊が抑制され、安定したコロナ放電を発生させることができる。これは、回転霧化頭全体が高抵抗であると同時に、導電性セラミックス結晶粒が均一に分散しており、放出端を構成する複合体の体積抵抗率が塗料放出端全周で均一になっているためである。
また、導電性セラミックスの添加量と絶縁性セラミックスの結晶粒径を最適化することにより、所望の体積抵抗率を維持しながら、高強度を得ることができる。
さらに、本発明に係る静電塗装用回転霧化頭は、少なくとも放出端がセラミックスからなるので、樹脂製の回転霧化頭に比べて、絶縁破壊しにくいだけでなく、塗料流動による摩耗及びこれに起因する塗料帯電の不均一化を抑制することができる。
(実施例1、比較例1)
[1. 試料の作製]
市販のSi34粉末(平均粒径:0.5μm)に、10wt%のSiC粉末(平均粒径:0.03μm)と、焼結助剤として6.0wt%のY23(平均粒径:1.0μm)及び4.0wt%のMgAl24(平均粒径:0.6μm)と、バインダーとを加え、ボールミル混合し、Si34/SiC混合粉末を作成した。この混合粉末をベル型に成形し、1820〜1890℃の範囲において、N2ガス中、9.8kg/cm2(0.96MPa)に加圧しながら焼結し、セラミックベル(実施例1)を得た。
また、比較として、樹脂製の本体の外周面にカーボンを塗布した樹脂ベル(比較例1)を作製した。
[2. 試験方法]
[2.1 電気抵抗値]
得られたベルの抵抗値を測定した。図1に、抵抗値の測定方法を示す。導電性シートを貼り付けた電極上にベルを載せ、ベルの上端に、同じく導電性シートを貼り付けた電極を載せた。上部電極の上には、さらに錘(2.8kg)を載せた。この状態で下部電極を接地し、上部電極に高圧電源から高電圧を印加し、下部電極を流れる電流を電流計により測定した。印加電圧及び電流値から、ベルの抵抗値を算出した。
ベルの抵抗値は、
(1)120℃×1hで乾燥させた後、
(2)25℃×湿度80%×2hの湿度環境においた後、及び、
(3)水中に2〜4時間浸漬した後
に、それぞれ測定した。
[2.2 火花放電の発生評価]
ベルに−90kVの高電圧を印加した後、電圧をOFFとした。次いで、1000mm/sの速度でアース体をベル先端から500mmの位置から10mmまで接近させ、火花放電状態を撮影した。
[2.3 複合体の物性評価]
複合体の顕微鏡写真から、Si34の平均粒径(D1)、粒径比(D2/D1)、SiC粒子の平均粒子間隔、Si34粒子のアスペクト比を測定した。
また、アルキメデス法により、複合体の相対密度を測定した。
さらに、JIS R1601に従い、複合体の4点曲げ強度を測定した。
[3. 結果]
[3.1 物性値]
図2に、焼結温度とSi34結晶粒径(マトリックスの平均粒径)との関係を示す。図2より、焼結温度が高くなるほど、マトリックスの平均粒径が大きくなることがわかる。
複合体のその他の物性値は、以下の通りである。
粒径比(D2/D1): 0.06
SiCの粒子間隔: 300〜400nm
マトリックス粒子のアスペクト比: 2.0
複合体の相対密度: 96%
複合体の4点曲げ強度: 850MPaMPa
[3.2 抵抗値]
図3に、セラミックベルの焼結温度と抵抗値(乾燥状態)との関係を示す。図3より、同一組成の原料を用いているにもかかわらず、焼結温度を変えるだけで、セラミックベルの抵抗値は、焼結温度に対して106〜109Ωの範囲でほぼ直線的に変化するることがわかる。これは、焼結温度を変えることにより、マトリックスであるSi34の結晶粒径が変化し、SiC結晶粒の粒子間距離が変化するためである。
図4及び図5に、それぞれ、1860℃及び1830℃で焼結したセラミックベルのベル印加電圧と電気抵抗値との関係を示す。図4及び図5より、セラミックベルは、焼結温度によらず、抵抗値に湿度依存性が無いことがわかる。これは、セラミックベルの抵抗値が塗装ブース環境に影響されにくいことを意味する。さらに、印加電圧の依存性が小さく、印加電圧を変化させた場合でも、同一の霧化頭を使用することができる。
これに対し、樹脂ベルは、抵抗値が高湿度環境下では2桁近く変化した。
[3.3 火花放電]
図6に、火花放電評価時のベル先端の写真を示す。樹脂ベルの場合、図6左図に示すように、金属ベルの場合と同様にベル先端の1カ所から集中して火花放電が発生するのが観察された。これに対し、セラミックベルは、図6右図に示すように、ベル先端全周からほのかな青い光のコロナ放電が観察される程度であった。図6より、セラミックベルを用いることにより、火花放電が抑制されることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る静電塗装用回転霧化頭及びその製造方法は、自動車の外板の塗装やアンダーコートに用いられる静電塗装装置の回転霧化頭及びその製造方法として用いることができる。
ベルの抵抗値の測定方法を示す概念図である。 複合体の焼結温度とSi34焼結体の結晶粒径との関係を示す図である。 セラミックベルの焼結温度と抵抗値(乾燥状態)との関係を示す図である。 異なる湿度環境で測定した、セラミックベル(焼結温度:1860℃)のベル印加電圧と電気抵抗値との関係を示す図である。 異なる湿度環境で測定した、セラミックベル(焼結温度:1830℃)のベル印加電圧と電気抵抗値との関係を示す図である。 火花放電評価試験時の放電状態を撮影した写真(左図:樹脂ベル(比較例1)、右図:セラミックベル(実施例1))である。

Claims (11)

  1. 以下の構成を備えた静電塗装用回転霧化頭。
    (イ)少なくともその放出端は、焼結温度がT1であり、電気比抵抗がρ1である絶縁性セラミックスと、焼結温度がT2(T1<T2)であり、電気比抵抗がρ2(ρ1>ρ2)である導電性セラミックスとの複合体からなる。
    (ロ)前記複合体は、前記導電性セラミックスの含有量が9〜11wt%である。
    (ハ)前記複合体は、前記絶縁性セラミックスの平均粒径(D1)が0.5〜10μmである。
    (ニ)前記複合体は、前記絶縁性セラミックスの平均粒径(D1)に対する前記導電性セラミックスの平均粒径(D2)の比(D2/D1)が1/800〜1/5である。
    (ホ)前記静電塗装用回転霧化頭は、抵抗値が106〜1012Ωである。
    (ヘ)前記絶縁性セラミックスからなる1個又は2個以上のマトリックス粒子の周囲に、前記導電性セラミックスからなる導電性粒子が0.1〜2.0μmの間隔で不連続に分散し、導電パスを形成している。
  2. 以下の構成をさらに備えた請求項1に記載の静電塗装用回転霧化頭。
    (ト)前記複合体は、4点曲げ強度が200MPa以上である。
  3. 以下の構成をさらに備えた請求項1又は2に記載の静電塗装用回転霧化頭。
    (チ)前記絶縁性セラミックス粒子のアスペクト比(長径/短径)は、1.2〜20である。
  4. 以下の構成をさらに備えた請求項1から3までのいずれかに記載の静電塗装用回転霧化頭。
    (リ)前記複合体は、相対密度が90%以上である。
  5. 前記絶縁性セラミックスは、Si34であり、
    前記導電性セラミックスは、SiCである
    請求項1から4までのいずれかに記載の静電塗装用回転霧化頭。
  6. 焼結助剤としてY23を含む請求項5に記載の静電塗装用回転霧化頭。
  7. 焼結助剤としてMgAl24及び/又はAl23をさらに含む請求項6に記載の静電塗装用回転霧化頭。
  8. 23の含有量が4〜10wt%であり、MgAl24の含有量が2〜10wt%である請求項7に記載の静電塗装用回転霧化頭。
  9. 以下の工程を備えた静電塗装用回転霧化頭の製造方法。
    (a)焼結温度がT1であり、電気比抵抗がρ1である絶縁性セラミックス粉末及び焼結温度がT2(T1<T2)であり、電気比抵抗がρ2(ρ1>ρ2)である導電性セラミックス粉末を含み、前記導電性セラミックス粉末の含有量がXwt%(但し、9≦X≦11)である1種類の原料混合物を得る原料混合工程。
    (b)前記原料混合物を成形し、少なくとも前記静電塗装用回転霧化頭の放出端を得ることが可能な形状を有する成形体を得る成形工程。
    (c)前記静電塗装用回転霧化頭の抵抗値が106〜1012Ωとなるように、焼結温度を変えて前記成形体を焼結させる焼結工程。
  10. 前記絶縁性セラミックス粉末の平均粒径(d1)に対する前記導電性セラミックス粉末の平均粒径(d2)の比(d2/d1)は、1/100〜1/5である請求項9に記載の静電塗装用霧化頭の製造方法。
  11. 前記絶縁性セラミックス粉末は、Si34であり、
    前記導電性セラミックス粉末は、SiCである
    請求項9又は10に記載の静電塗装用回転霧化頭の製造方法。
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