JP3807235B2 - 耐放電性複合材料及びその製造方法 - Google Patents

耐放電性複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,各種電極,高電圧用,静電用,帯電用部品等の構成材料として使用できる耐放電性複合材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来,各種ポリマー,紙,ゴム類などの各種絶縁性粒子に対し,(1)金属や合金よりなる粉末,繊維及びフレーク,(2)炭素粉末,炭素繊維,金属化粉末等の各種導電性材料を添加することで得られる複合材料が知られている(特開平7−282953号,特開平4−266944号,特開平7−276557号など)。
上記複合材料は,添加する導電性材料の量で複合材料全体の電気抵抗値をコントロールすることができるため,この複合材料を耐放電性複合材料として利用することがある。
耐放電性複合材料とは,静電気によるスパーク放電が生じ難く,かつ帯電作用を有することが可能な材料で,各種帯電用部品等の高電圧を印加する静電用部品の構成材料として広く利用されている。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら,従来技術にかかる各複合材料では,スパーク放電が発生し易く,耐放電性複合材料としての性能があまり高くなかった。
また,材料全体で均一かつ最適な電気抵抗値を得るために導電性材料を絶縁性粒子に対し均一分散させる必要があり,この場合,分散状態の均一化が難しいか,もしくは均一に分散しても導電性材料と絶縁性粒子との密度差等によって両者が分離し易く,組成が不安定となるおそれがあった。
【0004】
上記問題を解決するために,例えば絶縁性粒子の表面を金属材料等よりなる導電層で連続的に被覆した被覆粒子を準備し,該被覆粒子を集積して複合材料となすことが提案されているが,このものは粉末処理のためにコスト高となったり,絶縁性粒子から導電層が厚くなるなどによって剥離するおそれがあり,耐久性に問題があった。
また,耐放電性を確保するのに必要な高い電気抵抗値を得ることが難しいという問題もあった。
【0005】
更に,所定の電気抵抗値を得るために場合によっては抵抗が比較的低い多量の導電性材料を添加する必要があるが,これにより材料全体の強度低下が生じやすくなるという問題があった。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,材料全体で均一かつ制御された所定の電気抵抗値を発現させることで,高電圧印加に伴うスパーク放電が生じ難い一方,コロナ放電や摩擦帯電等による帯電作用を利用した液体,固体粒子の搬送が可能であり,さらに機械的強度にも優れた耐放電性複合材料及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,Si 3 4 又はサイアロンよりなる多数の絶縁性セルと,炭化珪素よりなる導電性粒子とよりなる複合材料であって,
隣接する上記絶縁性セル界面に上記導電性粒子は三次元網目状に不連続に分散して導電パスを形成し,
上記絶縁性セルの粒径をR,上記導電性粒子の粒径をrとして,両者の間にはr/R≦1/3の関係が成立し,
耐放電性複合材料100体積%中に対し1〜30体積%の炭化珪素を添加してなることを特徴とする耐放電性複合材料にある。
【0008】
ここに上記絶縁性セルは,複数の結晶粒及び/または1つの結晶粒または非晶質粒子から構成されている。
また,上記絶縁性セルの形状は球体,楕円体,多面体及びその他立体形である。上記絶縁性セルの粒径とは,該絶縁性セルの内部を横切る最短の長さを指す。
【0009】
本発明において最も注目すべきことは,絶縁性セルの粒径Rと導電性粒子の粒径rとの間にr/R≦1/3の関係が成立することである。
仮にr/Rが1/3より大である場合は,絶縁性セルの周囲を取り囲む導電性粒子の数密度が少なくなり,所定の電気抵抗値を発現させることが困難となるおそれがある。逆に所定の抵抗値を得るために添加量を増大させることが必要となり,その結果機械的特性を低下させてしまう問題が生じるおそれがある。
更に好ましくはr/Rを1/6以下とする。
また,r/Rは1/500以上であることが好ましい。
【0010】
次に,本発明の作用につき説明する。
本発明にかかる耐放電性複合材料は,これを構成する絶縁性セルと導電性粒子との間の粒径比がr/R≦1/3という条件を満たしている。
このため,複数の絶縁性セルの周囲を少量の導電性粒子で均一に取り囲むような三次元ネットワーク構造を形成しやすく,これによってネットワーク状の導電経路を材料内部にとぎれることなく均一に形成できる。
【0011】
さらに同一の粒径比r/Rにおいて,添加量を調整して,離散的に分散した導電性粒子間隔を変化させることができ,これにより複合材料の電気抵抗値を任意に制御できる。
このような電気抵抗値の調整によって,該複合材料に高電圧を印加した時の,静電気によるスパーク放電を生じ難くすると同時に,コロナ放電させた部位に被帯電体を接触させることによって,帯電させることが可能になる。これによって被帯電体を静電引力によって効率的な搬送が可能となり,被付着物表面に無駄なく付着させることができる。
【0012】
つまり,少量の導電性粒子で均一な三次元ネットワーク構造の導電性経路を形成でき,導電性粒子間隔を変化させることによって,抵抗値を任意に調整できる。よって,静電気によるスパーク放電が生じ難く,耐放電性と帯電作用とを両立させることができる。
【0013】
また,セラミック材料のような脆性材料においては,絶縁性セル界面に導電性粒子が分布した三次元網目構造を有しているため,これが骨格構造を形成し,強い機械的強度を得ることができる。
さらに,被帯電体との接触による耐放電性材料の摩耗を抑制することが可能である。
次に,上記導電性粒子は不連続に分散している。
ここに不連続分散とは,絶縁性セル界面を所定の間隔で,絶縁性セルの全周をとぎれることなく,上記導電性粒子が互いに分離して(離散的)に配列しながら,相対的には複合材料中に三次元網目構造を構成した状態のことである。
これにより,複合材料の電気抵抗値が上記導電性粒子の間隔の調整によって,材料全体の電気抵抗値を任意に制御することができる。
上記絶縁性セラミック材料は窒化珪素系セラミックスまたはサイアロンよりなる。また、上記耐放電制複合材料は,耐放電性複合材料100体積%中に対し1〜30体積%の炭化珪素を添加してなる
これにより,アース側への導電性部品への放電を抑止できる一方,静電的な帯電を利用した付着効率を向上させることができる。さらに粒子分散強化作用により母材の強度を大きく高めることができる。
また,1000℃以上の高い耐熱性も発現することも可能であり,高温及び耐腐食性環境下においても使用可能となる。
炭化珪素の添加量が1体積%未満である場合は,所定の導電性(電気抵抗値)を付与することが困難となり,静電力を利用した各種の効果を得ることが困難となるおそれがある。一方,炭化珪素の添加量が30体積%越えた場合は,電気抵抗値が低くなりすぎることから,耐放電性が得がたくなると共に焼結性が大きく低下して,緻密化不足となり,機械的な強度が大きく低下するおそれがある。
なお,上記添加の上限はより好ましくは15体積%とすることがよい。また下限はより好ましくは5体積%とすることがよい
【0014】
以上,本発明によれば,材料全体で均一かつ制御された所定の電気抵抗値を発現させることで,高電圧印加に伴うスパーク放電が生じ難い一方,コロナ放電や摩擦帯電等による帯電作用を利用した液体,固体粒子の搬送が可能であり,さらに機械的強度にも優れた耐放電性複合材料を提供することができる。
【0015】
上記絶縁性セルは,単結晶,多結晶または非晶質の各種絶縁性物質からなり,機械的特性の高いマトリックス材料で構成される部分である。
このマトリックス材料がセラミックスで構成される場合,例えば,窒化ケイ素サイアロン等の材料を用いることができる。
マトリックス材料にこれらセラミックス材料を用いることで,特に耐磨耗性を強く発現させることができる。
【0017】
また,上記導電性粒子としては,炭化珪素を主成分とする粒子を挙げることができる。
【0018】
また,導電性粒子の形状は,球状,鱗片状,線状,楕円状及び不定形等を挙げることができる。また,中空粒子やクラスタ,多孔体であってもよい。より好ましくは球形,楕円形,不定形がよい。
【0020】
上記導電性粒子の粒子間隔は10nm〜500μmであることが好ましい。
これにより,機械的特性を低下させることなく,材料内に均一な導電性経路を形成することができる。
粒子間隔が10nm未満である場合は,導電性粒子が連続的に分散した構造に近くなるため,絶縁性セル界面が結合した構造を形成し難くなるため,機械的強度が低下してしまうおそれがある。500μmを越えた場合には,高い機械的特性を得ることができるが,材料内の電気伝導経路の密度が小さくなり,均一な電気抵抗値が得られなくなり,その結果帯電効率が低下するおそれがある。
【0021】
次に,請求項記載の発明のように,上記絶縁性セルは30MPa以上の機械的強度を有する材料よりなることが好ましい。
これにより,機械的強度に優れた耐放電性複合材料を得ることができる。
30MPa未満である場合は,機械的強度が低く,実用上問題が生じるおそれがある。
【0022】
次に,請求項記載の発明のように,上記絶縁性セルは結晶粒よりなることが好ましい。
なお,結晶粒を構成する具体的な物質名は上述した。例示した物質の中から適当に2種類以上選択することができる。
【0023】
次に,請求項に記載の発明のように,隣接する上記導電性粒子間に強化粒子または強化相が存在することが好ましい。
これにより,隣接した絶縁性セル界面における結合力がより高くなり,機械的特性を高めることができる。
上記強化粒子の粒径は導電性粒子の粒径より大きくてもよいが,基本的には導電性粒子径以下であることが好ましい。また,強化相の厚さは導電性粒子径より大であっても,導電性粒子径以下であってもよい。
強化相は結晶質であってもよいが,非晶質であることが好ましい。
【0024】
上記強化粒子及び強化相としては,導電性粒子及び/または絶縁性セル内のマトリックス材料との馴染みがよく,高い結合性が得られる材料を使用することが好ましい。少なくとも絶縁性セル内のマトリックス材料と馴染みがよく,絶縁性セル同士の結合性を高められる材料がより好ましい。
【0025】
また,強化粒子及び強化相は,マトリックス材料及び導電性粒子の融点より低い材料組成であることが好ましい。更に好ましくはマトリックス材料と導電性粒子と馴染みやすい体積及び拡散し易い材料であることが好ましい。ただし,導電性粒子とは反応し難いことが好ましい。
例えば,Si34系複合材料では,Si,Y,Mg,Ca,Hf,Cr,Al,Zn,Ti金属酸化物及びそれらからなる複合酸化物等を強化粒子及び強化相として使用することができる。
【0026】
次に,請求項記載の発明のように,上記絶縁性セルの内部には導電性物質が含まれていることが好ましい。
これにより,絶縁性セル内に導電性を付与したり,粒子強化作用により高強度化するなど,複合化効果を得ることができる。材料全体でさらに均一で所定の電気抵抗値を発現できるという効果も得ることができる。
所定の電気抵抗値とは,スパーク放電の発生を抑止できる一方,被帯電体を十分帯電するに十分なコロナ放電を発生できる値であり,例えば103〜1010Ωcmの値である。
【0027】
上記導電性物質としては,前記の導電性物質のうちの少なくとも一種を選択できて,セル外とセル内で必ずしも同一組成および/または同一添加割合である必要はない。
また,絶縁性セル内における導電性粒子の分散形態としては,均一,ネットワーク状,層状,ランダム状などのいずれでもよい。
【0028】
次に,請求項の発明は,Si 3 4 又はサイアロンよりなる多数の絶縁性セルと,炭化珪素よりなる導電性粒子とよりなる複合材料であって,
隣接する上記絶縁性セル界面に上記導電性粒子は三次元網目状に不連続に分散して導電パスを形成し,
上記絶縁性セルの粒径をR,上記導電性粒子の粒径をrとして,両者の間にはr/R≦1/3の関係が成立し,
耐放電性複合材料100体積%中に対し1〜30体積%の炭化珪素を添加してなる耐放電性複合材料を製造するに当たり,
表面に炭化珪素よりなる導電性粒子を付着させたSi 3 4 又はサイアロンよりなる絶縁性粒子を準備し,該絶縁性粒子を多数集積して,成形・焼結させることを特徴とする耐放電性複合材料の製造方法にある。
【0029】
具体的には,例えば粒径比rp/Rp(rp:導電性粒子の粒径,Rp:絶縁性粒子の粒子径)が1/3以下である導電性粒子と絶縁性粒子とを準備し,これを導電性粒子を上記絶縁性粒子表面に不連続かつ離散的に付着させた複合粒子となし,または上記粒径比が変化しないように導電性粒子と絶縁性粒子とを混合または混練して複合粒子となし,該複合粒子を多数集積して成形し,その後,焼結または溶融・固化させる。
【0030】
本請求項にかかる製造方法では,絶縁性粒子の表面に導電性粒子が付着した複合粒子や,粒径比が変化しないように混合や混練して作製した複合粒子を単位粒子として,これから耐放電性複合材料を作製する。また,絶縁性粒子や導電性粒子の粒径比は1/3以下である。
【0031】
このため,成形,焼結,溶融・固化等の際に各絶縁性粒子同士が互いの間に導電性粒子を挟んだ状態で結合され,この際に絶縁粒子と導電性粒子の粒径比が略維持されたままで複合材料となる。
よって,絶縁性セルと導電性粒子との粒径比が1/3以下で,導電性粒子が三次元網目状に分散して導電パスを形成した耐放電性複合材料を得ることができる。
【0032】
次に,請求項記載の発明は,Si 3 4 又はサイアロンよりなる多数の絶縁性セルと,炭化珪素よりなる導電性粒子とよりなる複合材料であって,
隣接する上記絶縁性セル界面に上記導電性粒子は三次元網目状に不連続に分散して導電パスを形成し,
上記絶縁性セルの粒径をR,上記導電性粒子の粒径をrとして,両者の間にはr/R≦1/3の関係が成立し,
耐放電性複合材料100体積%中に対し1〜30体積%の炭化珪素を添加してなる耐放電性複合材料を製造するに当たり,
Si 3 4 又はサイアロンよりなる絶縁性粒子と,炭化珪素よりなる導電性粒子とを混合させた状態で,上記絶縁性粒子が焼結及び/または結晶粒成長しやすい温度または軟化変形溶融温度に加熱保持して,上記絶縁性粒子のみを焼結及び/または結晶粒成長または塑性流動させることを特徴とする耐放電性複合材料の製造方法にある。
【0033】
具体的には,例えば粒径比rp/Rp(rp:導電性粒子の粒径,Rp:絶縁性粒子の粒子径)が1/3以下である導電性粒子と絶縁性粒子とを準備し,
上記導電性粒子と上記絶縁性粒子とを複合化した状態で,上記絶縁性粒子の融点以下の温度に加熱して,上記絶縁性粒子の結晶粒のみを成長させる。
【0034】
本請求項にかかる製造方法は,絶縁性粒子を粒成長させて,絶縁性セルを形成している。このため,絶縁性粒子内の結晶粒の成長速度が早い際に有効な製造方法である。
つまり,絶縁性粒子の融点以下で結晶粒の成長速度が早まるような温度に加熱してやることで,絶縁性セルのサイズを大きくし,導電性粒子を網目状(セル構造)に分散させ,導電パスを形成することができる。
【0035】
以上,本発明にかかる上記二つのいずれの製造方法においても,前述したごとく,材料全体で均一かつ制御された所定の電気抵抗値を発現させることで,高電圧印加に伴うスパーク放電が生じ難い一方,コロナ放電や摩擦帯電等による帯電作用を利用した液体,固体粒子の搬送が可能であり,さらに機械的強度にも優れた耐放電性複合材料の製造方法を得ることができる。
【0036】
請求項にかかる製造方法では絶縁性粒子がそのままの形状や大きさで絶縁性セルとなるため,得ようとする複合材料における絶縁性セルと同程度の大きさの絶縁性粒子を使用することが好ましい。
ただし,絶縁性粒子が途中で凝縮したり,集合体となることもあり,この場合は同程度の大きさの絶縁性粒子を使用する必要はない。
また,請求項にかかる製造方法では絶縁性粒子やその集合体が粒成長して絶縁性セルを形成するため,得ようとする複合材料における絶縁性セルよりも小さい絶縁性粒子を使用する必要がある。
また,絶縁性粒子のみを粒成長させるため,耐熱性(熱安定性)については,導電性粒子のほうが高くなるよう,各粒子を選択することが好ましい。
【0037】
なお,本発明にかかる耐放電性複合材料は,静電塗装用霧化ヘッド,粉体塗装機,植毛装置,コピー機等に用いられる帯電用部品の構成材料に使用することができる。
また,静電除去用部品や放電用電極等の構成材料に使用することができる。
【0038】
次に上記導電性粒子は,炭化珪素よりなる。
【0039】
上記特定の化合物よりなる導電性粒子を用いた耐放電性複合材料は,絶縁性セルの周囲を少量の導電性粒子がとぎれることなく均一に取り囲むような三次元ネットワーク構造を形成しやすく,離散的に分散した導電性粒子の間隔が適宜変化して,複合材料の電気抵抗値が容易に変更可能となる。
【0040】
よって,複合材料に高電圧を印加した時の,静電気によるスパーク放電を生じ難くすると同時に,コロナ放電させた部位に被帯電体を接触させることによって,帯電させることが可能な材料を得ることができる。
【0041】
また,母材は脆性のセラミック材料であるが,導電性粒子が分布して三次元網目構造を構成するため,これが骨格構造となって,強い機械的特性を得ることができる。また,強化相の形成により,さらに高い機械的特性を得ることができる。
【0043】
次に,上記絶縁性セラミック材料は,窒化珪素系セラミックス,またはサイアロンよりなる
これにより,マトリックス材料として高い絶縁性と高い強度やじん性,耐磨耗性の特性とを同時に発現できる。
【0048】
次に,請求項記載の発明のように,上記耐放電性複合材料の比電気抵抗は103〜1010Ωcmであることが好ましい。
これにより,アース側の導電性部品への放電を抑止できる一方,静電的な帯電現象を利用した付着効率を向上させることができる。さらに粒子分散強化作用により母材の強度を大きく高めることができる。
比電気抵抗が103Ωcm未満である場合は,電気抵抗値が低くなり,導電性部品等へのスパーク放電が発生しやすくなるおそれがある。1010Ωcmである場合は,電気抵抗値が高くなりすぎ,アーク放電が発生し難くなり,帯電作用を利用できなくなるおそれがある。
【0049】
次に,請求項記載の発明のように,上記導電性粒子は,粒径が10μm以下である粒子よりなることが好ましい。
これにより,絶縁性セルの粒径が小さくなくて,耐放電性材料内に導電性粒子で高密度なネットワーク状の導電経路を形成することができる。
粒径が10μmより大となった場合は,絶縁性セルの粒径が大きくなり,それに伴って導電経路の密度が低下するため,均一な電気抵抗値を有する耐放電性複合材料が得がたくなるおそれがある。
また,粒径の下限は,導電性粒子が連続的に分散したネットワーク構造を形成しやすくなり,所定の電気抵抗値を得がたくなるということで,0.001μmとすることが好ましい。
【0050】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる耐放電性複合材料につき,図1を用いて説明する。
本例にかかる耐放電性複合材料1は,多数の絶縁性セル11と導電性粒子12とよりなり,隣接する上記絶縁性セル11間に上記導電性粒子12は三次元網目状に分散して導電パスを形成し,上記絶縁性セル11の粒径をR,上記導電性粒子12の粒径をrとして,両者の間にはr/R≦1/3の関係が成立する。
また,導電性粒子12間に強化粒子13が存在する。
なお,導電性粒子12間に強化相が形成されることもある(図示略)。
【0051】
以下に本例にかかる複合材料である試料1及び2について詳細に説明する。
試料1にかかる複合材料は,絶縁性セルはSi34,導電性粒子はβ−SiCよりなる。また,Y23,SiO2よりなる強化粒子を含有する。
【0052】
試料1にかかる複合材料は,次のようにして作製する。
粒径が0.2μmのSi34粉末,0.5μmのY23粉末及びSi34粉末の粒径に対し約1/7の粒径で電気抵抗が10-2Ωcm導電性のβ−SiC粉末を準備する。なお,β−SiC粉末はSi34粉末100重量%に対し,9重量%添加する。
これら粉末をエタノール中で72時間ボールミル混合し,混合粉とした。
混合粉を20MPaで一軸成形し,ホットプレス処理を行った。ホットプレスの条件は1850℃×1時間,窒素雰囲気中である。
得られたホットプレス体が本例にかかる複合材料である。
【0053】
次に,試料2にかかる複合材料は,絶縁性セルはSi34とY23,導電性粒子はβ−SiCよりなる。
まず,Si34粉末とY23粉末との混合粉末を造粒し,粒径10μmの造粒粉を準備する。造粒粉の粒径に対し約1/10の粒径の導電性のβ−SiCの粉末を準備する。なお,β−SiC粉末は造粒粉100重量%に対し,2〜4重量%添加する。
両者を乾式混合し,得られた混合粉を20MPaで一軸成形し,ホットプレス処理を行った。ホットプレスの条件は1850℃×1時間,窒素雰囲気中である。
得られたホットプレス体が本例にかかる複合材料である。
【0055】
これら試料1及び試料2にかかる複合材料の性能を次のように評価した。
得られた各ホットプレス体から直径60mm×厚さ2mmの円板状の試料片を作製した。
この試料片の比抵抗を測定すると共に,25kVの印加電圧を加えて放電試験を行った。また,ホットプレス体の表面をプラズマエッチングで処理して,走査型電子顕微鏡を用いてエッチング面の組織の観察を行った。
【0056】
この結果,すべての試料片において比抵抗は各部で均一であり,試料1は2×108Ωcm,試料2は3×106Ωcmあることが分かった。
また,すべての試料片において,円板上の全体でコロナ放電が均一に発生したことが分かった。また,静電気によるスパーク放電が生じ難く,帯電作用についても優れていることが分かった。
また,電子顕微鏡観察によればエッチング面の組織は図1に示すごとき,複数の結晶粒で構成される大きなセルと各セル間に小さな三次元網目の粒状組織が存在することが分かった。
また,各試料のいずれについても強度,じん性及び耐磨耗性等の機械的強度に優れていることが分かった。
【0057】
次に,本例の作用につき説明する。
本例にかかる耐放電性複合材料は,これを構成する絶縁性セルと導電性粒子との間の粒径比が上述の条件を満たしている。
また,絶縁性セル界面に三次元網目状に導電性粒子が分布して,絶縁性セル界面に導電パスが形成される。
このため,上述の試験結果に記載したごとく,複合材料全体で均一な電気抵抗値を得ることができ,静電気によるスパーク放電が生じ難く,耐放電性と帯電作用とを両立させることができる。
【0058】
また,絶縁性セル界面に三次元網目状で導電性粒子が分散しているため,これが骨格構造を形成し,亀裂が発生しても伝播し難く,熱的,機械的な衝撃を容易に緩和することができる。よって,強い機械的強度を得ることができる。
更に,強化粒子を添加しているため,更に高い機械的強度を得ることができる。
【0059】
以上,本例によれば,材料全体で均一かつ制御された所定の電気抵抗値を発現させることで,高電圧印加に伴うスパーク放電が生じ難い一方,コロナ放電や摩擦帯電等による帯電作用を利用した液体,固体粒子の搬送が可能であり,さらに機械的強度にも優れた耐放電性複合材料及びその製造方法を提供することができる。
【0063】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,材料全体で均一かつ制御された所定の電気抵抗値を発現させることで,高電圧印加に伴うスパーク放電が生じ難い一方,コロナ放電や摩擦帯電等による帯電作用を利用した液体,固体粒子の搬送が可能であり,さらに機械的強度にも優れた耐放電性複合材料及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例における,耐放電性複合材料の組織を示す説明図。
【符号の説明】
1...耐放電性複合材料,
11...絶縁性セル,
12...導電性粒子,
13...強化粒子,

Claims (9)

  1. Si 3 4 又はサイアロンよりなる多数の絶縁性セルと,炭化珪素よりなる導電性粒子とよりなる複合材料であって,
    隣接する上記絶縁性セル界面に上記導電性粒子は三次元網目状に不連続に分散して導電パスを形成し,
    上記絶縁性セルの粒径をR,上記導電性粒子の粒径をrとして,両者の間にはr/R≦1/3の関係が成立し,
    耐放電性複合材料100体積%中に対し1〜30体積%の炭化珪素を添加してなることを特徴とする耐放電性複合材料。
  2. 請求項1において,上記絶縁性セルは30MPa以上の機械的強度を有する材料よりなることを特徴とする耐放電性複合材料
  3. 請求項1又は2において,上記絶縁性セルは結晶粒よりなることを特徴とする耐放電性複合材料
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において,隣接する上記導電性粒子間に強化粒子または強化相が存在することを特徴とする耐放電性複合材料
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において,上記絶縁性セルの内部に導電性物質が含まれていることを特徴とする耐放電性複合材料
  6. Si 3 4 又はサイアロンよりなる多数の絶縁性セルと,炭化珪素よりなる導電性粒子とよりなる複合材料であって,
    隣接する上記絶縁性セル界面に上記導電性粒子は三次元網目状に不連続に分散して導電パスを形成し,
    上記絶縁性セルの粒径をR,上記導電性粒子の粒径をrとして,両者の間にはr/R≦1/3の関係が成立し,
    耐放電性複合材料100体積%中に対し1〜30体積%の炭化珪素を添加してなる耐放電性複合材料を製造するに当たり,
    表面に炭化珪素よりなる導電性粒子を付着させたSi 3 4 又はサイアロンよりなる絶縁性粒子を準備し,該絶縁性粒子を多数集積して,成形・焼結させることを特徴とする耐放電性複合材料の製造方法
  7. Si 3 4 又はサイアロンよりなる多数の絶縁性セルと,炭化珪素よりなる導電性粒子とよりなる複合材料であって,
    隣接する上記絶縁性セル界面に上記導電性粒子は三次元網目状に不連続に分散して導電パスを形成し,
    上記絶縁性セルの粒径をR,上記導電性粒子の粒径をrとして,両者の間にはr/R≦1/3の関係が成立し,
    耐放電性複合材料100体積%中に対し1〜30体積%の炭化珪素を添加してなる耐放電性複合材料を製造するに当たり,
    Si 3 4 又はサイアロンよりなる絶縁性粒子と,炭化珪素よりなる導電性粒子とを混合させた状態で,上記絶縁性粒子が焼結及び/または結晶粒成長しやすい温度または軟化変形溶融温度に加熱保持して,上記絶縁性粒子のみを焼結及び/または結晶粒成長または塑性流動させることを特徴とする耐放電性複合材料の製造方法
  8. 請求項1〜5のいずれか一項において,上記耐放電性複合材料の比電気抵抗は10 3 〜10 10 Ωcmであることを特徴とする耐放電性複合材料
  9. 請求項1〜5のいずれか一項において,上記導電性粒子は,粒径が10μm以下である粒子よりなることを特徴とする耐放電性複合材料
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