JPH061718B2 - 電磁エネルギー変換発熱材 - Google Patents

電磁エネルギー変換発熱材

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JPH061718B2
JPH061718B2 JP3859189A JP3859189A JPH061718B2 JP H061718 B2 JPH061718 B2 JP H061718B2 JP 3859189 A JP3859189 A JP 3859189A JP 3859189 A JP3859189 A JP 3859189A JP H061718 B2 JPH061718 B2 JP H061718B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、電磁エネルギー変換発熱材に関する。さらに
詳しくは、電磁エネルギーを熱に変換し、熱利用を図る
電磁エネルギー変換発熱材に関する。さらに詳しくは、
熱変換効率が極めて高く、耐久性に優れ、しかも発熱の
度合いにより色変化(300〜350℃にて白色から黄
色に変化し、可逆的である)する電磁エネルギー変換発
熱材に関する。
従来の技術 電磁エネルギー変換発熱材としては、誘電体損失や磁性
体損失を利用したものと、抵抗材を利用したものがあ
り、効率等の面から抵抗材が利用される場合が多かっ
た。具体的な抵抗体材料としては、カーボン系(粉,繊
維,ウイスカー,焼結体など)が最も多いが、最近で
は、炭化けい素(繊維,ウイスカー,粉,焼結体など)
や絶縁性の繊維やウイスカー(チタン酸カリウムウイス
カー等)等の表面を導電処理(還元処理や導電物質のコ
ートなど)した材料の他、導電性亜鉛華等の導電性金属
酸化物(粉,焼結体など)も検討されてきた。
発明が解決しようとする課題 しかるに、カーボン系発熱材は、過熱した場合、カーボ
ンの酸化が進み燃焼に至る欠点があり、安全性と耐久性
に問題があった。
また、炭化けい素化と導電性亜鉛華系などは、電磁エネ
ルギーー熱変換効率が低い点が問題であった。
さらに、表面を導電処理した材料では、熱変換効率が低
い点と、発熱サイクル時に導電処理部が劣化するため耐
久性に問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み鋭意研究を重ねられた上でな
されたもので、耐久性及び、電磁エネルギーー熱変換効
率に優れ、その上不燃性で過熱表示(変色化)も可能な
安全性に優れた電磁エネルギー変換発熱材を提供するも
のである。
課題を解決するための手段 本発明者は上記目的を達成するため鋭意研究の結果、電
磁エネルギー変換発熱材として全く新規な酸化亜鉛ウイ
スカーを用い下記の手段により上記目的を悉く達成する
ことを見い出した。
即ち、本発明は酸化亜鉛ウイスカーを発熱剤とした電磁
エネルギー変換発熱材である。
また、本発明は、酸化亜鉛ウイスカーの基部から先端ま
での長さが10μm以上である酸化亜鉛ウイスカーを発
熱剤とした電磁エネルギー変換発熱材である。
さらに、酸化亜鉛ウイスカーが、核部とこの核部から異
なる複数軸方向に伸びた針状結晶部を具備した酸化亜鉛
ウイスカーを発熱剤とした電磁エネルギー変換発熱材で
ある。
さらには、上記複数軸方向の軸数が4なる酸化亜鉛ウイ
スカーを発熱剤とした電磁エネルギー変換発熱材であ
る。
作 用 酸化亜鉛ウイスカーを用いた電磁エネルギー変換発熱材
は、従来の材料に比べてはるかに高効率に熱変換する
が、その作用機構は未だ充分には明らかになっていな
い。しかし現時点では次の如く考えられる。
まず、本発明に用いる酸化亜鉛ウイスカーの一例を、電
子顕微鏡写真第1図で示す。
酸化亜鉛(以下、ZnOと記す)ウイスカーは、金属酸化
物で、数あるウイスカー中でも極立って完全な単結晶体
であり、その表面の光沢も素晴らしく、結晶学的に、過
剰なZn原子が作用して、ウイスカー自体の導電性を促
し、ウイスカー全体が半導電性である。従って、ウイス
カー単結晶全体がくまなく均一な発熱体であるため、高
効率な発熱体となる。さらに、このウイスカーは、形状
的に極めて特異であり、テトラポット構造の3次元構造
をしており、集合された場合容易に3次元メッシュ構造
を作り、ループアンテナの構造となる。さらに、この先
鋭な先端が高効率な発熱に寄与することも考えられる。
またこのウイスカーは、その単結晶が無色透明で、それ
ぞれのウイスカーは極めて端正で表面の凹凸もほとんど
みられない極めて稀有なウイスカーである。この特異な
3次元メッシュ構造と、ZnOウイスカー特有の性状のた
めに、電磁波を効果的に発熱材内部まで導くことができ
高効率に電磁エネルギーを熱に変換することができる。
また、このZnOウイスカーは、光をよく吸収し光導電性
の性質が極めて強く、他の多くのウイスカー類とは著し
く異なる。さらに、ZnOは多くのフェライト中に配合さ
れて、特異な磁性特性を現出させる等、磁気的環境下に
おいても極めて特異なふるまいをする材料である。また
磁化率 (magnetic susceptibility)は−0.31×10-6/0℃
(c.g.s単位)で反磁性を示す材料で、磁気的効果
も考えられる。すなわち、ZnOウイスカー独特の結晶
的、形状的、導電的、磁気的性質が作用して、これでの
発熱材よりはるかに高効率に電磁エネルギーを熱に変換
するものと考えられる。
またZnOウイスカーは金属酸化物であるため、加熱して
も酸化が進んだり、燃焼したりすることがなく、耐久性
と安全性に優れた発熱材である。
さらに、ZnOは300〜350℃以上で白色から黄色に
変色(可逆性)し、過熱表示の要素を具備した発熱材と
なる。
実施例 以下に実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこ
れに限定するものではない。
本発明では電磁エネルギー変換発熱体として全く新規な
ZnOウイスカーを用いる。このZnOウイスカーの中でも特
に特性的に極立つのがテトラポット構造(第1図)のZn
Oウイスカーである。
このZnOウイスカーは、表面に酸化皮膜を有する金属亜
鉛粉末を酸素を含む雰囲気下で加熱処理して生成するこ
とができる。得られたテトラポット状ZnOウイスカー
は、みかけの嵩比重0.02〜0.1を有し、70wt%以上
の高収率で極めて量産的である。第1図および第2図は
その電子顕微鏡写真で生成品の一例を示す。これによる
と、前記の形状的、寸法的特長が明確に認められる(テ
トラポット構造)。
ところで、テトラポット状ZnOウイスカーの針状結晶部
が、3軸、あるいは2軸、さらには1軸のものが混入す
る場合があるが、これは元来4軸の結晶の一部が折損し
たものである。また、ゴム、プラスチック、セラミック
等にこのテトラポット状ZnOウイスカーを混入すると混
合時にテトラポット構造がくずれて、単純な針状ウイス
カーに変化する場合が多い。
このテトラポット状ZnOウイスカーのX線回折図をとる
と、すべてZnOのピークを示し、また電子線回折の結果
も、転移、格子欠陥の少ない単結晶性を示した。また、
不純物の含有量も少なく、原子吸光分析の結果、ZnOが9
9.98%であった。
また、電磁エネルギーー熱変換効率の点から、針状結晶
部の長さが10μmより小さなウイスカーが大きな割合
(例えば95wt%以上)を占める系は好ましくない。好
ましくは、長さが50μm以上のウイスカーを3wt%以
上用いるのが望ましい。さらに望ましくは、長さが80
μm以上のZnOウイスカーを70wt%以上用いるのが好
ましい。また、ウイスカーアスペクト比は平均値で10
以上が望ましい。本発明で用いるウイスカーの抵抗値範
囲としては、圧粉状態(5kg/cm2)で10〜108Ω−
cmの範囲が可能であり、用途により使い分けるが、エネ
ルギー変換効率の高さと実用面から5×102〜3×1
6Ω−cmの範囲が望ましく、その上、特に生産工程と
生産コストを考慮に入れると104〜105Ω−cm(この
場合、ウイスカー単結晶の比抵抗は10Ω−cm前後と考
えられている。)の範囲が特に有効である。抵抗値は、
ウイスカー製造時の焼成条件や、環元焼成処理あるいは
他の元素(例えば、Al,Li,Cuなど)を適切な方法でド
ープすることにより変えることもできる。次に本発明の
発熱体は、種々の形態で用いられることができる。すな
わち、ZnOウイスカーの粉体状態、堆積物状態、焼結状
態、その他、樹脂、ゴム、セラミック、ガラス、塗料、
等への分散状態などにおいて用いられる。
粉体状態のZnOウイスカーは、セラミック、ガラス、樹
脂、ゴム、等の固体の容器に入れたり、それらの材料で
封じ込めて用いる他、水,油などの液体中や液体と併存
した形態で発熱体として用いられることができる。
また、ZnOウイスカーの堆積物状態とは、抄紙(紙す
き)法によるウイスカー紙や、湿式過法(真空過な
ど)によるZnOウイスカーの過堆積物などがある。こ
の場合、適切な有機や無機系のバインダを用いることが
あり、特に耐熱性に優れた無機系のバインダが良好な結
果をもたらすことができる。
さらに、ZnOウイスカー集合体を適切な圧力でプレスし
ながら、あるいはプレスした後で、適切な温度(500
〜1600℃)で焼結した焼結体を用いることができ
る。この場合、一般に用いられる焼結助剤を適当量用い
ると効果的である。プレス圧は、特に限定するものでな
いが1〜2000kg/cm2の範囲でプレスし、特に10〜5
00kg/cm2において良好な結果をもたらすことができ
る。
さらに、各種マトリックス中へZnOウイスカーを分散さ
せて発熱体を構成することができる。マトリックスとし
て用いる樹脂としては、耐熱性の高いスーパーエンジニ
アリングプラスチックから、汎用エンジニアリングプラ
スチックまで、用途により使い分ける。
具体的には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のいずれをも
用いることができる。
次に、熱硬化性樹脂では、エポキシ樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、メラミン−
ユリア樹脂、フェノール樹脂、等が適用できる。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニール、ポリ
エチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、
ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、
ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、A
BS樹脂、ポリスチレン、ポリブタジエン、メチルメタ
アクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、エ
チレン−酢ビ共重合体、ポリ酢酸ビニール、エチレン−
テトラフロロエチレン共重合体、芳香族ポリエステル、
ポリ弗化ビニール、ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニ
リデン、テフロン等が適用される。
マトリックスとして用いるゴム材料としては、天然ゴム
や合成ゴムが用いられるが特に耐熱性の優れたゴムが良
好な結果を与える。
そのため、シリコーンゴムが最も適し、次にアクリル系
ゴムが良い結果をもたらすことができる。その次に、ブ
タジエン系ゴムとイソブチレン系ゴム、ウレタン系ゴ
ム、イソシアナート系ゴムが優れ、用途によっては、ク
ロロプレン系ゴムや、ふっ素系ゴムも用いられることが
できる。
これらの樹脂やゴムは、ZnOウイスカーを混練、撹拌し
て分散させた後、成形や注型等の手法により発熱体を形
成する。
また、各種塗料材料中に分散し、塗料発熱体を構成する
ことができる。
さらには、各種無機質固体材料(粉状,繊維状,フレー
ク状,粒状,バルク状)を保持材としてZnOウイスカー
を分散させ発熱体を構成することができる。
具体的には、ほうろうやガラスや各種セラミック中に分
散した固体発熱体や、粘土粉、ガラス繊維、アスベス
ト、マイカ、砂等にZnOウイスカーを分散させて、発熱
粉体、発熱繊維集合体、などを構成することができる。
これらは分散状態で用いる系においては、電磁エネルギ
ーの大きさや、ZnOウイスカーの大きさ、マトリックツ
材料や保持材料の種類により変わるが、概略5wt%以上
分散させることにより発熱効果が十分現われ、10wt%
以上で顕著となる。
また、場合により、他の電磁エネルギー変換発熱体材料
(カーボン系、炭化けい素系、フェライト系、金属系)
と混合して用いたり、併用することも可能である。
次に本発明の発熱体を加熱する電磁波は、効率的に、効
果的に誘導加熱する限り、その周波数と強度を限定する
ものでなく、具体的には、高周波加熱炉や電子レンジ
(2.45GHz)、などにおいて有効に用いることでき
る。
(実施例1) 前記の方法で生成したZnOウイスカーは、基部から先端
までの長さが80〜150μm、基部の径が0.3〜2.5
μmに分布しており、大部分がテトラポット構造をして
いた。
このZnOウイスカーの一部を採取して平行平板電極(銀
メッキ、電極面積:2cm2)にはさみ、5kg/cm2でプレ
スしたところ、ZnOウイスカーの層厚は200μmとな
り、DC60V印加で300mA流れた。すなわち、5
kg/cm2のプレスで2×104Ω−cmの圧粉状態となる抵
抗値を持つZnOウイスカーであることがわかった。
このZnOウイスカーを蒸留水中に静かに撹拌しながら十
分に分散し、真空過して十分に水分を除き、30mm厚
の過堆積物を得、これを150℃/12時間の条件で
熱風乾燥した。その後、25mm立方の大きさに切り出
し、この試料を電子レンジ(松下電器産業(株)・NE
−M315,500W)に入れ、中央のアルミナセラミック板
上に設置し、電源を入れたところ、30秒後には試料が
赤熱し、完全な発熱体となっていることがわかった。こ
の試料を取り出すと、黄変しており、大気中で冷却され
ることにより、急に、元の白色に戻った。
(実施例2) 実施例1と同じZnOウイスカーを採取し、100kg/cm2
圧力でプレスし、直径2cm、厚さ5mmのペレット状試料
を得た。この試料を1350℃/6時間の条件で焼成し
焼結体を得た。冷却したのち、実施例1と同じ電子レン
ジを用いて、中央のアルミナセラミック板上に置いて、
スイッチを入れ、1分後出したところ、試料は黄変し、
300℃以上発熱していることを示し、大気中で冷却す
るに従って白色に戻った。一方、試料の下のアルミナセ
ラミック板は、手でさわってやや温かみを感じる程度の
加熱状態であり、この焼結体が明らかに完全な発熱体に
なっていることがわかった。
(実施例3) 実施例1と同様の方法で生成したZnOウイスカーは、基
部から先端までの長さが50〜100μmで、基部の径
が、0.2〜0.8μmに分布しており、大部分がテトラポ
ット構造をしていた。このウイスカーをポリプロピレン
樹脂中に混練し(21.5wt%)、射出成形にて、厚さ3m
m(10cm角)の板状試料を得た。この試料を実施例1
と同じ電子レンジ中で20秒間、電波にさらしたとこ
ろ、試料表面は72℃になった。一方、比較のためにZn
Oウイスカーを混入しない同一形状のポリプロピレン板
の表面温度は33℃であった。
(実施例4) 第1表に示す各種粉体をそれぞれ100ccのビーカに、
100ccだけ採取し(特に圧縮しない)、実施例1と同
じ電子レンジ中で1分間電波にさらしたところ、大きさ
の大きなZnOウイスカーにおいて発熱が特に大きいこと
がわかった。温度測定は、ビーカを電子レンジから出し
た直後に、ビーカ中央に留点温度計(直径7mm)を挿入
し、目盛を読んだものである。
発明の効果 現在では、電子レンジが各家庭に普及し、また高周波加
熱の技術も至るところに適用されている。その様な状況
の下で、各種目的のため高効率な電磁エネルギー変換発
熱材が強く求められてきた。また将来的にも、エネルギ
ーの電波移送を実現するためにも超高効率な電磁エネル
ギー変換発熱材が不可欠となる。この意味で本発明は、
極めて適用範囲が広く、その産業性は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明の電磁エネルギー変換発熱
材に用いるZnOウイスカーの結晶構造を示す電子顕微鏡
写真である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化亜鉛ウイスカーを発熱剤とした電磁エ
    ネルギー変換発熱材。
  2. 【請求項2】酸化亜鉛ウイスカーの基部から先端までの
    長さが10μm以上である請求項1記載の電磁エネルギ
    ー変換発熱材。
  3. 【請求項3】酸化亜鉛ウイスカーが、核部とこの核部か
    ら異なる複数軸方向に伸びた針状結晶部を具備した酸化
    亜鉛ウイスカーである請求項1または2記載の電磁エネ
    ルギー変換発熱材。
  4. 【請求項4】複数軸方向の軸数が4なる酸化亜鉛ウイス
    カーである請求項3記載の電磁エネルギー変換発熱材。
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