JP4962905B2 - パーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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Description
このCo基焼結合金スパッタリングターゲットは、通常、二酸化珪素粉末、Cr粉末、Pt粉末およびCo粉末を、二酸化珪素:2〜15モル%、Cr:3〜20モル%、Pt:5〜30モル%を含有し、残部:Co粉末からなる配合組成となるように混合したのち、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスなどの方法で加圧焼結することにより作製されることが知られており、前記二酸化珪素粉末として高温火炎加水分解法で製造された二酸化珪素粉末を使用し、ターゲットの素地中に分散する二酸化珪素相を10μm以下の極めて細かい組織とすることによってパーティクルの発生を少なくしている(特許文献1、特許文献2などを参照)。
さらに、このグラニュラ磁気記録膜を形成するためのCo基焼結合金スパッタリングターゲットには、二酸化珪素(SiO2)粉末に換えてTiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末の内の1種または2種以上の酸化物粉末を使用することができ、これら酸化物粉末を使用したCo基焼結合金スパッタリングターゲットによる磁気記録膜の研究も進められている(特許文献3、特許文献4などを参照)。
「富士時報」Vol.75No.3 2002(169〜172ページ)
(イ)原料粉末としてTiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末などの酸化物粉末をそのまま添加してCr粉末、Pt粉末、Co粉末並びにCr、PtおよびCoのうちのいずれか2種以上を含む合金粉末とともにCr:5〜20モル%、Pt:5〜25モル%、酸化物:2〜15モル%を含有し、残部:Co粉末からなる配合組成となるように混合したのち、加圧焼結することにより得られた磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットよりも、
TiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末などの酸化物粉末の表面を二酸化珪素(SiO2)層で被覆してなる酸化物粉末(以下、被覆酸化物粉末という)を添加して、Cr:5〜20モル%、Pt:5〜25モル%、並びにTiO2、Ta2O5、Al2O3、MgO、ZrO2、Y2O3の内のいずれか1種の酸化物およびSiO2の合計:2〜15モル%を含有し、残部:Coからなる組成となるように配合し混合したのち、加圧焼結することにより得られた磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの方がスパッタリングに際してパーティクルの発生が一層少なくなる、
(ロ)前記被覆酸化物粉末は、TiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末の内のいずれか1種の酸化物粉末に対して1〜20体積%の二酸化珪素(SiO2)層により被覆してなる被覆酸化物粉末であることが好ましい、などの知見を得たのである。
(1)Cr粉末、Pt粉末、Co粉末、Cr、PtおよびCoのうちのいずれか2種以上を含む合金粉末、並びにTiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末の内のいずれか1種の酸化物粉末の表面をSiO2層で被覆した酸化物粉末(以下、被覆酸化物粉末という)を、
Cr:5〜20モル%、Pt:5〜25モル%、TiO2、Ta2O5、Al2O3、MgO、ZrO2、Y2O3の内のいずれか1種の酸化物とSiO2の合計:2〜15モル%を含有し、残部:Coからなる組成となるように配合し混合したのち、加圧焼結するパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法、
(2)前記被覆酸化物粉末は、TiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末の内のいずれか1種の酸化物粉末に対して1〜20体積%のSiO2層により被覆してなる被覆酸化物粉末である前記(1)記載のパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法、に特徴を有するものである。
また、主体となるTiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末などの酸化物粉末の平均粒径は1〜5μmが好ましい。その理由は、酸化物粉末の平均粒径が1μmより小さいと表面をコーティングするために必要なSiO2量が増加するので主体となる酸化物に対するSiO2量が多くなりすぎ、膜の磁気特性が低下するために好ましくないからである。一方、酸化物粉末の平均粒径が5μmを越えるとパーティクルの発生が増加するので好ましくないからである。
表1に示される被覆酸化物粉末A〜H、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末および合金粉末を表2に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1100℃、圧力:20MPa、5時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより表2に示される成分組成を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して直径:200mm、厚さ:5mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法1〜7および比較法1を実施した。
到達真空度:5×10−5Pa以下、
電力:直流800W、
Arガス圧:6.0Pa、
ターゲット基板間距離:60mm、
基板加熱:なし、
の条件で5時間プレスパッタを行い、ターゲット表面加工層を除去したのち、一旦チャンバーを大気開放して、防着板などのチャンバー部材の清掃を行った。その後、再び上記真空度に達するまで真空引きを行い、真空引き後、30分のプレスパッタを行ってターゲット表面の大気吸着成分や金属酸化層の除去を行ったのち、4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜した。同じ条件で合計25枚の4インチSiウエハ上に厚さ:100nmの磁気記録膜を成膜し、成膜後のウエハについて市販の異物検査装置によりウエハ表面に付着した0.5μm以上のパーティクル数を計測し、25枚の平均値を算出し、その結果を表2に示した。
表1に示される被覆酸化物粉末I〜P、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末および合金粉末を表3に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1100℃、圧力:20MPa、5時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより表3に示される成分組成を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して直径:200mm、厚さ:5mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法8〜14および比較法2を実施した。
表1に示される被覆酸化物粉末Q〜X、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末および合金粉末を表4に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1100℃、圧力:20MPa、5時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより表4に示される成分組成を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して直径:200mm、厚さ:5mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法15〜21および比較法3を実施した。
表1に示される被覆酸化物粉末Y〜f、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末および合金粉末を表5に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1100℃、圧力:20MPa、5時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより表5に示される成分組成を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して直径:200mm、厚さ:5mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法22〜28および比較法4を実施した。
表1に示される被覆酸化物粉末g〜n、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末および合金粉末を表6に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1100℃、圧力:20MPa、5時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより表6に示される成分組成を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して直径:200mm、厚さ:5mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法29〜35および比較法5を実施した。
表1に示される被覆酸化物粉末o〜v、Co粉末、Cr粉末、Pt粉末および合金粉末を表7に示される配合組成となるように配合し、得られた配合粉末を粉砕媒体となるジルコニアボールと共に10リットルの容器に投入し、この容器内の雰囲気をArガス雰囲気中で置換し、その後、容器を密閉した。この容器をボールミルで16時間回転させ、混合粉末を作製した。得られた混合粉末を真空ホットプレス装置に充填し、真空雰囲気中、温度:1100℃、圧力:20MPa、5時間保持の条件で真空ホットプレスすることにより表7に示される成分組成を有するホットプレス体を作製し、このホットプレス体を切削加工して直径:200mm、厚さ:5mmの寸法を有するターゲットを作製することにより本発明法36〜42および比較法6を実施した。
Claims (3)
- Cr粉末、Pt粉末、Co粉末、Cr、PtおよびCoのうちのいずれか2種以上を含む合金粉末、並びにTiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末の内のいずれか1種の酸化物粉末の表面をSiO2層で被覆した酸化物粉末(以下、被覆酸化物粉末という)を、
Cr:5〜20モル%、Pt:5〜25モル%、TiO2、Ta2O5、Al2O3、MgO、ZrO2、Y2O3の内のいずれか1種の酸化物とSiO2の合計:2〜15モル%を含有し、残部:Coからなる組成となるように配合し混合したのち、加圧焼結することを特徴とするパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法。 - 前記被覆酸化物粉末は、TiO2粉末、Ta2O5粉末、Al2O3粉末、MgO粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末の内のいずれか1種の酸化物粉末に対して1〜20体積%のSiO2層により被覆してなる被覆酸化物粉末であることを特徴とする請求項1記載のパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記加圧焼結は、ホットプレスまたは熱間静水圧プレスであることを特徴とする請求項1または2記載のパーティクル発生の少ない磁気記録膜形成用Co基焼結合金スパッタリングターゲットの製造方法。
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