JP4155457B2 - 複合粒子の製造方法及び複合誘電体材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属又は合金からなるコアと、このコアの周囲を被覆する誘電体材料からなるコート層とからなる複合粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、誘電体材料として、セラミックス系誘電体材料、有機高分子系誘電体材料、セラミックス誘電体材料粉末と有機高分子材料とからなる複合誘電体材料が知られている。
セラミックス系誘電体材料は、各種セラミックス誘電体材料を所望の割合で混合し、仮焼き、成形、焼成の一連の工程を経て製造される。また、有機高分子系誘電体材料は、フィルムとして用いられることが多く、材質としては熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などがある。複合誘電体材料は、有機高分子材料中にセラミックス誘電体材料粉末を均一に分散したものである。この中で、複合誘電体材料は、高周波電子部品材料としてのモールド材、キャスティング材、印刷ペースト等の塗料、圧粉成形材料、プリプレグあるいは基板として用いられている。
【0003】
複合誘電体材料の特性は、複合される誘電体材料粉末の特性が大きく反映されているため、その材料の選択は極めて重要である。この誘電体材料としては、これまでに球状又は不定形の誘電体セラミックス粉末のほかに、金属や半導体の表面に誘電体からなるコート層あるいは絶縁体層を形成した被覆型粒子が知られている。
特に、酸化物からなるコート層を有する粒子の作製方法として、特公平7−107802号公報では、半導体セラミックス粒子を再酸化することで表面に絶縁層を形成する方法を開示している。また、特開2000−178602号公報では、Ni粒子表面にNiを含むスピネル層を有し、さらにその上に金属酸化物層を形成する方法が開示されている。さらに、特開2001−303102号公報では、噴霧熱分解法によりほぼ球形の金属粒子の表面に誘電体層を被覆する方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−107802号公報
【特許文献2】
特開2000−178602号公報
【特許文献3】
特開2001−303102号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、以上説明した特公平7−107802号公報、特開2000−178602号公報及び特開2001−303102号公報に開示された方法では、以下のような制約があった。つまり、コート層を構成する材料あるいはコアを構成する材料に選択性を有していない、コート層の厚さを制御できない、あるいは作製される粒子の粒径を制御することができない。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、コート層及びコアを構成する材料を任意に選択することができる複合粒子の製造方法の提供を課題とする。また本発明は、コート層の厚さを制御することのできる複合粒子の製造方法の提供を課題とする。さらに本発明は、作製される複合粒子の粒径を制御することができる複合粒子の製造方法の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、顆粒粉を用いることを検討した。つまり、コアを構成するための金属又は金属酸化物からなるコア生成粒子とコート層を構成するための誘電体材料からなるコート生成粒子とを含む顆粒粉を用い、この顆粒粉を所定温度に加熱することにより、コア生成粒子を溶融させて一体の球状溶融物を生成し、その周囲にコート生成粒子を配列させるのである。この際、コア生成粒子とコート生成粒子は、任意の材質を選択することができるため、得られる複合粒子のコアとコート層は任意の材質とすることができる。また、コア生成粒子とコート生成粒子との量比によってコート層の厚さを制御することができる。さらに、顆粒粉の粒径を制御することにより、得られる複合粒子の粒径を制御することができる。したがって、得られる複合粒子の電気特性を制御することができることになり、ひいては複合誘電体材料の電気特性を制御できる。
【0008】
本発明は以上の技術事項に基づくものであり、金属からなる球状のコアと、コアの表面を被覆するセラミックス誘電体材料からなるコート層とを備えた複合粒子の製造方法を提供する。この製造方法は、コアを生成するコア生成粒子とコート層を生成するコート生成粒子とを含む顆粒粉を用意し、コア生成粒子を構成する金属の融点以上に加熱してコア生成粒子を溶融させて球状溶融物を生成させた後に冷却することを特徴としている。この加熱は、コート生成粒子を溶融させない温度で行なわれることが望ましい。
【0009】
本発明の複合粒子の製造方法において、コア生成粒子は、金属又は金属酸化物から構成することができる。ここで、金属は合金を含む概念を有している。また、金属酸化物は、コアを構成する金属の酸化物をいう。例えば、コアがNiからなる場合、NiOが金属酸化物となる。
また本発明の複合粒子の製造方法において、コア生成粒子が金属酸化物からなる場合に、顆粒粉の加熱過程を還元雰囲気下で行なうことにより、金属酸化物を当該金属に還元することができる。
本発明において、顆粒粉は、コア生成粒子とコート生成粒子とを含むスラリーをスプレー・ドライヤにより噴霧して液滴を生成しかつ液体成分を乾燥することにより得ることができる。スプレー・ドライヤからのスラリーの噴霧条件を制御することにより、顆粒粉の粒径を制御することができる。これが、スプレー・ドライヤ、換言すれば本発明で顆粒粉を用いる利点の1つである。
【0010】
本発明におけるコート層は結晶質の誘電体材料からなることが望ましい。
本発明における複合粒子は平均粒径が0.5〜50.0μmであり、コート層の平均厚さが0.1〜5.0μmであることが望ましい。
【0011】
本発明はまた、金属又は金属酸化物からなる第1の粒子と、誘電体材料からなる第2の粒子とが互いに結着した球状の複合体を取得し、この複合体をキャリアガスとともに所定の加熱処理領域に供給して、金属又は金属酸化物からなる球状溶融物とその周囲に誘電体材料が配列された生成物を生成し、この生成物を所定の冷却領域に供給して、金属又は金属酸化物を還元してなる金属からなるコアと、このコアの表面を覆う誘電体材料からなるコート層とを備えた粒子を生成することを特徴とする複合粒子の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の複合粒子の製造方法において、加熱処理領域に供給された第2の粒子は、固体状態を維持する。つまり、加熱領域において、第1の粒子は溶融させるが、第2の粒子は溶融させない。第2の粒子を溶融された第1の粒子の外周に位置させるためである。
【0013】
本発明の複合粒子の製造方法において、複合体は、複数の第1の粒子と、複数の第2の粒子とが混在したものとすることができる。典型的な顆粒粉の形態である。この形態は、第1の粒子の粒径と第2の粒子の粒径との差が比較的小さい場合に成立する。また、複合体は上記の形態のほかに、第1の粒子の周囲に複数の第2の粒子が覆うように配列された形態をも包含している。この形態は、第1の粒子の粒径が第2の粒子の粒径に比べて相当程度大きな場合に成立する。この形態は、第1の粒子が最終的に得られる複合粒子のコアと同等の粒径を有することになる。
ただし、以上の2つの形態はあくまで本発明の一例にすぎず、第1の粒子及び第2の粒子の粒径は、最終的に得られる複合粒子の粒径に適合する限り、任意に設定することができる。
【0014】
本発明により得られる複合粒子は、複合誘電体材料に用いることができる。したがって本発明は、金属又は金属酸化物からなる第1の粒子と、誘電体材料からなる第2の粒子とが互いに結着した球状の複合体を取得し、この複合体をキャリアガスとともに所定の加熱処理領域に供給して、金属又は金属酸化物からなる球状溶融物とその周囲に誘電体材料が配列された生成物を生成し、この生成物を所定の冷却領域に供給して、金属又は金属酸化物を還元してなる金属からなるコアと、コアの表面を覆う誘電体材料からなるコート層とを備えた複合粒子を生成し、この複合粒子を有機高分子材料と混合することを特徴とする複合誘電体材料の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<複合粒子の構成>
本発明によって得られる複合粒子は、金属(合金を含む概念である)からなるコアと、このコアの周囲を被覆する誘電体材料からなるコート層とからなる。
コアを構成する金属としては、Ag、Ni、Cu、Au、Pt、Pd、Fe及びAlから選択することができるし、これら金属の合金あるいはこれら金属と他の金属との合金とすることができる。
【0016】
コアを構成する金属の選定基準を、複合粒子をコンデンサに用いることを前提とすると、当該金属が導体として有効に機能するか否かが問題となる。また、誘電体材料が当該金属粒子に固着し、形成されたコート層が誘電体層として有効に機能できるかが問題となる。
コアを構成する金属の抵抗が高いと損失が大きくなり、品質係数(Q値)の向上が図れなくなる。具体的には、比抵抗が小さいほうがよく、1つの基準として50×10-6Ω・cm以下が望ましい。
後述する本発明により複合粒子を製造するためには、コアを構成するための金属の融点が、コート層を形成する誘電体材料の融点よりも低いことが望ましく、かつコアを構成するための金属の沸点が、コート層を形成する誘電体材料の融点よりも高いことが望ましい。ただし、同種類の金属であっても粒子の大小によって、実際に溶融する温度が変わり得る。つまり、粒子が小さいほど溶融する温度が低くなる。したがって、本発明の複合粒子を製造する場合には、表1に示す融点、沸点のみならず、この点をも考慮することが望ましい。
【0017】
表1に代表的な金属の比抵抗、融点及び沸点を示す。典型的な誘電体材料であるBaTiO3の融点を表1にあわせて示している。例えばコート層を形成する誘電体材料として、BaTiO3を選択した場合、Mo、Wは融点がBaTiO3の融点より著しく高いため、これを選択することはできない。また、Mg、Zn、Cdの沸点は、BaTiO3の融点より低いのでこれも選択することができない。このようにコート層を形成する誘電体材料として、BaTiO3を選択した場合、コアを形成する金属としては、Ag、Cu、Au、Al、Co、Ni、Fe、Pd、Snとなり、その中で好ましいのは、Ag、Cu、Al、Ni、Pdとなる。なお、金属酸化物をコア生成粒子として用いる場合には、その金属酸化物が金属に還元される温度が、コート層を形成する誘電体材料の融点よりも低くかつ還元されてなる金属の融点もコート層を形成する誘電体材料の融点より低いことが望まれる。
【0018】
【表1】
【0019】
コート層を構成する誘電体材料としては、Ti−Ba−Nd系、Pb−Ca系、Na−Bi−Ti系、K−Bi−Ti系、Sr−Bi−Ti系、La−Bi−Ti系、V−Bi−Ti系、Ba−Bi−Ti系、Ba−Nd−Ti−Bi−Mn系、Pb−Bi−Ti系、Pb−Bi−Nb系、Ti−Ba−Sn系、Ti−Ba−Sr系、Ti−Ba−Zr系、Pb−Ba−Nb系、Bi−La−Ti−V系、Bi−Nd−Ti−V系、Pb−Zn−Nb−Ti系等の酸化物セラミックスの1種又は2種以上を用いることができる。
また、酸化チタン系、チタン酸バリウム系、チタン酸鉛系、ジルコニウムチタン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、亜鉛ニオブ酸鉛系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、酸化アルミニウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、BaTiO3−SiO2系、BaO−SiO2系、MgO−SiO2系、MgO−CaO−TiO2系、(Mg,Ca)TiO2−La2O3系、Pb(Mg,Nb)O3−PbTiO3系、KNbO3系、LiNbO3系、CaWO3系、Ba(Mg,Nb)O3系、Ba(Mg,Ta)O3系、Ba(Co,Mg,Nb)O3系、Ba(Co,Mg,Ta)O3系等のセラミックスの1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
以上の構成による複合粒子は、その平均粒径を0.5〜50.0μmとすることができる。望ましい平均粒径は1.0〜10.0μm、さらに望ましくは1.0〜5.0μmである。なお、複合粒子は、有機高分子材料との混合において、高い充填率を確保するために球状であることが大切である。
コート層は、その誘電体特性を確保するために、結晶質であることが望ましい。複合粒子を誘電体として用いるとともに、絶縁性を確保する上で、本発明におけるコート層の平均厚さは0.1〜5.0μmとすることが望ましい。さらに望ましいコート層の平均厚さは0.1〜2.0μm、またさらに望ましくは0.1〜1.0μmである。特に、コート層の厚さが平均で5.0μmを超えると、均一なコートがされにくく、場合によっては誘電体材料のみからなる単一の粒子を形成するおそれがある。さらに、厚いコート層を形成するためには誘電体材料を溶融させるために多くの熱が必要となる。
【0021】
<顆粒粉>
本発明において加熱処理の対象となる顆粒粉について説明する。
本発明における顆粒粉は、コア生成粒子及びコート生成粒子とから構成される。
コア生成粒子としては、上述したコアを構成する金属(合金を含む)、又は当該金属を生成することのできる酸化物からなる。例えば、コアを純金属から構成する場合は、純金属又は還元されることにより当該純金属となる酸化物をコア生成粒子とすればよい。具体的には、コアをAgとしたい場合にはAg2Oをコア生成粒子とすることができる。また、コアをNiとしたい場合にはNiOをコア生成粒子とすることができる。さらに、コアをCuとしたい場合には、CuOをコア生成粒子とすることができる。また、コアを合金から構成する場合には、当該合金から構成されるコア生成粒子とする以外に以下の方法を選択することができる。例えば、合金が金属A及び金属Bからなる場合には、金属Aから構成されるコア生成粒子及び金属Bから構成されるコア生成粒子を用意し、これを溶融して合金化することができる。また、同様の例において、還元されることにより金属Aとなる酸化物及び還元されることにより金属Bとなる酸化物をコア生成粒子として用意し、両コア生成粒子を還元した後に溶融して合金化することができる。さらに、同様の例において、金属A及び金属Bを含む複合酸化物をコア生成粒子として用意し、この酸化物を還元した後に溶融して合金化することができる。
コート生成粒子としては、上述したセラミックス誘電体材料からなる粒子を用いることができる。
【0022】
コア生成粒子及びコート生成粒子の粒径は、得たい複合粒子のサイズ、コート層の厚さ等に応じて適宜定めればよいが、各々、0.01〜12.0μm、0.01〜2.0μmの範囲とする。
コア生成粒子及びコート生成粒子は、通常、得たい複合粒子に比べて十分に小さい粒径とする。したがって、本発明による顆粒粉は、通常、複数のコア生成粒子と複数のコート生成粒子が互いに結着した複合体を構成している。しかし、本発明はこの形態に限らず、1つのコア生成粒子と複数のコート生成粒子とから複合体を構成することもできる。例えば、得たい複合粒子に近似する粒径を有するコア生成粒子の周囲に、コア生成粒子よりも十分に小さいコート生成粒子が結着した形態でもよい。本発明では、この形態をも顆粒粉の概念に含めることにする。
【0023】
顆粒粉の粒径は、得たい複合粒子の粒径に応じて適宜定める。複合粒子の粒径は顆粒粉の粒径に起因するからである。換言すれば、顆粒粉の粒径を制御することにより、複合粒子の粒径を制御する。
本発明者等は、顆粒粉の粒径と本発明にしたがって得られた複合粒子の粒径の関係について調査した。その結果を表2に示すが、複合粒子の粒径が顆粒粉の粒径に対応して変化することがわかる。
【0024】
【表2】
【0025】
顆粒粉を構成するコア生成粒子とコート生成粒子との量比は、複合粒子のコート層の厚さに影響を与える。具体的には、コート生成粒子の量比が多くなればコート層の厚さが厚くなる。
コア生成粒子としてNi粉末を、コート生成粒子としてBaTiO3を用い、かつその量比を変えた顆粒粉を用意して、本発明により複合粒子を作製して、そのコート層の厚さを測定した。その結果を表3〜表6に示すが、コート生成粒子の量を多くすればコート層の厚さを厚くできる、つまりコート層の厚さをコア生成粒子とコート生成粒子の量比を変えることにより制御できることがわかる。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
本発明の複合粒子の製造方法は、以上で説明した顆粒粉を製造する工程、及び得られた顆粒粉に所定の加熱処理を施す工程を基本的な工程として備えている。以下、この工程を順次に説明する。
【0031】
<顆粒粉の製造方法>
本発明による顆粒粉はスプレー・ドライヤを用いて作製することができる。そのために、コア生成粒子及びコート生成粒子を含むスラリーを作製する。スラリーは、コア生成粒子及びコート生成粒子を溶媒に適量添加した後に、ボールミル等の混合機を用いて混合することにより得ることができる。溶媒としては水を用いることができるが、コア生成粒子及びコート生成粒子の分散性を向上するために分散剤を添加することが推奨される。コア生成粒子及びコート生成粒子同士を結着するための結着剤、例えばPVA(ポリビニルアルコール)を添加することもできる。
【0032】
本発明は、以上のスラリーをスプレー・ドライヤにより噴霧して液滴を生成する。ここで、スプレー・ドライヤとしてはスプレー・ノズルを用いることが望ましい。スプレー・ノズルは、上記のスラリーと圧縮気体とを噴霧するためのものであり、2流体ノズル、あるいは4流体ノズルを用いることができる。圧縮気体とともにスプレー・ノズルから吐出されたスラリーは微粒化されて噴霧を形成する。噴霧中の液滴の粒径は、スラリーと圧縮気体との比率により制御することができる。液滴の粒径を制御することにより、ここで得られる顆粒粉の粒径を制御することができる。噴霧状態のスラリーが自由落下する過程で水分を乾燥するための熱を与えることにより、液体成分を乾燥、除去した顆粒粉を得ることができる。この熱は、スプレー・ノズルから吐出する気体を加熱気体とする、あるいは噴霧雰囲気に加熱気体を供給することにより与えることができる。乾燥のためには、100℃以上の加熱気体を用いればよい。スプレー・ノズルによる噴霧及び乾燥の工程は、所定のチャンバー内で行われる。スプレー・ノズルを用いた噴霧乾燥法により得られる粉体は、通常、顆粒粉である。この顆粒粉の粒径は、スラリーと圧縮気体との比率によって制御することができる。また、スラリー濃度によっても制御することが可能である。スラリー同士を衝突させることにより小さな液滴を作製することもできる。
【0033】
<複合粒子の製造工程>
図1は、本発明による複合粒子の製造装置1の概略構成を示している。
製造装置1は、原料供給器2と、加熱炉3と、捕集器6とから構成されている。
原料供給器2には、上述のようにして得られた顆粒粉が収容されている。原料供給器2には、メインキャリアガス(図中、MCG)が供給され、この原料供給器2に収容されている顆粒粉がメインキャリアガスとともに加熱炉3に向けて搬送される。
加熱炉3には、顆粒粉を含むメインキャリアガスの他に、メインキャリアガスの周囲を覆うようにサブキャリアガス(図中、SCG)が供給される。サブキャリアガスは、炉内のガスの流れを一定方向に流れるようにコントロールする目的で供給されている。
メインキャリアガス及びサブキャリアガスとしては、N2、H2、He、Ne、Ar、Kr及びXeのいずれか又はこれらの混合ガスを用いることができる。この中で、コア生成粒子として金属(合金を含む)を用いる場合にはN2、Arといった不活性ガスをメインキャリアガス及びサブキャリアガスとして用いるのが望ましい。また、コア生成粒子として酸化物を用いる場合には、H2のような還元ガスをメインキャリアガス及びサブキャリアガスを用いる必要がある。
【0034】
メインキャリアガス及びサブキャリアガス(以下、キャリアガスと総称することがある)とともに加熱炉3内に供給された顆粒粉は加熱炉3に設けられた加熱領域4にて加熱処理される。なお、加熱方式はヒータのほか、ガスの燃焼熱による加熱及び高周波加熱等の公知の方式を採用することができる。
加熱炉3の加熱領域4内において、顆粒粉は、コア生成粒子を構成する金属の融点以上であって、かつ望ましくはコート生成粒子を構成する誘電体材料の融点+100℃以下、さらに望ましくは融点+50℃以下の温度に加熱される。また、コア生成粒子が酸化物である場合には、当該酸化物が還元されうる温度以上の温度に加熱して還元した後に、上記と同様の温度に加熱される。この加熱処理による顆粒粉の状態の変化については後述する。
【0035】
加熱処理により得られた生成物(複合粒子)は、キャリアガスとともに加熱炉3の冷却領域5に移行される。冷却領域5には、冷却ガス(図中、CG)を供給する。冷却ガスとしては、キャリアガスと同様のガスあるいはエア(air)を用いることができる。生成物の冷却は、加熱炉3に冷却領域5を一体的に設けるほか、キャリアガスとともに大気中に排出することもできる。
【0036】
冷却領域5において冷却された生成物(複合粒子)は、捕集器6に排出される。捕集器6内にはフィルタが配設されており、このフィルタによって生成物(複合粒子)を捕集する。一方、キャリアガスは、捕集器6に連設された図示しない真空ポンプによって排気される。
【0037】
次に、加熱領域4及び冷却領域5における顆粒粉の状態の変化を図2に基づいて説明する。なお、コア生成粒子が金属である例について説明する。
図2において、顆粒粉は、キャリアガスとともに加熱炉3内の加熱領域4に供給される。ここで、加熱領域4における加熱炉3の設定温度をT、コア生成粒子を構成する金属の融点をT1、コート生成粒子の融点をT2とすると、T≧(T1,T2)、望ましくはT2+100℃≧T≧T1、さらに望ましくはT2+50℃≧T≧T1となるように加熱領域4を加熱する。加熱温度がTに管理された加熱領域4に顆粒粉を供給すると、顆粒粉を構成する複数のコア生成粒子が溶融する。溶融した複数のコア生成粒子は、一体となって新たな溶融粒子を形成する。この過程で、未溶融状態にあるコート生成粒子の中で、顆粒粉の内部に位置していたコート生成粒子は、新たな溶融粒子の周囲に吐き出される。したがって、全体として、新たな溶融粒子の周囲にコート生成粒子が付着した形態をなす。また、このとき、新たな溶融粒子はエネルギーがもっとも安定な球状をなすことになる。このように、コア生成粒子は、溶融するので、単結晶になりやすい。コアが単結晶になると、コアを形成する金属は再酸化されにくくなる。
【0038】
新たな溶融粒子の周囲にコート生成粒子が付着した形態の生成物は、冷却領域5に搬送される。冷却領域5において、前記生成物は所定の速度で冷却されるが、生成物の中で溶融状態にあったコア生成粒子は凝固してコアを形成する。このコアを単結晶とすることができる。また、コアの周囲には、コート生成粒子からなるコート層が形成される。コート層を構成するコート生成粒子は、一連の過程で溶融することがないため、当初に結晶質であればその固体状態を維持して結晶質のコート層を形成することができる。
このようにして得られた球状の複合粒子7は、図3(a)に示すよう金属からなるコア8と、コア8の周囲に配設され誘電体材料からなるコート層9とから構成される。
【0039】
<複合誘電体材料>
以上のようにして得られた複合粒子を、図3(b)に示すように、混合・分散機等を使用して有機高分子材料11中に分散、混合することにより、複合誘電体材料10を得ることができる。
有機高分子材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム等を用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、メラミン樹脂、シアネートエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、液晶ポリマー、フッ素系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ユリア樹脂、ナイロン、シリコーンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴムのうち少なくとも1種以上のものを単独又は複合で使用することができる。
【0040】
比誘電率を確保するために、複合誘電体材料10中に複合粒子を50.0vol%以上添加することが望ましい。一方、90.0vol%を超える添加量では複合粒子の良好な分散状態を確保することができなくなる、したがって、複合粒子は、複合誘電体材料10の50.0〜90.0vol%の範囲を占めるように添加することが望ましい。なお、複合粒子の添加量が多くなると各複合粒子同士の距離が短くなるが、複合粒子同士が接触しても良い。
図3(c)に示すように、複合誘電体材料10の表裏両面に電極13を固着することによりコンデンサ12を構成することができる。
【0041】
【実施例】
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
下記に示すコア生成粒子及びコート生成粒子(両者をあわせて粉体)に対して、下記に示す分散剤を粉体全重量に対して10.0wt%、結合剤としてのポリビニルアルコールを粉体全重量に対して7.0wt%添加するとともに、粉体の濃度が50.0wt%になるように水を加えた後に、ボールミル(ジルコニアボール使用)で12時間撹拌して水分散スラリーを作製した。なお、Niの融点は1455℃、BaTiO3の融点は1610℃である。
コア生成粒子:Ni粉末(川鉄鉱業(株)製 NFP201S(平均粒径0.2μm))…85.0wt%
コート生成粒子:BaTiO3粉末(堺化学(株)製 BT−01(平均粒径0.1μm))…15.0wt%
分散剤:東亞合成社製A−30SL…10.0wt%
コート生成粒子として用いたBaTiO3粉末(堺化学(株)製 BT−01)をX線回折装置(XRD)で測定した結果を図14に示す。コート生成粒子として用いたBaTiO3粉末は、結晶質のBaTiO3から構成されていることが確認できた。
【0042】
以上により得たスラリーを原料として、スプレー・ドライヤ(藤崎電機(株):MDL−050)を用いて顆粒粉を作製した。具体的には、送液ポンプによりスラリーをスプレー・ドライヤ中に導入する。このスラリーは、下記4流体ノズルから下記ガス流量にてスプレー・ドライヤ内部に噴霧する。スプレー・ドライヤ内部は200℃に保持されており、乾燥された顆粒粉を得ることができる。
噴霧ノズル:4流体ノズル(藤崎電機(株):SF4003)
ガス(空気)流量:80.0l/min
送液ポンプ速度:40.0l/min
スプレー・ドライヤ内部温度:200℃
【0043】
得られた顆粒粉の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図4に示す。Ni粒子とBaTiO3粒子とが互いに結着かつ混在していることがわかる。また、得られた顆粒粉の平均粒径は4.0μmであるが、この顆粒粉の粒径はスラリー中の粉体の濃度により調整することができる。
【0044】
図1に示した装置を用いて上記顆粒粉から複合粒子を作製した。なお、粒子作製の条件は下記の通りであり、その平均粒径は3.0μmである。
メインキャリアガス:N2(4.0l/min)
サブキャリアガス:N2(3.0l/min)
冷却ガス:N2(10.0l/min)
炉内の真空度:−2kPa
炉内加熱設定温度:1500℃、1550℃、1600℃、1650℃、1710℃、1750℃
【0045】
以上の条件で得られた粒子を観察したところ、1500℃、1550℃、1600℃、1650℃、1710℃の加熱設定温度のものは、Niからなるコアと、このコアを被覆するBaTiO3からなるコート層とからなる複合粒子が生成されていることを確認した。また、コート層の平均厚さは0.3μmであることがわかった。1750℃の炉内加熱設定温度のものは、粒子表面が溶融しており、粒子同士が付着している状態であった。具体的な例を以下に示す。
図5は、加熱設定温度を1650℃として得られた粒子のSEM像であり、図5(a)及び図5(b)は粒子の外観を、また図5(c)は粒子の断面を示している。図5から上記粒子は、コアとコート層とからなる複合粒子であることがわかる。また、コート層はコアの表面全体を被覆している。
図6(a)は上記複合粒子のSEM像であり、図6(b)、図6(c)及び図6(d)は、図6(a)に示す複合粒子のBa元素、Ni元素及びO元素の分布をエネルギー分散型X線分析装置(EDS)で分析した結果を示している。図6(b)及び図6(d)に示すように、Ba元素及びO元素が複合粒子の周囲に存在している。また、図6(c)に示すように、Ni元素は複合粒子の内部に存在している。したがって、複合粒子のコアはNiから構成され、コート層がBaTiO3から構成されることがわかる。
【0046】
実施例1で炉内加熱設定温度を1650℃として得られた複合粒子をX線回折装置(XRD)で測定した結果を図7に示す。BaTiO3を示すピークが観察されており、コート層が結晶質のBaTiO3から構成されることが確認できた。また、コアは、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察結果よりNiの単結晶であることがわかった。同様にして炉内加熱設定温度が1750℃のものもX線回折装置で測定したが、BaTiO3の結晶性は確認できなかった。
【0047】
(実施例2)
Ni粉末の量を76.8wt%、BaTiO3粉末の量を23.2wt%とした以外は実施例1と同様にして、粒子を作製した。
得られた粒子をSEM、EDS及びXRDにて観察したところ、実施例1と同様に、Niからなるコアと、このコアを被覆するBaTiO3からなるコート層とから構成される平均粒径3.0μmの複合粒子であることを確認した。ただし、コート層の平均厚さは実施例1の0.3μmよりも厚い0.4μmであった。BaTiO3粉末の量が多いことに基づくものと推察される。また、コアは、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察結果よりNiの単結晶であることがわかった。
【0048】
(実施例3)
下記に示すコア生成粒子及びコート生成粒子(両者をあわせて粉体)に対して、下記に示す分散剤を粉体全重量に対して10.0wt%、結合剤としてのポリビニルアルコールを粉体全重量に対して7.0wt%添加するとともに、粉体の濃度が20.0wt%になるように水を加えた後に、ボールミル(ジルコニアボール使用)で12時間撹拌して水分散スラリーを作製した。
コア生成粒子:NiO粉末(正同化学(株)製 Green(平均粒径0.4 μm))…80.8wt%
コート生成粒子:BaTiO3粉末(堺化学(株)製 BT−01(平均粒径0.1μm))…19.2wt%
分散剤:東亞合成社製A−30SL…10.0wt%
【0049】
以上により得たスラリーを原料として、実施例1と同様の条件で顆粒粉を作製した。得られた顆粒粉の走査型電子顕微鏡像を図8に示す。NiO粒子とBaTiO3粒子とが互いに結合かつ混在していることがわかる。また、得られた顆粒粉の粒径は4.0μmである。
【0050】
図1に示した装置を用いて上記顆粒粉から複合粒子を作製した。なお、粒子作製の条件は下記の通りであり、その平均粒径は3.0μmである。
メインキャリアガス:N2(4.0l/min)+H2(1.0l/min)
サブキャリアガス:N2(5.0l/min)
冷却ガス:N2(12.0l/min)
炉内の真空度:−3.5kPa
炉内加熱設定温度:1625℃、1650℃
【0051】
以上の条件で得られた粒子を観察したところ、1625℃及び1650℃のいずれの加熱設定温度であっても、Niからなるコアと、このコアを被覆するBaTiO3からなるコート層とからなる複合粒子が生成されていることを確認した。また、コート層の平均厚さは0.3μmであることがわかった。具体的な例を以下に示す。なお、NiOはメインキャリアガス中のH2によりNi(融点1455℃)に還元され、還元されたNiが溶融、冷却されることによりコアとなる。
【0052】
図9は、加熱設定温度を1625℃として得られた粒子のSEM像であり、図9(a)及び図9(b)は粒子の外観を、また図9(c)は粒子の断面を示している。図9から上記粒子は、コアとコート層とからなる複合粒子であることがわかる。
図10(a)は上記複合粒子のSEM像であり、図10(b)及び図10(c)は、図10(a)に示す複合粒子Ba元素及びNi元素の分布をEDSで分析した結果を示している。図10(b)に示すように、Ba元素が複合粒子の周囲に存在している。また、図10(c)に示すように、Ni元素は複合粒子の内部に存在している。したがって、複合粒子のコアはNiから構成され、コート層がBaTiO3から構成されることがわかる。また、NiOは加熱処理により還元されてNiが生成されたことがわかる。
【0053】
実施例3で炉内加熱設定温度を1625℃として得られた複合粒子をXRDで測定した結果を図11に示す。BaTiO3を示すピークが観察されており、コート層が結晶質のBaTiO3から構成されることが確認できた。また、コア生成粒子として用いたNiOのピークは見られずNiのピークが見られたことにより、NiOが還元されて、Niになったことがわかる。さらにコアは、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察結果よりNiの単結晶であることがわかった。
【0054】
(実施例4)
実施例1で得られた複合粒子(粒子A)、実施例2で得られた複合粒子(粒子B)及びトルエン溶解ビニルベンジルエーテル樹脂(60.0wt%溶液,昭和高分子(株):ARS068)を表7のNo.1〜4に示す割合で混合した。なお、No.1〜4におけるBaTiO3粉末の含有量は、各々、18.8vol%、21.9vol%、12.6vol%及び14.7vol%である。
また、比較例として、BaTiO3粉末(堺化学(株)製 BT−01)及びトルエン溶解ビニルベンジルエーテル樹脂(60.0wt%溶液,昭和高分子(株):ARS068)を表7のNo.5〜7に示す割合で混合した。
さらに、比較例として、Ni粉末(川鉄鉱業(株)製 NFP201S)、BaTiO3粉末(堺化学(株)製 BT−01)及びトルエン溶解ビニルベンジルエーテル樹脂(60.0wt%溶液,昭和高分子(株):ARS068)を表7のNo.8に示す割合で混合した。
【0055】
【表7】
【0056】
混合後、ボールミルに投入して混練体を得た。この混練体を、銅箔上に塗布後、乾燥してプリプレグを作製した。このプリプレグを積層かつプレスにより加圧した状態で加熱硬化・冷却することにより単板コンデンサを得た。単板コンデンサを0.5mm×0.5mm×0.4〜0.5mmにダイシング後、乾燥して評価サンプルとした。なお、No.1〜4は、いずれもプレスによる加圧時のプリプレグの流動性が良好で、容易に精度のよい単板コンデンサを得ることができた。なお、図12に単板コンデンサのSEMによる断面像を示すが、複合粒子が均一に分散していることがわかる。
また、各サンプルの比誘電率(ε)、品質係数(Q、100MHz)及び抵抗を求めた。結果を表7に示す。また、図13にBaTiO3粉末の量と比誘電率(ε)との関係を示す。
【0057】
No.1〜4(本発明)と、No.5〜7(比較例)との比較から、BaTiO3粉末のままでは有機高分子中に60.0vol%以上添加することは困難であったが、本発明による球状の複合粒子(粒子A、粒子B)を用いることにより70.0vol%まで添加が可能となることがわかる。
また、No.1〜4(本発明)とNo.5〜7(比較例)との比較(図13を参照)から、本発明による複合粒子を用いることにより、少量の誘電体材料で高い比誘電率が得られることがわかる。
また、No.1〜4(本発明)と、No.8(比較例)との比較から以下のことがわかる。No.8(比較例)では、添加したNi粉末が導電経路を形成しているために複合誘電体材料に導電性を付与していると考えられるが、No.1〜4(本発明)で用いた複合粒子はBaTiO3がNi表面全体を被覆しているため、Ni表面が露出していない。したがって、抵抗値の低下が見られず、かつ良好な電気特性を有している。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の複合粒子の製造方法によれば、コア及びコート層を構成する材料を任意に選択することができる。コアについては、金属のみならず酸化物を選択することもできる。
また、本発明の複合粒子の製造方法によれば、コート層の厚さを制御することができる。さらに、本発明の複合粒子の製造方法によれば、作製される複合粒子の粒径を制御することができる。したがって、複合粒子単体として、又は複合誘電体材料として用いられた場合に、電気特性を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による複合粒子を製造するための装置の概略構成を示す図である。
【図2】 本発明による複合粒子の生成過程を示す図である。
【図3】 本発明による複合粒子、この複合粒子を用いた複合誘電体材料、この複合誘電体材料を用いたコンデンサの構成を示す図である。
【図4】 実施例1で得られた顆粒粉のSEM像(20000倍)である。
【図5】 実施例1で得られた複合粒子のSEM像であり、(a)及び(b)は外観(各々、2300倍、14000倍)を示し、(c)は断面(16000倍)を示している。
【図6】 (a)は実施例1で得られた複合粒子のSEM像であり、(b)、(c)及び(d)は、(a)に示す複合粒子Ba元素、Ni元素及びO元素の分布をEDSで分析した結果を示している。
【図7】 実施例1で得られた複合粒子のコート層をXRDで測定した結果を示している。
【図8】 実施例3で得られた顆粒粉のSEM像(15000倍)である。
【図9】 実施例3で得られた複合粒子のSEM像であり、(a)及び(b)は外観(各々、3000倍、17000倍)を示し、(c)は断面(37000倍)を示している。
【図10】 (a)は実施例3で得られた複合粒子のSEM像であり、(b)及び(c)は、(a)に示す複合粒子Ba元素及びNi元素の分布をEDSで分析した結果を示している。
【図11】 実施例3で得られた複合粒子のコート層をXRDで測定した結果を示している。
【図12】 実施例4で得られた単板コンデンサの断面のSEM像(1000倍)である。
【図13】 実施例4におけるBaTiO3粉末の量と比誘電率(ε)との関係を示すグラフである。
【図14】 BaTiO3粉末(堺化学(株)製 BT−01)をX線回折装置(XRD)で測定した結果を示している。
【符号の説明】
1…製造装置、2…原料供給器、3…加熱炉、4…加熱領域、5…冷却領域、6…捕集器、7…複合粒子、8…コア、9…コート層、10…複合誘電体材料、11…有機高分子材料、12…コンデンサ、13…電極
Claims (12)
- 金属からなる球状のコアと、前記コアの表面を被覆するセラミックス誘電体材料からなるコート層とを備えた複合粒子の製造方法であって、
前記コアを生成するコア生成粒子と前記コート層を生成するコート生成粒子とを含む顆粒粉を用意し、
前記コア生成粒子を構成する金属の融点以上に前記顆粒粉を加熱して前記コア生成粒子を溶融させて球状溶融物を生成させた後に冷却することを特徴とする複合粒子の製造方法。 - 前記顆粒粉の加熱は、前記コート生成粒子を溶融させない温度で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子の製造方法。
- 前記コア生成粒子は、金属又は金属酸化物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合粒子の製造方法。
- 前記コア生成粒子は、Ag、Cu、Al、Ni及びPdのいずれかの金属、又はこれら金属の酸化物のいずれかからなり、
前記コート生成粒子はチタン酸バリウム系セラミックスからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合粒子の製造方法。 - 前記コア生成粒子が金属酸化物からなる場合に、前記顆粒粉の加熱過程を還元雰囲気下で行なうことにより、前記金属酸化物を当該金属に還元することを特徴とする請求項3又は4に記載の複合粒子の製造方法。
- 前記顆粒粉は、前記コア生成粒子と前記コート生成粒子とを含むスラリーをスプレー・ドライヤにより噴霧して液滴を形成しかつ液体成分を乾燥することにより得ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合粒子の製造方法。
- 前記コート層は結晶質の誘電体材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合粒子の製造方法。
- 金属又は金属酸化物からなる第1の粒子と、誘電体材料からなる第2の粒子とが互いに結着した球状の複合体を取得し、
前記複合体をキャリアガスとともに所定の加熱処理領域に供給して、前記金属又は前記金属酸化物からなる球状溶融物とその周囲に前記誘電体材料が配列された生成物を生成し、
前記生成物を所定の冷却領域に供給して、前記金属又は前記金属酸化物を還元してなる金属からなるコアと、前記コアの表面を覆う前記誘電体材料からなるコート層とを備えた粒子を生成することを特徴とする複合粒子の製造方法。 - 加熱処理領域に供給された前記第2の粒子は、固体状態を維持することを特徴とする請求項8に記載の複合粒子の製造方法。
- 前記複合体は、複数の前記第1の粒子と、複数の前記第2の粒子とが混在したものであることを特徴とする請求項8又は9に記載の複合粒子の製造方法。
- 前記複合体は、前記第1の粒子の周囲に複数の前記第2の粒子が覆うように配列されたものであることを特徴とする請求項8又は9に記載の複合粒子の製造方法。
- 金属又は金属酸化物からなる第1の粒子と、誘電体材料からなる第2の粒子とが互いに結着した球状の複合体を取得し、
前記複合体をキャリアガスとともに所定の加熱処理領域に供給して、前記金属又は前記金属酸化物を還元してなる金属からなる球状溶融物とその周囲に前記誘電体材料が配列された生成物を生成し、
前記生成物を所定の冷却領域に供給して、前記金属又は前記金属酸化物を還元してなる金属からなるコアと、前記コアの表面を覆う前記誘電体材料からなるコート層とを備えた複合粒子を生成し、
前記複合粒子を有機高分子材料と混合することを特徴とする複合誘電体材料の製造方法。
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