JP4218366B2 - ベル型霧化ヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,静電塗装装置等におけるベル型霧化器用のベル型霧化ヘッドに関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,自動車の外板塗装などに用いられる静電塗装装置やセラミック粉末の造粒を行うためのスプレードライヤ(粉末造粒装置)の先端部分には,ベル型霧化器が配設されている。ベル型霧化器は,ベル形状のベル型霧化ヘッドを有しており,この中に基端側から供給された塗料やスラリー等の流体を,ベル型霧化ヘッドの内周面に沿って遠心力により外周方向に膜状に広げながら開口端部に送って液糸状に放出することにより,上記流体を霧化状態とするものである(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭59−82957号公報
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のベル型霧化ヘッドには,次のような問題があった。
すなわち,従来のベル型霧化ヘッドは,その素材として,アルミニウム,チタン合金等の金属材料や,低硬度の樹脂材料が検討あるいは用いられていた。しかし,これらの金属材料や樹脂材料は,霧化すべき流体中に高硬度粒子が含まれている場合に,この高硬度粒子によって摩耗しやすいという欠点を有している。そのため,これらの素材により作製したベル型霧化ヘッドに対しては,その内面に,耐摩耗性に優れたセラミック層を形成するセラミックコートを行う等の対策がなされてきた。しかしながら,この場合には,形成されたセラミック層と素材である樹脂材料や金属材料との密着性が低く,セラミック層が剥離する場合があり,十分な耐久性が得られなかった。
【0005】
また,ベル型霧化ヘッドは,上述したごとく,高い塗着効率(塗料使用量の削減)を得ることを目的とした静電塗装装置に多用されるが,この場合には,塗料に電荷を付与(帯電)するために,ベル型霧化ヘッド自体が電気導電性を有することが必要である。しかしながら,上述したアルミニウムあるいはチタン合金等の導電性の高い素材を用いた場合には,塗装対象(被塗装物)との間において直接スパーク放電現象が生じるおそれがあり,静電安全上,塗装作業上の管理を厳しくせざるを得ないという問題がある。そのため,静電塗装装置においては,本質的な静電安全対策が可能なベル型霧化ヘッドの開発が望まれていた。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,耐久性に優れ,かつ,静電塗装装置においても,本質的な静電安全対策として有効なベル型霧化ヘッド及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1参考発明は,基端部から開口端部に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有するベル型霧化ヘッドにおいて,
該ベル型霧化ヘッドは,その全体が,電気比抵抗が105〜1010Ωcmである導電性セラミックスにより構成されており,
上記開口端部の内周面側には,環状の溝形成領域が形成されており,該溝形成領域には,上記ベル型霧化ヘッドの中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝が所定のピッチで多数配設されており,
該霧化溝は,その深さが0.05〜1.0mmの範囲内にあると共に,最も内周側における配設ピッチが0.05〜1.0mmの範囲内にあり,
かつ,上記霧化溝の表面は,表面粗さRzが100μm以下の範囲内にあることを特徴とするベル型霧化ヘッドにある。
【0008】
本発明のベル型霧化ヘッドは,上記のごとく,その全体が上記導電性セラミックスにより構成されている。そのため,従来の金属材料や樹脂材料を素材にしている場合に比べて,摩耗しにくく,優れた耐久性を発揮し,かつ,従来のセラミックコートを施した場合のような剥離の心配が一切ない。
【0009】
また,上記導電性セラミックスは,その電気比抵抗(比電気抵抗,体積抵抗率ともいう)が105〜1010Ωcmであり,適度な電気的特性を有している。すなわち,上記導電性セラミックスは,静電塗装装置に適用した場合に,塗料粒子に十分な電荷を与えうる導電性を発揮する一方,被塗装物あるいは他のアース体への不用意なスパーク放電を防止するのに十分な電気抵抗を有している。それ故,上記ベル型霧化ヘッドは,静電塗装装置において高い塗着効率と対スパーク放電性という相反する2つの特性を同時に発現できる。
【0010】
また,上記ベル型霧化ヘッドは,その開口端部の上記環状の溝形成領域を有すると共に,該溝形成領域に上記特定の寸法,特定の表面粗さを有する霧化溝を多数有している。そのため,回転するベル型霧化ヘッド内に供給される塗料等の流体を開口端部から遠心力によって周囲に放出する際に,上記流体が上記複数の霧化溝を均等にかつスムーズに通過して,開口端から糸状に放出し,その先端から均一粒径の液滴を形成するというような霧化を実現することができる。
【0011】
従って,本発明によれば,耐久性に優れ,かつ,静電安全対策が必要な静電塗装装置にも容易に適用可能なベル型霧化ヘッドを提供することができる。なお,本発明のベル型霧化ヘッドをディスク型ベルヘッドに適用することも可能である。
【0012】
第2参考発明は,基端部から開口端部に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有し,その全体が,電気比抵抗が105〜1010Ωcmである導電性セラミックスにより構成されており,上記開口端部の内周面側には,環状の溝形成領域が形成されていると共に,該溝形成領域には,上記ベル型霧化ヘッドの中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝が所定のピッチで多数配設されたベル型霧化ヘッドを製造する方法であって,
上記ベル型霧化ヘッドの上記霧化溝を含む上記開口端部及び上記内周面の所望形状に対応する外周形状を有する金型を準備し,該金型の外周に,上記導電性セラミックスの原料となる原料粉末を配置し,該原料粉末を外方から加圧することにより,上記金型の外周形状を転写させて得られた開口端部形状及び内周面形状を有する生加工品を得る成形工程と,
上記生加工品を上記金型から分離した状態で焼成して焼成体を得る焼成工程と,
該焼成体の外周形状を整える切削加工を行う切削工程とを含むことを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法にある。
【0013】
本発明の製造方法においては,少なくとも,上記成形工程,上記焼成工程,及び上記切削工程を行う。そして,ここで注目すべき点は,上記成形工程において,上記特定の外周形状を有する金型を用い,その外周形状を転写させて,上記霧化溝を有してなる生加工品を作製することである。すなわち,上記霧化溝を,成形工程後に形成するのではなく,ベル型霧化ヘッド全体の元となる生加工品の成形と同時に最初から形成する。
【0014】
そのため,上記導電性セラミックスを成形した後に霧化溝を形成するために溝加工をする場合と比べて,格段に製造工程を合理化することができる。また,霧化溝の表面状態は,上記金型の表面状態によって決定される。そのため,金型の表面状態を管理することによって,容易に霧化溝の表面粗さ,形状,寸法等の精度を向上させることができる。
【0015】
なお,上記成形工程においては,例えば,上記原料粉末の外側全周を被覆した柔軟で緻密な媒体を介して上記の加圧を行うことができる。上記媒体としては,例えば,ゴム,ビニール等の材料を適用することができる。また,上記焼成工程の前には,上記生加工品を上記金型から分離した後,該生加工品の外周部を所望形状に機械加工する工程を追加することも勿論可能である。この点は,後述する本願第2発明および本願第3発明の製造方法においても同様である。
【0016】
本願第1発明は,基端部から開口端部に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有するベル型霧化ヘッドにおいて,
該ベル型霧化ヘッドは,電気比抵抗が105〜1010Ωcmである導電性セラミックスよりなる本体部と,該本体部と異なる材料により構成され上記開口端部の内周面側に配設されたリング状部品とよりなり,
該リング状部品には,内周面に連なる環状の溝形成領域が形成されており,該溝形成領域には,上記ベル型霧化ヘッドの中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝が所定のピッチで多数配設されており,
該霧化溝は,その深さが0.05〜1.0mmの範囲内にあると共に,最も内周側における配設ピッチが0.05〜1.0mmの範囲内にあり,
かつ,上記霧化溝の表面は,表面粗さRzが100μm以下の範囲内にあることを特徴とするベル型霧化ヘッドにある(請求項1)。
【0017】
本発明のベル型霧化ヘッドは,上記のごとく,その本体部が上記導電性セラミックスよりなる。そのため,上記本体部が従来の金属材料や樹脂材料を素材にしている場合に比べて,硬度が1桁以上高いことから摩耗しにくく,優れた耐久性を発揮する。
また,上記導電性セラミックスは,その電気比抵抗が105〜1010Ωcmであり,静電塗装装置に適用した場合に,塗料粒子に十分な電荷を与えうる導電性を発揮する一方,被塗装物への不用意なスパーク放電を防止するのに十分な電気抵抗を有している。なお,ベル型霧化ヘッド全体の電気抵抗としては105〜1011Ωの範囲にある。また,この効果は,上記リング状部品とし導電性の高い金属材料を適用した場合にも,ベル型霧化ヘッドの開口端部の外周および先端が,上記導電性セラミックスよりなることから有効に発現させることができる。
【0018】
また,上記ベル型霧化ヘッドは,その開口端部に別体よりなる上記リング状部品が配設され,これに上記霧化溝が形成されている。そのため,上記ベル型霧化ヘッドの本体部の製造時に霧化溝の表面粗さ,形状,寸法等を考慮する必要が無く,本体部の製造工程を比較的簡単なものとすることができる。
【0019】
また,上記リング状部品の上記溝形成領域には,上記特定の寸法,特定の表面粗さを有する霧化溝を多数有している。そのため,回転するベル型霧化ヘッド内に供給される塗料,スラリー等の流体を開口端部から遠心力によって周囲に放出する際に,上記流体が上記複数の霧化溝を均等にかつスムーズに通過して,均一な放出と霧化を実現することができる。即ち,上記流体は,開口端部の先端より糸状に放出され,その液糸先端より均一な粒子の生成を実現することができる。
【0020】
従って,本発明によっても,耐久性に優れ,かつ,静電塗装装置にも容易に適用可能なベル型霧化ヘッドを提供することができる。
【0021】
本願第2発明は,基端部から開口端部に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有し,電気比抵抗が105〜1010Ωcmである導電性セラミックスよりなる本体部と,該本体部と異なる材料により構成され上記開口端部の内周面側に設けられたリング状部品とよりなり,該リング状部品には,内周面に連なる環状の溝形成領域が形成されており,該溝形成領域には,上記ベル型霧化ヘッドの中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝が所定のピッチで多数配設されたベル型霧化ヘッドを製造する方法であって,
上記霧化溝を有する上記リング状部品を作製するリング状部品作製工程と,
上記リング状部品の配設部を含む上記開口端部及び上記内周面の所望形状に対応する外周形状を有する金型を準備し,該金型の外周に,上記導電性セラミックスの原料となる原料粉末を配置し,該原料粉末を外方から加圧することにより,上記金型の外周形状を転写させて得られた開口端部形状及び内周面形状を有する生加工品を得る成形工程と,
上記生加工品を上記金型から分離した状態で焼成して焼成体を得る焼成工程と,
上記焼成体における上記リング状部品の配設部に上記リング状部品を配設するリング状部品配設工程と,
上記焼成体の外周形状を整える切削加工を行う切削工程とを含むことを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法にある(請求項5)。
【0022】
本発明の製造方法では,少なくとも,上記リング状部品作製工程,上記成形工程,上記焼成工程,及び上記切削工程を行う。なお,工程を実施する順序は適宜変更できる。そして,上記霧化溝は,上記ベル型霧化ヘッドの本体部とは別部品であるリング状部品に形成し,その後にリング状部品と本体部とを一体化させる。そのため,上記本体部を作製する際に,上記霧化溝の表面粗さ,形状,寸法等を精度よく管理する必要がなく,導電性セラミックスよりなる本体部の作製を容易に行うことができる。
そして,上記霧化溝は,上記リング状部品に設けるので,上記ベル型霧化ヘッドの本体部の製造方法に左右されることなく,リング状部品の素材特性に合わせて最適な成形方法を採用することができる。
【0023】
本願第3発明は,基端部から開口端部に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有し,電気比抵抗が105〜1010Ωcmである導電性セラミックスよりなる本体部と,該本体部と異なる材料により構成され上記開口端部の内周面側に設けられたリング状部品とよりなり,該リング状部品には,内周面に連なる環状の溝形成領域が形成されており,該溝形成領域には,上記ベル型霧化ヘッドの中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝が所定のピッチで多数配設されたベル型霧化ヘッドを製造する方法であって,
上記リング状部品の元となるリング状のベース部品を作製するベース部品作製工程と,
上記ベース部品に上記霧化溝を有する上記溝形成領域を設ける溝形成工程と,
上記リング状部品の配設部を含む上記開口端部及び上記内周面の所望形状に対応する外周形状を有する金型を準備し,該金型の外周に,上記導電性セラミックスの原料となる原料粉末を配置し,該原料粉末を外方から加圧することにより,上記金型の外周形状を転写させて得られた開口端部形状及び内周面形状を有する生加工品を得る成形工程と,
上記生加工品を上記金型から分離した状態で焼成して焼成体を得る焼成工程と,
上記焼成体における上記リング状部品の配設部に上記ベース部品を配設するベース部品配設工程と,
上記焼成体の外周形状を整える切削加工を行う切削工程とを含むことを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法にある(請求項9)。
【0024】
また,本発明の製造方法では,少なくとも,上記ベース部品作製工程,上記溝形成工程,上記成形工程,上記焼成工程,ベース部品配設工程,及び上記切削工程を行う。なお,工程を実施する順序は適宜変更できる。そして,上記霧化溝は,上記ベル型霧化ヘッドの本体部とは別部品である上記リング状部品に形成する。そのため,上記本体部を作製する際に,上記霧化溝の表面粗さ,形状,寸法等を精度よく管理する必要がなく,導電性セラミックスよりなる本体部の作製を容易に行うことができる。
また,上記霧化溝は,上記リング状部品となるベース部品と上記本体部とを一体化させた後に,ベース部品状に形成する。これにより,溝形成時のリング状部品の変形等を防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
上記第1、第2参考発明及び本願第1〜第3発明においては,上記導電性セラミックスは,その電気比抵抗が105〜1010Ωcmである。また,ベル型霧化ヘッド全体の電気抵抗値としては,105〜1011Ωcmの範囲である。これにより,上記のごとく,静電塗装に最適なベル型霧化ヘッドを得ることができる。ここで,上記電気比抵抗が105Ωcm未満の場合には,被塗装物への不用意なスパーク放電を防止する効果が小さくなるという問題があり,また,上記電気比抵抗が1010Ωcmを超える場合には,塗料粒子を十分に帯電させることができない,すなわち本来有する高い塗着効率が得られにくくなるという問題がある。
なお,上記導電性セラミックスとしては,具体的には,例えば,構造用セラミックスであるSi2N4,SiAlON,ZrO2,Al2O3,SiC,ムライト等をマトリックス材料として適用することができる。
また,上記マトリックス材料中に分散させる分散材料としては,周期律表における4a〜7a族および3b,4b族の酸化物,窒化物,ホウ化物,ケイ化物,炭化物,B,B4C,SiC等を適用することができる。
【0026】
また,上記第1参考発明及び本願第1発明において,上記ベル型霧化ヘッドは,上記特定の深さ及び配設ピッチを有する霧化溝を有している。この霧化溝の深さが0.05mm未満の場合には,霧化溝の存在による塗料,スラリー等の流体が放出する際の均一化作用が小さくなってしまい,一方1.0mmを超える場合には,霧化される塗料粒子等の粒径が大きくなりすぎるという問題がある。
また,上記霧化溝の配設ピッチが0.05mm未満の場合には,霧化溝による塗料の分流効果が失われてしまい,均一な粒子が生成しにくくなると共に,塗料粒子にエアを内包しやすくなるおそれがある。一方,1.0mmを超える場合には,霧化溝から形成される糸状の流れの太さが大きくなり,その結果,所望の粒径の塗料粒子が得られにくくなるおそれがある。
【0027】
また,上記ベル型霧化ヘッドは,上記霧化溝の表面粗さが上記特定の範囲内にある。この表面粗さRzが100μm以下の範囲内にある。これにより,上記霧化溝を通過する塗料粒子等がよりスムーズに前進し,霧化状態をさらに均一化することができる。なお,上記表面粗さRzは,小さいほど好ましいが,製造上限界がある。また,上記表面粗さRzが100μmを超える場合には,塗料粒子等が霧化溝を通過する際の抵抗となり,均一な霧化作業が行えないという問題がある。
【0028】
また,上記霧化溝は,V字状,半円状又はU字状の断面形状を有しており,その断面形状における開き角度θは,30°≦θ≦150°の範囲内にあることが好ましい(請求項3)。上記開き角度θが30°未満の場合には,上記ベルヘッドの製造工程における加圧成形処理の降圧時に,霧化溝を形成しようとする溝部内に圧粉された成形体がこの溝部から抜けにくくなり,霧化溝が破損しやすくなるというおそれがある。一方,150°を超える場合には,成形時に上記霧化溝が破損しにくくなるが,開口端部から塗料を糸状に放出しにくくなり,塗料を分流するための霧化溝の効果が小さくなるかあるいは全くなくなってしまうおそれがある。
【0029】
また,上記霧化溝の底部と上記ベル型霧化ヘッドの中心軸線とがなす角度であって,開口端部側の角度φは,0°≦φ≦90°の範囲内にあることが好ましい(請求項4)。上記角度φが0°未満の場合には,上記ベル型霧化ヘッドの製造工程における加圧成形処理の降圧時に,成形体のスプリングバックがスムーズにできず,この成形体の霧化溝が破損しやすくなるという問題があり,一方,90°未満の場合には,成形しやすくなるが,霧化溝としての機能が低下し,霧化性能が悪くなるおそれがある。
【0030】
次に,上記第2参考発明においては,上記金型は,その外周面のうち,少なくとも上記ベル型霧化ヘッドの上記霧化溝に対応する部分の表面に表面仕上げ処理を施して,その表面粗さRzを0.1〜25μmの範囲内としてあることが好ましい。この場合には,金型から転写して得られる霧化溝の表面粗さを同様の範囲内に納めることができ,平滑な表面を有する霧化溝を容易に形成することができる。
【0031】
次に,上記本願第1発明においては,上記リング状部品は,樹脂材料又は金属材料により構成されていることが好ましい(請求項2)。この場合には,上記リング状部品全体の製造及び霧化溝の形成を比較的容易に行うことができる。なお,上記リング状部品の材料としては,耐摩耗性を向上させるために,MMC(メタルマトリックスコンポジット)やPMC(ポリマーマトリックスコンポジット)を用いてもよい。
【0032】
次に,上記本願第2発明においては,上記リング状部品は樹脂材料よりなり,上記リング状部品作製工程は,上記霧化溝を含む上記溝形成領域に対応するキャビティ面を有する射出用金型を用いた射出成形により行うことが好ましい(請求項6)。この場合には,上記射出用金型からの転写によって,リング状部品の成形時に,同時に上記霧化溝を形成することができ,リング状部品作製工程を簡単にすることができる。
【0033】
また,上記射出用金型は,そのキャビティ面のうち,少なくとも上記ベル型霧化ヘッドの上記霧化溝に対応する部分の表面に表面仕上げ処理を施して,その表面粗さRzを0.1〜25μmの範囲内としてあることが好ましい(請求項7)。この場合には,射出用金型から転写して得られる霧化溝の表面粗さを同様の範囲内に納めることができ,平滑な表面を有する霧化溝を容易に形成することができる。
【0034】
また,上記リング状部品は,樹脂材料又は金属材料よりなり,上記リング状部品作製工程では,リング状のベース部品を成形した後,該ベース部品に対して塑性加工あるいは成形を施して上記霧化溝を有する上記溝形成領域を形成することが好ましい(請求項8)。この場合には,例えば,ローレット加工,転造加工などの塑性加工,射出成形などの成形によって,非常に効率よく上記霧化溝を形成することができ,工程の合理化を図ることができる。
【0035】
また,上記本願第3発明においても,上記リング状部品は,樹脂材料又は金属材料よりなり,上記溝形成工程では,リング状の上記ベース部品に対して塑性加工あるいは成形を施して上記霧化溝を有する上記溝形成領域を形成することが好ましい(請求項10)。この場合も,上記と同様の塑性加工あるいは成形方法を適用することができ,非常に効率よく上記霧化溝を形成することができる。
【0036】
【実施例】
参考例1
本発明の参考例に係るベル型霧化ヘッドにつき,図1〜図8を用いて説明する。
本例のベル型霧化ヘッド1は,図1に示すごとく,基端部10から開口端部19に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有するベル型霧化ヘッドである。
【0037】
ベル型霧化ヘッド1は,その全体が,電気比抵抗が105〜1010Ωcm(本例では8×107Ωm)である導電性セラミックスにより構成されている。
また開口端部19の内周面15側には,環状の溝形成領域2が形成されており,溝形成領域2には,ベル型霧化ヘッド1の中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝21が所定のピッチで多数配設されている。
霧化溝21は,図3に示すごとく,その深さDが0.05〜1.0mmの範囲内(本例では0.2mm)にあると共に,最も内周側における配設ピッチPが0.05〜1.0mmの範囲内(本例では0.2mm)にある。かつ,上記霧化溝21の表面は,表面粗さRzが100μm以下の範囲内(本例では20μm)にある。
【0038】
さらに詳説すると,図3に示すごとく,霧化溝21は,V字状の断面形状を有しており,その断面形状における開き角度θは,90°に設定した。また,図2,図3に示すごとく,霧化溝21の底部とベル型霧化ヘッド1の中心軸線Cとがなす角度であって,開口端部側の角度φは,75°に設定した。
【0039】
このベル型霧化ヘッド1を製造するに当たっては,図4に示すごとく,ベル型霧化ヘッド1の霧化溝21を含む開口端部19及び内周面15の所望形状に対応する外周形状を有する金型5を準備する。より具体的には,同図に示すごとく,金型5は,円盤状の底部50と,その上面に形成された略円錐状あるいは円柱形状を複数段組み合わせた胴部53と,該胴部53の上方に配設された円柱状の端軸部54とを有している。さらに,金型5は,上記底部50の上面外周部に平坦な表面状態を有する平坦部51と,その内周側において上記胴部53との間に環状に存在する溝形成部52とを有している。
【0040】
溝形成部52は,作製しようとするベル型霧化ヘッド1の溝形成領域2及びこれを構成する霧化溝21を形成するための部分であり,これらに対応する転写形状を有している。そして,金型5の溝形成部52に設けた各溝の表面の表面粗さは,Rz=7μmに設定し,溝の深さ及びピッチも得ようとする上記霧化溝21の寸法に対応させた。なお,金型2のすべての寸法は,後述する焼成工程における収縮寸法を考慮して,所望のベル型霧化ヘッド1の寸法よりも若干大きく設計してある。
【0041】
上記金型5を用い,図5に示すごとく,その外周に,上記導電性セラミックスの原料となる原料粉末100を配置し,該原料粉末100を外方から加圧することにより,金型2の外周形状を転写させて得られた開口端部形状及び内周面形状を有する生加工品101を得る成形工程を行う。本例では,同図に示すごとく,ゴム型6によって金型5及び原料粉末100を覆い,ゴム型6の外方から圧力を加えるCIP処理により上記成形工程を実施した。
【0042】
ここで,本例では,上記導電性セラミックスの原料となる原料粉末100として,Y2O3と,MgAl2O4と,SiCとを1:0.7:1.4(wt%比)という割合で混合したものを用いた。また,上記CIP処理の加圧条件は,3t/cm2とした。
このCIP処理を行うことによって,図6に示すごとく,ゴム型6からの圧力により,原料粉末100が金型5に押しつけられ,その溝形成部52では,溝形状が原料粉末100より形成される生加工品101に転写される。
【0043】
次に,上記成形工程において得られた生加工品101を金型5から分離した状態で焼成して焼成体を得る焼成工程を実施した。なお,本例では,金型5から生加工品101を金型5から分離すると共にゴム型6から分離した後,生加工品101の外周形状を所望形状に整える機械加工を実施し,その後に上記焼成工程を行った。
【0044】
上記焼成工程では,上記生加工品101を供材とBNの混合粉末中に埋めて,窒素(N2)雰囲気中において温度1700℃に5時間保持する条件でガス圧焼結を行った。ガス圧,すなわち雰囲気ガスである窒素の圧力は9.5kg/cm2とした。
次に,本例では,ベル型霧化ヘッド1の内部に塗料拡散板71を配設するために,内部寸法を整える研削仕上げを行った。これにより,ベル型霧化ヘッド1の製造が完了した。
【0045】
このベル型霧化ヘッド1は,図7に示すごとく,塗料噴射口711を有する塗料拡散板71等を内部に配設した状態で,ベル型霧化器となり,これを静電塗装装置7の回転軸72に接続して使用する。回転軸72の中央部には塗料供給用の供給パイプ73が設けられており,これがベル型霧化ヘッド1の基端部に接続される。また,ベル型霧化ヘッド1の周囲には,これを囲うようにエアー吹きだし部74が配設され,使用時には,そのエアー吹き出し口75から圧縮エアーが噴射される。また,ベル型霧化ヘッド1には,塗料粒子81(図8)を帯電させるために回転軸72を介して電圧が付与される。
【0046】
図7に示すごとく,上記静電塗装装置7にベル型霧化ヘッド1を配設してこれを回転させながら実際の静電塗装作業を行う際には,ベル型霧化ヘッド1の内周面15に沿って塗料8が基端部10側から開口端部19側へ移動する。そして図8に示すごとく,開口端部19の溝形成領域2に達した塗料8は,多数の霧化溝21にその流動方向を規制されながら流動し,それぞれの霧化溝21から糸状の液流80としてベル型霧化ヘッド1の外方にほぼ一定の割合で飛散する。そして,この液流80が微細な液滴である塗料粒子81となって,均一に飛散し霧化状態が得られる。このとき,霧化溝21のサイズが上記の範囲に入っているので,飛散状態を均一化することができ,さらには,霧化溝21が上記の表面粗さを有しているので,塗料の流動をスムーズにさせることができ,さらに均一な霧化状態を得ることができる。
【0047】
さらに,本例のベル型霧化ヘッド1は,上記のごとく導電性セラミックスよりなり,その電気比抵抗が上記特定の値(8×107Ωcm)である。そのため,ベル型霧化ヘッド1は,塗料粒子81に十分な電荷を与えうる導電性を発揮する一方,被塗装物への不用意なスパーク放電を防止するのに十分な電気抵抗を有したものとなる。それ故,上記ベル型霧化ヘッド1は,静電塗装装置に最適なものとなる。
【0048】
さらに,本例のベル型霧化ヘッド1は,上記のごとく,その全体が導電性セラミックスにより構成されている。そのため,従来の金属材料や樹脂材料を素材にしている場合に比べて,摩耗しにくく,優れた耐久性を発揮し,かつ,従来のセラミックコートを施した場合のような剥離の心配が一切ない。
【0049】
実施例1
本例のベル型霧化ヘッド3は,図11に示すごとく,電気比抵抗が105〜1010Ωcm(本例では2.4×108Ωm)である導電性セラミックスよりなる本体部30と,該本体部30と異なる材料により構成され上記開口端部39の内周面35側に配設されたリング状部品4とより構成した例である。
【0050】
そして,本例のリング状部品4には,内周面に連なる環状の溝形成領域40が形成されており,該溝形成領域40には,ベル型霧化ヘッド1の中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝41が所定のピッチで多数配設されている。
この霧化溝41は,上述した参考例1の場合と同様に,その深さDが0.05〜1.0mmの範囲内(本例では0.2mm)にあると共に,配設ピッチPが最も内周側の位置において0.05〜1.0mmの範囲内(本例では0.2mm)にある。また,霧化溝41の表面は,表面粗さRzが100μm以下の範囲内(本例では8μm)にある。
【0051】
そして,本例では,上記リング状部品4を樹脂材料,具体的にはピーク樹脂により構成した。また,霧化溝4は,V字状の断面形状を有しており,その断面形状における開き角度θは,90°とした。さらに霧化溝4の底部とベル型霧化ヘッドの中心軸線Cとがなす角度であって,開口端部側の角度φは,75°に設定した。
【0052】
このベル型霧化ヘッド3を製造するに当たっては,図9に示すごとく,まず上記霧化溝41を有するリング状部品4を作製するリング状部品作製工程を行った。本例では,上記のごとく,リング状部品4を樹脂材料により構成したので,上記霧化溝41を含む溝形成領域40に対応するキャビティ面を有する射出用金型(図示略)を用いた射出成形により行った。このとき,射出用金型は,そのキャビティ面のうち,少なくとも霧化溝41に対応する部分の表面に表面仕上げ処理を施して,その表面粗さRzを0.05〜25μmの範囲内(本例では1μm)とした。
【0053】
次に,上記リング状部品の配設部34を含む開口端部39及び内周面35の所望形状に対応する外周形状を有する金型(図示略)を準備し,金型の外周に,導電性セラミックスの原料となる原料粉末を配置し,参考例1と同様にCIP処理をして,金型の外周形状を転写させて得られた開口端部形状及び内周面形状を有する生加工品(図示略)を得る成形工程を行った。
【0054】
次に,本例では,生加工品を金型から離型した状態で焼成して焼成体を得る焼成工程を実施した。なお,本例でも,金型から生加工品を分離すると共にゴム型から分離した後,生加工品の外周形状を所望形状に整える機械加工を実施し,その後に参考例1と同様の条件で上記焼成工程を行った。
【0055】
次に,本例では,図11に示すごとく,焼成体としての本体部30におけるリング状部品の配設部34の内面を,リング状部品4の外径に合致させるための研削仕上げを行った。
次に,焼成体としての本体部30におけるリング状部品の配設部34にリング状部品4を配設するリング状部品配設工程を行った。
本例では,上記リング状部品4を本体部30の配設部34に圧入することによりこれを配設した。
その後,焼成体としての本体部30の外周形状を整える切削加工を行う切削工程を行った。なお,この切削工程は上記リング状部品配設工程より前に行うことも可能であり,また,上記配設部34の加工と同工程で行うこともできる。
【0056】
本例により得られたベル型霧化ヘッド3も,参考例1の場合と同様に静電塗装装置のベル型霧化器に適用することができる。そして,この場合にも,その本体部30が上記導電性セラミックスよりなる。そのため,本体部30が従来の金属材料や樹脂材料を素材にしている場合に比べて,摩耗しにくく,優れた耐久性を発揮する。
【0057】
また,本体部30を構成する導電性セラミックスは,上記のごとく,静電塗装装置に適用した場合に,塗料粒子に十分な電荷を与えうる導電性を発揮する一方,被塗装物への不用意なスパーク放電を防止するのに十分な電気抵抗を有している。そして,この効果は,上記リング状部品4を配設してあっても有効に得ることができる。
【0058】
また,上記ベル型霧化ヘッド3は,その開口端部に別体よりなるリング状部品4が配設され,これに霧化溝41が形成されている。そのため,本体部30の製造時に霧化溝41の表面粗さ,形状,寸法等を考慮する必要が無く,本体部30の製造工程を比較的簡単なものとすることができる。
【0059】
また,リング状部品4の溝形成領域40には,上記特定の寸法,特定の表面粗さを有する霧化溝41を多数有している。そのため,参考例1の場合と同様に,回転するベル型霧化ヘッド3内に供給される塗料等の流体を開口端部から遠心力によって周囲に飛散する際に,上記流体が上記複数の霧化溝を均等にかつスムーズに通過して,均一な飛散と霧化を実現することができる。
【0060】
実施例2
本例は,実施例1におけるリング状部品4に代えて,金属材料よりなるリング状部品402を採用した例である。
本例においては,図12に示すごとく,リング状部品作製工程で,リング状のベース部品400を成形した後,図13に示すごとく,該ベース部品400に対して塑性加工を施して霧化溝を有する溝形成領域405を形成した。
【0061】
より具体的には,まず,ジュラルミンよりなるリング状のベース部品400を,管状素材から切り出すと共に,全体形状を機械加工により整えた。
次に,外周面に溝部91を有するローレット工具9を用い,この溝部91を溝形成領域405とすべき部分に押し当てて転がす。これにより,ローレット加工が施され,霧化溝を有するリング状部品402が得られる。その他は実施例1と同様にした。
【0062】
この場合には,導電性セラミックスよりなる本体部30の開口部分に上記金属材料よりなるリング状部品402を有するベル型霧化ヘッドが得られる。そして,この金属材料のリング状部品が存在しても,全体が導電性セラミックスよりなる本体部30の特性が十分に発揮され,ベル型霧化ヘッド全体の電気比抵抗も静電塗装装置に適したものとなる。その他は実施例1と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1における,ベル型霧化ヘッドの断面図。
【図2】 参考例1における,ベル型霧化ヘッドの開口端部に設けた霧化溝の傾き(角度φ)を示す説明図。
【図3】 参考例1における,ベル型霧化ヘッドの霧化溝の寸法を示す説明図。
【図4】 参考例1における,金型の斜視図。
【図5】 参考例1における,CIP処理により成形工程を実施している状態を示す説明図。
【図6】 参考例1における,成形工程で原料粉末がゴム型からの圧力により金型に押しつけられている状態を示す説明図。
【図7】 参考例1における,ベル型霧化ヘッドを静電塗装装置に組み込んだ状態を示す説明図。
【図8】 参考例1における,塗料粒子が飛散して霧化状態となる現象を示す説明図。
【図9】 実施例1における,樹脂材料よりなるリング状部品を示す断面図。
【図10】 実施例1における,ベル型霧化ヘッドの本体部を示す断面図。
【図11】 実施例1における,ベル型霧化ヘッドの断面図。
【図12】 実施例2における,リング状部品となるベース部品を示す斜視図。
【図13】 実施例2における,ベース部品にローレット加工を施している状態を示す説明図。
【符号の説明】
1...ベル型霧化ヘッド,
10...基端部,
15...内周面,
19...開口端部,
2...溝形成領域,
21...霧化溝,
Claims (10)
- 基端部から開口端部に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有するベル型霧化ヘッドにおいて,
該ベル型霧化ヘッドは,電気比抵抗が10 5 〜10 10 Ωcmである導電性セラミックスよりなる本体部と,該本体部と異なる材料により構成され上記開口端部の内周面側に配設されたリング状部品とよりなり,
該リング状部品には,内周面に連なる環状の溝形成領域が形成されており,該溝形成領域には,上記ベル型霧化ヘッドの中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝が所定のピッチで多数配設されており,
該霧化溝は,その深さが0.05〜1.0mmの範囲内にあると共に,最も内周側における配設ピッチが0.05〜1.0mmの範囲内にあり,
かつ,上記霧化溝の表面は,表面粗さRzが100μm以下の範囲内にあることを特徴とするベル型霧化ヘッド。 - 請求項1において,上記リング状部品は,樹脂材料又は金属材料により構成されていることを特徴とするベル型霧化ヘッド。
- 請求項1又は2において,上記霧化溝は,V字状,半円状又はU字状の断面形状を有しており,その断面形状における開き角度θは,30°≦θ≦150°の範囲内にあることを特徴とするベル型霧化ヘッド。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記霧化溝の底部と上記ベル型霧化ヘッドの中心軸線とがなす角度であって,開口端部側の角度φは,0°≦φ≦90°の範囲内にあることを特徴とするベル型霧化ヘッド。
- 基端部から開口端部に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有し,電気比抵抗が10 5 〜10 10 Ωcmである導電性セラミックスよりなる本体部と,該本体部と異なる材料により構成され上記開口端部の内周面側に設けられたリング状部品とよりなり,該リング状部品には,内周面に連なる環状の溝形成領域が形成されており,該溝形成領域には,上記ベル型霧化ヘッドの中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝が所定のピッチで多数配設されたベル型霧化ヘッドを製造する方法であって,
上記霧化溝を有する上記リング状部品を作製するリング状部品作製工程と,
上記リング状部品の配設部を含む上記開口端部及び上記内周面の所望形状に対応する外周形状を有する金型を準備し,該金型の外周に,上記導電性セラミックスの原料となる原料粉末を配置し,該原料粉末を外方から加圧することにより,上記金型の外周形状を転写させて得られた開口端部形状及び内周面形状を有する生加工品を得る成形工程と,
上記生加工品を上記金型から分離した状態で焼成して焼成体を得る焼成工程と,
上記焼成体における上記リング状部品の配設部に上記リング状部品を配設するリング状部品配設工程と,
上記焼成体の外周形状を整える切削加工を行う切削工程とを含むことを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法。 - 請求項5において,上記リング状部品は樹脂材料よりなり,上記リング状部品作製工程は,上記霧化溝を含む上記溝形成領域に対応するキャビティ面を有する射出用金型を用いた射出成形により行うことを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法。
- 請求項6において,上記射出用金型は,そのキャビティ面のうち,少なくとも上記ベル型霧化ヘッドの上記霧化溝に対応する部分の表面に表面仕上げ処理を施して,その表面粗さRzを0.1〜25μmの範囲内としてあることを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法。
- 請求項5において,上記リング状部品は,樹脂材料又は金属材料よりなり,上記リング状部品作製工程では,リング状のベース部品を成形した後,該ベース部品に対して塑性加工あるいは成形を施して上記霧化溝を有する上記溝形成領域を形成することを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法。
- 基端部から開口端部に向かうにつれ開口径が大きくなるベル形状を有し,電気比抵抗が10 5 〜10 10 Ωcmである導電性セラミックスよりなる本体部と,該 本体部と異なる材料により構成され上記開口端部の内周面側に設けられたリング状部品とよりなり,該リング状部品には,内周面に連なる環状の溝形成領域が形成されており,該溝形成領域には,上記ベル型霧化ヘッドの中心から外周に向けて放射状に形成された霧化溝が所定のピッチで多数配設されたベル型霧化ヘッドを製造する方法であって,
上記リング状部品の元となるリング状のベース部品を作製するベース部品作製工程と,
上記ベース部品に上記霧化溝を有する上記溝形成領域を設ける溝形成工程と,
上記リング状部品の配設部を含む上記開口端部及び上記内周面の所望形状に対応する外周形状を有する金型を準備し,該金型の外周に,上記導電性セラミックスの原料となる原料粉末を配置し,該原料粉末を外方から加圧することにより,上記金型の外周形状を転写させて得られた開口端部形状及び内周面形状を有する生加工品を得る成形工程と,
上記生加工品を上記金型から分離した状態で焼成して焼成体を得る焼成工程と,
上記焼成体における上記リング状部品の配設部に上記ベース部品を配設するベース部品配設工程と,
上記焼成体の外周形状を整える切削加工を行う切削工程とを含むことを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法。 - 請求項9において,上記リング状部品は,樹脂材料又は金属材料よりなり,上記溝形成工程では,リング状の上記ベース部品に対して塑性加工あるいは成形を施して上記霧化溝を有する上記溝形成領域を形成することを特徴とするベル型霧化ヘッドの製造方法。
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