JP3557803B2 - 回転霧化静電塗装装置 - Google Patents

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    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
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    • B05B3/00Spraying or sprinkling apparatus with moving outlet elements or moving deflecting elements
    • B05B3/02Spraying or sprinkling apparatus with moving outlet elements or moving deflecting elements with rotating elements
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転霧化静電塗装装置に関し、特に、塗料の微粒化を促進し、塗着効率を高めることができる回転霧化静電塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電塗装法は、アースした被塗物を陽極、塗装装置を陰極とし、これに負の高電圧を与えて両極間に静電界をつくり、噴霧した塗料粒子を負に帯電させて、反対極である被塗物に効率よく塗料を吸着させる方法である。被塗物を陽極、塗装装置を陰極にしているのは、その逆の場合に比べて火花放電に移行しにくいという安全に対する実用上の理由に基づくものである。
【0003】
静電塗装装置は大別して、2つのタイプに区別することができ、1つは回転および静電気の力で塗料を微粒化し、塗料粒子を静電引力で被塗物に吸着させる回転霧化静電塗装装置であり、もう1つは圧縮空気の力、あるいは高い塗料圧力などの機械的な力によって塗料の微粒化を行ない、微粒化された塗料に電荷を与えて、静電引力で被塗物に吸着させるガンタイプの装置である。
【0004】
回転霧化静電塗装装置は、回転する金属製のカップ(「ベル」と称される場合もある。)、ディスク等の噴霧頭の遠心力によって塗料を霧化させ、しかもこのような金属製の噴霧頭に塗料の帯電および静電場を形成するための高電圧を印加する方式とすることが一般的である。従って、この金属製の噴霧頭は塗料を霧化する機能と同時に、被塗物との間に静電界を維持する機能等を同時に満たすという非常に優れたものであり、高い塗着効率を発揮する塗装装置として知られている。
【0005】
図7は、従来の回転霧化静電塗装装置の一例における先端部構造を概略示す断面図である。
【0006】
この装置において、装置内部に組込まれたモーターの中空シャフト21の先端部には、金属製カップ22が固定されており、一方中空シャフト21の内部には図示しない塗料ポンプに連通する塗料ノズル23が配してあり、その先端開口部は金属製カップ22内部に位置し、カップ22の内面側中央部位に開口する塗料出口孔24(多数の細孔が環状に配されている。)に連通している。また前記カップ22の外面側には、前記中空シャフト21の外周を定間隔をもって囲繞するエアーリング25が取付けられており、このエアリング25内部には、カップ22の外面に対向する先端面に開口する数多くのエア出口孔26と、側面側に開口するエア導入口27とを結ぶリング状マニホールドが形成されており、このエア導入口27は図示しないエア供給ポンプに連通している。また、前記中空シャフト21は、図示しない高電圧発生装置がケーブル等により電気的に接続され、中空シャフト21と導通するカップ2に所定の印加電圧を負荷できるようになっている。
【0007】
この装置において、塗料は、カップの回転軸の中心に位置する塗料ノズル23を通って、塗料出口孔24からカップ23内面に供給される。このカップ23はモーターによって高速回転しているために、カップ内面に供給された塗料は、遠心力によってカップ内面を伝って薄く引伸ばされ、カップ外縁部へと向う。外縁部には前記回転軸方向に概略沿って切られた多数の溝(図示せず)がカップ内面に形成されており、塗料はカップ外縁部から糸状に放出されることによって細かい粒状に霧化される。さらに微粒化された塗料は、エアーリング25のエア出口孔26より概ねカップの回転軸方向に噴出されるシェーピングエアと称される空気流によって被塗物方向に進路を曲げられる。一方、金属製カップには高電圧が印加されているためにカップ先端から被塗物に向ってコロナ放電が行われている。このため接触帯電によって微粒化前の塗料液体が帯電され、さらにコロナ放電によって得られるイオンによっても微粒化後の塗料粒子が帯電され、このように帯電された塗料粒子はクローン力によって効率良く被塗物へと運ばれ塗着効率が向上する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の回転霧化静電塗装装置において、上記したようなカップ(噴霧頭)の内面の形状は、図示したようにコップ状ないしは皿状の形状をなしており、被塗物方向に向って広がる円錐状の直線面、ないしは凹状の曲面であった。またその外縁部には上述したように前記回転軸方向に概略沿って切られた多数の溝がカップ内面に形成されているものの、カップ内面における内面側中央部位に開口する塗料出口孔よりこの外縁部に至るまでの部位、すなわち塗料拡散面は平滑面とされていた。
【0009】
このような形状および面性状を用いるのは、カップ内面への塗料溜まりをなくすることと、塗料液膜をカップの外縁部まで速やかに供給するためと考えられる。
【0010】
しかしながら、このような内面形状および内面性状を有するカップを用いた従来の回転霧化静電塗装方法にあっては、塗料の微粒化能力が高い反面、霧化された塗料粒子の粒径に比較的バラツキがあり、このうち比較的大きな粒子の飛行方向がシェーピングエアによっても十分には被塗物方向に曲げられず、いわゆる「傘」と呼ばれるパターンを形成するという問題があった。このパターンを形成する粒子は粒径が比較的大きいために塗着効率を低下させる原因となるばかりか、たまたま被塗物に付着した場合には塗膜面に微細な突部を形成し、硬化塗膜の鮮映性を低下させる原因となる。
【0011】
したがって、このような傘を作らないようにするためには、カップの回転数を高くして塗料の微粒化を促進させるか、シェーピングエアの流量、拭き出し速度を高めてすべての粒子を被塗物方向に向けるなどの対策が必要となる。しかしながら、カップの回転数を高めた場合には、傘を構成する塗料粒子の微粒化は促進されるものの全体的に細かくなるために、シェーピングエアの作る空気の渦によって被塗物以外に吹き飛ばされる粒子が増え、結果的に塗着効率が低下するという不具合がある。またシェーピングエアの圧力、流量を増した場合にも空気流が作る渦が強くなり、また被塗物上面での横流れの空気流が強くなることによってやはり塗着効率が低下する。このように塗着効率と塗膜品質とは相反する傾向にあり、従来はその自由度が少ないためにどちらかを優先して選択しなければならない場合が多かった。
【0012】
この原因が塗料粒子の粒度分布のバラツキ、ないしは粒度分布に幅があるためであることは知られていたが、なぜこのようなバラツキが発生するかについては知られていないものであった。
【0013】
従って本発明は、改良された回転霧化塗装装置を提供することを目的とする。本発明はまた、霧化により微粒化された塗料の粒度分布をシャープなものとすることができ、塗料の塗着効率の向上を図ることのできる回転霧化静電塗装装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記したような従来装置における問題点を解決するために鋭意研究を行なった結果、塗料を微粒化するための噴霧頭の内面性状に着目し、噴霧頭の内面における塗料拡散面に所定の要件を満たす多数の溝群等からなる微細構造を付与してなるカップ状噴霧頭を用いることにより、塗料供給面における塗料流の分裂細流化が生じることにより結果的に塗料の微粒化が良好に行なわれ、また微粒化された塗料の粒度分布がシャープなものとなることを見い出し、本発明に至ったものである。
【0015】
さらに本発明者らは、噴霧頭の内面形状についても着目し、前記噴霧頭の回転軸を含む一平面による断面において現れる前記塗料拡散面の断面線が、前記回転軸に対して非連続的ないしは連続的に傾きの異なるものとなるように、塗料拡散面の面形状を設計し、そして当該断面線の傾きの変る部位に前記したような溝群等からなる微細構造を配置すると、塗料微粒化がより促進されるとの知見も得た。なお、この場合、回転軸に対する当該断面線の傾きは、噴霧頭の中心部側より外縁部側の方が大きいものである、すなわち前記塗料拡散面を回転軸に向って凸状の面とすることがより望ましいものであった。
【0017】
すなわち、上記目的を達成する本発明は、(1) 回転するカップ状の噴霧頭を有する回転霧化静電塗装装置において、
前記カップ状噴霧頭の内面における塗料拡散面に、前記噴霧頭の半径方向に概略沿った方向に中心線を有する一定長の溝が円周方向全体にわたり相互に離間されて多数本配されてなる溝列を少なくとも一列以上有し、かつ
前記塗料拡散面は、前記噴霧頭の回転軸を含む一平面による断面において現れる前記塗料拡散面の断面線が、前記回転軸に対して非連続的ないしは連続的に傾きの異なる凸状の面形状を有し、
さらに当該断面線の傾きの変わる凸状部位に前記溝列配置されていることを特徴とする回転霧化静電塗装装置である。
【0018】
本発明はさらに、() 前記溝列における溝の本数が、上記噴霧頭の内面上に塗料を供給する塗料出口孔の個数よりも多いことを特徴とする上記(1)に記載の回転霧化静電塗装装置を示すものである。
【0020】
本発明はさらに、() 前記塗料拡散面の断面線の回転軸に対する傾きが、前記噴霧頭の中心側に比べて外縁部側が大きいことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の回転霧化静電塗装装置を示すものである。
【0021】
本発明はさらにまた、() 前記前記噴霧頭の内面側の外縁部にも、該噴霧頭の半径方向に概略沿った方向に中心線を有する溝が円周方向全体にわたり相互に離間されて多数本配されてなる溝列を有することを特徴とする上記()〜()のいずれかに記載の回転霧化静電塗装装置を示すものである。
【0022】
本発明はまた、() 前記カップ状噴霧頭が電気絶縁体で構成されていると共に、該噴霧頭の外面もしくはこの外面よりもさらに外側に放電電極を備えてなることを特徴とする上記()〜()のいずれかに記載の回転霧化静電塗装装置を示すものである。
【0023】
本発明はさらに、() 前記放電電極が、前記噴霧頭の外面に密着した導電性材料で構成されていると共に、該放電電極が該カップ状噴霧頭の外縁部まで配設されていることを特徴とする上記()に記載の回転霧化静電塗装装置を示すものである。
【0024】
本発明はさらに、() 前記放電電極が、複数の電極で構成されると共に、互いに独立した10KΩ〜500MΩの抵抗を介して共通の高電圧発生装置に接続されていることを特徴とする上記()または()に記載の回転霧化静電塗装装置を示すものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明する。
【0027】
本発明に係る回転霧化静電塗装装置は、基本的には、噴霧頭の内面に付与された微細構造、ないしはさらに内面形状に関して従来の回転霧化静電塗装装置におけるもの相違するものであって、これ以外の点については、本質的に従来ものと変わる点はない。従って、本発明は、従来知られる各種の態様の回転霧化静電塗装装置のいずれに関しても、以下に述べるごとき改良を加えるのみで適用可能である。
【0028】
本発明に係る回転霧化静電塗装装置においては、前記カップ状噴霧頭の内面における微細構造、ないしはさらに内面形状の改良によって、塗料の良好な微粒化を達成したものであるため、噴霧頭の回転数を高めて塗料を必要以上に微細化したり、あるいは必要以上に高圧ないしは高速のシェーピングエアを用いて全ての塗料粒子を被塗物方向へ飛行させるといった方策を採択しなくとも、所定の回転数をもって粗大粒子の発生なく良好な微細化を行なえ、かつ比較的低圧ないしは低速のシェーピングエアをもって全ての塗料粒子を被塗物方向へ飛行させることができるために、塗着効率と塗膜品質の双方を向上させることができるものである。
【0029】
本発明に係る回転霧化静電塗装装置において使用される、上記したような塗料の良好な微細化を図ることのできるカップ状噴霧頭は、その内面における塗料拡散面に、供給された塗料液の分裂細流化を図る微細構造を付与してなるものである。なお噴霧頭の「塗料拡散面」とは、噴霧頭の内周面側において、その中心部位に設けられた塗料出口孔より半径方向外方の外縁部に至るまでの面を言う。
【0030】
従来用いられていたカップ状噴霧頭は、その内面が被塗物方向に向って広がる円錐状の直線面、ないしは凹状の曲面であり、またその外縁部には上述したように多数の溝がカップ内面に形成されているものの、塗料拡散面は平滑面であった。このため、噴霧頭の中心部位に配された塗料出口孔より塗料拡散面に供給された塗料は、遠心力により直ちにカップ外縁部に運ばれ、また直ちにカップの外縁部より放出されるため、カップの拡散面に供給される塗料の量が直接、カップ外縁部での液膜厚さに反映されると考えられる。このとき、若干でも他の塗料出口孔より多い量の塗料が供給されると比較的大きな粒径を作り、逆に他の塗料出口孔よりも少ない量しか供給されない場合には比較的小さな粒子を作ると考えられる。
【0031】
この塗料の供給量は、噴霧頭の塗料拡散面より内方に全周にわたって設けられた20〜80個程度の塗料出口孔の工作精度に依存すると考えられるが、一端多量に供給された塗料は表面張力によりさらに多量の塗料を引き出すと考えられ、結果として不均一性が拡大ないしは保存されることとなる。
【0032】
しかしながら、本発明におけるように、塗料拡散面に塗料液の分裂細流化を促進する微細構造を設けておくことにより、塗料拡散面に供給された塗料液は、塗料拡散面上で多数の液糸に分裂し、個々の液糸に供給される塗料の量が少なくなるためにこのような不均一性が少なくなるものと考えられるものである。
【0033】
塗料拡散面に設けられる塗料液の分裂細流化を図る微細構造としては、具体的には、例えば、該噴霧頭の半径方向に概略沿った方向に中心線を有する一定長の溝が円周方向全体にわたり相互に離間されて多数本配されてなる溝列を代表的なものとして例示することができるが、同様の作用する微細構造であれば、このような溝構造に限定されるものではない。すなわち、噴霧頭の内面における中心部位に供給された塗料液は、噴霧頭の回転により与えられる遠心力によって塗料拡散面に沿って放射状に広がりながら外縁部へと向う流れを形成するが、微細構造の個々の構成要素が、この流れを進行方向に概略沿って分裂させかつ分岐された流れの再結合が生じないような障害物として機能するものであれば、個々の構成要素は上記した溝のような凹状のものでなくとも、凸状のものあるいはこれら双方を組合せたものでもよく、また、その平面形状自体も、長方ないし正方の矩形、三角形、円ないし楕円形、涙粒形、円弧状などといった各種の形状とし得る。そして、このような構成要素を円周方向全体にわたり相互に離間して均等に配置してなる微細構造であれば、上記したような溝列と同様に塗料液の分裂細流化を図ることができると考えられるためである。
【0034】
もっとも、このような微細構造としては、当該微細構造の各構成要素によって効率よく塗料流れを分裂させかつ一旦分岐した流れが再結合を生じにくいものとするためには、各構成要素が一定以上の長さを有し、かつその長さ方向を塗料の流れ方向、すなわち、噴霧頭の半径方向に概略沿った方向に配置されたものであることが望ましい。すなわち、各構成要素が一定以上の長さを有しないと分岐された流れに安定した方向性を付与できず、当該構成要素の存在位置よりも外縁部側(下流側)で再結合が生じてしまい、またその長さ方向を噴霧頭の半径方向より大きく傾く、すなわち周方向側に大きく変向させて配置すると、当該構成要素を塗料が乗り越えて移動するだけで分裂が生じない可能性が大きく、また塗料流れをせっかく分裂させても、当該構成要素の存在位置よりも外縁部側(下流側)では、遠心力によって再度流れが半径方向へと向おうとするために分岐させた流れが再結合してしまうためである。
【0035】
なお、当該構成要素が半径方向より変向しているものである場合、噴霧頭の回転方向との関係も考慮すべきである。例えば、図1に示すように、構成要素Aの中心線cに対し、当該構成要素の中心部側末端xにおいてこの中心線と交差する噴霧頭Bの半径方向に延長された直線rを引き、当該中心線cと当該直線rとにより噴霧頭Bの外縁側に形成される交差角θを想定する。そして当該直線rを基準として、回転軸回り前記中心線cの位置を考えれば、中心線cは直線rよりも位相差θだけ離れた位置に存在することとなるが、この場合の位相差θの有する符号(図中においては「負」)が、噴霧頭の回転方向ωの有する符号(図中においては「正」)とが異なるものである場合には、ある程度θの絶対値が大きいものであっても、上記したような分裂能が低下するあるいは分岐させた流れが再結合する傾向は生じにくいが、逆に図2に示すように、位相差θの有する符号(図中においては「正」)が、噴霧頭の回転方向ωの有する符号(図中においては「正」)とが同じものである場合には、不具合が生じる傾向が強くなるため避けるべきである。これは噴霧頭の回転数および内面形状にもよるが、塗料拡散面に供給された塗料は、厳密には半径方向に沿って直線的に外縁部へと流れるのではなく、ある程度周方向にも変向(回転方向に逆方向)されながら流れているためである。
【0036】
さらに上記したような微細構造自体の形成の容易性等を考慮すると、上記したような溝列を形成する態様が最も好ましいものであると考えられる。以下、この実施態様を中心として本発明を説明するが、微細構造の各構成要素が溝以外のものであるその他の実施態様においても、以下に述べる点は共通する場合が多いことは当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0037】
微細構造が上記したような溝列により構成される態様において、この溝列における溝の本数としては、上記噴霧頭の内面上に塗料を供給する塗料出口孔の個数のよりも多いことが、より効果的に塗料流を分裂させる上で望まれる。すなわち、当該溝列の配置位置によっても左右されるため一概には規定できないが、例えば塗料出口孔の個数の2〜50倍、より好ましくは5〜10倍程度であることが通常は望ましい。
【0038】
また当該溝の長さとしては、少なくとも1mm程度以上あればよく、それ以上の長さであれば長くなるほど塗料の微粒化という観点からはより優れた効果が期待できるが、溝が極端に長いものとなるとその形成加工が困難となるといった問題や、塗料中に含まれる顔料、金属片といったビヒクル成分が溝内に詰まるといった不具合が発生しやすくなる傾向が生じる。このため、通常は、1〜5mm程度、より好ましくは1.5〜3mm以内とされる。しかしながら、溝が噴霧頭の外縁部まで延長されているといった非常に長いものである態様を取ることも本発明においては可能である。
【0039】
また当該溝の幅としては、当該溝列の配置位置にもよるが、通常は、塗料出口孔の開口径と同等ないしこれよりも狭いものとされることが望ましく、例えば、塗料出口孔の開口径の1/2〜1/20倍、より好ましくは1/3〜1/5倍程度であることが望ましい。さらに具体的には、溝幅は例えば0.5〜0.05mm、より好ましくは0.3〜0.2mm程度とされる。
【0040】
また溝の深さとしては、特に限定されるものではないが、例えば0.05〜3mm、より好ましくは0.1〜0.2mm程度が通常は望ましい。
【0041】
さらに溝の底部形状としては、特に限定されず断面V字状、U字状あるいはコの字状といった任意の形状となし得るが、溝内部への塗料成分の詰まり等を考慮するとあまり鋭角なエッジを有しないことが望ましい。逆に溝の上部と塗料拡散面とのなす上部エッジ形状としては、溝の深さにも左右されるが、極端に角を丸くしたものであると、場合によっては塗料流を有効に分裂させることができない可能性が生じてくるために、エッジが明確なものであることが望ましい。
【0042】
また相互に離間された溝と溝との間の間隔としては、溝の配置位置、溝の本数によっても左右され、上記したような所定本数の溝が塗料拡散面の周方向全体にほぼ均等に配置される限り、その間隔は特に限定されるものではないが、例えば、3〜20mm、より好ましくは5〜10mm程度の間隔とすることが通常は望ましい。
【0043】
さらに各溝は、その中心軸を前記噴霧頭の半径方向に沿って配置させることが望ましいが、必ずしも厳密に沿わせる必要はなく、ある程度変向したものであってもよい。噴霧頭の回転数等によっても左右されるが、前記した交差角θが噴霧頭の回転方向と異なる方向に形成される場合は、その角度が例えば20°程度までであれば塗料流に対する良好な分裂効果が期待でき、一方、前記した交差角θが噴霧頭の回転方向と同じ方向に形成される場合でも、その角度が例えば5°程度までであればある程度の分裂効果が期待できるためである。
【0044】
また各溝の形状としても、その中心線が必ずしも直線状となるものでなくともよく、極端に小さな曲率半径を有しない限り円弧状のものであってもよい。なおこのように円弧状の溝である場合には、噴霧頭の半径方向からの当該中心線の傾きが、噴霧頭の中心部側よりも外縁部側が大きくなるように、しかも噴霧頭の回転方向と逆方向にねじれていくように配する必要がある。
【0045】
しかしながら、噴霧頭の内面における塗料拡散面に全周にわたり形成された溝列における各溝同士は、実質的に全て同一の大きさ、形状等を有し、かつ噴霧頭中心部よりの配置位置までの距離、噴霧頭の半径方向に対する傾斜角度等が実質的に同一のものであることが、周方向全方向において均質に塗料を微粒化する上から望まれる。なお、溝の長さ程度については、いくつか種類の異なるものを複合して用いることは可能であるが、この場合においても周方向に一定の規則性をもって配列することが必要である。
【0046】
本発明に係る溝列は、多数本の溝を塗料拡散面の全周にわたり相互に離間して配置することにより形成されるが、上記したように各溝の配置位置が噴霧頭の中心部より実質的に等しい距離とされるため、当該溝列は、これを1つとして見ると、噴霧霧頭の塗料拡散面の所定部位に同軸的に形成された、ちょうど環状体のごとき外観を呈する。この外観環状の溝列の配置位置としては特に限定されるものではなく、噴霧頭の中心部側から外縁部に至る塗料拡散面のいずれの部位に形成してもよく、また塗料拡散面に溝列を2列以上形成することも可能である。
【0047】
しかしながら、好ましくは、塗料拡散面の面形状を、前記噴霧頭の回転軸を含む一平面による断面において現れる前記塗料拡散面の断面線が、前記回転軸に対して非連続的ないしは連続的に傾きの異なるものとなるように設計し、そして当該断面線の傾きの変る部位(以下、「変曲部」とも称する。)に前記したような溝列を配置することが望ましい。これは、このような変曲部においては、塗料拡散面に沿って移動する塗料の挙動に変化が生じる、すなわち、塗料が円周方向に拡散される割合と、半径方向外縁側へと拡散される割合とが変化するため、当該部位に溝等の微細構造を形成しておくと、より効果的に塗料流の分裂を起すことができるためと考えられるためである。
【0048】
なお、この場合、回転軸に対する当該断面線の傾きは、噴霧頭の中心部側より外縁部側の方が大きいものである、すなわち前記塗料拡散面を回転軸に向って凸状なものとすることがさらに望ましい。
【0049】
これは凸状の塗料拡散面上では、塗料が従来型の噴霧頭におけるものとは異なる挙動をなし、塗料拡散面での塗料の液膜厚さが均一に薄くなるものと考えられ、上記したような溝列のごとき微細構造に加え、面形状によっても塗料の微細化効果を促進することができるためである。
【0050】
すなわち、噴霧頭の中心部に位置する塗料出口孔から供給された塗料は、噴霧頭が高速回転することによって生じる遠心力によって外方へと向い塗料拡散面へと到達するが、塗料拡散面の開始部分(すなわち回転軸側末端部分)は、噴霧頭の回転軸となす角度が小さいものであるために、前記遠心力の大部分は供給された塗料液の液面を周方向に広げるように働く。一方、わずかに半径方向への分力があるためにカップの半径方向外方(外縁部方向)へも押し出される。この時点で塗料液面が周方向にほぼ均一化され、塗料出口孔の工作精度を極端に高くしなくとも塗料供給液量を周方向全体にわたり均一化する効果が得られる。次いで塗料液は、変曲部において前記溝列によって分裂され、遠心力によってより外縁側に運ばれるが、これより外縁側では塗料拡散面の回転軸に対する傾きが中心部側の傾きよりも大きいために、多数の糸状に供給された塗料は、急激に引き延ばされ、外縁部に近づくに従って塗料液膜厚さが薄くなる。このため同等の回転数では、本発明に係る噴霧頭の方が従来の噴霧頭に比べ微細化能力がより高いという効果が得られるものである。
【0051】
このように塗料拡散面を回転軸に対して凸状のものとした場合、噴霧頭の中心部に位置する塗料出口孔直後の部位の回転軸に対する傾きは、塗料出口孔から供給された塗料を噴霧頭の内周面の周方向に拡散し均一化するという理由上から、小さい方が望ましく、具体的には例えば、噴霧頭の回転軸に対して5°以下の角度であることが望ましい。なお、当該部分が回転軸と平行になる場合、すなわち回転軸となす角度が0°となる場合を特に排除するものではないが、この場合、0°の部分では丁度遠心分離装置におけると同様の作用が生じ、顔料を含んだ塗料を霧化しようとすると顔料が分散媒から分離して噴霧頭内周面に沈着し、噴霧頭の洗浄性が著しく劣ることとなるという、別の観点からの欠点が生じるために望ましくない。
【0052】
一方、塗料拡散面の外縁部側の部分の前記回転軸となす角度は90°の場合、すなわち平板状となるものを特に排除するものではないが、後述するようにその先端部に溝加工を施すためには90°よりもやや小さいことが望ましい。
【0053】
また塗料拡散面は外縁側に向って、非連続的に1段ないし他段に、回転軸に対するその傾きを順に大きくなるように変化させることが可能であるが、連続的にその傾きが漸次大きくなるように変化させる、すなわち曲面状のものとすることも可能である。このように曲面とする場合、その加工に手間がかかるという不具合があるものの、前記したような溝列が1列でも安定した微粒化効果が得られるという利点がある。
【0054】
さらに本発明に係る噴霧頭においては、従来の噴霧頭におけるものと同様に、噴霧頭の内面側の外縁部、すなわち塗料拡散面の外縁側末端にも、該噴霧頭の半径方向に概略沿った方向に中心線を有する溝が円周方向全体にわたり相互に離間されて多数本配されてなる溝列を形成することができる。このような溝構造は、塗料放出を糸状にする目的から形成されるものであるが、本発明に係る噴霧頭において、塗料液膜の均一性および液膜厚さを決定するのは当該外縁部の溝構造に達する前の塗料拡散面に設けられた前記したような溝列のごとき微細構造および塗料拡散面の面形状であるため、塗料放出を糸状とすることについては従来と同様の効果を得ることができる。またこの溝の形成方向としては、特に限定されるものはないが、加工の容易性からは、該噴霧頭の半径方向に形成することが望ましい。
【0055】
また本発明に係る噴霧頭は、従来と同様に金属製のものであっても、また樹脂等の絶縁性材料により構成されたものであってもよく、いずれの材質のものであっても、上記したような塗料拡散面に溝列を設けたことによる効果はほぼ同等に得られる。
【0056】
噴霧頭として絶縁性材料により構成されたカップとした場合、別途放電電極を設ける必要がある。なお、本体が絶縁性材料により構成され、後面に放電電極を有する噴霧頭の構造としては、本発明者らが先に出願した特願平7−291394号に詳細に述べられているが、以下に簡単に説明する。
【0057】
噴霧頭を構成する絶縁性材料としては、使用される塗料組成物、特に溶剤等に対して十分な耐性を有しかつ絶縁性のものであれば特に限定されるものではなく、使用される塗料組成物の種類によっても左右されるが、例えば、ポリエーテルエーテルケトンなどの各種の合成樹脂が好ましく用いられ得る。
【0058】
また、このような噴霧頭の後面設けられる放電電極は、この放電電極は、噴霧頭の後面に直接接触させて形成することも、あるいは噴霧頭の後面より所定距離、例えば、1〜10mm程度の距離を離間させて別体的に形成することも可能であるが、噴霧頭の後面に直接接触させて形成する態様が望ましい。なお水系塗料を使用するなどの特殊な場合には外部に放電電極を設けたほうが望ましい場合もある。例えば、導電性塗料、金属蒸着膜、導電性金属酸化物の蒸着膜、無電解メッキ膜、スパッタ膜、CVD膜等によって噴霧頭の後面に直接放電電極を形成することが可能である。もちろん金属薄板を貼着するといった態様も採用可能である。このうち、特に導電性塗料を用いるとコスト的に安価にかつ施工性も容易に所定形状の電極を形成することができる。導電性塗料組成物における、導電性フィラーとしては、カーボン粒子、銀粒子、導電性セラミックウィスカーなどの既存のもので良く、また樹脂成分としては、例えばエポキシ系、フッ素系等の耐溶剤性に優れたものであることが望ましいが、直接シンナー等の溶剤のかかる部位ではないために極度に高い耐溶剤性は必要とされず、公知の各種のものを用いることが可能である。
【0059】
このような放電電極は、前記噴霧頭の後面に全面的に形成されたものであってもかまわないが、望ましくは、噴霧頭の中心部よりある特定の複数方向、例えば2〜12つ程度の方向のみに局部的に外方に延長された形態、平易に言えば、略星型の形態であることがコロナ放電量の増加に有効であり、望ましい。さらに、このように複数の放電電極が形成される場合、互いに独立した10KΩ〜500MΩの抵抗を介して共通の高電圧発生装置に接続されていることとすることが放電の安定化に望ましい。
【0060】
本発明に係る静電塗装装置において、上記に説明したような噴霧頭以外の構成部分については、従来知られる静電塗装装置における各種の態様のいずれをも用いることができ、例えば、噴霧頭および放電電極を回転させるモーターとしては、電力による電動モーター、空気圧によるエアモーターなどのいずれを使用することができ、高電圧発生装置としてもこのような駆動方式に応じた適当な電圧を発生し得る任意の装置を用いることができる。また、塗料供給系としても、水系、有機溶剤系、ハイソリッド型、2液性ハイソリッド型などといった対象とする塗料の種類に応じて、適当な容量、吐出量を有するポンプ、例えばギアポンプなどを使用し、さらに適宜、ポンプ回転数を遠隔制御する駆動装置、スタティックミキサーなどのミキシング装置等を使用することが可能である。また、スパークガードシステム、装置の監視および異常時の急停止を行なう制御装置、定電圧装置、消火設備などといった安全装置、その他、各種絶縁部品および防爆部品の使用としても従来公知の各種態様を採用し得る。また設置方式としても固定式、レシプロケート式などのいずれの方式にも採用することが可能である。
【0061】
また本第2発明に係る回転噴霧頭は、回転霧化静電塗装装置の先端部に設けられるカップ状の回転噴霧頭であって、前記カップ状噴霧頭の内面における塗料拡散面に、該噴霧頭の半径方向に概略沿った方向に中心線を有する一定長の溝が円周方向全体にわたり相互に離間されて多数本配されてなる溝列を、少なくとも一列以上有することを特徴とするものであり、上記第1発明に係る回転霧化静電塗装装置において述べた、噴霧頭と本質的に同一のものである。従って、その詳細については説明を省略するが、このような本第2発明に係る回転噴霧頭は、従来の回転霧化静電塗装装置において取付けられた、塗料拡散面が回転軸に向って凹状またはほぼ直線的に漸次拡径された平滑な面である噴霧頭と取替えるのみで、使用することが可能であり、実質的に他の部位に変更を加えることなく、既存の装置にて、容易に、塗料の高度の微粒化、さらには塗料粒子の粒径分布をシャープなものとすることができ、塗着効率の改善が図れるものである。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0063】
図3は、本発明に係る回転霧化静電塗装装置の一実施例における噴霧頭としてのカップの断面図である。
【0064】
この実施例において、カップ内面の塗料拡散面の断面線とカップの回転軸となす角度が、途中で大きく異なるものとされ、そしてこの変曲部に溝列を形成し、また塗料拡散面の傾きは外縁部側の傾きが中心部側よりも大きくなるように構成されている点が従来と異なる点で、その他は図6に示したような従来の回転霧化静電塗装装置と本質的に異なる点はない。
【0065】
この実施例において、モーターの中空シャフト1の先端部には、カップ2が固定されており、中空シャフト1の内部に配された塗料ノズル3の先端開口部は金属製カップ2内部に位置し、カップ2の内面側中央部位に開口する環状に配された約60個の塗料出口孔4に連通している。しかしてカップ2の内面の前記塗料出口孔4の存在位置より外縁部8に至るまでの塗料拡散面9は、回転軸方向における長さのほぼ半分の位置において傾きが変えられ、この変曲部より中央部寄りの部分9aはその傾きが5°、外縁部寄りの部分9bは傾きが80°とされている。そして、この変曲部には、カップの半径方向に沿った方向に中心線を有する長さ1mm、幅0.2mm、深さ0.1mmの溝が円周方向全体にわたり相互に離間されて均等に360本配されて、溝列10を形成している。
【0066】
またこのカップ2の内面側の外縁部には、カップの半径方向に沿って切られた多数の溝11が形成されている。
【0067】
このカップ2の回転軸の中心に位置する塗料ノズル3を通って、塗料出口孔24からカップ内面に塗料が供給されると、カップ2はモーターによって高速回転しているために、遠心力によって外方へと向い塗料拡散面へと到達するが、この塗料拡散面の開始部分が5°と小さいために、前記遠心力の大部分は供給された塗料液の液面を周方向に広げるように働く。一方、わずかに半径方向への分力があるためにカップの半径方向外方(外縁部方向)へも押し出される。この時点で塗料液面が周方向にほぼ均一化される。次いで塗料液は、変曲部において前記溝列10によって分裂され、遠心力によってより外縁側に運ばれるが、これより外縁側では塗料拡散面の回転軸に対する傾きが中心部側の傾きよりも大きいために、多数の糸状に供給された塗料は、急激に引き延ばされ、外縁部に近づくに従って塗料液膜厚さが薄くなる。次いで塗料液面は外縁部8へと運ばれ、多数の溝11の存在により糸状に放出されることによって細かい粒状に霧化されるが、上記したようにカップより放出された塗料は、高度の微粒化がなされ、かつ塗料粒子の粒径分布がシャープなものとなる。
【0068】
従って、カップ2より放出された塗料粒子はいずれも、カップ2の後面側より吹き出されているシェーピングエアを比較的低圧ないしは低速のものとしても、当該シェーピングエアによって容易に被塗物方向に飛跡が変えられ、結果的に高い塗着効率が得られる。なお、金属製カップ2には高電圧が印加されているためにカップ先端から被塗物に向ってコロナ放電が行われている。このため接触帯電によって微粒化前の塗料液体が帯電され、さらにコロナ放電によって得られるイオンによっても微粒化後の塗料粒子が帯電され、このように帯電された塗料粒子はクローン力によって効率良く被塗物へと運ばれる。
【0069】
図4は、カップ2の内面の塗料拡散面9がその傾きを2段階(5°→60°→80°)に変え、それぞれの変曲部に図3に示したと同様の溝列10を有してなるカップの例を、また図5は、カップ2の内面の塗料拡散面9が図3に示したと同様に途中でその傾きを変え、この変曲部に図3に示しものよりも長い溝(長さ10mm)より構成される溝列10を有してなるカップの例を示すものである。これらのカップをそれぞれ回転霧化静電塗装装置に取付けて、塗料霧化を行なうと、図3に示した実施例と同様の作用を得ることができ、塗料微粒化に関する限りはさらに安定した効果を得ることができるが、溝列の形成加工がやや難しくなる。特に溝を長くする場合はカップの外縁部側から中央部に向って放射状の対称的な溝を加工する必要があるため、加工性に難点があるが、例えば精密金型からの転写や、射出成型によって加工する場合にはこのような欠点を除去し得る可能性が高い。また、これらの例においてはクリア塗料では問題ではないが、メタリック塗料を微粒化すると一部の溝の中にアルミ片がつまる場合があるといった不具合が発生する可能性がある。
【0070】
さらに、図6はカップ2の内面が、回転軸に対するその傾きを連続的に変化させてなる曲面である例を示すものである。この例においては曲面加工に手間がかかるという問題は生じるものの、一列の溝列でも安定した微粒化が得られるという利点がある。
【0071】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、カップ状噴霧頭の内面に溝列といった微細構造を付与してなることによって、塗料の良好な微粒化を達成したものであるため、噴霧頭の回転数を高めて塗料の必要以上に微細化したり、あるいは必要以上に高圧ないしは高速のシェーピングエアを用いて全ての塗料粒子を被塗物方向へ飛行させるといった方策を採択しなくとも、所定の回転数をもって粗大粒子の発生なく良好な微細化を行なえ、かつ比較的低圧ないしは低速のシェーピングエアをもって全ての塗料粒子を被塗物方向へ飛行させることができるために、塗着効率と塗膜品質の双方を向上させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴霧頭の内面に形成される微細構造の構成要素の配置方向を説明するための平面図、
【図2】噴霧頭の内面に形成される微細構造の構成要素の別の配置方向を説明するための平面図、
【図3】本発明に係る回転霧化静電塗装装置の一実施例におけるカップの構造を概略示す断面図、
【図4】別の実施例に係るカップの断面図、
【図5】さらに別の実施例に係るカップの断面図、
【図6】さらに別のカップの断面図、
【図7】従来の回転霧化静電塗装装置の一例における先端部構造を概略示す断面図。
【符号の説明】
1…モーターの中空シャフト、
2…カップ、
3…塗料ノズル、
4…塗料出口孔、
8…外縁部、
9…塗料拡散面、
10…溝列、
11…外縁部の溝、
A…構成要素、
B…噴霧頭、
c…構成要素の中心線、
r…噴霧頭の半径方向に延長された直線、
θ…交差角、
ω…回転方向。

Claims (7)

  1. 回転するカップ状の噴霧頭を有する回転霧化静電塗装装置において、
    前記カップ状噴霧頭の内面における塗料拡散面に、前記噴霧頭の半径方向に概略沿った方向に中心線を有する一定長の溝が円周方向全体にわたり相互に離間されて多数本配されてなる溝列を少なくとも一列以上有し、かつ
    前記塗料拡散面は、前記噴霧頭の回転軸を含む一平面による断面において現れる前記塗料拡散面の断面線が、前記回転軸に対して非連続的ないしは連続的に傾きの異なる凸状の面形状を有し、
    さらに当該断面線の傾きの変わる凸状部位に前記溝列配置されていることを特徴とする回転霧化静電塗装装置。
  2. 前記溝列における溝の本数が、上記噴霧頭の内面上に塗料を供給する塗料出口孔の個数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の回転霧化静電塗装装置。
  3. 前記塗料拡散面の断面線の回転軸に対する傾きが、前記噴霧頭の中心側に比べて外縁部側が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の回転霧化静電塗装装置。
  4. 前記噴霧頭の内面側の外縁部にも、該噴霧頭の半径方向に概略沿った方向に中心線を有する溝が円周方向全体にわたり相互に離間されて多数本配されてなる溝列を有することを特徴とする請求項のいずれかに記載の回転霧化静電塗装装置。
  5. 前記カップ状噴霧頭が電気絶縁体で構成されていると共に、該噴霧頭の外面もしくはこの外面よりもさらに外側に放電電極を備えてなることを特徴とする請求項のいずれかに記載の回転霧化静電塗装装置。
  6. 前記放電電極が、前記噴霧頭の外面に密着した導電性材料で構成されていると共に、該放電電極が該カップ状噴霧頭の外縁部まで配設されていることを特徴とする請求項に記載の回転霧化静電塗装装置。
  7. 前記放電電極が、複数の電極で構成されると共に、互いに独立した10KΩ〜500MΩの抵抗を介して共通の高電圧発生装置に接続されていることを特徴とする請求項またはに記載の回転霧化静電塗装装置。
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