以下に添付図面を参照して、本発明にかかる飲料生成装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1〜図3は、本発明の実施の形態1である飲料生成装置を示したものである。ここで例示する飲料生成装置は、コーヒー豆(原料豆)を用いたレギュラーコーヒーと称されるコーヒー飲料の生成を行う一方、砂糖や粉末ミルク、粉末ココア等の粉末原料を用いて飲料の生成を行うもので、装置筐体1の内部にコーヒー豆を貯蔵する豆容器10と、粉末原料を貯蔵する粉末容器20とを備えている。
豆容器10は、図4に示すように、上端部にコーヒー豆を投入するための投入用開口11を備える一方、下端部にオーガスクリュ12を備え、駆動ユニット13のモータ13aによってオーガスクリュ12を回転した場合に下端部前方のノズル14から所定量のコーヒー豆を払い出すものである。投入用開口11には、これを開閉するための蓋体15が設けてある。豆容器10のノズル14から払い出されたコーヒー豆は、シュータ16を介してコーヒーミル17に供給され、コーヒーミル17の駆動によって挽き豆となり、その後、抽出容器18(図2参照)においてコーヒー飲料の抽出に供される。図4からも明らかなように、シュータ16とコーヒーミル17との間を接続するコーヒー豆の通過通路19には、その横断面積を可及的に小さく構成した絞通路19aが設けてある。本実施の形態1では、同様の構成を有した3個の独立した豆容器10が装置筐体1の内部に互いに並設する態様で配設してある。
粉末容器20は、図5に示すように、上端部に粉末原料を投入するための投入用開口21を備える一方、下端部にオーガスクリュ22を備え、駆動ユニット23のモータ23aによってオーガスクリュ22を回転した場合に下端部前方のノズル24から所定量の粉末原料を払い出すものである。投入用開口21には、これを開閉するための蓋体25が設けてある。粉末容器20のノズル24から払い出された粉末原料は、キャップ26を介して一時保留筒27に供給され、その後、適宜のタイミングで一時保留筒27の底部が開口することによりカップCに吐出されて飲料の生成に供される。本実施の形態1では、同様の構成を有した多数の独立した粉末容器20が装置筐体1の内部に互いに並設する態様で配設してある。
また、上記飲料生成装置には、装置筐体1の内部において豆容器10を囲繞する部位に豆容器収容室30が設けてあるとともに、粉末容器20を囲繞する部位に粉末容器収容室(本発明の収容室)40が設けてある。
豆容器収容室30は、図1〜図4に示すように、3個の豆容器10をすべて囲繞する態様で画成したもので、上面が開口した箱状の収容室本体31と、収容室本体31の上面開口31aを開閉する扉体32とを備えて構成してある。扉体32は、一枚の板状に構成してあり、これを開放することによって収容室本体31の内部に収容された豆容器10を取り扱うことができるようになる(図4中の二点鎖線参照)。豆容器収容室30の扉体32及び4つの側壁33は、いずれも断熱性を有した断熱壁部材によって構成してある一方、豆容器収容室30の底壁34は、他の断熱壁部材よりも断熱性が十分に小さい壁部材によって構成してある。
この豆容器収容室30の内部には、オーガスクリュ12を回転させる駆動ユニット13及びノズル14を含む豆容器10の全体部分と、ノズル14から払い出されたコーヒー豆を受け入れるシュータ16までの構成が収容してある。具体的には、豆容器収容室30の底壁34に支持フレーム35が設けてあり、駆動ユニット13及びノズル14を含む豆容器10の全体部分がロードセル36を介して支持フレーム35の上面に取り付けてある一方、支持フレーム35の前面にノズル14と接触しない態様でシュータ16が取り付けてある。
粉末容器収容室40は、図1〜図3及び図5に示すように、すべての粉末容器20を囲繞する態様で画成したもので、前面が開口した箱状の収容室本体41と、収容室本体41の前面開口41aを開閉する扉体42とを備えて構成してある。扉体42は、揺動軸部材42aによって互いに揺動可能に接続した2枚の平板状を成す扉要素42b,42cを備えたものである。この扉体42は、扉要素42b,42cを手前側に向けて適宜揺動して粉末容器収容室40の前面開口41aを開放することにより、内部の粉末容器20、ノズル24、キャップ26及び一時保留筒27を取り扱うことが可能となる(図5中の二点鎖線参照)。粉末容器収容室40の上壁43、3つの側壁43及び底壁44、扉体42は、いずれも豆容器収容室30の断熱壁部材よりも断熱性が十分に小さい壁部材によって構成してある。
この粉末容器収容室40の内部には、オーガスクリュ22を回転させる駆動ユニット23及びノズル24、キャップ26を含む粉末容器20の全体部分と、ノズル24から払い出された粉末原料を受け入れる一時保留筒27の上端部までの構成が収容してある。具体的には、粉末容器収容室40の底壁44に支持フレーム45が設けてあり、駆動ユニット23及びノズル24、キャップ26を含む粉末容器20の全体部分がロードセル46を介して支持フレーム45の上面に取り付けてある一方、キャップ26に接触しない態様で一時保留筒27の上端部が粉末容器収容室40の底壁44に取り付けてある。
さらに、上記飲料生成装置には、図1〜図5に示すように、冷却手段50及び空気循環手段60が設けてある。冷却手段50は、後述の空気循環手段60によって循環される空気を冷却するもので、図1及び図3に示すように、豆容器収容室30の内部に熱交換器51及びこれを収容する冷却室52を配設することによって構成してある。熱交換器51は、装置筐体1の内部に設けられた冷却水槽70の冷却水が給水通路53及び返還通路54を介して循環供給されるものである。冷却水槽70は、内部にほぼ0℃の冷却水を貯留するものである。冷却水槽70から熱交換器51に至る給水通路53には、冷却水槽70の冷却水を圧送するための冷却水ポンプ55が設けてある。冷却室52は、熱交換器51を収容する箱状体である。この冷却室52には、通風口52aが設けてあるとともに、排水通路56が接続してある。通風口52aは、冷却室52の内部と豆容器収容室30の内部とを連通する比較的大きな開口である。排水通路56は、冷却室52の底部に貯留した水を冷却水槽70に返却するための通路である。この排水通路56の下端部は、冷却水槽70に貯留した冷却水の内部に浸漬させてある。
空気循環手段60は、豆容器収容室30と粉末容器収容室40との間において空気を循環させるもので、第1連絡通路61、第2連絡通路62、排気ファン63及び吸気ファンを備えている。
第1連絡通路61は、冷却室52と粉末容器収容室40の内部に設けた排気ファン63との間を連通させる態様で設けた通路である。排気ファン63は、回転駆動した場合に、第1連絡通路61を通じて粉末容器収容室40の内部から豆容器収容室30の内部に空気を導出するものである。この排気ファン63は、そのファン筐体63aが粉末容器収容室40の上部において複数の粉末容器20における並設方向の略中央に配設してある。また、ファン筐体63aの底壁63bに有した吸入口63cには、フィルタ66が装着してある。フィルタ66は、粉末容器収容室40から第1連絡通路61に導出される空気に含まれる粉末原料の通過を阻止するものである。
第2連絡通路62は、粉末容器収容室40の内部に設けた吸気ファン64と豆容器収容室30の側壁前方部との間を連通させる態様で設けた通路である。吸気ファン64は、回転駆動した場合に、第2連絡通路62を通じて豆容器収容室30の内部から粉末容器収容室40の内部に空気を導入するものである。この吸気ファン64は、そのファン筐体(図示せず)が粉末容器収容室40の下部において複数の粉末容器20における並設方向に位置する側壁43に配設してある。
ここで、本実施の形態1では、排気ファン63によって粉末容器収容室40の内部から導出される空気量よりも、吸気ファン64によって粉末容器収容室40の内部に導入される空気量が大きくなるように排気ファン63及び吸気ファン64を構成してある。具体的には、例えば、各ファンがプロペラを回転駆動して空気を送出する場合、そのプロペラの形状を適宜変更したり、プロペラを構成する羽根の枚数を適宜変更する等、種々の構成を適用することが可能である。
図6は、上述した飲料生成装置の空気循環供給系を模式的に示したものである。図6に示す制御手段80は、豆容器収容室30に設けた温度センサ81及び粉末容器収容室40に設けた湿度センサ82の出力結果に基づいて排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55の駆動を制御するものである。
図7は、図6に示した制御手段80が所定のサイクルタイムで繰り返し実施する冷却・除湿処理の内容を示すフローチャートである。以下、これら図6及び図7を適宜参照しながら、飲料生成装置における冷却・除湿処理の内容について詳述する。
冷却・除湿処理において制御手段80は、まず、温度センサ81を通じて豆容器収容室30の温度を検出するとともに、湿度センサ82を通じて粉末容器収容室40の湿度を検出する(ステップS101)。
温度センサ81の検出する豆容器収容室30の温度が予め設定した温度(例えば20℃)以上となった場合(ステップS102:YES)、あるいは湿度センサ82の検出する粉末容器収容室40の湿度が予め設定した湿度(例えば20%)以上となった場合(ステップS102:YES)、制御手段80は、排気ファン63及び吸気ファン64を駆動するとともに、冷却水ポンプ55を駆動する(ステップS103)。これら排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55の駆動は、ステップS102で検出する温度及び湿度がいずれも設定値未満となるまで継続することになる(ステップS102:NO→ステップS104)。
上述した飲料生成装置において排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55が駆動すると、第1連絡通路61及び第2連絡通路62を介して豆容器収容室30と粉末容器収容室40との間に空気が循環供給され、この間、循環供給される空気が冷却室52を通過する際に熱交換器51によって冷却されることになる。
ここで、熱交換器51によって冷却された空気は、これに含まれていた水分が結露水となって除去されることになる。従って、冷却室52の通風口52aから排出される空気は、豆容器収容室30の内部に供給された時点で低温度・低湿度の状態となり、豆容器収容室30の内部を冷却するため、豆容器10に貯蔵したコーヒー豆を低温度状態に維持することができるようになる。従って、仮に、飲料を生成する際に用いる湯によって装置筐体1の内部が高温、高湿の状態となった場合にも、熱によるコーヒー豆の品質劣化を防止することが可能となる。冷却室52で生じた結露水は、排水通路56を通じて冷却水槽70に排出される。
また、豆容器収容室30を冷却した後に吸気ファン64によって粉末容器収容室40に導入された低湿度状態の空気は、当該粉末容器収容室40の低湿度化を図った後、排気ファン63によって冷却室52に導出されることになる。しかも、粉末容器収容室40を構成する収容室本体41及び扉体42は、断熱性が十分小さい壁部材である。従って、粉末容器収容室40の内部は、豆容器収容室30よりも温度が高い状態となり、相対湿度も低下するためさらに乾燥した状態となる。これらの結果、粉末容器20に貯蔵した粉末原料が低湿度状態に維持されることになり、吸湿による凝固を招来する虞れがない。
以下、排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55が駆動されている間、冷却手段50の冷却室52において冷却・除湿された空気が循環供給されることになり、例えば装置筐体1の外部が温度32℃、湿度85%、装置筐体1の内部が温度40℃、湿度40〜50%の状況下においても、粉末容器収容室40の内部を湿度20%の低湿度状態に維持することができるようになり、粉末原料を良好な環境下において貯蔵することが可能となる。
この場合、シュータ16とコーヒーミル17との間を接続するコーヒー豆の通過通路19に絞通路19aが設けてあるとともに、冷却室52に連通する排水通路56の下端部を冷却水槽70に貯留した冷却水の内部に浸漬させるようにしているため、水蒸気を多く含んだ外部雰囲気が、空気循環手段60によって循環供給される空気に混入する虞れがほとんどない。この結果、冷却室52で生じる結露水も少量に留まり、冷却水槽70が溢れる等の事態を招来することがない。さらに、熱交換器51としても循環供給している空気を冷却できる程度の小型のものを用意すれば十分であり、製造コストが大幅に増大することもない。
ここで、上記のように構成した飲料生成装置においては、粉末容器20に対して粉末原料の補充を実施するため、粉末容器収容室40に前面開口41aを設ける必要がある。また、粉末容器20に貯蔵した粉末原料を外部に供給するためにも、粉末容器収容室40に一時保留筒27が挿通する開口が必要である。このように、粉末容器収容室40には、複数の開口が必要となるため、内部に所望の気密性を確保することが困難である。そのため、上記のように、豆容器10を囲繞する豆容器収容室30及び粉末容器20を囲繞する粉末容器収容室40の間において空気を循環させる飲料生成装置にあっては、粉末容器収容室40に空気が循環される際に、装置筐体1の内部の空気が粉末容器収容室40の内部に誘引されてしまう虞れがある。従って、粉末容器収容室40の内部に冷却・除湿された空気が循環されるように構成しても、高温、高湿な空気が粉末容器収容室40の内部に誘引されることによって、結局粉末原料を良好な状態で装置筐体1の内部に貯蔵することが困難である。
この点、上記飲料生成装置によれば、排気ファン63によって粉末容器収容室40の内部から導出される空気量よりも、吸気ファン64によって粉末容器収容室40の内部に導入される空気量が大きくなるように排気ファン63及び吸気ファン64を構成してある。このため、排気ファン63及び吸気ファン64を駆動した場合に、粉末容器収容室40の内部圧力を装置筐体1の内部よりも高めることができるようになる。従って、仮に装置筐体1の内部が高温、高湿の状態であっても、高温、高湿な空気が粉末容器収容室40の内部に誘引されることがなく、粉末原料を良好な状態で貯蔵することが可能となる。
なお、上述した実施の形態1では、排気ファン63によって粉末容器収容室40の内部から導出される空気量よりも、吸気ファン64によって粉末容器収容室40の内部に導入される空気量が大きくなるように別々に構成した排気ファン63及び吸気ファン64を適用しているが、必ずしも別々に構成した排気ファン63及び吸気ファン64を適用しなくても良い。例えば、同一の構成を有する排気ファン63及び吸気ファン64を適用する場合には、各ファンにおけるプロペラの単位時間当りの回転数を、排気ファン63によって粉末容器収容室40の内部から導出される空気量よりも、吸気ファン64によって粉末容器収容室40の内部に導入される空気量が大きくなるように設定すれば良い。このようにすれば、同一の構成を有する排気ファン63及び吸気ファン64を適用する場合にも、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
また、上述した実施の形態1では、冷却手段60を設ける豆容器収容室30に豆容器10を収容しているが、豆容器10を収容する場所は他の場所でも構わない。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2である飲料生成装置を示したもの、図10は、図8に示した飲料生成装置の空気循環供給系を模式的に示したものである。この実施の形態2における飲料生成装置は、上述した実施の形態1に対して、吸気ファン及び排気ファンの構成が異なる点、収容室の内部と装置筐体の内部との間に通風管路を備える点、および制御手段が実施する冷却・除湿処理の内容が異なっている。以下、この差異について詳細に説明する。尚、以下の説明において、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
排気ファン(循環ファン)163は、回転駆動した場合に、第1連絡通路61を通じて粉末容器収容室40の内部から豆容器収容室30の内部に空気を導出するものである。この排気ファン163は、そのファン筐体163aが粉末容器収容室40の上部において複数の粉末容器20における並設方向の略中央に配設してある。また、ファン筐体163aの底壁163bに有した吸入口163cには、フィルタ66が装着してある。吸気ファン164は、回転駆動した場合に、第2連絡通路62を通じて豆容器収容室30の内部から粉末容器収容室40の内部に空気を導入するものである。この吸気ファン164は、そのファン筐体(図示せず)が粉末容器収容室40の下部において複数の粉末容器20における並設方向に位置する側壁43に配設してある。
ここで、本実施の形態2では、単位時間当りの回転数が同一の場合に、排気ファン163によって送出される空気量と、吸気ファン164によって送出される空気量とが同一となるように排気ファン163及び吸気ファン164を構成してある。さらに、これら排気ファン163及び吸気ファン164は、その単位時間当りの回転数を増減することにより、排気ファン163によって送出される空気量と、吸気ファン164によって送出される空気量とを増減できるように構成してある。
また、図8に示すように、吸気ファン164が配設される粉末容器収容室40の側壁43の下部には、この側壁43に直交する方向に延在する通風管路(圧力検出手段)190が設けてある。通風管路190は、粉末容器収容室40の内部と装置筐体1の内部とを連通する態様で設けた管路である。この通風管路190は、図9に示すように、その内部に発熱手段191と、この発熱手段191を互いの間に配置させる態様で一対の管路温度センサ(管路温度検出手段)192,193とを備えている。
発熱手段191は、後述する制御手段180からの発熱指令により常時周囲空気を加熱するもので、ブラケット194を介して通風管路190に配設してある。一対の管路温度センサ192,193は、発熱手段191よりも粉末容器収容室40側(通風管路190の一端開口側)となる位置の温度(以下、「収容室側温度」と称する)と、発熱手段191よりも装置筐体1側(通風管路190の他端開口側)となる位置の温度(以下、「装置筐体側温度」と称する)とを検出するもので、ブラケット194を介して通風管路190に配設してある。図9からも明らかように、これら発熱手段191及び一対の管路温度センサ192,193は、通風管路190の延在方向に沿った一直線上に配置してある。
ここで、上記のように構成した通風管路190では、通風管路190を通じて空気が流通した場合、一対の管路温度センサ192,193のどちらか一方が他方よりも高温を検出することになる。装置筐体1の内部から粉末容器収容室40の内部に空気が流入した場合、発熱手段191を通過した後の空気の温度を管路温度センサ192が検出することになる。一方、粉末容器収容室40の内部から装置筐体1の内部に空気が流出した場合、発熱手段191を通過した後の空気の温度を管路温度センサ193が検出することになる。つまり、一対の管路温度センサ192,193が検出する温度を比較すれば、比較した温度の内、高温を検出した管路温度センサに向けた方向に空気が流通していると判断することができる。さらに、通風管路190を通じて空気が流通した場合、装置筐体1の内部と粉末容器収容室40の内部とで圧力差が発生していることになる。この場合、通風管路190内の空気の流通方向が判断できれば、装置筐体1の内部と粉末容器収容室40の内部との圧力差を相対的に判断することができる。
図10は、上述した飲料生成装置の空気循環供給系を模式的に示したものである。図10に示す制御手段(風量変更手段)180は、豆容器収容室30に設けた温度センサ81、粉末容器収容室40に設けた湿度センサ82及び一対の管路温度センサ192,193の出力結果に基づいて排気ファン163、吸気ファン164及び冷却水ポンプ55の駆動を制御するものである。なお、制御手段180は、発熱手段191に常時周囲空気を加熱するよう発熱指令を与えている。
図11は、図10に示した制御手段180が所定のサイクルタイムで繰り返し実施する冷却・除湿処理の内容を示すフローチャートである。以下、これら図10及び図11を適宜参照しながら、飲料生成装置における冷却・除湿処理の内容について詳述する。
冷却・除湿処理において制御手段180は、まず、温度センサ81を通じて豆容器収容室30の温度を検出するとともに、湿度センサ82を通じて粉末容器収容室40の湿度を検出する(ステップS201)。
温度センサ81の検出する豆容器収容室30の温度が予め設定した温度(例えば20℃)以上となった場合(ステップS202:YES)、あるいは湿度センサ82の検出する粉末容器収容室40の湿度が予め設定した湿度(例えば20%)以上となった場合(ステップS202:YES)、制御手段180は、排気ファン163及び吸気ファン164を駆動するとともに、冷却水ポンプ55を駆動する(ステップS203)。これら排気ファン163、吸気ファン164及び冷却水ポンプ55の駆動は、ステップS202で検出する温度及び湿度がいずれも設定値未満となるまで継続することになる(ステップS202:NO→ステップS204)。
上述した飲料生成装置において排気ファン163、吸気ファン164及び冷却水ポンプ55が駆動すると、第1連絡通路61及び第2連絡通路62を介して豆容器収容室30と粉末容器収容室40との間に空気が循環供給され、この間、循環供給される空気が冷却室52を通過する際に熱交換器51によって冷却されることになる。
ここで、熱交換器51によって冷却された空気は、これに含まれていた水分が結露水となって除去されることになる。従って、冷却室52の通風口52aから排出される空気は、豆容器収容室30の内部に供給された時点で低温度・低湿度の状態となり、豆容器収容室30の内部を冷却するため、豆容器10に貯蔵したコーヒー豆を低温度状態に維持することができるようになる。従って、仮に、飲料を生成する際に用いる湯によって装置筐体1の内部が高温、高湿の状態となった場合にも、熱によるコーヒー豆の品質劣化を防止することが可能となる。冷却室52で生じた結露水は、排水通路56を通じて冷却水槽70に排出される。
また、豆容器収容室30を冷却した後に吸気ファン164によって粉末容器収容室40に導入された低湿度状態の空気は、当該粉末容器収容室40の低湿度化を図った後、排気ファン163によって冷却室52に導出されることになる。しかも、粉末容器収容室40を構成する収容室本体41及び扉体42は、断熱性が十分小さい壁部材である。従って、粉末容器収容室40の内部は、豆容器収容室30よりも温度が高い状態となり、相対湿度も低下するためさらに乾燥した状態となる。これらの結果、粉末容器20に貯蔵した粉末原料が低湿度状態に維持されることになり、吸湿による凝固を招来する虞れがない。
以下、排気ファン163、吸気ファン164及び冷却水ポンプ55が駆動されている間、冷却手段50の冷却室52において冷却・除湿された空気が循環供給されることになり、例えば装置筐体1の外部が温度32℃、湿度85%、装置筐体1の内部が温度40℃、湿度40〜50%の状況下においても、粉末容器収容室40の内部を湿度20%の低湿度状態に維持することができるようになり、粉末原料を良好な環境下において貯蔵することが可能となる。
この場合、シュータ16とコーヒーミル17との間を接続するコーヒー豆の通過通路19に絞通路19aが設けてあるとともに、冷却室52に連通する排水通路56の下端部を冷却水槽70に貯留した冷却水の内部に浸漬させるようにしているため、水蒸気を多く含んだ外部雰囲気が、空気循環手段60によって循環供給される空気に混入する虞れがほとんどない。この結果、冷却室52で生じる結露水も少量に留まり、冷却水槽70が溢れる等の事態を招来することがない。さらに、熱交換器51としても循環供給している空気を冷却できる程度の小型のものを用意すれば十分であり、製造コストが大幅に増大することもない。
次いで、制御手段180は、管路温度センサ192を通じて収容室側温度を検出するとともに、管路温度センサ193を通じて装置筐体側温度を検出する(ステップS205)。
そして、制御手段180は、管路温度センサ192の検出する収容室側温度が、管路温度センサ193が検出する装置筐体側温度と同一の値であるか否かを判断し(ステップS206)、収容室側温度が装置筐体側温度と同一の値である場合(ステップS206:YES)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。
一方、収容室側温度が装置筐体側温度と同一の値でない場合(ステップS206:NO)、制御手段180は、収容室側温度が装置筐体側温度よりも高い値であるか否かを判断する(ステップS207)。収容室側温度が装置筐体側温度よりも高い値である場合(ステップS207:YES)、制御手段180は、回転駆動する排気ファン163の単位時間当たりの回転数を所定の回数減少する(ステップS208)一方、収容室側温度が装置筐体側温度よりも高い値でない場合(ステップS207:NO)、制御手段180は、回転駆動する排気ファン163の単位時間当たりの回転数を所定の回数増加する(ステップS209)。これで今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。
ここで、上記のように構成した飲料生成装置においては、粉末容器20に対して粉末原料の補充を実施するため、粉末容器収容室40に前面開口41aを設ける必要がある。また、粉末容器20に貯蔵した粉末原料を外部に供給するためにも、粉末容器収容室40に一時保留筒27が挿通する開口が必要である。このように、粉末容器収容室40には、複数の開口が必要となるため、内部に所望の気密性を確保することが困難である。そのため、上記のように、豆容器10を囲繞する豆容器収容室30及び粉末容器20を囲繞する粉末容器収容室40の間において空気を循環させる飲料生成装置にあっては、粉末容器収容室40に空気が循環される際に、装置筐体1の内部の空気が粉末容器収容室40の内部に誘引されてしまう虞れがある。従って、粉末容器収容室40の内部に冷却・除湿された空気が循環されるように構成しても、高温、高湿な空気が粉末容器収容室40の内部に誘引されることによって、結局粉末原料を良好な状態で装置筐体1の内部に貯蔵することが困難である。
この点、上記飲料生成装置によれば、一対の管路温度センサ192,193の検出結果に基づいて通風管路190内の空気の流通方向を判断し、判断した流通方向から粉末容器収容室40の内部と装置筐体1の内部との圧力差を判断し、判断した圧力差に基づいて排気ファン163を動作させる制御手段180を備えて構成してある。すなわち、制御手段180は、管路温度センサ192の検出する収容室側温度と、管路温度センサ193の検出する装置筐体側温度とを比較することにより、この比較した結果から、通風管路190内の空気の流通方向が判断できることになるとともに、判断した流通方向から粉末容器収容室40の内部と装置筐体1の内部との圧力差が相対的に判断できることになる。そして、制御手段180は、収容室側温度が装置筐体側温度よりも高い値である場合、粉末容器収容室40の内部圧力が装置筐体1の内部圧力よりも相対的に低いと判断し、この圧力差を生じなくするべく排気ファン163の単位時間当りの回転数を減少させることになる。一方、制御手段180は、収容室側温度が装置筐体側温度よりも高い値でない場合、粉末容器収容室40の内部圧力が装置筐体1の内部圧力よりも相対的に高いと判断し、この圧力差を生じなくするべく排気ファン163の単位時間当りの回転数を増加させることになる。このように冷却・除湿処理を繰り返せば、排気ファン163によって送出される空気量を増減することにより、やがて粉末容器収容室40の内部圧力と装置筐体1の内部圧力との圧力差が生じないようにすることができる。従って、仮に装置筐体1の内部が高温、高湿の状態であっても、粉末容器収容室40の内部に誘引される事態が抑制できることになり、粉末原料を良好な状態で貯蔵することができるという効果を奏する。
なお、上述した実施の形態2では、粉末容器収容室40の側壁43に通風管路190を設け、さらにその内部に発熱手段191及び一対の管路温度センサ192,193を備え、粉末容器収容室40の内部の相対的な圧力を検出しているが、必ずしも通風管路190を設ける必要はなく、さらに発熱手段191、一対の管路温度センサ192,193も備えなくても良い。例えば、粉末容器収容室40の内部において圧力の絶対値を検出する圧力センサを備えれば良い。この場合、制御手段180は、圧力センサの検出結果に基づいて粉末容器収容室40の内部と装置筐体1の内部との圧力差を判断し、判断した圧力差に基づいて排気ファン163を動作させれば良い。すなわち、制御手段180は、圧力センサの検出する圧力と、所定の設定値(例えば大気圧=装置筐体1の内部圧力)とを比較することにより、この比較した結果から、粉末容器収容室40の内部と装置筐体1の内部との圧力差が判断できることになる。そして、制御手段180は、粉末容器収容室40の内部圧力が装置筐体1の内部よりも低いと判断した場合、この圧力差を生じなくするべく排気ファン163の単位時間当りの回転数を減少させることになる。一方、制御手段180は、粉末容器収容室40の内部圧力が装置筐体1の内部圧力よりも相対的に高いと判断した場合、この圧力差を生じなくするべく排気ファン163の単位時間当りの回転数を増加させることになる。このように冷却・除湿処理を繰り返せば、排気ファン163によって送出される空気量を増減することにより、やがて粉末容器収容室40の内部圧力と装置筐体1の内部圧力との圧力差が生じないようにすることができる。このようにすれば、通風管路190を設けなく、さらに発熱手段191、一対の管路温度センサ192,193も備えない場合にも、上述した実施の形態2と同様の作用効果を奏することができる。
また、上述した実施の形態2では、排気ファン163の単位時間当たりの回転数を増減することにより、粉末容器収容室40の内部圧力と装置筐体1の内部圧力との圧力差が生じないようにしているが、吸気ファン164の単位時間当たりの回転数を増減することにより、粉末容器収容室40の内部圧力と装置筐体1の内部圧力との圧力差が生じないようにしても良い。この場合、排気ファン163を備える必要はなく、本発明の循環ファンを構成するのは吸気ファン164である。
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3である飲料生成装置の空気循環供給系を模式的に示したものである。この実施の形態3における飲料生成装置は、上述した実施の形態1に対して、制御手段が実施する冷却・除湿処理の内容が異なっている。以下、この差異について詳細に説明する。尚、以下の説明において、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
図12に示す制御手段(駆動管理手段)280は、装置筐体1の内部に設けた温度センサ(温度検出手段)283の出力結果に基づいて排気ファン(循環ファン)63、吸気ファン(循環ファン)64及び冷却水ポンプ55の駆動を制御するものである。
制御手段280のメモリ284には、予め設定した駆動パターンデータが格納してある。この駆動パターンデータは、図13に示すように、装置筐体1の内部温度と、排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55を駆動する時間(以下、「ON時間」と称する)、及びON時間が経過した後に排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55を停止する時間(以下、「OFF時間」と称する)とを関連付けたテーブルとしてメモリ284に格納してある。
図14は、図12に示した制御手段280が所定のサイクルタイムで繰り返し実施する冷却・除湿処理の内容を示すフローチャートである。以下、これら図12及び図14を適宜参照しながら、飲料生成装置における冷却・除湿処理の内容について詳述する。
冷却・除湿処理において制御手段280は、まず、温度センサ283を通じて装置筐体1の内部温度を検出する(ステップS301)。
次いで、制御手段280は、予めメモリ284に格納した駆動パターンデータから、温度センサ283の検出する装置筐体1の内部温度に対応する駆動パターンを選択して読み出す(ステップS302)。
そして、制御手段280は、ステップS302で選択した駆動パターンに従って、排気ファン63及び吸気ファン64を駆動するとともに、冷却水ポンプ55を駆動する(ステップS303)。これら排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55の駆動パターンに従った駆動が終了すると、制御手段280は、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。
上述した飲料生成装置において排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55が駆動すると、第1連絡通路61及び第2連絡通路62を介して豆容器収容室30と粉末容器収容室40との間に空気が循環供給され、この間、循環供給される空気が冷却室52を通過する際に熱交換器51によって冷却されることになる。
ここで、熱交換器51によって冷却された空気は、これに含まれていた水分が結露水となって除去されることになる。従って、冷却室52の通風口52aから排出される空気は、豆容器収容室30の内部に供給された時点で低温度・低湿度の状態となり、豆容器収容室30の内部を冷却するため、豆容器10に貯蔵したコーヒー豆を低温度状態に維持することができるようになる。従って、仮に、飲料を生成する際に用いる湯によって装置筐体1の内部が高温、高湿の状態となった場合にも、熱によるコーヒー豆の品質劣化を防止することが可能となる。冷却室52で生じた結露水は、排水通路56を通じて冷却水槽70に排出される。
また、豆容器収容室30を冷却した後に吸気ファン64によって粉末容器収容室40に導入された低湿度状態の空気は、当該粉末容器収容室40の低湿度化を図った後、排気ファン63によって冷却室52に導出されることになる。しかも、粉末容器収容室40を構成する収容室本体41及び扉体42は、断熱性が十分小さい壁部材である。従って、粉末容器収容室40の内部は、豆容器収容室30よりも温度が高い状態となり、相対湿度も低下するためさらに乾燥した状態となる。これらの結果、粉末容器20に貯蔵した粉末原料が低湿度状態に維持されることになり、吸湿による凝固を招来する虞れがない。
以下、排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55が駆動されている間、冷却手段50の冷却室52において冷却・除湿された空気が循環供給されることになり、例えば装置筐体1の外部が温度32℃、湿度85%、装置筐体1の内部が温度40℃、湿度40〜50%の状況下においても、粉末容器収容室40の内部を湿度20%の低湿度状態に維持することができるようになり、粉末原料を良好な環境下において貯蔵することが可能となる。
この場合、シュータ16とコーヒーミル17との間を接続するコーヒー豆の通過通路19に絞通路19aが設けてあるとともに、冷却室52に連通する排水通路56の下端部を冷却水槽70に貯留した冷却水の内部に浸漬させるようにしているため、水蒸気を多く含んだ外部雰囲気が、空気循環手段60によって循環供給される空気に混入する虞れがほとんどない。この結果、冷却室52で生じる結露水も少量に留まり、冷却水槽70が溢れる等の事態を招来することがない。さらに、熱交換器51としても循環供給している空気を冷却できる程度の小型のものを用意すれば十分であり、製造コストが大幅に増大することもない。
ここで、上記のように構成した飲料生成装置においては、粉末容器20に対して粉末原料の補充を実施するため、粉末容器収容室40に前面開口41aを設ける必要がある。また、粉末容器20に貯蔵した粉末原料を外部に供給するためにも、粉末容器収容室40に一時保留筒27が挿通する開口が必要である。このように、粉末容器収容室40には、複数の開口が必要となるため、内部に所望の気密性を確保することが困難である。そのため、上記のように、豆容器10を囲繞する豆容器収容室30及び粉末容器20を囲繞する粉末容器収容室40の間において空気を循環させる飲料生成装置にあっては、粉末容器収容室40に空気が循環される際に、装置筐体1の内部の空気が粉末容器収容室40の内部に誘引されてしまう虞れがある。従って、粉末容器収容室40の内部に冷却・除湿された空気が循環されるように構成しても、高温、高湿な空気が粉末容器収容室40の内部に誘引されることによって、結局粉末原料を良好な状態で装置筐体1の内部に貯蔵することが困難である。
この点、上記飲料生成装置によれば、温度センサ283の検出結果に基づいて予め設定した駆動パターンを選択し、この選択した駆動パターンに従って吸気ファン63及び排気ファン64を駆動する制御手段280を備えて構成してある。しかも、本実施の形態3では、メモリ284に格納した駆動パターンデータに事前に調査したものを適用している。具体的には、所定の間隔で装置筐体1の内部温度(例えば5℃、10℃、15℃等々)を設定し、この設定した各内部温度において高湿度の環境下(例えば湿度85%)に飲料生成装置をおいた状態で排気ファン63、吸気ファン64及び冷却水ポンプ55を駆動する。この状態で、粉末容器収容室40を所望の湿度(例えば20%)以下に維持できるようなON時間及びOFF時間を調査して駆動パターンデータとしている。このため、駆動パターンに従って排気ファン63及び吸気ファン64を駆動させることにより、粉末容器収容室40の内部を所望の状態で維持することができる。従って、仮に装置筐体1の内部が高温の状態であっても、粉末原料を良好な状態で貯蔵することができるという効果を奏する。
なお、上述した実施の形態3では、排気ファン63を備える必要はなく、この場合、本発明の循環ファンを構成するのは吸気ファン64である。