JP2009213409A - ごまプリン及びその製造方法、並びに練りごまの選別方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のごまプリンは、練りごま、乳成分(A)及びゲル化剤を含むごまプリンであって、前記練りごまが、練りごま40g及びカゼインナトリウム1gを水に混合して200gとした試験液を、120℃に加熱して10分保持した後50℃に冷却して目開き850μmの分析篩で濾過した際、分析篩上に残る固形物の質量が10g以下となる練りごまであることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
例えば、非特許文献1では、練りごまと砂糖をエバミルク(無糖練乳)で溶きのばし、更に牛乳を加えたものに、湯煎して溶かしたゼラチンを加えて冷やし固めたごまプリンが開示されている。更に、特許文献1では、ウイスキーを加えて香気を豊かにした練りごまを、ごまプリンの材料とする方法が示されている。
しかしながら、ごまプリンは、練りごまの種類や品質の違いによって、外観や食感が異なるものが製造される場合がある。特に、練りごまの品質がごまプリンに適さないものである場合、ごまプリンの食感がざらつく、外観に色ムラが見られる等、望ましくない製品となってしまう可能性もある。
そこで、特許文献2では、様々な飲食物に容易に混合することができ、そのときの保存安定性に優れており、かつ舌触りのよい練りごまの製法が開示されている。
また、本発明のごまプリンの製造方法では、前記練りごまを含有する原料液(I)と、乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)とを別々に殺菌した後に混合して前記加熱原料液を得ることが好ましい。
また、本発明のごまプリンの製造方法によれば、予めごまプリンに適した練りごまを選別して用いているので、外観及び食感不良の製品ができるリスクを回避できる。
更に、本発明の練りごまの選別方法によれば、ごまプリンを製造するに当って、製造を始める前に練りごまがごまプリンに適するか、否かを判定できる。
〔練りごまの選別方法〕
練りごまの選別は以下の操作により行われる。まず、練りごまと試験用の乳タンパク質成分(B)とを含有する試験液を得る(操作1)。次に試験液を110〜130℃に加熱する(操作2)。次に、加熱した試験液を目開き600〜850μmの分析篩で濾過する(操作3)。次に、分析篩上に残った固形物の質量を測定する(操作4)。最後に、分析篩上に残った固形物の質量により、練りごまがごまプリンの製造に用いるか否かを決定する(操作5)。
まず、練りごまと乳タンパク質成分(B)を含有する試験液を得る。
本発明の練りごまの選別方法で用いる練りごまは、特に限定されず、市販のものを用いることができる。
乳タンパク質成分(B)としては、カゼインナトリウム、ホエーパウダー等を用いることができる。これらは、市販のもので、食品添加物または食品グレードのものを用いることが好ましい。
中でも、ごまプリンに適した練りごまと適さない練りごまとで、分析篩上に残る固形物の質量の差が大きく、練りごまの選別が容易であるカゼインナトリウムを用いることが特に好ましい。
また、試験液には練りごまや乳タンパク質成分(B)の他、水を加えることができ、試験液の濃度を調節することが可能である。
試験液中の練りごまの含有量が高すぎると、分析篩上に残る固形物が多くなりすぎ、低すぎると、分析篩上に残る固形物が少なくなり、判別が難しくなる。
一方、試験液中に乳タンパク質成分(B)は固形分で0.1〜2質量%含有されていることが好ましく、0.5〜1質量%含有されていることが更に好ましい。
尚、本発明において固形分とは、水分を除いた成分(総量から水分を減じた乾燥物量)を意味する。
次に試験液を110〜130℃に加熱する。
加熱にはオートクレーブ等を用いることができる。オートクレーブとしては、市販の蒸気加熱式で密閉型の加圧可能なものであればよく、例えば、オートクレーブ(トミー工業社製)等を用いることができる。
加熱温度は110〜130℃であることが好ましく、120℃であることが特に好ましい。
また、加熱の際の昇温速度は2℃/分〜5℃/分であることが好ましい。
冷却は、自然冷却であっても、低温に設定した循環恒温槽(ホシザキ電気社製)等を用いた冷却であってもよい。
冷却温度は40〜50℃であることが好ましくい。
次に、加熱した試験液を目開き600〜850μmの分析篩で濾過する。
分析篩の目開きが上記範囲であれば、ごまプリンに適した練りごまとごまプリンに適さない練りごまとで分析篩上に残る固形物の質量差が大きくなり、ごまプリンの製造に用いるごまプリンを決定しやすい。850μmを超えると、通過する固形量が多くなり、600μm未満の場合は、通過する固形量が少なくなり判別が難しくなる。
分析篩は、JIS Z 8801に従う、目開き600〜850μmの分析篩であればよく、例えば市販の、TESTING SIEVE(TOKYO SCREEN社製)等を用いることができる。
次に、分析篩上に残った固形物の質量を測定する。固形物の質量は以下の方法により測定し、算出することがと好ましい。
まず、試験液を濾過した後の分析篩を、1〜10分、好ましくは5分程度静置することが好ましい。静置する時間が短ければ、水分が充分に除けず、正確な固形物の質量が測定できない。
静置後、分析篩全体の質量を電子天秤(メトラートレド社製)等を用いて測定する。
その後、測定した分析篩全体の質量より、分析篩の風袋質量を引いて、分析篩上に残る固形物の質量を算出する。
最後に、分析篩上に残った固形物の質量により、練りごまがごまプリンの製造に適しているか否かを判断し、練りごまをごまプリンの製造に用いるか否かを決定する。
分析篩上に残った固形物の質量が、所定の質量以下である場合にごまプリンに適していると判断し、当該条件を満たすものについてごまプリンに用いることを決定し、満たさないものはごまプリンに用いないことを決定する。
分析篩上に残る固形物の質量は、上記操作1〜5の各操作条件により変動するものなので、上記所定の質量は各操作条件に応じて適宜設定する。
上記操作1〜4を下記条件で行った場合(以下操作条件(X)という)、所定の質量は10gであり、5gが好ましく、3gがより好ましい。
操作1:乳タンパク質成分(B)としてカゼインナトリウム(食品添加物グレード)を用い、練りごま40g、カゼインナトリウム1gを水に混合した200gの試験液を得る。
操作2:操作1で得られた試験液を、オートクレーブを用いて120℃に加熱し、10分間その温度を保持する。更に、120℃にした試験液を循環恒温槽を用いて50℃に冷却する。
操作3:50℃にした試験液を、目開き850μmの分析篩で濾過する。
操作4:分析篩を5分間静置し、分析篩全体の質量を電子天秤を用いて測定し、その測定値より分析篩の風袋質量を引いて、分析篩上に残った固形物の質量を算出する。
操作5:分析篩上に残った固形物の質量が10g以下であると、ごまプリンに用いると決定する。10gを超えるとごまプリンに用いないと決定する。
本発明のごまプリンは、練りごま、乳成分(A)及びゲル化剤を含むごまプリンである。
練りごまとしては、市販のもので、例えば、ごまを焙煎し、擂潰機で擂り潰したものを用いることができる。
本発明のごまプリンにおいては、練りごまの中でも上記本発明の練りごまの選別法を用いて選別された練りごまを用いる。
具体的には、上記操作条件(X)によって分析篩上に残る固形物の質量が10g以下である練りごまを用いる。尚、分析篩上に残る固形物の質量は5g以下であると好ましく、3g以下であるとより好ましい。
乳成分(A)としては、市販の乳及び乳製品で、生乳、牛乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、全脂練乳、脱脂練乳、バター、バターミルク、チーズ、全脂粉乳、脱脂粉乳等を用いることができる。これらは、そのまま用いても、溶解又は希釈して用いても良い。
ゲル化剤としては、寒天、ゼラチン、カラギーナン、ファーセルラン、ローメトキシルペクチン(以下、「LMペクチン」と記載する。)、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合ゲル化剤(以下「LXゲル化剤」と記載する。)等を用いることができる。
ゲル化剤の濃度は高すぎるとできあがったごまプリンの組織が硬くなり、食感が悪くなる。一方、低すぎると組織を維持できなくなる。
その他の原料として、増粘多糖類を用いることが好ましい。
増粘多糖類は、特に練りごまと組み合わせると、ごまプリンにおけるごま粒子の分散性が良くなる傾向にあるので好ましい。
増粘多糖類としては、ローカストビーンガム、キサンタンガム、セルロース、グアーガム、タマリンドシードガム等が挙げられる。
ごまプリン全量における増粘多糖類の割合は、固形分で0.01〜0.2質量%であることが好ましく、0.03〜0.05質量%であることが更に好ましい。増粘多糖類が0.03質量%以上であればごま粒子の分散性が良好となる。
本発明のごまプリンは、練りごま、乳成分(A)及びゲル化剤を含有し、ゲル化剤のゲル化温度より高い温度で加温した加熱原料液を、冷却してゲル化させて製造される。
このとき、加熱原料液を得るにあたり、練りごまを含有する原料液(I)と、乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)とを別々に殺菌し、殺菌後に混合して加熱原料液とすることが好ましい。
このように、練りごまを含有する原料液(I)と、乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)とを別々に殺菌する工程と、殺菌後に混合して加熱原料液を得、冷却しゲル化する工程に製造工程を切り離すと、製造工程の時間割又は人員配置に自由度が得られるので、製造計画を立て易くなる。
一方、乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)は、乳成分(A)及びゲル化剤の他、香料、糖類、乳化剤等を含有することが好ましい。
このとき、ごまプリン中における、練りごまを含有する原料液(I)と乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)との質量比(練りごまを含有する原料液(I):乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II))は、15:85〜60:40であることが好ましく20:80〜30:70であることが更に好ましい。
殺菌条件としては、125〜145℃で1〜5秒程度保持することが好ましい。殺菌条件が低ければ、耐熱性菌に殺菌効率が悪く、殺菌条件が高過ぎると成分の加熱臭が発生する傾向にある。
加熱殺菌後、練りごまを含有する原料液(I)を冷却してもよい。但し、冷却温度は、乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)と混合して加熱原料液を得る際、加熱原料液の温度が含有されるゲル化剤のゲル化温度以上の温度になるように設定すると好ましい。
殺菌条件としては、125〜145℃で1〜5秒程度保持することが好ましい。殺菌条件が低ければ、耐熱性菌に殺菌効率が悪く、殺菌条件が高過ぎると成分の加熱臭や加熱変色が発生するだけでなく、ゲル化剤の加水分解が起こり、ゲル強度の低下が起こる。
加熱殺菌の際、乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)は、油脂成分の乳化のために均質化を行うことが好ましい。均質化は、内蔵される均質機を加熱の途中の80〜90℃程度の位置に配置する前均質タイプと、最高加熱部後の冷却の途中の80〜90℃程度の位置に配置する後均質タイプの両方が使用できる。
冷却温度を特に限定しないが、含有するゲル化剤のゲル化温度以下の温度で冷却を行う場合は、練りごまを含有する原料液(I)と混合する前に、再加熱してゲル化剤を溶解してゲル化能力を回復させることが好ましい。加熱しゲル化能力を回復させた乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)は、次工程で混合するねりごまを含有する成分(I)の温度が低い場合がある為、含有するゲル化剤のゲル化温度より高い温度の範囲で冷却されることが好ましい。
得られた加熱原料液を、容器に充填して密封した後、冷蔵庫内に静置し、含まれるゲル化剤のゲル化温度以下に冷却して、固化させ、ごまプリンを製造する。
充填及び密封は、市販の充填機で行うことができ、例えば、DOGAseptic(GASTI社製)等が使用できる。
また、以下の実施例における「%」は特に限定がない限り「質量%」を示すものとする。
(1)目的
この試験は、種類の異なる練りごまについて、カゼインナトリウムとの反応性の違いを調べる目的で実施された。
(2)試料の調製
種類の異なる練りごまとしては、焙煎温度とごまの産地が異なるものを使用した。
<テストNo.1>
まず、練りごまとして、練りごま黒No.1(中国産100%;焙煎温度125℃;九鬼産業製)40g及びカゼインナトリウム1gを水に混合して200gの試験液とした。次に、この試験液を、オートクレーブ(高圧滅菌器;中村医科理科機械店製)で120℃に加熱し、10分間保持した後、50℃に冷却して試料を調製した。
<テストNo.2〜4>
練りごまをそれぞれ、表1に示す産地・比率と焙煎温度のもの(いずれも九鬼産業製)に変更した他は試験No.1と同様にして、試料を調製した。
(3)評価方法
テストNo.1〜4の各試料を、目開き850μmの分析篩(TESTING SIEVE;TOKYO SCREEN社製)で濾過し、5分間静置して分析篩毎質量を測定した。測定値から分析篩の風袋質量を引き、分析篩上に残った固形物の質量を算出した。結果を表1に示す。
表1より、分析篩の上に残った量は多い順に、
テストNo.1>2>3>4
であった。結果を表1に示す。
(5)考察
練りごまの種類が異なると、分析篩上に残る量が異なることが分った。
特に、焙煎温度が低い練りごまを用いると、分析篩上に残る固形物の質量が多い傾向にある。
(1)目的
試験1に用いた練りごま黒No.1〜4を用いて、ごまプリンの外観及び食感の違いの関係を調べた。
(2)試料の調製
<テストNo.11〜14>
表2の配合に従い、練りごまを含む成分を混合し、沸騰水浴上で、90℃に加温し10分間保持し、冷水浴上で30℃に冷却し練りごまを含有する原料液(I)を得た。
また、表2の配合に従い、乳成分とゲル化剤を含む成分を混合し、沸騰水浴上で、85℃に加温し、均質機(HOMOGENIZER;三丸機械工業社製)で、15MPaの圧力で均質化した。その後、沸騰水浴上で90℃に加温し10分間保持し、冷水浴上で70℃に冷却し乳成分(A)及びゲル化剤を含む原料液(II)を得た。
尚、表2における各成分は以下の通りである。
砂糖(グラニュー糖;ホクレン製)、ローカストビーンガム(ローカストビーンガム;三栄源FFI製)、脱脂粉乳(脱脂粉乳;森永乳業製)、バター(無塩バター;森永乳業製)、カラギーナン(カラギニン;三栄源FFI製)、グリセリン脂肪酸エステル(ステップSS;花王製)。
練りごまを含有する原料液(I)と乳成分(A)及びゲル化剤を含む原料液(II)とを25:75(質量比)の割合で混合して60℃の加熱原料液とし、プラスチックカップ(デザートカップ;岸本産業社製)に充填機(DOGAseptic;GASTI社製)を用いて100gずつ充填し、プラスチック蓋(デザートカップ蓋;岸本産業社製)を被せ、冷蔵庫にて10℃に静置冷却して、テストNo.11〜14の試料を調製した。
<外観評価>
ごまプリンにおいて、ごまの凝集は、ごまプリン内のごまが均一に分散しないためにおこる。従ってごまが凝集すると、プリン表面に色の濃淡ができる。
この濃淡の内、色の明るい部分により色彩色差計で測定されるL値が高く測定される。従って、L値と色むらは相関すると言える。
そこで、テストNo.11〜14の試料表面のL値を色彩色差計(分光側色計CR−2000;コニカミノルタ社製)で測定し、測定したL値によって外観評価を行った。結果を表3に示す。
<食感評価>
食感の評価は、10人のパネルに、各試料の食感を評価させ、滑らかな順に順位をつけさせ、各試料の順位の合計を求めた。
この結果から、順位法の検定表を用いる方法(「おいしさを測る−食品官能検査の実際」、p28、古川秀子著、幸書房、1994年)に基づき有意差を検定した。結果を表4に示す。
尚、表4において、**は、危険率1%で有意差有り、*は、危険率5%で有意差有り、を示している。
<外観評価>
表3より、L値が高い順に、
テストNo.11>12>13>14
であった。
<食感評価>
表4より、食感が滑らかな順に、
テストNo.14≧13>12≧11
(>;記号の左が右より上位で、統計的有意差がある。≧;記号の左が右より上位であるが、統計的有意差は無い。)
であった。
(5)考察
ごまプリンの外観及び食感は、練りごまの種類によって変化することが分かった。
試験1において、分析篩上に残った量が大きく異なった、練りごま黒No.2と3の間で外観と食感についても大きな差が認められた。
具体的には、練りごま黒No.3を用いたNo.13と、練りごま黒No.2を用いた12との間で統計的優位差が認められた。これにより、分析篩上に残った質量が10gを超えた練りごまは、ごまプリンの食感が不良になるので、ごまプリン用原料として不適であることがわかった。
また、外観についても、分析篩上に残った質量が少ないものほど良好な結果が得られる傾向にあった。
(1)目的
この試験は、練りごまがごまプリンに適するか否かを判定するにあたって、乳タンパク質成分(B)として何が最も適しているかを検索する目的で実施された。
(2)試料の調製
<テストNo.21>
まず、試験1で用いた、練りごま黒No.2;40g及びホエーパウダー(ホエーパウダー;森永乳業製)1gを水に混合して200gの試験液とした。次に、この試験液を、オートクレーブで120℃に加熱し、10分間保持した後、50℃に冷却して試料(a)を調製した。
練りごまとして、試験1で用いた練りごま黒No.4を用いた他は上記の方法と同様にして、試料(b)を調製した。
<テストNo.22>
ホエーパウダー1gを、テストNo.22ではカゼインナトリウム(カゼインナトリウム;森永乳業製)1gとした他は、テストNo.21と同様にして、試料(a)と(b)を調製した。
(3)評価方法
テストNo.21〜22の各試料(a)、(b)について、試験1の評価方法と同様にして、分析篩上に残った固形物の質量を算出した。
その後、各テストにおける、試料(a)と試料(b)の分析篩上に残った固形物の質量の差を算出した。結果を表5に示す。
表5より、練りごま黒No.2を用いた試料(a)と練りごま黒No.4を用いた試料(b)との差は、
テストNo.22>21
の順であった。
(5)考察
この結果より、乳タンパク質成分(B)の種類により分析篩上に残る固形物の質量が異なることが分かった。
ごまプリンに用いる練りごまを判定するには、特にカゼインナトリウムを用いると、練りごまの種類によって分析篩上に残る固形物の質量の差が大きいので、ごまプリンに用いる練りごまの適性を判定し易いことが分った。
(1)目的
この試験は、練りごまがごまプリンに適するか否かを判定するために、最も差を判定し易いカゼインナトリウムの添加量を検索する目的で実施された。
(2)試料の調製
<テストNo.31>
まず、試験1で用いた、練りごま黒No.2;40g及びカゼインナトリウム0gを水に混合して200gの試験液とした。次に、この試験液を、オートクレーブで120℃に加熱し、10分間保持した後、50℃に冷却して試料(c)を調製した。
練りごまとして、試験1で用いた練りごま黒No.4を用いた他は上記の方法と同様にして、試料(d)を調製した。
<テストNo.32〜35>
カゼインナトリウムの量をテストNo.32では0.2g、テストNo.33では0.6g、テストNo.34では1g、テストNo.35では2gとした他は、テストNo.31と同様にして、各テストにおける試料(c)と(d)を調製した。
(3)評価方法
テストNo.31〜35の各試料(c)、(d)について、試験1の評価方法と同様にして、分析篩上に残った固形物の質量を算出した。
その後、各テストにおける、試料(c)と試料(d)の分析篩上に残った固形物の質量の差を算出した。結果を表6に示す。
表6より、練りごま黒No.2を用いた試料(c)と練りごま黒No.4を用いた試料(d)との差は、
テストNo.34>35>32>33>31
の順であった。
(5)考察
この結果より、カゼインナトリウムの添加量により分析篩上に残る固形物の質量が異なることが分かった。
ごまプリンに用いる練りごまを判定するには、特にカゼインナトリウムの添加量が1gであるとねりごまの種類によって分析篩上に残る固形物の質量の差が大きいので、ごまプリンに用いる練りごまの適性を判定し易いことが分った。
(1)目的
この試験は、練りごまがごまプリンに適するか否かを判定する際、最も差を判定し易い加熱温度を検索する目的で実施された。
(2)試料の調製
<テストNo.41>
まず、試験1で用いた、練りごま黒No.2;40g及びカゼインナトリウム1gを水に混合して200gの試験液とした。次に、この試験液を、オートクレーブで110℃に加熱し、10分間保持した後、50℃に冷却して試料(e)を調製した。
練りごまとして、試験1で用いた練りごま黒No.4を用いた他は上記の方法と同様にして、試料(f)を調製した。
<テストNo.42、43>
オートクレーブによる加熱温度を、テストNo.42では120℃とし、テストNo.43では130℃とした他は、テストNo.41と同様にして、各テストにおける試料(e)と(f)を調製した。
(3)評価方法
テストNo.41〜43の各試料(e)、(f)について、試験1の評価方法と同様にして、分析篩上に残った固形物の質量を算出した。
その後、各テストにおける、試料(e)と試料(f)の分析篩上に残った固形物の質量の差を算出した。結果を表7に示す。
表7より、練りごま黒No.2を用いた試料(e)と練りごま黒No.4を用いた試料(f)との差は、
テストNo.42>41>43
の順であった。
(5)考察
この結果より、加熱温度により分析篩上に残る固形物の質量が異なることが分かった。
ごまプリンに用いる練りごまを判定するには、特にオートクレーブでの加熱温度が120℃であると練りごまの種類によって分析篩上に残る固形物の質量の差が大きいので、ごまプリンに用いる練りごまの適性を判定し易いことが分った。
(1)目的
この試験は、練りごまがごまプリンに適するか否かを判定する際、最も差を判定し易い分析篩の目開きを検索する目的で実施された。
(2)試料の調製
まず、試験1で用いた、練りごま黒No.2;40g及びカゼインナトリウム1gを水に混合して200gの試験液とした。次に、この試験液を、オートクレーブで120℃に加熱し、10分間保持した後、50℃に冷却して試料(g)を調製した。
練りごまとして、試験1で用いた練りごま黒No.4を用いた他は上記の方法と同様にして、試料(h)を調製した。
(3)評価方法
<テストNo.51>
各試料(g)、(h)を、目開き425μmの分析篩(TESTING SIEVE;TOKYO SCREEN社製)で濾過し、5分間静置し、分析篩毎質量を測定し、分析篩の風袋質量を引き、分析篩上に残った固形物の質量をそれぞれ算出した。
その後、試料(g)と試料(h)の分析篩上に残った固形物の質量の差を算出した。結果を表8に示す。
<テストNo.52、53>
分析篩をテストNo.52では、目開き600μmの分析篩(TESTING SIEVE;TOKYO SCREEN社製)、テストNo.53では、目開き850μmの分析篩(TESTING SIEVE;TOKYO SCREEN社製)を用いた他は、テストNo.51と同様にして、各テストにおける試料(g)と試料(h)の分析篩上に残った固形物の質量の差を算出した。結果を表8に示す。
表8より、練りごま黒No.2を用いた試料(g)と練りごま黒No.4を用いた試料(h)との差は、
テストNo.52>53>51
の順であった。
(5)考察
この結果より、分析篩の目開きにより分析篩上に残る固形物の質量が異なることが分かった。
ごまプリンに用いる練りごまを判定するには、特に分析篩の目開きが600〜850μmであると練りごまの種類によって分析篩上に残る固形物の質量の差が大きいので、ごまプリンに用いる練りごまの適性を判定し易いことが分った。
表9、No.61の配合割合に従い、練りごまを含む成分を混合し、チューブラ式UHT殺菌機(MOチューブラ式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で140℃、2秒で殺菌した、30℃に冷却して、タンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に1日間貯蔵して調製し練りごまを含有する原料液(I)を得た。
また、表9、No.61の配合割合に従い、乳成分とゲル化剤を含む成分を混合し、プレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で140℃、2秒で殺菌し、25℃に冷却して、タンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に1日間貯蔵した後、多管式熱交換機(スピフレックス;新光産業社製)で85℃に再加温し、70℃に再冷却して調製し乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)を得た。
尚、表9における各成分は以下の通りである。
砂糖(グラニュー糖;ホクレン製)、ミルクフレーバー(ミルクフレーバー;高砂香料製)、グリセリン脂肪酸エステル(ステップSS;花王製)、はちみつ(脱タンパクはちみつ;秋田屋製)、ローカストビーンガム(ローカストビーンガム;三栄源FFI製)、発酵セルロース(サンアーティストPG;三栄源FFI製)、脱脂粉乳(脱脂粉乳;森永乳業製)、バター(無塩バター;森永乳業製)、全脂練乳(全脂練乳;森永乳業製)、水飴(K−SPP;昭和産業製)、カラギーナン(カラギニン;三栄源FFI製)、寒天(寒天;伊那寒天製)、ゼラチン(ゼラチン;新田ゼラチン製)、ごまフレーバー(ごまフレーバー;高砂香料製)。
練りごまを含有する原料液(I)と、乳成分(A)及びゲル化を含有する原料液(II)とを配管中で連続的に25;75(質量比)で混合して60℃の加熱原料液とし、充填機(DOGAseptic;GASTI社製)でポリプロピレンカップ(ポリプロピレンカップ;凸版印刷社製)に100g充填し、アルミ蓋(アルミ蓋;エムエーパッケージング社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して、黒ごまプリンを製造した。
各成分の配合割合を表9、No.62の配合割合に従った他は、実施例1と同様にして黒ごまプリンを製造した。
各成分の配合割合を表9、No.63の配合割合に従った他は、実施例1と同様にして黒ごまプリンを製造した。
各成分の配合割合を表9、No.64の配合割合に従った他は、実施例1と同様にして黒ごまプリンを製造した。
つまり、本発明の練りごまの選別方法によれば、ごまプリンに適した練りごまを、ごまプリンを製造することなく選別でき、食感の滑らかで、練りごまが均一に分散したごまプリンとその製造方法が得られるといえる。
Claims (4)
- 練りごま、乳成分(A)及びゲル化剤を含むごまプリンであって、
前記練りごまが、練りごま40g及びカゼインナトリウム1gを水に混合して200gとした試験液を、120℃に加熱して10分保持した後50℃に冷却して目開き850μmの分析篩で濾過した際、分析篩上に残る固形物の質量が10g以下となる練りごまであることを特徴とするごまプリン。 - 練りごま、乳成分(A)及びゲル化剤を含有し、ゲル化剤のゲル化温度より高い温度に加熱された加熱原料液を得、該加熱原料液を冷却してゲル化させるごまプリンの製造方法であって、
前記練りごまとして、練りごま40g及びカゼインナトリウム1gを水に混合して200gとした試験液を、120℃に加熱して10分保持した後50℃に冷却して目開き850μmの分析篩で濾過した際、分析篩上に残る固形物の質量が10g以下となる練りごまを用いることを特徴とするごまプリンの製造方法。 - 前記練りごまを含有する原料液(I)と、乳成分(A)及びゲル化剤を含有する原料液(II)とを別々に殺菌した後に混合して前記加熱原料液を得る、請求項2に記載のごまプリンの製造方法。
- 練りごまと乳タンパク質成分(B)とを含有する試験液を110〜130℃に加熱し、加熱した試験液を目開き600〜850μmの分析篩で濾過した際に分析篩上に残る固形物の質量により、前記練りごまをごまプリンの製造に用いるか否かを決定する、練りごまの選別方法。
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