JP2009206533A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】動作電圧をほとんど上昇させることなく、閾値電流密度を低減することのできる窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体発光素子を提供する。
【解決手段】GaN系半導体レーザのp型クラッド層を互いにバンドギャップの異なる2以上の半導体層により構成し、かつ、p型クラッド層の活性層側の部分を他の部分に比べてバンドギャップの大きい半導体層により構成する。具体的には、AlGaN/GaN/GaInN SCH構造のGaN系半導体レーザにおいて、p型AlGaNクラッド層10を、p型GaN光導波層9に接するp型Alx1Ga1-x1N層10aと、p型Alx1Ga1-x1 N層10a上のp型Alx2Ga1-x2 N層10b(ただし、0≦x2<x1≦1)とにより構成する。
【選択図】図2

Description

この発明は半導体発光素子に関し、特に、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体発光素子に関する。
近年、窒化ガリウム(GaN)に代表される窒化物系III−V族化合物半導体(以下「GaN系半導体」ともいう)は、このGaN系半導体を用いた発光ダイオード(LED)が実用化され、また、このGaN系半導体を用いたレーザダイオードも達成されたことで大きな注目を集め、光ディスク装置の光源をはじめとした応用が期待されている。
GaN半導体レーザは、例えば、GaInNからなる活性層をn型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNクラッド層により挟んだDH構造(Double Heterostructure)を基本構造としている。n型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNクラッド層は、活性層より低屈折率かつ高バンドギャップであり、活性層で発生した光を閉じ込める役割を有すると共に、キャリアのオーバーフローを抑制する役割を有する。SCH構造(Separate Confinement Heterostructure)のGaN系半導体レーザでは、さらに、活性層とn型AlGaNクラッド層との間および活性層とp型AlGaNクラッド層との間に、それぞれn型GaN光導波層およびp型GaN光導波層が設けられる。これまでに室温連続発振が達成されているGaN系半導体レーザの多くは、このAlGaN/GaN/GaInN SCH構造を有するものである。その中でも、発光波長が400nm帯のものは、例えば、活性層はIn組成が15%程度のGaInNにより構成され、n型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNクラッド層はAl組成が6〜8%程度のAlGaNにより構成されている。
しかしながら、従来のGaN系半導体レーザの動作電流および動作電圧は、既に実用化されているAlGaAs系半導体レーザやAlGaInP系半導体レーザのそれと比べて高く、実用上問題がある条件となっている。
GaN系半導体レーザの動作電流を低減するには閾値電流密度の低減を図ることが有効であり、これを実現する手法としては、n型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNクラッド層のAl組成を大きくすることで、これらの低屈折率化および高バンドギャップ化を図り、光の閉じ込め率Γを大きくすると共に、キャリアのオーバーフローを抑制する方法が考えられる。しかしながら、p型AlGaNクラッド層は、バンドギャップが大きくなるに従ってキャリアが発生しにくくなる傾向がある。そのため、閾値電流密度を低減すべくp型AlGaNクラッド層のAl組成を大きくした場合、このp型AlGaNクラッド層の抵抗が大きくなり、素子の動作電圧が上昇してしまうという問題が生じる。
図8は、従来のGaN系半導体レーザにおけるp型AlGaNクラッド層のAl組成と動作電圧との関係を示すグラフである。この測定に用いた試料は、AlGaN/GaN/GaInN SCH構造を有するリッジストライプ型のものであり、共振器長は1mm、ストライプ幅は3.5μmである。図8において、動作電圧Vopは、室温において、試料を周波数1kHz、デューティ比0.5%、電流100mAの条件でパルス駆動したときの電圧を示す。図8より、p型AlGaNクラッド層のAl組成の増大に伴って、動作電圧Vopが上昇することがわかる。このような動作電圧の上昇は素子寿命を短くするばかりでなく、半導体レーザの高出力化の妨げにもなるため、動作電圧の上昇を抑制しつつ低閾値電流密度で発振可能なGaN系半導体レーザの開発が望まれている。
したがって、この発明の目的は、動作電圧をほとんど上昇させることなく、閾値電流密度を低減することのできる窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体発光素子を提供することにある。
上記目的を達成するために、この発明は、
活性層をn型クラッド層およびp型クラッド層により挟んだ構造を有し、活性層、n型クラッド層およびp型クラッド層は窒化物系III−V族化合物半導体からなる半導体発光素子において、
p型クラッド層が互いにバンドギャップの異なる2以上の半導体層により構成され、かつ、p型クラッド層の活性層側の界面近傍の部分が他の部分に比べてバンドギャップの大きい半導体層により構成されている
ことを特徴とするものである。
この発明において、窒化物系III−V族化合物半導体は、Ga、Al、In、BおよびTlからなる群より選ばれた少なくとも1種類のIII族元素と、少なくともNを含み、場合によってはさらにAsまたはPを含むV族元素とからなる。
この発明において、p型クラッド層は、典型的には、互いに組成の異なるBx Aly Gaz In1-x-y-z N(ただし、0≦x,y,z≦1、0≦x+y+z≦1)からなる2以上の半導体層により構成される。
この発明においては、p型クラッド層のうち活性層側の界面近傍の部分を構成するバンドギャップの大きい半導体層は、p型クラッド層への電子のオーバーフローを効果的に防止する観点から、好適には、p型クラッド層の活性層側の界面から100nm以内の位置に設けられ、より好適には、p型クラッド層の活性層側の界面から50nm以内の位置に設けられる。また、このバンドギャップの大きい半導体層の厚さは、電子のトンネリングを生じさせないようにし、かつ、この層による抵抗上昇を極力抑える観点から、好適には20nm以上100nm以下に選ばれる。
この発明において、p型クラッド層は、単純な構造で、しかも電子のオーバーフローに関して高い防止効果が得られることから、典型的には、活性層側の第1の半導体層と第1の半導体層上の第2の半導体層とにより構成され、第1の半導体層のバンドギャップが第2の半導体層のバンドギャップより大きくされる。この際、第1の半導体層のバンドギャップは、この層をバリア層として機能させる観点から、p型クラッド層の伝導帯に、電子のオーバーフローを抑制するのに十分な高さの障壁が形成されるように選ばれる。一方、バンドギャップの小さい第2の半導体層のバンドギャップは、垂直方向の光閉じ込めが大幅に悪化しない程度の屈折率を維持しつつ、動作電圧の上昇を抑制するために抵抗値が極力低くなるように選ばれる。
上述のように構成されたこの発明による半導体発光素子によれば、p型クラッド層が互いにバンドギャップの異なる2以上の半導体層により構成され、p型クラッド層の活性層側の界面近傍の部分が他の部分に比べてバンドギャップの大きい半導体層により構成されていることにより、n型クラッド層の側からp型クラッド層の側へのキャリア(電子)のオーバーフローが防止され、注入電流のうち発光に寄与しないリーク電流の成分が低減されるので、閾値電流密度を低減することができる。この際、p型クラッド層の他の部分は、活性層側の界面近傍の部分を構成する半導体層に比べてバンドギャップの小さい半導体層により構成することができるので、p型クラッド層の抵抗上昇を抑制することができる。これにより、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体発光素子において、動作電圧をほとんど上昇させずに閾値電流密度を低減することが可能となる。
この発明による半導体発光素子によれば、p型クラッド層が互いにバンドギャップの異なる2以上の半導体層により構成され、p型クラッド層の活性層側の界面近傍の部分が他の部分に比べてバンドギャップの大きい半導体層により構成されていることにより、n型クラッド層の側からp型クラッド層の側へのキャリア(電子)のオーバーフローが防止され、注入電流のうち発光に寄与しないリーク電流の成分が低減されるので、閾値電流密度を低減することができる。この際、p型クラッド層の他の部分は、活性層側の界面近傍の部分を構成する半導体層に比べてバンドギャップの小さい半導体層により構成することができるので、p型クラッド層の抵抗上昇を抑制することができる。これにより、動作電圧をほとんど上昇させることなく、閾値電流密度を低減することが可能な窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体発光素子を得ることができる。また、動作電圧の上昇が抑えられることにより、素子の長寿命化および高出力化を図ることもできる。
この発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの断面図である。 この発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザにおけるp型AlGaNクラッド層の詳細な構造を示す断面図である。 この発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザのエネルギーバンド図である。 この発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザにおいてp型AlGaNクラッド層を構成するp型Alx1Ga1-x1N層の厚さを変化させたときの閾値電流および動作電圧の変化を説明するための図である。 この発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの閾値電流の実測値、ならびに、従来のGaN系半導体レーザにおけるp型AlGaNクラッド層のAl組成と閾値電流の実測値および理論値との関係を示すグラフである。 この発明の第2の実施形態によるGaN系半導体レーザにおけるp型AlGaNクラッド層の詳細な構造を示す断面図である。 この発明の第2の実施形態によるGaN系半導体レーザのエネルギーバンド図である。 従来のGaN系半導体レーザにおけるp型AlGaNクラッド層のAl組成と動作電圧との関係を示すグラフである。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1は、この発明の第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの断面図である。このGaN系半導体レーザは、AlGaN/GaN/GaInN SCH構造を有するリッジストライプ型のものである。また、活性層は多重量子井戸(MQW)構造を有する。
図1に示すように、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザにおいては、例えば、c面サファイア基板1上に低温成長によるアンドープのGaNバッファ層2を介して、アンドープのGaN層3、n型GaNコンタクト層4、n型AlGaNクラッド層5、n型GaN光導波層6、アンドープのGaInNを量子井戸層とするMQW構造の活性層7、p型AlGaNキャップ層8、p型GaN光導波層9、後述する積層構造を有するp型AlGaNクラッド層10およびp型GaNコンタクト層11が順次積層されている。
GaNバッファ層2は厚さが例えば200nmである。GaN層3は厚さが例えば1μmである。n型GaNコンタクト層4は厚さが例えば2μmであり、n型不純物として例えばシリコン(Si)がドープされている。n型AlGaNクラッド層5は例えばn型Al0.06Ga0.94Nからなる。このn型AlGaNクラッド層5は厚さが例えば1μmであり、n型不純物として例えばSiがドープされている。n型GaN光導波層6は厚さが例えば100nmであり、n型不純物として例えばSiがドープされている。活性層7のGaInN量子井戸層は例えばGa0.85In0.15Nからなる。この場合、半導体レーザの発光波長は400nm程度である。また、この活性層7のGaInN量子井戸層は厚さが例えば3.5nmである。
p型AlGaNキャップ層8は例えばp型Al0.2 Ga0.8 Nからなる。このp型AlGaNキャップ層8は厚さが例えば10nmであり、p型不純物として例えばマグネシウム(Mg)がドープされている。p型GaN光導波層9は厚さが例えば100nmであり、p型不純物として例えばMgがドープされている。p型AlGaNクラッド層10は、互いにバンドギャップの異なる、したがって互いに組成の異なる2つのp型Alx1Ga1-x1N層およびp型Alx2Ga1-x2N層(ただし、0≦x2<x1≦1)からなる。このp型AlGaNクラッド層10は全体の厚さが例えば1μmであり、p型不純物として例えばMgがドープされている。このp型AlGaNクラッド層10の具体的な構成については、後に詳細に説明する。p型GaNコンタクト層11は厚さが例えば100nmであり、p型不純物として例えばMgがドープされている。
p型AlGaNクラッド層10の上層部およびp型GaNコンタクト層11は、一方向に延びる所定のリッジストライプ形状を有する。また、n型GaNコンタクト層4の上層部、n型AlGaNクラッド層5、n型GaN光導波層6、活性層7、p型AlGaNキャップ層8、p型GaN光導波層9およびp型AlGaNクラッド層10の下層部は所定のメサ形状を有する。リッジストライプ部におけるp型GaNコンタクト層11上には、例えばNi/Pt/Au電極またはNi/Au電極のようなp側電極12が設けられている。また、メサ部に隣接するn型GaNコンタクト層4上には、例えばTi/Al/Pt/Au電極のようなn側電極13が設けられている。このGaN系半導体レーザは共振器長が例えば1mmであり、リッジストライプ部の幅(ストライプ幅)が例えば3.5μmである。
この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザでは、p型AlGaNクラッド層10が互いにバンドギャップの異なるp型Alx1Ga1-x1N層およびp型Alx2Ga1-x2N層により構成されているのが特徴的である。このp型AlGaNクラッド層10は、具体的には、例えば次のように構成されている。図2に、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザにおけるp型AlGaNクラッド層10の詳細な構造を示す。また、図3は、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザのエネルギーバンド図であり、特にその伝導帯を示す。図3においてEc は伝導帯下端を示す。
図2および図3に示すように、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザにおいて、p型AlGaNクラッド層10は、p型GaN光導波層9に接するp型Alx1Ga1-x1N層10aと、このp型Alx1Ga1-x1N層10a上のp型Alx2Ga1-x2N層10bとにより構成されている。p型Alx1Ga1-x1N層10aは、p型Alx2Ga1-x2N層10bよりAl組成が大きく、したがって高バンドギャップである。
これらのp型Alx1Ga1-x1N層10aおよびp型Alx2Ga1-x2N層10bのうち、バンドギャップの大きいp型Alx1Ga1-x1N層10aは、n型半導体層の側から移動してきた電子が、活性層7に注入されずにp型半導体層の側にオーバーフローするのを防止するバリア層としての役割を有する。一方、p型Alx2Ga1-x2層10bは、後述のようにp型AlGaNクラッド層10の大部分を占めることから、p型AlGaNクラッド層10の抵抗および垂直方向の光導波に及ぼす影響は、このp型Alx2Ga1-x2N層10bによるものが支配的となる。p型AlGaNクラッド層10を構成するこれらのp型Alx1Ga1-x1N層10aおよびp型Alx2Ga1-x2N層10bの組成および厚さは、それぞれの層がその役割を十分に果たすことのできるように選定される。
まず、p型Alx2Ga1-x2N層10bの組成に関しては、垂直方向の光閉じ込めが大幅に悪化しない程度の屈折率を維持しつつ、抵抗値が極力低くなるように選ばれる。具体的には、Mgドープのp型Alx2Ga1-x2N層10bの場合、Al組成x2は例えば0.05≦x2≦0.08とすることが望ましい。このようにp型Alx2Ga1-x2N層10bの組成を選定した上で、p型Alx1Ga1-x1N層10aのAl組成x1は、この層をバリア層として機能させるために、言い換えれば、p型AlGaNクラッド層10の伝導帯に、電子のオーバーフローを防止するのに十分な高さの障壁が形成されるように、p型Alx2Ga1-x2N層10bのAl組成x2よりも例えば0.02以上大きくすることが望ましい。また、このp型Alx1Ga1-x1N層10aの組成は、p型GaN光導波層9およびp型Alx1Ga1-x1N層10aの伝導帯のバンド不連続量が100meV以上となるように選定される。この第1の実施形態におけるp型Alx1Ga1-x1N層10aのAl組成x1およびp型Alx2Ga1-x2N層10bのAl組成x2の一例を挙げると、それぞれx1=0.08、x2=0.06である。
また、p型Alx1Ga1-x1N層10aの厚さt1は、この層をバリア層として機能させるために、少なくとも電子のトンネリングが生じない程度に厚くすることが求められる一方で、この層の抵抗による動作電圧の上昇を抑制するために、なるべく薄いことが求められる。具体的には、このp型Alx1Ga1-x1N層10aの厚さt1は、例えば20nm以上100nm以下の範囲で最適化することが望ましい。ここで、本発明者は、図1に示すと同様の構造を有するGaN系半導体レーザにおいて、p型AlGaNクラッド層10を構成するp型Alx1Ga1-x1N層10aのAl組成x1およびp型Alx1Ga1-x1N層10bのAl組成x2を、それぞれx1=0.08、x2=0.06として、p型Alx1Ga1-x1N層10aの厚さt1を30nm、50nm、80nmと変化させたときに、閾値電流および動作電圧がどの様に変化するかを調べた。図4は、この実験結果をまとめたものである。
図4より、閾値電流はp型Alx1Ga1-x1N層10aの厚さt1が大きいほど減少する傾向があり、動作電圧はp型Alx1Ga1-x1N層10aが厚さt1が小さいほど減少する傾向があることがわかる。したがって、p型Alx1Ga1-x1N層10aのAl組成x1およびp型Alx1Ga1-x1N層10bのAl組成x2を、それぞれx1=0.08、x2=0.06とした場合、動作電圧の上昇を抑えつつ、所定の閾値電流低減効果を得るためには、p型Alx1Ga1-x1N層10aの厚さt1は、例えば50nmに選ばれる。
なお、別途行った実験によれば、閾値電流の低減効果は、p型Alx1Ga1-x1N層10aのAl組成x1が大きいほど高いことが確認されている。したがって、例えば、p型Alx1Ga1-x1N層10aにおいてx1=0.11とした場合、同程度の効果を得るのに必要なp型Alx1Ga1-x1N層10aの厚さt1は、x=0.08とした場合より小さくて済む。
上述のように構成されたこの第1の実施形態によるGaN系半導体レーザによれば、p型AlGaNクラッド層10が互いにバンドギャップの異なるp型Alx1Ga1-x1N層10aとp型Alx2Ga1-x2Nクラッド層10b(ただし、0≦x2<x1≦1)とにより構成され、活性層7に近い側に設けられたバンドギャップの大きいp型Alx1Ga1-x1N層10aが電子のオーバーフローを防止するバリア層として機能することにより、従来に比べて閾値電流密度が低減される。しかも、p型AlGaNクラッド層10の他の部分は、p型Alx1Ga1-x1N層10aに比べてバンドギャップの小さいp型Alx2Ga1-x2N層10bにより構成されているので、p型AlGaNクラッド層10全体の抵抗上昇は抑えられている。
ここで、本発明によるp型クラッド層の構成を採用することによる閾値電流密度の低減効果について、実験結果に基づいて説明する。
図5に、従来のGaN系半導体レーザにおけるp型AlGaAsクラッド層のAl組成と閾値電流との関係を示す。図5において、実線のグラフは、従来のGaN系半導体レーザの閾値電流の実測値を表す。この測定に用いた試料は、p型AlGaNクラッド層のバンドギャップ(組成)が一様であること以外は、図1に示すGaN系半導体レーザと同様のレーザ構造を有するものであり、共振器長は1mmとし、ストライプ幅は3.5μmとした。破線のグラフは、リーク電流の成分が無い場合の閾値電流の理論値を表す。この閾値電流の理論値は、光閉じ込め率Γの逆数に比例する。また、空丸(○)は、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザ(ただし、p型Alx1Ga1-x1N層10aのAl組成x1=0.08、厚さt1=50nm、p型Alx2Ga1-x2N層10bのAl組成x2=0.06)の閾値電流の実測値を表す。
図5に示すように、p型AlGaNクラッド層のバンドギャップが一様な従来のGaN系半導体レーザでは、p型AlGaNクラッド層のAl組成が小さく、したがってそのバンドギャップが小さくなる程、閾値電流が上昇する。ここで、実線のグラフおよび破線のグラフで囲まれた領域は、注入電流のうち発光に寄与しないリーク電流の成分に対応する。これに対して、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザの閾値電流の実測値は、p型AlGaNクラッド層のAl組成が0.06である従来のGaN系半導体レーザの閾値電流の理論値に近い値であることがわかる。このことより、本発明によるp型クラッド層の構成が採用されたこの第1の実施形態によるGaN系半導体レーザにおいて、閾値電流(閾値電流密度)が従来のGaN系半導体レーザに比べて低減されるのは、p型AlGaNクラッド層10の活性層7側にバリア層としてのp型Alx1Ga1-x1N層10aが設けられることによって、リーク電流の成分が低減されるためであることがわかる。
以上のように、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザによれば、動作電圧をほとんど上昇させることなく、閾値電流密度を低減することが可能である。また、この第1の実施形態によるGaN系半導体レーザによれば、動作電圧の上昇が抑えられることにより、素子の長寿命化および高出力化を図ることができるという利点も合わせて得ることができる。
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。図6は、この発明の第2の実施形態によるGaN系半導体レーザにおけるp型AlGaNクラッド層10の詳細な構造を示す。また、図7は、この第2の実施形態によるGaN系半導体レーザのエネルギーバンド図であり、特にその伝導帯について示す。なお、図7においてEc は伝導帯下端のエネルギーを示す。
図6および図7に示すように、この第2の実施形態によるGaN系半導体レーザにおいて、p型AlGaNクラッド層10は、p型GaN光導波層9に接するp型Alx2Ga1-x2N層10bと、この上のp型Alx1Ga1-x1N層10aと、この上のp型Alx2Ga1-x2N層10bとにより構成されている。すなわち、丁度、p型Alx2Ga1-x2Nからなるp型AlGaNクラッド層10中の活性層7側の界面近傍の部分に、p型Alx1Ga1-x1Nからなるバリア層が挿入された構造となっている。この場合、バリア層としてのp型Alx1Ga1-x1N層10aは、好適には、p型AlGaNクラッド層10の活性層7側の界面から100nm以下の位置に設けられることが望ましく、より好適にはp型AlGaNクラッド層10の活性層7側の界面から50nm以下の位置に設けられることが望ましい。すなわち、p型GaN光導波層9とp型Alx1Ga1-x1N層10aとの間のp型Alx2Ga1-x2N層10bの厚さt2は、好適には100nn以下、より好適には50nm以下とされる。
この第2の実施形態によるGaN系半導体レーザの上記以外の構成は、第1の実施形態によるGaN系半導体レーザと同様であるので、説明を省略する。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の利点を得ることができる。
以上この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、材料、構造などはあくまで例にすぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、材料、構造などを用いてもよい。具体的には、例えば、上述の第1および第2の実施形態におけるp型AlGaNクラッド層10は、互いにバンドギャップの異なる3以上のp型Alx Ga1-x N層(ただし、0≦x≦1)により構成されたものであってもよい。より具体的には、例えば、第1の実施形態におけるp型AlGaNクラッド層10は、p型GaN光導波層9に接するp型Alx1Ga1-x1N層と、この上のp型Alx2Ga1-x2N層と、この上のp型Alx3Ga1-x3N層(ただし、0≦x3<x2<x1≦1)とにより構成されたものであってもよい。なお、このようにp型AlGaNクラッド層10を互いにバンドギャップの異なる3以上のp型Alx Ga1-x N層により構成する場合、典型的には、これらの層はバンドギャップの大きい順に積層されるが、動作電圧をほとんど上昇させることなく閾値電流密度を低減することが可能で、特に垂直方向の光の閉じ込めなどに悪影響を与えることのない場合は、これに限定されるものではない。また、第2の実施形態におけるp型AlGaNクラッド層10は、p型Alx1Ga1-x1N層10aの上下で互いにバンドギャップ(組成)が異なるものであってもよい。
また、上述の第1および第2の実施形態において挙げたレーザ構造を形成する各半導体層の組成および厚さについても、必要に応じて例示したものと異なる組成および厚さとしてもよい。特に、上述の第1および第2の実施形態においては、典型な例として、p型クラッド層をp型Alx Ga1-x Nにより構成しているが、このp型クラッド層は、Bx Aly Gaz In1-x-y-z N(ただし、0≦x,y,z≦1、0≦x+y+z≦1)からなるものであってもよい。
また、上述の第1および第2の実施形態においては、この発明をリッジストライプ型のGaN系半導体レーザに適用した場合について説明したが、この発明は電極ストライプ型のGaN系半導体レーザにも適用可能である。
また、上述の第1および第2の実施形態においては、活性層7からみて基板側にn型半導体層が配置され、その反対側にp型半導体層が配置されているが、これは、活性層7からみて基板側にp型半導体層が配置され、その反対側にn型半導体層が配置されていてもよい。
また、上述の第1および第2の実施形態においては、この発明をSCH構造のGaN系半導体レーザに適用した場合について説明したが、この発明はDH構造のGaN系半導体レーザは勿論のこと、GaN系発光ダイオードにも適用可能である。また、活性層は単一量子井戸(SQW)構造としてもよい。
1…c面サファイア基板、4…n型GaNコンタクト層、5…n型AlGaNクラッド層、6…n型GaN光導波層、7…活性層、9…p型GaN光導波層、10…p型AlGaNクラッド層、10a…p型Alx1Ga1-x1N層、10b…p型Alx2Ga1-x2N層、11…p型GaNコンタクト層

Claims (13)

  1. 活性層を光導波層を介してn型クラッド層およびp型クラッド層により挟んだ構造を有し、上記活性層、上記光導波層、上記n型クラッド層および上記p型クラッド層は窒化物系III−V族化合物半導体からなり、
    上記p型クラッド層が互いにバンドギャップの異なる2以上の半導体層により構成され、かつ、上記p型クラッド層の上記活性層側の部分が他の部分に比べてバンドギャップの大きい上記半導体層により構成されている半導体発光素子。
  2. 上記p型クラッド層が、互いに組成の異なるBx Aly Gaz In1-x-y-z N(ただし、0≦x,y,z≦1、0≦x+y+z≦1)からなる上記2以上の半導体層により構成されている請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 上記活性層と上記p型クラッド層側の上記光導波層との間にp型AlGaNキャップ層が設けられている請求項2記載の半導体発光素子。
  4. 上記p型クラッド層が、上記活性層側のp型Alx1Ga1-x1N層と、このp型Alx1Ga1-x1N層上のp型Alx2Ga1-x2N層(ただし、0≦x2<x1≦1)とにより構成されている請求項1記載の半導体発光素子。
  5. 上記p型Alx1Ga1-x1N層の厚さが20nm以上100nm以下である請求項4記載の半導体発光素子。
  6. 上記p型Alx1Ga1-x1N層のAl組成x1が上記p型Alx2Ga1-x2N層のAl組成x2よりも0.02以上大きい請求項4記載の半導体発光素子。
  7. 上記活性層がGaInNを量子井戸層とする請求項1記載の半導体発光素子。
  8. 活性層を光導波層を介してn型クラッド層およびp型クラッド層により挟んだ構造を有し、上記活性層、上記光導波層、上記n型クラッド層および上記p型クラッド層は窒化物系III−V族化合物半導体からなり、
    上記p型クラッド層が3層のp型AlGaN層により構成され、かつ、上記p型クラッド層の2層目のp型AlGaN層が他のp型AlGaN層に比べてバンドギャップが大きい半導体発光素子。
  9. 上記活性層と上記p型クラッド層側の上記光導波層との間にp型AlGaNキャップ層が設けられている請求項8記載の半導体発光素子。
  10. 上記3層のp型AlGaN層が上記活性層側のp型Alx2Ga1-x2N層と、このp型Alx2Ga1-x2N層上のp型Alx1Ga1-x1N層と、このp型Alx1Ga1-x1N層上のp型Alx2Ga1-x2N層(ただし、0≦x2<x1≦1)とにより構成されている請求項8記載の半導体発光素子。
  11. 上記活性層側のp型Alx2Ga1-x2N層の厚さが100nm以下である請求項10記載の半導体発光素子。
  12. 上記p型Alx1Ga1-x1N層のAl組成x1が上記p型Alx2Ga1-x2N層のAl組成x2よりも0.02以上大きい請求項10記載の半導体発光素子。
  13. 上記活性層がGaInNを量子井戸層とする請求項10記載の半導体発光素子。
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