JP2009204397A - クロマトグラフ用データ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リアルタイムでのベースラインの推定の確度を向上し、特に大きなドリフトも的確に推定する。
【解決手段】時間経過に従って得られるクロマトグラムデータに対し、時間間隔が相違する2つの最小値フィルタ62、63でそれぞれピークを除去したカーブを求めると共に、ピークのボトムを繋ぐ包絡線を包絡線算出部64で求める。ベースライン推定部65は、ピークがない時間範囲では、ベースラインが最小値フィルタ62、63の2つのカーブの間にあると推定したときの強度値の確率分布と直近のベースラインの強度値及び傾きとから予想される強度値の確率分布とから、ベースラインの強度値を推定する。また、ピークがある時間範囲では、包絡線によってピークの重なりやテーリングを推定した上で決めた傾きを有するとみなしベースラインを推定する。こうして逐次推定されたベースラインを補正したクロマトグラムを表示部8に表示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフなどのクロマトグラフ分析により得られたクロマトグラムデータを処理するデータ処理装置に関し、特に、クロマトグラムのベースラインを補正するためのデータ処理装置に関する。
ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフなどのクロマトグラフ分析では、分析対象の試料に含まれる各種成分がピークとして現れるクロマトグラムが得られ、これを解析することで成分の定性や定量が行われる。こうしたクロマトグラムにおいては、検出器の周囲温度の変動、試料溶媒への不純物の混入など、様々な要因によりベースラインが変動する。そこで、従来より、測定終了後(全データの収集後)に、得られた全てのクロマトグラムデータを用いた波形処理を行ってベースラインを推定し、クロマトグラムカーブからこのベースラインを差し引く補正処理が行われている。こうした補正処理により得られたクロマトグラムに対しピーク検出を行い、そのピークの面積や高さなどから、試料成分の定量が行われる。ベースラインの推定方法としては、例えば非特許文献1に記載の方法などが知られている。
ところで、一般的なクロマトグラフ装置では、測定実行中にもほぼリアルタイムで測定の途中経過を示すクロマトグラムが表示画面上に描出され、オペレータはそれを観察することで試料成分の概要を把握したり分析の妥当性を判断したりすることができる。こうしたクロマトグラムの描出時にベースラインが大きく変動してしまうと、オペレータがピークを同定することが難しくなるため、表示するクロマトグラムのベースラインを逐次補正することが望ましい。しかしながら、上述のような従来のベースライン補正処理では、全てのクロマトグラムデータを用いてベースラインを推定しているため、測定実行中に逐次ベースラインを補正することはできない。
特許文献1には、分析の経過に伴って順次得られるデータに基づいてクロマトグラムを作成する際に、ベースラインを補正するいくつかの手法が開示されている。しかしながら、該文献中でも指摘されているように、従来提案されているベースライン補正方法は一長一短があり、特に局所的な信号の変動に鋭敏過ぎる傾向が指摘されている。しかしながら、局所的な信号の変動への追従をしにくくすれば、ベースラインの大きなドリフトにも対応しにくくなるという矛盾した問題が起こる。また、定量計算の方法にもよるが、例えばピーク面積を用いて定量計算を行うような場合に、ベースライン補正が適切でないとピーク面積の計算精度が悪くなり定量精度の低下に繋がるという問題もある。
大きなドリフトを有するベースラインの補正が難しいことから、ハードウエア的にベースラインのドリフトを抑制するべく、例えば各部の温度調節を行って温度変動による影響を軽減したり、流路の洗浄を行って不純物の混入による影響を軽減したりする例もある。しかしながら、こうした対策だけでは必ずしも十分にベースラインドリフトを抑えることは困難であるし、上記のようなハードウエアの追加を行うと、かなりのコストアップが避けられない。
特開平8−233795号公報 「技術分類2−4−1−1 質量分析全般技術/データ処理・スペクトル処理/ノイズ除去 技術名称2−4−1−1−1 ベースラインサブトラクト」、[online]、特許庁、[平成20年2月27日検索]、インターネット<URL : http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/mass/2-4-1.pdf#1-1>
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、クロマトグラフ分析の実行中に時間経過に伴って順次得られるデータに基づいて作成されるクロマトグラムのベースライン、特に大きなドリフトを伴うようなベースラインを逐次、適切に補正することができるクロマトグラフ用データ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、時間経過に伴ってクロマトグラフ検出器により順次得られるデータを処理し、クロマトグラムを作成するクロマトグラフ用データ処理装置であって、
a)前記データに対してピークの影響を除外するように設定された第1の時間間隔の複数のデータのうちの最小値を求める第1のフィルタ手段と、
b)前記データに対しベースラインの長時間の変動を反映するように第1の時間間隔よりも長く設定された第2の時間間隔の複数のデータのうちの最小値を求める第2のフィルタ手段と、
c)ピークが存在しない時間領域では第1及び第2のフィルタ手段によりそれぞれ得られる2つのカーブで挟まれる強度値範囲内にベースラインが存在するとみなし、該2つのカーブと、直近の推定時点におけるベースラインの強度値及びそのべーラインの傾きとに基づいて、次の時点におけるベースラインの強度値を推定することにより、ベースラインを逐次更新するベースライン推定手段と、
d)前記ベースライン推定手段により求められたベースラインを差し引いたクロマトグラムを逐次更新するクロマトグラム作成手段と、
を備えることを特徴としている。
本発明が対象とするクロマトグラフ分析は、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフなど、その分析の形態を特に問わない。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置において、第1及び第2のフィルタ手段は、それぞれ対象とするデータの時間間隔が相違する2つの最小値フィルタである。いずれの最小値フィルタもクロマトグラムに出現する試料成分に対応したピークには追従せず、ピークが除外されたカーブが出力されるが、データの時間間隔が相対的に狭い第1のフィルタ手段のほうが、大きなピークのテーリングやピークの重なりなどのベースラインの真の変動以外の要因による比較的緩やかな変動に追従し易く、データの時間間隔が相対的に広い第2のフィルタ手段ではそうした変動に追従しにくい。したがって、ピークの出現位置から時間的に十分遠く離れた、強度変化が殆どない時間領域においては、両フィルタ手段によるカーブは漸近し、ペースラインの真の強度値はその両カーブの間にあると考えられる。そして、その手前の位置からベースラインは上記真の強度値に漸近していくものと考えることができる。
そこで、ベースライン推定手段は、2つの最小値フィルタの出力からベースラインの強度値が存在する確率の高い推定範囲を求め、その推定範囲に近付くように、直近の推定時点におけるベースラインの強度値からのべーラインの傾きを修正することで次の推定時点における強度値を推算する。クロマトグラフ検出器から所定個数の最新のデータが得られる毎にこれを繰り返すことで、逐次的にベースラインを推定していき、クロマトグラム作成手段は、このベースラインを差し引いたクロマトグラムを作成して、例えば表示部の画面上のクロマトグラムの表示を更新する。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置の具体的な一態様として、前記ベースライン推定手段は、ピークが出現する以前のクロマトグラムカーブから強度値の標準偏差を求め、前記2つのカーブの中間値を平均値とし上記標準偏差を持つ確率分布と、直前のベースラインの推定強度値及びそのべーラインの傾きとから予測される強度値を平均値とし上記標準偏差を持つ確率分布と、を求め、それら2つの確率分布を用いてベースラインの次の強度値を推定する構成とすることができる。
この構成では、2つの確率分布に基づいて確率的に最も採り得る強度値を探索すればよく、例えば2つの確率分布における積が最大となるような強度値を見つけるとよい。なお、上記ピークが出現する以前のクロマトグラムカーブとは、通常、クロマトグラフへ試料が注入された直後に得られるクロマトグラムである。
また、本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置では、好ましくは、前記データに基づいてピークを検出するピーク検出手段をさらに備え、前記ベースライン推定手段は、前記ピーク検出手段により得られたピークのボトムを繋ぐ包絡線を求め、該包絡線を用いてベースラインの変動以外の変動要因を推測し、該変動要因の影響を軽減するようにベースラインの推定値の変化を抑制するようにするとよい。
上記包絡線により、例えば大きなピークのテーリングやピークの重なりとベースラインの変動との区別がつき易くなるので、その情報を利用することにより、そうした変動要因の影響を一層除去してベースラインの推定の正確性を向上させることができる。
なお、ピーク検出手段によるピーク検出結果を利用して、ピークが存在している時間範囲においてはその直前のペースラインを一定の傾きで外挿するようにしてもよい。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置によれば、クロマトグラフ分析の実行中に既に取得されたクロマトグラムデータを利用して、そのクロマトグラムのベースラインを高い確度で逐次推定し、ベースラインを補正したクロマトグラムを作成して描出することができる。特に、ベースライン推定の際に、ドリフトと判別がつきにくい大きなピークのテーリングやピークの重なりなどの影響を極力除去しつつ、大きなドリフトを持つベースラインを的確に推定することができる。これによって、ベースラインの大きなドリフトによるクロマトグラムのピークのスケールアウトを回避することができ、ユーザが目視でピーク同定を行うことが容易になる。また、分析実行中にほぼリアルタイムで表示されるクロマトグラムの信頼性が高まるので、分析の不具合などの判断がより的確に行えるようになる。
以下、本発明に係るデータ処理装置を適用したガスクロマトグラフ装置の一実施例を図を参照して説明する。図1はこのガスクロマトグラフ装置の概略構成図である。
このガスクロマトグラフ装置では、ヘリウム等のキャリアガスが略一定流量で試料導入部1を介してGCカラム2に送られる。試料導入部1において導入された試料は気化してキャリアガスに乗ってGCカラム2に送り込まれ、GCカラム2を通過する間に試料中の各種成分は分離され、異なる保持時間で以てGCカラム2から出て検出器3に導入される。検出器3は導入されるガスに含まれる試料成分を順次検出し、その成分量に応じた強度信号を出力する。この強度信号はA/D変換器5により所定のサンプリング周期でサンプリングされてそれぞれデジタル値に変換され、本発明に係るデータ処理装置に相当するデータ処理部6に入力される。
検出器3の種類は特に限定されないが、例えば水素炎イオン化検出器、熱伝導度検出器、炎光光度検出器、エレクトロンキャプチャ検出器、フレームサーミオニック検出器、或いは質量分析計などを用いることができる。
データ処理部6は、機能ブロックとして、ピーク検出部61、第1最小値フィルタ62、第2最小値フィルタ63、包絡線算出部64、ベースライン推定部65、クロマトグラム作成部66、ベースライン補正部67、などを含み、後述するように分析実行により順次得られるデータを逐次処理してほぼリアルタイムでベースラインを補正したクロマトグラムを表示部8の画面上に表示させる。また、操作部7はデータ処理に必要なパラメータなどをオペレータが入力設定するために操作される。なお、データ処理部6及び図示しない制御部の機能の一部又は大部分は、パーソナルコンピュータやワークステーションにインストールした専用の制御・処理ソフトウエアを実行することで達成することができる。
次に、本実施例のガスクロマトグラフ装置における特徴的な動作として、分析実行中のベースライン補正処理を施したクロマトグラム描出処理について詳細に説明する。図2はこの処理のための手順を示すフローチャート、図3はこの処理を説明するための波形図である。
まず、分析開始前にオペレータは、処理に必要なパラメータを操作部7より入力設定する。パラメータとしては、例えば、クロマトグラムデータのサンプリング時間間隔、ピーク検出のための傾き(上昇傾斜、下降傾斜)の閾値、2種類の最小値フィルタ62、63でそれぞれフィルタリングの対象とするデータの時間幅、などがある。但し、これらパラメータが入力設定されない場合でも、予め定めたデフォルト値を用いて後述の処理を行うことが可能である。
オペレータの指示によりクロマトグラフ分析の実行が開始されると、試料導入部1に目的試料が注入され、この目的試料がGCカラム2に導入される。データ処理部6は分析開始時点から、A/D変換器5でデジタル化された検出データの読み込みを開始する。分析開始直後には試料成分や溶媒成分などは未だGCカラム2から出てこないので、データ処理部6に入力されるクロマトグラムデータにはピークはなく、殆ど変動のないベースラインを反映した略一定な強度値を示す。このような変動のない平坦な部分に基づいて初期データ処理を実行し、ベースラインの初期値と初期傾き、強度値の標準偏差などを決定する(ステップS1)。
クロマトグラフ分析の進行に伴ってデータの取得を継続し(ステップS2)、ピーク検出部61はそのデータに基づいて作成されるカーブの傾きと最初に設定されたピーク検出用の傾きの閾値とを比較することで、ピークの開始点と終了点とを検出する(ステップS3)。このピーク開始点、終了点等のピーク検出情報は包絡線算出部64及びベースライン推定部65に与えられる。
上記ピーク検出動作と並行して、第1最小値フィルタ62及び第2最小値フィルタ63はそれぞれ、所定の時間幅内に含まれる所定の時間間隔の複数のデータの中で強度値が最小のものを選択し、それをその時間幅に対する強度値と定める、という処理を繰り返す(図3(a)参照)。また、包絡線算出部64はピーク検出部61により検出されたピークのボトム(谷の極小値)の強度値を順に繋いだ包絡線を算出する(図3(b)、(c)参照)。最小値フィルタ62、63の出力であるカーブ、及び包絡線は、分析時間が経過してクロマトグラムデータの収集が進むに従い、逐次最新のものが付加されるように更新される(ステップS4)。
ベースライン推定部65は、上述した2つの最小値フィルタ62、63の出力カーブ、包絡線算出部64による包絡線、及びピーク検出部61によるピーク検出情報、を用いて、ベースラインの強度値を逐次推定する(ステップS5)。具体的には、以下のような処理を実施することでベースラインを推定することができる。
まずピーク検出部61により得られるピーク検出情報に基づき、ピークが存在する時間範囲(ピーク開始点からピークトップを挟んでピーク終了点までの範囲)とピークが存在しない時間範囲とのいずれであるのかを判断し、それに応じて処理を変更する。
(A)ピークが存在しない時間範囲
第1最小値フィルタ62が対象とするデータの時間間隔は第2最小値フィルタ63が対象とするデータの時間間隔よりも狭く設定されているため、第1最小値フィルタ62による出力は第2最小値フィルタ63による出力よりもベースラインの変動に追従し易い。しかしながら、これは、第1最小値フィルタ62による出力がベースラインの真の変動のみならず、それ以外の例えば大きなピークのテーリングなどの影響を受けて変動し易いことを意味する。したがって、基本的には、ベースラインは第1最小値フィルタ62による出力と第2最小値フィルタ63による出力との間に存在するものと考えることができる。
ピークが存在しない時間範囲であって信号の強度変化が小さい位置では、第1最小値フィルタ62の出力と第2最小値フィルタ63の出力とはほぼ同一になり、これが真のベースラインの強度値であると考えれば、その強度値に対し現在のベースラインの推定強度値から徐々に近づいていくような変化が生じると考えるのが妥当である。そこで、こうした変化を実現するために、第1及び第2最小値フィルタ62、63の出力からベースラインがとり得る範囲を推定するとともに、現在の(つまり直近の)ベースラインの推定強度値と傾きとを考慮して、より確からしい強度値を推定する。
ここでは、最小値フィルタ62、63の結果から得られたベースラインの推定範囲の中点を平均値とし、ステップS1で求めた標準偏差を持つような強度値の分散を考え、その確率分布Aを求める。一方、直近のベースラインの強度値から直近のベースラインの傾きを以て到達する点を平均値とし、ステップS1で求めた標準偏差を持つような強度値の分散を考え、その確率分布Bを求める。一般的にベースラインが上昇する方向の変動が大きな局面では、確率分布Aは確率分布Bよりも大きな方向に片寄る。両確率分布A、Bを考慮して最も確からしい強度値を求めるために、両確率分布A、Bの積を計算し、この積が最大となるような値をベースラインの次の時刻における強度値とする。
(B)ピークが存在する時間範囲
ピークの範囲内ではそのピークの直前の強度値から一定の傾きで外挿した直線をベースラインとする。この外挿線の傾きは、包絡線の傾きからを参照して、そのピーク直前のベースラインの傾きから求める。包絡線の傾きを参照するのは、図3(b)、(c)に示したように、包絡線の変化からピークの重なりやピークのテーリングを判断可能であるためである。
基本的には、上記(A)と(B)との組合せでベースラインを逐次推定して更新することができるが、ベースラインの推定強度値が明らかに合理性を欠く場合には、例えば最小値フィルタ62、63の出力で決まる推定範囲の幅を狭める或いはベースラインの傾きに上限を設ける等により、ベースラインの推定の再計算を実行するとよい。合理性を欠く場合とは、例えばベースラインの推定強度値がクロマトグラムの強度値よりも大きくなってしまう場合などである。
上述のようにしてベースラインの新たな推定強度値が求まると、ベースライン補正部67ではクロマトグラム作成部66で作成されたベースラインを含むクロマトグラムからベースラインを差し引く演算処理を実行することでベースラインの補正されたクロマトグラムを求め、表示部8の画面上に表示しているクロマトグラムを更新する(ステップS6)。そして、分析が終了するまで(ステップS7でYES)、ステップS2〜S6の処理を繰り返す。これによって、クロマトグラフ分析の時間経過に従って、逐次、表示されるクロマトグラムが更新される。上記処理では、或る程度の量のデータが溜まらないとベースライン推定の処理が行えないので、完全なリアルタイム表示ではないものの、例えばデータのサンプリング時間間隔が4ms程度であるときに、0.5秒程度の遅れの範囲で最新のクロマトグラムを表示することができる。
図4は実際にクロマトグラフ分析で得られたクロマトグラム信号に対して上記処理を実行した場合のシミュレーション結果を示す図である。図4(a)は2つの最小値フィルタの演算結果を示すカーブ、図4(b)は包絡線の算出結果を示すカーブ、図4(c)は推定されたベースラインのカーブである。
なお、上記実施例では、2つの強度値の確率分布の積を利用して次の時刻におけるベースラインの強度値を推定していたが、過去のベースラインの強度値及び傾きから多項式フィッティングによりベースラインのカーブを推定し、これを最小値フィルタ62、63の出力から決まる推定強度範囲と比較することで、ベースラインのカーブを修正するようにしてもよい。
また、上記実施例は本発明の一例であり、本願発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
本発明に係るデータ処理装置を適用した本実施例のガスクロマトグラフ装置の概略構成図。 分析実行中のベースライン補正処理を施したクロマトグラム描出処理のための手順を示すフローチャート。 図2に示した処理を説明するための波形図。 本実施例によるデータ処理の適用例を示す波形図。
符号の説明
1…試料導入部
2…GCカラム
3…検出器
5…A/D変換器
6…データ処理部
61…ピーク検出部
62…第1最小値フィルタ
63…第2最小値フィルタ
64…包絡線算出部
65…ベースライン推定部
66…クロマトグラム作成部
67…ベースライン補正部
7…操作部
8…表示部

Claims (3)

  1. 時間経過に伴ってクロマトグラフ検出器により順次得られるデータを処理し、クロマトグラムを作成するクロマトグラフ用データ処理装置であって、
    a)前記データに対してピークの影響を除外するように設定された第1の時間間隔の複数のデータのうちの最小値を求める第1のフィルタ手段と、
    b)前記データに対しベースラインの長時間の変動を反映するように第1の時間間隔よりも長く設定された第2の時間間隔の複数のデータのうちの最小値を求める第2のフィルタ手段と、
    c)ピークが存在しない時間領域では第1及び第2のフィルタ手段によりそれぞれ得られる2つのカーブで挟まれる強度値範囲内にベースラインが存在するとみなし、該2つのカーブと、直近の推定時点におけるベースラインの強度値及びそのべーラインの傾きとに基づいて、次の時点におけるベースラインの強度値を推定することにより、ベースラインを逐次更新するベースライン推定手段と、
    d)前記ベースライン推定手段により求められたベースラインを差し引いたクロマトグラムを逐次更新するクロマトグラム作成手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラフ用データ処理装置であって、前記ベースライン推定手段は、ピークが出現する以前のクロマトグラムカーブから強度値の標準偏差を求め、前記2つのカーブの中間値を平均値とし上記標準偏差を持つ確率分布と、直前のベースラインの推定強度値及びそのべーラインの傾きとから予測される強度値を平均値とし上記標準偏差を持つ確率分布と、を求め、それら2つの確率分布を用いてベースラインの次の強度値を推定することを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
  3. 請求項1又は2に記載のクロマトグラフ用データ処理装置であって、前記データに基づいてピークを検出するピーク検出手段をさらに備え、前記ベースライン推定手段は、前記ピーク検出手段により得られたピークのボトムを繋ぐ包絡線を求め、該包絡線を用いてベースラインの変動以外の変動要因を推測し、該変動要因の影響を軽減するようにベースラインの推定値の変化を抑制することを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
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