JP6409983B2 - クロマトグラフ質量分析データ処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Description
本発明は、試料中の目的化合物の有無を判定したり目的化合物を定量したりするために、液体クロマトグラフ(LC)やガスクロマトグラフ(GC)と質量分析装置とを組み合わせた液体クロマトグラフ質量分析装置(LC−MS)やガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)などのクロマトグラフ質量分析装置で収集されたデータを処理するデータ処理方法及び処理装置に関する。
LC−MSでは、LCのカラムから送られて来る溶出液に対し質量分析装置において所定の質量電荷比m/z範囲に亘るスキャン測定を繰り返すことで、溶出液中の成分由来のイオンの質量電荷比と信号強度との関係を示すマススペクトルデータを時々刻々と得ることができる。こうして得られたデータから特定の一つの質量電荷比における信号強度を示すデータを抽出し時系列順に並べることで、該質量電荷比を持つイオンの信号強度の時間的な変化を示す抽出イオンクロマトグラム(XIC)を作成することができる。また、特定の複数の質量電荷比における信号強度を示すデータを抽出し、その信号強度を測定点(保持時間)毎に加算して時系列順に並べることで、混合イオンクロマトグラム(MIC)を作成することができる。さらにまた、一つのマススペクトルに現れる全ての質量電荷比における信号強度を示すデータを加算して時系列順に並べることで、トータルイオンクロマトグラム(TIC)を作成することができる。
例えば試料に含まれる目的化合物を定量したい場合には、その目的化合物由来のイオンの質量電荷比におけるXIC又は該質量電荷比を含むMICを作成し、そのクロマトグラム上で目的化合物に対応するピークを検出しピークの面積値を計算する。そして、予め求めておいた、その目的化合物の濃度(含有量)とピーク面積値との関係を示す検量線を参照し、実測のクロマトグラムに基づくピーク面積値から濃度値を算出する。また、試料中に目的化合物が含まれているか否かを調べたい場合には、その目的化合物由来のイオンの質量電荷比におけるXICを作成し、該XIC上で目的化合物に対応するピークの検出を試み、ピークが検出されれば該目的化合物が存在し、ピークが検出されなければ該目的化合物は存在しないと判断することができる。
定量対象又は検出対象の化合物が決まっている場合には、その目的化合物由来のイオンの質量電荷比だけでなく保持時間も既知である。そこで、通常、XICやMICにおいて該目的化合物の保持時間付近の所定時間範囲でピークを検出し、検出されたピークの開始点及び終了点を決定してピーク面積値を算出する(特許文献1等参照)。
しかしながら、様々な要因によって質量分析装置において検出されるイオンの質量電荷比に誤差(質量ずれ)が生じた場合、本来その目的化合物由来のピークが観測される筈であるXICやMICに目的化合物由来のピークが現れず、ピーク検出やピーク面積値の算出が行えなくなることがある。また、LCで複数の化合物が十分に分離されず、XICやMIC上で別の化合物由来のピークが目的化合物由来のピークに重なってしまった場合に、その目的化合物由来のピークトップの位置が見かけ上ずれてしまい、保持時間を中心とする時間範囲から外れてピーク検出ができなくなる場合がある。さらにまた、目的化合物の含有量が少ない場合には、該目的化合物由来のイオンの質量電荷比におけるXICを作成するとノイズが相対的に大きくなり、ノイズの影響で目的化合物由来のピークの検出が困難になったり或いはピーク面積値の誤差が大きくなったりすることがある。
「Lasso および Elastic Net」、[online]、米国MathWorks社、[2015年10月16日検索]、インターネット<URL: http://jp.mathworks.com/help/stats/lasso-and-elastic-net.html>
ビショップ(C. M. Bishop)、「パターン・リコグニション・アンド・マシン・ラーニング(Pattern Recognition and Machine Learning)」、米国シュプリンガー(Springer)社、2006年
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、従来のXICやMICに比べてノイズの少ない目的化合物由来のピークを得ることができるとともに、ノイズの重畳や質量ずれ、或いはピークトップの時間方向のずれなどがあった場合でも、従来のXICやMIC上で観測されるピークの面積値に基づく定量に比べて精度の高い定量を行うことができるクロマトグラフ質量分析データ処理方法及び処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、クロマトグラフ質量分析により時間経過に伴って繰り返し得られたマススペクトルデータを処理するクロマトグラフ質量分析データ処理方法であって、
a)任意の測定時点tにおいて得られたマススペクトルデータに基づく、質量電荷比点数を次元数とし信号強度値を要素とする実測ベクトルMt、測定時点tにおける目的化合物の数を次元数とし各目的化合物の重みを要素とする化合物重みベクトルwt、及び、目的化合物の標準的なマススペクトルに基づく、質量電荷比点数と目的化合物の数とをそれぞれ行と列の数とし信号強度値を要素とする化合物スペクトル行列L、の関係を線形回帰モデルとして定め、既知である前記実測ベクトルMtと前記化合物スペクトル行列Lとに基づき、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いて化合物重みベクトルwtを推定する、という最尤解推定処理を、少なくとも目的化合物の保持時間を含む所定の時間範囲内の測定時点毎に得られたマススペクトルデータについて実行することで、その測定時点毎の化合物重みベクトルwtをそれぞれ求める化合物重みベクトル算出ステップと、
b)前記化合物重みベクトル算出ステップにより所定の時間範囲に対して得られた複数の前記化合物重みベクトルwtに基づいて、目的化合物の重みを時系列順に並べた該重みの時間変化を表すグラフを作成し、そのグラフにおいて目的化合物に対応するピークを検出するピーク検出ステップと、
を有し、前記ピーク検出ステップにより検出されるピークを利用して目的化合物の定性又は定量を行うことを特徴としている。
a)任意の測定時点tにおいて得られたマススペクトルデータに基づく、質量電荷比点数を次元数とし信号強度値を要素とする実測ベクトルMt、測定時点tにおける目的化合物の数を次元数とし各目的化合物の重みを要素とする化合物重みベクトルwt、及び、目的化合物の標準的なマススペクトルに基づく、質量電荷比点数と目的化合物の数とをそれぞれ行と列の数とし信号強度値を要素とする化合物スペクトル行列L、の関係を線形回帰モデルとして定め、既知である前記実測ベクトルMtと前記化合物スペクトル行列Lとに基づき、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いて化合物重みベクトルwtを推定する、という最尤解推定処理を、少なくとも目的化合物の保持時間を含む所定の時間範囲内の測定時点毎に得られたマススペクトルデータについて実行することで、その測定時点毎の化合物重みベクトルwtをそれぞれ求める化合物重みベクトル算出ステップと、
b)前記化合物重みベクトル算出ステップにより所定の時間範囲に対して得られた複数の前記化合物重みベクトルwtに基づいて、目的化合物の重みを時系列順に並べた該重みの時間変化を表すグラフを作成し、そのグラフにおいて目的化合物に対応するピークを検出するピーク検出ステップと、
を有し、前記ピーク検出ステップにより検出されるピークを利用して目的化合物の定性又は定量を行うことを特徴としている。
また上記課題を解決するためになされた第2の発明は、上記第1の発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理方法を実施するための処理装置であり、クロマトグラフ質量分析により時間経過に伴って繰り返し得られたマススペクトルデータを処理するクロマトグラフ質量分析データ処理装置であって、
a)任意の測定時点tにおいて得られたマススペクトルデータに基づく、質量電荷比点数を次元数とし信号強度値を要素とする実測ベクトルMt、測定時点tにおける目的化合物の数を次元数とし各目的化合物の重みを要素とする化合物重みベクトルwt、及び、目的化合物の標準的なマススペクトルに基づく、質量電荷比点数と目的化合物の数とをそれぞれ行と列の数とし信号強度値を要素とする化合物スペクトル行列L、の関係を線形回帰モデルとして定め、既知である前記実測ベクトルMtと前記化合物スペクトル行列Lとに基づき、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いて化合物重みベクトルwtを推定する、という最尤解推定処理を、少なくとも目的化合物の保持時間を含む所定の時間範囲内の測定時点毎に得られたマススペクトルデータについて実行することで、その測定時点毎の化合物重みベクトルwtをそれぞれ求める化合物重みベクトル算出部と、
b)前記化合物重みベクトル算出部によって所定の時間範囲に対して得られた複数の前記化合物重みベクトルwtに基づいて、目的化合物の重みを時系列順に並べた該重みの時間変化を表すグラフを作成し、そのグラフにおいて目的化合物に対応するピークを検出するピーク検出部と、
c)前記ピーク検出部によるピーク検出結果に基づいて目的化合物を定性する、又は前記ピーク検出部により検出されたピークの面積又は高さに基づいて目的化合物を定量する処理部と、
を備えることを特徴としている。
a)任意の測定時点tにおいて得られたマススペクトルデータに基づく、質量電荷比点数を次元数とし信号強度値を要素とする実測ベクトルMt、測定時点tにおける目的化合物の数を次元数とし各目的化合物の重みを要素とする化合物重みベクトルwt、及び、目的化合物の標準的なマススペクトルに基づく、質量電荷比点数と目的化合物の数とをそれぞれ行と列の数とし信号強度値を要素とする化合物スペクトル行列L、の関係を線形回帰モデルとして定め、既知である前記実測ベクトルMtと前記化合物スペクトル行列Lとに基づき、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いて化合物重みベクトルwtを推定する、という最尤解推定処理を、少なくとも目的化合物の保持時間を含む所定の時間範囲内の測定時点毎に得られたマススペクトルデータについて実行することで、その測定時点毎の化合物重みベクトルwtをそれぞれ求める化合物重みベクトル算出部と、
b)前記化合物重みベクトル算出部によって所定の時間範囲に対して得られた複数の前記化合物重みベクトルwtに基づいて、目的化合物の重みを時系列順に並べた該重みの時間変化を表すグラフを作成し、そのグラフにおいて目的化合物に対応するピークを検出するピーク検出部と、
c)前記ピーク検出部によるピーク検出結果に基づいて目的化合物を定性する、又は前記ピーク検出部により検出されたピークの面積又は高さに基づいて目的化合物を定量する処理部と、
を備えることを特徴としている。
第1及び第2の発明において、クロマトグラフ質量分析とは通常、LC/MS分析又はGC/MS分析である。また、カラムによる成分分離を行わずに、移動相の流れに乗せて試料を質量分析装置に導入するフローインジェクション分析(FIA)法でも、質量分析装置に導入される一つの成分(化合物)の濃度はLCやGCと同様に山形状に変化する。したがって、上記クロマトグラフ質量分析はFIA法による試料導入を行う質量分析も含むものとする。
第1の発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理方法において化合物重みベクトル算出ステップでは、典型的には次の(1)式で表される線形回帰モデルを定める。なお、ここでいう化合物の重みとは試料中における各化合物の寄与度合いを表しているから、実質的には濃度や相対的な含有量を反映する。
Mt=Lwt+ε …(1)
ここでεはノイズを表す確率ベクトルである。Mtは実測により得られたデータそのもの、Lは実験的に又は既存のデータベース等から求めることが可能である。したがって、MtとLとが既知であり、(1)式は、それらが与えられたもとで未知であるwtの最尤推定値を求める線形回帰分析の問題であると捉えることができる。こうした問題を解くために、従来、最小二乗法を用いた手法が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、こうした従来の手法では過学習が生じ推定の誤差が却って大きくなる場合がある。そこで、この化合物重みベクトル算出ステップでは、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いて化合物重みベクトルwtを推定する。
Mt=Lwt+ε …(1)
ここでεはノイズを表す確率ベクトルである。Mtは実測により得られたデータそのもの、Lは実験的に又は既存のデータベース等から求めることが可能である。したがって、MtとLとが既知であり、(1)式は、それらが与えられたもとで未知であるwtの最尤推定値を求める線形回帰分析の問題であると捉えることができる。こうした問題を解くために、従来、最小二乗法を用いた手法が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、こうした従来の手法では過学習が生じ推定の誤差が却って大きくなる場合がある。そこで、この化合物重みベクトル算出ステップでは、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いて化合物重みベクトルwtを推定する。
化合物重みベクトル算出ステップでは、例えばユーザにより設定された時間範囲、或いは、ユーザにより指定された目的化合物について既知である保持時間を中心とする所定の時間幅を有する時間範囲に含まれる各測定時点において、それぞれ実測により得られたマススペクトルデータに基づく実測ベクトルMt、及び測定時点に依らずに共通である化合物スペクトル行列Lとに基づいて化合物重みベクトルwtを求める。ピーク検出ステップでは、そうして得られた複数の化合物重みベクトルwtから、目的化合物の重みを時系列順に並べた重み時系列グラフを作成する。この重み時系列グラフはその目的化合物の重みの時間変化を表すものであるから、XICと同様に目的化合物に対応するピークが現れ、そのピークはXIC上のピークと相似形状となる。
したがって、重み時系列グラフ上で目的化合物由来の(目的化合物由来であると推定される)ピークが検出されれば、測定した試料中に該目的化合物が含まれると判断することができる。また、重み時系列グラフ上でのピーク面積値と濃度値との関係を示す検量線を予め求めておき、この検量線を参照することで、重み時系列グラフ上でのピーク面積値から濃度値を求めることができる。
第1の発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理方法及び第2の発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理装置において、最小ノルム推定法に利用する正則化項はL1ノルム又はL2ノルムのいずれかとすることができる。
一般に、L1ノルムは選択性が高いため、L1ノルムを正則化項として採用した場合には、一つの目的化合物についてロバストなピークを得ることができる。その反面、XIC上で複数の化合物由来のピークに重なりがあるような状況、つまり変数間の相関が高い状況では重み時系列グラフ上で適切なピークが得られない。一方、L2ノルムを正則化項として採用した場合には、XIC上で複数の化合物由来のピークに重なりがあるような状況であっても、それら化合物毎の重み時系列グラフ上でそれぞれ或る程度十分なピークを得ることができる。
そこで第1の発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理方法及び第2の発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理装置において、好ましくは、正則化項としてL1ノルムとL2ノルムとを切り替える、又はL1ノルムとL2ノルムとを併用するとよい。
正則化項としてL1ノルムとL2ノルムとが切り替え可能である場合、試料の状況(例えば測定対象である目的化合物が多いか少ないか、測定対象以外の夾雑物が多いか否かなど)などに応じてユーザがL1ノルムとL2ノルムのいずれを使用するのかを選択できるようにするとよい。また、収集されたマススペクトルデータに基づいて作成されるXIC、MIC、TICの状態から化合物の重なりの状況を自動的に判断し、その結果に基づいてL1ノルムとL2ノルムのいずれを使用するのかを切り替えるようにしてもよい。
また、より好ましくは、エラスティックネット(Elastic Net)を導入することでL1ノルムとL2ノルムとを切り替える、又はL1ノルムとL2ノルムとを併用するとよい。非特許文献1等に記載されているように、エラスティックネットでは、パラメータα(0≦α≦1)の値に応じてL1ノルムとL2ノルムとの寄与度合いが調整される。したがって、このパラメータαをユーザが手動で又は上述したような自動的な判定処理によって決めることにより、そのときの化合物の重なりの状況等に応じて、1又は複数の目的化合物に対応するより良好な、つまりはSN比の高いピークを得ることができる。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理方法及び処理装置によれば、マススペクトルデータに基づいて作成されるXICやMIC上で観測されるピークに比べて、よりノイズの少ないロバストなピークを得ることができる。それによって、例えば目的化合物由来のピークの有無によって該目的化合物が試料に含まれるか否かを判定するような場合、その判定の精度を高めることができる。また、検出されたピークの面積値に基づいてその目的化合物を定量する場合に、ピーク面積値の精度が上がることで定量精度を向上させることができる。
また、本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理方法及び処理装置によれば、特定の質量電荷比のみの信号強度だけでなく、それに近接する質量電荷比のみの信号強度も重み時系列グラフに反映される。そのため、目的化合物由来のイオンの質量電荷比にずれが生じた場合でも、該目的化合物由来の良好なピークを得ることができる。また、重み時系列グラフを作成する時間範囲を適切に定めることで、XIC上では目的化合物由来のピークのピークトップに時間方向のずれがある場合でも、該目的化合物由来のピークを確実に得ることができる。
以下、本発明に係るクロマトグラフ質量分析データ処理装置を備えたLC−MSの一実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のLC−MSの概略構成図である。
本実施例のLC−MSは、液体クロマトグラフ(LC)部1、質量分析(MS)部2、アナログデジタル変換器(ADC)3、データ処理部4、入力部5、及び表示部6を備える。図示しないものの、LC部1は、移動相を一定流量で送給する送液ポンプ、送給される移動相中に試料を注入するインジェクタ、試料に含まれる化合物を時間方向に分離するカラム、などを含む。MS部2は例えば、エレクトロスプレーイオン源を備えた四重極型又は飛行時間型の質量分析装置である。
図1は本実施例のLC−MSの概略構成図である。
本実施例のLC−MSは、液体クロマトグラフ(LC)部1、質量分析(MS)部2、アナログデジタル変換器(ADC)3、データ処理部4、入力部5、及び表示部6を備える。図示しないものの、LC部1は、移動相を一定流量で送給する送液ポンプ、送給される移動相中に試料を注入するインジェクタ、試料に含まれる化合物を時間方向に分離するカラム、などを含む。MS部2は例えば、エレクトロスプレーイオン源を備えた四重極型又は飛行時間型の質量分析装置である。
データ処理部4は後述する特徴的なデータ処理を行うために、機能ブロックとして、マススペクトルデータ記憶部41、化合物重み時系列データ算出部42、化合物重み時系列グラフ作成部43、ピーク検出部44、定量演算部45、標準マススペクトルライブラリ46、化合物重み時系列検量線記憶部47、を含む。標準マススペクトルライブラリ46は様々な化合物について標準的なマススペクトルが収録されたデータベースであり、これは標準試料に対する実際の測定によって又は一般に公開されている化合物データベース等から取得することが可能なデータである。なお、このデータ処理部4の機能は、通常、パーソナルコンピュータにインストールされた専用のデータ処理ソフトウエアを該コンピュータ上で動作させることで具現化する構成とすることができる。
本実施例のLC−MSにおける試料に対するデータ収集時の動作を概略的に説明する。
LC部1では、略一定流速でカラムへ送られる移動相中に、所定のタイミングでインジェクタから試料が注入される。移動相の流れによって試料はカラムへと導入され、該試料に含まれる各種の化合物はカラムを通過する間に時間方向に分離される。したがって、LC部からMS部2へと導入される試料中には時間経過に伴って順次異なる化合物が含まれる。MS部2では、所定の時間間隔である測定時点毎に所定の質量電荷比範囲に亘るスキャン測定が繰り返し実行される。1回のスキャン測定によって一つのマススペクトルを構成するデータが得られ、このデータはADC3からデータ処理部4に入力されてマススペクトルデータ記憶部41に格納される。こうしてマススペクトルデータ記憶部41には、試料が移動相中に注入された時点から測定終了時点までの期間中の各測定時点で得られたマススペクトルデータが格納される。
LC部1では、略一定流速でカラムへ送られる移動相中に、所定のタイミングでインジェクタから試料が注入される。移動相の流れによって試料はカラムへと導入され、該試料に含まれる各種の化合物はカラムを通過する間に時間方向に分離される。したがって、LC部からMS部2へと導入される試料中には時間経過に伴って順次異なる化合物が含まれる。MS部2では、所定の時間間隔である測定時点毎に所定の質量電荷比範囲に亘るスキャン測定が繰り返し実行される。1回のスキャン測定によって一つのマススペクトルを構成するデータが得られ、このデータはADC3からデータ処理部4に入力されてマススペクトルデータ記憶部41に格納される。こうしてマススペクトルデータ記憶部41には、試料が移動相中に注入された時点から測定終了時点までの期間中の各測定時点で得られたマススペクトルデータが格納される。
次に、上記のようにマススペクトルデータ記憶部41に格納されているデータに基づいて試料に含まれる目的化合物の定量を行う際の、特徴的なデータ処理について説明する。
図2は化合物重み時系列グラフ作成処理の手順を示すフローチャート、図3は化合物重み時系列グラフ作成処理を説明するための概念図である。
図2は化合物重み時系列グラフ作成処理の手順を示すフローチャート、図3は化合物重み時系列グラフ作成処理を説明するための概念図である。
保持時間や定量イオンの質量電荷比が既知である目的化合物を定量する場合、通常、該定量イオン(又はそれ以外の特徴的なイオン)の質量電荷比におけるXICを作成し、該XIC上で目的化合物由来のピークを検出する。それに対し本実施例のLC−MSでは、以下のような化合物重み時系列グラフ作成処理を実施し、そのグラフ上で目的化合物由来のピークを検出する。まず、この化合物重み時系列グラフについて説明する。
いま、或る測定時刻tにおいて測定によって得られたマススペクトルデータを表す実測ベクトルをMt、複数の化合物の標準的なマススペクトルを表す化合物スペクトル行列をL、測定時刻tにおける化合物重みベクトルをwtとする。実測ベクトルMtは、マススペクトルの質量電荷比の点数Pを次元数とし、そのP個の質量電荷比値それぞれにおける信号強度値を要素とするP次元ベクトルである。化合物スペクトル行列Lは、化合物の数Nとマススペクトルの質量電荷比の点数Pを行数、列数とし、各化合物のP個の質量電荷比値それぞれにおける信号強度値を要素とする行列である。化合物重みベクトルwtは、化合物の数Nを次元数とし、そのN個の化合物それぞれにおける重みの値を要素とするN次元ベクトルである。これらMt、wt、Lの関係を線形回帰モデルで表すと、既に述べた(1)式のように書ける。この(1)式を再掲する。
Mt=Lwt+ε …(1)
ただし、εはノイズを表す確率ベクトルである。
Mt=Lwt+ε …(1)
ただし、εはノイズを表す確率ベクトルである。
実測ベクトルMtはマススペクトルデータ記憶部41に格納されているデータから求まる。一方、化合物スペクトル行列Lは標準マススペクトルライブラリ46に予め収録されているデータに基づいて作成可能である。εをガウス性白色ノイズとみなせば、(1)式において未知であるのはwtである。そこで、(1)式において化合物重みベクトルwtの最尤推定値を求める線形回帰分析の問題を考える(非特許文献2など参照)。こうした逆問題の標準的な解法として最小ノルム推定法が知られているが、最小二乗法による最小ノルム推定では過学習が生じ易い。そこで、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いる。正則化項としてはL1ノルムとL2ノルムとが知られているが、より標準的であるL2ノルムを正則化項として導入すると、次の(2)式による評価関数を最小にするようなwtが最適解となる。
J(w)=(1/2)||Mt−Lwt||2+(λ/2)||wtTwt|| …(2)
J(w)=(1/2)||Mt−Lwt||2+(λ/2)||wtTwt|| …(2)
上記評価関数が最小となるwtの値を求めるには、J(w)のwについての微分を評価し、その微分値がゼロとなる点を求めればよい。評価関数の微分は次の(3)式となる。
dJ(w)/dw=−LT(Mt−Lwt)+λwt …(3)
ここでλは適宜に定められる正則化パラメータである。(3)式における左辺を最小化するwtが最尤推定のためのパラメータであるので、微分を0とおいて(3)式を整理すると、
(LTL+λI)wt=LTMt …(4)
となる。したがって、化合物重みベクトルwtの推定値は、
wt=(LTL+λI)-1LTMt …(5)
となる。
dJ(w)/dw=−LT(Mt−Lwt)+λwt …(3)
ここでλは適宜に定められる正則化パラメータである。(3)式における左辺を最小化するwtが最尤推定のためのパラメータであるので、微分を0とおいて(3)式を整理すると、
(LTL+λI)wt=LTMt …(4)
となる。したがって、化合物重みベクトルwtの推定値は、
wt=(LTL+λI)-1LTMt …(5)
となる。
(5)式で求まるのは、或る一つの測定時点tにおける化合物重みベクトルwtである。そこで、この化合物重みベクトルwtを測定開始時点から測定終了時点までの全測定時間範囲又は所定の時間範囲に含まれる測定時点毎に求め、それを時系列順に並べると、化合物重み時系列行列Wが得られる。この行列は、化合物数と測定時点の点数とを行数、列数とする行列である。この行列から特定の化合物の重みを抽出することで、化合物時系列グラフが得られる。この重みは化合物の濃度を反映しているから、化合物時系列グラフは或る化合物の濃度の時間的変化を表す。したがって、この化合物時系列グラフに現れるピークはXICやMIC上のピークと同様に、化合物の定性(有無の判定)や定量に利用可能である。この手法では、化合物スペクトル行列が一つの目的化合物のみについての要素からなるものでもよいが、多数の目的化合物に対応する標準マススペクトルから化合物スペクトル行列を作成することで、その多数の目的化合物における化合物重み時系列行列や化合物重み時系列グラフを一度に求めることができる。
続いて、図2、図3を参照して具体的な処理手順を説明する。
処理の実行に先立って、化合物重み時系列データ算出部42は所定の正則化パラメータλを設定する(ステップS1)。一般的には、この正則化パラメータλは本装置の製造メーカが予め実験的に求めておくことができる。次に、ユーザは入力部5から処理対象のデータ、1又は複数の目的化合物、及び、処理対象時間範囲t1〜t2を指定する(ステップS2)。化合物重み時系列データ算出部42は指定された目的化合物に対応する標準マススペクトルを標準マススペクトルライブラリ46から読み出し、化合物スペクトル行列Lを作成する(ステップS3)。図3に示すように、この化合物スペクトル行列Lは、化合物重みベクトルwtを推定する際に、測定時間に依らずに共通に利用されるものである。
処理の実行に先立って、化合物重み時系列データ算出部42は所定の正則化パラメータλを設定する(ステップS1)。一般的には、この正則化パラメータλは本装置の製造メーカが予め実験的に求めておくことができる。次に、ユーザは入力部5から処理対象のデータ、1又は複数の目的化合物、及び、処理対象時間範囲t1〜t2を指定する(ステップS2)。化合物重み時系列データ算出部42は指定された目的化合物に対応する標準マススペクトルを標準マススペクトルライブラリ46から読み出し、化合物スペクトル行列Lを作成する(ステップS3)。図3に示すように、この化合物スペクトル行列Lは、化合物重みベクトルwtを推定する際に、測定時間に依らずに共通に利用されるものである。
化合物重み時系列データ算出部42は指定された処理対象時間範囲内の最初の測定時点t1を時間変数tにセットする(ステップS4)。そして、処理対象として指定されたデータの中で、測定時点tにおけるマススペクトルデータをマススペクトルデータ記憶部41から読み出し、実測ベクトルMtを作成する(ステップS5)。こうして得られた実測ベクトルMtと上記化合物スペクトル行列Lとに基づき、上述した手法によって化合物重みベクトルwtを推定する(ステップS6)。得られた化合物重みベクトルwtは一時的に記憶される。
次に測定時点tが処理対象時間範囲内の最後の測定時点t2であるか否かが判定され(ステップS7)、現測定時点tがt2に達していなければ現測定時点tに測定時間間隔Δtを加えたものを新たな測定時点tとし(ステップS8)ステップS5へと戻る。したがって、ステップS5〜S8の繰り返しによって、図3に示すように、t1〜t2の時間範囲内の互いに測定時間間隔Δt隔てた各測定時点において、それぞれ化合物重みベクトルwtが得られる。現測定時点tがt2に達するとステップS7でYesと判定され、化合物重み時系列グラフ作成部43が化合物重みベクトルを時系列順に配列することで化合物重み時系列行列を作成し、さらに指定された目的化合物に対応する重みの値を抽出してグラフ化することで化合物重み時系列グラフを作成する(ステップS9)。
こうして、ユーザにより指定された目的化合物毎に、重みの時間変化を表す化合物重み時系列グラフが求まる。
こうして、ユーザにより指定された目的化合物毎に、重みの時間変化を表す化合物重み時系列グラフが求まる。
上述したように、或る一つの化合物に対応する化合物重み時系列グラフはXICと同様に該化合物の濃度を反映しているから、その化合物重み時系列グラフ上の該化合物由来のピークの形状はそのXIC上の該化合物由来のピークの形状と相似になる。そこで、ピーク検出部44は目的化合物毎に化合物重み時系列グラフ上でピークを検出する。ピーク検出の手法は従来と同様のアルゴリズムを用いることができる。ピーク検出部44はピークが検出されたならば、該ピークの面積値を計算する。定量演算部45は計算されたピーク面積値を、化合物重み時系列検量線記憶部47に格納されている同じ目的化合物に対応する検量線に照らして、定量値(濃度値や含有量)を導出する。なお、化合物重み時系列グラフ上で有意なピークが検出されない場合には、その化合物は試料に含まれていないと結論付けることができる。
目的化合物が複数指定されている場合には、目的化合物に対応する化合物重み時系列グラフを用いて同様の処理を行えばよい。そうして、定量結果が求まったならば、それを表示部6から出力する。また、その定量演算に用いられた化合物重み時系列グラフも併せて表示部6の画面上に表示するとよい。
なお、化合物重み時系列検量線記憶部47には、実験的に求めた、化合物重み時系列グラフ上のピーク面積値と定量値との関係を示す化合物毎の検量線を予め記憶させておくものとする。
なお、化合物重み時系列検量線記憶部47には、実験的に求めた、化合物重み時系列グラフ上のピーク面積値と定量値との関係を示す化合物毎の検量線を予め記憶させておくものとする。
上記説明では、化合物重みベクトルwtを推定する際の正則化項としてL2ノルムを用いていたが、正則化項としてL1ノルムを用いることもできる。
一般に、クロマトグラフでの分離性能が良好であって化合物の重なりがない場合、つまり目的化合物由来のピークが孤立ピークである場合には、L2ノルムよりもL1ノルムを正則化項として用いたほうがノイズの除去効果が高くピークのSN比が高くなる。一方、複数の化合物が重なり合っているような場合、特に比較的量が多い化合物と微量である化合物とが重なり合っている場合には、L1ノルムの正則化項を用いると、大きな強度のピークに微小なピークの重みが吸収されてしまい、微小ピークの重みがゼロに収束してしまって検出できなくなるおそれがある。これに対し、L2ノルムの正則化項を用いれば、それぞれのピークのSN比は高くならないものの、重なり合ったピークを分離して微小なピークも観測することが可能となる。
したがって、試料に含まれる化合物の種類等から化合物の重なり状況を或る程度的確に推定できる場合には、その推定結果に応じて、正則化項としてL1ノルム又はL2ノルムを択一的に選択すればよい。ただし、多くの場合又は汎用的には、化合物の重なり状況を事前に的確に推定するのは困難である。そこで、エラスティックネット(Elastic Net)を導入し、L1ノルムとL2ノルムとを切り替える、又はL1ノルムとL2ノルムとを併用するとよい。非特許文献1等に記載されているように、エラスティックネットでは、パラメータα(0≦α≦1)の値に応じてL1ノルムとL2ノルムとの寄与度合いが調整される。具体的には、α=0ではL2ノルムを、α=1ではL1ノルムを使用することになり、0<α<1の間ではαが0に近づくほどL2ノルムに近い状態となる。したがって、試料に含まれる化合物の状況等に応じて適当なパラメータαを与えることで、よりロバストなピークを取得することができる。
もちろん、このパラメータαをユーザが手動で設定するようにしても構わないが、実際には適切にパラメータαを定めることは難しく又は手間も掛かる。そこで、例えば得られたXIC上で検出されるピークから化合物の重なり状況を自動的に判定し、その判定結果に基づいて適宜のパラメータαを設定したうえで上記のような処理を実施するとよい。
図4は、エラスティックネットを用いた正則化型最小ノルム推定を行った場合に得られる化合物重み時系列グラフの一例を示す図である。図4(a)左はXIC上でA、B、Cなる三つの化合物が重なった例であるが、XIC上では重なったピークを完全に分離することは不可能であったとしても、ピークの重なりがあることを検出するのは比較的容易である。この場合には、大きなピークの開始点と終了点との間の時間範囲に小さなピークが三つ以上存在する可能性が高いことが分かるから、パラメータαとして0に近い値を設定する。その結果、例えば図4(a)右に示すように、化合物A、B、Cにそれぞれ対応するピークが観測される三つの化合物重み時系列グラフを得ることができる。
図4(b)左はXIC上でノイズは大きいものの化合物の重なりがない例である。大きなピークに重畳している、ノイズ由来の小さなピークは例えばスムージング処理などによって除去することができるから、この場合、単一化合物由来のピークの可能性が高いと判断できる。そこで、パラメータαとして1に近い値を設定する。その結果、例えば図4(b)右に示すように、ノイズが良好に除去されたSN比の高いピークが観測される化合物重み時系列グラフを得ることができる。
なお、上記実施例は本発明をLC−MSで得られたデータに適用したものであるが、GC−MSで得られたデータに適用することもできる。
また、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、追加、修正を加えても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
また、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、追加、修正を加えても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…液体クロマトグラフ(LC)部
2…質量分析(MS)部
3…アナログデジタル変換器(ADC)
4…データ処理部
41…マススペクトルデータ記憶部
42…時系列データ算出部
43…時系列グラフ作成部
44…ピーク検出部
45…定量演算部
46…標準マススペクトルライブラリ
47…時系列検量線記憶部
5…入力部
6…表示部
2…質量分析(MS)部
3…アナログデジタル変換器(ADC)
4…データ処理部
41…マススペクトルデータ記憶部
42…時系列データ算出部
43…時系列グラフ作成部
44…ピーク検出部
45…定量演算部
46…標準マススペクトルライブラリ
47…時系列検量線記憶部
5…入力部
6…表示部
Claims (10)
- クロマトグラフ質量分析により時間経過に伴って繰り返し得られたマススペクトルデータを処理するクロマトグラフ質量分析データ処理方法であって、
a)任意の測定時点tにおいて得られたマススペクトルデータに基づく、質量電荷比点数を次元数とし信号強度値を要素とする実測ベクトルMt、測定時点tにおける目的化合物の数を次元数とし各目的化合物の重みを要素とする化合物重みベクトルwt、及び、目的化合物の標準的なマススペクトルに基づく、質量電荷比点数と目的化合物の数とをそれぞれ行と列の数とし信号強度値を要素とする化合物スペクトル行列L、の関係を線形回帰モデルとして定め、既知である前記実測ベクトルMtと前記化合物スペクトル行列Lとに基づき、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いて化合物重みベクトルwtを推定する、という最尤解推定処理を、少なくとも目的化合物の保持時間を含む所定の時間範囲内の測定時点毎に得られたマススペクトルデータについて実行することで、その測定時点毎の化合物重みベクトルwtをそれぞれ求める化合物重みベクトル算出ステップと、
b)前記化合物重みベクトル算出ステップにより所定の時間範囲に対して得られた複数の前記化合物重みベクトルwtに基づいて、目的化合物の重みを時系列順に並べた該重みの時間変化を表すグラフを作成し、そのグラフにおいて目的化合物に対応するピークを検出するピーク検出ステップと、
を有し、前記ピーク検出ステップにより検出されるピークを利用して目的化合物の定性又は定量を行うことを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理方法。 - 請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理方法であって、
前記正則化項はL1ノルムであることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理方法。 - 請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理方法であって、
前記正則化項はL2ノルムであることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理方法。 - 請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理方法であって、
前記正則化項としてL1ノルムとL2ノルムとを切り替える、又はL1ノルムとL2ノルムとを併用することを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理方法。 - 請求項4に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理方法であって、
エラスティックネット(Elastic Net)を導入することでL1ノルムとL2ノルムとを切り替える、又はL1ノルムとL2ノルムとを併用することを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理方法。 - クロマトグラフ質量分析により時間経過に伴って繰り返し得られたマススペクトルデータを処理するクロマトグラフ質量分析データ処理装置であって、
a)任意の測定時点tにおいて得られたマススペクトルデータに基づく、質量電荷比点数を次元数とし信号強度値を要素とする実測ベクトルMt、測定時点tにおける目的化合物の数を次元数とし各目的化合物の重みを要素とする化合物重みベクトルwt、及び、目的化合物の標準的なマススペクトルに基づく、質量電荷比点数と目的化合物の数とをそれぞれ行と列の数とし信号強度値を要素とする化合物スペクトル行列L、の関係を線形回帰モデルとして定め、既知である前記実測ベクトルMtと前記化合物スペクトル行列Lとに基づき、正則化項を導入した最小ノルム推定法を用いて化合物重みベクトルwtを推定する、という最尤解推定処理を、少なくとも目的化合物の保持時間を含む所定の時間範囲内の測定時点毎に得られたマススペクトルデータについて実行することで、その測定時点毎の化合物重みベクトルwtをそれぞれ求める化合物重みベクトル算出部と、
b)前記化合物重みベクトル算出部によって所定の時間範囲に対して得られた複数の前記化合物重みベクトルwtに基づいて、目的化合物の重みを時系列順に並べた該重みの時間変化を表すグラフを作成し、そのグラフにおいて目的化合物に対応するピークを検出するピーク検出部と、
c)前記ピーク検出部によるピーク検出結果に基づいて目的化合物を定性する、又は前記ピーク検出部により検出されたピークの面積又は高さに基づいて目的化合物を定量する処理部と、
を備えることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理装置。 - 請求項6に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理装置であって、
前記正則化項はL1ノルムであることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理装置。 - 請求項6に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理装置であって、
前記正則化項はL2ノルムであることを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理装置。 - 請求項6に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理装置であって、
前記正則化項としてL1ノルムとL2ノルムとを切り替える、又はL1ノルムとL2ノルムとを併用することを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理装置。 - 請求項9に記載のクロマトグラフ質量分析データ処理装置であって、
エラスティックネット(Elastic Net)を導入することでL1ノルムとL2ノルムとを切り替える、又はL1ノルムとL2ノルムとを併用することを特徴とするクロマトグラフ質量分析データ処理装置。
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