JP2004271422A - クロマトグラフ用データ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きなピークのリーディング部やテーリング部に重畳している微小ピークを確実に検出する。
【解決手段】大きなピークP1のリーディング部又はテーリング部で2個の変曲点をC1,C2を見つけ、見つかった場合にはその両変曲点C1,C2を結ぶ直線を基準線として定める。そして、ピークカーブ上の各点で接線を引き、その接線が上記基準線と成す傾きが、分析者により予め設定された設定値以上になった位置を微小ピークP2の開始点P2Sとし、その後方側でその接線が上記基準線と成す傾きが上記設定値以下になった位置を終了点P2Eとする。これにより、リーディング部又はテーリング部でカーブが上昇から下降又は下降から上昇に転じなくとも、微小ピークを確実に検出することが可能となる。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスクロマトグラフ(GC)、液体クロマトグラフ(LC)等のクロマトグラフ用のデータ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
GCやLCでは、横軸に経過時間、縦軸に検出信号の信号強度をプロットしたクロマトグラムが作成される。このクロマトグラムに現れているピークの面積を計算するためには、そのピークの開始点及び終了点を確定する必要がある。この処理を自動的に行うのが自動ピーク検出処理である。
【0003】
従来、図11(A)に示すようなクロマトグラムにおいてピーク開始点PS及び終了点PEを求める方法としては、例えばピークカーブ上の各点で接線を引き、その接線の上昇方向の傾きが水平な基準線に対して所定値以上となった位置をピーク開始点PSと定め、その後、ピークトップPTを過ぎてピークカーブの接線の下降方向の傾きが上記基準線に対して所定値以下となった位置をピーク終了点PEと定める方法が一般的である(例えば特許文献1など参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−286704号(段落0004)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなピーク検出処理には次のような問題がある。
(1)例えばGCにおける昇温分析、或いはLCにおけるグラジエント分析ではベースラインBLは水平にならず、図11(B)に示すように上昇(右上がり)や図11(C)に示すように下降(右下がり)することが多い。上記のような従来のピーク検出方法では、例えばベースラインBLが上昇する場合にはピーク開始点PS及び終了点PEともに前方向にずれてしまい、ベースラインBLが下降する場合には逆にピーク開始点PS及び終了点PEともに後方向にずれてしまう。こうした場合、本来のピーク開始点PS及び終了点PEからずれが生じ、正確にピーク面積を求めることができなくなる。
【0006】
従来、こうしたベースラインの時間的変動の影響を補正するために、予め試料を注入しない移動相(LCの場合)又はキャリアガス(GCの場合)のみを同一の分析条件で分析してベースラインのみのクロマトグラムを採取しておき、実際に試料を注入して分析したクロマトグラムとの差を計算して、その差分クロマトグラムでピークを検出することが行われている。しかしながら、こうした分析方法では、試料の有無の2回の分析を実行する必要があるために、約2倍の分析時間を要するとともに、流す移動相やキャリアガスも約2倍量が必要となる。
【0007】
(2)この種の装置では、保持時間が近接した2つの物質の混合物を分析した場合、図12(A)、(B)に示すように一方の大きなピークPaのテーリング部(又はリーディング部)に他方の小さなピークPbが重畳した状態となることがよくある。上記従来のピーク検出方法では、図12(A)に描出したように大きなピークPaのテーリング部(又はテーリング部)に重畳している小さなピークPbに相当する部分の波形Qが上昇カーブを描いていさえすれば、そのピークPbを検出することが可能である。しかしながら、図12(B)に描出したようにその小さなピークPbに相当する部分の波形Qが上昇しておらず、単になで肩形状に盛り上がりつつ下降している場合にはピークPbを検出することができなかった。
【0008】
本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その第1の目的とするところは、クロマトグラムのベースラインが上昇又は下降等、変動している場合でもピークの開始点及び終了点を精度よく検出することができ、それによってピーク面積等を精度よく算出することが可能なクロマトグラフ用データ処理装置を提供することにある。
【0009】
また本発明の第2の目的とするところは、大きなピークに対し時間的に近接して出現する他の小さなピークが重なっている状態でも、その小さなピークの開始点及び終了点を見逃すことなく且つ精度よく検出することができ、それによってピーク面積等を精度よく算出することが可能なクロマトグラフ用データ処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段、及び効果】
上記第1の目的を達成するために成された第1発明は、クロマトグラフ分析により取得されたクロマトグラムデータを処理し、そのクロマトグラムに現れる1乃至複数のピークに関連する情報を算出するデータ処理装置において、
a)処理対象であるクロマトグラムのベースラインの時間的変動を表す情報を外部より設定するための入力手段と、
b)該入力手段により与えられた情報に基づき、ベースラインの時間的変動が補正されたクロマトグラムを算出する補正処理手段と、
c)該補正処理手段により補正されたクロマトグラムに現れるピークカーブ上の各点での接線が、そのクロマトグラムのベースラインに対して成す傾きに基づいて、そのピークの開始点及び終了点を検出するピーク検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
この第1発明に係るデータ処理装置では、例えば分析担当者はクロマトグラフ分析により取得されたクロマトグラムをディスプレイの画面上で確認し、そのベースラインの時間的変動を読み取り、それを表す情報を入力手段から設定する。例えばベースラインが直線的に上昇又は下降するような時間的変動を有する場合には、その直線の傾きを表現する情報を入力すればよい。補正処理手段は、こうして外部から与えられた情報に基づいて例えばベースラインを表す波形データを生成し、各時刻毎に対応するクロマトグラムデータから上記ベースラインを表す波形データを差し引くことによって、ベースラインの時間的変動が補正されたクロマトグラムを算出する。こうした補正処理によってベースラインはほぼ水平になるから、ピーク検出手段は、その略水平であるベースラインに対し、クロマトグラムに現れるピークカーブ上の各点での接線が成す傾きに基づいて、そのピークの開始点及び終了点を検出する。
【0012】
この第1発明に係るデータ処理装置によれば、GCの昇温分析又は降温分析やLCのグラジエント分析のようにクロマトグラムのベースラインが上昇又は下降している場合であっても、各ピークの開始点及び終了点を精度よく検出することができ、それによってピーク面積などのピーク関連情報を正確に求めることができる。また、この発明に係るデータ処理装置では、従来行われているように試料無しでの分析を予め行う必要がないので、分析時間を短縮化できるとともに移動相やキャリアガスの消費量を節約することができるという効果を奏する。
【0013】
上記第2の目的を達成するために成された第2発明は、クロマトグラフ分析により取得されたクロマトグラムデータを処理し、そのクロマトグラムに現れる1乃至複数のピークに関連する情報を算出するデータ処理装置において、
a)クロマトグラムに現れるピークカーブ上の各点での接線が、そのクロマトグラムのベースラインに対して成す傾きに基づいて第1のピークを検出する第1ピーク検出手段と、
b)前記第1のピークのリーディング部及び/又はテーリング部上でそのカーブの形状に基づいて2個の変曲点を検出する変曲点検出手段と、
c)前記2個の変曲点を結ぶ直線を基準線として定め、第1のピークのリーディング部及び/又はテーリング部のカーブ上の各点での接線が前記基準線に対して成す傾きに基づいて第2のピークを検出する第2ピーク検出手段と、
を備えることを特徴としている。
【0014】
この第2発明に係るデータ処理装置では、第1ピーク検出手段は、クロマトグラフ分析により取得されたクロマトグラムのベースラインに対し、そのクロマトグラムに現れるピークカーブ上の各点での接線が成す傾きに基づいて第1のピークとして比較的大きなピークを検出する。その後、変曲点検出手段は、上記第1のピークのリーディング部及び/又はテーリング部上でそのカーブの形状に基づいて2個の変曲点を検出する。この変曲点は必ず2個見つかるとは限らず、例えばリーディング部(又はテーリング部)上で2個の変曲点が存在しない場合には、第2のピークが存在しないものと看做すことができる。リーディング部又はテーリング部、或いはその両方でそれぞれ2個の変曲点が見い出された場合には、そのリーディング部又はテーリング部、或いはその両方で第1のピークに他のピークが重畳しているものと推測できる。そこで、第2ピーク検出手段は、2個の変曲点を結ぶ直線を基準線として定め、該基準線に対して、第1のピークのリーディング部及び/又はテーリング部のカーブ上の各点での接線が成す傾きに基づいて第2のピークを比較的小さなピークとして検出する。
【0015】
この第2発明に係るデータ処理装置によれば、第1のピークに第2のピークが重畳したときの波形形状が上昇が下降に転じる又は逆に下降が上昇に転じるような状態でなくとも(つまり既述のようななで肩形状であっても)、重畳した第2のピークを確実に検出することができる。これによって、クロマトグラフにおける定性分析や定量分析の精度を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、第1及び第2発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置の一実施例について、図1〜図8を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施例によるデータ処理装置を備えるGCの概略構成図である。液体試料はシリンジ1等により試料気化室2に注入されてそこで気化され、キャリアガス流路3を通し一定流量で供給されるキャリアガス流に乗ってカラム4内に送り込まれる。試料に含まれる各種成分は、カラム4を通過する間に時間的に分離され、順次、検出器5により検出される。検出器5による検出信号はデジタルデータに変換された後、逐次、データ処理装置6に送られ、そこで一旦、ハードディスク駆動装置(HDD)等の外部記憶装置に格納される。1つの試料の分析が終了した後(或いは、連続に実行される複数の試料の分析が終了した後)、外部記憶装置に格納されたデータが読み出され、クロマトグラムの作成、ピーク検出等の各種のデータ処理が行われる。もちろん、測定中にクロマトグラムを作成することも可能である。
【0018】
多くの場合、データ処理装置6の実体はキーボードやマウス等の操作部7やLCD等の表示部8を備えた汎用のパーソナルコンピュータであり、そのパソコンで所定の処理プログラムを動作させることにより、クロマトグラムの作成のほか、後述するような各種のデータ処理が実行される。
【0019】
このデータ処理装置6では、クロマトグラムに関する特徴的なデータ処理を実行する。まず、その1つとして、クロマトグラムのベースライン補正処理について詳述する。図2はクロマトグラムのベースライン補正処理を実行するために、データ処理装置6が備える機能ブロックの構成図である。
【0020】
まず、分析担当者は操作部7により所定の操作を行うことにより、ベースライン補正を行っていない状態のクロマトグラムを表示部8の画面上に表示させる。例えば昇温分析を行った場合には、図3(A)に示すようにクロマトグラムのベースラインBLは昇温を開始した時点(この例では時刻t1)から右上がりになる。分析担当者はこのクロマトグラムからベースラインBLの大体の傾斜SLを読み取る。ここでは、t1=1分経過時からSL=700[μV/min]の傾斜が読み取れるものとする。
【0021】
分析担当者は操作部7を操作することにより、仮想的なベースラインを設定するための波形処理プログラムとして、図4に示すようなパラメータを入力設定する。図4の意味するところは、1分経過時点から700[μV/min]の傾斜勾配で直線状に上昇するということである。こうしたベースライン設定を含む波形処理プログラムを設定した後、クロマトグラムの波形処理を指示する。この指示を受けて、補正データ作成部11は上記設定情報に基づいて、図3(B)に示すような仮想的なベースライン波形を構成するデータを生成する。ベースライン補正部12は、図3(A)に示すような波形を構成するデータと上記仮想的なベースライン波形を構成するデータとを取得し、同一時刻毎に前者から後者を差し引く演算を行うことにより、各データを補正する。
【0022】
補正クロマトグラム作成部13は、上記のようにベースラインBLが補正されたデータを用いてクロマトグラムを作成する。その結果、図3(C)に示すようにベースラインBLがほぼ水平になったクロマトグラムが取得できる。ピーク検出部14は従来と同様に、例えばピークのカーブ上の各点における接線と水平なベースラインBLとの成す角度(傾き)に基づいてピークの開始点及び終了点を検出し、これをピーク情報として出力する。
【0023】
一方、元のクロマトグラムのベースラインが右下がりである場合でも、上記と同様の方法によってそのベースラインの傾きを補正したクロマトグラムを作成してピーク検出を行えばよい。従って、このデータ処理によれば、ベースラインが変動している場合であっても、ピークの開始点及び終了点を正確に求め、これによってピーク面積も高い精度で計算することができる。
【0024】
なお、上記説明ではベースラインBLが直線的に上昇している場合について説明したが、図4に示したようなベースライン情報を設定する際に「処理命令」として様々な関数を設定できるようにしたり、経過時間毎に異なる処理命令を設定できるようにしたりすることで、ベースラインのより複雑な時間的変動にも対応することができる。
【0025】
次に、このデータ処理装置6における他の特徴的なデータ処理として、微小ピークが大きなピークに重なった場合のピーク検出処理について、図5〜図7のフローチャート及び図8の波形図を参照して説明する。
【0026】
分析担当者は操作部7を操作することにより、クロマトグラムの波形処理のパラメータとして、図12(B)に示したような大きなピークPaのリーディング又はテーリングに重畳した微小ピークPbを検出するための情報を入力する。いま、例えば、波形処理プログラムとして、時間:1分、処理命令:L.SLOPE(リーディング)、設定値:200[μV/min](微小ピーク検出の判定に使用する値)と、時間:1分、処理命令:T.SLOPE(テーリング)、設定値:200[μV/min](微小ピーク検出の判定に使用する値)を設定するものとする。
【0027】
処理が開始されると、まず、初期設定としてt=0,LB.t1=−1,LB.t2=−1,TB.t1=−1,TB.t2=−1とする(ステップS1)。次いで、時間tにおけるクロマトグラムデータを例えば外部記憶装置等から読み出すことによって取得する(ステップS2)。その後、そのクロマトグラムデータに基づき(実際には時間的に前後のクロマトグラムデータを加えて)、ピーク検出処理を行う(ステップS3)。この処理は既述のように時間tにおけるピークカーブ上の点で接線を引き、その接線が水平な基準線(ベースラインBL)に対して成す傾きを求める。従って、ピーク検出処理では、その時間tでのカーブが上昇しているか、下降しているか、或いは変化しないのかが識別可能である。
【0028】
そこで、ピーク検出状況で時間tにおけるピーク状況が上記「上昇中」つまりリーディング上にあるか、「下降中」つまりテーリング上にあるか、或いは、「変化なし」つまり例えばピーク外にあるかを判別する(ステップS4)。上昇中である場合には、後述するリーディング上の微小ピーク検出処理を実行し(ステップS5)、下降中である場合には、後述するテーリング上の微小ピーク検出処理を実行し(ステップS6)、いずれもステップS7へ進む。他方、ステップS4で変化無しと判定された場合にはそのままステップS7へと進む。ステップS7では、時間tがクロマトグラムの終了時間に達したか否かを判定し、未だクロマトグラムの終了時間に達していなければステップS2へと戻る。
【0029】
リーディング上の微小ピーク検出処理(図6参照)では、まず、LB.t1が0より大であるか否かを判定することにより、前方変曲点C1が既に見い出されているか否かを判定する(ステップS11)。前方変曲点C1は、微小ピークP2の立ち上がり側の変曲点という意味である。前方変曲点C1が未だ存在しない場合には、時間tにおけるカーブ上の位置が前方変曲点C1であるか否かを判定する(ステップS12)。変曲点の求め方は従来から知られている各種の方法を用いることができる。一例としては、リーディングにおいて前方変曲点C1を求める場合には、目的とする位置の前後の所定個数のデータから1次微分値と2次微分値を計算し、1次微分値が正値であり且つ2次微分値が0又は正負の変わり目である場合にそこを前方変曲点C1とすればよい。
【0030】
時間tにおけるカーブ上の位置が前方変曲点C1である場合にはLB.t1=tとし(ステップS13)、他方、前方変曲点C1でなければそのまま処理を終了して図5のルーチンへ戻る。t=0において前方変曲点C1であると判定されることはあり得ないから、前方変曲点C1が見つかった場合にはLB.t1は必ず0よりも大なる値になる。そのため、前方変曲点C1が検出されると、次にこの微小ピーク検出処理が実行される際には、ステップS11でYesと判定されステップS14へと進む。
【0031】
ステップS14では、LB.t2が0より大であるか否かを判定することにより、後方変曲点C2が既に見い出されているか否かを判定する。後方変曲点C2は、微小ピークP2の立ち下がり側の変曲点という意味である。後方変曲点C2が未だ存在しない場合には、時間tにおけるカーブ上の位置が後方変曲点C2であるか否かを判定する(ステップS15)。この後方変曲点C2の求め方は上述した前方変曲点C1の求め方と同様である。
【0032】
時間tにおけるカーブ上の位置が後方変曲点C2でなければそのまま処理を終了して図5のルーチンへ戻る。他方、後方変曲点C2である場合にはLB.t2=tとし(ステップS16)、次に、微小ピークP2の開始点P2Sの検出処理を実行する(ステップS17)。即ち、図8(A)に示すように、前方変曲点C1の位置であるLB.t1と後方変曲点C2の位置であるLB.t2とを結ぶ直線を基準線として定め、ピークP1の開始点から後方向(時間的にプラス側)に順次移動しながら、上記基準線に対する各点の接線の傾きを求め、その傾きが設定値(ここでは200[μV/min]以上)である場合にそこを微小ピークP2の開始点P2Sと決める。
【0033】
その後、リーディング上に微小ピークP2の開始点P2Sが検出できたか否かを判定し(ステップS18)、開始点P2Sが検出されない場合にはLB.t1=−1、LB.t2=−1とそれぞれクリアして(ステップS24)、図5のルーチンへ戻る。この場合には、リーディング上には微小ピークP2が存在しないものと結論付けられる。一方、ステップS18で開始点P2Sが検出されたと判定されたときには、その開始点P2SをLP.t1にセットして(ステップS19)、図5のルーチンへ戻る。
【0034】
上記ステップS14で後方変曲点C2が存在しない場合には、時間tにおけるカーブ上の位置が後方変曲点C2であるか否かを判定する(ステップS15)。この後方変曲点C2の求め方は上述した前方変曲点C1の求め方と同様である。時間tにおけるカーブ上の位置が前方変曲点C1である場合にはLB.t1=tとし(ステップS13)、他方、前方変曲点C1でなければそのまま処理を終了して図5のルーチンへ戻る。t=0において後方変曲点C2であると判定されることはあり得ないから、ステップS15で後方変曲点C2が見つかり、且つ微小ピークP2の開始点P2Sが見つかった場合には、LB.t2は必ず0よりも大なる値になる。そのため、次にこの微小ピーク検出処理が実行される際には、ステップS14でYesと判定されステップS20へと進む。
【0035】
ステップS20では、微小ピークP2の終了点P2Eの検出処理を実行する。即ち、前方変曲点C1の位置であるLB.t1と後方変曲点C2の位置であるLB.t2とを結ぶ直線を基準線として定め、上記基準線に対し、そのときの時間tの位置での接線の傾きを求め、その傾きが設定値以下であればそこを微小ピークP2の終了点P2Eと決める。次に、その時間tの位置が微小ピークP2の終了点P2Eであるか否かを判定し(ステップS21)、終了点P2Eでなければ図5のルーチンへ戻る。
【0036】
時間tにおけるカーブ上の位置が微小ピークP2の終了点P2Eである場合にはその時間tをLP.t2にセットし(ステップS22)、ピーク開始点P2Sを示すLP.t1、ピーク終了点P2Eを示すLP.t2を有するような微小ピークP2をピークリストに追加する処理を実行する(ステップS23)。その後、LB.t1=−1、LB.t2=−1とそれぞれクリアして(ステップS24)、図5のルーチンへ戻る。
【0037】
即ち、上記リーディング上の微小ピーク検出処理では、図8(A)に示すようなクロマトグラムのピーク波形に対し前方変曲点C1及び後方変曲点C2を見つけ(ステップS32及びS35)、その前方変曲点C1及び後方変曲点C2を結ぶ直線を引いてこれを基準線と定める。そして、図8(B)に示すように、上記基準線に対して、ピークカーブ上の各点の接線の傾きを求め、その傾きが所定値以上である場合にそこを微小ピークP2の開始点P2Sとし、それよりも後方でその傾きが所定値以下になった場合にそこを微小ピークP2の終了点P2Eとする。このようにして、微小ピークP2の重畳部分の波形が下降するカーブを有していなくても、微小ピークP2を確実に検出して、開始点P2S及び終了点P2Eを確定することができる。
【0038】
図7に示したピークP1のテーリング部に重畳した微小ピークP2の検出方法も基本的には上記のリーディング部に重畳した微小ピークの検出方法と同様であるので説明を省略する。このようにして、大きなピークP1のリーディング部又はテーリング部のいずれに微小ピークP2が重畳している場合でも、これを確実に検出することができる。
【0039】
図9は上記図5に示したフローチャートの変形例を示すフローチャートである。図5で説明した波形処理の例では、通常のピーク検出処理つまり大きなピークP1の検出を行いつつ、微小ピークP2の検出処理を実行していた。それに対し、この図9に示した波形処理では、まずステップS51〜S55の各処理によってクロマトグラム全体に対する通常のピーク検出処理を終了させる。これによって、クロマトグラム全体に亘って1乃至複数の大きなピークが検出される。その後、ステップS56〜S60の処理によってクロマトグラム全体に対する微小ピークの検出処理を行う。このようにしても、上記説明と同様に、大きなピークのリーディング部及びテーリング部に重畳している微小ピークの開始点及び終了点を確実に検出することが可能である。
【0040】
また、上述したように微小ピークが見い出された後の波形処理として、例えばピーク面積を算出するために微小ピークを大きなピークと分離する必要がある。その場合の一方法として、例えば図10に示すように、リーディング部に重畳している微小ピークに対しては終了点P2Eで垂直線を引いてその前後で波形を分離し、テーリング部に重畳している微小ピークに対しては開始点P2Sで垂直線を引いてその前後で波形を分離する方法が考えられる。こうした波形分離は、微小ピークP2が大きなピークPのピークトップから離れた位置に重畳している場合に特に有効である。
【0041】
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、上記記載以外の点についても、本発明の趣旨の範囲で適宜に変更や修正を加えることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるデータ処理装置を備えるGC装置の概略構成図。
【図2】本実施例によるデータ処理装置においてクロマトグラムのベースライン補正処理を実行するためにパソコンが備える機能ブロックの構成図。
【図3】ベースライン補正処理の動作説明のための波形図。
【図4】仮想的なベースラインを設定するための波形処理タイムプログラムの一例を示す図。
【図5】微小ピークが大きなピークに重なった場合のピーク検出処理の一例を示すフローチャート。
【図6】ピーク波形のリーディング上の微小ピーク検出処理を示すフローチャート。
【図7】ピーク波形のテーリング上の微小ピーク検出処理を示すフローチャート。
【図8】微小ピーク検出処理の動作説明のための波形図。
【図9】微小ピークが大きなピークに重なった場合のピーク検出処理の他の例を示すフローチャート。
【図10】大きなピークと微小ピークとを分離する際の方法の一例を示す波形図。
【図11】従来のピーク検出処理の問題点を説明するためのクロマトグラム波形図。
【図12】従来のピーク検出処理の問題点を説明するためのクロマトグラム波形図。
【符号の説明】
1…シリンジ
2…試料気化室
3…キャリアガス流路
4…カラム
5…検出器
6…データ処理装置
7…操作部
8…表示部
11…補正データ作成部
12…ベースライン補正部
13…補正クロマトグラム作成部
14…ピーク検出部

Claims (2)

  1. クロマトグラフ分析により取得されたクロマトグラムデータを処理し、そのクロマトグラムに現れる1乃至複数のピークに関連する情報を算出するデータ処理装置において、
    a)処理対象であるクロマトグラムのベースラインの時間的変動を表す情報を外部より設定するための入力手段と、
    b)該入力手段により与えられた情報に基づき、ベースラインの時間的変動が補正されたクロマトグラムを算出する補正処理手段と、
    c)該補正処理手段により補正されたクロマトグラムに現れるピークカーブ上の各点での接線が、そのクロマトグラムのベースラインに対して成す傾きに基づいて、そのピークの開始点及び終了点を検出するピーク検出手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
  2. クロマトグラフ分析により取得されたクロマトグラムデータを処理し、そのクロマトグラムに現れる1乃至複数のピークに関連する情報を算出するデータ処理装置において、
    a)クロマトグラムに現れるピークカーブ上の各点での接線が、そのクロマトグラムのベースラインに対して成す傾きに基づいて第1のピークを検出する第1ピーク検出手段と、
    b)前記第1のピークのリーディング部及び/又はテーリング部上でそのカーブの形状に基づいて2個の変曲点を検出する変曲点検出手段と、
    c)前記2個の変曲点を結ぶ直線を基準線として定め、第1のピークのリーディング部及び/又はテーリング部のカーブ上の各点での接線が前記基準線に対して成す傾きに基づいて第2のピークを検出する第2ピーク検出手段と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
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