JP2009202049A - フィルタープレスの濾板移動チェーン - Google Patents
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Abstract
【課題】濾板間の隙間より塩酸や硫酸などの酸性溶液が漏れ出てチェーンに付着しても、腐食によるチェーンの外れや摺動部の固渋が発生しにくく、取り替えなどの補修頻度を減少させることが可能なフィルタープレスの濾板移動チェーンを提供する。
【解決手段】酸性溶液を含むスラリーを加圧・濾過するフィルタープレスの濾板移動チェーンであって、チェーンを構成するピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートが酸性溶液に対して耐久性が大きい金属材料で作製され、かつ、スリーブ、及びローラーが機械的強度の高い樹脂材料で作製されていることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンによって提供する。前記金属材料は、チタン、又はチタン合金から選ばれるいずれかの金属であり、前記樹脂材料が、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックから選ばれる少なくとも1種の樹脂である。
【選択図】図2
【解決手段】酸性溶液を含むスラリーを加圧・濾過するフィルタープレスの濾板移動チェーンであって、チェーンを構成するピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートが酸性溶液に対して耐久性が大きい金属材料で作製され、かつ、スリーブ、及びローラーが機械的強度の高い樹脂材料で作製されていることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンによって提供する。前記金属材料は、チタン、又はチタン合金から選ばれるいずれかの金属であり、前記樹脂材料が、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックから選ばれる少なくとも1種の樹脂である。
【選択図】図2
Description
本発明は、フィルタープレスの濾板移動チェーンに関し、より詳しくは、濾板間の隙間より塩酸や硫酸などの酸性溶液が漏れ出てチェーンに付着しても、腐食によるチェーンの外れや摺動部の固渋が発生しにくく、取り替えなどの補修頻度を減少させることが可能なフィルタープレスの濾板移動チェーンに関する。
従来、鉱物スラリー、化学工業スラリー、砕石洗浄スラリー、陶土スラリー、あるいは建設残土スラリーを処理する業界では、スラリーから液体を加圧・濾過してケーキを分離するためにフィルタープレスが使用されている。
フィルタープレスは、スラリーが供給されるファーストヘッド(給液管)と、それに対向する側のリヤヘッドと、これらに渡し止められた左右一対の側板と、左右両側板に移動自在に備えられたルーズヘッドと、このルーズヘッドを進退せしめるようにリヤヘッドに備えられたシリンダと、一対の側板に摺動自在に吊り下げられた多数の濾板とを備えている。そして、左右一対の側板に沿って中間に濾板牽引機構を介して無端状とされた濾板移動用チェーンが配置され、各チェーン両端の巻回部には前後一対ずつのチェーンホイルに巻き掛けられている。濾板牽引機構には一対の引きばねの力により起立する濾板引戻し爪と停止爪が備えられている。前後両側チェーンホイルのうち前側チェーンホイルの枢軸には、可逆モータから中間チェーンホイルを介して駆動力が伝達される。
フィルタープレスにおいては、濾過の終了後、互いに隣り合う濾板同士のあいだの濾室内からケーキを除去するために、濾板が1枚ずつ所定距離開くために濾板移動チェーンが用いられる。濾板牽引機構は、フィルタープレスの左右両側に同一のものが対向状に取り付けられている。フィルタープレスの濾板移動チェーンは、通常全体が鉄製の材料で作製されているが、濾過する対象が腐食性溶液の場合には、濾板移動チェーンを構成する内チェーンプレート、外チェーンプレート、ピン、スリーブ、ローラーが耐食性を有するステンレス製の材料で作製されている。
例えば、電解廃液中に含まれる不純物銅が還元ニッケルを使用して除去されるニッケルマット電解精製法では、反応槽の底部から抜かれたスラリーが、フィルタープレスで濾過され、また、反応槽の底部から生成した銅沈殿物等を多く含むスラリーが、別のフィルタープレスで固液分離される(特許文献1参照)。
しかし、このような塩素イオンと硫酸イオンとが混在しうるような腐食環境でフィルタープレスを用いると、例えば結露、あるいは濾板間の隙間より漏れ出る濾液が濾板移動チェーンに付着して、ステンレス製の材料であってもスリーブ外面とローラー内面の錆発生による固渋、また外チェーンプレートの変形、ピン両端リベット部分と外チェーンプレート穴拡大によりチェーンが外れるというトラブルが発生し、月1回の補修が必要となっている。
しかし、このような塩素イオンと硫酸イオンとが混在しうるような腐食環境でフィルタープレスを用いると、例えば結露、あるいは濾板間の隙間より漏れ出る濾液が濾板移動チェーンに付着して、ステンレス製の材料であってもスリーブ外面とローラー内面の錆発生による固渋、また外チェーンプレートの変形、ピン両端リベット部分と外チェーンプレート穴拡大によりチェーンが外れるというトラブルが発生し、月1回の補修が必要となっている。
そのため、濾板移動チェーンの耐久性を増大させるために、特許文献2では、稼働時間を短縮することにより、結露、あるいは濾板間の隙間より漏れ出る濾液が濾板移動チェーンに触れる時間を短くすることにより、チェーンの耐久性を向上させることが提案されている。
すなわち、特許文献2の発明においては、ケーキ除去作業のために濾板を1枚ずつ引き戻す際、インバータ制御によりモータ駆動軸の毎分回転数を大きくして濾板牽引機構がファーストヘッド側より相対的に高速で移動させ、かつ各濾板の移動後に濾板牽引機構のみがファーストヘッド側に移動するときにも、同様に濾板牽引機構が相対的に高速で移動するようになされている。また、濾板牽引機構の濾板引戻し爪が各濾板の吊手に当たって停止する時には、チェーンおよびチェーンホイルに大きな負荷を掛けないように低速にするので、各部品の摩擦や損傷が小さく、チェーン等部品の寿命を増大することができて、耐久性が増大し、濾板等の負荷が増大するなどの変動に対しても、部品を交換することがない、としている。しかしながら、この特許文献2は、稼働時間を短縮することによりチェーンの耐久性を向上させようとするものであり、フィルタープレスが腐食性環境下に設置されていればチェーンが結露、あるいは濾板間の隙間より漏れ出る濾液に晒されることに変わりはなく、根本的な対策とはいえない。
すなわち、特許文献2の発明においては、ケーキ除去作業のために濾板を1枚ずつ引き戻す際、インバータ制御によりモータ駆動軸の毎分回転数を大きくして濾板牽引機構がファーストヘッド側より相対的に高速で移動させ、かつ各濾板の移動後に濾板牽引機構のみがファーストヘッド側に移動するときにも、同様に濾板牽引機構が相対的に高速で移動するようになされている。また、濾板牽引機構の濾板引戻し爪が各濾板の吊手に当たって停止する時には、チェーンおよびチェーンホイルに大きな負荷を掛けないように低速にするので、各部品の摩擦や損傷が小さく、チェーン等部品の寿命を増大することができて、耐久性が増大し、濾板等の負荷が増大するなどの変動に対しても、部品を交換することがない、としている。しかしながら、この特許文献2は、稼働時間を短縮することによりチェーンの耐久性を向上させようとするものであり、フィルタープレスが腐食性環境下に設置されていればチェーンが結露、あるいは濾板間の隙間より漏れ出る濾液に晒されることに変わりはなく、根本的な対策とはいえない。
ところで、フィルタープレス型加圧濾過機のファーストヘッドについては、装置本体の他の構成部品と同じく、母材には鋳鉄やステンレス等の金属が使用されているが、溶液が腐食性を有する場合、ファーストヘッドの接液部を耐酸素材でライニングして用いており、塩酸酸性溶液の場合、加工性やコストを考慮して耐酸素材としてゴムが採用されている。フィルタープレスは、濾過と脱滓の工程を繰返し行うが、このときファーストヘッドは10MPa以上の圧力で繰返し加圧されため、ファーストヘッドの給液口の角が損傷し、そこから液が浸透して母材金属が腐食する。母材金属が腐食した場合、装置本体の強度に影響を与えるだけでなく、ゴムライニングの補修と比べ補修費用がかさむことから、実質的にはファーストヘッドを更新せざるをえなくなる。
そのためファーストヘッドの接液部にゴムライニングを施して耐酸性を向上させたフィルタープレスにおいて、給液部のゴムライニングの寿命とファーストヘッド本体の寿命の延長を図るために、耐酸性の樹脂からなる給液口用保護管を配置することが提案されている(特許文献3参照)。
ところが、特許文献3では、チェーンの材質については言及されておらず、前記のような、スリーブ外面とローラー内面の錆発生による固渋、また外チェーンプレートの変形、ピン両端リベット部分と外チェーンプレート穴拡大によりチェーンが外れるというトラブルの発生を抑制する方法は提案されていない。
特開平5−320783号公報
特開2000−117009号公報
特開2006−181491号公報
ところが、特許文献3では、チェーンの材質については言及されておらず、前記のような、スリーブ外面とローラー内面の錆発生による固渋、また外チェーンプレートの変形、ピン両端リベット部分と外チェーンプレート穴拡大によりチェーンが外れるというトラブルの発生を抑制する方法は提案されていない。
本発明の目的は、前記した濾板間の隙間より漏れ出る塩酸や硫酸などの酸性溶液が濾板移動チェーンに付着しても、腐食によるチェーンの外れや摺動部の固渋が発生せず、取替えなどの補修頻度を減少させることが可能な濾板移動チェーンを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、酸性溶液を含むスラリーを加圧・濾過するフィルタープレスにおいて、チェーンのスリーブ外面とローラー内面の錆発生による固渋、また外チェーンプレートの変形、ピン両端リベット部分と外チェーンプレート穴拡大によりチェーンが外れるというトラブルの原因は、各構成部品が全てステンレス製であることに起因し、このトラブルを回避するには、酸性溶液が付着しやすい、ピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートを酸性溶液に対して耐久性の高いチタン系金属製とし、摺動性が要求されるスリーブ、及びローラーには機械的強度が高いポリアセタール樹脂などの樹脂材料を用いることが有効であり、これによりチェーンの外れや摺動部の固渋が発生せず、補修頻度を減少させることが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、酸性溶液を含むスラリーを加圧・濾過するフィルタープレスの濾板移動チェーンであって、チェーンを構成するピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートが酸性溶液に対して耐久性が大きい金属材料で作製され、かつ、スリーブ、及びローラーが機械的強度の高い樹脂材料で作製されていることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記金属材料が、チタン、又はチタン合金から選ばれるいずれかの金属であることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記樹脂材料が、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーン提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックが、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、超高分子ポリエチレン、又はフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、スリーブ、及びローラーが、ともにポリアセタール樹脂製で作製されていることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンが提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記スラリーが、金属製錬工程から排出される電解スライムであることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記樹脂材料が、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーン提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックが、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、超高分子ポリエチレン、又はフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、スリーブ、及びローラーが、ともにポリアセタール樹脂製で作製されていることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンが提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記スラリーが、金属製錬工程から排出される電解スライムであることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーンが提供される。
本発明によれば、フィルタープレスの濾板移動チェーンを構成するピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートが酸性溶液に対して高耐久性金属製であり、かつ、スリーブ、及びローラーが機械的強度の高い樹脂製であることにより、塩酸酸性溶液及び硫酸酸性溶液を扱う場合においても濾板移動チェーンの寿命を大幅に延ばすことが可能である。これにより、濾板移動チェーンを補修する場合であっても、補修の工数を大幅に削減できるばかりでなく、濾板移動チェーンのトラブルによるフィルタープレスの稼働率低下を防止できる。
本発明は、酸性溶液を含むスラリーを加圧・濾過するフィルタープレスに用いられる濾板移動チェーンであって、該チェーンを構成するピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートが酸性溶液に対して耐久性が大きい金属製であり、かつ、スリーブ、及びローラーが機械的強度の高い樹脂製であることを特徴とする。
以下、本発明の濾板移動チェーンとそれを有するフィルタープレスについて、図1〜2を用いて詳細に説明する。
1 フィルタープレス
図1は本発明に係るフィルタープレスを示している。1は濾板であり、2は濾板移動チェーンであり、濾板1の左右に取り付けられている。
図1は本発明に係るフィルタープレスを示している。1は濾板であり、2は濾板移動チェーンであり、濾板1の左右に取り付けられている。
フィルタープレスは、それぞれスタンドに設置されたファーストヘッド、およびリヤヘッドと、これらを連結する左右一対の側板と、左右両側板に移動自在に取り付けられたルーズヘッドと、このルーズヘッドを進退させるシリンダと、一対の側板に摺動自在に吊り下げられた多数の濾板1を備えている。また、左右一対の側板に沿って中間に濾板牽引機構を介して無端状の濾板移動チェーン2が配置され、各濾板移動チェーン2の両端の巻回部は、前後一対ずつのチェーンホイルに巻き掛けられている。そして、フィルタープレスの左右両側板に対向して取り付けられた濾板牽引機構には、一対の引きばねにより起立する濾板引戻し爪と停止爪が備えられている。前記チェーンホイルのうち、前側チェーンホイルの枢軸には、可逆モータから中間チェーンホイルを介して駆動力が伝達される。
フィルタープレスは、前記のように濾過の準備ができると、ファーストヘッドからスラリーが供給され、液体は濾布で濾されて固体が濾板の内部に残される。内部の固体は左右から加圧されて液体が絞り取られてケーキが形成される。濾過の終了後、相互に隣り合う濾板同士で形成される濾室内からケーキを除去するために、濾板移動チェーン2によって濾板1が1枚ずつ所定距離開かれる。その操作は、濾板牽引機構により濾板の後退、停止、方向切り換え、濾板牽引機構のみの前進、停止、方向切り換えが繰り返されて、濾板が順次1枚ずつ引き戻されて行われ、ケーキが分離される。
2 濾板移動チェーン
図2に本発明の濾板移動チェーンの連結部(断面構造)を示す。濾板移動チェーンは、ピン3がスリーブ4を貫通し、その外側にローラー7が回転自在に位置しており、このピン2本の先端部が2枚の内チェーンプレート5で固定され、さらにこの内チェーンプレート5から突出したピンの先端部が外チェーンプレート6で固定され、次々と連続的に繋がっている。
図2に本発明の濾板移動チェーンの連結部(断面構造)を示す。濾板移動チェーンは、ピン3がスリーブ4を貫通し、その外側にローラー7が回転自在に位置しており、このピン2本の先端部が2枚の内チェーンプレート5で固定され、さらにこの内チェーンプレート5から突出したピンの先端部が外チェーンプレート6で固定され、次々と連続的に繋がっている。
すなわち、スリーブ4は、ピン3にスキマバメにて取り付けられ、スリーブ4の両端には内チェーンプレート5が圧入されることで、スリーブ4にピン3及びローラー7の軸受の役割を持たしている。外チェーンプレート6は、ピン3の両端に圧入され、リベットで止められている。ピン3は、内チェーンプレート5及び外チェーンプレート6を介して剪断と曲げの力を受けると共に、チェーンが屈曲する際には、スリーブ4の軸となり摺動する。内チェーンプレート5及び外チェーンプレート6は、チェーンに作用する張力を受け持っている。ローラー7は、スリーブ4にスキマバメされ、スプロケットに噛合う時の衝撃を緩和すると共に、チェーンをスムーズに運行させる。
スリーブ4及びローラー7は、共に摺動部であるため、表面を滑らかにして摩擦抵抗を少なくすることが重要である。またピン3、内チェーンプレート5及び外チェーンプレート6は強度が重要である。そのため、本発明では、ピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートを酸性溶液に対して耐久性が大きい金属製とし、かつ、スリーブ、及びローラーを機械的強度の高い樹脂製としている。
(1)ピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレート
ピン3、内チェーンプレート5及び外チェーンプレート6を構成する材料は、酸性溶液に対して耐久性が大きい金属材料であれば、特に制限されないが、チタン又はチタン合金が好ましい。
ピン3、内チェーンプレート5及び外チェーンプレート6を構成する材料は、酸性溶液に対して耐久性が大きい金属材料であれば、特に制限されないが、チタン又はチタン合金が好ましい。
チタンとは、JIS2種チタンを含む純チタンであり、チタン合金には、α型合金、β型合金、α+β型合金があるがいずれも使用できる。このうち、α型合金としては、Ti−5Al−2.5Sn、Ti−8Al−1Mo−1V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo等、β型合金としては、Ti−13V−11Cr−3Al、Ti−3Al−8V−6Cr−4Mo−4Zr、Ti−11.5Mo−6Zr−4.5Sn、Ti−15Mo−5Zr−3Al、Ti−15V−3Cr−3Al−3Sn等、α+β型合金としては、Ti−3Al−2.5V、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−10V−2Fe−3Al等のチタン合金を挙げることができる。
内リンクプレート、外リンクプレートは、屈曲の際に相互に摺動する他、内リンクプレートは、ローラーとも摺動する。そこで、摺動性を向上させるために内リンクプレート、外リンクプレートの表面に、皮膜形成処理、例えばプラズマ浸炭処理を施すことができる。プラズマ浸炭処理は、チタン金属のリンクプレート用板材またはピン用棒材を所定の形状に機械加工した後、たとえばバレル研磨を施し、真空炉内に収容してヒータにより加熱し、プロセスガス雰囲気中においてグロー放電を発生させて浸炭層を形成するものである。ただし、プロセスガスは、水素、アルゴンなどのクリーニングガスによるクリーニングの後、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素系のガスに切り換え、炭化チタン、炭素固溶チタンからなる浸炭層を形成するものとする。浸炭層の層厚は、20μm以上とし、好ましくは50μm以上とするのがよい。また、浸炭層の表面硬度は、ビッカース硬度400以上、好ましくは同500以上とするのがよい。層厚が薄いと、剥離を生じ易く、ビッカース硬度が不足すると、かじりを生じ易く、十分な耐久性が得られないことがある。浸炭層を形成したピンの外面は、初期かじりを防止するために、たとえばバフ研磨を施し、鏡面に仕上げることが好ましい。浸炭層にはチタンのほかに、クロム、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、タングステンの少なくとも1種類を含んでも良い。
(2)スリーブ、及びローラー
本発明においては、スリーブ、ローラーをエンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックとして分類される樹脂の少なくとも一種を用いて作製する。
本発明においては、スリーブ、ローラーをエンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックとして分類される樹脂の少なくとも一種を用いて作製する。
ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、超高分子ポリエチレン、フッ素樹脂などのエンジニアリングプラスチックは、機械的性質、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性に優れ、摩擦係数が小さいという特性を有する合成樹脂である。また、スーパーエンジニアリングプラスチックは、これらの性能がさらに高められた樹脂である。
本発明では、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックの中でも簡便性、汎用性を考慮すると、特にポリアセタール樹脂を用いることが好ましい。ポリアセタール樹脂は、結晶化度が特に高いために、強化材を含有しないでも充分な耐薬品性、耐熱性、強度・剛性、耐摩耗性などを発現しうる。ポリアセタール樹脂におけるこれら機械的特性は、高温においても低温においても低下することがなく、また耐摩擦摩耗特性としては自己潤滑性(摺動性)を有するために、潤滑剤を含有しない状態でスリーブ、ローラーの材料として使用できる。ポリアセタール樹脂としては、ポリアセタールホモポリマーおよび主鎖の大部分がオキシメチレン連鎖よりなるポリアセタールコポリマーのいずれも使用できる。また、ポリアセタールを公知の方法で架橋あるいはグラフト共重合して変性したものもベース樹脂として使用できる。重合度などは成形可能な限り特に制限はない。
ポリアセタール樹脂には、所望により潤滑剤を添加してもよい。潤滑剤としては、チタン酸カリウィスカー、カーボン繊維、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固形潤滑剤、フッ素樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂類、脂肪酸エステル、パラフィン系オイル、スピンドルオイル、シリコーンオイルなどの潤滑油などを例示することができ、これらの一種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これら潤滑剤がポリアセタール樹脂と相溶性あるいは親和性が悪い場合には、潤滑剤の保持剤を配合してもよい。例えば、潤滑剤として脂肪酸エステルを使用する場合には、ポリアセタール樹脂に平均粒子径50μm以下の無機粉体を1〜20重量部(組成物中)、脂肪酸エステルを0.05〜10重量部(組成物中)配合し、混練および成形する。また、潤滑剤としてシリコーンポリマーを使用する場合には、シリコーンポリマーを吸収させたシリカパウダー0.5〜25重量部(組成物中)を配合してもよい。この他に活性炭、グラファイトなどの無機成分、高分子量ポリエチレン、エチレン共重合体、シリコーンゴムなどを使用できる。
これら潤滑剤がポリアセタール樹脂と相溶性あるいは親和性が悪い場合には、潤滑剤の保持剤を配合してもよい。例えば、潤滑剤として脂肪酸エステルを使用する場合には、ポリアセタール樹脂に平均粒子径50μm以下の無機粉体を1〜20重量部(組成物中)、脂肪酸エステルを0.05〜10重量部(組成物中)配合し、混練および成形する。また、潤滑剤としてシリコーンポリマーを使用する場合には、シリコーンポリマーを吸収させたシリカパウダー0.5〜25重量部(組成物中)を配合してもよい。この他に活性炭、グラファイトなどの無機成分、高分子量ポリエチレン、エチレン共重合体、シリコーンゴムなどを使用できる。
さらに、ポリアセタール樹脂に公知の各種添加物、例えば、染料や顔料などの着色剤、酸化防止剤、耐熱剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、可塑剤、結晶促進剤、結晶核剤などを配合できる。また、本発明の目的を損なわない範囲内で、無機、有機、金属などの繊維状、板状、粉粒状の充填剤を一種以上混合することもできる。
スリーブ、ローラーの厚みは、ポリアセタール樹脂がピン、内チェーンプレートに対して摺動性を維持できる範囲であればよく、特に限定されない。スリーブは、射出成形法などの公知の一般的成形方法により製造してもよい。例えば、ピンを円柱状コア(スライドコア)とする射出成形金型を用いてポリアセタール樹脂が内層(軸受摺動部:スリーブ)になるように射出成形して、ピンの外側にスリーブが積層した成形体を製造することが出来る。
スリーブ又はローラーは、公知の押出成形法によっても製造することが出来る。すなわち押出機のダイにポリアセタール樹脂を送り、管状物を押出成形し、必要に応じ切削加工すればよい。スリーブ及びローラーは、二色射出成形法などの公知の一般的成形方法により製造してもよい。例えば、ピンを円柱状コア(スライドコア)とする射出成形金型を用いて潤滑油含有ポリアセタール樹脂が内層(軸受摺動部:スリーブ)に、また潤滑油非含有のポリアセタール樹脂が外層(外周部:ローラー)になるように射出成形して、スリーブとローラーが積層した成形体を製造することが出来る。
このように、エンジニアリング樹脂やスーパーエンジニアリング樹脂を用いたスリーブ、ローラーと、酸性溶液に対して耐久性が大きい金属材料を用いたピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートとの組み合わせにより、濾液が塩酸酸性溶液及び硫酸酸性溶液となる環境においても、チェーン本来の機能を損なうことなく、耐蝕性のある濾板移動チェーンを得ることができる。
(実施例1)
まず、図2に示した構成のピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートをチタン合金(TB340)で作製し、また、ポリアセタール樹脂でスリーブ、及びローラーの筒状体を作製した。そして、ピンにスリーブ、ローラーをスキマバメして取り付け、内チェーンプレート5を圧入した後、外チェーンプレート6をピン3の両端に圧入して、最後に、リベットで止めて、本発明の濾板移動チェーンを作製した。
次に、この濾板移動チェーンを用いて濾液が塩酸酸性溶液及び硫酸酸性溶液となる環境において試験操業を行った。用いたスラリーは銅の電解精製工程で発生する銅電解スライムを水に懸濁させた後塩素を吹き込んで得た塩素浸出スラリーであり、スラリー濃度はdry200〜250g/l、液中の塩素イオン濃度は90〜110g/l、硫酸イオン濃度は40〜50g/lであり、フリー塩酸濃度は約3〜5mol/lであった。このスラリーを約30〜50m3/Dの割合で濾過した。
その結果、21ヶ月間経過後も補修を必要とせずに操業することができた。従来のステンレス製の濾板移動チェーンを用いた場合には月1回の補修が必要とされたことと比較すると、本発明の濾板移動チェーンの有効性が明らかである。
まず、図2に示した構成のピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートをチタン合金(TB340)で作製し、また、ポリアセタール樹脂でスリーブ、及びローラーの筒状体を作製した。そして、ピンにスリーブ、ローラーをスキマバメして取り付け、内チェーンプレート5を圧入した後、外チェーンプレート6をピン3の両端に圧入して、最後に、リベットで止めて、本発明の濾板移動チェーンを作製した。
次に、この濾板移動チェーンを用いて濾液が塩酸酸性溶液及び硫酸酸性溶液となる環境において試験操業を行った。用いたスラリーは銅の電解精製工程で発生する銅電解スライムを水に懸濁させた後塩素を吹き込んで得た塩素浸出スラリーであり、スラリー濃度はdry200〜250g/l、液中の塩素イオン濃度は90〜110g/l、硫酸イオン濃度は40〜50g/lであり、フリー塩酸濃度は約3〜5mol/lであった。このスラリーを約30〜50m3/Dの割合で濾過した。
その結果、21ヶ月間経過後も補修を必要とせずに操業することができた。従来のステンレス製の濾板移動チェーンを用いた場合には月1回の補修が必要とされたことと比較すると、本発明の濾板移動チェーンの有効性が明らかである。
1――――濾板
2――――濾板移動チェーン
3――――ピン
4――――スリーブ
5――――内チェーンプレート
6――――外チェーンプレート
7――――ローラー
2――――濾板移動チェーン
3――――ピン
4――――スリーブ
5――――内チェーンプレート
6――――外チェーンプレート
7――――ローラー
Claims (6)
- 酸性溶液を含むスラリーを加圧・濾過するフィルタープレスの濾板移動チェーンであって、チェーンを構成するピン、内チェーンプレート、及び外チェーンプレートが酸性溶液に対して耐久性が大きい金属材料で作製され、かつ、スリーブ、及びローラーが機械的強度の高い樹脂材料で作製されていることを特徴とするフィルタープレスの濾板移動チェーン。
- 前記金属材料が、チタン、又はチタン合金から選ばれるいずれかの金属であることを特徴とする請求項1記載のフィルタープレスの濾板移動チェーン。
- 前記樹脂材料が、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載のフィルタープレスの濾板移動チェーン。
- エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックが、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、超高分子ポリエチレン、又はフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載のフィルタープレスの濾板移動チェーン。
- スリーブ、及びローラーが、ともにポリアセタール樹脂製で作製されていることを特徴とする請求項1記載のフィルタープレスの濾板移動チェーン。
- 前記スラリーが、金属製錬工程から排出される電解スライムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィルタープレスの濾板移動チェーン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008044136A JP2009202049A (ja) | 2008-02-26 | 2008-02-26 | フィルタープレスの濾板移動チェーン |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2008044136A JP2009202049A (ja) | 2008-02-26 | 2008-02-26 | フィルタープレスの濾板移動チェーン |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012120707A1 (ja) * | 2011-03-07 | 2012-09-13 | 株式会社石垣 | フィルタープレスにおけるろ板の潤滑方法、潤滑装置、及びこの潤滑装置を備えたフィルタープレス |
CN114672368A (zh) * | 2022-03-28 | 2022-06-28 | 河南爱伊辣食品科技有限公司 | 一种料渣过滤结构及鲜椒酱用料油生产设备 |
-
2008
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CN114672368B (zh) * | 2022-03-28 | 2024-05-24 | 陕西汉源厨帮食品有限责任公司 | 一种料渣过滤结构及鲜椒酱用料油生产设备 |
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