JP2009191591A - ドアのロック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの正転・逆転を使って2個のラッチを1つのモータで順次作動させることで、コストダウンや装置の重量低減を図れるドアのロック装置を提供する。
【解決手段】ドア開口部3を開閉するドア4と、ドアのラッチ661,671をストライカ662,672に噛合わせることでドアを閉鎖位置D1に保持する複数のロック部J1及びJ3と、各ラッチを対向するストライカに対してハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換えるラッチ駆動手段70,80と、を備えるドアのロック装置において、ラッチ駆動手段のモータ701で駆動される板状主部704を一方向に変位させることで少なくとも1つのロック部のラッチをハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換え、逆方向に揺動変位させることで残るロック部の他方側をハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換える。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両の側壁に設けられる乗降口をドアにより開閉するドアのロック装置に関する。
車両のドア開口を開閉するドアの開閉方式の一つにスライド機構を備えた支持ユニットによるスライド開閉方式がある。このスライド開閉方式のドアを備えた車両では、スライドドアを車両前後方向にスライドさせるのに、ドア開口部の上部を形成するサイドルーフレールや、ドア開口部の下部を形成するサイドシル内や、スライドドアの後端側の上下での中央にスライド機構を設けているものが多い。ところがサイドルーフレールやサイドシル内にスライド機構を設ける場合、サイドルーフレールやサイドシルの断面が大きくなってドア開口部の高さが制限を受ける場合や車室内に対する張り出し量が大きくなってしまう。
そこで、特許文献1に示すように、スライドドアをその中央部のみで車両前後方向にスライド自在に支持し、サイドルーフレールやサイドシル内からスライド機構をなくしたスイングスライドドアを備えた車両が提案されている。
ところで、車両のドア開口がスイングスライドドアにより閉鎖状態に保持される場合、図13に示すように、ラッチ110とストライカ114で構成されたロック部を、センターピラー209とリアドア204のパネル前端間に上下に一対取り付け、後部ピラー112とリアドア204のパネル後端間に1つ取り付けている。ここでスイングスライドドア204はドア開閉装置により車両前後方向Xに移動する。この場合、スイングスライドドア204は平行リンク200等により、揺動変位して閉鎖位置D1に達する。その際、前側の上下2箇所のロック部Jf(図13には上箇所のみ示した)と、後方の後側ロック部Jrにおける各ラッチが各ストライカに噛合うことで、スイングスライドドアをドア開口にロックしている。
ところで、電動のスイングスライドドアの場合、従来はリアドア204の前側の上下2箇所のロック部Jfを連動させる1個のラッチと、後側の後側ロック部Jrのラッチとの2つのラッチをもち、それらを同時に引き込み作動、即ち、ハーフラッチよりフルラッチに切換えることでドアを閉め切っていた。
特許第2049752号
上述のように、電動の従来のスイングスライドドアの場合、ロック装置にはモータが2個必要なため、重量増加とコストアップの問題があった。また、前後各1個のラッチのモータを同期させて引き込み作動させるため、ロック装置の引き込み速度に差があると、ストライカに対するラッチの進入角度が設計値と異なるため、ドア閉まり性に悪影響を及ぼす恐れがあった。
また、二個のモータが同時に作動するため作動音が大きいという問題があった。
また、単一のモータを用いその一方向の回転により、ドア前後に配備された二個のラッチを同時作動させることは可能だが、その場合はよりパワーの大きなモータが必要となり、コストアップとレイアウト性の悪化を招く。
また、ドア前後に配備された二個のラッチのバラツキにより1個のラッチが閉まりきっても、もう1個のラッチが閉まりきっていない場合、モータは作動し続けることになり、閉まり切った側のラッチに過大な負荷が入り破損する恐れがある。
本発明は以上のような課題に基づきなされたもので、目的とするところは、モータの正転・逆転を使って2個のラッチを1つのモータで順次作動させることで、コストダウンや装置の重量低減を図れるドアのロック装置を提供することにある。
この発明の請求項1は、車体に形成されたドア開口部を開閉するドアと、前記ドアに支持されたラッチを前記開口縁部に固定のストライカに噛合わせることで前記ドアを閉鎖位置に保持する複数のロック部と、前記ロック部の各ラッチを対向する前記ストライカに対してハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換えるラッチ駆動手段と、を具備するドアのロック装置において、前記ラッチ駆動手段のモータで駆動される搖動操作部材を一方向に揺動変位させることで連動する前記ロック部の少なくとも1つの一方側ロック部のラッチをハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換え、前記搖動操作部材を逆方向に揺動変位させることで連動する残る前記ロック部の他方側ロック部のラッチをハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換えることを特徴とする。
この発明の請求項2は、請求項1記載のドアのロック装置において、前記一方側ロック部は前記ドア開口部の一方側の開口縁部に上下2つ互いに連動するように設けられ、前記他方側ロック部は前記ドア開口部の他方側の開口縁部に1つ設けられたことを特徴とする。
この発明の請求項3は、請求項1又は2記載のドアのロック装置において、前記ラッチ駆動手段は前記モータで前記搖動操作部材を一方向に揺動変位させるのに応じて一方の揺動変位伝達部材を介して一方側ロック部のラッチをロック作動させ、前記搖動操作部材を他方向に揺動変位させるのに応じて他方の揺動変位伝達部材を介して他方側ロック部のラッチをロック作動させることを特徴とする。
この発明の請求項4は、請求項3記載のドアのロック装置において、前記搖動操作部材はモータで回転中心軸回りに一方向及び他方向に往復揺動変位する板状主部を有し、前記一方の揺動変位伝達部材である同軸ケーブルがその一端を板状主部に接続すると共に他端を前記一方側ロック部のラッチに閉鎖方向の張力として伝達するよう形成され、前記他方の揺動変位伝達部材である押圧リンクがその一端を板状主部にピン結合しその揺動端を前記他方側ロック部のラッチに接離可能に当接させて閉鎖方向の押圧力として伝達するよう形成されることを特徴とする。
請求項1の発明は、搖動操作部材を一方向に揺動変位させることで一方側ロック部のラッチをハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換え、逆方向に揺動変位させることで他方側ロック部のラッチをハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換えるので、即ち、1つのモータの正転、逆転を使って、順番に複数のラッチを順次ロック作動させるようにしたので、モータ、ハーネスを削減してコストダウンを図れ、装置の重量低減を図れ、ドア内のレイアウトの自由度が向上し、1つのモータを用いるので、作動音の低減をも図れる。
請求項2の発明は、ドア開口部の一方側の開口縁部にロック部が上下2つ、他方側の開口縁部にロック部が1つ、合計3つのロック部を用いてドアをドア開口部に確実にロックできる。しかも一方側のロック部は開口縁部に上下2つ互いに連動するように設けられ、モータの増設は必要なく、コストダウンを図れ、装置の重量低減を図れ、ドア内のレイアウトの自由度がより向上する。
請求項3の発明は、搖動操作部材の往方向である一方向の揺動変位によりその揺動変位を一方側の揺動変位伝達部材を介し一方側ロック部のラッチに伝えてロック作動させ、次いで、復方向である他方向への揺動変位によりその揺動変位を他方側の揺動変位伝達部材を介し他方側ロック部のラッチに伝えてロック作動させるので、単一のモータの正転、逆転を順次一方側ロック部と他方側ロック部に伝えることが出来、確実に2個のラッチを順次ロック作動できる。
請求項4の発明は、搖動操作部材の板状主部に接続された同軸ケーブルの張力で一方側ロック部のラッチをフルラッチ状態に切換えでき、次いで、板状主部に接続された押圧リンクの押圧力で他方側ロック部のラッチをフルラッチ状態に切換えでき、確実に2個のラッチを順次ロック作動できる。
図1にはこの発明の一実施形態としてのドアのロック装置が適用された車両Bを示す。
この車両Bはセンターピラー5のある4ドアの自動車であり、左右の各前乗降口1を開閉するフロントドア2と、左右の各後乗降口3を開閉するスイングスライドドア(以後単にリアドアと記す)4とを備える。
ここで各フロントドア2は前端上下2箇所h1、h2がヒンジ結合され、回動端がセンターピラー5の上下中ほどの後ロック部Jfに不図示のラッチとストライカを用いて離脱可能にロックされる。
一方、リアドア4は後述のスイングスライドユニットUに支持され、後乗降口3を閉鎖する閉鎖位置D1と、閉鎖位置D1より車外に突出た突出し位置D2と、突出し位置D2より後方にスライドした全開位置D3とにスライド可能に支持される。閉鎖位置D1においてリアドア4はその一方側ロック部を成す前端上下ロック部J1,J2が図4に示すラッチ661とストライカ662を用いてセンターピラー5に2点位置で離脱可能にロックされ、残るロック部の他方側ロック部を成す後端ロック部J3が図3に示すラッチ671とストライカ672を用いてリアピラー60bに離脱可能にロックされる。
図1,2に示すように、前上ロック部J1は、後乗降口3の閉鎖方向である前側に位置し、後乗降口3の上部と下部を構成するルーフサイドレール10とサイドシル10cとを連結するセンターピラー5寄り、ここではセンターピラー5上部に配置される。後ロック部J3は、後乗降口3の車体後方側に位置するリアピラー(後部ピラー)60bの上下中ほどに配置され、前下ロック部J2は、センターピラー5寄り、ここではセンターピラー5の下部に配置されている。言い換えると、前上ロック部J1と後ロック部J3はスイングスライドユニットUを構成する後述のドア支持レール22の上方に、前下ロック部J3はドア支持レール22よりも下方に配置されている。
ドア閉鎖位置D1に保持されたリアドア4は、前上ロック部J1(前下ロック部J2も同様の構成)を構成するラッチ661とストライカ662を用いてセンターピラー5にロックされ、後ロック部J3を構成するラッチ671とストライカ672を用いてリアピラー(後部ピラー)60bにロックされ、これらロック部J1,J2,J3は、図1に示すように、互いに三角形状を形成するように後乗降口3の周部に配置されている。なお、図4、図3(a)に示すように、前上、前下のロック部J1、J2の各ストライカ662はセンターピラー5のアウターパネル5aにボルト(不図示)で締結固定され、後ロック部J3のストライカ672はリアピラー(後部ピラー)60bにボルト(不図示)で締結固定されている。
前上、前下ロック部J1、J2のラッチ661と、後ロック部J3のラッチ671とは、各ロック部のストライカ662,672と対向するリアドア4のインナーパネル402にそれぞれ固定されている。
なお、リアドア4の外周縁部には不図示のウエザーストリップが取り付けられ、このウエザーストリップによりリアドア4が閉鎖位置D1に保持された際に、三角形状に配備されたロック部J1,J2,J3の働きを受け、後乗降口3の周縁壁面の全周に対して密に圧接でき、シール性を確保できるようにしている。
図3(a)に示すように、リアドア4に取り付けられた後ロック部J3のストライカ672は、リアピラー(後部ピラー)60bにおける前方対向壁pf(図1参照)の上下方向での中間部に形成される取り付け面kfに支持される。
リアピラー(後部ピラー)60bの前方対向壁pfの裏面にはピラー補強リンフォース65が一体接合される。これによりピラー補強リンフォース65が取り付け面kf1を補強することが出来る。
ここで、後ロック部J3のラッチ671は、図3(a)を用いて後述するように、U字型のストライカ672に車外側より車内側に向けて軌跡R1に沿って移動し、ストライカ672の手前側軸部に噛合う。この場合、リアドア4はその閉鎖位置D1への移動時に後述の平行リンク16によって、前側縦縁部がセンターピラー5に接近し、後述のコントローラ30(図2参照)のロック信号を受けて前上ロック部J1と前下ロック部J2がハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換えられる。これにより、一方側ロック部である前上ロック部J1と後ロック部J3の噛合い点を結ぶ枢支線Lr(図1参照)回りにリアドア4の後端側と一体に他方側ロック部である後ロック部J3が車内側に回動変位するよう構成されている。
具体的には、後ロック部J3のラッチ671の軌跡は、図3(a),(b)に示すように、リアドア4が平行リンク16のスイング時に円弧r1の軌跡に沿ってアンラッチ位置に進み、同部を経てハーフラッチ位置bに達するまではr2の軌跡を採り、ラッチ671のフォーク部qが動き始める。ここでのストライカ672の軸方向のずれ量はs1である。
更に、ハーフラッチ位置p1において、リアドア4の前側縁部の前上ロック部J1と前下ロック部J2が同時にフルラッチ状態に切換えられることで前方引き込み移動が生じ、r3の軌跡を採る。ここでのストライカ672の軸方向のずれ量はr3と同量のs2となる。
次いで、リアドア4の後端側の後ロック部J3は枢支線Lr回りに車内側に回動変位するr4の軌跡を採りフルラッチに向かう。連続してラッチ671のフォーク部qがストライカ672に噛合うべくフルラッチ位置dを越えて、オーバーラン位置eまで進んだ後(フォーク部qの空回転)フルラッチ位置dに戻って停止するr5の軌跡を採る。ここでのストライカ672の軸方向のずれ量はs3である。
そこで、このような軌跡を考慮し、ストライカ672の取り付け角、及び、このストライカ672に噛合うラッチ671の向きを、相対摩擦の総量であるS(=s1+s2+s3)がより少なくなるように設定すべく、ここでは、閉鎖位置D1においてストライカ672とラッチ671のフォーク部qとはほぼ直交状態を確保するように設定され、ラッチ661との噛合いをスムーズに行えるようにしている。
なお、場合により、図3(a)に2点差線で部分的に示すように、スイングスライドドア4に代えてヒンジドア4rが用いられたと仮定する。この場合、ヒンジドア4rの前側縁部の上下のヒンジ(不図示)を結ぶ不図示の枢支軸腺が上述の前上ロック部J1と前下ロック部J2に設定される枢支線Lrと一致するようヒンジドア4rをセンターピラー5に枢着し、その上でヒンジドア4rの後端側にリアドア4用の後ロック部J3を取り付け、リアピラー(後部ピラー)60bの取り付け面kfにストライカ672を取り付ける。その上で、車外側より車内側に向けてヒンジドア4rを軌跡R1’に沿って移動した場合も容易に閉鎖位置D1に達し、フルラッチに保持できる。このように後ロック部J3及びストライカ672を共用することで容易にスイングスライドドア4に代えてヒンジドア4rを採用することが出来る。
ところで、図7(a),(b)に示すように、リアドア4内には、一方側ロック部である前上、前下ロック部J1、J2と、他方側ロック部である後ロック部J3の各ラッチを対向するストライカ662,672(図3(a),図4参照)に対してハーフラッチ状態よりフルラッチ状態(図7(b)のqcr1、qcr1’、cr2の各作動)に切換えるラッチ駆動手段70としてのラッチ噛合い駆動手段70及びラッチ解除駆動手段80が配備される。
図7〜11に示すように、ラッチ噛合い駆動手段70は駆動源となるモータ701と、モータで駆動される搖動操作部材702とを備える。
図8〜11に示すように、ラッチ搖動操作部材702はモータ701側のピニオンギヤとそれに噛合うと共に回転中心軸回りに一方向及び他方向に往復揺動変位する湾曲ラックギヤを備えた板状主部704とからなる。板状主部704に一端が接続される同軸ケーブル705の他端を前上ロック部J1(一方側ロック部)のラッチ661(図4参照)に閉鎖方向の張力として伝達するよう形成される。
更に、図8(a),(b)に示すように、板状主部704の他端側には揺動変位伝達部材である押圧リンク706の支点となる枢軸707(図8参照)がピン結合され、その揺動端が後ロック部J3(他方側ロック部)のラッチ661に接離可能に当接し閉鎖方向の押圧力を伝達するよう形成される。
ここでは、図10(a),(b)、図11に示すように、押圧リンク706はその支点を板状主部704の枢軸707と同軸的に相対変位可能に枢支され、その近傍で板状主部704に一端がピン結合された係合片708の爪部が押圧リンク706に係合することで板状主部704の回転力を押圧リンク706に加え、これに応じて押圧リンク706が枢軸707回りに回動することで、この押圧リンク706の搖動端がラッチ661に噛合い方向の押圧力を加えるよう構成されている。
図3(a),(b)に示すように、噛合い方向の押圧力を受けたラッチ661のフォークqはラッチ軸qs回りに回動し、対向するストライカ672に噛合い、所定量以上の噛合いに応じて、不図示の戻り止め爪が係合し、ストライカ662の噛合い状態を保持する。
なお、図8(a),(b)に示すように、不図示の戻り止め爪はラッチ解除駆動手段80側のる解除ケーブル809の解除操作力をリンク801rを介して係合解除作動できる。一方、前上ロック部J1(一方側ロック部)のラッチ661に閉鎖方向の張力として伝達するよう形成される。
即ち、前上ロック部J1のラッチ661内のフォークqは不図示のラッチ軸に枢支され、フォークqの他端側のアーム端に同軸ケーブル705が連結され、同軸ケーブル705からの張力に応じて噛合い回りに回動し、対向するストライカ662に噛合い、係合し、ストライカ662との噛合い状態を保持する。
図7(a),(b)に示すように、ラッチ解除駆動手段80は不図示のアクチュエータに連動して符号(1)の搖動変位を生じる解除アーム803と、同解除アーム803に連動して支点ピン804回りに符号(2)のてこ作動する分岐操作部材805とを備える。更に、分岐操作部材805の一方の搖動端に符号(3)の張力を伝える同軸ケーブルを介して連結される前上ロック部J1のラッチ661内の不図示の戻り止め爪と、分岐操作部材805の他方の搖動端に符号(3)の張力を伝える同軸ケーブル806を介して連結される前下ロック部J2のラッチ661(前上ロック部J1と同じ)内の不図示の戻り止め爪と、分岐操作部材805の他方の搖動端に符号(3)の張力を伝える同軸ケーブル801を介して連結される後ロック部J3の不図示の戻り止め爪とを備える。
ラッチ解除駆動手段80は図2に示すようなコントローラ30(制御手段)からのロック解除指令に応じて分岐操作部材805を支点ピン804回りに回動させて、定常位置から解除位置(図7(a)に示す符号gの操作)に搖動操作し、これに連動して前上、下ロック部J1,J2及び後ロック部J3の不図示の戻り止め爪を同時に解除し、リアドア4を閉鎖位置D1から開放し、突出し位置D2側に向けての搖動を許容する。
図1、4,5に示すように、リアドア4のドア開閉装置の要部を成すスイングスライドユニットUは車体の後乗降口3に沿って配備されたリアピラー60における上下方向での中間部近傍に形成された取り付け凹部Tに取り付けられる。
図6、12に示すように、スイングスライドユニットUの基部であるベース部材15は車体側壁の固定部材を成しており、平行リンク16の基端部と、ドア荷重支持アーム18の基端部と、同ドア荷重支持アーム18(図4参照)に支持されたワイヤーハーネス20の車体側配線部20bと、開閉駆動機構19のケーブルエンドpoe、pce等が取り付けられる。
図6、12に示すように、ベース部材15は剛性を保持した形状を有し、前後一対の平行リンク16を枢支する下部取り付け部151とそれより上方に延びドア荷重支持アーム18を枢支する上部縦柱部152とを備える。下部取り付け部151は前後一対の平行リンク16を枢支する横向きフランジ部15aとその横向きフランジ部15aを補強するよう溶着され下方に斜めに延びる下方傾斜部15bと、下方傾斜部15bより屈曲して延出し、取り付け凹部Tにボルト止めされる締結フランジ15cとを備える。
上部縦柱部152はドア荷重支持アーム18における第1支持アーム44の第1枢支端(基端)が縦ピン43を介して枢支される基端ボス部41を備える。
基端ボス部41の一側にはコ字型締結ブラケット53が重ねられ、相互にボルト止めされる。
図4、5,10に示すように、平行リンク16は搖動するリアドア4の移動軌跡や各位置を位置決めする機能を備える。平行リンク16の前アーム31及び後アーム32の前、後連結ピン246、245はスライダー24の前後端近傍とそれぞれピン結合される。前アーム31及び後アーム32は相互に前後及び上下に所定間隔を保持し、これによって両アーム相互の干渉を防止するようにしている。
図4に示すように、リアドア4のアウターパネル401とドア内空間を介して配備されるインナーパネル402とは互いの前後及び下部の外周縁部が相互に一体接合処理され、両パネルの上方周縁部間には開口が形成され、ここに不図示のドアガラスの支持部材のサッシュ55が装着される。
リアドア4内の空間にはドアガラスの他に、ドア支持レール22や、ドア支持レール22に嵌着されるスライダー24や、開閉駆動機構19のドア側部材や、リアドア4内に設けた電装機器である制御手段としてのコントローラ30(図1参照)が配備される。
図1、5、12に示すように、リアドア4側には開閉駆動機構19の駆動源Mを成すモータ101及び巻き取りドラム46と複数の中間ローラPo2,Pc2が配備される。リアドア4内電装機器はドア荷重支持アーム18に支持されたワイヤーハーネス20を経て車体側のメインコントローラ300に連結される。
図4,12に示すように、平行リンク16の上方に取り付けられるドア荷重支持アーム18は、車体側に枢支されたベース部材15の上部の上部縦柱部152に形成された基端ボス部41に第1縦ピン43を介して第1支持アーム44の第1枢支端(基端)441が枢支される。第1支持アーム44の回動端には第2縦ピン62を介して第2支持アーム61の第2枢支端(基端部)611が枢支され、その他端である第2支持アームの揺動端612がリアドア4の重心位置近傍のドア側枢支部37を第3縦ピン36を介して枢支している。このようなドア荷重支持アーム18によって、リアドア4の重心部の荷重を常にベース部材15に伝達できる。
ところで、図6、12に示すように、平行リンク16の揺動端に枢着されたスライダー24はドア支持レール22に嵌着される。ドア支持レール22はリアドア4のインナーパネル402に取り付けブラケット35を介して固着される。ドア支持レール22はその内部に下向き主、従レール溝33u1,33u2と下部の主下向きレール溝33l1、従上向きレール溝33l2とを前後方向Xに長く形成した形成され、このドア支持レール22の内部に前後ローラ23f、23r、複数のローラrを介してスライダー24が嵌挿される。
スライダー24は後アーム32の揺動端を揺動可能にピン結合する後連結ピン245と、下基板241bの前よりの下向き壁より下方に延び前アーム31の揺動端を揺動可能にピン結合する前連結ピン246とを備える。これによって、スライダー24が並行リンクにより搖動すると共にスライダー24の前後ローラ23f、23rに対してドア支持レール22が前後方向Xに容易に摺動できる。
なお、前ローラ23fが下部の主下向きレール溝33l1のストッパ壁部rs0に当接することで、相対的なドア支持レール22(リアドア4)の更なる前摺動を阻止し、ドア支持レール22(リアドア4)の突出し位置D2を規制している。
次に、リアドア4には開閉駆動機構19が配備される。
図5、12に示すように、開閉駆動機構19はリアドア4を駆動源を成すモータ101、巻き取りドラム46の回転力で閉鎖載置D1より突出し位置D2を介して全開位置D3へと移動する機能を備える。
即ち、開閉駆動機構19はリアドア4内部に配設されたモータ101と、モータ101に巻取り、巻戻し可能に駆動される巻き取りドラム46と、巻き取りドラム46に引き出し自在に巻き取られる開ケーブル49及び閉ケーブル51と、開ケーブル49を巻きがけるドア支持レール22前端の端部プーリpo1と、閉ケーブル51を巻きがけるドア支持レール22後端の端部プーリpc1と、スライダー24の前側の第1プーリpo2と、前アーム31上の第2プーリpo3(前中間プーリ)と、横向きフランジ部15aに支持され開ケーブル49のアンカー部を連結したケーブルエンドpoeと、スライダー24の後側の第1プーリpc2と、後アーム32上の第2プーリpc3(後中間プーリ)と、コ字型締結ブラケット53の下フランジ53dに支持され閉ケーブル51のアンカー部を連結したケーブルエンドpceと、を備える。
次に、リアドア4の作動を説明する。
コントローラ30がドア開指令を受ける前において、リアドア4が閉鎖位置D1(図1、図5(a))参照)に保持されている。
その際、リアドア(スイングスライドドア)4側の前上ロック部J1と前下ロック部J2と後端ロック部J3の各ラッチ661、671がロック状態を保持したまま非通電状態に保持されている。即ち、リアドア4はセンターピラー5に前上ロック部J1(前下ロック部J3も同様)のラッチ661とストライカ662を用いてロックされる。更に、スイングスライドドア用の後ロック部J3のラッチ671はストライカ672に噛合っている。この場合、図5(a)に示すように、後アーム32と前アーム31の搖動端は車内側に引き込まれ、両アームの搖動端のスライダー24と共にドア支持レール22がリアドア4を閉鎖位置(図1参照)D1を保持する状態に保つ。
次に、コントローラ30がドア開指令を受け、コントローラ30からロック解除指令が発せられると、分岐操作部材805が定常位置から解除位置に搖動し、これに連動して前上、下ロック部J1,J2及び後ロック部J3を同時に解除作動させ、リアドア4を閉鎖位置D1から開放し、突出し位置D2側に向けての搖動を許容する。これにより、前上ロック部J1と前下ロック部J2と後ロック部J3の各ラッチ661、671が解除し、各ストライカ662,672と離脱する。
次いで、駆動源Mのモータ101が駆動され往復揺動変位する板状主部704が、図5(a)に2点差線で示すように、開作動ケーブル49のアンカー部を連結したケーブルエンドpoeと、ドア支持レール22上の固定プーリpo1との間に張設されたケーブルを巻き取りドラム46の不図示の開き巻き取り部が巻き取る。これによって、前アーム31とこれに連動する後アーム32とを閉鎖位置D1より図5(b)に示す揺動位置D2に揺動変位させる。
次に、開閉駆動機構19の働きで、リアドア4が搖動位置D2を通過して、搖動が止まっている並行リンク16の揺動端のスライダー24に対して相対的にドア支持レール22側が図5(c)に示す全開位置D3にまで摺動操作される。
次に、後乗降口3を乗員が通過し、乗降が終わり、コントローラ30がドア閉鎖指令を受けるとする。この際、駆動源のモータ101が正転駆動され、図5(c)の状態より図5(b)の揺動位置に戻り、図5(a)の閉鎖位置D1に向けリアドア4が移動する。
この閉鎖位置D1直前で前上ロック部J1(前下ロック部J2も同様)のラッチ661がハーフラッチ位置であるとの信号を受けたコントローラ30は、モータ101を正転させて、板状主部704を一方向(図10(a)より(b)に向かう変位)に搖動し、これに連動して図4に示すように、リアドア4の前上ロック部J1(前下ロック部J2も同様)のラッチ661がセンターピラー5に支持されるストライカ662に噛合い、ロックされる。
次いでコントローラ30は後ロック部J3のラッチ671がハーフラッチ位置であるとの信号を受けると、モータ101を逆転回転させて、板状主部704を他方向に搖動する。これに連動して後ロック部J3のラッチ671は、図11に示すように、ストライカ672(図5(a)参照)と噛合う噛合い方向crに回動する。
この際、図3(b)に示すように、後ロック部J3のラッチ671は平行リンク16のスイング時の円弧に沿ってr1の軌跡を通り、アンラッチ位置aを経てハーフラッチ位置bに達し、更に、フォーク部qが動き始める。ここでリアドア4の前上ロック部J1と前下ロック部J2がフルラッチ状態に切換えられ、これに応じて前方引き込み移動をして、r3の軌跡を通る。次いで、後ロック部J3は枢支線Lr回りに車内側に回動変位するr4の軌跡を通過し、ラッチ671のフォーク部qがストライカ672に噛合うべくフルラッチ位置dを越えて、オーバーラン位置eまで進んだ後戻るr5の軌跡を経てフルラッチ位置dに停止し、後ロック部J3がフルラッチに保持される。
このフルラッチへの噛合いにおいて、上述のように、相対摩擦の総量S(=s1+s2+s3)が比較的少なく、スムーズに後ロック部J3のラッチ671は噛合い作動できる。
このように、1つのモータ701の正転、逆転を使って、順番に2個の連動する前上ロック部J1(前下ロック部J2も同様の構成)と、他方の後ロック部J3を順次ロック作動させるようにしたので、モータ701、ハーネス類を低減してコストダウンを図れ、装置の重量低減を図れる。しかも、リアドア4内のレイアウトの自由度が向上し、1つのモータを用いるので、作動音の低減をも図れる。
ここでは前上ロック部J1と前下ロック部J2を連動でき、ドア開口部の一方側の開口縁部にロック部が上下2つJ1、J2、後方側の開口縁部にロック部J3が1つ、合計3つのロック部を用いてドアをドア開口部に確実にロックできる。しかもモータの増設は必要ない。
更に、板状主部(搖動操作部材)704の往方向である一方向の揺動変位によりその揺動変位を一方側の同軸ケーブル(揺動変位伝達部材)を介し前側ロック部J1、J2、のラッチに伝えてロック作動させ、次いで、復方向である後方向への揺動変位によりその揺動変位を後方側の押圧リンク706(揺動変位伝達部材)を介し後方側ロック部J3のラッチに伝えてロック作動させるので、1つのモータ701の正転、逆転を順次一方側ロック部と他方側ロック部に伝えることが出来、確実に2個のラッチを順次ロック作動できる。
上述のところにおいて、リヤドア4に本発明を適用するとして説明したが、本発明は2ドア車両の左右ドア等にも同様に適用でき、同様の作用効果が得られる。
本発明の一実施形態としてのドアのロック装置が採用された車両の概略側面図である。 図1のドアのロック装置が適用されたリアドアのドアロック構成を概略説明する図である。 図1のドアのロック装置で用いる後ロック部を示し、(a)はリアドアの後ロック部の要部断面図、(b)は後ロック部の要部拡大断面図である。 図1のドアのロック装置で用いる前上ロック部の要部断面図である。 図1のドアのロック装置で用いるリアドアの開閉作動説明図である。 図1のドアのロック装置で用いるリアドアに用いられるスイングスライドユニットの部分切欠平面図である。 図1のドアロック装置の作動説明図で、(a)はリアドアのロック解除作動を、(b)はロック作動を説明する図である。 図1のドアロック装置内の後ロック部の作動説明図で、(a)は定常時を、(b)は後ロック部のロック作動を説明する図である。 図1のドアロック装置内の後ロック部の作動説明図で、(a)は前ロック部のロック作動を、(b)は(a)の裏面図である。 図1のドアロック装置内の後ロック部の作動説明図で、(a)は後ロック部の定常時を(b)は後ロック部のロック作動を説明する図である。 図1のドアロック装置内の後ロック部のロック作動説明図である。 図1のドアロック装置が採用されたリアドアに用いられるスイングスライドユニットの揺動位置を示す作動説明図である。 従来のスイングスライドドアのスイングスライドユニットの要部切欠平面図である。
符号の説明
3 後乗降口
4 リアドア
16 平行リンク
30 コントローラ(制御機器)
60b リアピラー
661、671 ラッチ
662、672 ストライカ
70 ラッチ噛合い駆動手段
701 モータ
702 搖動操作部材
704 板状主部(搖動操作部材)
705 同軸ケーブル(揺動変位伝達部材)
706 押圧リンク(揺動変位伝達部材)
80 ラッチ解除駆動手段
kf 第1取り付け面
pf 前方対向壁
J1 前上ロック部
J2 前下ロック部(一方側ロック部)
J3 後ロック部(他方側ロック部)
B 自動車(車体)
D1 閉鎖位置
D3 全開位置

Claims (4)

  1. 車体に形成されたドア開口部を開閉するドアと、
    前記ドアに支持されたラッチを前記開口縁部に固定のストライカに噛合わせることで前記ドアを閉鎖位置に保持する複数のロック部と、
    前記ロック部の各ラッチを対向する前記ストライカに対してハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換えるラッチ駆動手段と、を具備するドアのロック装置において、
    前記ラッチ駆動手段のモータで駆動される搖動操作部材を一方向に揺動変位させることで連動する前記ロック部の少なくとも1つの一方側ロック部のラッチをハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換え、前記搖動操作部材を逆方向に揺動変位させることで連動する残る前記ロック部の他方側ロック部のラッチをハーフラッチ状態よりフルラッチ状態に切換えることを特徴とするドアのロック装置。
  2. 請求項1記載のドアのロック装置において、
    前記一方側ロック部は前記ドア開口部の一方側の開口縁部に上下2つ互いに連動するように設けられ、前記他方側ロック部は前記ドア開口部の他方側の開口縁部に1つ設けられたことを特徴とするドアのロック装置。
  3. 請求項1又は2記載のドアのロック装置において、
    前記ラッチ駆動手段は前記モータで前記搖動操作部材を一方向に揺動変位させるのに応じて一方の揺動変位伝達部材を介して一方側ロック部のラッチをロック作動させ、前記搖動操作部材を他方向に揺動変位させるのに応じて他方の揺動変位伝達部材を介して他方側ロック部のラッチをロック作動させることを特徴とするドアのロック装置。
  4. 請求項3記載のドアのロック装置において、
    前記搖動操作部材はモータで回転中心軸回りに一方向及び他方向に往復揺動変位する板状主部を有し、前記一方の揺動変位伝達部材である同軸ケーブルがその一端を板状主部に接続すると共に他端を前記一方側ロック部のラッチに閉鎖方向の張力として伝達するよう形成され、前記他方の揺動変位伝達部材である押圧リンクがその一端を板状主部にピン結合しその揺動端を前記他方側ロック部のラッチに接離可能に当接させて閉鎖方向の押圧力として伝達するよう形成されることを特徴とするドアのロック装置。
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