JP2009191425A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィラメント数が多い炭素繊維であっても、安定したトウ幅で、撚りが少なく、後加工での取り扱い良好な炭素繊維の製造方法を目的とする。
【解決手段】フィラメント数48000以上のPAN系前駆体繊維束を焼成して得られる炭素化繊維束を、溝ロールで揃え、炭素繊維のトウ幅/トウ厚み比で表される平均扁平率を65以下とした後にサイジング処理を行う、サイジング処理工程を有することよりなり、前記サイジング処理工程は、前記溝ロールの溝底部の曲率半径が1.5〜2.0mmであり、かつ、該溝ロールの溝部の開度が5〜30°である溝ロールを用いることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、航空宇宙素材、スポーツ、レジャー用素材、圧縮ガス容器などの工業用素材として極めて有用であり幅広い範囲で需要が伸びていくことが期待されている。炭素繊維、ガラス繊維などを補強繊維とする複合材料の分野においてはプリプレグや織物、引抜成型等、用途多様化に伴い、多様な分野で取り扱い性、加工性の容易さが求められている。また、一般産業用途ではフィラメント数が24000よりも多い、いわゆるラージトウタイプの炭素繊維が上市されている。ラージトウ炭素繊維は、生産性が良く、低価格に設定されているものの、性能、品質の面から、産業用途分野での使用は、限定されるものであった。
ラージトウタイプの炭素繊維においても、高品質と低価格が両立する炭素繊維が、多くの市場で望まれている。つまり、ラージトウタイプの炭素繊維においても、フィラメント数が24000よりも少ない、いわゆるスモールトウと同様に、後加工での均一な拡がり性が要求されている。
例えばプリプレグ用途においては、品位を損なわないように薄く開繊する必要があり、かつ長手方向のトウ幅の安定性が求められている。このため、これらの原材料となる補強繊維糸条においても従来のいわゆるロープ状に替わって、加工前から扁平状である扁平糸条が用いられるようになった。
従来、実質的に撚りのない繊維束に集束されたポリアクリロニトリル系前駆体繊維束(以下、PAN系前駆体繊維束という)を炭素繊維化処理するには、次のような方法が挙げられる。最初に数十〜数百錘のPAN系前駆体繊維束をシート状に引き揃え、200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化処理する。前記耐炎化処理により得られた耐炎化繊維束を、耐炎化炉の出側に配置した駆動ローラーで耐炎化繊維束を牽引し、さらに引き揃えた後、引き続いて300℃以上の不活性雰囲気中の焼成(炭素化処理)工程に導いて炭素繊維を得る。その後、電解液中で電解酸化処理を施したり、気相または液相での酸化処理を施したりすることによって、複合材料における炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性や接着性を向上させ、さらに、サイジング剤を付与する工程が一般的である。
前記焼成工程においては、隣接して走行する繊維束同士が混繊、または毛羽立ちの発生を防止する考えから、隣接して走行する繊維束同士が接触することがないように、溝ロールなどを設置し、分繊を行うことで一定の隙間を維持して生産することが行われている。すなわち、焼成工程の設備としては、溝ロール上を走行する際のトウ幅に加え、隣接して走行する繊維束との隙間を維持するための機幅が必要となる。
例えば、特許文献1では、炭素繊維の生産性を上げる、またはコストダウンを図ることを目的に、ラージトウタイプの炭素繊維を製造する際に、PAN系前駆体繊維束を耐炎化出、前炭素化出のローラー上での幅1mm当たり平均繊度を特定の範囲となるように隙間なく引き揃え、炭化処理する炭素繊維の製造方法が提案されている。
特開2003−55843号公報
しかしながら、従来の技術では、ラージトウタイプの炭素繊維のトウ幅が安定しないという問題があった。また、後加工での強度発現性が良好で、取り扱い良好な炭素繊維が得られないという問題があった。
本発明は、フィラメント数が多い炭素繊維であっても、安定したトウ幅で、撚りが少なく、後加工での取り扱いが良好な炭素繊維の製造方法を目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、フィラメント数の多い太物炭素繊維を製造するに際し、スモールトウ並みの毛羽の少ない品位良好な製品を製造するためには、炭素化工程までは、ある程度トウ幅が広い状態で製造する必要性があることを見出した。また、織物、引抜成型等の後加工の強度発現率を向上させるために、炭素化工程以降で、トウ幅/トウ厚み比で表される平均扁平率を制御して、炭素繊維を製造する必要性を見出した。本発明は、以上の知見を基になされたものである。なお、ここでいう平均扁平率とは、トウ長手方向25cm毎にトウ幅(mm)、および、トウ厚み(mm)をそれぞれ100点測定しこれらの平均値から算出した値である。
即ち本発明の炭素繊維の製造方法は、フィラメント数48000以上のPAN系前駆体繊維束を焼成して得られる炭素化繊維束を、溝ロールで揃え、炭素繊維のトウ幅/トウ厚み比で表される平均扁平率を65以下とした後にサイジング処理を行う、サイジング処理工程を有することを特徴とする。
前記サイジング処理工程は、前記溝ロールの溝底部の曲率半径が1.5〜2.0mmであり、かつ、該溝ロールの溝部の開度が5〜30°である溝ロールを用いることが好ましい。
本発明の炭素繊維の製造方法によれば、フィラメント数が多い炭素繊維であっても、安定したトウ幅で、撚りが少なく、後加工での取り扱いが良好な炭素繊維を得ることができる。
本発明の実施形態の一例について、図1を用いて説明する。なお、本明細書において、炭素化繊維束とは、PAN系前駆体繊維束を焼成して得られた繊維束を意味するものとする。炭素繊維とは、前記炭素化繊維束をサイジング処理し、得られる繊維を意味するものとする。
図1は、本発明の実施形態にかかる、炭素繊維製造装置10の概略図である。
図1に示すとおり、本実施形態の炭素繊維製造装置10は、溝ロール20と、サイジング剤付与装置30と、サイジング剤乾燥装置40とを有している。溝ロール20の一次側には、フラットロール12、14、16が順に配置されている。溝ロール20は、サイジング剤付与装置30の一次側に配置されている。サイジング剤付与装置30には、フラットロール32、34、ニップロール36が、一次側から順に配置されている。サイジング剤付与装置30の二次側には、サイジング剤乾燥装置40が配置されている。サイジング剤乾燥装置40の一次側には、フラットロール42が配置され、二次側にはフラットロール44、50、52、巻き取り装置54が、順に配置されている。
溝ロール20について、図2を用いて説明する。図2は、溝ロール20の周面を部分拡大した断面図であって、溝ロール20の溝形状を示すものである。溝ロール20は、略円筒状であって、その周面には、溝ロールの回転方向、即ち、炭素化繊維束Aの進行方向に沿って延びる複数の溝が設けられている。図2に示すとおり、溝ロール20の周面には、複数の凸部24が離間して設けられ、溝部22が形成されている。溝部22の溝底部26の形状は、曲率半径Rの曲面状である。凸部24は、溝部22に面する壁面27、28と、曲面状の頭頂面25を有する。
溝ロール20の溝部22の形状は特に限定されないが、溝底部26の曲率半径Rは、1.5〜2.0mmであることが好ましい。1.5mm以上であると、得られる炭素繊維の厚み斑が生じることがなく、2.0mm以下であれば、トウ幅の制御が困難となることもない。
また、溝部22を挟んで位置する凸部24の、壁面27と壁面28とで形成される角度α、即ち、溝部22の開度αが、5〜30°であることが好ましい。5°以上であると、得られる炭素繊維のトウ幅が狭くなりすぎて、後加工性が不良となることがない。一方、30°以下であれば、溝ロール20によるトウ幅の制御が困難となることがない。
溝ロールの材質は、走行させる炭素繊維の張力に対して充分な強度が保証されるものであればよく、炭素鋼、ステンレス鋼、セラミックス、アルミニウムなどが好ましく用いられる。
サイジング剤付与装置30は特に限定されず、既存の装置を用いることができる。
また、サイジング剤乾燥装置40は特に限定されず、既存の装置を用いることができる。
本発明の炭素繊維の製造方法は、炭素化繊維束を溝ロールで揃えて、サイジング処理を行う製造方法である。
シート状に引き揃えられた炭素化繊維束Aは、フラットロール12に巻き取られるようにしながら移送され、次いでフラットロール14で進行方向を変えて、フラットロール16へ移送される。炭素化繊維束Aはフラットロール16に巻き取られるようにしながら、サイジング剤付与装置30に移送される。サイジング剤付与装置30に移送された炭素化繊維束Aは、フラットロール32に巻き取られるようにしながら、任意の張力が与えられて、溝ロール20の周面に押し付けられる。
溝ロール20の周面に押し付けられた炭素化繊維束Aは、トウ毎に溝部22(図2)に押し込まれ、任意のトウ幅に規制されながら移送される。こうして、溝ロール20上で、任意のトウ幅に揃えられた炭素化繊維束Aは、フラットロール32、34によって、任意の張力が維持されながら、サイジング剤付与装置30内を移送され、サイジング処理液が付与される(サイジング処理)。次いで、ニップロール36に挟持されながら移送されることで、炭素化繊維束Aに付着している余剰のサイジング処理液が除去される。そして、フラットロール42を経由して、サイジング剤乾燥装置40内を移送して、乾燥し(乾燥処理)、炭素繊維Bを得ることができる。次いで、炭素繊維Bは、フラットロール44を経由し、フラットロール50に巻き取られるようにしながら、進行方向を変えてフラットロール52に至り、その後、巻き取り装置54により巻き取られて、炭素繊維ロールCとなる(巻き取り処理)。
本発明の炭素化繊維束とは、PAN系前駆体繊維束を焼成して得られる炭素化繊維束および黒鉛化繊維を含むものである。
PAN系前駆体繊維束のフィラメント数は48000本以上であり、100000本以下であることが好ましい。このようなフィラメント数の多いPAN系前駆体繊維束において、顕著な効果が現れるためである。
PAN系前駆体繊維束を得るための紡糸方法としては、湿式、乾式あるいは乾湿式等の紡糸方法を採用することができるが、高強度の繊維が得られやすい湿式あるいは乾湿式紡糸が好ましく、特に湿式紡糸が好ましい。紡糸原液には、ポリアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合体の溶液あるいは懸濁液等を用いることができる。
前記紡糸原液を口金に通して紡糸し、凝固、水洗および延伸して、PAN系前駆体繊維束を得ることができる。
焼成方法としては、PAN系前駆体繊維束をシート状に引き揃えて、耐炎化炉で耐炎化処理し、次いで、炭素化炉で前炭素化処理、および炭素化処理する方法を用いることができる。
耐炎化処理、前炭素化処理、炭素化処理に際し、PAN系前駆体繊維束をシート状に引き揃える方法としては、例えばフラットロールとニップロールとを組み合わせて、PAN系前駆体繊維束に一定の張力を掛けながらフラットロール上に引き揃える方法が挙げられる。また、フラットロールに替えて、溝ロールを用いても良い。
また、シート状に引き揃えた際のPAN系前駆体繊維束の状態は特に限定されないが、トウ幅が8〜20mmであることが好ましい。8mm以上であると、毛羽が多くなることがなく、20mm以下であると生産性が良好である。
耐炎化処理では、PAN系前駆体繊維束を200〜300℃の酸化性雰囲気中で加熱して、耐炎化繊維束を得る。酸化性雰囲気としては、空気、酸素、二酸化窒素など、公知の酸化性雰囲気を採用できるが、経済性の面から空気が好ましい。
耐炎化処理の時間は、炭素繊維の生産性及び性能を高める観点から30〜120分が好ましい。耐炎化処理に要する時間が30分以上であると、耐炎化反応が充分に行われ、後に行われる炭素化工程で毛羽、束切れを生じることがない。一方、耐炎化処理に要する時間が120分以下であると、耐炎化装置の大型化を招くことや、耐炎化処理速度が下がり生産性が低下することがない。
前炭素化処理では、前記耐炎化繊維束を第1の炭素化炉に投入して前炭素化処理し、前炭素化繊維束を得る。第1の炭素化炉内には、温度が300℃以上1000℃未満の不活性雰囲気が循環しており、耐炎化処理されたPAN系前駆体繊維束は、該不活性雰囲気中を走行する間に前炭素化処理される。なお、第1の炭素化炉内を循環する不活性雰囲気の流れは、走行する被処理繊維に対して平行方向でも、垂直方向でもよく、特に限定されない。
不活性雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなど公知の不活性雰囲気を採用できるが、経済性の面から窒素が望ましい。
炭素化処理では、前記前炭素化繊維束をフラットロール上で引き揃えて、第2の炭素化炉に投入して炭素化処理し、炭素化繊維束を得る。第2の炭素化炉内には、最高温度が1000℃以上3000℃以下の不活性雰囲気が循環しており、前炭素化繊維束は、該不活性雰囲気中を走行する間に炭素化処理される。なお、第2の炭素化炉内を循環する不活性雰囲気の流れは、走行する被処理繊維に対して平行方向でも、垂直方向でもよく、特に限定されない。
不活性雰囲気としては、先に例示した公知の不活性雰囲気の中から選択して用いることができるが、経済性の面から窒素が望ましい。
サイジング処理工程とは、前記サイジング処理と前記乾燥処理とからなる。
前記炭素化繊維束をサイジング処理する当たり、溝ロール20で任意のトウ幅に引き揃える。
また、溝ロール20では、炭素繊維の平均扁平率が65以下となるように、炭素化繊維束の形状を規制する。即ち、溝底部26の曲率半径Rと溝部22の開度α、および炭素化繊維束に与える張力を設定することが好ましい。炭素繊維の平均扁平率が65以下であると、トウ幅が適切となって、撚りが発生し難いので、後加工性が不適となることがない。平均扁平率は、65以下であれば良く、炭素化繊維束のトウ幅を前述の好ましい範囲とする場合、フィラメント数に応じて自ずと定まる。
サイジング処理は特に限定されず、炭素化繊維束に所望のサイジング剤を付与することができれば良い。例えば、ローラーサイジング法、ローラー浸漬法およびスプレー法等を挙げることができる。
サイジング処理に用いるサイジング処理液は特に限定されず、種々の高次加工に適した特性を有するものを選択することができる。例えば、均一に糸条に含浸するためには、サイジング剤を含む溶液、エマルジョンまたはサスペンジョン状態としたサイジング処理液とできるもので、それを炭素化繊維束に付着させて、乾燥装置内で溶媒または分散媒を乾燥除去できるものであれば良い。
サイジング処理液中のサイジング剤の主成分としては特に限定されず、エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂などが挙げられ、これらを二種以上の組み合わせて用いても良い。
サイジング処理液中のサイジング剤の割合は特に限定されず、0.2〜20.0質量%が好ましく、より好ましくは3.0〜10.0質量%である。0.2質量%以上であると、炭素繊維に所望する機能を充分に付与できる。また、20.0質量%以下であると、サイジング剤の付着量が適切であり、後工程で複合材料として利用する際のマトリックス樹脂の含浸性が良好である。
サイジング処理液に用いる溶媒または分散媒は特に限定されないが、取り扱い性および安全性の面から、水を用いることが好ましい。
サイジング処理液の溶媒または分散媒を乾燥除去する際の条件は、120〜300℃の温度で、10秒〜10分間の範囲が好適であり、より好適には150〜250℃の温度で、30秒〜4分間の範囲である。120℃以上であると、溶媒の除去が充分となり、300℃以下であれば、サイジング処理炭素繊維束の品質が劣化するおそれがない。
乾燥処理の方法は特に限定されず、例えば、蒸気を熱源とするホットロールに接触させて乾燥させる方法や、熱風が循環している装置内で乾燥させる方法を挙げることができる。
炭素繊維Bにおける、サイジング剤の付着量は0.3〜5.0質量%が好ましく、0.4〜3.0質量%がより好ましい。0.3質量%以上であると所望する機能が発揮でき、5.0質量%以下であれば、後工程で複合材料として利用する際のマトリックス樹脂の含浸が良好である。
前記炭素化繊維束は、サイジング処理の前に、表面処理が行われても良い。例えば、電解液中で電解酸化処理を施したり、気相または液相での酸化処理を施すことによって、複合材料における炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性や接着性を向上させることが好ましい。なお、酸化処理をする際は均一に処理できるよう、できるだけトウ幅の広い状態で処理することが好ましい。
巻き取り処理の方法は特に限定されず、既存の方法により、例えば、ボビン等に炭素繊維を巻き取ることができる。
本発明の炭素繊維の製造方法によれば、フィラメント数が多い炭素繊維であっても、巻き取り処理の段階で、撚りを有していない炭素繊維を得ることができる。ここで、「撚りを有していない」とは、炭素繊維1m当たりの撚りが、0.4ターン以下であることを意味する。
本発明の炭素繊維の製造方法によれば、トウ幅の変動率が10%以内である、トウ幅の安定した炭素繊維を得ることができる。
ここで、変動率とは、25cm毎のトウ幅を100点測定し、下記(1)式により求まる値である。
トウ幅の変動率(%)=(トウ幅の標準偏差/トウ幅の平均値)×100・・・(1)
本発明の製造方法で得られた炭素繊維は、プリプレグやフィラメントワインディング、織物、引抜成型等の後工程で、好適に使用することができる。特に高品質、高品位であることが要求される風車用途、自動車用途や、建築資材等の一般産業用途に好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
<巻き取り時点でのトウ幅および変動率>
張力をかけずに、炭素繊維ボビンパッケージから連続的に炭素繊維を引き出し、25cm毎のトウ幅を100点測定し、その平均値をトウ幅とした。また、トウ幅の変動率を下記(2)式から算出した。
トウ幅の変動率(%)=(トウ幅の標準偏差/トウ幅の平均値)×100・・・(2)
<平均扁平率>
張力をかけずに、炭素繊維ボビンパッケージから連続的に炭素繊維を引き出し、25cm毎のトウ厚みを100点測定し、その平均値をトウ厚みとした。そして、下記(3)式により、平均扁平率を算出した。なお、厚み測定装置ダイヤルシックネスゲージを使用し測定した。なお、このときの測定子の大きさは、直径10mmで測定圧力は一定とした。
平均扁平率=トウ幅÷トウ厚み ・・・(3)
(実施例1)
単繊維繊度1.0dtex、フィラメント数60000のポリアクリロニトリル系前駆体繊維を、200〜260℃で耐炎化処理して耐炎化繊維束を得た。得られた耐炎化繊維束を700℃の窒素雰囲気中、前炭素化し(前炭素化工程)、続いて1350℃の窒素雰囲気中、炭素化処理した(炭素化工程)。その後、電解酸化処理工程を経た後、図2に示す溝ロール20と同様の溝ロールで、溝底部の曲率半径R=2.0mm、溝部開度α=8°の溝ロールを通過させた後にサイジング処理を行った。そして、サイジング乾燥処理を経て、ボビンに巻き取った炭素繊維Aを得た。炭素繊維Aについて、平均扁平率、トウ幅の変動率の算出、ならびに目視による評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例2)
溝ロールの開度α=21°とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維Bを得た。炭素繊維Bについて、平均扁平率、トウ幅の変動率の算出、ならびに目視による評価(後工程加工性)を行い、その結果を表1に示す。
(実施例3)
溝ロールの溝底部の曲率半径R=1.0mm、開度α=30°とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維Cを得た。炭素繊維Cについて、平均扁平率、トウ幅の変動率の算出、ならびに目視による評価(後工程加工性)を行い、その結果を表1に示す。
(比較例1)
前炭素化工程の前で平均扁平率を30.0とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維Dを得た。得られた炭素繊維Dについて、平均扁平率、トウ幅の変動率の算出、ならびに目視による評価(後工程加工性)を行い、その結果を表1に示す。
(比較例2)
サイジング処理工程の前の溝ロールを使用しない以外は実施例1と同様にして炭素繊維Eを得た。得られた炭素繊維Eについて、平均扁平率、トウ幅の変動率の算出、ならびに目視による評価(後工程加工性)を行い、その結果を表1に示す。
Figure 2009191425
表1に示すとおり、サイジング処理の直前に、溝ロールによる規制をした実施例1〜3では、得られた炭素繊維の平均扁平率は65以下であり、変動率は10%以下であった。そして、炭素繊維に撚りも、毛羽の発生も認められず、後工程での加工性は良好であった。
サイジング処理の直前では、溝ロールによる規制をしなかった比較例1では、得られた炭素繊維は毛羽が著しく多く、後工程での加工適正が不良であった。
PAN系前駆体繊維束の耐炎化処理から、炭素化繊維束のサイジング処理に至るまで、溝ロールにより規制をしなかった比較例2では、平均扁平率は65を超えていた。比較例2で得られた炭素繊維は、ボビンに巻き取られた状態では、撚りが少なかったが、後工程で加工中に撚りが発生し、加工適正が不良であった。
本発明の炭素繊維の製造装置の一例の概略図である。 本発明にかかる溝ロールの周面を部分拡大した断面図である。
符号の説明
10 炭素繊維製造装置
20 溝ロール
22 溝部
26 溝底部
30 サイジング剤付与装置
40 サイジング剤乾燥装置
R 溝底部の曲率半径
α 溝部の開度

Claims (2)

  1. フィラメント数48000以上のポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を焼成して得られる炭素化繊維束を、溝ロールで揃え、炭素繊維のトウ幅/トウ厚み比で表される平均扁平率を65以下とした後にサイジング処理を行う、サイジング処理工程を有する炭素繊維の製造方法。
  2. 前記サイジング処理工程は、前記溝ロールの溝底部の曲率半径が1.5〜2.0mmであり、かつ、該溝ロールの溝部の開度が5〜30°である溝ロールを用いることを特徴とする、請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
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