JP2009191336A - Wc基微粒超硬合金部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】WC基超硬合金部材の抗折力のバラツキが小さく、強度の安定性を高めたWC基超硬合金部材を提供することである。
【解決手段】WCの平均粒子径d(μm)がd≦0.6、Co含有量が重量%で9〜13%、V含有量が0.4〜1%、Cr含有量が0.1〜1%、であるWC基微粒超硬合金において、該V含有量に100を乗じた値をWvとし、該WCにおける単位体積当たりの表面積の総和をSwc(μm2/cm3)としたとき、0.6≦Wv/Swc≦10.5であることを特徴とするWC基微粒超硬合金部材である。
【選択図】図1
【解決手段】WCの平均粒子径d(μm)がd≦0.6、Co含有量が重量%で9〜13%、V含有量が0.4〜1%、Cr含有量が0.1〜1%、であるWC基微粒超硬合金において、該V含有量に100を乗じた値をWvとし、該WCにおける単位体積当たりの表面積の総和をSwc(μm2/cm3)としたとき、0.6≦Wv/Swc≦10.5であることを特徴とするWC基微粒超硬合金部材である。
【選択図】図1
Description
本願発明は、V、Crを含有し高強度を示すWC基微粒超硬合金部材に関する。
V、Crを含有したWC基微粒超硬合金において、耐折損性や強度の改善に関する技術が、特許文献1から3に開示されている。
本願発明は、WC基微粒超硬合金部材の抗折力のバラツキが小さく、強度の安定性を高めたWC基微粒超硬合金部材を提供することである。
本願発明は、WCの平均粒子径d(μm)がd≦0.6、Co含有量が重量%で9〜13%、V含有量が0.4〜1%、Cr含有量が0.1〜1%、であるWC基微粒超硬合金において、該V含有量に100を乗じた値をWvとし、該WCにおける単位体積当たりの表面積の総和をSwc(μm2/cm3)としたとき、0.6≦Wv/Swc≦10.5であることを特徴とするWC基微粒超硬合金部材である。上記の構成を採用することによって、超硬合金部材のWC粒子の粒成長を効果的に抑制し、抗折力のバラツキが小さく、強度の安定性を高めたWC基微粒超硬合金部材を提供することができる。
また、本願発明のWC基微粒超硬合金部材におけるCo含有量に対するCr含有量が重量比で0.01〜0.2、であること、またd値は、0.4μm以下であることが好ましい。
また、本願発明のWC基微粒超硬合金部材におけるCo含有量に対するCr含有量が重量比で0.01〜0.2、であること、またd値は、0.4μm以下であることが好ましい。
本願発明は、WC基微粒超硬合金部材の抗折力のバラツキが小さく、強度の安定性を高めたWC基微粒超硬合金部材を提供することができた。特に、本願発明のWC基微粒超硬合金をプリント基板穴あけ用小径ドリルに適用すると、使用時の突発的な折損事故のない、工具寿命が大幅に改善されたドリルが得られる。
本願発明のWC基微粒超硬合金は、Wv値とSwc値との比が、0.6≦Wv/Swc≦10.5、を満足するようにWv値を制御することは特に重要であり、WC基微粒超硬合金を切削加工用工具として使用する際に、安定して優れた強度を得るための重要なことである。
Co含有量が9%未満又は13%超であると、所望の強度が得られず、切削工具に用いた場合に適さないため、9〜13%の範囲とする。Crは粒成長抑制効果と耐食性付与の効果を与えるために0.1〜1%含有させる。Co含有量に対するCrの含有量が、重量比で0.01未満では耐食性が劣り実用化するのに難がある。一方、0.2を超えると、Crを含有した析出相、例えばCr炭化物などが合金組織中に析出し、この析出物を起点として強度低下を引き起こすため不都合である。そこでCo含有量に対するCr含有量が重量比で0.01〜0.2の範囲とすることが好ましい。V含有量は全てのWC粒子表面に析出するため、WC粒子の表面積と合金中の組成に依存し、最適な含有量はある一定の範囲にならなければならない。V含有は効果的に粒成長を抑制し、強度の安定性を得ることを目的とする。そこで本願発明は、CrとVを別々のパラメーターを用いて制御し、個々の効果を効果的に作用させる必要がある。本願発明では、抗折力を低下させず効果的に粒成長を抑制するには、V含有量がSwc値に関係することを見出した。本願発明では効果的に粒成長を抑制するために、VはWC粒子の表面の一部及び/又は全面を被覆し被覆相として存在するのに十分な量が必要である。VがWC粒子を被覆せず、粒成長の抑制に寄与しない余剰相として存在しても、被覆相で被覆されたWC粒子と1部接合した状態となり、その余剰相は極めて微量且つ微細に析出していることに留めなければいけない。この条件が、単にCr、Vを含有するだけでなく、高強度でありながら、その強度を安定的に維持できる組織的条件である。本願発明はこのような組織にするように、V、Cr含有量及びd値を規定したことを特徴とする。
所望の抗折力及び耐摩耗性を得るために焼結体でのWCの平均粒径は微粒であることが好ましい。d値が0.6μmを超えた場合には、所望の耐摩耗性を得る事が出来なくなるため、0.6μm以下とする。d値は、小さいほど硬度、強度を高めることができるため、特にプリント基板穴あけ用小径ドリルなどの用途に好ましいd値は、0.4μm以下である。本願発明においてd値には特に下限を設けないが、実質的な製造工程から考えると限度があり、現状では0.05μm程度である。
Co含有量が9%未満又は13%超であると、所望の強度が得られず、切削工具に用いた場合に適さないため、9〜13%の範囲とする。Crは粒成長抑制効果と耐食性付与の効果を与えるために0.1〜1%含有させる。Co含有量に対するCrの含有量が、重量比で0.01未満では耐食性が劣り実用化するのに難がある。一方、0.2を超えると、Crを含有した析出相、例えばCr炭化物などが合金組織中に析出し、この析出物を起点として強度低下を引き起こすため不都合である。そこでCo含有量に対するCr含有量が重量比で0.01〜0.2の範囲とすることが好ましい。V含有量は全てのWC粒子表面に析出するため、WC粒子の表面積と合金中の組成に依存し、最適な含有量はある一定の範囲にならなければならない。V含有は効果的に粒成長を抑制し、強度の安定性を得ることを目的とする。そこで本願発明は、CrとVを別々のパラメーターを用いて制御し、個々の効果を効果的に作用させる必要がある。本願発明では、抗折力を低下させず効果的に粒成長を抑制するには、V含有量がSwc値に関係することを見出した。本願発明では効果的に粒成長を抑制するために、VはWC粒子の表面の一部及び/又は全面を被覆し被覆相として存在するのに十分な量が必要である。VがWC粒子を被覆せず、粒成長の抑制に寄与しない余剰相として存在しても、被覆相で被覆されたWC粒子と1部接合した状態となり、その余剰相は極めて微量且つ微細に析出していることに留めなければいけない。この条件が、単にCr、Vを含有するだけでなく、高強度でありながら、その強度を安定的に維持できる組織的条件である。本願発明はこのような組織にするように、V、Cr含有量及びd値を規定したことを特徴とする。
所望の抗折力及び耐摩耗性を得るために焼結体でのWCの平均粒径は微粒であることが好ましい。d値が0.6μmを超えた場合には、所望の耐摩耗性を得る事が出来なくなるため、0.6μm以下とする。d値は、小さいほど硬度、強度を高めることができるため、特にプリント基板穴あけ用小径ドリルなどの用途に好ましいd値は、0.4μm以下である。本願発明においてd値には特に下限を設けないが、実質的な製造工程から考えると限度があり、現状では0.05μm程度である。
本願発明のWv/Swc値はV含有量、Co含有量、d値に依存する。特にd値は混合条件、焼結条件等の製造条件により変化する値である。本願発明では、焼結条件として特別の配慮が必要である。例えば、焼結工程の冷却過程で1250℃±20℃まで10〜50℃/minの冷却速度で冷却し、1250℃±20℃で5〜15分保持後、室温まで冷却する条件を満たすことである。材料の大きさや組成によって上記の条件よりやや異なることがありうるが、冷却過程において、1250℃±20℃での一定時間の保持は、本願発明の規定するWv/Swc値を達成するために特に重要である。また、Wv/Swc値を低く制御するには、例えば、原料のWC粒径を0.4から0.2μm程度に細かくすること、焼結温度を1400℃から1350℃程度に下げることが有効である。一方、高く制御するには、原料のWC粒径を0.4から0.6μm程度に粗くすること、焼結温度を1400℃から1450℃程度に上げることが有効である。WC粒径以外にもV含有量、Co含有量を変化させることにより制御することが可能である。この様にWv/Swc値を制御することにより抗折力のバラツキが小さく、強度の安定性に優れたWC基微粒超硬合金を実現することができる。
本願発明のd値は、焼結体の断面を鏡面研磨した後、村上試薬で0.5分、王水で3分間エッチングすることによりWC粒子以外の相を除去した。WC粒子の結晶粒界を明確にした後、顕微鏡による観察を行った。FE−EPMA分析装置、例えば日本電子社製、JXA−8500F型を用い、倍率10k〜20k倍で行い、その観察画像をコンピュータに取り込み、画像解析装置にて解析して、一定の面積、例えば、1〜3mm2の範囲に存在するWC粒子のd値を測定した。本願発明は焼結体中のWC粒子径が極微小であるため、単位面積が1μm2という微小範囲であっても、焼結体全体を代表する値としてのd値及びその値からWC粒子の平均外周長さの算出が充分可能である。
上記測定方法で測定したWC粒子を球状であると仮定すると、Swcは次の化1で算出される。ここで、MCoはCo含有比、ρCoはCoの密度で8.89(g/cm3)、ρWCはWCの密度で15.6(g/cm3)の値を用いた。
上記測定方法で測定したWC粒子を球状であると仮定すると、Swcは次の化1で算出される。ここで、MCoはCo含有比、ρCoはCoの密度で8.89(g/cm3)、ρWCはWCの密度で15.6(g/cm3)の値を用いた。
抗折力の試験には、4×8×25mmのJIS試験片を作製し、表面を♯200の砥石で研摩した。スパン20mmの3点曲げ試験を各試料30本で実施し、その平均抗折力を求め、また、最大抗折力値と最小抗折力値の差を求めた。
腐食試験用サンプルは、10×10×5mmを作成し、表面を1μmのダイヤモンドペーストで鏡面に仕上げた。耐食性は50℃に保った10%塩酸中に24時間放置後の重量減量を1m2当たりの重量に換算し、腐食減量としその多少で評価した。腐食減量が小さいほど耐食性が高い。超硬合金の炭素量は炭素量不足で複炭化物相を生じたり、遊離炭素が生じたりしないように調整した。
本願発明のWC基微粒超硬合金部材は、ドリル、小径ドリル、エンドミル、刃先交換式切削工具用インサート、メタルソー、歯切り工具、ガンドリル、リーマ、ブローチ及びタップ等に好適であり、工具の長寿命化が計れる。より好ましくは、直径0.2mm以下のプリント基板穴あけ用小径ドリルに適用するとよい。この理由は、小径ドリルには極微小範囲に応力が集中するためであり、本願発明のWC基微粒超硬合金部材はこの極微小範囲の応力集中に十分に耐えうる部材であるからである。
腐食試験用サンプルは、10×10×5mmを作成し、表面を1μmのダイヤモンドペーストで鏡面に仕上げた。耐食性は50℃に保った10%塩酸中に24時間放置後の重量減量を1m2当たりの重量に換算し、腐食減量としその多少で評価した。腐食減量が小さいほど耐食性が高い。超硬合金の炭素量は炭素量不足で複炭化物相を生じたり、遊離炭素が生じたりしないように調整した。
本願発明のWC基微粒超硬合金部材は、ドリル、小径ドリル、エンドミル、刃先交換式切削工具用インサート、メタルソー、歯切り工具、ガンドリル、リーマ、ブローチ及びタップ等に好適であり、工具の長寿命化が計れる。より好ましくは、直径0.2mm以下のプリント基板穴あけ用小径ドリルに適用するとよい。この理由は、小径ドリルには極微小範囲に応力が集中するためであり、本願発明のWC基微粒超硬合金部材はこの極微小範囲の応力集中に十分に耐えうる部材であるからである。
(実施例1)
本発明例1の製造条件を以下に示す。平均粒径が0.4μmのWC原料粉末、平均粒径が1.2μmのCo原料粉末、平均粒径が0.5〜1.5μmのCr、Vの化合物粉末を用いて、Co含有量を9%として配合した。各原料粉末は成形バインダーを含んだアルコール中アトライターで15時間混合し、スプレードライヤーで造粒した。得られた造粒粉末を3点曲げ試験用に1軸加圧成形して角形圧粉体とし、更に1部を押出し成形して丸棒圧粉体とした。夫々の圧粉体を10Paの真空雰囲気中において、1350℃で30保持後、5MPaの加圧雰囲気に変え5分保持し、1250℃まで50℃/分の冷却速度で1250℃まで冷却し、1250℃で10分保持後、室温まで冷却した。表1に配合組成を示す。
本発明例1の製造条件を以下に示す。平均粒径が0.4μmのWC原料粉末、平均粒径が1.2μmのCo原料粉末、平均粒径が0.5〜1.5μmのCr、Vの化合物粉末を用いて、Co含有量を9%として配合した。各原料粉末は成形バインダーを含んだアルコール中アトライターで15時間混合し、スプレードライヤーで造粒した。得られた造粒粉末を3点曲げ試験用に1軸加圧成形して角形圧粉体とし、更に1部を押出し成形して丸棒圧粉体とした。夫々の圧粉体を10Paの真空雰囲気中において、1350℃で30保持後、5MPaの加圧雰囲気に変え5分保持し、1250℃まで50℃/分の冷却速度で1250℃まで冷却し、1250℃で10分保持後、室温まで冷却した。表1に配合組成を示す。
また本発明例2から17も上記の本発明例1の条件を基準に作製した。即ち、圧粉体を3〜10Paの真空雰囲気中において、1350〜1450℃で30〜90分保持後、3〜10MPaの加圧雰囲気に変え5〜60分保持し、1250℃まで10〜50℃/分の冷却速度で1250℃まで冷却し、1250℃で10分保持後、室温まで冷却した。比較例18から26も概略、本発明例の条件に準拠した。
次に、本発明例と比較例についてd値を測定し、Wv/Swc値を算出した。その結果を表2に示す。
次に、本発明例と比較例についてd値を測定し、Wv/Swc値を算出した。その結果を表2に示す。
本発明例は何れもd値が0.6μm以下の範囲に入り、またWv/Swc値も0.6〜10.5の範囲内であった。図1にWv/Swc値と抗折力及び抗折力差の関係を示す。Wv/Swc値が0.6より小さくなると抗折力差が急激に増加した。また、10.5より大きくなると抗折力が徐々に低下すると共に抗折力差も大きくなり材料の強度の信頼性も低下した。本発明例1〜17はd値が小さく微細で、高い抗折力と抗折力差の小さいWC基微粒超硬合金部材が得られた。特にWv/Swc値が4.6の本発明例6の抗折力は高い値を示した。本発明例11はCo量が9%と少量であり、平均抗折力が低下し、本発明例14ではCo量が13%と多量であり、腐食減量がやや増加した。Wv/Swc値やd値が同程度の本発明例12〜14はCo量が異なるにも拘らず、高い値で同程度の抗折力を示し、抗折力差が小さくなった。Cr含有量が0.1〜1%の範囲にある本発明例15〜17も、満足の出来る耐食性が得られた。
一方、比較例18、19のd値は夫々0.65、0.85μmと大きくなり、抗折力差が増加した。これは、WC粒成長が十分に抑制できなかったためである。比較例20〜22のd値は0.4μm以下であるものの、Wv/Swc値が10.5超であった。Wv/Swc値が10.5超であると、超硬合金組織中にVが多量に含まれている相が粗大化するか、もしくは多量に析出し、抗折力が低下すると考えられる。比較例20〜22は、d値が小さいもののWv/Swc値が大き過ぎるために、Vが含まれる相が多量に析出し、抗折力差が増加した。比較例23、24は、Co量が本願発明規定の範囲外のため平均抗折力が低下した。Crを含有しない比較例25は比較的高い抗折力を示したが、Crがないために耐食性が極端に悪く、湿式加工する際に腐食が起こり、実用化するのに難が見られた。Cr量が1.2%と多い比較例26は抗折力が低い値を示した。これは脆性相が超硬合金の組織に析出したためである。
一方、比較例18、19のd値は夫々0.65、0.85μmと大きくなり、抗折力差が増加した。これは、WC粒成長が十分に抑制できなかったためである。比較例20〜22のd値は0.4μm以下であるものの、Wv/Swc値が10.5超であった。Wv/Swc値が10.5超であると、超硬合金組織中にVが多量に含まれている相が粗大化するか、もしくは多量に析出し、抗折力が低下すると考えられる。比較例20〜22は、d値が小さいもののWv/Swc値が大き過ぎるために、Vが含まれる相が多量に析出し、抗折力差が増加した。比較例23、24は、Co量が本願発明規定の範囲外のため平均抗折力が低下した。Crを含有しない比較例25は比較的高い抗折力を示したが、Crがないために耐食性が極端に悪く、湿式加工する際に腐食が起こり、実用化するのに難が見られた。Cr量が1.2%と多い比較例26は抗折力が低い値を示した。これは脆性相が超硬合金の組織に析出したためである。
(実施例2)
実施例1で作製した丸棒試料を加工して、φ2.0×31.8mmの丸棒から直径がφ0.1mm、みぞ長が1.5mmのプリント基板用穴あけ用小径ドリルを作製した。これらのドリルを用いて下記の試験条件にて穴あけ加工を実施し、ドリルの折損寿命を求めた。各試料の試験本数は6本であり、これより平均折損寿命を求めた。更に、最長の折損寿命と最短の折損寿命との差を寿命差として、その値を平均折損寿命で割った値から切削加工寿命安定性を評価した。即ち、折損寿命のバラツキが大きいほど分子が大きくなるし、平均寿命が小さいほど分母が小さくなる。この比は小さいほど好ましい。評価結果を表2に示す。
(試験条件)
基板:ガラスエポキシ材、プリント基板厚さが0.2mmのものを2枚重ね
回転数:200k回転/分
送り量:5μm/回転
実施例1で作製した丸棒試料を加工して、φ2.0×31.8mmの丸棒から直径がφ0.1mm、みぞ長が1.5mmのプリント基板用穴あけ用小径ドリルを作製した。これらのドリルを用いて下記の試験条件にて穴あけ加工を実施し、ドリルの折損寿命を求めた。各試料の試験本数は6本であり、これより平均折損寿命を求めた。更に、最長の折損寿命と最短の折損寿命との差を寿命差として、その値を平均折損寿命で割った値から切削加工寿命安定性を評価した。即ち、折損寿命のバラツキが大きいほど分子が大きくなるし、平均寿命が小さいほど分母が小さくなる。この比は小さいほど好ましい。評価結果を表2に示す。
(試験条件)
基板:ガラスエポキシ材、プリント基板厚さが0.2mmのものを2枚重ね
回転数:200k回転/分
送り量:5μm/回転
本発明例1〜17は何れも折損寿命で良好な結果を示した。一方、比較例18〜26は、短寿命であり、この理由は低い抗折力であると考えられる。本願発明の切削加工寿命の安定性については、比較例と比較して約2倍から9倍の切削加工寿命が得られ安定性が改善したことが分かる。本発明例11はCo量が9%と少量であったために、抗折力、折損寿命等がやや低下し、本発明例14はCo量が13%と多量であったために、抗折力がやや低下したが、プリント基板穴あけ用小径ドリルとして使用するに十分な性能を示したと判断できる。Wv/Swc値やd値が同程度の本発明例12、13はCo量が異なるにも拘らず、良好な折損寿命を示した。
一方、Co量が8%と少ない比較例23は抗折力が低いために強度不足となり、折損寿命が極端に短くなった。Co量が14%と多い比較例24も折損寿命が短くなった。これはCo量が多いために、硬度が急激に減少し、穴あけ初期段階から刃先の摩耗が進み、切削抵抗が増大したためと推測される。Crを含有しない比較例25は比較的、高抗折力、長折損寿命を示したが、Crがないために耐食性が極端に悪く、ドリル加工時に一部のドリルで腐食が起こり、実用化するのに難があった。また、Cr量が1.2%と多い比較例26はCr含有の脆性相が超硬合金の組織に析出して折損寿命が短くなった。
一方、Co量が8%と少ない比較例23は抗折力が低いために強度不足となり、折損寿命が極端に短くなった。Co量が14%と多い比較例24も折損寿命が短くなった。これはCo量が多いために、硬度が急激に減少し、穴あけ初期段階から刃先の摩耗が進み、切削抵抗が増大したためと推測される。Crを含有しない比較例25は比較的、高抗折力、長折損寿命を示したが、Crがないために耐食性が極端に悪く、ドリル加工時に一部のドリルで腐食が起こり、実用化するのに難があった。また、Cr量が1.2%と多い比較例26はCr含有の脆性相が超硬合金の組織に析出して折損寿命が短くなった。
Claims (3)
- WCの平均粒子径d(μm)がd≦0.6、Co含有量が重量%で9〜13%、V含有量が0.4〜1%、Cr含有量が0.1〜1%、であるWC基微粒超硬合金において、該V含有量に100を乗じた値をWvとし、該WCにおける単位体積当たりの表面積の総和をSwc(μm2/cm3)としたとき、0.6≦Wv/Swc≦10.5であることを特徴とするWC基微粒超硬合金部材。
- 請求項1記載のWC基微粒超硬合金部材において、該Co含有量に対する該Cr含有量が重量比で0.01〜0.2、であることを特徴とするWC基微粒超硬合金部材。
- 請求項1又は2記載のWC基微粒超硬合金部材において、該d値が、d≦0.4であることを特徴とするWC基微粒超硬合金部材。
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JP2012206195A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Sumitomo Electric Hardmetal Corp | 刃先交換型切削チップおよびそれを用いた切削加工方法、ならびに刃先交換型切削チップの製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20101214 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121106 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130304 |