JP2009185664A - 内燃機関のブローバイガス処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことのできる内燃機関のブローバイガス処理装置を提供する。
【解決手段】空燃比フィードバック制御が行われているときには流量制御弁14の開度が基本開度Bb(最適開度)に調整され、それによって同制御に起因する燃料噴射量の最小噴射量Qmin 未満への減少を抑制しつつ、ブローバイガスを速やかに処理することが行われる。更に、空燃比フィードバック制御が行われず、且つ吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン運転に過大な影響を及ぼすことのないエンジン運転状態にあるときには、流量制御弁14の開度が上記基本開度Bbよりも開き側の開度である拡大開度Bwに調整される。これによりブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができるようになる。
【選択図】図1
【解決手段】空燃比フィードバック制御が行われているときには流量制御弁14の開度が基本開度Bb(最適開度)に調整され、それによって同制御に起因する燃料噴射量の最小噴射量Qmin 未満への減少を抑制しつつ、ブローバイガスを速やかに処理することが行われる。更に、空燃比フィードバック制御が行われず、且つ吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン運転に過大な影響を及ぼすことのないエンジン運転状態にあるときには、流量制御弁14の開度が上記基本開度Bbよりも開き側の開度である拡大開度Bwに調整される。これによりブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができるようになる。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関のブローバイガス処理装置に関する。
自動車等の車両に搭載される内燃機関においては、燃料噴射弁の燃料噴射量の指令値である噴射量指令値が機関運転に必要な燃料量を得るための値として機関運転状態に基づき算出され、その噴射量指令値に対応した燃料が噴射されるよう上記燃料噴射弁が駆動制御される。
こうした内燃機関では、内燃機関の排気中の酸素濃度に基づき増減するフィードバック補正値に基づき上記噴射量指令値を補正することで、同機関の燃焼室で燃焼される混合気の実際の空燃比を目標値(例えば理論空燃比)へと制御する、いわゆる空燃比フィードバック制御が行われる。この空燃比フィードバック制御では、内燃機関における燃焼室内の混合気の空燃比が上記目標値よりもリッチ側の値になると、それに対応した排気中の酸素濃度の変化に基づきフィードバック補正値が減少し、同補正値に基づき噴射量指令値が減少側に補正される。また、内燃機関における燃焼室内の混合気の空燃比が上記目標値よりもリーン側の値になると、それに対応した排気中の酸素濃度の変化に基づきフィードバック補正値が増加し、同補正値に基づき噴射量指令値が増加側に補正される。以上のような空燃比フィードバック制御の実行により、内燃機関における燃焼室内の混合気の空燃比が目標値へと制御される。
また、内燃機関においては、運転中に燃焼室からシリンダ内壁とピストンリングとの間を介してクランクケースに燃料を含んだガス(ブローバイガス)が漏れるため、その燃料が含まれるガスを吸気通路に戻して処理するためのブローバイガス処理装置が設けられる。同装置には燃焼室から漏れたブローバイガスを吸気通路に戻す際のガス流量を可変とすべく開度調整される流量制御弁が設けられており(特許文献1参照)、同流量制御弁としては例えば機関運転状態に応じて任意の開度に調整可能な電磁弁を採用することが考えられる。同装置によってブローバイガスが吸気通路に戻されているときには、同ガスに含まれる燃料が燃焼室での燃焼に用いられるため、内燃機関における燃焼室内の混合気の空燃比が目標値に対しリッチ化する。しかし、こうした空燃比のリッチ化に関しては、空燃比フィードバック制御による噴射量指令値の減量補正を通じて抑制が図られる。
ここで、ブローバイガス処理装置における流量制御弁の開度調整について詳しく説明する。
流量制御弁の開度に関しては、ブローバイガスの処理を速やかに行う観点から、同ガスのガス流量を多くすべく可能な限り開き側(増大側)の値とすることが好ましい。ただし、流量制御弁の開度を大きくし過ぎて吸気通路に戻されるブローバイガスのガス流量が多くなり過ぎると、それに伴う燃焼室内の混合気の空燃比のリッチ化を抑えるための空燃比フィードバック制御による燃料噴射弁の燃料噴射量の減量補正も過度に大きく行われる。その結果、燃料噴射弁の燃料噴射量が同燃料噴射弁からの安定した燃料噴射を実現可能な下限値である最小噴射量未満になり、燃料噴射弁からの安定した燃料噴射を行えなくなるおそれがある。こうしたことを考慮して、燃料噴射弁の燃料噴射量を最小噴射量以上とし得る範囲で可能な限り大きな開度である流量制御弁の最適開度を機関運転状態に基づき求め、その最適開度が得られるよう流量制御弁の駆動制御を行うことが考えられる。以上のような流量制御弁の開度調整を行うことにより、ブローバイガスの速やかな処理を図りつつ、空燃比フィードバック制御に起因する燃料噴射量の最小噴射量未満への減少を抑制することが可能になる。
実開平1−179112公報(第13頁18〜20行)
流量制御弁の開度に関しては、ブローバイガスの処理を速やかに行う観点から、同ガスのガス流量を多くすべく可能な限り開き側(増大側)の値とすることが好ましい。ただし、流量制御弁の開度を大きくし過ぎて吸気通路に戻されるブローバイガスのガス流量が多くなり過ぎると、それに伴う燃焼室内の混合気の空燃比のリッチ化を抑えるための空燃比フィードバック制御による燃料噴射弁の燃料噴射量の減量補正も過度に大きく行われる。その結果、燃料噴射弁の燃料噴射量が同燃料噴射弁からの安定した燃料噴射を実現可能な下限値である最小噴射量未満になり、燃料噴射弁からの安定した燃料噴射を行えなくなるおそれがある。こうしたことを考慮して、燃料噴射弁の燃料噴射量を最小噴射量以上とし得る範囲で可能な限り大きな開度である流量制御弁の最適開度を機関運転状態に基づき求め、その最適開度が得られるよう流量制御弁の駆動制御を行うことが考えられる。以上のような流量制御弁の開度調整を行うことにより、ブローバイガスの速やかな処理を図りつつ、空燃比フィードバック制御に起因する燃料噴射量の最小噴射量未満への減少を抑制することが可能になる。
上述したように機関運転状態に基づき流量制御弁の最適開度を求め、その最適開度が得られるよう流量制御弁を駆動制御することで、ブローバイガスの速やかな処理を図りつつ、空燃比フィードバック制御に起因する燃料噴射量の最小噴射量未満への減少を抑制することが可能にはなる。ただし、ブローバイガスの処理は可能な限り速やかに行うことが好ましく、その面での更なる改善の要求がある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことのできる内燃機関のブローバイガス処理装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、排気中の酸素濃度に応じて増減するフィードバック補正値に基づき燃料噴射量を補正することで燃焼室内の空燃比を目標値へと制御する空燃比フィードバック制御が実施される内燃機関に適用され、前記燃焼室から漏れたブローバイガスを吸気通路に戻す際のガス流量を可変とすべく開度調整される流量制御弁と、その流量制御弁の開度が機関運転状態に応じて定められる最適開度に調整されるよう同流量制御弁を駆動制御する制御手段とを備える内燃機関のブローバイガス処理装置において、前記最適開度は、前記空燃比フィードバック制御の実行中に燃料噴射量を最小噴射量以上とし得る前記流量制御弁の開度範囲内のうち最も開き側の開度であり、前記制御手段は、前記空燃比フィードバック制御が行われず、且つ前記吸気通路に戻されるブローバイガスが機関運転に過大な影響を及ぼすことのない機関運転状態にあるとき、前記流量制御弁を前記最適開度よりも開き側の開度である拡大開度となるように駆動するものとした。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、排気中の酸素濃度に応じて増減するフィードバック補正値に基づき燃料噴射量を補正することで燃焼室内の空燃比を目標値へと制御する空燃比フィードバック制御が実施される内燃機関に適用され、前記燃焼室から漏れたブローバイガスを吸気通路に戻す際のガス流量を可変とすべく開度調整される流量制御弁と、その流量制御弁の開度が機関運転状態に応じて定められる最適開度に調整されるよう同流量制御弁を駆動制御する制御手段とを備える内燃機関のブローバイガス処理装置において、前記最適開度は、前記空燃比フィードバック制御の実行中に燃料噴射量を最小噴射量以上とし得る前記流量制御弁の開度範囲内のうち最も開き側の開度であり、前記制御手段は、前記空燃比フィードバック制御が行われず、且つ前記吸気通路に戻されるブローバイガスが機関運転に過大な影響を及ぼすことのない機関運転状態にあるとき、前記流量制御弁を前記最適開度よりも開き側の開度である拡大開度となるように駆動するものとした。
上記構成によれば、空燃比フィードバック制御が行われているときには流量制御弁の開度が最適開度に調整され、それによって同制御に起因する燃料噴射量の最小噴射量未満への減少を抑制しつつ、ブローバイガスの速やかな処理が図られる。更に、空燃比フィードバック制御が行われず、且つ前記吸気通路に戻されるブローバイガスが機関運転に過大な影響を及ぼすことのない機関運転状態にあるときには、流量制御弁の開度が上記最適開度よりも開き側の開度である拡大開度に調整され、それによってブローバイガスの処理がより一層速やかに行われることとなる。なお、このときには空燃比フィードバック制御が実行されていないため、流量制御弁の開度を上記拡大開度に調整したとしても、上記空燃比フィードバック制御に起因して燃料噴射量が最小噴射量未満になることはない。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記内燃機関は、車両に搭載されて同車両の減速中にフューエルカットが実行され、同機関の排気通路に未燃燃料成分を処理して浄化する触媒が設けられるものであり、前記空燃比フィードバック制御は、前記フューエルカットの実行中、前記フィードバック補正値の増減の停止を通じて実行停止されるものであり、前記制御手段は、前記フューエルカットの実行中、前記流量制御弁を前記拡大開度となるように駆動するものとした。
車両の減速に伴い内燃機関のフューエルカットが行われると、空燃比フィードバック制御が停止されるため、流量制御弁の開度を最適開度よりも開き側の値として吸気通路に戻されるブローバイガスのガス流量を多くしても、上記空燃比フィードバック制御に起因して燃料噴射量が最小噴射量未満となることはない。そして、フューエルカット中に吸気通路に戻されるブローバイガス中の燃料成分は、内燃機関を通過して同機関の排気通路に設けられた触媒にて処理されることとなる。内燃機関のフューエルカット中は同機関の自立運転が停止されているため、吸気通路に戻されるブローバイガスが内燃機関の運転に影響を及ぼすことはない。このように、内燃機関のフューエルカット中に流量制御弁の開度を拡大開度に調整することで、ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができる。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記制御手段は、機関温度が高いか否かの判断、及び前記ブローバイガス中の燃料濃度が高いか否かの判断を行い、それら判断の両方が肯定であるときのみ、前記流量制御弁をその開度が前記拡大開度となるよう駆動するものとした。
ブローバイガス中の燃料濃度が高い旨判断されるときには、吸気通路にブローバイガスを戻して同ガスの処理を速やかに行う必要性が高くなる。また、機関温度が高い旨判断されるときには、内燃機関におけるクランクケース内の潤滑油に混合した燃料が揮発してブローバイガス中の燃料濃度が高くなる。上記構成によれば、このような状況下で、車両の減速に伴う内燃機関のフューエルカット中の流量制御弁の開度が拡大開度に調整されるため、ブローバイガスの処理を速やかに行う必要性の高いときに同処理を速やかに行うことができる。
請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明において、前記制御手段は、前記ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど、前記拡大開度を閉じ側の値となるよう可変設定するものとした。
上記構成によれば、上記ブローバイガス中の燃料濃度に基づく拡大開度の可変設定により、吸気通路に戻されるブローバイガスによって排気通路に流される燃料成分の量が触媒にて処理することの可能な量を越えないよう、且つ上記ブローバイガスのガス流量が可能な限り多い量となるよう、同ガス流量を調整することが可能になる。従って、ブローバイガスの処理を速やかに行いつつ、同ガスによって排気通路に流される燃料成分を触媒にて処理しきれなくなることを抑制できる。
請求項5記載の発明では、請求項2〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は、車速の高い状態のときほど前記拡大開度を閉じ側の値となるように可変設定するものとした。
車両の減速に伴う内燃機関のフューエルカット中、流量制御弁の開度を開き側の値にすればするほど、内燃機関のポンピングロスが低減してゆくため、そのポンピングロスを利用した車両の制動(いわゆるエンジンブレーキ)も生じにくくなる。上記構成によれば、車両の減速に伴うフューエルカット中の流量制御弁の開度である拡大開度は、上記ポンピングロスを利用した車両の制動を必要とする車速の高い状態のときほど、閉じ側の値となるよう可変設定される。このため、上記ポンピングロスを利用した車両の制動を必要レベルに保持しつつ、可能な限り流量制御弁の開度を開き側の値としてブローバイガスの処理を速やかに行うことが可能になる。
請求項6記載の発明では、請求項2〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は、車両の減速中に内燃機関のポンピングロスを利用した車両の制動を必要レベルとし得る同流量制御弁の開度範囲のうち、最も開き側の値を前記拡大開度として用いるものとした。
上記構成によれば、フューエルカット中に流量制御弁の開度が拡大開度に調整されたとき、それによる車両の減速時における内燃機関のポンピングロスを利用した制動を必要レベル以上に保持しつつ、ブローバイガスの処理を最も効率よく処理可能な状態とすることができる。
請求項7記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記内燃機関は、前記燃焼室内の空燃比を前記目標値よりもリッチにすべく燃料噴射量を増量する燃料増量制御が実行されるものであり、前記空燃比フィードバック制御は、前記燃料増量制御の実行中、前記フィードバック補正値の増減の停止を通じて実行停止されるものであり、前記制御手段は、前記燃料増量制御の実行中、前記流量制御弁をその開度が前記拡大開度となるように駆動するものとした。
燃料増量制御が実行されるときには、空燃比フィードバック制御が停止されるため、流量制御弁の開度を最適開度よりも開き側の値として吸気通路に戻されるブローバイガスのガス流量を多くしても、上記空燃比フィードバック制御に起因して燃料噴射量が最小噴射量未満となることはない。また、流量制御弁の開度を拡大開度に調整することにより吸気通路に戻されるブローバイガスのガス流量が増加して燃焼室に供給される燃料成分の量が増えたとしても、それによる増加は、燃料増量制御による燃料噴射量の増量によって燃焼室に供給される燃料の増加に比べると少ない。従って、流量制御弁の開度を拡大開度に調整することにより、吸気通路に戻されるブローバイガスのガス流量が増えたとしても、それが機関運転に過大な影響を及ぼすことはない。このように、内燃機関の燃料増量制御中に流量制御弁の開度を拡大開度に調整することで、ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができる。
請求項8記載の発明では、請求項7記載の発明において、前記制御手段は、機関温度が高いか否かの判断、及び前記ブローバイガス中の燃料濃度が高いか否かの判断を行い、それら判断の両方が肯定であるときのみ、前記流量制御弁をその開度が前記拡大開度となるよう駆動するものとした。
ブローバイガス中の燃料濃度が高い旨判断されるときには、吸気通路にブローバイガスを戻して同ガスの処理を速やかに行う必要性が高くなる。また、機関温度が高い旨判断されるときには、内燃機関におけるクランクケース内の潤滑油に混合した燃料が揮発してブローバイガス中の燃料濃度が高くなる。上記構成によれば、このような状況下で、内燃機関の燃料増量制御中の流量制御弁の開度が拡大開度に調整されるため、ブローバイガスの処理を速やかに行う必要性の高いときに同処理を速やかに行うことができる。
請求項9記載の発明では、請求項7又は8記載の発明において、前記制御手段は、前記ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど、前記拡大開度を閉じ側の値となるよう可変設定するものとした。
ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど、吸気通路にブローバイガスを戻したときに、それによる燃料増量制御への影響が大きくなる。上記構成によれば、上記ブローバイガス中の燃料濃度に基づく拡大開度の可変設定により、吸気通路にブローバイガスを戻すことによる燃料増量制御への影響が許容レベル未満となるよう、且つ上記ブローバイガスのガス流量が可能な限り多い量となるよう、同ガス流量を調整することが可能になる。従って、ブローバイガスの処理を速やかに行いつつ、同ガスによる燃料増量制御への影響を許容レベル未満に抑えることができる。
請求項10記載の発明では、請求項7〜9のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は、燃料中のアルコール濃度を検出するとともに、そのアルコール濃度が高いほど前記拡大開度を開き側の値となるように可変設定するものとした。
燃料中のアルコール濃度が高いほど、燃焼室内の混合気を完全燃焼させるための空燃比がリッチ側の値になることから、ブローバイガスの処理において、より多量のブローバイガスを吸気通路に戻すことが可能になる。上記構成によれば、そのことを考慮して、燃料中のアルコール濃度が高いほど、燃料増量制御中における流量制御弁の開度とされる拡大開度を開き側の値となるように可変設定可能なため、ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができる。
請求項11記載の発明では、請求項7〜10のいずれか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記流量制御弁を前記最適開度よりも開き側の開度に駆動したときの燃料増量制御への影響を許容し得る同流量制御弁の開度範囲のうち、最も開き側の値を前記拡大開度として用いるものとした。
上記構成によれば、燃料増量制御中に流量制御弁の開度が拡大開度に調整されたとき、それによる燃料増量制御の影響を許容レベル未満に抑えつつ、ブローバイガスの処理を最も効率よく処理可能な状態とすることができる。
[第1実施形態]
以下、本発明を自動車用エンジンに適用した第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
以下、本発明を自動車用エンジンに適用した第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1に示されるエンジン1においては、各気筒の燃焼室2に吸気通路3及び排気通路4が接続されている。そして、エンジン1の吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ11が設けられた吸気通路3を介して燃焼室2に空気が吸入されるとともに、各気筒に対応する燃料噴射弁5から燃焼室2内に燃料が噴射供給されることにより、燃焼室2内に空気と燃料とからなる混合気が充填される。この混合気が各気筒の点火プラグ6による点火に基づき燃焼すると、そのときの燃焼エネルギによってピストン7が往復移動するとともに、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト8が回転する。また、燃焼後の混合気は排気として排気通路4に送り出され、その排気は排気通路4に設けられた触媒15によって浄化される。具体的には、触媒15によって、排気における一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、及び炭化水素(HC)に関する浄化が図られる。
なお、エンジン1の圧縮行程や膨張行程においては、燃焼室2に存在するガスの一部がブローバイガスとして燃料とともにピストンリング7aとシリンダ内壁9との間からクランクケース10内に漏れる。このブローバイガスとともにクランクケース10内に漏れる燃料は、シリンダ内壁9に付着した燃料のうち、ピストン7の往復移動に伴いピストンリング7aによってクランクケース10内に掻き落とされるものである。従って、クランクケース10内に漏れたブローバイガスには燃料が含まれており、同燃料の量はシリンダ内壁9に多量の燃料が付着するエンジン低温時ほど多くなる。また、クランクケース10内に漏れたブローバイガス中の燃料は、エンジン1の暖機完了前などの同ケース10内の潤滑油が低温であるときには同潤滑油に混合されて蓄積されてゆき、エンジン1の暖機完了後など潤滑油が高温になることにより揮発して同潤滑油から分離されるようになる。
エンジン1には、クランクケース10内に存在する揮発燃料を燃焼室2から漏れたブローバイガスとともに吸気通路3に戻して処理するブローバイガス処理装置が設けられている。
同装置は、吸気通路3におけるスロットルバルブ11の上流側の部分に接続されてクランクケース10内に新気を導入する新気導入通路12と、クランクケース10内のブローバイガスを吸気通路3に戻すべく同通路3におけるスロットルバルブ11の下流側の部分に接続されたガス流出通路13とを備えている。また、ガス流出通路13にはブローバイガスを吸気通路3に戻す際のガス流量を調整する流量制御弁14が設けられている。この流量制御弁14は、電磁ソレノイド等により開度調整される電動式のものであって、その開度を開き側に調整するほどガス流出通路13から吸気通路3に流れるガスの流量を多くするものである。そして、同装置においては、新気導入通路12からクランクケース10内への新気導入により、燃焼室2から漏れたブローバイガスがクランクケース10内に存在する揮発燃料を含んだ状態でガス流出通路13を介して吸気通路3に戻されるようになる。
次に、ブローバイガス処理装置の電気的構成について説明する。
ブローバイガス処理装置は、自動車に搭載されてエンジン1等に関する各種制御を実行する電子制御装置19を備えている。この電子制御装置19は、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
ブローバイガス処理装置は、自動車に搭載されてエンジン1等に関する各種制御を実行する電子制御装置19を備えている。この電子制御装置19は、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置19の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・自動車の運転者によって踏込操作されるアクセルペダル20の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ21。
・自動車の運転者によって踏込操作されるアクセルペダル20の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ21。
・エンジン1の吸気通路3に設けられたスロットルバルブ11の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ22。
・吸気通路3を介して燃焼室2に吸入される空気の量を検出するエアフロメータ23。
・吸気通路3を介して燃焼室2に吸入される空気の量を検出するエアフロメータ23。
・クランクシャフト8の回転に対応した信号を出力するクランクポジションセンサ24。
・エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ25。
・エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ25。
・排気通路4を流れる排気中の酸素濃度に対応した信号を出力する酸素(O2 )センサ26。
・自動車の車速を検出する車速センサ27。
・自動車の車速を検出する車速センサ27。
また、電子制御装置19の出力ポートには、燃料噴射弁5、点火プラグ6、スロットルバルブ11、及び流量制御弁14等の駆動回路が接続されている。
電子制御装置19は、上記各センサから入力された検出信号より把握されるエンジン運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。こうして点火プラグ6の点火時期制御、スロットルバルブ11の開度制御、燃料噴射弁5による燃料噴射の制御、及び流量制御弁14の開度制御等の各種制御が電子制御装置19により実施されている。
電子制御装置19は、上記各センサから入力された検出信号より把握されるエンジン運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。こうして点火プラグ6の点火時期制御、スロットルバルブ11の開度制御、燃料噴射弁5による燃料噴射の制御、及び流量制御弁14の開度制御等の各種制御が電子制御装置19により実施されている。
エンジン1の燃料噴射制御としては、燃料噴射弁5からの燃料の噴射量の制御である燃料噴射量制御があげられる。こうした燃料噴射量制御は、電子制御装置19による燃料噴射弁5の駆動を通じて実現される。即ち、電子制御装置19は、エンジン運転に必要とされる燃料量を得るための燃料噴射弁5の燃料噴射量の指令値として噴射量指令値Qfin をエンジン運転状態に基づき算出し、この噴射量指令値Qfin に基づく燃料噴射弁5の駆動制御により、同燃料噴射弁5から上記噴射量指令値Qfin に対応した量の燃料を噴射させる。上記噴射量指令値Qfin は、以下の式(1)を用いて、基本燃料噴射量Qbase、フィードバック補正係数FAF、及びその他の補正係数Xに基づき算出される。
Qfin =Qbase・FAF・X …(1)
Qfin :噴射量指令値
Qbase:基本燃料噴射量
FAF:フィードバック補正係数
X :その他の補正係数
式(1)において、基本燃料噴射量Qbaseは、エンジン回転速度及びエンジン負荷等に基づき算出され、そのエンジン運転状態にあって必要とされる理論上の燃料噴射量を表す値となる。ここで用いられるエンジン回転速度は、クランクポジションセンサ24からの検出信号に基づき求められる。また、エンジン負荷は、エンジン1の吸入空気量に対応するパラメータと上記エンジン回転速度とから算出される。なお、吸入空気量に対応するパラメータとしては、例えば、エアフロメータ23からの検出信号に基づき求められるエンジン1の吸入空気量の実測値が用いられる。そして、上記基本燃料噴射量Qbaseに関しては、エンジン1の吸入空気量が多くなるほど大きくなるように算出される。
Qfin :噴射量指令値
Qbase:基本燃料噴射量
FAF:フィードバック補正係数
X :その他の補正係数
式(1)において、基本燃料噴射量Qbaseは、エンジン回転速度及びエンジン負荷等に基づき算出され、そのエンジン運転状態にあって必要とされる理論上の燃料噴射量を表す値となる。ここで用いられるエンジン回転速度は、クランクポジションセンサ24からの検出信号に基づき求められる。また、エンジン負荷は、エンジン1の吸入空気量に対応するパラメータと上記エンジン回転速度とから算出される。なお、吸入空気量に対応するパラメータとしては、例えば、エアフロメータ23からの検出信号に基づき求められるエンジン1の吸入空気量の実測値が用いられる。そして、上記基本燃料噴射量Qbaseに関しては、エンジン1の吸入空気量が多くなるほど大きくなるように算出される。
また、フィードバック補正係数FAFは、エンジン1の排気中の酸素濃度に応じて増減し、エンジン1の空燃比を目標値(理論空燃比)に近づけるように噴射量指令値Qfin (基本燃料噴射量Qbase)を補正するための値である。より詳しくは、フィードバック補正係数FAFに関しては、酸素センサ26からの検出信号が理論空燃比で混合気を燃焼させたときの酸素濃度に対応する値よりも酸素濃度の低い側の値であるときには、上記混合気の空燃比が理論空燃比よりもリッチであることから、燃料噴射量を減量補正すべく小さくされる。一方、酸素センサ26からの検出信号が理論空燃比で混合気を燃焼させたときの酸素濃度に対応する値よりも酸素濃度の高い側の値であるときには、上記混合気の空燃比が理論空燃比よりもリーンであることから、燃料噴射量を増量補正すべく上記フィードバック補正係数FAFが大きくされる。こうしたフィードバック補正係数FAFによる噴射量指令値Qfin (直接的には基本燃料噴射量Qbase)の補正を通じて、エンジン1の空燃比を理論空燃比へと制御する、いわゆる空燃比フィードバック制御が行われる。
以上のように算出される噴射量指令値Qfin に基づいた燃料噴射弁5の駆動、より詳しくは同弁5の開弁時間(燃料噴射時間)の調整により、同弁5の燃料噴射量が制御されることとなる。
また、エンジン1の燃料噴射制御としては、上記燃料噴射量制御のほか、エンジン1の燃費改善を図るべく自動車の減速時にエンジン1への燃料供給をカットするフューエルカット制御も行われる。このフューエルカット制御に関しては、自動車の減速時、車速が「0」よりも大きい値であり、且つアクセル踏込量が「0」など自動車の走行要求がない状況のもと、燃料噴射弁5からの燃料噴射を停止してエンジン1への燃料供給のカット(フューエルカット)を行うことにより実現される。なお、こうしたフューエルカットが実行されるときには、空燃比フィードバック制御を実行する意味はないため、上述したフィードバック補正係数FAFの増減は停止され、それによって同補正係数FAFを用いた空燃比フィードバック制御が停止されることとなる。
次に、流量制御弁14の開度制御について説明する。
流量制御弁14の開度制御は、電子制御装置19により求められる開度指令値Bに基づいて行われる。すなわち、流量制御弁14の開度が上記開度指令値Bへと調整されるよう同流量制御弁14が駆動され、これにより流量制御弁14の開度制御が実現されることとなる。そして、同開度制御を通じて流量制御弁14が全閉状態から開き側に調整されたときには、燃焼室2から漏れたブローバイガスがクランクケース10内に存在する揮発燃料とともに吸気通路3に戻される。このようにブローバイガスが吸気通路3に戻されているときには、同ガスに含まれる未燃燃料成分が燃焼室2での燃焼に用いられるため、エンジン1の燃焼室2における混合気の空燃比が理論空燃比に対しリッチ化する傾向にある。しかし、こうした空燃比のリッチ化に関しては、空燃比フィードバック制御におけるフィードバック補正係数FAFを用いた噴射量指令値Qfin の減量補正を通じて抑制が図られる。
流量制御弁14の開度制御は、電子制御装置19により求められる開度指令値Bに基づいて行われる。すなわち、流量制御弁14の開度が上記開度指令値Bへと調整されるよう同流量制御弁14が駆動され、これにより流量制御弁14の開度制御が実現されることとなる。そして、同開度制御を通じて流量制御弁14が全閉状態から開き側に調整されたときには、燃焼室2から漏れたブローバイガスがクランクケース10内に存在する揮発燃料とともに吸気通路3に戻される。このようにブローバイガスが吸気通路3に戻されているときには、同ガスに含まれる未燃燃料成分が燃焼室2での燃焼に用いられるため、エンジン1の燃焼室2における混合気の空燃比が理論空燃比に対しリッチ化する傾向にある。しかし、こうした空燃比のリッチ化に関しては、空燃比フィードバック制御におけるフィードバック補正係数FAFを用いた噴射量指令値Qfin の減量補正を通じて抑制が図られる。
流量制御弁14の開度制御に用いられる上記開度指令値Bは、エンジン負荷等のエンジン運転状態に基づき可変とされる基本開度Bbを用いて求められる。すなわち、エンジン負荷等に基づき可変とされる基本開度Bbが開度指令値Bとして設定され、こうして開度指令値Bが求められることとなる。
流量制御弁14の開度に関しては、燃焼室2からクランクケース10内に漏れたブローバイガスの処理を速やかに行う観点から、同ガスのガス流量を多くすべく可能な限り開き側(増大側)の値とすることが好ましい。ただし、流量制御弁14の開度を大きくし過ぎて吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量が多くなり過ぎると、それに伴う燃焼室2内の混合気の空燃比のリッチ化を抑えるための空燃比フィードバック制御による燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )の減量補正も過度に大きく行われる。その結果、噴射量指令値Qfin が燃料噴射弁5からの安定した燃料噴射を実現可能な下限値である最小噴射量Qmin 未満になり、燃料噴射弁5からの安定した燃料噴射を行えなくなるおそれがある。こうしたことを考慮して、上記基本開度Bbに関しては、空燃比フィードバック制御中に噴射量指令値Qfin を最小噴射量Qmin 以上とし得る開度範囲で可能な限り大きな値(開き側の値)である最適開度となるよう、エンジン負荷に基づき算出されることとなる。このように算出された基本開度Bbは、エンジン負荷の変化に対し、例えば図2に示されるように推移する。
以上のように算出される基本開度Bbに基づき開度指令値Bを求め、その開度指令値Bへと流量制御弁14の開度を調整することにより、ブローバイガスの速やかな処理を図りつつ、その際の空燃比フィードバック制御に起因する燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )の最小噴射量Qmin 未満への減少を抑制することが可能になる。ただし、ブローバイガスの処理は上述したように可能な限り速やかに行うことが好ましく、この面で更なる改善を図ることが望まれている。
この実施形態では、こうした要求に応じるべく、空燃比フィードバック制御が行われず、且つ吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン運転に過大な影響を及ぼすことのないエンジン運転状態にあるとき、流量制御弁14をその開度が基本開度Bbよりも開き側の開度である拡大開度Bwとなるよう駆動する。より具体的には、上述したようなエンジン運転状態として、フューエルカット制御を通じてのエンジン1のフューエルカットの実行中、流量制御弁14をその開度が拡大開度Bwとなるよう駆動する。
このように流量制御弁14の開度を拡大開度Bwへと調整することにより、ブローバイガスの処理がより一層速やかに行われることとなる。なお、このときにはフューエルカットの実行中であって空燃比フィードバック制御が実行されず停止された状態となるため、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整して吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量を多くしても、空燃比フィードバック制御に起因して燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )が最小噴射量Qmin 未満となることはない。また、フューエルカット中はエンジン1の自立運転が停止されているため、吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン1の運転に影響を及ぼすこともない。そして、フューエルカット中に吸気通路3に戻されるブローバイガス中の未燃燃料成分(HC)は、エンジン1の燃焼室2を通過して排気通路4に設けられた触媒15にて処理(浄化)される。
次に、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整する手順について、開度指令値設定ルーチンを示す図4のフローチャートを参照して説明する。この開度指令値設定ルーチンは、電子制御装置19を通じて、例えば16ms毎などの所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwとするか否かを判断するための処理として、次の[1]〜[3]で示される各種の判断処理が実行される。[1]エンジン温度が高いか否かを判断するための処理(S101)。[2]吸気通路3に戻されるブローバイガス中の燃料濃度が高いか否かを判断するための処理(S102,S103)。[3]フューエルカット中であるか否かを判断するための処理(S104)。
そして、これら[1]〜[3]の判断処理で全て肯定判定である状況、すなわちエンジン温度が高い旨の判断、及びブローバイガス中の燃料濃度が高い旨の判断が行われ、更にフューエルカット中である状況のもとでは、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwとするための処理(S105,S106)が実行される。また、上記[1]〜[3]の判断処理のうちいずれか一つで否定判定がなされると、流量制御弁14の開度を基本開度Bbとするための処理(S107,S108)が実行される。
以下、上記[1]〜[3]の各判断処理の詳細について列記する。
上記[1]の判断処理では、エンジン温度が高いか否かの判断として、エンジン1の冷却水温が所定値以上であるか否かが判断される(S101)。なお、ここでの所定値としては、例えば、エンジン1におけるクランクケース10内の潤滑油の混合された燃料が多量に揮発するようになる温度が採用される。そして、ステップS101で肯定判定であれば、エンジン温度が高い旨判断される。
上記[1]の判断処理では、エンジン温度が高いか否かの判断として、エンジン1の冷却水温が所定値以上であるか否かが判断される(S101)。なお、ここでの所定値としては、例えば、エンジン1におけるクランクケース10内の潤滑油の混合された燃料が多量に揮発するようになる温度が採用される。そして、ステップS101で肯定判定であれば、エンジン温度が高い旨判断される。
上記[2]の判断処理では、まず電子制御装置19のRAMに記憶されたブローバイガス中の燃料濃度が取り込まれる(S102)。こうして取り込まれるブローバイガス中の燃料濃度は、エンジン1の運転中に予め定められた検出条件が成立したときに検出され、RAMに記憶されたものである。
ちなみに、ブローバイガス中の燃料濃度に関しては、空燃比フィードバック制御中に流量制御弁14の開度を全閉(「0」)と予め定められた検出用開度との間で変化させ、流量制御弁14の全閉時のフィードバック補正係数FAFと同流量制御弁14の開度を検出用開度としたときのフィードバック補正係数FAFとの偏差に基づき検出される。このように上記偏差に基づきブローバイガス中の燃料濃度を検出することが可能なのは、上記偏差がブローバイガス中の燃料濃度が高いときほど大きくなり、逆に同ブローバイガス中の燃料濃度が低いほど小さくなるという傾向を有するためである。そして、上記検出されたブローバイガス中の燃料濃は、電子制御装置19のRAMに記憶され、ステップS102,S103で用いられることとなる。
上記ステップS102でブローバイガス中の燃料濃度が取り込まれると、ステップS103において、同燃料濃度が高いか否かを判断するための処理として、同燃料濃度が所定値以上であるか否かが判断される。なお、ここでの所定値としては、例えば、エンジン1の冷えた状態での短期間の運転が繰り返された後にエンジン1が暖機完了まで運転されたときなど、エンジン1におけるクランクケース10内の潤滑油に混合された燃料が多量に揮発する際の濃度が採用される。そして、ステップS103で肯定判定であれば、ブローバイガス中の燃料濃度が高い旨判断される。
上記[3]の判断処理では、フューエルカット制御においてフューエルカットの実行の有無を判断するためのフラグFに基づき、フューエルカット中であるか否かが判断される(S104)。なお、上記フラグFは、フューエルカット制御において、フューエルカット中であれば「1(実行)」とされ、フューエルカット中でなければ「0(停止)」とされるものである。従って、フラグFが「1」であるときには、上記ステップS104で肯定判定がなされ、フューエルカット中である旨判断される。
以上の[1]〜[3]の判断処理が行われた結果、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwとするための処理(S105,S106)と、流量制御弁14の開度を基本開度Bbとするための処理(S107,S108)とのうち、いずれか一方の処理が実行されることとなる。
すなわち、上記[1]〜[3]の判断処理のうちいずれか一つで否定判定がなされると、流量制御弁14の開度を基本開度Bbとするための処理として、エンジン負荷等に基づき基本開度Bbが算出され(S107)、その基本開度Bbが開度指令値Bに設定される(S108)。その結果、流量制御弁14の開度が上記開度指令値Bとなるように同流量制御弁14が駆動され、それによって同流量制御弁14の開度が基本開度Bbへと調整される。
一方、上記[1]〜[3]の判断処理で全て肯定判定であれば、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwとするための処理として、車速及びブローバイガス中の燃料濃度に基づき拡大開度Bwが算出され(S105)、その拡大開度Bwが開度指令値Bに設定される(S106)。その結果、流量制御弁14の開度が上記開度指令値Bとなるように同流量制御弁14が駆動され、それによって同流量制御弁14の開度が拡大開度Bwへと調整される。
上記ステップS105において、拡大開度Bwは、自動車の減速中にエンジン1のポンピングロスを利用した自動車の制動を必要レベルとし得る同流量制御弁14の開度範囲のうち最も開き側の値となるように算出される。ちなみに、フューエルカットの行われる自動車の減速中においては、流量制御弁14の開度を開き側の値とするほど、エンジン1のポンピングロスが少なくなり、そのポンピングロスを利用した自動車の制動(いわゆるエンジンプレーキ)が生じにくくなる。しかし、上述したように拡大開度Bwを算出することにより、自動車の減速に伴うフューエルカット中に流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整したとき、上記ポンピングロスを利用した自動車の制動を必要レベルに保持しつつ、可能な限り流量制御弁14の開度を開き側の値としてブローバイガスの処理を速やかに行うことが可能になる。
また、こうした拡大開度Bwの算出は、実験等により定められる車速と拡大開度Bwとの関係を規定したマップを用いて行われる。このマップは、ブローバイガスの燃料濃度に応じて複数用意されている。そして、拡大開度Bwの算出する際には、複数のマップのうちからブローバイガス中の燃料濃度に対応したマップが選択され、そのマップを参照して車速に基づき拡大開度Bwの算出が行われる。こうして算出された拡大開度Bwに関しては、例えば図3に示されるように、車速が高いほど閉じ側の値になるとともに、ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど閉じ側の値となる。言い換えれば、拡大開度Bwは、上記のように算出されることにより、車速が高いほど閉じ側の値となり、且つブローバイガス中の燃料濃度が高いほど閉じ側の値となるように、可変設定されることとなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)空燃比フィードバック制御が行われているときには流量制御弁14の開度が基本開度Bb(最適開度)に調整され、それによって同制御に起因する燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )の最小噴射量Qmin 未満への減少を抑制しつつ、ブローバイガスの速やかな処理が図られる。更に、空燃比フィードバック制御が行われず、且つ吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン運転に過大な影響を及ぼすことのないエンジン運転状態にあるとき、より具体的には自動車の減速に伴うエンジン1のフューエルカット中に、流量制御弁14の開度が上記基本開度Bbよりも開き側の開度である拡大開度Bwに調整される。これによりブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができるようになる。なお、フューエルカット中には空燃比フィードバック制御が実行されないため、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整して吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量を多くしても、空燃比フィードバック制御に起因して燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )が最小噴射量Qmin 未満となることはない。また、フューエルカット中はエンジン1の自立運転が停止されているため、吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン1の運転に影響を及ぼすこともない。
(1)空燃比フィードバック制御が行われているときには流量制御弁14の開度が基本開度Bb(最適開度)に調整され、それによって同制御に起因する燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )の最小噴射量Qmin 未満への減少を抑制しつつ、ブローバイガスの速やかな処理が図られる。更に、空燃比フィードバック制御が行われず、且つ吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン運転に過大な影響を及ぼすことのないエンジン運転状態にあるとき、より具体的には自動車の減速に伴うエンジン1のフューエルカット中に、流量制御弁14の開度が上記基本開度Bbよりも開き側の開度である拡大開度Bwに調整される。これによりブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができるようになる。なお、フューエルカット中には空燃比フィードバック制御が実行されないため、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整して吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量を多くしても、空燃比フィードバック制御に起因して燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )が最小噴射量Qmin 未満となることはない。また、フューエルカット中はエンジン1の自立運転が停止されているため、吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン1の運転に影響を及ぼすこともない。
(2)ブローバイガス中の燃料濃度が高い旨判断されるときには、吸気通路3にブローバイガスを戻して同ガスの処理を速やかに行う必要性が高くなる。また、エンジン温度が高い旨判断されるときには、エンジン1におけるクランクケース10内の潤滑油に混合した燃料が揮発してブローバイガス中の燃料濃度が高くなる。このような状況のもとで自動車の減速に伴うエンジン1のフューエルカットが実行されるとき、流量制御弁14の開度が拡大開度Bwに調整されるため、ブローバイガスの処理を速やかに行う必要性の高いときに同処理を速やかに行うことができる。
(3)フューエルカット中に吸気通路3に戻されるブローバイガス中の燃料成分は、エンジン1の燃焼室2を通過して排気通路4に設けられた触媒15にて処理される。また、上記拡大開度Bwに関しては、ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど、閉じ側の値となるよう可変設定されることとなる。これにより、吸気通路3に戻されるブローバイガスによって排気通路4に流される燃料成分の量が触媒15にて処理することの可能な量を越えないよう、且つ上記ブローバイガスのガス流量が可能な限り多い量となるよう、同ガス流量を調整することが可能になる。従って、ブローバイガスの処理を速やかに行いつつ、同ガスによって排気通路4に流される燃料成分を触媒15にて処理しきれなくなることを抑制できるようになる。
(4)自動車の減速に伴うエンジン1のフューエルカット中、流量制御弁14の開度を開き側の値にすればするほど、エンジン1のポンピングロスが低減してゆくため、そのポンピングロスを利用した自動車の制動(いわゆるエンジンブレーキ)も生じにくくなる。しかし、自動車の減速に伴うフューエルカット中の流量制御弁14の開度である上記拡大開度Bwは、上記ポンピングロスを利用した自動車の制動を必要とする車速の高い状態のときほど、閉じ側の値となるよう可変設定される。このため、上記フューエルカット中、上記ポンピングロスを利用した自動車の制動を必要レベルに保持しつつ、可能な限り流量制御弁14の開度を開き側の値としてブローバイガスの処理を速やかに行うことが可能になる。
(5)上記拡大開度Bwは、自動車の減速中にエンジン1のポンピングロスを利用した自動車の制動を必要レベルとし得る同流量制御弁14の開度範囲のうち最も開き側の値となるように算出される。このため、フューエルカット中に流量制御弁14の開度が拡大開度Bwに調整されたとき、それによる自動車の減速時におけるエンジン1のポンピングロスを利用した制動を必要レベル以上に保持しつつ、ブローバイガスの処理を最も効率よく処理可能な状態とすることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図5〜図7に基づき説明する。
この実施形態は、第1実施形態のようにエンジン1のフューエルカット中に流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することに代えて、エンジン1における燃焼室2内の混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチにすべく燃料噴射量を増量補正する燃料増量制御の実行中に、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整するようにしたものである。ちなみに、このような燃料増量制御としては、エンジン1の運転状態が同エンジン1の高出力を必要とする運転領域にあるとき、その要求を満たすべく燃料噴射量を増量補正する燃料増量制御(以下、「パワー増量制御」という)があげられる。
次に、本発明の第2実施形態を図5〜図7に基づき説明する。
この実施形態は、第1実施形態のようにエンジン1のフューエルカット中に流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することに代えて、エンジン1における燃焼室2内の混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチにすべく燃料噴射量を増量補正する燃料増量制御の実行中に、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整するようにしたものである。ちなみに、このような燃料増量制御としては、エンジン1の運転状態が同エンジン1の高出力を必要とする運転領域にあるとき、その要求を満たすべく燃料噴射量を増量補正する燃料増量制御(以下、「パワー増量制御」という)があげられる。
こうした燃料増量制御の実行中には、フィードバック補正係数FAFの増減の停止を通じて空燃比フィードバック制御が実行停止される。また、上記燃料増量制御の実行中には、吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量が増加して燃焼室2に供給される燃料成分の量が増えたとしても、それによる増加は、燃料増量制御による燃料噴射量の増量によって燃焼室2に供給される燃料の増加に比べると少なく、同制御中のエンジン運転に過大な影響を及ぼすことはない。従って、上記燃料増量制御の実行中は、空燃比フィードバック制御が行われず、且つ吸気通路3に戻されるブローバイガスがエンジン運転に過大な影響を及ぼすことのないエンジン運転状態になる。こうした燃料増量制御の実行中に流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することにより、第1実施形態と同様、ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができるようになる。
なお、燃料増量制御としてのパワー増量制御が実行されるエンジン1の運転領域を図5に示す。同図から分かるように、パワー増量制御の実行されるエンジン1の運転領域は、エンジン1の高負荷運転領域、より詳しくは全負荷に近い高負荷運転領域がとなっている。また、エンジン1の運転領域において、パワー増量制御の実行される領域以外の領域に関しては、空燃比フィードバック制御の実行が許可される運転領域(以下、「F/B許可領域」という)となっている。
次に、本実施形態のエンジン1の燃料噴射量制御について、上記パワー増量制御を含めて詳しく説明する。
この燃料噴射量制御に関しては、以下の式(2)を用いて算出される噴射量指令値Qfin に対応した量の燃料が燃料噴射弁5から噴射されるよう、同燃料噴射弁5を上記噴射量指令値Qfin に基づき駆動することによって実現される。
この燃料噴射量制御に関しては、以下の式(2)を用いて算出される噴射量指令値Qfin に対応した量の燃料が燃料噴射弁5から噴射されるよう、同燃料噴射弁5を上記噴射量指令値Qfin に基づき駆動することによって実現される。
Qfin =Qbase・FAF・H1・X …(2)
Qfin :噴射量指令値
Qbase:基本燃料噴射量
FAF:フィードバック補正係数
H1 :パワー増量補正係数
X :その他の補正係数
式(2)においては、第1実施形態の式(1)における右辺にパワー増量係数H1を更に乗算したものとなっている。このパワー増量係数H1に関しては、エンジン運転状態が上記F/B許可領域にあるときには「1.0」に設定され、エンジン運転状態がパワー増量制御の実行される領域にあって同制御が実行されるときには「1.0」よりも大きい値に設定される。このようにパワー増量係数H1を「1.0」よりも大きい値とすることにより、パワー増量制御が実行され、燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )が増量されることとなる。パワー増量制御が実行されるときのパワー増量係数H1としては、予め実験等により定められた固定値を採用してもよいし、エンジン負荷等のエンジン運転状態に応じて変化する可変値を採用してもよい。また、パワー増量制御の実行中にはフィードバック補正係数FAFの増減は停止される。
Qfin :噴射量指令値
Qbase:基本燃料噴射量
FAF:フィードバック補正係数
H1 :パワー増量補正係数
X :その他の補正係数
式(2)においては、第1実施形態の式(1)における右辺にパワー増量係数H1を更に乗算したものとなっている。このパワー増量係数H1に関しては、エンジン運転状態が上記F/B許可領域にあるときには「1.0」に設定され、エンジン運転状態がパワー増量制御の実行される領域にあって同制御が実行されるときには「1.0」よりも大きい値に設定される。このようにパワー増量係数H1を「1.0」よりも大きい値とすることにより、パワー増量制御が実行され、燃料噴射量(噴射量指令値Qfin )が増量されることとなる。パワー増量制御が実行されるときのパワー増量係数H1としては、予め実験等により定められた固定値を採用してもよいし、エンジン負荷等のエンジン運転状態に応じて変化する可変値を採用してもよい。また、パワー増量制御の実行中にはフィードバック補正係数FAFの増減は停止される。
なお、この実施形態のエンジン1においては、燃料として、ガソリン単体、アルコール単体、更にはガソリンとアルコールとを混合した燃料を使用可能となっている。そして、燃料中のアルコール濃度に関しては、式(2)のフィードバック補正係数FAFを利用して検出することが可能である。すなわち、燃料中のアルコール濃度が高くなるほど、混合気が完全燃焼する空燃比がリッチ側の値となることから、エンジン1の始動完了後に最初に空燃比フィードバック制御が実行された後、フィードバック補正係数FAFが初期値(「1.0」)から変化して安定したときの値が燃料中のアルコール濃度に対応した値となる。具体的には、燃料中のアルコール濃度が高くなるほど、フィードバック補正係数FAFの上記安定したときの値が「1.0」に対し増加側に離れた値となる。従って、フィードバック補正係数FAFの上記安定したときの値に基づき、燃料中のアルコール濃度を検出することができる。そして、その検出された燃料中のアルコール濃度は、電子制御装置19のRAMに記憶され、各種制御に用いられる。
次に、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整する手順について図7を参照して説明する。同図は、本実施形態の開度指令値設定ルーチンを示すフローチャートである。この開度指令値設定ルーチンも、電子制御装置19を通じて、例えば16ms毎などの所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、上記[1]の判断処理に相当する処理(S201)及び上記[2]の判断処理に相当する処理(S202,S203)が実行されるとともに、上記[3]の判断処理に代えて[4]燃料増量制御(この例ではパワー増量制御)の実行中であるか否かを判断するための処理(S204)が実行される。
そして、上記[1]の判断処理に相当する処理、上記[2]の判断処理に相当する処理、及び上記[4]の判断処理のうち、いずれか一つで否定判定がなされると、基本開度Bbを算出する処理(S207)、及び同基本開度Bbを開度指令値Bに設定する処理(S208)が順に行われる。その結果、流量制御弁14の開度が上記開度指令値Bとなるように同流量制御弁14が駆動され、それによって同流量制御弁14の開度が基本開度Bbへと調整される。
一方、上記[1]の判断処理に相当する処理、上記[2]の判断処理に相当する処理、及び上記[4]の判断処理で全て肯定判定である状況は、エンジン温度が高い旨の判断、及びブローバイガス中の燃料濃度が高い旨の判断が行われ、更に燃料増量制御の実行中である状況を意味する。このような状況のもとでは、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwとするための処理(S205,S206)が実行される。
具体的には、燃料中のアルコール濃度及びブローバイガス中の燃料濃度に基づき拡大開度Bwが算出され(S205)、その拡大開度Bwが開度指令値Bに設定される(S206)。その結果、流量制御弁14の開度が上記開度指令値Bとなるように同流量制御弁14が駆動され、それによって同流量制御弁14の開度が拡大開度Bwへと調整される。
上記ステップS205において、拡大開度Bwは、流量制御弁14を基本開度Bbよりも開き側の開度に駆動したときの燃料増量制御(パワー増量制御)への影響を許容し得る同流量制御弁14の開度範囲のうち最も開き側の値となるように算出される。このように拡大開度Bwを算出することにより、燃料増量制御の実行中に流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整したとき、それによる燃料増量制御への影響を許容レベル未満に抑えつつ、可能な限り流量制御弁14の開度を開き側の値としてブローバイガスの処理を速やかに行うことが可能になる。
また、こうした拡大開度Bwの算出は、燃料中のアルコール濃度と拡大開度Bwとの関係を規定したマップを用いて行われる。このマップは、ブローバイガスの燃料濃度に応じて複数用意されている。そして、拡大開度Bwの算出する際には、複数のマップのうちからブローバイガス中の燃料濃度に対応したマップが選択され、そのマップを参照して燃料中のアルコール濃度に基づき拡大開度Bwの算出が行われる。なお、上記燃料中のアルコール濃度に関しては、電子制御装置19のRAMに記憶されたものが用いられる。上記のように算出された拡大開度Bwに関しては、例えば図6に示されるように、燃料中のアルコール濃度が高いほど開き側の値になるとともに、ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど閉じ側の値となる。言い換えれば、拡大開度Bwは、上記のように算出されることにより、燃料中のアルコール濃度が高いほど開き側の値となり、且つブローバイガス中の燃料濃度が高いほど閉じ側の値となるように、可変設定されることとなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(6)燃料増量制御(パワー増量制御)が実行されるときには、空燃比フィードバック制御を停止し、燃料噴射量のパワー増量係数H1分の増量を行っているため、常に最小噴射量Qmin 以上の燃料噴射量が確保される。この状態においては、流量制御弁14を基本開度Bbよりも開き側に駆動して吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量を多くしたとしても、それが上記空燃比フィードバック制御に影響を与えることはなく、燃料噴射量の最小噴射量Qmin に未満への減少に繋がることもない。また、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することにより吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量が増加して燃焼室2に供給される燃料成分の量が増えたとしても、それによる増加は、燃料増量制御による燃料噴射量の増量によって燃焼室2に供給される燃料の増加に比べると少ない。従って、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することにより、吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量が増えたとしても、それがエンジン運転に過大な影響を及ぼすことはない。このように、エンジン1の燃料増量制御中に流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することで、ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができる。
(6)燃料増量制御(パワー増量制御)が実行されるときには、空燃比フィードバック制御を停止し、燃料噴射量のパワー増量係数H1分の増量を行っているため、常に最小噴射量Qmin 以上の燃料噴射量が確保される。この状態においては、流量制御弁14を基本開度Bbよりも開き側に駆動して吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量を多くしたとしても、それが上記空燃比フィードバック制御に影響を与えることはなく、燃料噴射量の最小噴射量Qmin に未満への減少に繋がることもない。また、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することにより吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量が増加して燃焼室2に供給される燃料成分の量が増えたとしても、それによる増加は、燃料増量制御による燃料噴射量の増量によって燃焼室2に供給される燃料の増加に比べると少ない。従って、流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することにより、吸気通路3に戻されるブローバイガスのガス流量が増えたとしても、それがエンジン運転に過大な影響を及ぼすことはない。このように、エンジン1の燃料増量制御中に流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整することで、ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができる。
(7)ブローバイガス中の燃料濃度が高い旨判断されるときには、吸気通路3にブローバイガスを戻して同ガスの処理を速やかに行う必要性が高くなる。また、エンジン温度が高い旨判断されるときには、エンジン1におけるクランクケース10内の潤滑油に混合した燃料が揮発してブローバイガス中の燃料濃度が高くなる。このような状況のもとで燃料増量制御が実行されるとき、流量制御弁14の開度が拡大開度Bwに調整されるため、ブローバイガスの処理を速やかに行う必要性の高いときに同処理を速やかに行うことができる。
(8)ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど、吸気通路3にブローバイガスを戻したときに、それによる燃料増量制御への影響が大きくなる。また、上記拡大開度Bwに関しては、ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど、閉じ側の値となるよう可変設定されることとなる。これにより、吸気通路3にブローバイガスを戻すことによる燃料増量制御への影響が許容レベル未満となるよう、且つ上記ブローバイガスのガス流量が可能な限り多い量となるよう、同ガス流量を調整することが可能になる。従って、ブローバイガスの処理を速やかに行いつつ、同ガスによる燃料増量制御への影響を許容レベル未満に抑えることができるようになる。
(9)燃料増量制御中における流量制御弁14の開度とされる拡大開度Bwは、燃料中のアルコール濃度が高いほど、開き側の値となるよう可変設定される。ここで、燃料中のアルコール濃度が高いほど、燃焼室2内の混合気を完全燃焼させるための空燃比がリッチ側の値になることから、ブローバイガスの処理において、より多量のブローバイガスを吸気通路3に戻すことが可能になる。このことを考慮して、燃料中のアルコール濃度が高いほど上記拡大開度Bwを開き側の値となるように可変設定することができるため、ブローバイガスの処理をより一層速やかに行うことができる。
(10)上記拡大開度Bwは、流量制御弁14を基本開度Bbよりも開き側の開度に駆動したときの燃料増量制御(パワー増量制御)への影響を許容し得る同流量制御弁14の開度範囲のうち最も開き側の値となるように算出される。このため、燃料増量制御の実行中に流量制御弁14の開度を拡大開度Bwに調整したとき、それによる燃料増量制御への影響を許容レベル未満に抑えつつ、ブローバイガスの処理を最も効率よく処理可能な状態とすることができる。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施してもよい。
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施してもよい。
・第2実施形態において、拡大開度Bwをブローバイガス中の燃料濃度のみに応じて可変設定したり燃料中のアルコール濃度のみに応じて可変設定したりしてもよい。
・第2実施形態において、上記[1]の判断処理に相当する処理と上記[2]の判断処理に相当する処理とのいずれか一方のみ行うようにしてもよい。また、これらの処理については、必ずしも行う必要はなく、省略することも可能である。
・第2実施形態において、上記[1]の判断処理に相当する処理と上記[2]の判断処理に相当する処理とのいずれか一方のみ行うようにしてもよい。また、これらの処理については、必ずしも行う必要はなく、省略することも可能である。
・第2実施形態において、燃料増量制御として、混合気の空燃比をリッチ側の値として燃焼室の壁面温度やピストンの温度を低下させる制御が行われるエンジンに本発明を適用してもよい。同制御に関しては、その実行中に空燃比フィードバック制御が停止されることになるとともに、流量制御弁14の基本開度Bbよりも開き側への駆動により過大な影響を受けることはないため、この例においても第2実施形態と同等の効果が得られるようになる。
・第1実施形態において、拡大開度Bwを車速のみに応じて可変設定したり燃料中のアルコール濃度のみに応じて可変設定したりしてもよい。
・第1実施形態において、上記[1]の判断処理と上記[2]の判断処理とのいずれか一方のみ行うようにしてもよい。また、これらの処理については、必ずしも行う必要はなく、省略することも可能である。
・第1実施形態において、上記[1]の判断処理と上記[2]の判断処理とのいずれか一方のみ行うようにしてもよい。また、これらの処理については、必ずしも行う必要はなく、省略することも可能である。
・第1及び第2実施形態において、拡大開度Bwを、基本開度Bbに対し実験等によって定められた固定値を加算することにより算出してもよい。
1…エンジン、2…燃焼室、3…吸気通路、4…排気通路、5…燃料噴射弁、6…点火プラグ、7…ピストン、7a…ピストンリング、8…クランクシャフト、9…シリンダ内壁、10…クランクケース、11…スロットルバルブ、12…新気導入通路、13…ガス流出通路、14…流量制御弁、15…触媒、19…電子制御装置(制御手段)、20…アクセルペダル、21…アクセルポジションセンサ、22…スロットルポジションセンサ、23…エアフロメータ、24…クランクポジションセンサ、25…水温センサ、26…酸素センサ、27…車速センサ。
Claims (11)
- 排気中の酸素濃度に応じて増減するフィードバック補正値に基づき燃料噴射量を補正することで燃焼室内の空燃比を目標値へと制御する空燃比フィードバック制御が実施される内燃機関に適用され、前記燃焼室から漏れたブローバイガスを吸気通路に戻す際のガス流量を可変とすべく開度調整される流量制御弁と、その流量制御弁の開度が機関運転状態に応じて定められる最適開度に調整されるよう同流量制御弁を駆動制御する制御手段とを備える内燃機関のブローバイガス処理装置において、
前記最適開度は、前記空燃比フィードバック制御の実行中に前記燃料噴射量を最小噴射量以上とし得る前記流量制御弁の開度範囲内のうち最も開き側の開度であり、
前記制御手段は、前記空燃比フィードバック制御が行われず、且つ前記吸気通路に戻されるブローバイガスが機関運転に過大な影響を及ぼすことのない機関運転状態にあるとき、前記流量制御弁を前記最適開度よりも開き側の開度である拡大開度となるように駆動するものである
ことを特徴とする内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記内燃機関は、車両に搭載されて同車両の減速中にフューエルカットが実行され、同機関の排気通路に未燃燃料成分を処理して浄化する触媒が設けられるものであり、
前記空燃比フィードバック制御は、前記フューエルカットの実行中、前記フィードバック補正値の増減の停止を通じて実行停止されるものであり、
前記制御手段は、前記フューエルカットの実行中、前記流量制御弁を前記拡大開度となるように駆動する
請求項1記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記制御手段は、機関温度が高いか否かの判断、及び前記ブローバイガス中の燃料濃度が高いか否かの判断を行い、それら判断の両方が肯定であるときのみ、前記流量制御弁をその開度が前記拡大開度となるよう駆動する
請求項1又は2記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記制御手段は、前記ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど、前記拡大開度を閉じ側の値となるよう可変設定する
請求項3記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記制御手段は、車速の高い状態のときほど前記拡大開度を閉じ側の値となるように可変設定する
請求項2〜4のいずれか一項に記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記制御手段は、車両の減速中に内燃機関のポンピングロスを利用した車両の制動を必要レベルとし得る同流量制御弁の開度範囲のうち、最も開き側の値を前記拡大開度として用いる
請求項2〜5のいずれか一項に記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記内燃機関は、前記燃焼室内の空燃比を前記目標値よりもリッチにすべく燃料噴射量を増量する燃料増量制御が実行されるものであり、
前記空燃比フィードバック制御は、前記燃料増量制御の実行中、前記フィードバック補正値の増減の停止を通じて実行停止されるものであり、
前記制御手段は、前記燃料増量制御の実行中、前記流量制御弁をその開度が前記拡大開度となるように駆動する
請求項1記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記制御手段は、機関温度が高いか否かの判断、及び前記ブローバイガス中の燃料濃度が高いか否かの判断を行い、それら判断の両方が肯定であるときのみ、前記流量制御弁をその開度が前記拡大開度となるよう駆動する
請求項7記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記制御手段は、前記ブローバイガス中の燃料濃度が高いほど、前記拡大開度を閉じ側の値となるよう可変設定する
請求項7又は8記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記制御手段は、燃料中のアルコール濃度を検出するとともに、そのアルコール濃度が高いほど前記拡大開度を開き側の値となるように可変設定する
請求項7〜9のいずれか一項に記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。 - 前記制御手段は、前記流量制御弁を前記最適開度よりも開き側の開度に駆動したときの燃料増量制御への影響を許容し得る同流量制御弁の開度範囲のうち、最も開き側の値を前記拡大開度として用いる
請求項7〜10のいずれか一項に記載の内燃機関のブローバイガス処理装置。
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JP2008025339A JP2009185664A (ja) | 2008-02-05 | 2008-02-05 | 内燃機関のブローバイガス処理装置 |
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JP2014152722A (ja) * | 2013-02-12 | 2014-08-25 | Suzuki Motor Corp | 燃料噴射量制御装置 |
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