以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
図1は、本発明の実施形態による、書庫管理システムの構成を示す模式図である。本第1実施形態では、扉がある書庫の場合での書庫管理システムについて説明する。図において、書類1は、バインダに綴じられて書庫2内に保管されている。該書庫2には、扉2aが設けられている。各書類(バインダ)1には、その背表紙に、電池を内蔵して自ら電波を送信するアクティブ型の無線タグ(RFID:Radio Frequency Identification:以下、タグと呼ぶ)3が貼り付けられている。また、同様のタグ3は、多くの書類を保管する書庫2の扉2aの内側にも貼り付けられている。
該タグ3は、通常の無線機能に加えて、発光する発光素子(LED:Light Emitting Diode)4、明るさを検知する受光素子(PD:Photo Diode)5、後述する受信機の読取装置(リーダ)からの指示を受信すると(タグは、読取装置からの送信信号を受ける受信機能を備えている)、振動を検知する振動センサ6を搭載している。該タグ3は、受光素子4により検知された明るさの情報や、振動センサ6で検知した振動の情報などを含めた信号をタグ情報として送信するようになっている。
次に、読取装置10は、タグ3からのタグ情報を受信して管理装置20に送信する。該読取装置10は、タグ情報を読むだけでなく、タグ3に対して、例えば、タグ3に搭載された発光素子4を発光させる指示を送信することも可能となっている。該読取装置10は、必要に応じて、書類1の閲覧を許された書庫2近傍以外にも、その外側で建物内の廊下や、階段、建物の外への出入り口など各所に設置されていてもよい。また、ウェブカメラ11は、書庫2のある部屋を含む各所に設置されており、書庫2を含む部屋内を撮影しており、撮影した画像を管理装置20に送信する。
次に、管理装置20は、読取装置からのタグ情報に従って、書庫2に保管されている書類1が、どのような状況であるかを判別する。詳細には、管理装置20は、タグ情報に従って、書庫2の扉2aの内側に貼り付けたタグ3の振動センサ6による振動有無の情報や、受光素子5による明るさの情報から、書庫2の扉2aが開けられたり、書庫室の外側の廊下や階段などに設置した読取装置10で書類1に付けられたタグ3から送信されたタグ情報から、書類1が書庫室の外へ持ち出されたりしたかを判別する。また、管理装置20は、書庫2、書類1の状況から、サーバ装置30にタグ情報を記録したり、必要に応じて、書庫室を含む各所に設置されているウェブカメラ11が撮影した画像をサーバ装置30に保存したり、警告信号を発令したりする。
特に、書類1に貼り付けたタグ2の振動の情報が読取装置10で受信されて、書庫2から書類1が取り出された場合には、ウェブカメラ11で書庫2を撮影する。また、書庫2の上側に鏡(カーブミラー)12を設置して、ウェブカメラ11により該鏡12に映り込みを撮影することで、書庫2から書類1を取り出した人物の正面も画像に残すことができるようになっている。
図1には、ある人物が書庫2の1つの扉2aを開けて、書類1を取り出そうとしている状況が示されている。このとき、その書庫2の扉2aの裏側に貼り付けられたタグ3は、搭載されている受光素子5で書庫室の明るさを検知し、また、扉2aを開けた際の振動を振動センサ6が検知する。タグ3がこれらの情報をタグ情報として送信することにより、このタグ情報を受信した読取装置10が、管理装置20へとタグ情報を供給する。管理装置20では、書庫2の扉2aの裏側に貼り付けられたタグ3からのタグ情報から、受光素子5により明るさが検知され、また、振動センサ6により振動が検知されたことを認識し、書庫2の扉2aが開けられたと判定する。管理装置20は、該判定結果から、その読取装置10によって受信されたタグ情報を、サーバ装置30に記録するとともに,書庫室に設置されているウェブカメラ11が撮影した画像もサーバ装置30に記録することで、後で誰が書庫2の扉2aを開けたかを確認できるようにしている。
書庫室のウェブカメラ11が1台の場合には、どの書庫2の扉2aが開けられたのか、あるいは、どの位置の書類1なのかなど、2次元的な位置を確認できる。この2次元的な位置とは、ウェブカメラ11が設置されている位置と撮影している方向が決められているか、撮影するウェブカメラ11の向きを変えられる場合でもその向きが把握されてさえいれば、ウェブカメラ11からの撮影方向に対して垂直な平面上のどの点が書類1の位置であるかが座標として求められることを意味している。
図2は、本第1実施形態において、ウェブカメラ11の台数と位置特定との関係を説明するための書庫室の斜視図である。図2では、書庫室の天井の手前側に2台のウェブカメラ11−1、11−2がそれぞれ両隅に設置されている。この2台のウェブカメラ11−1、11−2の片方に注目する。例えば、ウェブカメラ11−1は、書庫室の奥側の壁に設置してある書庫2へ向かう方向を撮影するようになっている。このとき、ウェブカメラ11−1の視野には、壁に設置した書庫2の全体が入いる。そして、この書庫内のある一点を目標座標点とする。この目標座標点は、ウェブカメラ11−1の設置された位置(図2では、書庫室の天井で手前側の片隅)と撮影の向き(奥側の壁に設置された書庫2への方向)とが正確に分かっていれば、ウェブカメラ11−1の撮影画像上の平面の一点に定まる。これが1台のウェブカメラによる2次元的な位置の特定になる。
また、書庫2の上側の所に、図1に示す鏡(カーブミラー)12を設置しておけば、ウェブカメラ11−1が撮影する方向に対して背を向ける人物(通常、書庫2内の書類1を取り出そうとする者は、書庫2に対面した向きに立つので、ウェブカメラ11−1の方向に背を向ける状態になる)の顔が鏡12に映り込むことになる。したがって、ウェブカメラ11−1で撮影した画像によれば、鏡12に映る人物の正面側からの顔も確認することが可能になる。
また、書庫室に2台以上のウェブカメラを設置できる場合には、書庫2の開いた扉2aや、取り出される書類1の位置などを、3次元的な位置として把握することが可能である。撮影する2台のウェブカメラのそれぞれの位置と、それぞれの撮影する方向とが与えられていると、一方のウェブカメラにより撮影した画像での対象物の位置から、そのウェブカメラからどの方向に対象物があるのかを特定することができる。したがって、2つあるウェブカメラの既に分かっている位置からそれぞれ特定される方向に直線を伸ばして交わる交点に対象とするものがあることになるので、その対象の位置を3次元的に特定できたことになる。
上述した内容を図2を参照しながら、ウェブカメラの台数と位置特定との関係をより詳細に説明する。図2には、書庫室の天井で手前側に2台のウェブカメラ11−1、11−2が両隅に設置されている。上述した説明では、図示のウェブカメラ11−1しか用いていなかったが、ここでは、2台のウェブカメラ11−1と11−2の両方を用いた場合について説明する。図2に示す座標原点(X0,Y0,Z0)、X軸Y軸Z軸の各軸として、ウェブカメラ11−1の位置は、(Xc1,Yc1,Zc1)=(0,Yc1,Zc1)で、ウェブカメラ11−2の位置は、(Xc2,Yc2,Zc2)=(0,0,Zc2)である。
各々のウェブカメラ11−1、11−2では、それぞれ書庫2の全体を入れた視野、ウェブカメラ11−1の視野とウェブカメラ11−2の視野がある。一方のウェブカメラ11−1が撮影する方向は、X軸からY軸へ−αc1の角度、X軸からZ軸へ−βc1の角度で、他方のウェブカメラ11−2が撮影する方向は、X軸からY軸へαc2の角度、X軸からZ軸へ−βc2の角度である。これらの視野で、書庫内の1点となる目標座標点は、ウェブカメラ11−1で撮影された撮影画像IMG1にも、ウェブカメラ11−2で撮影された撮影画像IMG2にも2次元上で特定できる。ここで、各ウェブカメラ11−1、11−2が設置された座標から、カメラ方向に向いた垂線を持つ平面に撮影画像を置いて、それらの2次元上で特定された位置へと直線を引いて延長する。
これらウェブカメラ11−1とウェブカメラ11−2からのそれぞれの2本の直線が交わる交点が目標座標点Tとして求まる。すなわち、設置されたウェブカメラの台数が2台以上あって、それぞれで同じ対象(目標)を撮影した場合には、その対象の位置(目標座標点)を3次元的に特定することができる。図2では、目標座標点は(Xt,Yt,Zt)であるとする。図2の左上に示すように、真上Z軸方向からX−Y平面を見ると、ウェブカメラ11−1の位置(0,Yc1,Zc1)からX軸からY軸へ−αc1の角度の破線L1と、ウェブカメラ11−2の位置(0,0,Zc2)からX軸からY軸へαc2の角度の一点破線L2とが目標座標点(Xt,Yt,Zt)で交差する。
なお、この図2では、2台のウェブカメラ11−1、11−2が書庫室の天井の手前側両隅に設置されている、比較的簡単な状況を想定しているから、条件として、天井の高さと一致している2台のウェブカメラの高さは同じ(Zc1=Zc2)で、かつ、双方のウェブカメラ11−1、11−2が捉えた目標座標点が同じであるため、各ウェブカメラの向きを示す破線L1と一点破線L2がそれぞれX軸からZ軸方向へ成す角度も同じ(−βc1=−βc2)という関係を満たしている。
次に、書庫2の扉2aを開けた人物が、その扉2aが開いた書庫2から書類1を取り出すと、その書類1に貼り付けられたタグ3に搭載された振動センサ6が書類1の取り出した際の振動を検出する。該書類1に付けられたタグ3は、この振動を検出した振動センサ6の情報を含む信号を送信し、そのタグ情報を読取装置10が受信する。読取装置10からこのタグ情報が管理装置20に供給されると、管理装置20は、書類1が書庫2から取り出されたと判定する。管理装置20は、読取装置10に対して書類1に付けられたタグ3に搭載された発光素子4を発光させるよう指示する。
読取装置10は、タグ3に対して発光素子4を発光させる指示を含む信号を送信する。この指示の信号をタグ3が受信すると、発光素子4を発光させる。この書類1に付いたタグ23の発光素子4の発光と同時に、管理装置20は、ウェブカメラ11により撮影された撮影画像をサーバ装置30に記録させる。撮影画像には、発光素子4が発光しているタグ3が付けられた書類1が映っている。これにより、記録された画像と発光素子4の発光が指示されたタグ3の情報とが一致しているので、どの書類(取り付けたタグの発光素子が発光したもの)1が書庫2から取り出されたのか、確実に特定することができる。
書類1に付けたタグ3に搭載された発光素子4を発光させる点については、前述した撮影用のウェブカメラ11の撮影画像において、対象となる書庫2や、閲覧する書類1を特定する画像処理のための取り扱いを極めて簡単にする効果がある。それは、発光素子4の発光に用いられる、ある決まった波長の光(発光色)を、撮影画像内で特定して捉えるような処理を実施することで、極めて簡単に実際の対象となる書庫2や、書類1の位置などをその撮影画像内で把握することができる。また、該色彩認識処理という画像処理を行うのではなく、より単純に、撮影するウェブカメラ11のレンズに発光素子4の発光波長のみに対して透過率が高いフィルタを付けて撮影することも考えられる。このような特定の波長のみに対して透過率が高いフィルタを付けて撮影された撮影画像では、特別な画像処理を行わなくても、その波長の発光をする発光素子が画像内でも顕著に明るい点として撮影されるので、そのまま画像上の座標位置として認識することができる。
次に、図1に示す利用状況(書庫の扉を開け、書類を取り出すところ)に続き、書庫2より取り出した書類1を閲覧したり、その後、書類1を取り扱ったりする状況について説明する。図3は、書庫2より取り出した書類1を閲覧したり、その後、書類1を取り扱ったりする状況を説明するための模式図である。図3において、読取装置10a〜10cは、書庫室内や、書庫室の外に設置されている。読取装置10a〜10cは、タグ3から送信される信号を受信して、このタグ3からのタグ情報を管理装置20に供給する。また、管理装置20からの指示により、タグ3に搭載された発光素子4の発光指示などを、読取装置10a〜10cが受けると、その指示を含む信号をタグ3へと送信する。また、書庫室内には、撮影用のウェブカメラ11が設置されている。該ウェブカメラ11は、撮影した撮影画像を管理装置20に供給する。
次に、上述した読取装置10a〜10cや、ウェブカメラ11から供給される様々なデータを受け取って処理する管理装置20につて説明する。本第1実施形態による書庫管理システムでの管理装置20の処理としては、書庫2や書類1の状況監視と書類1の持ち出しなどを防止するための警告とがある。状況監視は、書庫2の扉2aの内側に取り付けたタグ3の信号を、読取装置10a〜10cで受信することで、その書庫2の扉2aの開閉を判定することや、書庫2に収納されている書類1に取り付けられているタグ3からのタグ情報を、読取装置10a〜10cで受信し、その受信したタグ情報により書庫2からの書類1の取り出しを判定し、そのタグ3の発光素子4を発光させるべく指示してウェブカメラ11により画像を撮影してサーバ装置30に記録するなど、関係する機器に指示する制御も行う。
図3において、書庫2内に収納された書類1に付けられたタグ3の周囲は暗く、また、書類1が動かされてタグ3が振動することもない。さらに、もし、タグ3から定期的に信号が送信され、その信号を読取装置10aが受信したとしても、書庫2の扉2aがタグ3と読取装置10aとの間を遮るので、読取装置10aが受信する信号の電界強度は弱いものとなる。このように、タグ3からの信号が読取装置10aで受信されない場合、あるいは受信されたとしても、タグ3に搭載されている受光素子5は、明るさを検知していないか、あるいは振動センサ6が振動を検知しないというタグ情報となり、しかも、受信した信号の電界強度も弱い。このような場合には、書類1は、書庫2に収納されている状態であると判定することができる。
次に、書庫2から書類1を取り出し、書庫室内でその書類1を閲覧している状況について説明する。この場合には、書類1が書庫2に収納されている場合とは違い、書類1に取り付けられたタグ3から送信される信号には、このタグ3の周囲の(書庫室の照明の明るさや、窓からの外光があるため)明るさや、書類1を閲覧するときに机の上でも手を触れるため、振動センサ6により振動が検知される。また、タグ3から送信される信号は、書庫2の扉2aに遮られることもないので、読取装置10a(または10b)が受信する信号の電界強度は強い。したがって、タグ3から送信する信号に明るさや、振動が検知されたことを示すタグ情報を含む場合や、読取装置10a(または10b)が受信する信号の受信強度が強い場合には、書庫2から書類1を取り出して書庫室内でその書類1を閲覧している状態であると判定することができる。
また、書類1が書庫2に収納されている状態からある書類1が書庫2から取り出された状態に移ったときには、書庫室内に設置している撮影用のウェブカメラ11で撮影された撮影画像をサーバ装置30に記録する。逆に、書庫2から取り出され、閲覧された状態の書類1を片付けて、書庫2に収納された状態へと移ったときにも、ウェブカメラ11で撮影した画像をサーバ装置30に記録するようにする。こうすれば、記録されている撮影画像から誰が書庫2から書類1を取り出し、その後で、同じ書類1を元の書庫2に戻していることが記録として残るので、後からそれらの記録された撮影画像で確認することができる。
さらに、閲覧している時間が予め決めた時間よりも長い場合にも、書庫室内の状況を撮影用のウェブカメラ11により撮影した撮影画像をサーバ装置30に記録するようにしてもよい。また、書庫室に加えて、書庫室の外に読取装置10cを設置している場合には、ある書類1に付けられたタグ3から送信される信号が、順に書庫室の読取装置10a(または、10b)で受信された後に、書庫室の外の読取装置10cにより受信されると、書庫室からその書類1を持ち出したことも把握でき、この持ち出しをサーバ装置30に記録するとともに、その書類1の持ち出しが起きた時点で警告信号を発令するようにしてもよい。
また、危険の警告は、書庫2から取り出された書類1を長時間に渡って閲覧するアクセス行為を、その書類1に付けたタグ3からの信号を受信している経過時間から判断して警告を発したり、書庫室の外に設置された読取装置10cが書類1に付けたタグ3からの信号を受信することで、書庫室の外へ書類1を持ち出したことを判定して警告を発したり、この状況を記録に残したりすることである。この書庫室から外へと書類1を持ち出す危険の警告では、さらに、書庫室のある建物から外部への持ち出しも、その建物の玄関や、出口に設置した読取装置10cが書類1に付けたタグ3からの信号を受信することで判定することができる。
次に、サーバ装置30は、各書類1に関するアクセス時の記録を担う。このサーバ装置30には、書類のアクセス時に記録されるデータとして、日付時刻、書庫2の扉2a内側に付けたタグのID、この書庫2の扉2aのタグ3からの信号に含まれるタグ情報(受光素子5が検知する明るさの情報、振動センサ6が検知する振動の有無)と、読取装置10a〜10cで受信されたときの信号の電界強度、書類1に取り付けたタグ3のID、この書類1のタグ3からの信号に含まれるタグ情報(受光素子が検知する明るさの情報、振動センサが検知する振動の有無)と、読取装置10a〜10cで受信されたときの信号の電界強度、読取装置10a〜10cの設置場所を特定するための読取装置10a〜10cのIDと、そして、ウェブカメラ11での撮影画像などを挙げることができる。なお、上述したように、上記IDには、書類1または扉2aに付けたタグを識別するためのIDと、読取装置10a〜10cを識別するため、すなわち読取装置10a〜10cの設置場所特定するためのIDとがある。これらのデータは、管理装置20から供給されて、書類1へのアクセス時には、データとしてサーバ装置30に記録される。また、サーバ装置30からは、記録された(経過)データの確認として、管理装置20に供給されることもある。ある書類を閲覧している際の経過時間などを、サーバ装置30に記録されたデータを参照して閲覧の時間が予め決められた時間を超過したかを判定することにも用いられる。
上述した説明では、具体的に書庫を管理する技術を利用シーン(図1、図3)について説明した。ここからは、この書庫管理システムに用いているタグ(と読取装置)の詳しい構成と動作について説明する。
図4は、本第1実施形態による書庫管理システムのタグ(と読取装置)の構成を示すブロック図である。図4において、タグ3は、電波により信号を送信したり、受信したりするための送受信アンテナ3−1、それらの信号を取り扱うため、信号を送信する送信部3−2、信号を受信する受信部3−3を備えている。また、タグ3は、送受信アンテナ3−1と送信部3−2及び受信部3−3とに接続され、送信部3−2からの信号を送受信アンテナ3−1へ供給する一方、受信した信号を送受信アンテナ3−1から受信部3−3へ供給するサーキュレータ3−4を備えている。制御部3−5は、送信部3−2により生成された送信信号を送受信アンテナ3−1へ供給する動作を制御する一方、送受信アンテナ3−1により受信され、受信部3−3で処理された信号を処理するとともに、これに従い必要があれば、タグ3の新たな動作制御を行う。
また、タグ3は、前述したように、発光素子(LED)4、明るさを検知する受光素子(PD)5、振動を検知する振動センサ6を備えている。発光素子4は、読取装置10からの発光指示を含む信号を受信すると、制御部3−5による制御に従って発光する。受光素子5は、タグ3の周囲の明るさを検知する。これにより、タグ3が暗い場所から明るい場所に移されたときには、明るさを検知したことが受光素子3から制御部3−5に伝えられる。これをきっかけにして、制御部3−5は、送信部3−2へ明るさを検知した情報を含む信号を送信させるようにすることができる。
振動センサ6も同様で、このタグ3を取り付けている対象物(書類1、扉2a)が静止しているか、あるいは動かされたかを検知する。これにより、タグ3を付けた対象物が動かされたときには、その振動を検知したことが振動センサ6から制御部3−5に伝えられる。これをきっかけにして、制御部3−5は、送信部3−2へ振動を検知した情報を含む信号を送信させるようにすることができる。なお、発光素子4、受光素子5、振動センサ6は、必ずしも全て搭載されている必要はなく、少なくとも1つ以上搭載されていればよい。また、該タグ3は、それぞれのタグ3を識別する識別子(ID)3−6、アクティブ型タグなので自ら送信ができたり、その他の動作をしたりするための駆動電源となる電池3−7を備えている。タグのID3−6は、タグ3が送信する信号の情報に含まれるようになっている。電池3−7は、送信部3−2、受信部3−3、制御部3−5、及び発光素子4に電力を供給する。
次に、読取装置10について説明する。読取装置10は、タグ3から送信される信号を受信するための受信用アンテナ10−1と、その受信信号を処理する受信部10−2とを備えている。受信部10−2で処理された受信信号に含まれる情報は、制御部10−3に供給される。制御部10−3は、この中で、必要な情報を外部接続部10−4を介して管理装置20に供給する。また、制御部10−3は、外部接続部10−4を介して供給される管理装置20からの指示を解釈して必要なものを送信部10−5に供給する。送信部10−5は、送信信号を生成し、送信用アンテナ10−6を介してタグ3に送信する。例えば、タグ3に搭載されている発光素子4を発光する指示が送信される。電源部10−7は、読取装置10の各部、すなわち、制御部10−3、受信部10−2、送信部10−5、外部接続部10−4に電力を供給する。
次に、タグ3と読取装置10との間で送受信する無線信号について説明する。タグ3から送信する無線信号S1は、図4に示すように、「プリアンブル(Preamble)」、「ID−Tag」、「PD(受光素子)の明るさ」、「振動」、「LED」、「FCS(Frame Check Sequence)」からなる。「プリアンブル」は、タグ3が無線で信号を送信する際に、その送信する信号の最初もしくは開始を示すものであり、読取装置10が信号を受信した際に、この「プリアンブル」を確認して、これ以降に続く信号に含まれる情報を読み出すためのものである。通常は、“0”と“1”とを組み合わせて、予め決められたパターン(固定の長さ)に従った構造をとる。
なお、図4に示す読取装置10の構成はあくまで一例であり、他の構成例としては、図4に示すタグの構成のように、読取装置10の送信/受信アンテナを一体のものとし、サーキュレータを加えた構成としてもよい。
次に、「ID−Tag」は、各タグ3をそれぞれに識別するための識別子(ID)である。後述する読取装置10のIDと区別するために、ここでは、「ID−Tag」としているが、一般には、タグ3の方が読取装置10よりも頻繁に識別することが必要で、かつ重要なため、単にIDとだけ呼ばれることも多い。該書庫管理システムにおいては、このIDによりタグ3を付けられた書類1や、書庫2などを区別して認識することになる。「PDの明るさ」は、受光素子5により検出した、タグ3の周囲が暗いか/(どの程度)明るいかを示し、“0”/”1”(もしくは、明るさの数値)の状態をとる。読取装置10は、タグ3から送信される信号に含まれる、この情報を受信し、書庫2に収納されている書類1の周囲、書庫2の内側が暗い/(どの程度)明るい状況かを把握することができる。
「振動」は、振動センサにより検出した、タグ3を貼り付けた対象物から伝わる振動(動き)を示し、“1”(振動あり)/“0”(振動なし)のいずれかの状態をとる。「LED」は、タグに搭載している発光素子が発光しているか、発光していないかを示し、“1”/“0”(もしくは,例えば、発光色が3色に変わる発光素子ならば、赤色の発光を“11”、青“10”、緑“01”、発光していない状態を“00”)の状態をとる。読取装置10は、タグ3から送信される信号に含まれる、該「LED」の情報により、タグ3の発光素子4が発光しているか否か(もしくは、何色で発光しているか)を確認する。
なお、振動センサ6、受光素子(PD)5、発光素子(LED)4は、前述したように、全てがタグに搭載されている必要はなく、タグをどのような書庫管理システムに適用するかの仕様によりタグに搭載される必要な機能は異なる。仮に、振動センサ6、もしくは受光素子5、発光素子4が不要な場合には、無線信号における「振動」や、「PDの明るさ」、「LED」の領域をなくすこともできる。あるいは、それらの領域をなくすのではなく、「振動」や、「PDの明るさ」、「LED」の値を“0”/“00”、または不定としたりする(読取装置や、管理装置側で対象となった領域の値を無視する)ことで対応するようにしてもよい。
最後に、「FCS」は、プリアンブルから以降の信号でデータ誤りがないかを確認するための誤り検出のデータである。一般的に、「FSC」には、CRC(Cyclic Redundancy Check)が用いられている。読取装置10は、受信した時に送られてきた「FCS」と「プリアンブル」とから、これ以降の信号から求められるCRCの値とが同じであれば、誤りなく信号を受信できたと判定する。これに対して、タグ3からの信号を受信したときに、受信信号に含まれる「FCS」と求めたCRCとが異なるならば、受信したデータに誤りがあると判定し、その受信信号を破棄する。
また、読取装置10から送信する無線信号S2は、「プリアンブル」、「ID−Reader」、「ID−Tag」、「指令」、「FCS」からなる。「プリアンブル」は、上述したタグ3からの送信の信号の「プリアンブル」と同じ機能を持っており、読取装置10からの無線信号をタグ3が受信した際に、受信した信号の最初もしくは開始を知り、これ以降に続く信号に含まれる情報をタグ3が読み出せるようにするためのものである。「ID−Reader」は、無線信号を送信した読取装置10をタグ3側が特定・識別するためにある読取装置の識別子(ID)である。この読取装置10のID(ID−Reader)の後に続く「ID−Tag(一般に、タグの方が読取装置より頻繁に使われて単にIDと呼ばれる)」と区別できるように、「ID−Reader」としている。なお、該「ID−Reader」は、読取装置10が受信したタグ3の信号などの情報を管理装置20に供給する際にも、複数の読取装置10のどれであるかを識別するために利用される。
「ID−Reader」に続いて、「ID−Tag」があるが、これは上述したタグ3の識別子(ID)と同じものであり、後に続く指令がどのタグ3に対しての指令であるかを特定するために用いられる。指令は、後に説明をするが、例えば、書庫2や書類1に取り付けたタグ3に搭載されている発光素子4を発光させるためのものである。該指令は、もっと基本的な目的として、例えば、閲覧したい書類1が扉2aを開けた書庫2内にあるか知る際に、書類1に付けたタグ3に対してファイル名(書類名)を指定し、つまり、その書類に付いたタグ3のID(ID−Tag)を指定してタグ3の発光素子4を発光させるためにも用いられる。最後の「FCS」は、前述のタグ3のものと同じで、読取装置10から送られた信号についてタグ3側で誤りを検出するための情報である。タグ3は、この「FCS」により読取装置10からの信号に誤りがあると判断すると、受信した指令を無視するようになっている。
次に、本第1実施形態による動作について説明する。
図5は、本第1実施形態による、タグ3に搭載された受光素子5を用いた際の動作を説明するためのフローチャートである。なお、この場合の初期状態とし、書類1が書庫2内に収納されており、該書庫2の扉2aが閉じられているものとする。
書類1に付けられたタグ3は、書庫内に収納された状況では、送信を停止した待機状態となっている(ステップSa1)。この待機状態で、タグ3に搭載された受光素子5により、タグ3の周囲が暗いか明るいかを検知(条件判断)している(ステップSa2)。書庫の扉2aが閉じられていれば、タグ3の周囲は、暗いままであり(ステップSa2のNO)、送信を停止した待機状態が継続される。一方、書庫2の扉2aが開けられると、タグ3の受光素子5により、書庫室の照明や窓から入る外の明るさが検知され(ステップSa2のYES)、タグ3は、その明るさを検知した情報を含んだ信号を送信する(ステップSa3)。
読取装置10は、タグ3が送信した明るさを検知した情報を含む信号を受信する(ステップSa4)。次に、読取装置10は、どのタグ3から送信された信号かについてその信号に含まれるIDにより特定し、特定されたタグ3に対して、タグ3が搭載している発光素子4を発光するように指令する(ステップSa5)。
タグ3では、上記発光指令を受信したか否かを判定する(ステップSa6)。そして、該発光指令を対象のタグ3が受信しない場合には(ステップSa6のNO)、前述したようにタグ3は、受光素子5が明るさを検知しているかどうかを判定し、受光素子5が明るさを検知しているならば、その明るさを検知している情報を含む信号を再度送信することになる。一方、上記発光指令を対象のタグ3が受信した場合には(ステップSa6のYES)、タグ3は、発光指令に従い予め決められた短時間、発光素子4を発光させる(ステップSa7)。
また、上述したタグ3が発光しているときと同じタイミングで、ウェブカメラ11が書庫を撮影する(ステップSa8)。このウェブカメラ11で撮影された画像から発光している発光素子4のタグ3の存在を確認する(ステップSa9)。これにより、発光している発光素子4のタグ3が付けられている書類1を、撮影画像により、タグ3のIDにより特定することができ、また、同じ撮影画像に写った人物により、誰がその書類1を扱ったかを知ることができる。管理装置20は、該当するタグ3に関する情報、該タグ3が付けられている書類1、撮影画像などをサーバ装置30に登録する(ステップSa10)。なお、撮影画像に対して画像認識を行って人物を特定する処理を行うことで、サーバ装置30に、誰がどの書類(タグ3のIDから特定)を扱ったかを登録するようにしてもよい。
また、書庫2の扉2aが開けられた際に、書庫2の扉2aの内側に付けたタグ3の発光素子4を発光させるようにしてもよい。この場合、ウェブカメラ11は、書庫2の扉2aの内側に付けたタグ3の発光素子4の発光を撮影している。したがって、前述したように、撮影画像の中で発光する発光素子4の位置(すなわち、扉2aが開けられた書庫2)と特定するための画像処理が容易に行えるという効果がある。また、前述したように、ウェブカメラのレンズに発光素子4の発光波長のみに対して透過率が高いフィルタを付けて撮影することにより、特別な画像処理を行うことなく、位置を特定することができる。
次に、書庫室内の読取装置10は、その書類1に取り付けたタグ3の信号を予め決めた一定時間以上受信し続けているかを判定する(ステップSa11)。そして、その書類1が閲覧された後に書庫2に戻されずに、机の上などに放置されたままの状態など、一定時間以上タグ3からの信号を受信続けていた場合には(ステップSa11のYES)、閲覧した書類1を書庫2へ戻し忘れているとの警告を発令する(ステップSa13)。一方、読取装置10がタグ3の信号(ID+明るさ)を一定時間以上受信し続けなかった場合には(ステップSa11のNO)、続いて書庫室以外に設置している別の読取装置10が同じタグ3の信号(ID+明るさ)を受信したかどうかを判定する(ステップSa12)。
そして、誰かが書類1を書庫室から持ち出してしまうなどして、廊下や、階段、玄関、建物の出口などに設置している別の読取装置10が同じタグ3の信号(ID+明るさ)を受信した場合には(ステップSa12のYES)、取り扱いに注意を要する書類1を書庫室から誰かが持ち出したとの警告信号を発令する(ステップSa13)。また、同じタグ3からの信号を一定時間以上受信し続けず、かつ、別の読取装置10で同じタグ3からの信号を受信しない場合には、その書類1は、書庫2に戻されたと判定し、ステップSa1に戻り、待機状態となり、上述した処理を繰り返す。
次に、本第1実施形態において、受光素子5が搭載されていないタグ、もしくは受光素子5を備えていても何らかの原因で、受光素子5の情報を上手く利用できない場合について説明する。
図6及び図7は、本第1実施形態において、受光素子5の情報を上手く利用できない場合の動作を説明するためのフローチャートである。なお、この場合も、書類1が書庫2内に収納されており、該書庫2の扉2aが閉じられているものとする。また、書庫2の扉2aの内側にタグ3が貼り付けられている状況を想定している。
この書庫内に収納された書類1のタグ3と書庫2の扉2aのタグ3とは、送信を停止している待機状態となっている(ステップSb1)。この状態で、常に書庫2の扉2aに付けたタグ3に振動があるか検知する(ステップSb2)。そして、振動が検知されない場合には、ステップSb1に戻る。
一方、誰かが書類1を閲覧したいと考え、書庫2の扉2aを開けるなどして、書庫2の扉2aに付けたタグ3が振動を検知すると(ステップSb2のYES)、当該タグ3は、自身のIDと振動ありの情報とを含む信号を送信する(ステップSb3)。読取装置10は、この信号を受信する(ステップSb4)。これにより、読取装置10では、そのIDの(書庫2の扉2aの内側に付けた)タグ3が振動を検知したことが分かるので、次に、別のタグ3の信号を受信したか否かを判定する(ステップSb5)。別のタグ3として期待するのは、その書庫内の書類1に付けたタグ3である。
例えば、書庫2の扉2aが開けられて、この書庫内に書類1が収納されており、その書類1にタグ3が付けられていた場合、その書類1を取り出そうとすれば、書類1に付けられたタグ3が振動を検知するので、該タグ3が振動を検知した情報を含む信号を送信することになる。したがって、読取装置10が、書庫2の扉2aに貼り付けたタグ3とは別に信号を受信すると(ステップSb5のYES)、次の条件判断を行う。一方、読取装置10が、別のタグ3の信号を受信しない場合には(ステップSb5のNO)、ステップSb2に戻り、再度、先の書庫2の扉2aに付けたタグ3が振動を検知したかを判定する。
読取装置10が、別のタグ3からの信号を受信した場合には、受信したタグ3の信号の電界強度が強いか(所定の閾値以上であるか)を判定する(ステップSb6)。このタグ3の信号の電界強度が弱いと、書類1は書庫2から取り出されていないことになり、単に書類1を探す途中で、この書庫2の扉2aを開けただけということも考えられるし、あるいは、その書庫2の扉2aを開けた場所にある書類でないとも考えられる。そして、読取装置10が受信した別のタグ3の信号の電界強度が弱い場合には(ステップSb6のNO)、扉2aを開いた書庫の書類1ではないと判断し(ステップSb7)、ステップSb5に戻り、再度、読取装置10は、別のタグ3からの信号を受信したか否かを判定する。
一方、読取装置10は、別のタグ3から受信した信号の電界強度が強い場合には(ステップSb6のYES)、扉2aを開いた書庫2の書類1であると判断し(ステップSb8)、さらに、読取装置10は、受信したタグ3の信号に振動ありを示す情報が含まれているか否かを判定する(ステップSb9)。このとき、単に扉2aを開けた書庫2に閲覧したい書類がない場合には、一時的に扉2aが開いただけであるので、書類1に付けられたタグ3では振動を検知しない。すなわち、書類1が書庫2から取り出されない。したがって、別のタグ3の信号に振動ありを示す情報が含まれていない場合には(ステップSb9のNO)、ステップSb5に戻り、別のタグ3からの信号を受信したか否かを判定して処理を継続する。
一方、読取装置10は、別のタグ3からの信号に振動ありを示す情報が含まれていた場合には(ステップSb9のYES)、書類1が閲覧のために書庫2より取り出されたと判定し、サーバ装置30に書類1へのアクセスを記録する(ステップSb10)。具体的には、書庫2のタグ3のIDと書類1のタグ3のIDや、これらのタグ3,3から送信された信号に含まれる情報、また、この時点でウェブカメラ11により撮影された撮影画像などがサーバ装置30に記録される。
書類へのアクセスがサーバ装置30に記録された後、書庫室以外に設置している別の読取装置10が同じタグ3の信号(ID+明るさ)を受信したかどうかを判定する(ステップSb11)。そして、誰かが書類1を書庫室から持ち出してしまうなどして、廊下や、階段、玄関、建物の出口などに設置している別の読取装置10が同じタグ3の信号(ID+明るさ)を受信した場合には(ステップSb11のYES)、取り扱いに注意を要する書類1を書庫室から誰かが持ち出したとの警告信号を発令する(ステップSb13)。
一方、書庫室以外に設置している別の読取装置10が同じタグ3の信号(ID+明るさ)を受信しなかった場合には(ステップSb11のNO)、書庫室内の読取装置10は、その書類1に取り付けたタグ3の信号を予め決めた一定時間以上受信し続けているかを判定する(ステップSb12)。そして、その書類1が閲覧された後に書庫2に戻されずに、机の上などに放置されたままになったり、書類を複製や写真をとって情報を盗み出そうとしたりしている場合など、一定時間以上タグ3からの信号を受信続けていた場合には(ステップSb12のYES)、閲覧した書類1を書庫2へ戻し忘れているとの警告を発令する(ステップSb13)。
そして、通常は、別の読取装置10によりタグ3からの信号は受信されず、かつ、一定時間以上受信し続けることはない。そこで、同じタグ3からの信号を一定時間以上受信し続けず、かつ、別の読取装置10で同じタグ3からの信号を受信しない場合には、書庫2の扉2aを開けられて書籍1が戻されるので、そのときに別の書類1が閲覧されるのかを確認するために、ステップSb5に戻り、上述した処理を繰り返す。
また、単に書類1が書庫2に収納されるならば、この読取装置10が別のタグ3からの信号を受信しないので、ステップSb5でNOとなり、ステップSb2に戻り、さらに書庫2の扉2aに付けたタグ3が振動を検知したか否かを判定し、振動が検知されなければ、別の書類1を取り出そうとしていないことなので、ステップSb1の待機状態へ最終的に戻る。
次に、撮影用のウェブカメラの動作とその撮影画像をどう扱うかという視点からの動作について説明する。
図8及び図9は、本第1実施形態において、ウェブカメラ及び撮影画像に対する処理の動作を説明するためのフローチャートである。なお、この場合も、書類1が書庫2内に収納されており、該書庫2の扉2aが閉じられているものとする。また、書庫2の扉2aの内側にタグ3が貼り付けられている状況を想定している。したがって、この書庫内に収納された書類1のタグ3と書庫2の扉2aのタグ3とは、送信を停止している待機状態となっている。
待機状態において、読取装置10は、書庫2の扉2aに付けたタグ3から振動ありを示す情報を受信したか否かを判定し(ステップSc1)、振動が検知されない場合には(ステップSc1のNO)、常に、当該条件判断を行う。そして、書庫2の扉2aが書類1の閲覧のために開けられると、書庫2の扉2aに付けたタグ3から振動ありを示す情報が送信され、読取装置10は、このタグ3からの信号を受信すると(ステップSc1のYES)、管理装置10は、ウェブカメラ11による撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSc2)。このときの撮影画像の記録は、誰かが書庫2の扉2aを開けたという記録である。なお、書庫2の上部には、図1に示すように、鏡12が設置されており、書庫2の扉2aを開けた人物がウェブカメラ11の撮影方向に対して背を向けていても、鏡12に写る顔により人物を把握したり、既にアクセスを許可した人物の顔に関するデータが登録されていれば、そのデータとの照合処理を行うことで、誰が書庫を開けたかを特定したりすることも可能である。
ここで、図8に示すステップSc1における判定条件は、書庫2の扉2aに付けられたタグ3から振動ありの送信を読取装置10が受信したか、というものであるが、この条件判断の代わりとして、書庫2の扉2aに付けたタグ3から明るさがある「PD:“on”」を読取装置10が受信したか(ステップSc1a)という判定条件でもよい。この場合には、書庫2の扉2aに付けたタグ3には、受光素子5が搭載されており、書庫内は、扉2aが閉まっているときは暗く、書庫2の扉2aが開いたときは、書庫室内の照明などで明るくなることで、タグ3の受光素子5が明るさを検知することを利用している。
この他にも、書庫2の扉2aに付けたタグ3からの送信が、強い電界強度で読取装置10で受信したか(ステップSc1b)という判定条件でもよい。書庫2の扉2aの内側に貼り付けられたタグ3からの送信信号は、読取装置10に届くまでに、扉2aが閉まっていれば、扉2aに遮られて電界強度が弱くなる。一方、書庫2の扉2aが開けられると、タグ3からの送信信号は、扉2aにより遮られることがないので、強い電界強度のまま読取装置10に届く。
さて、ウェブカメラ11による撮影画像をサーバ装置30に記録した後、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信を受信したか否かを判定する(ステップSc3)。これは、書庫内に書類1があるか、あるいは、その書庫内の書類1を取り出したかを確認するものである。そして、書庫内に書類1がないか、あるいは、その書庫内の書類1を取り出していない場合には、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信を受信することはないので(ステップSc3のNO)、ステップSc1に戻る。
一方、読取装置10が書類1に付けたタグ3からの送信を受信した場合には(ステップSc3のYES)、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信が振動ありの情報を含むか否かを判定する(ステップSc4)。つまり、書類1に付けたタグ3で振動が検知されない場合には、単に書庫2の扉2aを開けたことで、書類1に付けたタグ3からの信号が受信されただけで、その書類1を書庫2から取り出してはいないと判定できる。したがって、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信が振動ありの情報を含まない場合には(ステップSc4のNO)、ステップSc3に戻り、別の書類1が書庫2から取り出されるか、また書庫2の扉2aが閉じられるかということを確認する。
一方、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信が振動ありの情報を含む場合には(ステップSc4のYES)、その書庫2から書類1が取り出され、閲覧されると判定することができるので、タグ3に搭載する発光素子4を発光させるべく、そのタグ3のID指定で発光指令を発行する(ステップSc5)。書類1に付けられたタグ3は、上記発光指令を受信し、発光素子4を発光させる(ステップSc6)。管理装置20は、この発光と同じタイミングで、書庫2に向いたウェブカメラ11による撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSc7)。こうすると、まさに発光素子4が発光しているタグ3が付いた書類1を撮影することができるので、前述した画像処理や、フィルタを用いた方法により、書庫2より取り出された書類1(の位置)が画像から確実に特定することが可能となる。
続いて、その後の取り出された書類1の扱いに関係する動作フローになる。まず、書庫室内とは別の読取装置10(特に、玄関、出口に設置された読取装置)がタグ3からの信号を受信したか否かを判定する(ステップSc8)。そして、別の読取装置10(例えば、後述する図10に示すように各所に設置された読取装置10a〜10i)がタグ3からの信号を受信した場合には(ステップSc8のYES)、読取装置10a〜10iと同じ場所に設置されているウェブカメラ、特に、玄関や、出口に設置されているウェブカメラ11により、玄関や、出口で撮影した撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSc9)。この記録した撮影画像により誰が書類1を書庫室の外へ持ち出したか特定できる。また、その記録とともに、警報信号を発令し、建物内の警備員などに対処を促す(ステップSc12)。
一方、別の読取装置10が書籍1に付けられているタグ3からの信号を受信しなかった場合には(ステップSc8のNO)、書庫室内に設置された同じ読取装置10が一定時間以上、タグ3からの信号を受信し続けているか否かを判定する(ステップSc10)。例えば、同じ書類1に付けられたタグ3からの信号を書庫室の読取装置10が一定時間を越えて受信し続けていれば、その書類1を閲覧した人物が書類1に書かれた情報をメモしたり、写真を撮影したりするなどして情報を盗むことや、閲覧した書類1を机の上に放置するなどしていることが考えられる。
そして、書庫室の読取装置10が書類1に付けられたタグ3からの信号を一定時間を越えて受信し続けている場合には(ステップSc10のYES)、管理装置20は、書庫室内のウェブカメラ11の撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSc11)。これにより、記録された撮影画像から書庫室内で誰がどのような行動をしたかを特定できる。次に、警告信号を発令して、重要な書類に書かれた情報を盗む行為や、重要な書類そのものが放置されている状況について対処するよう書庫室内外の担当者に促す(ステップSc12)。また、ステップSc8の判定条件、及びステップSc10の判定条件がいずれもNOの場合には、図8のステップSc1に戻り、上述した処理を繰り返す。
上述した図1や、図3における説明では、書庫室内の利用シーンを想定し、その書庫室の外に関しては全く同じように思われる恐れがある。そこで、ある書庫室を備えた建物を想定した場合において、該建物内に読取装置がどのように設置されているかについて説明する。
図10は、本第1実施形態における、読取装置が書庫室を備えた建物内にどのように設置されているかを示す透視図である。図10において、建物は、複数階建てで、3階の1つの部屋(各階の廊下が中央、左右に部屋がある構造で、3階廊下の中央近くで左右にある部屋の図では手前側の点線L3で示す箇所)が書庫室になっている。書庫室内には、書類を収納した書庫2が設置されている。また、書庫室内には、書庫室内のタグ3の信号を受信する読取装置10が1台設置されている。
また、書庫室を出た3階廊下(破線L4)には、図面の手前と奥の(まさに書庫室の出口を挟むように)2箇所に、それぞれ読取装置10a、10bを設置している。同様に、他の1階、2階の廊下も、読取装置10c、10d、10gが設置されている。そして、この建物は、階段が廊下の端にあり、一方(図面の手前)が通常の階段となっており、他方(図面の奥側)が非常階段となっている。これらの階段の1階から2階の間の踊り場にも、それぞれ、読取装置10e、10fが設置されている。この建物の中でも、最も重要な設置場所になるエントランス(玄関)と非常出口にも、読取装置10h、10iがそれぞれ配置されている。
上述では、想定した建物の内部で幾つもの読取装置10、10a〜10iがどのように設置されているかを説明した。次に、図11は、これらの読取装置10、10a〜10iを管理装置20がどう扱うかを示す概念図である。図11には、全部で10箇所に設置されている読取装置10、10a〜10iを示しており、これらの読取装置10、10a〜10iが受信したタグ3の情報が管理装置20に供給されるようになっている。ここでは、理解しやすいように、それぞれの読取装置10、10a〜10iから全て別々の配線で管理装置20に接続されているが、実際には、ネットワーク(Ethernet(登録商標))を経由して各々の箇所で集約されている。したがって、管理装置20がどの読取装置10、10a〜10iの受信情報かを認識するために、各読取装置10、10a〜10iにも識別子(ID)が予め決められて付与されており、この読取装置10、10a〜10iのIDを送る情報に付けて管理装置20に供給する。なお、管理装置20においても、サーバ装置30に記録する際には、これらの読取装置10、10a〜10iのIDも記録するようにしておき。後で確認する時に読取装置10、10a〜10iを区別することを可能にしている。
図11において、読取装置10が書庫室に設置されており、通常、書類1の閲覧では、該読取装置10のみ、書類1に付けたタグ3からの信号を受信する。次に、3階廊下に設置している2台の読取装置10a、10bのいずれか1台でも、書類1に付けたタグ3からの信号を受信すると、書庫室の外へ書類1を持ち出したと判定することができる。この書庫室の外への持ち出しを判定したときにおいても、警告信号を発令する。さらに、3階廊下の右側に示す階段もしくは非常階段に設置した読取装置10e、10fがタグ3から送信する信号を受信すると、建物から持ち出す危険性があると判定することができる。そして、1階/2階廊下に設置された読取装置10c、10d、10gが受信した場合には、建物から書類1を外部へ持ち出す危険性が高くなったと判定することができる。このように、3階廊下から1階/2階廊下に設置された読取装置10a〜10gまでは、図11の左から右へ向かう程、書類1を建物の外部へと持ち出す危険性が高くなることを示している。
最後に、図11の最も右側に示す読取装置10h、10iは、建物のエントランスに1台と非常出口に1台と設置されているものである。これら2台の読取装置10h、10iのいずれか1台でも、書類1に付けたタグ3から送信される信号を受信すれば、直ちに建物の外部へその書類1を持ち出そうとしたと判定する。また、この判定に基づいて、エントランス(玄関)、あるいは非常出口に設置した撮影用のウェブカメラ11による撮影画像をサーバ装置30に記録し、後で誰が書類1を建物の外部へ持ち出そうとしたのか特定できるようにしておく。また、その外部への書類1の持ち出した判定に基づいて、警報信号を発令して書庫の管理担当者や、建物を警備する警備員などに直ちに必要な対処を促すようにする。
ここまでは、書庫管理システムを利用する際の主に書庫2からの書類1の取り出しの記録や、書類1の外部への持ち出しの対策について説明した。次に、書庫管理システムを利用して書類1を書庫2から取り出す以前の閲覧したい書類1を探す点について説明をする。
図12は、管理装置20の操作・表示画面を示す模式図である。図12(a)には、書庫・書類アクセス時の表示例を示し、図12(b)には、書類検索時の表示例を示す。図12(a)に示す表示例では、左上のタイトル「書庫/書類アクセス情報」として、そのタイトルの直下の表示部分に、誰かが書庫のドアを開けている状態を具体的にタグ3から送信された信号により検出し、そのアクセスしている書庫の番号を表示する。図示の例では、ID No.「001xxx」として示されている。さらに、そのID No.の下側には、その書庫に収納されている書類が一覧にして表示される。
一覧の情報としては、書類に貼り付けられたタグ3から送信された情報(タグの識別子:ID)を基に、そのアクセス時の書庫(No.001xxx)内に収納されている書庫の情報を表示している。該書類の一覧には、それら書類に貼り付けられたタグのID No.と対応する書類名(ファイル名)を挙げている。例えば、図示の例では、一覧の最上段からID No.「001xx1」に対して書類名(ファイル名)「2006年プロジェクト○○−v1」、ID No.「001xx2」に対して書類名(ファイル名)「2006年プロジェクト○○−v2」、ID No.「001xx3」に対して書類名(ファイル名)「2007年プロジェクト○○−v1」、ID No.「001xx4」に対して書類名(ファイル名)「2007年プロジェクト○○−v2」、ID No.「001xx5」に対して書類名(ファイル名)「2006年プお客様要望調査△」、ID No.「001xx6」に対して書類名(ファイル名)「2007年プお客様要望調査□」、…と並べて表示している。
これらの一覧の中で、書庫2から取り出された書類(書類に貼り付けたタグ3から振動ありの情報を含む信号を受けた書類)についてはハイライト表示される。図示の例では、一覧の中で、ID No.「001xx4」に対する書類名(ファイル名)「2007年プロジェクト○○−v2」がまさに閲覧のため取り出された書類としてハイライト表示されている。そして、画面の右上には、誰かがその書類を書庫より取り出す際にウェブカメラ11−1(図2参照)で撮影された画像が表示されている。同様に、画面の右下には、同じ人物が同じ書類を書庫より取り出す際に、ウェブカメラ11−2(図2参照)で別の方向から撮影された画像が表示されている。このように、図12(a)に示すように、書庫・書類にアクセスしている時の対象となる書庫や、書類、さらには撮影された画像の情報がまとめて表示される。
次に、図12(b)に示す書類検索時の表示例についても同様に説明する。図12(b)に示す書類検索時の表示例では、左上にタイトル「書庫/書類の検索」があり、この下に検索ボタンが配置されている。該検索ボタンの右手には、検索ボタンで書類を検索する際に設定できる条件が幾つか表示されている。これらは、順に、書類1に付けられているタグ3の識別子の番号(ID No.)、その書類1を作成した作成日時、書類1に付けられている題名である書類名(ファイル名)、及び、書類を作成するなどの関与した部署である。これら検索の条件を入力、またはプルダウンメニューなどで指定して検索することができる。
検索の結果は、その検索条件のさらに下側に表示される。ここには、まず、書庫の番号ID No.が表示される。図示例では,書庫No.001xxが挙げられている。さらに、この書庫の番号の下側には、書類の一覧が表示される。一覧には、タグ3の識別子(ID No.)、書類名(ファイル名)、書類を作成した作成日や、関係する部署などの詳細情報、及び、閲覧したい書類を選択する「Check」ボタンが表示される。
図示の例では、最上段から順に、ID No.「001xx1」に対応して書類名(ファイル名)「2006年プロジェクト○○−v1」、詳細情報「2006.6.x 第3開発部」、ID No.「001xx2」に対応して、書類名(ファイル名)「2006年プロジェクト○○−v2、詳細情報「2006.9.x 第3開発部」、ID No.「001xx5」に対応して、書類名(ファイル名)「2006年お客様要望調査△、詳細情報「2006.7.x 第2営業部」、…となっている。そして、この一覧の上部、書庫の番号の右側には、この一覧の続きとして表示しきれていない書類を確認して見るために、「←前へ」と「後へ →」のボタンが用意されている。これらのボタンをクリックすると、1つの画面で表示しきれなかった書類の一覧を次々に表示させることが可能となっている。なお、一覧表の最右欄に位置する書類毎に用意されている選択欄にある「Check」ボタンの機能については、次の図13で詳しく説明する。
次に、図13は、本第1実施形態による、書庫・書類を検索する動作を示す概念図である。図13には、閲覧したい書類1を検索して、その収納場所などが特定される書庫2、あるいは書類1に貼り付けられたタグ3、3に搭載した発光素子(LED)4、4の発光で示される状況を示している。
図13において、管理装置20がサーバ装置30から過去の書類の収納に関する記録データを読み出して、閲覧したい書類1がどこの書庫に収納されているかなどの情報を得ることができるようになっている。管理装置20は、上述した図12(b)に示した書類の検索画面で、閲覧したい書類を探して選択の「Check」ボタンがクリックされると、まず、書類1が収納された書庫2に近い読取装置10から信号を送信する。該読取装置10から送信する信号は、選択した書類1が収納されている書庫2の扉2aの表側に付けたタグ3の発光素子4を発光させる指示を含んでいる。該読取装置10から送信された発光指示が該当するタグ3で受信されると、そのタグ3は、自身の発光素子4を発光させる。この発光素子4の発光により、この書庫2の扉2aを開くと、閲覧したい書類1が収納されていることを閲覧者に教える。
閲覧者がその書庫2の扉2aを開くと、今度は、書庫2の扉2aに付けられたタグ3から振動ありを示す信号が読取装置10に送信される。読取装置10は、このタグ3から振動ありを示す信号を受信し、管理装置20に供給する。管理装置20は、先に指定した書庫2の扉2aが開けられたことを認識し、書庫2の扉2aに付けたタグ3の発光素子を消すように指示する。そして、今度は、当初から閲覧すると指定されている書類1に付けられたタグ3の発光素子4を発光させる指示を送信する。この書類1のタグ3の発光指示も、先の書庫2の扉2aに付けたタグ3の発光指示と同様に、同じ読取装置10から送信される。書類1に付けられたタグ3は、該読取装置10からの信号を受信し、発光素子4を発光させ、閲覧したいと指定されている書類1を閲覧者に教える。こうすることで、閲覧者は、他の書庫や、書類などを誤って取り出したり、確認したりして迷うことなく、閲覧したいと最初から考え、検索画面で調べていた書類を容易に入手し、閲覧することができる。
次に、図14は、書類の検索から調べた書庫に収納されている書類の所在を基に書類を取り出す一連の動作を説明するためのフローチャートである。まず、管理装置20の画面(書類を検索する図12(b)に示す画面)により、閲覧したい書類1をファイル名などを条件として検索を行う(ステップSd1)。次に、検索によるヒットがあったか否かを判定し(ステップSd2)、ヒットがない場合には(ステップSd2のNO)、ステップSd1に戻り、検索画面で検索条件を変えたり、画面上で各書類に関する詳細情報を確認したりして検索を繰り返す。
一方、検索によるヒットが有れば(ステップSd2のYES)、管理装置20は、画面に検索結果を表示する(ステップSd3)。管理装置20は、閲覧したい所望の書類1を選択されたか(「Check」ボタンをクリック)否かを判定し(ステップSd4)、選択されていない場合には(ステップSd4のNO)、閲覧したい書類がまだ検索できていないということなので、ステップSd1に戻り、再び条件を変えて検索をする。
一方、閲覧したい所望の書類1が選択された場合には(ステップSd4のYES)、前述したように、管理装置20は、書庫2の表側に付けたタグ3の発光素子を発光させるべく発光指示を送信する(ステップSd5)。該当するタグ3は、発光指示を受信すると、自身の発光素子(LED)を発光させる。該タグ3が付けられた書庫2には、閲覧すべく選択された書類1が収納されていることになる。
次に、管理装置20は、該当する書庫2の扉2aが開けられたか否かを判定する(ステップSd6)。ここでは、管理装置20は、上記発光指示を受信した、書庫2の扉2aに付けられたタグ3から、振動ありを示す信号を受信したかで判定する。そして、管理装置20は、振動ありを示す信号を受信していない場合、すなわち、この書庫2の扉2aが開けられていない場合には(ステップSd6のNO)、検索結果に従って閲覧したいと考えていた書類がそうではないと閲覧者が考え直して再び検索をやり直すと推定されるので、ステップSd1に戻り、上述した処理を繰り返す。
一方、閲覧したいと考えて検索でヒットして選んだ書類1を書庫2から取り出すため、発光素子4が発光しているタグ3が付けられている書庫2の扉2aが開けられると(ステップSd6のYES)、管理装置20の画面において、書庫アクセス表示として情報を更新する(ステップSd7)。このときの管理装置20の画面は、前述した図12(a)に示したものである。次に、管理装置20は、該当書庫2に取り付けられたタグ3の発光素子4を消すとともに、該当書類1のタグ3の発光素子4を発光させるべく発光指示を送信する(ステップSd8)。このように、書類1に付けられているタグ3の発光素子4を発光させることで、扉2aを開けた1つの書庫内に収納されている書類のうち、どの書類が閲覧したい書類なのかを閲覧者に容易に認知させることができるとともに、書庫内の多数の書類の中から、所望する書類を探し出す手間を省くことができる。
この書類1に付けられたタグ3の発光素子の発光に続いて、管理装置20は、該当の書類1が書庫2から取り出されたか否かを判定する(ステップSd9)。書類1の取り出しは、書類1に付けられたタグ3から振動ありを示す信号が送信されたかを確認することで把握できる。そして、該当する書類1に付けられたタグ3から振動ありを示す信号を送信されない場合には(ステップSd9のNO)、該当の書庫2の扉2aを閉められたか否かを判定する(ステップSd10)。扉2aが閉じられたか否かは、書庫2の扉2aに付けられているタグ3から振動ありを示す信号が、扉2aが開けられる際の信号に続いて2回目の振動ありを示す信号が送信されたか否かにより判定できる。
そして、書庫2の扉2aが閉められた場合には(ステップSd10のYES)、書庫2の扉2aを開けてみたが、書庫内の書類1のタグ3の発光素子4の発光により知らされた実際の書類1を閲覧者が手に取らず、一見して閲覧したい書類と違うと認識したものと考えられるので、管理装置20は、書類1の発光素子4を消す指示をして(ステップSd11)、その後、ステップSd1に戻り、管理装置20の画面で、ファイル名などで検索する処理を行い、別の書類を再度探し出すことになる。
一方、該当の書庫2の扉2aが閉められずに、開けた状態のままにした場合には(ステップSd10のNO)、一定期間経過したら警告を出す(ステップSd12)。具体的には、例えば、10分間と予め決めておいた一定期間を超過して重要な書類を収納している書庫2の扉2aが開いたままという状況は危険であるので、この一定期間を経過したら、その書庫室にいる閲覧者、あるいは書庫2を管理する担当者へと警告する(ステップSd14)。次に、警告により適切な対処(開いたままだった書庫2の扉2aが閉められる)がなされたら、書庫2及び書類1の双方の発光素子4を消す指示を出し(ステップSd15)、その後、当該処理を終了する。
また、ステップSd9において、扉2aを開けた書庫2から該当の書類1を取り出した場合には(ステップSd9のYES)、管理装置20の画面で書類アクセス表示として情報を更新する(ステップSd12)。この書類アクセス表示は、先の図12(a)に示す表示画面である。次に、該当の書庫2の扉2aが閉められたか否かを判定する(ステップSd13)。そして、書庫2の扉2aが閉められていない場合には(ステップSd13のNO)、書類1を取り出した後で書庫2の扉2aが閉め忘れられていることが想定される。そこで、この場合には、書類1を取り出さずに書庫2の扉2aも開けたままのときと同様に、一定期間を経過したら、その書庫室にいる閲覧者、あるいは書庫2を管理する担当者へと警告する(ステップSd14)。次に、警告により適切な対処(開いたままだった書庫2の扉2aが閉められる)がなされたら、書庫2及び書類1の双方の発光素子4を消す指示を出し(ステップSd15)、その後、当該処理を終了する。
また、ステップSd13において、書類1を取り出した後に、その書庫2の扉2aを閉められた場合には(ステップSd13のYES)、書類1のタグ3の発光素子3を消す指示を出し(ステップSd16)、その後、当該処理を終了する。
上述したように、図14に示す書庫・書類を検索する動作によれば、管理装置20の画面上で閲覧したい検索しておけば、書庫2の所に行って実際の書類1を見ながら探すよりも、管理装置20から所望する書類1を選択するだけで、所望する書類1が収納さている書庫2に付けられたタグ3の発光素子4が発光するので、容易に所望する書類1が収納されている書庫2を認知でき、さらに、その書庫内のどの書類1なのかも、書類1に付けられたタグ3の発光素子4の発光で一見して確認できる。このように、閲覧したい書類1の存在や、収納されている書庫2の場所、その書類自体を容易に知らせてくれるだけでなく、書庫2の扉2aが開いたままにされた状態などの危険を警告して適切な対処を促すこともできる。
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本第2実施形態では、書庫管理システムとして、扉のない書庫について説明する。
図15は、本第2実施形態による、扉のない書庫での書庫管理システムの構成を示す模式図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図15において、書庫(ラック)50は、扉を備えておらず、単に数段(図示の例では2段)の棚に書類(ファイル)1が並べられている。このように、本第2実施形態では、普段から書庫50に書類1が並べられている状況が一見して確認できる書庫50を用いている。該書庫50の棚に並べられた書類(ファイル)1には、タグ3が取り付けられている。該タグ3には、前述した第1実施形態1と同様に、発光する発光素子4、周囲の明るさを検知する受光素子5、及びタグ3の振動を検知する振動センサ6が備えられている。但し、図15に示すサーバ装置30は、図1の管理装置20の機能・動作を含むものとする。
また、書庫50の上側には、鏡(カーブミラー)12が設置されている。該鏡12は、書庫50から書類1を取り出そうとしている人物の背面の方向からウェブカメラ11で撮影するときにも、その鏡に写った正面側からの人物の顔を撮影するためにある。また、当該書庫管理システムは、タグ3から送信される信号を受信する読取装置10、10a、10b、…、書庫50の全体を撮影するウェブカメラ11、読取装置10、10a、10b、…、及びウェブカメラ11からの情報を収集し、表示、管理するサーバ装置30を備えている。
読取装置10は、前述した第1実施形態と同様に、タグ3からの送信信号を受信するだけでなく、タグ3に対して発光素子4を発光させるべく、発光指示を送信することが可能である。これは、例えば、サーバ装置30で検索した書類について、その書類1に付けられたタグ3に搭載された発光素子4を発光させることで、閲覧したい書類1を容易に見つけて取り出せるようにするためである。図示の例では、2段の棚のうち、上段の4冊ある書類1の中で、中央の位置にある書類1が選択されているので、該書類1に付けられたタグ3の発光素子4を発光させている。
また、サーバ装置30は、ウェブカメラ11が撮影した書庫全体の撮影画像から、それぞれの書類を特定して、各書類が何時、書庫のどこの棚のどの位置に収納されているか、収納されていたかを把握するために、ウェブカメラ11が撮影した書庫全体の撮影画像を記録する。具体的には、サーバ装置30は、読取装置10から供給される各書類1に付けられたタグ3からの送信信号に含まれる情報と、同じ書庫の全体を撮影するウェブカメラ11による撮影画像とを照合して、書庫50に収納している、それぞれ書類1を特定する処理を行う。
他にも、サーバ装置30は、それぞれの書類1を特定することで書類リストを作成する処理、作成された書類リストから閲覧したい書類をその関連情報で検索する処理、さらに、検索した書類の中から閲覧したい書類を選択し、読取装置10を介して、その書類1に付けられたタグ3の発光素子4を発光させることで、容易に書庫50からその書類1を見つけて取り出せるようにする処理などを行う。なお、1台のサーバ装置30には、複数の読取装置10、10a、10b、…からの多数のタグ3、3、…から受信した情報が収集される場合もあるので、前述した第1実施形態で説明した管理装置20の機能を備えるようにしてもよい。また、ここで用いているタグ3の構造などは、前述した第1実施形態と同じである。
次に、図16は、本第2実施形態による書庫管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。書庫の全書類の把握では、まず、書庫50に収納される書類1についてのリストを作成し、サーバ装置30にその作成したリストを登録するような書類リスト初期化を行う(ステップSe1)。次に、サーバ装置30は、書類1に付けたタグ3から送信される信号の受信結果を一旦記憶する。(ステップSe2)。例えば、タグ3が時間的なランダム揺らぎを持ちつつ、約1分間隔で定期的に送信しており、ある書棚に20冊の書類1が収納されて管理されるような場合において、5分間の受信結果を一旦記憶するようにする。次に、一旦記憶された受信結果について、先の作成された(後に更新される)書類リストにある全書類のタグ3からの送信信号を受信したか否かを判定する(ステップSe3)。書庫50からいずれかの書類1が取り出された場合には、書類リストの全書類のタグ3からの送信信号を受信できないことが想定される。そして、全書類のタグ3からの送信信号を受信していない場合には(ステップSe3のNO)、ウェブカメラ11で撮影し、書庫の全体の撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSe4)。
次に、書庫50が設置されている部屋が十分明るいか否かを判定する(ステップSe5)。これは、送信信号を受信できないタグ3の書類が本当に取り出されたことによるものなのか、それとも部屋が暗い状況なので、タグ3が送信を停止しているのかを判定するためである。なお、部屋の明るさは、ウェブカメラ11で撮影した画像から判定する。また、書類1に取り付けられたタグ3には、受光素子5が搭載されており、周囲が暗い場合には、送信を停止するようになっている。そして、部屋が十分明るくない場合には(ステップSe5のNO)、書庫を使用する時間外であると判断して、当該処理を終了する。
一方、書庫50に収納された書類が撮影画像に明瞭に写っており、部屋が十分明るい場合には(ステップSe5のYES)、受信できなかったタグ3からの送信信号に含まれる識別子(ID)と、ウェブカメラ11による撮影画像から、書庫の全体の中に収納されてない書類とを特定する(ステップSe6)。次に、ウェブカメラ11で撮影されていない書類を書類リストから外し、書類リストを更新する(ステップSe7)。次に、書庫50から取り出された書類1が、一定時間(例えば、15分など)内に貸出し手続きされたか否かを判定する(ステップSe8)。そして、貸出し手続きがなされていない場合には(ステップSe8のNO)、警告(ワーニング)を出して書庫の担当者や、管理者へ適切な対処を促すようにする(ステップSe9)。その後、当該処理を終了する。書庫管理システムは、再び、ステップSe1へ戻り、書類リストを初期化する。
一方、書庫50から取り出された書類1が、一定時間内に貸出し手続きされた場合には(ステップSe8のYES)、ステップSe2に戻り、この更新された書類リストを用いて、再び、書類1に付けたタグ3からの送信信号を一旦記録し、前述した処理を繰り返す。
また、ステップSe3において、書類リストにある全部のタグ3からの送信信号を受信した場合には(ステップSe3のYES)、書類リスト以外のタグ3からの送信信号を受信したか否かを判定する(ステップSe10)。そして、書類リストの全てのタグ3からの送信信号のみを受信している場合には(ステップSe10のNO)、書類リストを変更せずに、ステップSe2に戻り、前述した処理を繰り返す。
一方、書類リスト以外のタグ3からの送信信号を受信した場合には(ステップSe10のYES)、書庫50から取り出されていた書類1が返却されたと想定されるので、ウェブカメラ11で書庫の全体を撮影して書庫に収納されている書類を撮影画像に記録する(ステップSe11)。次に、新たに受信できた(前の書類リストになかった)タグ3のIDとウェブカメラ11で撮影された撮影画像とから書類1を特定する(ステップSe12)。この特定された書類が、以前、書庫から取り出され、今回返却されたと推定できる。次に、サーバ装置30は、この特定された書類を加えて、書類リストを更新する(ステップSe13)。その後、ステップSe2に戻り、再び、上述した処理を繰り返す。
上述したように、本第2実施形態によれば、書庫50からの書類1の取り出し、及び書類1の返却などを含む、書庫の全書類の把握を、特別の手続きを行うことなく、書類に取り付けたタグ3からの送信信号に従って行われる。
次に、図17は、本第2実施形態による、扉のない書庫において、閲覧したい書類の検索動作を説明するためのフローチャートである。まず、サーバ装置30は、更新された書類リストを表示し(ステップSf1)、表示した書類リストから閲覧したい書類が検索、または選択されたか否かを判定する(ステップSf2)。すなわち、閲覧する書類を探したい人は、この更新された書類リストから閲覧したい書類を検索、または選択する。そして、書類リストから閲覧したい書類が検索も選択もされていない場合には(ステップSf2のNO)、この状況のまま、一定時間が経過したか否かを判定する(ステップSf3)。一定時間としては、予め決めた時間、例えば、10分間とする。そして、一定時間が経過していない場合には(ステップSf3のNO)、ステップSf2に戻り、書類リストから閲覧したい書類の検索、または選択を再度行う。
一方、一定時間が経過した場合には(ステップSf3のYES)、後述する発光指示により発光素子4を発光させたタグ3がある場合には、そのタグ3の発光素子4の発光を消し(ステップSf4)、更新された書類リストを表示したままとなっているので、その書類リストの表示を消去し(ステップSf5)、その後、当該処理を終了する。
また、ステップSf2において、閲覧したい書類が検索、または選択された場合には(ステップSf2のYES)、以前に別の書類に付けられているタグ3の発光素子4を発光させたか否かを判定する(ステップSf6)。そして、以前に別の書籍に付けられているタグ3の発光素子4を発光させている場合には、その発光している発光素子4を消す(ステップSf7)。一方、以前に別の書籍に付けられているタグ3の発光素子4を発光させていない場合、あるいは、発光素子4を消した場合には、選択された書類に付けられたタグ3の発光素子4の発光を指示する(ステップSf8)。
該当書類のタグ3は、読取装置10から発光指示を受信すると、自身の発光素子4を発光させる(ステップSf9)。このように、検索または選択された書類に付けられたタグ3の発光素子4を発光させることで、閲覧したい書類1を容易に認識することができる。次に、発光させたタグ3が付けられた書類1が書庫50から取り出されたか否かを判定する(ステップSf10)。書類1が書庫50から取り出されたか否かの判定は、タグ3に搭載されている振動センサ6により振動が検知されたか否かで行う。そして、サーバ装置30は、該当するタグ3から振動が検知されたことを示す送信信号が受信されないと、発光素子4を発光させたタグ3が付けられた書類1が一見して閲覧したい書類でなかったので、書庫50から書籍1が取り出されていないと認識し(ステップSf10のNO)、ステップSf2に戻り、再度、書類リストから閲覧したい書類を検索し直す。
一方、該当するタグ3から振動が検知されたことを示す送信信号を受信すると、書庫50から書籍1が取り出されたと認識し(ステップSf10のYES)、取り出された書類1に付いたタグ3の発光している発光素子4を消す(ステップSf11)。次に、この書類1が取り出されたことから、取り出された書類1を書類リストから削除するように、書類リストを更新する(ステップSf12)。そして、一連の処理を完了した後、再び、ステップSf1に戻り、更新された書類リストを表示し、前述した処理を繰り返す。
上述した動作により、閲覧したい書類1を検索して、書庫50に収納された書類のうち、どの書類がその対象なのかを、タグ3の発光素子4を発光させることで、容易に見つけ易くすることできる。同時に書庫に収納している書類に関するリストを自動的に更新するため、容易に管理することもできる。
次に、図18は、本第2実施形態による、タグ3の動作を説明するためのフローチャートである。タグ3は、動作を開始すると、自身の存在を知らせる最初の信号を送信する(ステップSg1)。次に、受光素子5によりタグ3の周囲が明るいか否かを判定する(ステップSg2)。これは、もし部屋が暗いならば、書庫50からの書類1の閲覧はもとより、書類1の貸出しや、返却もされないと想定される一方、部屋が十分に明るいならば、閲覧、貸出、返却が行われることが想定されるためである。そして、受光素子4により、タグ3の周囲が暗いと判定された場合には(ステップSg2のNO)、予め決められた時間以上暗い状態が継続しているか否かを判定する(ステップSg3)。予め決められた時間としては、例えば、30分間とする。そして、予め決められた時間以上に室内が暗い状態が続いた場合には(ステップSg3のYES)、当分の間、書類1の貸出しや、返却もされないと想定されるので、タグ3からの送信を停止させ(ステップSg4)、当該処理を終了する。
一方、予め決められた時間内に明るくなった場合(ステップSg3のNO)、あるいは、そもそも始めから周囲が明るかった場合(ステップSg2のYES)、タグ3は、定期的な送信を(開始)継続する(ステップSg5)。この定期的な送信では、多数のタグ3からの送信の連続的な衝突を避けるため、時間的にランダムな揺らぎを持たせている。次に、振動センサ6がタグ3の振動を検知したか否かを判定する(ステップSg6)。この振動の有無は、タグ3を取り付けた書類1が書庫50から取り出されたか否かを判定するためである。
そして、振動センサ6がタグ3の振動を検知した場合には(ステップSg6のYES)、振動をトリガとして送信する(ステップSg7)。この場合、タグ3が送信する信号に振動ありを示す情報を含むことになる。この信号を読取装置10が受信すれば、振動があったことが分かり、そのタグ3を付けた書類1が書庫50から取り出されたと推定できる。書類1が書庫50から取り出されたとき、前述したように、ウェブカメラ11で書庫50を撮影することで、書類1を取り出す人物も撮影できる。特に、書庫側を向いて書類を取り出そうとする人物に対して、書庫50の上側に設置している鏡12によりその人物の正面の顔画像も残すことができる。
一方、書庫50に書類1が収納されたままで、振動が検知されない場合には(ステップSg6のNO)、ランダムな揺らぎを含む定期的な送信を継続する(ステップSg8)。そして、振動をトリガにして送信した場合も、ランダムな揺らぎを含んだ定期的な送信を継続する場合も、ステップSg2に戻り、前述した処理を繰り返す。
また、上述したタグ3の動作とは独立的な動作として、閲覧したい書類の検索で説明したように、読取装置10から、タグ3の発光素子4に対する発光/消光させる指示を送信し、タグ3において、発光素子4を発光させたり、発光している発光素子4を消したりもする。
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態では、扉のある書庫で、しかもその書庫の扉に錠が備わっている場合の書庫管理システムについて説明する。
図19は、本第3実施形態による、書庫の扉に錠がある場合の管理システムの構成を示す模式図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。但し、図19に示すサーバ装置30は、図1の管理装置20の機能・動作を含むものとする。また、図19のサーバ装置30に接続しているノートPC40は、サーバ装置からの情報を表示したり、サーバ装置30へ指示をしたりする操作機能もある。図19において、書庫60は、施錠可能な錠が備えられた扉60aを有する。該書庫60内には、複数の書類が収納されており、各書類1にはタグ3が付けられている。該タグ3は、図19では省略しているが、前述した第1、第2実施形態と同様に、発光する発光素子4、書庫室の明るさを検知する受光素子5、及び振動を検知する振動センサ6を備えている。また、タグ3は、書庫60から取り出されるときに、受光素子5により十分な明るさを検知したときや、振動センサ6により振動を検知したときに、これをトリガとして情報を含む送信信号を送信する。書庫室には、書類1に付けられたタグ3、あるいは鍵61に付けられたタグ80からの送信信号を受信する読取装置10が設置されている。また、書庫室には、書庫60を撮影するウェブカメラ11が設置されている。
書庫60の上側には、鏡(カーブミラー)12が設けられている。該鏡12は、書庫60から書類1を取り出す人物が書庫60に向かっている場合に、背後からウェブカメラ11で撮影すると、その人物の前面からの顔が写り込むようになっている。書庫60は、上述したように、錠付きの扉60aを備えている。扉60aの錠を施錠、解錠するための鍵61、61、…は、鍵保管庫70で一括管理されている。また、該鍵61には、書類1に付けられているタグ3と同じタグ80が取り付けられている。該タグ80には、発光素子81、受光素子82、及び振動センサ83が搭載されている。
鍵保管庫70から書庫扉60aの鍵61が取り出されるとき、タグ80に搭載された振動センサ83により振動を検知したり、鍵保管庫70のある部屋の明るさを受光素子82で検知したりすることをトリガとして、タグ80から送信信号が送信されると、鍵保管庫がある部屋に設置された読取装置10が上記送信信号を受信し、鍵61が取り出されたと認識する。また、該鍵61で書庫60の扉60aを開けられたときにも、書庫室の読取装置10でタグ80からの送信信号を受信することで、書庫60の扉60aが開けられたことも認識可能となっている。さらに、書庫内に収納されている書類1に取り付けられたタグ3からの送信信号に、振動センサ6により振動が検知されたことを示す情報が含まれていると、読取装置10は、書庫60から書類1を取り出したことを認識するようになっている。
サーバ装置30は、鍵61で書庫60の扉60aを開けられたときや、書庫60から書類1が取り出されたときに、タグ3、80からの送信信号とウェブカメラ11で撮影した書庫の周囲の状況などの撮影画像とを記録するので、誰がいつどの書類を取り出したかなどを後になっても調べることができるようになっている。なお、本第3実施形態によるタグ3、80の構造などは、前述した第1、第2実施形態のものと同じである。
次に、図20及び図21は、本第3実施形態による書庫管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。この場合、書庫扉60aの鍵61を保管する場所は、書庫がある書庫室ではなく、建物全体を管理する中央管理室などの別の部屋とする。この別の部屋(中央管理室)も、書庫室への途中の廊下や、階段にも、鍵61のタグ80からの送信信号を受信する読取装置10が設置されているものとする。
まず、書庫扉60aの鍵61が鍵保管庫70から取り出されたか否かを判定する(ステップSh1)。これは、鍵61の鍵保管庫70がある中央管理室に設置した読取装置10が鍵61に付けたタグ80からの送信信号を受信したか、そのタグ80からの送信信号に振動ありを示す情報が含まれているかを判別することにより確認される。そして、書庫扉60aの鍵61が鍵保管庫70から取り出されていない場合には(ステップSh1のNO)、鍵61が取り出されるのを待つ。
一方、書庫扉60aの鍵61が鍵保管庫70から取り出された場合には(ステップSh1のYES)、書庫扉60aの鍵61が鍵保管庫70に戻されたか否かを判定する(ステップSh2)。これは、鍵保管庫70のある中央管理室の読取装置10が鍵61に付けたタグ80からの送信信号を受信し、その直後に廊下や、階段など中央管理室のすぐ外に設置された読取装置10で、そのタグ80からの送信信号を受信せず、どの読取装置10も受信できなくなったときには、中央管理室内の鍵保管庫70に戻されたと認識する。そして、書庫扉60aの鍵61が鍵保管庫70に戻された場合には(ステップSh2のYES)、ステップSh1に戻り、再び、鍵61が取りされるのを待つ。
一方、書庫扉60aの鍵61を鍵保管庫70から取り出しても、すぐにその鍵61を鍵保管庫70に戻されない場合には(ステップSh2のNO)、書庫扉60aの鍵61が書庫60の前に運ばれたか否かを判定する(ステップSh3)。これまでに述べたように、鍵61の鍵保管庫70は、中央管理室などにあり、書庫60は、書庫室にあり、その途中には、廊下や、階段があって、これらのそれぞれの場所には、読取装置10が設置されている。したがって、中央管理室、廊下、階段、書庫室と順に各場所に設置された読取装置10が鍵61に付けられたタグ80からの送信信号を受信すれば、書庫扉60aの鍵61が書庫60の前に運ばれたと判別できる。そして、書庫室の読取装置10でタグ80からの送信信号を受信できなければ、書庫扉60aの鍵61が書庫60の前に運ばれなかったことになり(ステップSh3のNO)、途中から中央管理室の鍵保管庫70へ戻されると予測されるので、ステップSh2に戻り、鍵61が鍵保管庫70に戻されたたかの判定を繰り返す。
一方、書庫扉60aの鍵61が書庫60の前に運ばれた場合には(ステップSh3のYES)、書庫扉60aの表側に付けたタグ3の送信を開始、または送信の間隔を短くして頻繁にする(ステップSh4)。こうすることで、いずれかの書庫扉60aが開けられた際に書庫扉60aのタグ3が振動により送信したのか、あるいは、書庫扉60aはまだ開けられていないか(別の扉60aはまだ開けられていないか)を的確に捉えることができる。
次に、書庫60をウェブカメラ11により頻繁に撮影する(ステップSh5)。具体的には、これまで、ウェブカメラ11により、ある程度の間隔、例えば、5分毎とかに撮影していたものを、10倍の30秒毎にするなど、撮影の頻度を多くして、書庫60の周辺の様子をきめ細かく把握するようにする。次に、書庫扉60aに付けたタグ3から振動ありを示す情報を含む送信信号を、読取装置10が受信したか否かを判定する(ステップSh6)。すなわち、書庫扉60aが開けられたか否かを判定する。そして、書庫扉60aが開けられなかった場合には(ステップSh6のNO)、書庫扉60aに付けたタグ3の送信動作や、ウェブカメラ11の撮影動作を戻し(ステップSh7)、ステップSh3に戻り、書庫扉60aの鍵61を鍵保管庫70に戻したか否かの判定を繰り返す。つまり、タグ3の送信動作を停止、または送信間隔を長くした状態へと戻し、ウェブカメラ11の動作を、例えば、30秒毎の頻繁だった撮影を5分毎の撮影へ戻し、書庫扉60aの鍵61が本来あるべき、中央管理室の鍵保管庫70に戻されるかを確認する。
一方、書庫扉60aに付けたタグ3から振動ありを示す情報を含む送信信号を、読取装置10が受信した場合、すなわち、書庫扉60aが開けられた場合には(ステップSh6のYES)、サーバ装置30は、書庫扉60aが開けられて書類1が取り出されると想定されるので、この時点でウェブカメラ11により撮影された撮影画像を記録する(ステップSh8)。このときの撮影画像の記録は、誰かが書庫扉60aを開けたという記録である。なお、書庫60の上部に設置された鏡12により、書庫扉60aを開けた人物がウェブカメラ11の撮影方向に対して背を向けていても、鏡12に写る顔により人物を把握したり、既にアクセスを許可した人物の顔に関するデータが登録されていれば、そのデータとの照合処理を行うことで、誰が書庫60を開けたかを特定したりすることも可能である。
次に、書類1に付けたタグ3からの送信を受信したか否かを判定する(ステップSh9)。これは、書庫内に書類1があるか、あるいは、その書庫内の書類1を取り出したかを確認するものである。そして、書庫内に書類1がないか、あるいは、その書庫内の書類1を取り出していない場合には、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信を受信することはないので(ステップSh9のNO)、ステップSh6に戻る。
一方、読取装置10が書類1に付けたタグ3からの送信を受信した場合には(ステップSh9のYES)、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信が振動ありの情報を含むか否かを判定する(ステップSh10)。つまり、書類1に付けたタグ3で振動が検知されない場合には、単に書庫扉60aを開けたことで、書類1に付けたタグ3からの信号が受信されただけで、その書類1を書庫2から取り出してはいないと判定できる。したがって、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信が振動ありの情報を含まない場合には(ステップSh10のNO)、ステップSh9に戻り、別の書類1が書庫2から取り出されるか、また書庫扉60aが閉じられるかを確認する。
一方、読取装置10は、書類1に付けたタグ3からの送信が振動ありの情報を含む場合には(ステップSh10のYES)、その書庫60から書類1が取り出され、閲覧されると判定することができるので、タグ3に搭載する発光素子4を発光させるべく、そのタグ3のID指定で発光指令を発行する(ステップSh11)。書類1に付けられたタグ3は、上記発光指令を受信し、発光素子4を発光させる(ステップSh12)。管理装置10は、この発光と同じタイミングで、書庫60に向いたウェブカメラ11による撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSh13)。
次に、書庫室内とは別の読取装置10(特に、玄関、出口に設置された読取装置)がタグ3からの信号を受信したか否かを判定する(ステップSh14)。そして、別の読取装置10(例えば、図10に示すように玄関、出口に設置された読取装置10h、10i)がタグ3からの信号を受信した場合には(ステップSh14のYES)、該読取装置10と同じ場所に設置されているウェブカメラ、特に、玄関や、出口に設置されているウェブカメラ11により、玄関や、出口で撮影した撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSh15)。この記録した撮影画像により誰が書類1を書庫室の外へ持ち出したか特定できる。また、その記録とともに、警報信号を発令し、建物内の警備員などに対処を促す(ステップSh17)。
一方、別の読取装置10が書籍1に付けられているタグ3からの信号を受信しなかった場合には(ステップSh14のNO)、書庫室内に設置された同じ読取装置10が一定時間以上、タグ3からの信号を受信し続けているか否かを判定する(ステップSh16)。例えば、同じ書類1に付けられたタグ3からの信号を書庫室の読取装置10が一定時間を越えて受信し続けていれば、その書類1を閲覧した人物が書類1に書かれた情報をメモしたり、写真を撮影したりするなどして情報を盗むことや、閲覧した書類1を机の上に放置するなどしていることが考えられる。
そして、書庫室の読取装置10が書類1に付けられたタグ3からの信号を、一定時間を越えて受信し続けている場合には(ステップSh16のYES)、書庫室内のウェブカメラ11の撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSh17)。これにより、記録された撮影画像から書庫室内で誰がどのような行動をしたかを特定できる。次に、警告信号を発令して、重要な書類に書かれた情報を盗む行為や、重要な書類そのものが放置されている状況について対処するよう書庫室内外の担当者に促す(ステップSh17)。また、ステップSh14の判定条件、及びステップSh16の判定条件がいずれもNOの場合には、図20のステップSh6に戻り、上述した処理を繰り返す。
上述した本第3実施形態によれば、書類取り出し後に予め決められた時間以上に書類が書庫から出ている状態や建物の外部へ書類を持ち出そうとする行為がある場合には、警告信号を発令するようになっている。このようにして、重要な書類の管理を的確に行うことが可能となる。
D.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本第4実施形態では、書庫管理システムにおいて、人にもタグを携帯させることを特徴とする。
図22は、本第4実施形態による書庫管理システムの読取装置が書庫室を備えた建物内(3階部分)にどのように設置されているかを示す透視図である。なお、図10に対応する部分には同一の符号を付けている。図22において、書庫がある書庫室や、3階の廊下、各階段、オフィスには、読取装置10、10a、10b、10e、10f、10jが設置されている。また、各部屋に居る人々や、建物内にいる人々には、ネームホルダNHなどにタグ90を付けて所持している。したがって、タグ90からの送信信号により、書庫室内にいつ誰がいるのか、いたのかを、把握することが可能になる。また、書庫室から出て3階廊下、そして、階段を下りる、あるいは普段いるオフィスへ戻るなど、書庫からの行動も確認できる。このように、人にタグ90を持たせて、書庫室に人が入ったときから書庫2をウェブカメラ11で頻繁に撮影するようにしたり、あるいは、書庫2や書類1に付けたタグ3の送信を開始させたり、タグ3の送信間隔を短くして頻繁に送信するようにしたりする。こうして、人が書庫室にいるときの監視を重点的に行うようにすることもできる。
なお、本第4実施形態で用いているタグ3、90の構造などは、前述した第1乃至第3実子形態と同様であるので説明を省略する。また、人もタグ90を持つ場合では、前述した第1実施形態(書庫2に扉2aがある場合での書庫管理システム)、第2実施形態(書庫に扉がない場合)、第3実施形態(書庫の扉60aに錠が付いている場合)のいずれの実施形態とも組み合わすことが可能であり、通常、これら第1乃至第3実施形態のどれかと組み合わせて活用する。
次に、図23及び図24は、本第4実施形態による、書庫管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。該フローチャートでは、前述した第2実施形態の書庫に扉がない場合との組み合わせとして動作を説明している。なお、ここでは、タグ90を持つ人は、同じ建物にあるオフィス(事務の部屋)に居るものと想定している。もちろん、外部からの来訪者に同じようなネームホルダに付いたタグ90を所持してもらうようにしてもよい。この場合、通常いるオフィスの代わりに、受付窓口に読み替えても、同じ図23及び図24に示す動作フローチャートを用いることができる。
まず、普段いるオフィスの読取装置10cが、人が持つタグ90からの送信信号を受信したか否かを判定し(ステップSi1)、読取装置10cが、人が持つタグ90からの送信信号を受信した場合には(ステップSi1のYES)、その人は、普段いるオフィス内にいることになるので、その人が所持するタグ90からの送信信号がオフィスに設置した読取装置10cで受信できなくなるまで待つ(その人がオフィスから出るまで待つ)。
一方、人が持つタグ90からの送信信号を受信しない場合には(ステップSi1のNO)、タグ90を持つ人がオフィスから出たことになるので、次に、人が持つタグ90の信号を書庫室の読取装置10が受信したか否かを判定する(ステップSi2)。そして、人が持つタグ90の信号を書庫室の読取装置10で受信されない場合には、再び、オフィスの部屋へ戻ることが想定されるので、ステップSi1に戻る。
一方、書庫室の読取装置10が、人が持つタグ90の信号を受信した場合には(ステップSi2のNO)、タグ90を持つ人が書庫室へ入ったことになるので、書庫60のタグ3の開始または送信を頻繁にし(ステップSi3)、ウェブカメラ11が書庫を頻繁に撮影するようにする(ステップSi4)。次に、廊下の読取装置10a、10bが人の持つタグ90からの送信信号を受信したか否かを判定する(ステップSi5)。そして、廊下の読取装置10a、10bが人の持つタグ90からの送信信号を受信した場合には(ステップSi5のYES)、一旦書庫室に入ったが、何も書類を閲覧せずに、あるいは、閲覧した後に書庫室を出て、その外の廊下に設置した読取装置10a、10bでその人が持つタグ90の信号を受信したことになるので、先程連続して2つの処理で行ったことを元に戻す(ステップSi6)。つまり、書類1のタグ3の送信を停止、または送信の頻度を少なくし、書庫をウェブカメラ11で撮影する頻度も少なくする。このように、書類1のタグ3とウェブカメラ11の動作を元に戻した後に、ステップSi1へ戻る。
そして、廊下の読取装置10a、10bが人の持つタグ90からの送信信号を受信していない場合には(ステップSi5のNO)、書庫室内にタグ90を持つ人が留まっているので、ウェブカメラ11により撮影した撮影画像を、サーバ装置30に記録する。次に、書類1に付けたタグ3からの送信信号を、読取装置が受信したかを判定する(ステップSi8)。通常、前の処理で書類1のタグ3の送信を開始、または頻繁にしているので受信できるはずであるが、この条件判断が「NO」となって受信できてなければ、ステップSi5に戻る。
一方、書類1に付けたタグ3からの送信信号を、読取装置が受信した場合には(ステップSi8のYES)、タグ3からの送信信号に振動ありを示す情報が含まれるかを判定する(ステップSi9)。そして、タグ3からの送信信号に振動ありを示す情報が含まれない場合には、書庫2から書類1を取り出していなと推測されるので、ステップSi8に戻り、タグ3からの送信信号に振動ありが含まれるまで繰り返す。
そして、タグ3からの送信信号に振動ありを示す情報が含まれる場合には、読取装置10がID指定で発光指令を発行する(ステップSi10)。タグ3では、発光指令を受信すると、自身の発光素子4を発光させる(ステップSi11)。次に、書類1のタグ3において発光素子4が発光している様子を、ウェブカメラ11で撮影した撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSi12)。
次に、書庫室内とは別の読取装置10(特に、玄関、出口に設置された読取装置)がタグ3からの送信信号を受信したか否かを判定する(ステップSi13)。そして、別の読取装置10(例えば、図10に示すように各所に設置された読取装置10c〜10i)がタグ3からの信号を受信した場合には(ステップSi13のYES)、読取装置10a〜10iと同じ場所に設置されているウェブカメラ、特に、玄関や、出口に設置されているウェブカメラ11により、玄関や、出口で撮影した撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSi14)。この記録した撮影画像により誰が書類1を書庫室の外へ持ち出したか特定できる。また、その記録とともに、警報信号を発令し、建物内の警備員などに対処を促す(ステップSi17)。
一方、別の読取装置10が書籍1に付けられているタグ3からの信号を受信しなかった場合には(ステップSi13のNO)、書庫室内に設置された同じ読取装置10が一定時間以上、タグ3からの信号を受信し続けているか否かを判定する(ステップSi15)。例えば、同じ書類1に付けられたタグ3からの信号を書庫室の読取装置10が一定時間を越えて受信し続けていれば、その書類1を閲覧した人物が書類1に書かれた情報をメモしたり、写真を撮影したりするなどして情報を盗むことや、閲覧した書類1を机の上に放置するなどしていることが考えられる。
そして、書庫室の読取装置10が書類1に付けられたタグ3からの信号を、一定時間を越えて受信し続けている場合には(ステップSi15のYES)、書庫室内のウェブカメラ11の撮影画像をサーバ装置30に記録する(ステップSi16)。これにより、記録された撮影画像から書庫室内で誰がどのような行動をしたかを特定できる。次に、警告信号を発令して、重要な書類に書かれた情報を盗む行為や、重要な書類そのものが放置されている状況について対処するよう書庫室内外の担当者に促す(ステップSi17)。また、ステップSi13の判定条件、及びステップSi15の判定条件がいずれもNOの場合には、図23のステップSi5に戻り、上述した処理を繰り返す。
上述した第1乃至第4実施形態によれば、ウェブカメラで撮影した画像が保存されているので誰が書類を何時、書庫から取り出したかということを把握できる。また、書類を閲覧することが許された書庫室の外へ書類を持ち出した時点で警告信号を発令して、書類を外部へ持ち出そうとすることを防止することができる。また、書庫に扉があるなしに関わらず活用することができる。さらに、書庫室のある建物内にいる人にタグを持たせることで、書庫から書類を取り出した人物をその所持するタグから送信される信号によっても特定することができる。