以下、本発明の一実施形態によるファイル管理システムを図面を参照して説明する。
図1は同実施形態によるファイル管理システムの構成を示すブロック図である。
この図で示すようにファイル管理システムは、ファイル管理装置1、UHF(Ultra High Frequency)送信機2、書庫3に取り付けられた書庫用ICタグ31、書庫3に取り付けられた書庫用HF(High Frequency)送信機32、書庫3の扉の開閉のいずれかの信号を切り替える開閉スイッチ33、書庫3に格納されるファイル4に取り付けられたファイル用ICタグ41、無線基地局装置5、ファイル管理システムの管理者や、ファイルを利用する利用者の携帯する携帯HF(High Frequency)送信機6、により構成されている。そして、ファイル管理装置1は、UHF送受信機2および無線基地局装置5とそれぞれ通信ネットワークを介して接続されている。またUHF送受信機2と書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41は無線通信により接続されている。
次にファイル管理システムを構成する各装置についてより詳細に説明する。
UHF送受信機2は、書庫3の存在する書庫室に設置される。このUHF送受信機2は、上述の書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41から送信される電波(UHF)を受信する。このUHF送受信機2が受信する書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41からの送信情報には、自信のUHF送受信機2のIDが格納されており、この情報が通信ネットワークを介してファイル管理装置1へ転送される。またファイル管理装置1から、指示情報、例えば特定のICタグに搭載された発光ダイオード(LED)を点灯させるといった指示が通信ネットワークを介してUHF送受信機2へ伝えられる。この伝えられた指示を受けたUHF送受信機2は、電波(UHF)によりファイル用ICタグ41あるいは書庫用ICタグ31へとその情報を送信するなどの処理を行なう。
書庫用ICタグ31は、書庫3の各扉に取り付けられている。なお書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41は、電池を内蔵するアクティブ型の無線ICタグであるものとする。また、書庫用ICタグ31は、当該タグに搭載された照度センサないし、開閉スイッチ33からの情報により書庫3の扉が開いた状況を検知し、記憶している自タグのIDを含む信号を電波(UHF)により送信する。さらに書庫用ICタグ31は、後述のファイル管理装置1からの指示を、通信ネットワークとUHF送受信機2を介して、または携帯HF送信機6から受信する。そして、搭載された発光ダイオード(LED)を点灯する処理を行なう場合がある。
書庫用HF送信機32は、書庫3の扉に取り付けられている。そして、当該書庫3の扉が開けられたことを、照度センサ(PD)あるいは扉の開閉スイッチ33からの信号により検知する。そして書庫用HF送信機32は、扉が開けられたことを検知すると、例えば13.56MHzの高周波(HF)を送信する。このHF信号には、扉の開けられた書庫3が特定できるように、その書庫3に取り付けた書庫用HF送信機32のIDが格納される。
ファイル用ICタグ41は、上述したように電池を内蔵しており、ファイル4に貼り付けられたアクティブ型の無線ICタグである。後述の書庫用HF送信機32あるいは携帯HF送信機6からのHF信号を受信した時に、決められた動作を行なう。決められた動作とは、例えば、書庫用HF送信機32や携帯HF送信機6より受信したHF信号に含まれる書庫用HF送信機32のIDあるいは携帯HF送信機6のIDに、自タグのIDを加えた情報の信号を、UHF送受信機2に対して定期的に送信するなどである。
携帯HF送信機6は、ファイル4を探す利用者や、書庫の管理者が所持する。そして利用者や管理者が書庫3内のファイルを探す場合、携帯HF送信機より高周波(HF)を送信して、ファイル4に貼り付けられたファイル用ICタグ41を起動させる。これにより、ファイル用ICタグ41は、自身の記憶するIDを格納した信号を電波(UHF)で送信する。携帯HF送信機6は、このファイル用ICタグ41からのUHF信号を受信して、当該受信したUHF信号に含まれるファイル用ICタグ41のIDなどから、利用者の近くにある書庫3内に所望のファイル4があるかを確認する。さらに、確認したファイル4の情報を、無線や有線の通信ネットワークを介してファイル管理装置1へ送信し、書庫3に収納されているファイル4の情報を更新する。ファイル管理装置1が書庫3に収納されているファイル4の情報を保存するため、この保存された情報を閲覧し、実際の書庫3に収納されているファイルと照合することができる。
また上述したように、ファイル管理装置1および携帯HF送信機6は、UHF送受信機2や、書庫用HF送信機32と有線や無線の通信ネットワークを介して接続される。なお携帯HF送信機6が、通信ネットワークを介してファイル管理装置1と通信する場合には無線基地局装置5が必要となる。そして、これらのファイル管理装置1、携帯HF送信機6と、UHF送受信機2、書庫用HF送信機32の機器間では、ファイル用ICタグ41および書庫用ICタグ31への指示信号や、書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41から送信される情報、あるいは書庫3内に収納されているファイル4について既にファイル管理装置1に記録された情報などが送受信される。
次にファイル管理システムを構成する各機器の機能について説明する。
図2はファイル用ICタグの機能ブロック図である。
この図が示すように、ファイル用ICタグ41は、UHF送受信機2や書庫用HF送信機32など、他の機器と無線信号をやり取りする無線処理部411、自タグの動作を決定する動作処理部412、自タグの操作のための電力を供給する電力供給部413を備える。また、無線処理部411は、電波信号を発信するUHF送受信アンテナ4111、高周波(HF)信号を受信するHF受信コイル4112と接続されている。またファイル用ICタグ41は、利用者による書庫3からおファイル4の持出し時の揺れなどを検知する振動センサ414、発光ダイオード(LED)415を搭載している。なお発光ダイオード415は、利用者が所望のファイル4を探す場合に、収納された書庫3の扉を開けた際には容易に分かるように、そのLEDを点灯させる等の用途に利用される。
またファイル用ICタグ41において、無線処理部411は、UHF送受信機2あるいは携帯HF送信機6と電波(UHF)で信号を送受信するUHF送受信部4113と、書庫用HF送信機32あるいは携帯HF送信機6から高周波(HF)信号を受けるHF受信部4114を備えている。ここで、HF受信部4114は、電力供給部413から常時または間欠的な電力の供給を受け動作を行う。また、UHF送受信部4113はタグ動作処理部4112が判断する必要なときのみ電力供給部413から電力の供給を受けて動作する。後述する第1の実施形態や第2の実施形態においては、HF受信部4114は、定期的に間欠なHF信号の受信の処理を行なうよう例を示している。定期的に間欠なHF信号の受信の処理を行なうことにより、その間欠的な短い受信処理の停止の間に電力供給が止まるため、更なる節電が可能となる。
また動作処理部412は、無線処理部411から様々な情報や、振動センサ414で検知された揺れの情報を受けるタグ制御部4122を備えている。このタグ制御部4122は、無線処理部411や振動センサ414から受けた様々な情報に基づいて、無線処理部411へ情報の送信指示を出したり、発光ダイオード415を点灯させたりする処理を行なう。また、動作処理部412は、ファイル用ICタグ41自身を識別するIDを格納しているタグID格納部4121を備え、タグ制御部4122がタグID格納部4121から自身のIDを読み出して、無線処理部411へ送信し、当該無線処理部411が、そのIDを格納した電波(UHF)信号を送信する処理を行なう。電力供給部413は、ファイル用ICタグの各処理部へ電力を供給する。先にも説明したようにタグ制御部4122へは常に電力が供給されている。また、HF受信部4114へは電力供給部413より常時電力を供給しても良いし、間欠的に電力を供給しても良い。ここで間欠的に電力を供給することにより、上述したように、電力の供給が間欠的に停止するので消費電力の節約を行なうことができる。また、UHF送受信部4113や発光ダイオード415へは、タグ制御部4122が必要と判断したときのみ電力供給部413より電力が供給される。図2では電力供給部413として、電池、特にコイン型電池を示している。
またファイル用ICタグ41において、UHF送受信アンテナ4111は、上述したようにファイル用ICタグ41のUHF送受信部4113に接続されている。UHF送受信部4113が他の機器と電波(UHF)信号のやり取りをする際には、このUHF送受信アンテナ4111を介して実施される。同様に、HF受信コイル4112についても上述したようにファイル用ICタグ41のHF受信部4114に接続しており、HF受信コイル4112を介して他の機器と高周波(HF)信号が送受信される。
また振動センサ414は、ファイル用ICタグ41が揺れたか否かを検知するタイプ、あるいはどの方向へどの程度の加速度が加わったかを検知する加速度センサのようなタイプの搭載が考えられる。また発光ダイオード415は、例えば、赤色だけ単色のみ発光するタイプ、または1つの発光ダイオード415で赤黄緑の3色等、複数の異なる色を発光できるタイプの搭載が考えられる。これら振動センサ414と発光ダイオード415はそれぞれ、ファイル用ICタグ41を安価に構成しようとするなら共に前者を選べば良いし、ファイル用ICタグ41の揺れからきめ細かくファイルの状況を把握したり無線ICタグの様々な状況を発光ダイオード415で示したりしようと考える場合には共に後者が良い。
図3は書庫用ICタグの機能ブロック図である。
この図で示すように書庫用ICタグ31は、無線信号をやり取りする無線処理部311、自タグの動作を決定する動作処理部312、自タグが動作するための電力を供給する電力供給部313を備えている。また書庫用ICタグ31は、無線信号の電波(UHF)を送受信するためのUHF送受信アンテナ3111、高周波(HF)信号を受信するHF受信コイル3112を備えている。さらに書庫用ICタグ31は、揺れを検知する振動センサ314、書庫用ICタグ31の状態を表示する発光ダイオード(LED)315を備えている。また、書庫用ICタグ31は、書庫3内で扉が閉じられた暗い状態と扉を開けた際の明るい状態を検知できる照度センサ(PD)316を備えている。または書庫用ICタグ31は、直接その書庫3の扉の開閉状態を検知する開閉スイッチ33に接続されている。
また、書庫用ICタグ31の無線処理部311は、UHF送受信機2または携帯HF送信機6との間でUHF信号を送受信するUHF送受信部3113と、書庫用HF送信機32または携帯HF送信機6からHF信号を受信するHF受信部3114を備えている。また書庫用ICタグ31において、これらタグUHF送受信部3113と、HF受信部3114への電力の供給において、HF受信部3114へは電力供給部413から常時または間欠的な電力の供給を受け動作を行う。また、UHF送受信部3113へは動作処理部312が必要と判断した時のみ電力が供給され動作する。なお、後述する第1の実施形態や第2の実施形態においては、HF受信部3114は、定期的に間欠なHF信号の受信の処理を行なうよう例を示している。定期的に間欠なHF信号の受信の処理を行なうことにより、その間欠的な短い受信処理の停止の間に電力供給が止まるため、更なる節電が可能となる。
また、動作処理部312は、無線処理部311から受ける情報と、振動センサ314で検知した揺れの情報、さらに照度センサ316で検知した明るさの情報と、開閉スイッチ33からの扉の状況等の情報を受けて、書庫用ICタグ31自身の動作を決定するタグ制御部3122を備えている。タグ制御部3122が決定する動作には、UHF送受信部3113へのUHF信号の送信指示や、発光ダイオード315への点灯指示などがある。なお、UHF送受信部3113へのUHF信号の送信指示では、動作処理部312内のタグID格納部3121から書庫3を識別するIDを読み出して、送信するUHF信号にこのIDを格納する処理を行なう場合がある。電力供給部313は、電池であり、この図3ではコイン型電池を示している。また、 電力供給部313は、常にタグ制御部3122へ電力を供給し、HF受信部3114へは電力供給部413より常時電力を供給しても良いし、間欠的に電力を供給しても良い。ここで間欠的に電力を供給することにより、上述したように、電力の供給が間欠的に停止するので消費電力の節約を行なうことができる。また、UHF送受信部3113と発光ダイオード315へはタグ制御部3122が必要と判断した時のみ電力を供給する。
また書庫用ICタグ31のUHF送受信アンテナ3111は、UHF送受信部3113に接続され、UHF送受信アンテナ3111により他の機器との間でUHFの信号が送受信される。またHF受信コイル3112は、HF受信部3114に接続され、このHF受信コイル3112を介して他の機器からのHF信号を受信する。また書庫用ICタグ31の振動センサ314は、書庫用ICタグ31が揺れたか否かを検知するタイプ、あるいはどの方向へどの程度の加速度が加わったかを検知する加速度センサのようなタイプの搭載が考えられる。また発光ダイオード315は、例えば、赤色だけ単色のみ発光するタイプ、または1つの発光ダイオード315で赤黄緑の3色等、複数の異なる色を発光できるタイプの搭載が考えられる。照度センサ316は、扉を開けた際の明るさと扉を閉めた際の書庫3内の暗さを検知でき、この明るさと暗さの検出値の違いにより書庫3の扉の開閉状態を把握できる。開閉スイッチ33は、書庫3の扉あるいはその扉の枠に取り付けられ、扉が閉められると開閉スイッチの状態が“On”となり、扉を開けると開閉スイッチの状態が“Off”となる信号を出力する。書庫用ICタグ31は、上述の振動センサ314により書庫3の扉が開閉された瞬間の揺れを検知することができ、また、照度センサ316または開閉スイッチ33で検知した書庫3の扉の開閉状態の情報をUHF信号により送信することができる。
図4は書庫用HF送信機の機能ブロック図である。
書庫用HF送信機32は、無線ICタグ(書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41)へ無線信号を発信する無線処理部321、書庫用HF送信機32自身の動作を決める動作処理部322、書庫用HF送信機32を動作させる電力を供給する電力供給部323、そしてファイル管理装置1などと情報をやり取りする外部接続処理部324を備えている。また書庫用HF送信機32は、HF送信コイル325、明るさ暗さを検知する照度センサ326を備えている。または書庫用HF送信機32は、書庫3の扉の開閉状態を直接的に把握する開閉スイッチ33と接続されていてもよい。また無線処理部321は、高周波(HF)の信号を送信するHF送信部3211を備えている。また動作処理部322は、照度センサ326ないし開閉スイッチ33による扉の開閉状態の検出や、ファイル管理装置1の指示を外部接続処理部324から受ける送信機制御部3221、および、書庫用HF送信機32を識別するIDを格納したID格納部3222を備えている。この書庫用HF送信機32のIDは、送信機制御部3221が読み出して、このIDを含むHF信号を送信するよう無線処理部321へ指示することとなる。
また電力供給部323は、電池であり、この図4では市販の単三電池を示している。この電力供給部323は、HF送信部3211、送信機制御部3221、後述する外部接続処理部324のネットインタフェース3241へ電力を供給する。外部接続処理部324が備えるネットインタフェース3241は、通信ネットワーク上の、他の機器と送信機制御部3221がやり取りする情報を処理する。特に、通信ネットワークに繋がっているファイル管理装置1からの指示をネットインタフェース3241が送信機制御部3221へ受け渡す。ここで、具体的には、ネットインタフェース3241は、扉の開閉に伴って書庫用HF送信機32の照度センサ326が検知した明度や、開閉スイッチ33が検知したその扉の開閉の情報、もしくはそれらのセンサ群が出力する他の各種情報を、通信ネットワークを通じてファイル管理装置1へ通知する。また、ネットインタフェース3241は、ファイル管理装置1側から通信ネットワークを介して書庫用HF送信機32のHF送信部3211を動作させる際の各種命令を受信する。例えば、制御対象となる1つもしくは複数のファイル用ICタグ41または書庫用ICタグ31に対する存在の確認のための無線ICタグの起動(UHF信号)命令や、UHF信号の送信を強制的に停止させる命令など、利用者の指示に従い遠隔制御するための情報をネットインタフェース3241が受信する。HF送信コイル325は、HF送信部3211において生成される高周波(HF)信号を無線ICタグ(書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41)へ送信する。照度センサ326、および開閉スイッチ33は、書庫3の扉が開閉のどちらの状態かを示す信号を送信制御部3221へ送信し、当該送信制御部3221が扉の開閉を検出する。送信制御部3221は、書庫3の扉が開または閉の状態に基づいて、この書庫用HF送信機32のIDを含むHF信号を、無線ICタグへ送信する。例えば、書庫の扉が開いている場合には自身のIDを格納したHF信号の送信を行い、書庫の扉が閉まっている場合には、書庫用HF送信機32はHF信号の送信を停止する。または、反対に、書庫の扉が閉まっている場合にはHF信号の送信を行い、書庫の扉が開いている場合には、書庫用HF送信機32は自身のIDを格納したHF信号の送信を停止するようにしてもよい。
図5は携帯HF送信機の機能ブロック図である。
携帯HF送信機6は、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31との間で情報をやり取りする無線処理部61、この携帯HF送信機6の動作を決める動作処理部62、使用者への表示情報の出力や操作情報の入力を受け付けるユーザインタフェース部63、電力を供給する電力供給部64を備えている。また、携帯HF送信機6は、通信ネットワークに接続されている他の機器との情報のやり取りを行なう外部接続処理部65、ファイル用ICタグ41等の無線ICタグとの間でUHF信号による情報の送受信を行なうためのUHF送受信アンテナ66、HF信号による情報の送信のためのHF送信コイル67を備えている。
また携帯HF送信機6において、無線処理部61は、ファイル用ICタグ41等の無線ICタグとの間でUHFの信号を送受信するUHF送受信部611、無線ICタグへHF信号を送信するHF送信部612を備えている。また動作処理部612は、UHF送受信部を介して無線ICタグから受信した情報や、ユーザインタフェース部63からの利用者の指示情報、外部接続処理部65を介してファイル管理装置1から情報を受ける送信機制御部621を備えている。また動作処理部62は携帯HF送信機6を識別するIDを格納したID格納部622を備えており、送信機制御部621が、ID格納部622に書き込まれたIDを読み出し、当該IDを含むHF信号をHF送信部612から送信したり、あるいはUHF送受信部611からUHF信号により送信したりする。また携帯HF送信機6において、ユーザインタフェース部63は、携帯HF送信機6が受けた様々な情報を利用者へ示すモニタ表示部631や、利用者が携帯HF送信機6へ指示を与えるための操作入力部632を備えている。
また携帯HF送信機6の電力供給部64は、無線処理部61におけるUHF送受信部611とHF送信部612、動作処理部62の送信機制御部621、ユーザインタフェース部のモニタ表示部631、そして後述する外部接続処理部65の無線通信インタフェース651に電力を供給する。なお、図5において電力供給部64が電池となる例を示している。また外部接続処理部65は、無線通信によりインターネット等の通信ネットワークへ接続処理をする無線通信インタフェース部651を有する。またUHF送受信アンテナ66は、UHF送受信部611と無線ICタグとの間でUHF信号を送受信する。また、HF送信コイル67は、HF送信部612から伝えられた信号を無線ICタグへHF信号により送信する。そして、特に、利用者が携帯HF送信機6を所持して、所望のファイルを探す時は、携帯HF送信機6がHF送信コイル67よりファイル4に取り付けられたファイル用ICタグ41へHF信号を送信する。このHF信号を受けた携帯HF送信機6の周辺近くにあるファイル用ICタグ41は、UHF信号により自身のIDを格納した信号を返信する。そして、携帯HF送信機6はUHF送受信アンテナ66を介してそのUHF信号を受信して、これにより、利用者は所望のファイル4が近くにあるかをモニタ表示部631から確認することができる。
図6はUHF送受信機の機能ブロック図である。
UHF送受信機2は、無線ICタグとの間でUHF信号のやり取りをする無線処理部21、無線ICタグからの信号や通信ネットワークを介してファイル管理装置1からの情報を受けて動作を決定する動作処理部22、UHF送受信機2が動作するための電源を供給する電力供給部23、通信ネットワークを介してファイル管理装置1との間で指示等の情報をやり取りする外部接続処理部24を備えている。また、無線ICタグからのUHF信号を受信するUHF受信アンテナ25、無線ICタグへUHF信号を送信するUHF送信アンテナ26を備えている。
そしてUHF送受信機2において、無線処理部21は、無線ICタグが送信するUHF信号を受信処理するUHF受信部211と、無線ICタグへ指示をするためのUHF信号を送信処理するUHF送信部212を備えている。また動作処理部22は、上述のUHF受信部211を介して無線ICタグからの信号を受け、また、UHF送信部212を通じ無線ICタグへ指示を出力する制御部221を備えている。なお制御部221は、無線ICタグからの信号を受信すると外部接続処理部24を通じて、その情報を通信ネットワークに接続された他の機器へ送信する処理や、通信ネットワークを介してファイル管理装置1からの指示、例えばあるファイル4に貼り付けたファイル用ICタグ41の発光ダイオード415の点灯命令を受けて、その内容をファイル用ICタグ41へと送信する処理を行なう。ここでファイル用ICタグ41から受信した信号をファイル管理装置1へ通信ネットワークを介して送信する際には、動作処理部22がID格納部222に記録されているUHF送受信機2を識別するIDを加えた情報をファイル管理装置1へ送信する。
また電力供給部23は、無線処理部21のUHF受信部211とUHF送信部212、動作処理部22の制御部221、外部接続処理部24のネットインタフェース241へそれぞれ電力を供給する。図6では電力供給部23の電源が商用AC100Vであることを示している。また外部接続処理部24は、制御部221と通信ネットワークに接続された他の機器との情報の送受信を行なうネットインタフェース241である。また、上述したUHF受信部211は、UHF受信アンテナ25を介して無線ICタグから送信されたUHF信号を受信する。また、UHF送信部212は、UHF送信アンテナ26を介してUHF信号を無線ICタグへ送信する。
そして、図2〜図6に示した各機器の他に、図1に示したファイル管理システムでは、携帯HF送信機6が通信ネットワークと接続するための無線通信基地局5、さらにその携帯HF送信機6からの情報や、UHF送受信機2で得られた無線ICタグの情報などを管理するファイル管理装置1を有している。
(第1の実施形態)
次に、ファイル管理システムの処理フローについて説明する。
図7は第1の実施形態におけるファイル管理システム内の処理概要を示す図である。
まず、図7を用いて、書庫3の扉が開いた状態と閉じた状態におけるファイル管理システムの第1の処理について説明する。具体的には、図7を用いて、ファイル用ICタグ41や、書庫用ICタグ31の動作となるタグHF信号受信、タグUHF信号送信、書庫用HF送信機32によるHF信号送信、携帯HF送信機6によるHF信号送信の各動作を説明する。これら各機器の信号の送信や受信の動作において、図7では横軸を時間軸として右方向へ時間が進行することを示している。また図7において、タグHF信号受信、タグUHF信号送信、書庫HF信号送信、携帯HF信号送信といった各送信信号の縦軸は、その信号の電解強度を示している。そして図7において、中央部から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また中央部から右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示す。
まず、ファイル用ICタグ41と書庫用ICタグ31は同様に、定期的にHF信号を受信する動作を繰り返している。この定期的なHF信号の受信処理は、図7の最上段の「タグHF信号受信」の時系列で示している。本実施形態においては、図7で示すように、タグHF信号の受信間隔を1sec(秒)間隔、また、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がHF信号を受信する1回の時間幅を1msec(ミリ秒)とする。ここで、一般に、タグHF信号の受信の間隔をγ[sec]、1回のHF信号を受信する時間幅をβ[sec]と表した場合、β<γを満たすようにタグHF信号の送信処理を行なうよう定めるものとする。本実施形態ではβ=1msec、γ=1secであるので、1000倍の違いがある。こうすることで、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31が、HF信号を受信状態と制御されている時間が多い場合と比べ、大幅に消費電力を削減することができる。
次に、ファイル用ICタグ41と書庫用ICタグ31のUHF信号の送信については、図7の2段目の「タグUHF信号送信」の段で時系列に示している。ここで、通常は、ファイル用ICタグ41と書庫用ICタグ31において、タグUHF信号の送信処理は行なっていない。つまり、後述する他の機器から送信されたHF信号を、上述したタグHF信号受信のタイミングで受信した場合に、当該HF信号を受信したファイル用ICタグ41または書庫用ICタグ31が、タグUHF信号を送信する動作を行なうものとする。このタグUHF信号の送信については、他の機器からのHF信号の送信処理について説明した後に以下で説明する。
HF信号の送信は書庫用HF送信機32等が行なう。例えば、書庫用HF送信機32のHF信号の送信動作については、図7の3段目「書庫HF信号送信」の段で時系列に示している。書庫用HF送信機32は、書庫3の扉が開けられた場合に、その書庫3の扉が開けられた状態を、書庫用HF送信機32に搭載された照度センサ326あるいは開閉スイッチ33により検知する。これらの照度センサ326や開閉スイッチ33で、書庫3の扉が開けられたと検知すると、書庫用HF送信機32は書庫HF信号を送信する。この書庫用HF送信機32による書庫HF信号の送信は、扉を開けたと判断したタイミングで1.2secの時間幅で継続して行われる。また、書庫用HF送信機32は、HF信号送信の処理において、その1.2secの時間幅の間に、当該書庫用HF送信機32のIDをHF信号により連続的に複数回繰り返して送信する。例えば書庫用HF送信機32は、書庫HF信号の送信の1.2sec間に1800回、HF信号によってIDの送信を繰り返すものとする。そして、この書庫用HF送信機32からのHF信号送信と、ファイル用ICタグ41と書庫用ICタグ31における、先に説明した1sec間隔毎のタグHF信号受信の繰り返しの動作により、大抵は書庫用HF送信機32からの1回のHF信号送信処理により、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31が、そのHF信号を受信することが可能になる。
そして、書庫3の扉を開いた状態のままにする場合、書庫用HF送信機32は定期的にタグHF信号の送信を行う。例えば本実施形態において、書庫用HF送信機32は、60secの間隔で1.2秒継続するHF信号の送信を繰り返す。一般には、先のタグHF信号受信で決めた受信間隔γ[sec](=1sec)に対し、1<α(係数)<2の係数αを用いて、書庫HF信号送信の時間幅を、αγ[sec]により算出するものとする。本実施形態においてはα=1.2、γ=1とし、αγ=1.2としている。また、本実施形態のHF信号送信の時間幅αγ[sec]に対して、当該HF信号送信の送信間隔を、その数十倍から数百倍の時間の間隔で繰り返すこととする。図7で示すように、本実施形態の書庫用HF送信機32によるHF信号送信の時間間隔は、HF信号送信の時間幅αγ=1.2のω(=50)倍として、60secとしている。
ここで、図7で示す時系列の縦軸に当たる電界強度について言及すると、図7の2段目で説明したタグUHF信号送信の縦軸と比べると、図7の3段目で説明した書庫HF信号送信の電界強度は弱く、微弱無線の強度であることが分かる。この意味としては2つの理由がある。つまり、書庫HF信号の電界強度を弱く設定している理由の1つは、書庫HF信号が到達する範囲を書庫3の扉が付いた範囲に限定させるためである。これにより書庫HF信号の送信によって、他の書庫3内のファイル4に貼り付けられたファイル用ICタグ41などが反応しないようにし、常に書庫HF信号が、当該信号を送信した書庫用HF送信機32の設置されている書庫3と同じ書庫3内に収納されているファイル4に貼り付けているファイル用ICタグ41が反応するよう制御している。また、書庫HF信号の電界強度を弱く設定している2つ目の理由は、書庫HF信号の送信は電池により駆動しているので、消費する電力を抑制する必要があるためである。図7で示す書庫HF信号は、送信時間幅αγ(=1.2sec)であり、その電界強度は微弱無線の強さとしており、この電力は図7で矩形波の面積で示される。この面積が小さければ、消費電力も少なく抑制できることになる。従って、送信時間幅αγはおおよそ決まっているので、電界強度を微弱無線と同じレベルに弱くすることで低消費電力とし、書庫用HF送信機32の長寿命を実現している。
そして、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31のタグUHF信号の送信については、上述の書庫用HF送信機32から1回のHF信号送信をタグHF信号受信の処理が動作しているタイミングで受信下の後に行なわれる。そしてこのタグUHF信号の送信処理は、書庫用HF送信機32からのHF信号の受信を確認した後に、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31が一定時間の間繰り返し行う。本実施形態では図7で示すように、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるUHF信号の送信(図7の2段目のタグUHF信号送信の時系列)を繰り返す間隔を、おおよそ4〜8secとする(図7の2段目にタグUHF信号送信の時系列における上側に伸びる信号の矩形)。そして、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31は、UHF信号受信の処理において書庫HF信号の最後の受信から、一定時間経過しても当該書庫HF信号を再度受信できない場合には、繰り返しのUHF信号送信の処理を停止する。
図7の2段目のタグUHF信号送信の処理においては、書庫HF信号送信に基づいて、当該信号をファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がタグHF信号受信の処理により受信し、UHF信号の送信を開始(図7の2段目の時系列において上側に伸びている信号の矩形)することを示している。またこのUHF信号送信から繰り返し、間隔4〜8sec毎にUHF信号送信を繰り返し行なっている様子を示している。ここで、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31それぞれにおける、UHF信号送信の4〜8secの時間間隔は一定ではなく、ランダムに変化する関数εtを3<εt<7と設定し、εtαγ[sec]を計算することにより当該タグUHF信号送信の時間間隔を決定している。つまり、このUHF信号送信の時間間隔の算出方式によれば、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31それぞれにおいて、UHF送信の繰り返しの送信時間間隔が変化する。この送信時間間隔の変化を導入することにより、多数のファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31から送信されるUHF信号の衝突をできるだけ回避でき、UHF送受信機2における多数のファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31からの当該UHF信号の受信が可能となる。またファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31の送信するUHF信号には、その信号を送信するファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31が自タグのIDを格納して送信する。またファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31は、当該UHF信号の送信において、その信号の送信の契機となった書庫HF信号の受信時にその信号に格納されている書庫用HF送信機32のIDを読み取って、UHF信号に格納して送信する。これにより、どの書庫内に存在するファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31が、どの書庫用HF送信機32から送信されたHF信号の受信に基づいて、UHF信号を送信したのかを検出することが可能となる。
図7の3段目の時系列においては書庫3の扉が開いたときの書庫用HF送信機32による書庫HF信号の送信処理について説明したが、携帯HF送信機6がHF信号を送信する場合について次に説明する。
携帯HF送信機6がHF信号送信の処理を行なう状況を、図7の最下段の時系列で示す。携帯HF送信機6がHF信号の送信処理を行なう場合、HF信号送信の時間間隔は先の書庫用HF送信機32によるHF信号送信と同じように、αγ(=1.2[sec])と設定する。このHF信号送信の時間間隔は書庫用HF送信機32の場合と同様に、1<α<2と設定し、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31ではHF信号受信処理の間隔をγ=1[sec]と設定する。これにより、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグHF信号受信処理においては、大抵、携帯HF送信機6からの1回のHF信号送信により、その信号の受信ができる。なお、携帯HF送信機6による1回のHF信号送信により、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がそのHF信号を受信した場合、当該ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31は、書庫用HF送信機32からのHF信号の受信に基づく繰り返しのUHF信号の送信の場合とは異なり、1回のみUHF信号送信の処理を行なう。ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31において携帯HF送信機6から送信されたHF信号の受信に基づくUHF信号送信処理の例を、図7の2段目の時系列における下側にのびている信号の矩形で示す。この書庫用HF送信機32のHF信号送信に基づくファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31のUHF信号送信においても、当該信号には、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31が自身で記憶しているIDと、携帯HF送信機6が送信したHF信号に格納されている携帯HF送信機6のIDが格納される。
また、本実施形態においては、図7で示すように、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31のUHF信号の送信タイミングは、書庫HF信号をタグHF信号受信の処理により受信してから、その一定時間後に1回目のタグUHF信号送信の処理を行なっている。この一定時間(図7では“fixed”と示している)は、タグHF信号受信の処理繰り返しの時間間隔γよりも短くし設定するものとし(fixed <γ)、例えば0.25secと設定している。また、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31は、携帯HF送信機6による携帯HF信号をタグHF信号受信の処理において受信し、その一定時間後にタグUHF信号送信の処理を行なっている。ここで、書庫用HF送信機32や、携帯HF送信機6からのHF信号の受信に基づくファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグUHF信号の送信タイミングは、書庫用HF送信機32や携帯HF送信機6からのHF信号の受信から一定時間後に行うやり方の他に、幾つかの方式が考えられる。それらのタグUHF信号の送信タイミングの別の設定方式について図8〜図11を参照して説明する。
図8は第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第2の例を示す図である。
この図8で説明するタグUHF信号の送信タイミングは、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がHF信号を受信した直後にタグUHF信号の送信タイミングを設定する例を示している。
図8では、図7と同じく、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また中央から右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。またファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31によるタグHF信号受信の処理において、タグHF信号受信をβ[sec](=1msec)の時間幅で行い、そのタグHF信号受信の間隔をγ[sec](=1sec)で繰り返すものとする。また、書庫HF信号ないし携帯HF信号は、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec,1<α<2)の時間幅で送信されるものとする。そしてこれらHF信号を、先のファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグHF信号受信の処理により受信する。ここまでの各機器の動作は図7と同様である。そして、この後でファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がタグUHF信号を送信するが、図8と図7の相違点は、このファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグUHF信号送信の処理を、書庫HF信号ないし携帯HF信号の受信後、直ちに行なう点である。
この図8のタグUHF信号の送信タイミングによるメリットは、HF信号を受信した後にUHF信号送信処理を行なうファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31が、単純な動作制御で済むことである。この図8の動作制御は、送信タイミングを測る必要が無いため、図7に示したHF信号受信から一定間隔後にUHF信号送信を行なうよりも単純である。このような処理を、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31に適用すれば、単純な動作制御であるため、製造・制御設定などを安価に行うことが可能となる。逆に図8のようにHF信号受信の直後にタグUHF信号送信を処理するデメリットとしては、HF送信機側においてHF信号の送信が完了しない時点で無線ICタグからタグUHF信号の送信が行なわれる可能性が最も高いということである。つまり、例えば携帯HF送信機6の場合においては、携帯HF送信機6におけるHF信号送信処理と、当該HF信号送信の受信を契機としたファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31からのタグUHF信号の受信の処理が時間的に重なる。従って、携帯HF送信機6の性能として、それらの2つの動作が同時並行処理できる必要がある。ちなみに、図7の方式では携帯HF送信機6から送信されたHF信号の受信から一定時間(例えば、fixed=0.25sec)後に、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がUHF信号を送信しているため、多少とも携帯HF送信機6がHF信号の送信を完了する前のタイミングで、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がUHF信号送信する可能性が低くなっている。
また図8のタグUHF信号の送信タイミングによる別のデメリットとしては、同じ書庫3内に多数のファイル4が収納されている場合には、複数のタグUHF信号の送信が同時に発生すると、それらタグUHF信号が衝突して、その信号を受信する機器においてUHF信号を受信できなくなる。つまり、書庫HF信号をその書庫3内にある多数のファイル用ICタグ41が受信し、ある割合で同時に複数のタグUHF信号を送信する可能性があるため信号の衝突が起きる。このUHF信号の衝突は、図7の方式においても同じく発生する。なお、タグUHF信号の衝突を回避するための、同じ書庫3に収納するファイル数については、上述のタグHF信号受信の時間幅β[sec]と繰り返し間隔γ[sec]の比に関係する。つまり図8では、タグHF信号受信の時間幅が1msecであり、また、そのタグHF信号受信の繰り返し間隔が1secであるため、その比は1000倍である。したがって、同じ書庫3に収納されるファイル数が200〜300程度ならば、複数のタグUHF信号が衝突することを大いに回避可能である。なお、たとえ最初のタグUHF信号が衝突して読み取れなかった場合にも、この後にタグUHF信号送信の処理がランダムな時間間隔εtαγ(ここでランダムに変化する関数εtを3<εt<7と設定)で繰り返されるために、それらの後のタグUHF信号送信の処理における信号の衝突が回避される。このようにランダムな時間間隔εtαγでタグUHF信号送信の処理を繰り返す動作については、図8も図7も同様である。
図9は第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第3の例を示す図である。
この図9で説明するタグUHF信号の送信タイミングは、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がHF信号を受信した後の次のHF信号受信処理を行うタイミングの直前にタグUHF信号の送信タイミングを設定する例を示している。
先の図7や図8と同じく、図9においても、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また中央から右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。また、図7、図8と同様に、図9による処理においても、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31によるタグHF信号受信の処理において、その信号の受信処理をβ[sec](=1msec)の時間幅で行い、そのタグHF信号受信の間隔をγ[sec](=1sec)で繰り返すものとする。また、書庫HF信号送信ないし携帯HF信号送信によるHF信号は、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec,1<α<2)の時間幅で送信されるものとする。これら図9を用いて説明するファイル管理システムの各機器の動作は、図7と図8と同様である。そして、この後、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がタグUHF信号を送信するが、図7や図8と、図9の相違点は、このファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグUHF信号送信の処理が、書庫HF信号送信ないし携帯HF信号送信によるHF信号の受信後、次のHF信号受信処理を行うタイミングの直前にタグUHF信号の送信タイミングを設定する点である。
この図9によるタグUHF信号の送信タイミングを設定方式のメリットとしては、図8のHF信号の受信直後にUHF信号送信を行なう最も単純な動作制御のファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31ほどではないが、比較的に簡素な点にある。つまり、元々無線ICタグ(ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31)に繰り返しHF信号受信の処理を行なう機能を備えており、その繰り返し間隔は一定であるので、次のHF信号受信の処理の直前にUHF信号を送信させる動作制御を比較的容易に実現できる。この図9のような方式をファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31に行なわせることにより、比較的に簡素な動作制御であるため、製造・制御設定などを安価に行うことが可能となる。
また、図9で説明したタグUHF信号の送信タイミング設定方式では、図8とは異なり携帯HF送信機6等からのHF信号送信が完了した後で、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がタグUHF信号を送信する可能性が高い。特に携帯HF送信機6の場合においては、HF送信機におけるHF信号送信の処理と、無線ICタグからのタグUHF信号の受信処理の2つの動作が時間的に重ならない。従って、携帯HF送信機6の性能としては、同時にそれらの2つの動作を処理できなくても良い点がある。一方で、図9で説明したタグUHF信号の送信タイミング設定方式のデメリットは、図8のタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号受信の直後にタグUHF信号送信を行なう方式)と同様に、同じ書庫3内に多数のファイル4が収納されている場合、同時に複数のタグUHF信号の送信により信号が衝突し、受信側で信号を読み取れなくなる可能性が高くなるという点である。ただし、書庫3内に200〜300程度のファイル4が収納されているような場合であれば、タグHF信号受信の時間幅が1msecであり、また、そのタグHF信号受信の繰り返し間隔が1secなので、その比は1000倍であるため、複数のタグUHF信号が衝突することを大いに回避可能となる。また、この図9のタグUHF信号の送信の動作も、図8や図7と同様にランダムな間隔で繰り返す。従って、最初のタグUHF信号送信において信号の衝突が発生して読み取れない時も、この後にタグUHF信号送信がランダムな時間間隔で繰り返されて、後のタグUHF信号送信で衝突が回避される。
図10は第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第4の例を示す図である。
この図10で説明するタグUHF信号の送信タイミングは、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がHF信号を受信した後のUHF信号の送信をランダムな時間経過後に行う場合の例を示している。
先の図7〜図9と同じく、図10においても、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また中央から右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。また、図7〜図9と同様に、図10による処理においても、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31によるタグHF信号受信の処理において、タグHF信号受信をβ[sec](=1msec)の時間幅で行い、そのタグHF信号受信の間隔をγ[sec](=1sec)で繰り返すものとする。また、書庫HF信号ないし携帯HF信号は、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec,1<α<2)の時間幅で送信されるものとする。図10を用いて説明するファイル管理システムの各機器のここまでの動作は、図7〜図9と同様である。そして、この後、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がタグUHF信号を送信するが、図7〜図9と、図10の相違点は、このファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグUHF信号送信の処理が、書庫HF信号送信ないし携帯HF信号送信によるHF信号の受信後、ランダムな時間経過後に行なう点である。
この図10によるタグUHF信号の送信タイミングを設定方式のメリットは、図7〜図9では複数のファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がHF信号を同時に受信した後にそれぞれがUHF信号を送信した場合、それらの信号が衝突し、当該信号の受信側において、信号が読み取れなくなるのに対し、これを回避できることにある。つまり、図10では、同時に複数の無線ICタグ(ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31)がHF信号を受信しても、それぞれの無線ICタグにおいてタグUHF信号を送信するのがランダムな時間経過後になるため、これらのUHF信号が衝突する可能性が低くなる。この結果、書庫3内により多くのファイル4を収納することができる。また、この図10のタグUHF信号送信の動作も、図8〜図9と同様に繰り返す。従って、もし仮に最初に送信されたタグUHF信号が衝突して受信側読み取れない時も、この後、タグUHF信号の送信処理がランダムな時間間隔で繰り返され、これによりタグUHF信号の衝突が回避される。
また、図10によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、図9によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号受信の次のHF信号受信の直前にUHF信号を送信する方式)よりも、HF信号の送信機側において当該HF信号の送信が完了した後に、無線ICタグがタグUHF信号を送信するように制御できる可能性が低いものの、図8の方式に比べれば、HF信号発信側における当該HF信号の送信が完了した後で無線ICタグがタグUHF信号を送信するように制御できる可能性が高くなる。特に、携帯HF送信機6の場合においては、HF信号送信とタグUHF信号受信の2つの動作が時間的に重なる場合に対応して、それらの2つの動作を同時並行処理するまでの性能がなくても良い点がある。
しかし図10によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式のデメリットは、図8の単純な動作制御の無線ICタグや図9の簡素な無線ICタグに対し多少複雑となることである。これはUHF信号の送信タイミングをランダムに設定する処理機能を備える必要があるためである。ここで、図10によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式を用いたファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31では、製造・制御設定などを安価にできるよう、比較的に簡素な動作制御とすることが望まれる。従って、この図10によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式では、最初のUHF信号の送信を、次にHF信号を受信までの間におけるランダムな時間間隔“random”<γ(=1sec)とするが、元々ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31には、2回目以降のUHF信号の送信においてランダムな時間間隔で繰り返しUHF信号を送信する機能を備えているため、その機能を利用して、初回のUHF信号の送信時においても、その繰り返し間隔のランダムな時間間隔(4sec<εtαγ<8sec)と同じ処理を行なうようにすればよい。つまり“random”=εtαγ(≠γ)とすればよい。
図11は第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第5の例を示す図である。
この図11で説明するタグUHF信号の送信タイミングは、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がHF信号を受信した後であって、当該HF信号を送信する送信機側でのHF信号の送信が完了した後に、UHF信号の送信を行う場合の例を示している。
先の図7〜図10と同じく、図11においても、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また中央から右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。また、図7〜図10と同様に、図11による処理においても、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31によるタグHF信号受信の処理において、タグHF信号受信をβ[sec](=1msec)の時間幅で行い、そのタグHF信号受信の間隔をγ[sec](=1sec)で繰り返すものとする。また、書庫HF信号ないし携帯HF信号は、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec,1<α<2)の時間幅で送信されるものとする。図11を用いて説明するファイル管理システムの各機器のここまでの動作は、図7〜図10と同様である。そして、この後、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がタグUHF信号を送信するが、図7〜図10と、図11の相違点は、このファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグUHF信号送信の処理を、HF信号を送信する送信機側でのHF信号の送信が完了した後に行う点である。
ここで、HF信号を送信する送信機側(例えば携帯HF信号送信機6)におけるHF信号送信の処理の完了のタイミングを、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31等の無線ICタグが把握するためには、HF信号に、HF送信機(例えば携帯HF信号送信機6)のIDが格納され、さらにタイミング情報が含まれている必要がある。このタイミング情報としては、HF信号の送信時間幅内で何度も送信機のIDが送信されているため、このIDの送信が何回目かというカウンタ情報により検知してもよい。このカウンタ情報をファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31等の無線ICタグが受信するHF信号から読み取り、そのHF信号の送信が完了するタイミングを知ることができる。具体的な例としては、書庫用HF送信機32や携帯HF送信機6が1回のHF信号の送信における時間幅1.2secの間に1800回のIDの送信を繰り返す。そして、その1回のIDの送信にカウンタλ11を格納し、そのIDの送信のたびにλ11の値を1つ更新する。このHF信号送信処理の一番初めにおけるカウント情報を“1”とし、同じHF信号送信における最後のID送信時のカウント情報が“1800”(λmax)となる。例えば、無線ICタグがカウンタ情報“600”の格納されたHF信号を受信したとすると、図11に示しているように、
τ11=αγ(1−λ11/λmax)=1.2sec×(1−600/1800)=0.8sec
と計算でき、τ11=0.8sec経過後にHF信号送信が完了すると推定することができる。
この図11によるタグUHF信号の送信タイミングの設定方式のメリットは、HF送信機のHF信号送信の処理が完了した後、すなわちHF信号送信の処理を完了するまでの時間τ11が経過した後に、無線ICタグがタグUHF信号を送信できる点にある。図7〜図10に示すタグUHF信号の送信タイミングの設定方式では、いずれの方式もHF送信機のHF信号送信が完了する前に、無線ICタグのタグUHF信号送信の処理が発生する可能性がある。従って、特に、携帯HF送信機6の場合には、当該携帯HF送信機6におけるHF信号送信の処理と、無線ICタグからのUHF信号受信処理の2つの動作を時間的に確実に分離することができ、携帯HF送信機6として、それらの2つの動作を同時並行処理する高い性能を備えなくて済む。
しかし、図11によるタグUHF信号の送信タイミングの設定方式のデメリットは、図10のようにランダムな時間経過後にUHF信号を送信させる方式では、同時に複数の無線ICタグがHF信号を受信しても、UHF信号の送信タイミングをずらすことができ、これによりUHF信号の衝突を回避できたが、図7〜図9を用いて説明した方式と同様又はそれ以上に、無線ICタグからのUHF信号の衝突が発生する可能性がある。つまり、図11で説明したタグUHF信号の送信タイミングの設定方式では、同時でなくとも複数の無線ICタグがαγ(=1.2sec)で継続的に送信される同じHF信号を受信すると、それぞれの無線ICタグが、タグUHF信号の送信を、HF送信機におけるHF信号送信の処理の完了に合わせることになる。従って、これらのUHF信号は衝突してしまう可能性が高い。そのために、書庫3内に多く収納されたファイル4を識別できなくなると思われるが、この図11によるタグUHF信号の送信の動作においても、図8〜図10で説明したように、たとえ最初のタグUHF信号が衝突して読み取れなかった場合にも、この後にタグUHF信号送信の処理がランダムな時間間隔εtαγ(ここでランダムに変化する関数εtを3<εt<7と設定)で繰り返すために、それらの後のタグUHF信号送信の処理における信号の衝突が回避される。
ここまで、タグUHF信号の送信タイミング、すなわちHF送信機からのHF信号の受信からどのようなタイミングで最初にタグUHF信号を送信するかの複数の例について説明した。またこのタグUHF信号の送信において、書庫HF信号の受信を契機として行なう場合には、そのタグUHF信号の送信を繰り返し行なうことを説明した。そして、この繰り返しの無線ICタグによるUHF信号の送信を、いつまで継続するかについて次に説明する。
図12はUHF信号の送信タイムアウトの判定処理の概要を示す図である。
次に、図12を用いて、無線ICタグ(ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31)のHF信号の受信後におけるUHF信号の送信処理の繰り返しにおいて、そのUHF信号のタイムアウトをどう判定するかを説明する。
図12には、タグHF信号受信の処理、タグUHF信号送信の処理、書庫HF信号送信の処理に関する時系列の各処理を示している。また、図12において、中央の矢印により書庫3の扉が開いた時間帯を示し、左右の矢印により書庫3の扉が閉じた時間帯を示している。まず、図12の左側の矢印で示す時間帯は、書庫3の扉が閉じた状態の時間帯である。この状態においては、タグUHF信号送信と書庫HF信号送信の処理はなく、タグHF信号受信の処理のみが、γ[sec](=1sec)の定期的な間隔で時間幅β[sec](=1msec)により繰り返し行なわれている。
次に、利用者が書庫3の扉を開けることにより、中央の矢印で示す書庫3の扉が開いた状態へと移行する。ここの時間帯では、書庫3の扉に取り付けられた書庫用HF送信機32に接続された開閉スイッチ33ないし照度センサ326が、この書庫3の扉が開いた状況を検出する。すると、書庫用HF送信機32が、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec)の時間幅で書庫HF信号を送信し、またこの書庫HF信号の送信を60sec(=ωαγ[sec]=50×1.2sec)間隔で繰り返す。そしてこのHF信号を無線ICタグ(ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31)が、先の1sec間隔で繰り返すタグHF信号受信処理によって受信すると、無線ICタグは、タグUHF信号送信の処理を行なう。
この無線ICタグによるタグUHF信号の送信は、先に図7〜図11を用いて説明した幾つかの方式の何れかにより行われる。この後に、タグUHF信号送信はランダムな4〜8sec(ランダムに変化する関数εtを3<εt<7と設定し、εtαγ[sec]を計算することにより時間間隔を決定)間隔で繰り返し送信する。また、書庫3の扉をそのまま開き続けた状態にすると、先に述べた書庫用HF送信機32から60sec間隔で繰り返しHF信号が送信される。このHF信号の送信を無線ICタグがまたHF信号受信の処理により受信して、繰り返しのHF信号の送信が継続する。そして、図12の書庫3の扉が利用者により閉じられることにより、図12の右側の矢印で示す書庫3の扉が閉じた状態へと移行する。このとき、書庫用HF送信機32に搭載された開閉スイッチ33が、この書庫3の扉が閉じた状況を検出する。すると、書庫用HF送信機32は、繰り返しのHF信号の送信を停止する。この結果、無線ICタグにおけるHF信号を受信することがなくなる。このような状況になると、無線ICタグでは、タグHF信号受信の処理における最後に受信した書庫HF信号を契機とした、タグUHF信号の送信の繰り返しをタイムアウトまで続けることになる。このタグUHF信号の送信は、ランダムな4〜8sec(ランダムに変化する関数εtを3<εt<7と設定し、εtαγ[sec]を計算することにより時間間隔を決定)間隔で繰り返されるが、このUHF信号の送信は、繰り返し送信における最初のタグUHF信号の送信から一定時間120sec(=100×1.2=ζωαγ[sec])後に停止させる。つまり、書庫HF信号繰り返し間隔のωαγ=60secに対して、この図12の例ではζ(=2)倍に当たる時間が経過した後に、無線ICタグにおけるタグUHF信号の送信の繰り返し処理を停止させる。この結果、タグHF信号受信の処理のみが1msec(=β[sec])間隔で繰り返される、図12の左側矢印における書庫3の扉が閉じた時間帯へ戻る。
図13はファイル管理システムの処理の概要を示す図である。
次に、図13を用いて各機器間の処理の流れについて説明する。
図13においては説明の便宜上、ファイル管理システムの動作の説明に必要な数の各機器についてのみ示すこととするが、実際には、書庫3の数の書庫用HF送信機32、書庫用ICタグ31があり、また書庫3に収納されたファイルの数分のファイル用ICタグ41があり、さらに書庫室の部屋の広さや廊下や建物の出入り口など要所にUHF送受信機2が必要な台数分設置されるものとする。そして、図13において、これらの機器についての双方向の信号も含めて左側から順に信号の流れに従って説明する。
まず、図13より、書庫用HF送信機32と携帯HF送信機6が、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31へHF信号を送信する。これら書庫用HF送信機32や携帯HF送信機6がHF信号を送信する契機は、書庫用HF送信機32においては書庫3の扉に付けた開閉スイッチ33または照度センサ326による扉の開状態の検知であり、携帯HF送信機6においては利用者による操作入力部632の操作である。
次に、書庫用HF送信機32や携帯HF送信機6から送信されたHF信号を受信したファイル用ICタグ41、および書庫の扉に付けられた書庫用ICタグ31は、UHF信号送信(もしくは既に送信している場合などには、その送信の停止)の処理を開始する。なお、ファイル用ICタグ41とは少し違う機能構成を有する書庫用ICタグ31においては、書庫3の扉に付けられる開閉スイッチ33や照度センサ316と接続されており、これらの扉に取り付けられている開閉スイッチ33や照度センサ316からの信号により扉の開状態を検知した際にもUHF信号を送信する。そしてファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31が送信したUHF信号は、UHF送受信機2および携帯HF送信機6が受信する。ここで、ファイル用ICタグ41と書庫用ICタグ31はUHF信号を受信する機能(UHF送受信アンテナ3111,4111およびUHF送受信部3113,4113)を備えており、またUHF送受信機2と携帯HF送信機6はUHF信号を送信する機能を備えている。従って、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31の無線ICタグと、UHF送受信機2や携帯HF送信機6との間は、双方向でUHF信号をやり取りできる。なお、UHF送受信機2または携帯HF送信機6から送信するUHF信号により、ファイル用ICタグや書庫用ICタグの無線ICタグに搭載するLEDの点灯や、点灯しているLEDの消灯を行うことができる。
UHF送受信機2は、通信ネットワークを介してファイル管理装置1に接続されている。UHF送受信機2は、ファイル管理装置1からの指示を受けて、無線ICタグが搭載するLEDの点灯や消灯の制御を行うことができる。またUHF送受信機2は、ファイル管理装置1に対して、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31より受信したUHF信号内の情報を転送する。他方、携帯HF送信機6は、操作入力部632(操作ボタン)とモニタ表示部631を備えており、上述した無線ICタグのLEDの点灯・消灯を操作するための画面をモニタ表示部631に表示する。そして利用者の操作に基づく、これら無線ICタグのLEDの点灯・消灯を操作するための入力情報を受け付ける。また、携帯HF送信機6は、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31から送信されるUHF信号に格納された情報により、携帯HF送信機6に蓄積された情報を更新することもできる。また、携帯HF送信機6には、無線基地局装置5との通信の機能を有しており、無線基地局装置5に繋がる通信ネットワークを介して、ファイル管理装置1と情報を交換することができるようになっている。ここで図13においては、説明の便宜上、携帯HF送信機6をフローの左側と中央の2箇所に示しているが、これらの携帯HF送信機6は同一のものであるとする。
図14は書庫内に設置された各機器とその機器の送信する信号の例を示す図である。
図14で示すように、書庫3A,3B,3Cには、書庫用HF送信機32と書庫用ICタグ31がそれぞれ1台ずつ取り付けられ、また各書庫に収納されるファイル4それぞれにはファイル用ICタグ41が取り付けられる。すなわち、書庫3Aには、書庫用HF送信機32A、書庫用ICタグ31Aが1台ずつ取り付けられ、これに加えファイル用ICタグ41−1a,41−2a,・・・,41−Naが、書庫3Aに収納されているファイル1a〜Naのそれぞれに取り付けられる。同様に、書庫3Bには書庫用HF送信機32B、書庫用ICタグ31Bが1台ずつ取り付けられ、これに加えてファイル用ICタグ41−1b,41−2b,・・・,41−Nbが、書庫3Bに収納されているファイル1b〜Nbのそれぞれに取り付けられる。さらに書庫3Cには書庫用HF送信機32C、書庫用ICタグ31Cが1台ずつ取り付けられ、これに加えてファイル用ICタグ41−1c,41−2c,・・・41−Ncが、書庫3Cに収納されているファイル1c〜Ncのそれぞれに取り付けられる。そして書庫3A〜3Cに取り付けられた各書庫用ICタグ31A〜31Cや、書庫3A〜3Cに収納されるファイル4に取り付けられた各ファイル用ICタグ41からUHF信号が発信されてUHF送受信機2を介してファイル管理装置1へ送信される。
図15はファイル管理装置が記憶する機器IDテーブルを示す図である。
ファイル管理装置1は、各書庫に取り付けられた機器や、各書庫に収納されるファイルに取り付けられたファイル用ICタグ41の機器IDの管理を行う。図15では、各機器のIDの番号を16進数表示しており、書庫用HF送信機32のIDは5桁(20bit)、書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41など無線ICタグのIDは6桁(24bit)表記とする。図15で示す機器IDテーブルはファイル管理装置1が記憶しているものとする。
そして、各機器の動作によって、ファイル管理装置1がUHF送受信機2からの信号を受信する。ここで、ファイル管理装置1が、UHF送受信機2より図16〜図18で示すUHF送受信機受信情報テーブル(1)〜(3)で示す情報を受信するものとする。そしてこの受信した情報に基づいて、ファイル管理装置1は図15で示した機器IDテーブルを自動作成する。
図16はUHF送受信機受信情報テーブル(1)を示す図である。
図17はUHF送受信機受信情報テーブル(2)を示す図である。
図18はUHF送受信機受信情報テーブル(3)を示す図である。
ここで、図16のUHF送受信機受信情報テーブル(1)は、書庫3Aに取り付けられた無線ICタグ(書庫用ICタグ31Aやファイル用ICタグ41−1a〜Na)からUHF送受信機2に送信され、また当該UHF送受信機2を介してファイル管理装置1が受信したものである。また、図17のUHF送受信機受信情報テーブル(2)は、書庫3Bに取り付けられた無線ICタグ(書庫用ICタグ31Bやファイル用ICタグ41−1b〜Nb)からUHF送受信機2に送信され、また当該UHF送受信機2を介してファイル管理装置1が受信したものである。また、図18のUHF送受信機受信情報テーブル(3)は、書庫3Cに取り付けられた無線ICタグ(書庫用ICタグ31Cやファイル用ICタグ41−1c〜Nc)からUHF送受信機2に送信され、また当該UHF送受信機2を介してファイル管理装置1が受信したものである。
この図16〜図18で示すUHF送受信機受信情報テーブル内の情報のうち、ID部分の情報に基づいてファイル管理装置1はどの書庫にどのファイルICタグ41の取り付けられたファイルが収納されているかを算出する。
次に、機器IDテーブル(図15)の作成のための情報がどのように無線ICタグから送信され、ファイル管理装置1においてどのような作成処理を行なっているかについて説明する。
まずファイル管理装置1は、図16のUHF送受信機受信情報テーブル(1)における(1)の欄の受信情報より、UHF送受信機2の受信した「000A00」の1つのIDを、当該UHF送受信機2から通信ネットワークを介して受信していることが分かる。ここでファイル管理装置1は、このIDを書庫3Aの情報に対応付けて記憶している。これによりファイル管理装置1は、「000A00」が、書庫3Aに取り付けられている書庫用ICタグ31AのIDであることを検出する。また、信号の中に1つだけIDが格納されていることが検出できるが、1つのIDのみを格納してUHF信号を送信する状況は、書庫用ICタグ31が、開閉スイッチ33または書庫3Aに取り付けられた照度センサ316からの信号に基づいて扉の開状態を検知して、UHF信号を送信する場合である。従って、ファイル管理装置1は、UHF送受信機受信情報テーブルの(1)の欄から、UHF送受信機2の受信した「000A00」の1つのIDを読み取って、その情報により、そのIDが開閉スイッチ33または書庫3Aに取り付けられた照度センサ316からの信号に基づいて書庫用ICタグ31Aが扉の開状態を検知した際に、自身のIDをUHF信号により送信したものであると推定できる。これによりファイル管理装置1は、図15の機器IDテーブルにおいて書庫3Aの情報と、書庫用ICタグ31AのID「000A00」と、そのIDを送信した書庫用ICタグ31Aの任意の機器名とを対応付けて記憶する。
また、ファイル管理装置1は、UHF送受信機受信情報テーブル(1)の(1)の欄のIDの受信の後に、(2)の欄に登録されている2つのID「0A000」,「000A00」を受信したことを検出し、それらIDを読み取る。ここで、この2つのIDの中にはUHF送受信機受信情報テーブルの(1)の欄から読み取ったIDと同じIDが格納されているため、ファイル管理装置1はそのID「000A00」に基づいて、そのIDが書庫3Aに取り付けられている書庫用ICタグ31AのIDであることを上述の通り検出する。またファイル管理装置1は2つ目のID「0A000」を読み取る。このIDは書庫用ICタグ31AのID「000A00」と共に、当該書庫用ICタグ31Aから送信されたものであるため、HF送信機のIDであることがわかるが、ファイル管理装置1は、予めID「0A000」が書庫用HF送信機32AのIDであることを記憶しているため、そのIDを書庫用HF送信機32AのIDと検出する。そしてファイル管理装置1は、図15の機器IDテーブルにおいて、書庫Aの情報と、検出した書庫用HF送信機32AのID「0A000」の情報と、当該書庫用HF送信機32Aの機器名とを対応付けて記録する。なお、書庫用ICタグ31AのIDと書庫用HF送信機32AのIDの2つが格納されたUHF信号が送信される状況は、開閉スイッチ33または書庫3Aに取り付けられた照度センサ316からの信号に基づいて書庫用HF送信機32Aが書庫HF信号を送信し、その書庫HF信号の受信に基づいて、書庫用ICタグ31Aが、書庫用HF送信機32AのIDと自身のIDとを格納したUHF信号を送信する場合である。
また、ファイル管理装置1は、UHF送受信機受信情報テーブル(1)の(3)〜(5)の欄で示すID「0A000,00085C」,「0A000,000B39」,・・・,「0A000,000426」の各組を格納したUHF信号を順次受信する。これら順次受信したUHF信号に格納されている2つのIDの組の中には、必ず上述の処理により判定した書庫用HF送信機32AのID「0A000」が格納されているが、同じく上述の処理で判定した書庫用ICタグ31AのID「000A00」とは異なるIDと組となってUHF信号に格納されている。従って、ファイル管理装置1は書庫3Aに取り付けられた書庫用ICタグ31A以外のタグ、つまりファイル用ICタグ41から送信されたものであることを判定する。これにより、(3)〜(5)の欄のID「0A000,00085C」,「0A000,000B39」,・・・,「0A000,000426」の各2組のIDのうち、「0A000」のID(書庫用HF送信機32AのID)でないIDが書庫3Aに格納されているファイル用ICタグ41それぞれのIDであることを判定することができる。そして、ファイル管理装置1は、図15の機器IDテーブルにおいて、書庫Aの情報と、ファイル用ICタグ41−1a〜41−Naの各ファイル用ICタグ41のIDと、そのID示されるファイル用ICタグ41−1a〜41−Naの任意の機器名とを対応付けて記録する。
なお、上述のファイル管理装置1における処理により、書庫用HF送信機32のIDに対応付けて書庫の情報(書庫の識別情報)を記憶しておけば、受信したIDから、ファイル用ICタグ41がどの書庫に格納されているかが分かるように、機器IDテーブルに記録することができる。つまりファイル用ICタグ41それぞれに対応するファイル4が、あらかじめどの書庫に収納されているかをファイル管理装置1に登録しておかなくとも、その収納場所を管理することが可能となる。
また、上述した処理と同様に、ファイル管理装置1はUHF送受信機2を介して書庫3Bに取り付けられている書庫用HF送信機32Bや書庫用ICタグ31B、ファイル用ICタグ41−1b〜41−Nb、また、書庫3Cに取り付けられている書庫用HF送信機32Cや書庫用ICタグ31C、ファイル用ICタグ41−1c〜41−NcからUHF信号を受信する(図17、図18)。そしてファイル管理装置1は上述と同様の処理により、書庫B、書庫C内に設置されている各機器名とそのIDを対応付けた機器IDテーブルを生成する(図15)。なお、UHF送受信機受信情報テーブル(1)〜(3)における、UHF信号の受信順番(1)〜(5),(6)〜(10),(11)〜(16)符号は説明の便宜上付与したものであり、この受信順番は機器IDテーブルを作成するために必要なものではない。つまり、図16〜図18のようなUHF送受信機受信情報テーブルの受信情報が混合した状態であっても、上述と同様の処理により、機器IDテーブルを作成することができる。
図19は利用者によるファイル借り出し時の処理概要を示す図である。
次に、図19用いて、図14で示した各書庫のファイルの収納状態において、ある利用者がファイルを借り出し、その後に異なる書庫にファイルを返却収納した場合の例について以下説明する。
図19より、まず利用者が書庫3Bに収納され、ファイル用ICタグ41−2b(ID;000690)の取り付けられたファイル4を借り出したとする。すると、書庫3Bに収納されているファイル数はN−1となる。これにより、書庫3Bの扉が閉められるまでの間には、ファイル用ICタグ41−2bからUHF信号(図15中(9)の信号)は発信されない。このときUHF送受信機2が受信する書庫3Bに関係する情報を図20のUHF送受信機受信情報テーブル(4)に示す。図20では、図17のUHF送受信機受信情報テーブル(2)におけるUHF信号の受信情報と比べて、ファイル借り出しにより、(9)の欄のファイル用ICタグ41−2bからのUHF信号の受信がなくなることを示している。
そして利用者が、借り出したファイルを返却する際に、元の書庫3Bではなく書庫3Aへ返却収納した場合を考える。この場合書庫3AにはID「000690」のファイル用ICタグ41の取り付けられたファイル4が返却収納される。このID「000690」の書庫Aにおける便宜上の機器名をファイル用ICタグ41−N+1aとする。そして、書庫3Aの扉が閉じられるまでの間に、HF信号を受信したファイル用ICタグ41−N+1aのID「000690」と書庫用HF送信機32AのID「0A000」の格納されたUHF信号(16)が、当該ファイル用ICタグ41−N+1aから発信され、その信号に格納された情報がUHF送受信機2を介してファイル管理装置1へ送信されることとなる。そして、これによりUHF送受信機2に受信される書庫3Aに関係する情報を図21のUHF送受信機受信情報テーブル(5)に示す。
そして、書庫3Cに関係する情報について、UHF送受信機2におけるUHF信号の受信状況に変更はないため、書庫3Cに関係するファイル管理装置1の受信情報は図18に示したUHF送受信機受信情報テーブル(3)の通りである。従って、ファイル管理装置1は、UHF送受信機受信情報テーブル(4),(5),(3)の受信情報を用いて、利用者のファイル借り出しおよび元の書庫3Bとは異なる書庫3Aへの返却収納による、変更後の機器IDテーブルを生成し、データベース等に記録して保持することとなる。
図22は変更後の機器IDテーブルを示す図である。
この図が示すように、変更後の機器IDテーブルにおいては、書庫3Bに関連する情報として元々ファイル用ICタグ41−Nbとして記録されていたID=00690のファイル用ICタグの情報が削除され、書庫3Aに関連する情報として、従来の情報に加え、ファイル用ICタグ41−N+1aと便宜上付けられた機器名のID=00690のファイル用ICタグの情報が追加されることとなる。
以上のようにファイル管理装置1は、UHF送受信機2を介して受信した書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41からの各機器のIDの情報に基づいて、どの書庫3にどのファイル用ICタグ41の取り付けられたファイル4が存在するかを追跡管理することができる。これにより、書庫3に収納されるファイル4のデータベースを予め管理者が作成したり、利用者のファイルを閲覧・借り出し、および返却毎のデータを逐一更新する作業が不要となり利用者や管理者の労力を軽減することができる。
図23は機器IDテーブル生成処理のフローチャートを示す図である。
図23を用いて、上述の機器IDテーブルの登録、更新等の生成処理についての一般的な動作について順を追って説明する。
上述の処理においてファイル管理装置1は、まず、一定時間内にUHF信号を受信したUHF送受信機2から情報の転送を受けたか否かを判定する(ステップS101)。そして、UHF信号の情報の転送を受けていなければ処理を終了し、またUHF信号の情報の転送を受けているのであれば、UHF信号の情報を処理部で受け取り(ステップS102)、その情報に格納されている全てのIDを読み出す(ステップS103)。そして、ファイル管理装置1はそのIDの中に書庫用HF送信機32のIDが存在するか否かを判定する(ステップS104)。そしてファイル管理装置1は、書庫用HF送信機32のIDが存在しない場合には、そのIDが書庫用ICタグのIDと判定できるが(書庫用ICタグ31が、書庫用HF送信機32からHF信号を受ける前に、扉の開状態を検知して、自身のIDのみを格納したUHF信号を送信しているため)、このIDが既に機器IDテーブルに登録されているかを判定する(ステップS105)。つまり、最初に扉が開いたときであれば書庫用HF送信機32のIDは登録されていないが、2回目以降に扉が開いた場合であれば既に書庫用HF送信機32のIDが登録されているため、その登録の有無の判断を行なっている。そして、既に書庫用HF送信機32にIDが登録されているのであれば、そのままの状態でステップS101に遷移し、次のUHF信号の情報の受信を待機する。またステップS105で書庫用ICタグ31のIDが登録されていなければ、その書庫用ICタグ31のIDを、当該IDに対応付けて予め記憶されている書庫の情報(書庫の識別情報;書庫A、書庫B、書庫Cなど)に対応付けて機器IDテーブルに登録する(ステップS106)。
またステップS104において、書庫用HF送信機32のIDが、受信したUHF信号に存在する場合には、もう1つのIDが格納されているはずであるから、当該IDを読み取って、このIDが既に機器IDテーブルに登録されているかを判定する(ステップS107)。ここで書庫用HF送信機32のIDとともにUHF信号に格納されているIDは書庫用ICタグ31のIDかファイル用ICタグ41のIDのいずれかである。従って、ステップS107の判定においてIDが機器IDテーブルに登録されている場合には、UHF信号から取得した書庫用HF送信機32のIDと、当該IDと共に格納されているID(書庫用ICタグ31またはファイル用ICタグ41のいずれかのID)の組み合わせが、既に機器IDテーブルに登録されているかを判定する(ステップS108)。そして、UHF信号から取得した書庫用HF送信機32のIDと、当該IDと共に格納されているIDの組合せが既に登録されていれば(Yes)、変更しないと判断してそのままステップS101へ遷移し、またUHF信号から取得した書庫用HF送信機32のIDと、当該IDと共に格納されているIDの組合せが登録されていなければ(No)、書庫用HF送信機32のIDと共にUHF信号に格納されているIDがファイル用ICタグ41のIDであると判断する(ステップS109)。そして、そのファイル用ICタグ41のIDが、当該IDと共にUHF信号に格納されている書庫用HF送信機32のIDに基づいて特定できる書庫3の情報以外の書庫3の情報に対応付けられて登録されているかを判定する(ステップS110)。つまり、元々他の書庫に格納されていたファイル4のファイル用ICタグ41であるかを判定している。そして、ステップS110でNoである場合には、UHF信号に格納されていた書庫用ICタグのIDと、そのIDと共にUHF信号に格納されていた書庫用HF送信機32のIDに基づいて特定できる書庫の情報と、ファイル用ICタグ41の機器名とを対応付けて機器IDテーブルに新規登録する(ステップS111)。また、ステップS110でYesである場合には、該ファイル用ICタグ41のIDを機器IDテーブルのレコードから削除し(ステップS112)、つまり他の書庫のファイルとして登録されていたレコードを削除し、該ファイル用ICタグ41のIDと、そのIDと共にUHF信号に格納されていた書庫用HF送信機32のIDに基づいて特定できる書庫の情報と、ファイル用ICタグ41の機器名とを対応付けて機器IDテーブルに更新登録する(ステップS113)。
またステップS107の判定において、書庫用HF送信機32のIDと共にUHF信号に格納されているIDが、機器IDテーブルに登録されていない場合には、書庫用HF送信機32のIDと書庫用ICタグ31のIDとが格納されているUHF信号は先に受信しているはずであるため、当該機器IDテーブルに登録されていないIDを、ファイル用ICタグのIDと特定する(ステップS114)。そして、UHF信号に格納されていた書庫用ICタグのIDと、そのIDと共にUHF信号に格納されていた書庫用HF送信機32のIDに基づいて特定できる書庫の情報と、ファイル用ICタグ41の機器名とを対応付けて機器IDテーブルに新規登録する(ステップS115)。
以上のように、どの書庫3にどのファイル4が収納されているかという情報を、ファイル管理装置1により保持、更新する。この情報を基にして、利用者が閲覧するあるファイル4を探す場合には、ファイル管理装置1より通信ネットワークを介して対象になる書庫用HF送信機32へHF信号の送信の指示を行い、このHF信号を受信した無線ICタグ(書庫用ICタグ31、ファイル用ICタグ41)が起動する。またファイル管理装置1はUHF送受信機2を介して、書庫用ICタグ31に搭載されたLEDを点灯させて、どの書庫の棚内に閲覧するファイル4が収納されているかを示し、さらにそのファイル4に貼り付けたファイル用ICタグのLEDも点灯させて、該当するファイル4自体を示すことが可能になる。
例えば、ファイル管理装置1では、図15に示すような機器IDテーブル内の各ファイル4と、そのファイル4が収納されている書庫3との対応した一覧が作成されて保持されている。利用者がこの図15の機器IDテーブルの中から、例えば、ファイル用ICタグ41−1aを選択したとする。すると、ファイル管理装置1の処理により、通信ネットワークを介して書庫3Aの書庫用HF送信機32へHF信号の送信要求を送信し、無線ICタグを起動させる。その後、ファイル管理装置1の制御により、UHF送受信機2から書庫用ICタグ31AのID番号である「000A00」の情報を格納したUHF信号を送信させ、このUHF信号を受信した書庫用ICタグ31Aが、受信したUHF信号から自身のID番号「000A00」を検出して、搭載されてLEDを点灯させる。またしばらくして、利用者が書庫3Aの扉を開けたことを書庫用ICタグ31Aが検知して、UHF信号を送信する。するとファイル管理装置1では、そのUHF信号を受信した書庫用HF送信機32Aから情報を受信し、書庫3Aの扉が開いたことを検出する。そして、利用者がファイル用ICタグ41−1aのLEDの点灯指示をファイル管理装置へ入力すると、当該ファイル管理装置1は、ファイル用ICタグ41−1aのIDである「00085C」を格納したUHF信号の送信をUHF送受信機2へ指示する。するとファイル用ICタグ41−1aが「00085C」のIDの格納されたUHF信号を受信して、そのIDが自身のIDであることを検知し、自身に搭載されたLEDを点灯させる。
以上、本実施形態によるファイル管理システムについて説明したが、上述の処理によれば、書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41としてアクティブ型の無線ICタグを用いていることから、読取り機にIDカードをかざす行為を利用者にさせる必要や、ファイル用ICタグ41を貼り付けたファイル4を収納する際に、ファイル4の収納方向に注意を払う必要がなく、また指定サイズを収納する棚の位置に注意を払うことが不要になる。特に、ファイル4が書庫3から取り出された後も、ファイル4に貼り付けられたファイル用ICタグ41がUHF信号を送信して、この信号をUHF送受信機2が受信するため、ファイルの所在が把握できる。例えば、書庫のある書庫室やその外の廊下や建物の出入口などにUHF送受信機2を設置すれば、その場所でのUHF受信履歴により不正持出しの警報などを管理者や警備担当へ伝える事も可能になる。また、ファイル4にパッシブ型の無線ICタグを貼り付け、棚毎に大型の読取り機を設置していた非特許文献1のキャビネットに関する技術と比較すると、本実施形態によるファイル管理システムでは、各ファイルに貼り付けたアクティブ型の無線ICタグから送信される電波をUHF送受信機2が受信するので、ファイル管理システム(主に書庫用HF送信機32とUHF送受信機2)を駆動させるための電力を大幅に軽減することができる。
また書庫用ICタグ31は、書庫用HF送信機32から送信されるHF信号内のIDと、書庫用ICタグ31のIDとを両方を格納したUHF信号を送信するので、このUHF信号を送信することで、確実に、どの書庫3にどのファイル4が収納されているかを把握することができる。つまり、わざわざファイル4の収納状況の一覧を別の方法で作成する必要がない。さらに利用者が携帯HF送信機6を所持して書庫3に近づくことにより、携帯HF送信機6からのHF信号に応答する書庫用ICタグ31から、UHF信号が送信されるため、当該UHF信号が携帯HF送信機6で受信できるか否かにより、その利用者の近くに当該利用者が所望するファイル4が存在するか否かを把握することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態によるファイル管理システムについて説明する。
第2の実施形態によるファイル管理システムでは、第1の実施形態によるファイル管理システムと同じ機器構成である。また各機器の機能ブロックも、図2〜図6で示した機能ブロックと同様である。さらに第2の実施形態によるファイル管理システム内の各機器間の信号送受信の関係は、図13で示す第1の実施形態によるファイル管理システムの各機器間の信号送受信の関係と同様である。またさらに、第1の実施形態において説明した図14〜図23の処理フローや機器IDテーブルの生成、更新に関する処理は、第2の実施形態においても同様の処理となる。しかしながら、第2の実施形態と第1の実施形態の各ファイル管理システムにおける相違点は、第2の実施形態の処理においては、書庫3の扉が閉じた状態でHF送信機がHF信号を送信し、書庫3の扉が開いた状態ではHF送信機によるHF信号の送信や、無線ICタグによるUHF信号の送信が停止される点である。つまり、HF信号およびUHF信号の送信タイミングが、第1の実施形態は書庫3の扉が開いている間であるのに対し、第2の実施形態では書庫3の扉が閉じている間に設定される点で異なっており、それ以外の処理や機能については第1の実施形態と第2の実施形態とは同じである。
図24は第2の実施形態におけるファイル管理システム内の処理概要を示す図である。
図24においては1段目にタグHF信号の受信処理、2段目にタグUHF信号の送信処理、3段目に書庫HF信号の送信処理、の各概要を時系列に示している。また、この図においては図の中央の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示し、その中央の矢印の左右の2つの矢印により書庫3が閉じた時間帯を示している。
そして、まず左側の矢印で示す書庫3が扉を閉じた状態においては、書庫3に取り付けられた書庫用HF送信機32が、自装置に搭載された開閉スイッチ33ないし照度センサ326より書庫3の扉の閉状態の信号を受信し、その信号に基づいて書庫の閉状態を検出する。例えば照度センサ326であれば閾値より低い照度の値を信号として受信していれば閉状態と検出する。また開閉スイッチ33であれば扉が閉状態である時のスイッチの開または閉を判定しそれにより扉の閉状態を検出する。そしてこの閉状態の検出に基づいて、書庫用HF送信機32は、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec)の時間幅および60sec(=50×1.2sec=ωαγ)間隔で、繰り返し書庫HF信号を送信する。
この1.2secの時間幅の書庫HF信号の送信においては、書庫用HF送信機32のIDを連続的に何回も繰り返し送信している。そして、この1回1.2secの時間幅の書庫HF信号の送信においては、この書庫用HF送信機32のIDの送信を1800回繰り返しているものとする。このHF信号の送信を、書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41等の無線ICタグが、1sec間隔で繰り返すタグHF信号受信の処理により受信すると、タグUHF信号の送信を行なう。このタグUHF信号を、図24の2段目の時系列における矩形波として示している。このタグUHF信号の送信は、後述する幾つかの方式の何れかで行われる。また、書庫の扉が閉じたままの状態が続く状況においては、書庫用HF送信機32は60sec間隔でHF信号の送信を繰り返すこととなる。そして、書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41は、このHF信号を受信する度に、UHF信号の送信を行なう。
次に、図24の中央の矢印の時間帯に移行し、書庫3の扉が開状態になったとする。扉が閉状態から開状態に移行する際には、書庫用HF送信機32は、自装置に搭載される開閉スイッチ33ないし照度センサ316から受信する信号に基づいて、閉状態から開状態への移行を検出し、60sec(=50×1.2sec=ωαγ)間隔で繰り返していた書庫HF信号の送信を停止する。この様に書庫HF信号の送信が停止すると、書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41等の無線ICタグは書庫HF信号の受信をしなくなるため、タイムアウトによりUHF信号の送信もいずれ停止する。その結果、単に無線ICタグにおいては、タグHF信号受信の処理を時間幅β[sec](=1msec)およびγ[sec](=1sec)毎の定期的な間隔により繰り返し行うのみとなる。
また図24の右側の矢印の時間帯に移行し、書庫3の扉が閉状態になったとする。扉が開状態から閉状態に移行する際にも、書庫用HF送信機32は、自装置に搭載される開閉スイッチ33ないし照度センサ316から受信する信号に基づいて開状態から閉状態への移行を検出し、これにより、書庫用HF送信機32は再びHF信号の繰り返しの送信処理を開始する。そして、このHF信号を受信した無線ICタグにおいては、当該タグHF信号の受信を契機とした、UHF信号の送信を開始する。このタグUHF信号の送信処理は、60sec(=50×1.2sec=ωαγ)間隔で繰り返し送信されるHF信号の受信に伴って継続して行なわれる。結果として、図24の左側矢印の閉状態へ戻ることとなる。
以上、図24を用いて説明した各信号の送受信タイミングにおいては、書庫3の扉が閉じた状態を検知したことに対応して、書庫用HF送信機32が繰り返しのHF信号の送信を行い、無線ICタグがそのHF信号の受信に基づいて、UHF信号の送信を行なう場合の例について説明したが、書庫HF信号の受信を契機として、無線ICタグがUHF信号をどのタイミングで送信するかの複数の例について、以下詳細に説明する。
図25は第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第1の例を示す図である。
図25では、第2の実施形態におけるUHF信号送信タイミングの第1の例として書庫用HF送信機32からのHF信号を受信した一定時間後に、無線ICタグがUHF信号を送信する例を示している。なお図25で示す第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、図7で示す第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式と、無線ICタグがHF信号を受信してからUHF信号を送信する処理手順において同様のものである。この図25では、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。そして図25の例では、タグUHF信号の送信タイミングを、書庫HF信号を無線ICタグにおけるタグHF信号受信の処理により受信してから一定時間後に設定して、UHF信号の送信を行う(タグUHF信号送信の時系列における上側に伸びる信号矩形)。この一定時間(図25では“fixed”と記載)を、タグHF信号の受信の繰り返し間隔より短くし(つまり、fixed <γ=1sec)、例えば0.25secと設定する。また、携帯HF送信機6による携帯HF信号をタグHF信号受信の処理において受信すると、無線ICタグは、当該携帯HF信号を受信してから一定時間後にタグUHF信号の送信を行なう(タグUHF信号送信の時系列における下側に伸びる信号矩形)。そして図25で示すような方法は、タグUHF信号の送信タイミングを、HF信号の受信からある時間後に行なう代表例であるが、この他、UHF信号の送信タイミングの設定例が幾つか考えられるため、そのUHF信号の送信タイミングの他の例について以下説明する。
図26は第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第2の例を示す図である。
この図26では、図25と同様に、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。また図26においても、無線ICタグにおけるタグHF信号受信の処理は時間幅β[sec](=1msec)およびγ[sec](=1sec)毎の定期的な間隔で繰り返す。また、書庫3の扉が閉状態の場合に、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec,1<α<2)の時間幅で、書庫HF信号送信の処理または携帯HF信号送信の処理が行なわれる。なお、書庫3の扉が開いている状態においては書庫HF信号送信の処理が停止されるが、携帯HF送信機6は書庫3の扉の開閉状態に無関係で、利用者の操作にもとづいてHF信号を送信できるものとする。このHF信号は、無線ICタグがHF信号受信の処理により受け付ける。なお以上の各機器の動作は図25も図26の例も同様である。しかしながら、図25における機器の動作と相違する点は、無線ICタグがHF送信機からのHF信号の受信後に、UHF信号の送信を直ちに行なう点で異なる。なお図26で示す第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、図8で示す第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式と、無線ICタグがHF信号を受信してからUHF信号を送信する処理手順において同様のものである。
この相違点による図26のUHF信号送信タイミングのメリットは、UHF信号の送信タイミングまでの間隔をカウントする必要が無いため、無線ICタグにおける処理が単純な動作制御で済むことである。この図26の動作制御、つまりHF送信機からのHF信号の受信直後にUHF信号を送信する処理は、図25で示したHF信号の受信から一定時間後にUHF信号を送信する処理よりも単純な処理である。より単純な動作制御であれば、無線ICタグの製造・制御設定などを安価に行うことが可能となり、書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41を多数利用する場合に適している。逆に図26のUHF信号送信タイミングのデメリットとしては、HF送信が完了しない時点でタグUHF送信が行なわれる可能性が最も高いことである。つまり、携帯HF送信機6の場合においては、当該携帯HF送信機6からのHF信号送信と、当該HF信号送信の受信を契機としたファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31からの携帯HF送信機6におけるタグUHF信号の受信の処理が時間的に重なる。従って、携帯HF送信機6の性能として、それらの2つの動作が同時並行処理できる必要がある。ちなみに、図25の方式では携帯HF送信機6から送信されたHF信号の受信から一定時間(例えば、fixed=0.25sec)後に、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がUHF信号送信を行なうため、多少とも携帯HF送信機6からHF信号送信が完了する前のタイミングで、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がUHF信号送信する可能性が低くなっている。
また図26のタグUHF信号の送信タイミングによる別のデメリットとしては、同じ書庫3内に多数のファイル4が収納されている場合には、複数のタグUHF信号送信が同時に発生すると、それらタグUHF信号が衝突して、その信号を受信する機器においてUHF信号を受信できなくなる。つまり、ある書庫HF信号をその書庫3内にある多数のファイル用ICタグ41が受信し、ある割合で同時に複数のタグUHF信号を送信する可能性があるため信号の衝突が起きる。このUHF信号の衝突は、図25の方式においても同じく発生する。なお、タグUHF信号の衝突を回避するための、同じ書庫3に収納するファイル数については、上述のタグHF信号受信の時間幅β[sec]と繰り返し間隔γ[sec]の比に関係する。つまり図26では、タグHF信号受信の時間幅が1msecであり、また、そのタグHF信号受信の繰り返し間隔が1secなので、その比は1000倍であり、同じ書庫3に収納するファイル数が200〜300程度ならば、複数のタグUHF信号が衝突することを大いに回避可能となる。このファイル数は1つの書庫3内へのファイル収納数としては現実的なものであり、図26に示す方式でも利用が可能である。
図27は第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第3の例を示す図である。
この図27では、図25、図26と同様に、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。また図27においても、無線ICタグにおけるタグHF信号受信の処理は時間幅β[sec](=1msec)およびγ[sec](=1sec)毎の定期的な間隔で繰り返す。また、書庫3の扉が閉状態の場合に、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec,1<α<2)の時間幅で、書庫HF信号送信の処理または携帯HF信号送信の処理が行なわれる。なお、書庫3の扉が開いている状態においては書庫HF信号送信の処理が停止されるが、携帯HF送信機6は書庫3の扉の開閉状態に無関係で、利用者の操作にもとづいてHF信号を送信できるものとする。このHF信号は、無線ICタグのHF信号受信の処理により受け付ける。なお以上の各機器の動作は図25も図26の例と同様である。しかしながら、図25や図26と、図27のUHF信号送信タイミングの相違点は、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグUHF信号送信の処理が、書庫HF信号送信ないし携帯HF信号送信によるHF信号の受信後、次のHF信号受信処理を行うタイミングの直前にタグUHF信号の送信タイミングを設定する点である。なお図27で示す第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、図9で示す第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式と、無線ICタグがHF信号を受信してからUHF信号を送信する処理手順において同様のものである。
この図27によるタグUHF信号送信タイミングの設定方式のメリットとしては、携帯HF送信機6等からのHF信号送信が完了した後で、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がタグUHF信号を送信する可能性が高いことである。特に携帯HF送信機6の場合においては、HF信号送信とタグUHF信号送信を受信する2つの動作が時間的に重なる可能性が低い。従って、携帯HF送信機6の性能としては、同時にそれらの2つの動作が同時並行処理できなくても良い点がある。ちなみに、図26に示したタグUHF信号送信タイミングの設定方式(HF信号受信の直後にUHF信号を送信する方式)は携帯HF送信機6がHF信号を送信している間に無線ICタグがUHF信号を送信してしまう可能性が高く、図25に示したタグUHF信号送信タイミングの設定方式(HF信号受信から一定時間経過後にUHF信号を送信する方式)も携帯HF送信機6がHF信号を送信している間に無線ICタグがUHF信号を送信してしまう可能性が低い。しかしながら図27で示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式では、図25で示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式の処理以上に、携帯HF送信機6がHF信号を送信している間に無線ICタグがUHF信号を送信してしまう可能性が低くなる。
なお、図27に示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式のデメリットは、無線ICタグの動作制御が少し複雑になることである。図26で示したタグUHF信号送信タイミングの設定方式(HF信号受信の直後にUHF信号を送信する方式)単純な動作制御であり、また、図26に示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式(HF信号受信から一定時間(例えば、fixed=0.25sec)経過後にUHF信号を送信する方式)も動作制御が多少は単純である。しかし、図27に示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式はこれら図25や図26に比べると動作制御が単純とは言い難い。つまり、本願のファイル管理システムでは、多くの無線ICタグが利用されるために無線ICタグの製造・制御設定などを安価に構築できる必要がある。しかし、単純でない動作制御が必要な図27に示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式を用いた場合、その無線ICタグの製造・制御設定などを安価にすることが難しくなる。
また、図27で説明したタグUHF信号送信タイミングの設定方式のデメリットは、図26のタグUHF信号の送信タイミングを設定方式(HF信号受信の直後にタグUHF信号送信を行なう方式)と同様に、同じ書庫3内に多数のファイル4が収納されている場合、同時に複数のタグUHF信号の送信により信号が衝突し、受信側で信号を読み取れなくなる可能性が高いということである。ただし、書庫3内に200〜300程度のファイル4が収納されている場合であれば、タグHF信号受信の時間幅が1msecであり、また、そのタグHF信号受信の繰り返し間隔が1secなので、その比は1000倍であり、複数のタグUHF信号が衝突することを大いに回避可能となる。このファイル数は1つの書庫3内へのファイル収納数としては現実的なものであり、図26に示す方式でも利用が可能である。
図28は第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第4の例を示す図である。
この図28では、図25〜図27と同様に、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。また図28においても、無線ICタグにおけるタグHF信号受信の処理は時間幅β[sec](=1msec)およびγ[sec](=1sec)毎の定期的な間隔で繰り返す。また、書庫3の扉が閉状態の場合に、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec,1<α<2)の時間幅で、書庫HF信号送信の処理または携帯HF信号送信の処理が行なわれる。なお、書庫3の扉が開いている状態においては書庫HF信号送信の処理が停止されるが、携帯HF送信機6は書庫3の扉の開閉状態に無関係で、利用者の操作にもとづいてHF信号を送信するものとする。
このHF信号は、無線ICタグのHF信号受信の処理により受け付ける。なお以上の各機器の動作は図25〜図27の例と同様である。しかしながら、図25〜図27と、図28のUHF信号送信タイミングの相違点は、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグUHF信号送信の処理が、書庫HF信号送信ないし携帯HF信号送信によるHF信号の受信後、ランダムな時間経過後に行なう点である。なお図28で示す第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、図10で示す第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式と、無線ICタグがHF信号を受信してからUHF信号を送信する処理手順において同様のものである。
この図28によるタグUHF信号送信タイミングを設定方式のメリットは、書庫3内に、より多数のファイル4収納を許容できる点である。つまり、図25〜図27によるタグUHF信号送信タイミングを設定方式では、書庫3内に多数のファイル4を収納する場合、複数のファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31がHF信号を受信した後に同時にUHF信号を送信し、それらの信号が衝突し、当該信号の受信側において、信号の読み取りが困難となる。つまり、図25〜図27によるタグUHF信号送信タイミングを設定方式では、UHF信号の衝突が、書庫3内の収納ファイル数に応じ確率的に発生する。ここで、現実的にタグUHF信号の送信の衝突を回避するために、同じ書庫内に収納できるファイル数は、タグHF信号受信の時間幅β[sec](=1msec)と、その信号の送信繰り返し間隔γ[sec](=1sec)の比に関係する。図25〜図27の何れの場合でもその比は1000倍で、200〜300程度のファイルを収納する書庫3では、タグUHF信号の送信における衝突を十分回避できる。そして、図21によるタグUHF信号送信タイミングを設定方式では、図25〜図27の方式以上に、タグUHF信号の送信における衝突を回避することができる。すなわち、同じHF信号を全く同じタイミングで受信した無線ICタグが複数存在するケースでは、図25〜図27に示す何れの方式でもタグUHF信号の送信が必然的に同じタイミングとなり衝突する。しかし、図28で示すタグUHF信号送信タイミングを設定方式では、複数の無線ICタグにおけるHF信号の受信が同じタイミングであっても、ランダムな時間経過後にUHF信号の送信を行うために、これら複数の無線ICタグのUHF信号の衝突を回避できる。
また図28によるタグUHF信号送信タイミングの設定方式における別のメリットとしては、HF信号の送信を完了した時点で、タグUHF信号を送信する可能性が高い点である。つまり、図28によるタグUHF信号送信タイミングの設定方式を用いることにより、特に携帯HF送信機6におけるHF信号の送信と、当該HF信号の受信に基づく無線ICタグのUHF信号の受信の2つの動作が時間的に重なる可能性が低くなる。従って、携帯HF送信機6に必要とされる性能として同時にそれらの2つの動作を同時並行処理する高い性能を要求されずに済むというメリットがある。ちなみに、図27に示したタグUHF信号送信タイミングの設定方式(HF信号を受信した後に次のHF信号を受信する直前にUHF信号お送信する方式)は、高い可能性で携帯HF送信機6がHF信号の送信を完了した時点で無線ICタグがタグUHF信号を送信する。また図26に示したタグUHF信号送信タイミングの設定方式(HF信号の受信の直後にUHF信号を送信する方式)は、携帯HF送信機6におけるHF信号の送信タイミングで無線ICタグがUHF信号を送信する可能性が高い。また図25に示したタグUHF信号送信タイミングの設定方式(HF信号の受信から一定時間(例えば,fixed=0.25sec)後に無線ICタグがUHF信号を送信する方式)は、携帯HF送信機6によるHF信号の送信のタイミングで無線ICタグがUHF信号を送信する可能性がある程度は低いと考えられる。しかしながら、これらの方式に対し、図28に示したタグUHF信号送信タイミングの設定方式(HF信号を受信した後でランダムな時間経過後にUHF信号を送信する方式)では、HF信号の送信のタイミングでUHF信号を送信する可能性が相当程度に低く抑制される。
逆に図28によるタグUHF信号送信タイミングの設定方式におけるデメリットとしては、無線ICタグに複雑な動作制御が必要となる点である。図27に示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式においても無線ICタグの動作制御が少し複雑であった。なお、図26で示したタグUHF信号送信タイミングの設定方式は単純な動作制御である。また図25に示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式の動作制御も多少は単純である。しかし、図28に示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式は、これら図25〜図27示すタグUHF信号送信タイミングの設定方式と比較して、より動作制御が複雑である。本実施形態におけるファイル管理システムに必要となる無線ICタグ(書庫用ICタグ31やファイル用ICタグ41)は、特に多数のファイルに取り付けて使われる。従って、無線ICタグの製造・制御設定など簡単にして安価にする必要があるが、図28によるタグUHF信号送信タイミングの設定方式では、複雑な動作制御となり、無線ICタグを安価と製造することが難しい。
図29は第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミングの第5の例を示す図である。
この図29では、図25〜図28と同様に、図の中央から左側の矢印により、書庫3が扉を閉じた時間帯を示し、また右側の矢印により書庫3が扉を開いた時間帯を示している。また図29においても、無線ICタグにおけるタグHF信号受信の処理は時間幅β[sec](=1msec)およびγ[sec](=1sec)毎の定期的な間隔で繰り返す。また、書庫3の扉が閉状態の場合に、微弱無線かつαγ[sec](=1.2sec,1<α<2)の時間幅で、書庫HF信号送信の処理または携帯HF信号送信の処理が行なわれる。なお、書庫3の扉が開いている状態においては書庫HF信号送信の処理が停止されるが、携帯HF送信機6は書庫3の扉の開閉状態に無関係で、利用者の操作にもとづいてHF信号を送信するものとする。このHF信号は、無線ICタグのHF信号受信の処理により受け付ける。なお以上の各機器の動作は図25〜図28の例と同様である。しかしながら、図25〜図28と、図29のUHF信号送信タイミングの相違点は、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31におけるタグUHF信号送信の処理を、HF信号を送信する送信機側でのHF信号の送信が完全に完了した後に行う点である。なお図29で示す第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、図11で示す第1の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式と、無線ICタグがHF信号を受信してからUHF信号を送信する処理手順において同様のものである。
ここで、図29で示す第2の実施形態によるタグUHF信号の送信タイミング設定方式によるメリットの詳細としては、特に携帯HF送信機6において、HF信号を送信する処理と、そのHF信号を受信した無線ICタグよりタグUHF信号を受信する処理の2つの動作が時間的に分離され、携帯HF送信機6に必要とされる性能として、同時にそれらの2つの動作を並行処理する高い性能を全く要求されないということである。これまで説明した他のタグUHF信号の送信タイミング設定方式では、まず図25に示したタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号の受信から一定時間(例えば,fixed=0.25sec)後にUHF信号を送信する方式)は、HF信号の送信タイミングで、UHF信号を送信する可能性がある程度低い。また図26に示したタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号の受信の直後にUHF信号を送信する方式)では、HF信号の送信のタイミングで無線ICタグがUHF信号を送信する可能性が高い。また図27に示したタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号を受信した後で、次のHF信号受信する直前にUHF信号を送信する方式)は、高い可能性でHF信号の送信が完了した時点で当該HF信号を受信した無線ICタグからタグUHF信号が送信される。また図28で示したタグUHF信号の送信タイミング設定方式では、HF信号を受信した後に、ランダムな時間経過後に、当該HF信号を受信した無線ICタグがUHF信号を送信するので、HF信号の送信側においてHF信号の送信を完了した時点で、無線ICタグがタグUHF信号UHF送信する可能性が高い。そして図28に示すタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号を受信した後でランダムな時間経過後にUHF信号を送信する方式)は、HF信号の送信のタイミングでUHF信号を送信する可能性が相当程度に低く抑制される。いずれの方式にせよ、これまでに説明した図25〜図28におけるタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、HF送信機側のHF信号の送信のタイミングで無線ICタグがUHF信号を送信する可能性が少なからずある。
これらの方式に対し、図29に示すタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、まず、αγ[sec]の時間幅のHF信号送信処理時に、HF送信機(書庫用HF送信機32、携帯HF送信機6)のIDが何度も繰り返し含まれていることに加えて、例えばそのIDが何回目の繰り返しかのカウント値λが付与されて送信される。そして、このHF信号を無線ICタグが受信すると、無線ICタグはカウンタ値からこのHF信号が完了するタイミングを知ることができる。具体的な例としては、書庫用HF送信機32や携帯HF送信機6が1回のHF信号の送信における時間幅1.2secの間に1800回のIDの送信を繰り返す。そして、その1回のIDの送信にカウンタλ29を格納し、そのIDの送信のたびにλ29を1つ更新する。このHF信号送信処理の一番初めにおけるカウント情報を“1”とし、同じHF信号送信における最後のID送信時のカウント情報が“1800”(λmax)となる。例えば、無線ICタグがカウンタ情報“280”の格納されたHF信号を受信したとすると、図29に示しているように、
τ29=αγ(1−λ29/λmax)=1.2sec×(1−780/1800)=0.68sec
と計算でき、0.68sec経過後にHF信号送信が完了すると判定することができる。そして、この算出時間τ29(=0.68sec)経過後に無線ICタグはUHF信号の送信を行う。このようにすることで確実にHF送信機側におけるHF信号の送信完了後に、無線ICタグにおけるUHF信号の送信がなされる。従って、携帯HF送信機6がHF信号の送信とタグUHF信号の受信を同時並行して動作する高い性能を持つ必要性が全くなくなる。
逆に図29に示すタグUHF信号の送信タイミング設定方式によるデメリットは、無線ICタグから送信されるタグUHF信号の衝突がより起き易いということである。つまり、これまで説明した図25〜図28のタグUHF信号の送信タイミング設定方式では、ある書庫3内に多数のファイル4が収納される場合、同じタイミングで複数のタグUHF信号が衝突し、UHF送受信機2や携帯HF送信機6によるUHF信号の信号読取りが困難になる。UHF信号の衝突に関しては、図25〜図27のいずれのタグUHF信号の送信タイミング設定方式も、書庫3内の収納ファイル数に応じ確率的に発生する。ただし現実的にタグUHF信号の衝突を回避し、同じ書庫内に収納できるファイル数は、タグHF信号の受信の時間幅β[sec](=1msec)と、そのHF信号の送信の繰り返し間隔γ[sec](=1sec)の比に関係する。図25〜図27の場合、その比は1000倍で、200〜300程度のファイル4を収納する書庫3では、タグUHF信号の衝突を十分回避できる。
これらの外に、図28の方式は,図25〜図27よりタグUHF信号の衝突を回避可能である。あるHF信号を全く同じタイミングで複数の無線ICタグが受信すると、図25〜図27では、タグUHF信号の送信が必然的に同じタイミングとなり衝突するが、図28ではそのようなケースでもランダムな時間経過後にUHF信号の送信を行うので、複数の無線ICタグによるUHF信号の衝突を回避できる。つまり、図28のタグUHF信号の送信タイミング設定方式では、書庫3内により多数のファイル収納を許容できた。しかし、図29のタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、ある1回のHF信号の送信を複数の無線ICタグが異なるタイミングで受信したとしても、当該無線ICタグがUHF信号を送信するタイミングは、HF信号の送信処理が完了する時であり、先の図25〜図27の場合以上に、無線ICタグのUHF信号の衝突が増えて、書庫3に収納したファイルに取り付けたファイル用ICタグの読取りが困難になる。
また図29に示すタグUHF信号の送信タイミング設定方式の別のデメリットとしては、無線ICタグがより一層複雑な動作制御をするため、製造価格を抑制しづらいことが挙げられる。図28に示すタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号を受信した後でランダムな時間経過後にタグUHF信号を送信する方式)は、無線ICタグの動作制御において、UHF信号の送信までにHF信号の受信からランダムな時間経過の計測を行なわせる必要があり、この点で処理が複雑となった。また図27に示したタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号の受信の後、次のHF信号の受信の直前にタグUHF信号を送信する方式)においても、無線ICタグの動作制御が少し複雑であった。また、図26で示したタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号を受信をした直後にタグUHF信号を送信する方式)は単純な動作制御であった。そして、図25に示すタグUHF信号の送信タイミング設定方式(HF信号の受信から一定間隔後にUHF信号を送信する方式)の動作制御は多少は単純である。しかし、図29に示すタグUHF信号の送信タイミング設定方式は、図25〜図28のタグUHF信号の送信タイミング設定方式に比べて、より動作制御が複雑である。つまり、理由は、HF送信機におけるHF信号の送信完了の時間を知るため、例えば1回のHF信号の送信において、HF送信機のIDが繰り返して送信される回数λ(<λmax)に基づいて、HF信号の送信処理が完了する経過時間τを求める必要がある。このファイル管理システムに必要となる無線ICタグとして、書庫用ICタグ31とファイル用ICタグ41、特に多数のファイルに取り付けるファイル用ICタグ41については、その製造・制御設定など簡単にして安価にする必要があるが、このような複雑な動作制御を有するグUHF信号の送信タイミング設定方式では安価にすることは難しい。
以上、第2の実施形態によるファイル管理システムについて説明したが、これによれば、先の第1の実施形態と同様、アクティブ型の無線ICタグを用いており、当該無線ICタグの読取り機にIDカードをかざす行為やICタグを貼り付けたファイル4を収納する際に注意を払う必要がなくなる。また、パッシブ型無線ICタグのシステムと比較して、システム駆動のための電力が大幅に少ない。また書庫用HF送信機32からHF信号により送信されるIDと、書庫用ICタグ31自身のIDが共にUHF信号に格納されて送信されるため、どの書庫にどのファイル4が収納されているかを把握することができる。また携帯HF送信機6を所持した利用者が近づく場合、HF信号に応答する書庫用ICタグ31のUHF信号を携帯HF送信機6により受信できるので、その利用者の近くに所望のファイルがあると分かるというサービスを提供することができる。
また、第2の実施形態のその他の効果としては、第1の実施形態と異なり、書庫3の扉を閉じた状態で書庫用HF送信機32よりHF信号を送信してファイル用ICタグなどからUHF信号を送信させて、書庫の扉が閉じている状態ではHF信号の送信を停止させている。従って、書庫の扉や壁などで電波が遮断されていれば、書庫3の外にあるタグをむやみに起動させることを防ぐ効果が得られる。また、書庫3の扉が閉じている場合に、書庫用HF送信機32から60sec間隔という定期的なHF信号を送信して、ファイル用ICタグ41や書庫用ICタグ31にUHF信号を送信させている。この一連の動作により、どの書庫にどのファイルが存在するのかを継続的に知ることができる。そして、書庫3の内側に書庫用HF送信機32および書庫用ICタグ31を設置して動作させられる理由としては、微弱無線のHF信号の電界強度とは違い、UHF信号は扉を貫通できる信号であるため、書庫3内の扉が閉まっている状態であっても問題なくファイル用ICタグ41からのUHF送信を、UHF送受信機2により受信して読取りすることが可能となる。
なお、上述のファイル管理システムは、書庫に取り付けられた書庫用無線発信装置と、書庫に収納されるファイルに取り付けられたファイル用無線発信装置と、ファイル管理装置とを少なくとも有するファイル管理システムである。上述の各実施形態においては、書庫用無線発信装置として、書庫用HF送信機32と書庫用ICタグ31に機能を分けている。またファイル用無線発信装置としてファイル用ICタグ41を用いている。そして、書庫用無線発信装置は、書庫の扉の開または閉に基づいて、ファイル用無線発信装置に書庫の識別情報を格納した起動要求信号(実施形態においては、書庫用HF送信機32からのHF信号)を送信している。またファイル用無線発信装置は、起動要求信号の受信を契機に、当該起動要求信号に含まれる書庫の識別情報と、自装置の識別情報とを格納した起動信号(実施形態においてはファイル用ICタグ41からのUHF信号)をファイル管理装置へ送信している。そして、ファイル管理装置は、起動信号を受信すると、その起動信号に格納されている書庫の識別情報と、ファイル用無線発信装置の識別情報とを検出し、書庫の識別情報とファイル用無線発信装置の識別情報とを対応付けて記憶したファイル管理テーブル(上記実施形態においては機器IDテーブル)を生成している。
なお、上述のファイル管理装置1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。