JP2009184381A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】排水性能を低下させずに気柱管共鳴音が低減された空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ周方向に延びる主溝1がトレッドに刻まれた空気入りタイヤであって、主溝1の側壁3に複数の細溝11を備え、細溝11のトレッド側の端部11aは、トレッド表面に開口せず、最もトレッド側にあり、細溝11の溝底側の端部11bは、主溝1の溝底1bに開口せず、最も溝底側にあり、細溝11の主溝深さ方向の長さL1は主溝1の深さDの50〜80%であり、細溝11は少なくとも1以上の屈曲部21を備え、細溝11の自身に沿った長さL2は、L1の1.03倍以上かつ2倍以下である空気入りタイヤとする。
【選択図】図2

Description

本発明は、排水性能を低下させずに気柱管共鳴音が低減された空気入りタイヤに関する。
タイヤが接地した状態では、タイヤ周方向に延びる主溝と路面とにより管状空間を形成する。タイヤが回転すると、管状空間に圧縮された空気が外に放出され、その結果、気柱管共鳴音が発生する。気柱管共鳴音は、周波数が1kHz前後の耳障りなノイズであり、従来から気柱管共鳴音を低減することが求められている。例えば、特許文献1に記載の空気入りタイヤでは、主溝の側壁に、主溝深さ方向に延びる、多数の長穴を設けている。当該長穴によって主溝内の空気の流れに対する摩擦抵抗が大きくなり、その結果、気柱管共鳴音が低減される。
特開平10−315711号公報(図1)
上記のタイヤでも気柱管共鳴音が低減されているが、近年、タイヤ騒音を低減する要求が一段と厳しくなっており、更に気柱管共鳴音を低減することが求められている。主溝の配置、幅、形状を変更して気柱管共鳴音を低減することは可能であるが、タイヤの他の性能、例えば、排水性能が低下するおそれがある。そこで、長穴の形状を工夫し、更に気柱管共鳴音を低減する必要がある。
したがって、本発明の目的は、排水性能を低下させずに気柱管共鳴音が低減された空気入りタイヤを提供することにある。
本願発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる主溝がトレッドに刻まれた空気入りタイヤにおいて、
タイヤ周方向に延びる主溝がトレッドに刻まれた空気入りタイヤにおいて、
前記主溝の側壁に複数の細溝を備え、
前記細溝の主溝深さ方向の長さL1は前記主溝の深さDの50〜80%であり、
前記細溝は少なくとも1以上の屈曲部を備え、
前記細溝のトレッド側の端部は、トレッド表面に開口せず、最もトレッド側にあり、前記細溝の溝底側の端部は、前記主溝の溝底に開口せず、最も溝底側にあり、
前記細溝の自身に沿った長さL2は、L1の1.03倍以上かつ2倍以下であることを特徴とする。
主溝の側壁に刻まれた細溝により、主溝内の空気の流れに対する摩擦抵抗が大きくなるが、屈曲部により、屈曲部近傍で空気の流れの渦が発生し、主溝内の空気の流れに対する摩擦抵抗がより大きくなり、気柱管共鳴音がより大きく低減される。
以下、図面を用いて、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態を説明する。図1は本発明に係る空気入りタイヤの主溝の側壁を示す図で、図2は主溝1の側壁3の一部を示す図である。主溝1はタイヤ周方向Rに延び、横溝(図示しない)と共にブロック2を形成している。主溝1の側壁3には細溝11が設けられ、細溝11は少なくとも1つの屈曲部21を備え、折り曲げられている。また、細溝11のトレッド側の端部11aは、トレッドTの表面に開口せず、最もトレッド側にあり、細溝11の溝底側の端部11bは、主溝1の溝底1bに開口せず、最も溝底側にある。主溝1の対向する側壁(図示しない)においても、同様に、細溝11が設けられている。なお、トレッドにブロックが形成されたタイヤの例を示すが、リブを形成する主溝の両側の側壁に細溝11を設けても同様の効果が得られる。
細溝11により、主溝1内の空気の流れに対する摩擦抵抗が大きくなり、その結果、気柱管共鳴音が低減される。更に、屈曲部21により、屈曲部21近傍で空気の流れの渦が発生し、主溝1内の空気の流れに対する摩擦抵抗がより大きくなり、気柱管共鳴音がより大きく低減される。ここで、細溝11が直線状に延びている場合は、屈曲部21は、細溝11の延びる方向が不連続に変化する部分を言う。細溝11が曲線状に延びている場合は、屈曲部21は、溝進行方向に凸な部分で、接線の方向が主溝1の深さ方向となっている部分を言う。なお、図4(a)、(b)に示すように、屈曲部21に対していずれの向きに空気Aが流れる場合であっても、図示したように空気Aの流れの渦が発生すると考えられる。
したがって、細溝11の形状は、種々の形状が考えられる。例えば、図3(a)〜(c)に示すように、細溝11は折れ線状に延びた形状で、1又は複数の屈曲部21を備えた形状とすることができる。また、図3(d)〜(f)に示すように、細溝11はそれぞれ半円形状、2つの半円をつないだ形状、正弦波形状を備え、2つの屈曲部21を備えた形状とすることができる。なお、効果的に空気の流れに対して摩擦抵抗を与える観点から、図3(a)〜(c)の場合、屈曲部21を折り曲げ角度θは60度〜150度とすることが好ましい。
細溝11の主溝深さ方向の長さL1は、主溝1の深さDの50〜80%が好ましい。L1が主溝1の深さDの50%未満であると、主溝1内の空気の流れに対する摩擦抵抗が小さく、気柱管共鳴音を低減する効果が小さい。逆に、L1が主溝1の深さDの80%を超えると、ブロック2の剛性が低くなりタイヤの性能が低下する。また、細溝11の端部と、主溝1の溝底やトレッド表面との距離が短くなり、クラックが発生しやすくなる。また、細溝11の細溝自身に沿った長さL2は、L1の1.03倍以上で、L1の2倍以下が好ましい。長さL2がL1の1.03倍未満であると、主溝1内の空気の流れに対する摩擦抵抗が小さく気柱管共鳴音があまり低減されなく、長さL2がL1の2倍を超えると、ブロック2の剛性が低くなりタイヤの性能が低下する。
細溝11の幅wは、少なくとも0.5mm以上であり、主溝1の幅Wの0.25倍以下であることが好ましい。細溝11の深さdは、少なくとも0.2mm以上であり、主溝1の幅Wの0.5倍以下であることが好ましい。細溝11の間隔pは、少なくとも0.4mm以上であり、主溝11の幅Wの0.5倍以下であることが好ましい。これらの範囲を外れ、幅wが狭すぎたり、深さdが浅すぎたり、間隔pが広すぎたりすると、主溝1内の空気の流れに対する摩擦抵抗が小さく気柱管共鳴音があまり低減されないことがある。
逆に、幅wが広すぎたり、深さdが深すぎたりすると、ブロック2の剛性が低くなりタイヤの性能が低下する。間隔pが狭すぎすると、隣接する細溝11に挟まれた部分が千切れるなどの損傷を受けやすくなる。また、金型の製造コストが増大する。
本発明に係る実施例タイヤと比較例タイヤを製作して、それぞれを評価した。トレッドパターンは図5に示すとおりであり、主溝1によりリブ12が形成され、すべての主溝1の両側壁に細溝を刻んでいる。また、タイヤサイズは215/60R16、リムサイズは16×7−JJ、空気圧は230kPaであった。なお、実施例1、3では、図5における主溝1の左側の側壁には屈曲部21が進行方向P側にある細溝11が、主溝1の右側の側壁には屈曲部21が進行方向Pと反対側にある細溝11が、それぞれ刻まれている。
実施例1〜6は、図3に示した細溝を備えたタイヤであった。比較例1は屈曲部を備えない細溝を備えたタイヤであり、比較例2は、細溝は屈曲部を備えるがL2は実施例1に比べて短いタイヤであった。各細溝の寸法は表1に示したとおりであった。
評価結果は、表1に示すとおりである。排水性能は、排気量2500ccの後輪駆動セダン型乗用車に装着して、水深8mmの湿潤路を、速度を上げて走行し、ハイドロプレーニングが発生し始めたときの速度である。比較例1を100とした指数で示し、数字が大きいほど排水性能が優れていることを示す。
ノイズレベルは、JASO−C606に準拠した台上試験(速度は50km/h)で、1/3オクターブバンドの1kHzの気柱管共鳴音レベルを測定したもので、比較例1を基準としたデシベル値で表している。負値であれば気柱管共鳴音レベルが低減されている。
Figure 2009184381
表1によれば、いずれの実施例タイヤでも、排水性能を損なうことなく気柱管共鳴音レベルが低減されている。
本発明に係る空気入りタイヤの主溝の側壁を示す図である。 主溝1の側壁3の一部を示す図である。 (a)〜(f)は細溝の形状を示す図である。 (a)、(b)は、屈曲部により空気の流れが乱される様子を示す模式図である。 実施例・比較例に係るトレッドパターンを示す図である。
符号の説明
1 主溝
2 ブロック
3 主溝の側壁
11 細溝
21 屈曲部

Claims (2)

  1. タイヤ周方向に延びる主溝がトレッドに刻まれた空気入りタイヤにおいて、
    前記主溝の側壁に複数の細溝を備え、
    前記細溝の主溝深さ方向の長さL1は前記主溝の深さDの50〜80%であり、
    前記細溝は少なくとも1以上の屈曲部を備え、
    前記細溝のトレッド側の端部は、トレッド表面に開口せず、最もトレッド側にあり、前記細溝の溝底側の端部は、前記主溝の溝底に開口せず、最も溝底側にあり、
    前記細溝の自身に沿った長さL2は、L1の1.03倍以上かつ2倍以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記細溝の幅wは、少なくとも0.5mm以上であり、前記主溝の幅Wの0.25倍以下であり、
    前記細溝の深さdは、少なくとも0.2mm以上であり、前記主溝の幅Wの0.5倍以下であり、
    前記細溝の間隔pは、少なくとも0.4mm以上であり、前記主溝の幅Wの0.5倍以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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