JP2009183273A - 発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器、これを用いたキムチ熟成方法、及びそれにより製造されたキムチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キムチ用保存容器において、本体10の内壁面に複数の係止突起11を縦方向に沿って配置するとともに内方へ突出させた。本体10の内側の平面積と一致する平面積を有し上面の外周部及び中央部に多数の通孔21'が形成された密着部21aを備える。密着部21aの周囲から一体に上方に折れ曲がり外壁面を備え、その外壁面に本体10の係止突起11が嵌まる係止溝22'が形成された固定部材20を設ける。固定部材20における密着部21aの底部を本体10に収容されたキムチの上面に密着させ、固定部材20の係止溝22'を本体10の係止突起11に段階的に嵌め、移送中に保存容器が片方に傾いた時にキムチの液汁が密着部21aの通孔21'を通じて固定部材20の内側へ流れ込んで固定部材20の内側で自由に循環するようにした。
【選択図】図1
Description
本発明に係る発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器の具体的な内容について添付図面を参照して詳しく説明する。図1は、本発明に係るキムチ用保存容器の分解斜視図であり、図2は、本発明に係るキムチ用保存容器の側断面図であり、図3は、本発明の他の実施形態に係る固定部材の斜視図であり、図4は、図3に示すキムチ用保存容器の側断面図であり、図5は、本発明のまた別の実施形態に係る固定部材の斜視図であり、図6は、図5に示すキムチ用保存容器の正断面図を示している。
本発明は、キムチが収容される本体10の開放部位がシート30で真空密閉されるキムチ用保存容器に関する。上記本体10の内壁面には多数の係止突起11が縦方向に沿って配置されると共に、内方へ突出している。一方、固定部材20は密着部21aを備えている。密着部21aは上記本体10の内側の平面積と一致する平面積を有し、上面周り及び中央部に多数の通孔21'が形成されている。と、固定部材20は、上記密着部21aの周り一体に上方に折れ曲がる外壁面を備え、その外壁面には本体10の係止突起11が嵌まる係止溝22'が形成されている。上記固定部材20における密着部21aの底部は、本体10に収容されたキムチの上面に密着させられる。固定部材20の係止溝22'が本体10の係止突起11に段階的に嵌められ、移動中保存容器が片方に傾いてもキムチの液汁が密着部21aの通孔21'を通じて固定部材20の内側に流れ込んで、上記固定部材20の内側で自由に循環すると共に、液汁が通孔21'を通じてキムチ側に再供給される。
上記固定部材20は、透明又は半透明合成樹脂材で成形するものの、設置時にキムチが過度に押さ付けえられない程度の厚さを有するようにすることが好ましい。
以下、本発明に係る発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器の作用について説明する。
但し、本発明では、本体10の内部に固定部材20を簡単に設けて惣菜の流動防止はもちろん、特に重石機能によってキムチの中に液汁が十分しみ込むようにすると共に、移動中にキムチの一部分が乾燥しないように液汁を循環可能にすることによって、キムチが包装時と同じ形態を維持しながらも、最適な発酵及び熟成状態で供給することができるようにしている。
上記密着部21aの通孔21'を通じて固定部材20の内側に流れ込んだ液汁は、フェンスのように密着部21aの周り一体に形成された支持部22の内側にたまることになり、移動過程において上記液汁が固定部材20の内側を自由に移動しながら、密着部21aの上面全般に形成された通孔21'によって固定部材20の下方に置いたキムチに供給される。それにより、キムチ全体が乾燥せず、キムチが包装時と同じ形態を維持しながらも、最適な発酵及び熟成状態で供給することができる。
キムチの発酵では、乳酸菌によって乳酸以外の有機酸を生成することによってpHが低下するが、一般的に、キムチのpHは5.8であり、発酵が進行するとpH 3.8まで下がることになる。酸度とpHとの関係は、生成された酸がキムチの種類、塩の濃度、温度により溶解度が異なるので、必ずしも比例するのではなく、キムチの発酵の進行に伴い、漬け込んだ直後に酸度が0.03%から1.1%まで増加することになる。
先ず、キムチのpHは、キムチの液汁に直接pHメーター(Istek model 740P)の電極を入れて測定した。
図7から分かるように、5℃で保存した実験群1と対照群1のキムチは、液汁のpHが保存6日目まではpH5.2からpH5.5に上がったが、実験群1のキムチのみが、保存24日目にはpH4.2と低くなった。また、図8から分かるように、20℃で保存した実験群2と対照群2のキムチは、液汁のpHが保存2日目までpH5.2からpH5.5に上がったがその後に急速に減少して、保存12日目にはpH3.7まで低下し、その後、保存24日目までpH変化はほとんどなかった。
キムチの発酵パターンとCO2の生成量は密接な関係があり、キムチに含まれているCO2は、キムチにさっぱりした味を付与する成分であるばかりではなく、酸度と共に重要な発酵指標となる。キムチの発酵中に包装内部のCO2は増加し続け、一定範囲の温度でO2の濃度は減少することが一般的である。キムチの種類、保存温度、塩の濃度に応じてCO2の発生量は異なり、ガス状態のCO2は、キムチの液汁中に溶け入り、キムチのさわやか且つさっぱりした味を出すことになる。
キムチのCO2濃度を測定するために、先ず、錫酸-クエン酸塩混合液を製造する。錫酸-クエン酸塩混合液は、2M−Na,K−tartrate(酒石酸ナトリウムカリウム)水溶液と2M−Na−citrate(クエン酸ナトリウム)水溶液を同じ割合で混合して製造する。このように製造された混合液は、使用前に1N−NaOH水溶液で微赤色になるまで中和して使用する。
V2:0.1N−HCl水溶液の容積(ml)(滴定量)
キムチの場合は、pHが低く、希釈したキムチの液汁を別途に取り、5〜10分間激しく振とうし、または、80℃に加温して溶存するCO2を完全に取り除いた後、上記のような方法で滴定した数値から補正値を減じて遊離CO2含有量を計算した。CO2の補正値の計算は上記式の通りである。なお、CO2の補正値は、溶解したCO2の除去するために希釈されたキムチの液汁を加熱した後に演算されたものである。
図11から分かるように、実験群1及び対照群1の場合、保存12日目まではCO2濃度が持続的に増加したが、その後は減少する傾向がみられ、実験群1のキムチの液汁のCO2量が対照群1のキムチの液汁のCO2量より20%程度高かった。この際、キムチの液汁中のCO2濃度は、発酵12日目に最高に達して3800〜4100mg/kgとなり、これはキムチをキムチの液汁中に浸るように保存して発酵させると、キムチが美味しくなる理由であると言える。
キムチの熟成は、保存温度、食塩濃度、原料及び副材料などの色々な要因によって決定される複合的な発酵過程であって、多様な微生物が関与することになる。
キムチ中の乳酸菌の数は、試料を生理的食塩水で希釈し、培地で培養、計数する平板計数法(Plate count agar method)によって測定した。
遊離アミノ酸は、キムチの材料として使用される塩辛と乳酸菌によって生成され、栄養的に重要な成分であるのみでなく、味を左右したりもするためキムチにおいては非常に重要である。
遊離アミノ酸の測定は、キムチ5gに10倍量の蒸溜水を添加し、15分間沸かした後これをろ過し、50mlに定容して分析試料とし、誘導体化過程を経た後、GC-MSで分析して希薄倍数を掛けて測定した。
表1は、5℃で保存した実験群1の遊離アミノ酸の含有量を測定した結果を示す。
実験例5:キムチ中のGABA(Gama-aminobutyric acid)及びグルタミンの変化測定
機能性物質として知られているGABAは、1950年ロバート(Roberts)が哺乳類の小脳で抑制性の神経伝達物質として発見し、GABAの含有量が低ければ、アルコール性脳疾患を誘発する可能性が高く、GABAは二日酔い除去、不眠症解消、中風及び痴呆の予防、肥満解消作用、肝機能活性、アルコール代謝促進機能など、特に血圧を降下する機能があり、近年重要な機能性物質として認められている。
表3は、実験群1及び2の保存期間に応じるGABA含有量の変化を示すものである。
Claims (12)
- キムチが収容される本体(10)の開放部位がシート(30)で真空密閉されるキムチ用保存容器において、
本体(10)の内壁面に複数の係止突起(11)を縦方向に沿って配置するとともに内方へ突出させ、かつ、本体(10)の内側の平面積と一致する平面積を有し上面の外周部及び中央部に多数の通孔(21')が形成された密着部(21a)を備えるとともに、密着部(21a)の周囲から一体に上方に折れ曲がる外壁面を備え、その外壁面に本体(10)の係止突起(11)が嵌まる係止溝(22')が形成された固定部材(20)を設け、上記固定部材(20)における密着部(21a)の底部を本体(10)に収容されたキムチの上面に密着させ、固定部材(20)の係止溝(22')を本体(10)の係止突起(11)に段階的に嵌め、保存容器が片方に傾いた時にキムチの液汁が密着部(21a)の通孔(21')を通じて固定部材(20)の内側へ流れ込んで上記固定部材(20)の内側で自由に循環すると共に、液汁が通孔(21')を通じてキムチ側に再供給されるようにしたことを特徴とする発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器。 - 上記固定部材(20)の密着部(21b)は、株付き白菜キムチの収容に適合するようにドーム型に形成されることを特徴とする請求項1に記載の発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器。
- 上記固定部材(20)には、移送中にキムチの流動が制限可能なように密着部(21c)の底の中央部に半球形態の押し付け構造が形成されることを特徴とする請求項1に記載の発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器。
- 上記固定部材(20)には、支持部(22)を外方に傾斜するように形成し、設置時、支持部(22)の係止溝(22')に本体(10)の係止突起(11)が弾力的に結合されるようにすることを特徴とする請求項1に記載の発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器。
- 上記密着部(21a)の上面の外周部に形成される通孔(21')は、上面中央部に形成される通孔(21')より狭い間隔で配置され、固定部材(20)の内部へキムチの液汁が速やかに流れ込むようにすることを特徴とする請求項1に記載の発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器。
- 本体(10)の側面に指示目盛り(12)を形成し、本体(10)に収容されたキムチの収容量を外部から把握できるようにすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器を用いたキムチ熟成方法。
- 上記熟成方法では、上記キムチ用保存容器にキムチを入れ、熟成期間中に上記キムチが液汁に常に浸っているように保管することを特徴とする請求項7に記載のキムチ熟成方法。
- 上記キムチの熟成温度は、5〜20℃であることを特徴とする請求項8に記載のキムチ熟成方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発酵及び熟成機能が補強されたキムチ用保存容器を用いて製造されたキムチ。
- 上記キムチは、主材料である白菜86重量部を基準に、副材料であるいわしエキス3〜5重量部、粉トウガラシ2〜4重量部、ニンニク1〜3重量部、砂糖1〜3重量部、ワケギ0.5〜1.5重量部、調味料0.01〜0.02重量部、及び天日塩1〜2重量部を混合して製造されることを特徴とする請求項10に記載のキムチ。
- 上記キムチは、pH3.5〜5.0、酸度0.3〜0.9%、CO2濃度1400〜4100mg/kg、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)菌の数4.5×109〜7.2×109/ml、ロイコノストック属(Leuconostoc sp.)菌の数5.0×109〜1.1×1010/ml、GABA含有量900〜1600ppm及びグルタミン含有量700〜1300ppmであることを特徴とする請求項10に記載のキムチ。
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