JP2009175261A - 吸音体、吸音体群及び音響室 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸音体1においては、吸音する音の波長をλとすると、第1内部空間15においては、定在波の音圧振幅の腹が端面13の位置と端面からλ/2離れた位置に表れ、音圧振幅の節が開口端11の位置と、端面13からλ/4離れた位置に表れる。また、第2内部空間25においても、定在波の音圧振幅の腹が端面23の位置、端面23からλ/2離れた位置、端面23からλ離れた位置に表れ、音圧振幅の節が開口端21、端面23からλ/4離れた位置、端面23から3λ/4離れた位置に表れる。端面13と端面23の位置は、水平方向にλ/4の距離分ずれているため、第1内部空間15と第2内部空間25とで圧力差が生じ、振動部30が振動して音響エネルギーが消費され効率良く吸音がされる。
【選択図】図2
Description
特許文献1に開示されている吸音体は、共鳴室と、共鳴室に連通する開口部を有するヘルムホルツ共鳴器で、共鳴室は、金属板により方形形状に形成されている。また、共鳴室を形成する壁面には、低減させる周波数の音に共振する共振部が設けられている。そして、音波が吸音体に到達すると共振部が共振し、音は共振部に衝突してエネルギーを消失して減衰する。また、共鳴部では共鳴室壁面での摩擦や開口部での音波の再放射による空気粒子間の粘性作用によりエネルギーを消費し、音を減衰させることができる。
また、本発明においては、前記複数の共鳴部は、左右方向にも隣接してもよい。
また、本発明においては、隣接する共鳴部同士のうちの一方の第1共鳴部の開口端が向けられている方向と、他方の第2共鳴部の開口端が向けられている方向とが反対であってもよい。
また、本発明においては、隣接する共鳴部同士のうちの一方の第1共鳴部の延伸方向の長さは、他方の第2共鳴部の延伸方向の長さと同じであってもよい。
また、本発明においては、隣接する共鳴部同士のうちの一方の第1共鳴部の延伸方向の長さは、他方の第2共鳴部の延伸方向の長さと異なっていてもよい。
また、本発明の吸音体においては、前記振動部の共振時の振動の腹および節の位置と、前記定在波の腹および節の位置とが一致していてもよい。
また、本発明は、前記吸音体群を有する音響室を提供する。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る吸音体1の正面図、図1(b)は吸音体1の側面図、図2は、図1(a)のA−A線断面図である。また、図3は、各部材の断面を示した図である。これらの図に示したように、吸音体1は、大別すると第1共鳴部10、第2共鳴部20および、振動部30とにより形成されている。
ここで、第1内部空間15の開口端11から第1内部空間15の底面(端面13)までの距離d2は、吸音する音の周波数の波長をλとすると、数2の式の距離となっている。また、第1共鳴部10を第2共鳴部20に固着した際には、第2共鳴部20の開口端21から第1共鳴部10の開口端11までの距離はλ/4であり、端面23から端面13までの距離はλ/4となっている。
以上のように構成された吸音体1は、部屋の壁面、床または天井、車室、スピーカボックスの内外など、各種音場に配置される。
音場において、波長がλの音波が発生すると、発生した音波は、開口端11から第1内部空間15に入射し、開口端21から第2内部空間25に入射する。第1内部空間15に入った音波は、端面13で反射する。すると、開口端11から入った音波(入射波)と端面13で反射した音波(反射波)とが重なり合い、第1内部空間15に定在波が発生する。また、第2内部空間25に入った音波は、端面23で反射する。すると、開口端21から入った音波と端面23で反射した音波とが重なり合い、第2内部空間25に定在波が発生する。
例えば、端面23からλ/2離れた位置においては、第1内部空間15では音圧振幅の節が表れ、第2内部空間25においては音圧振幅の腹が表れる。第2内部空間25において端面23からλ/2離れた位置の音圧が最大値(正の値)となると、第2内部空間の音圧が第1内部空間15の音圧より高くなるため、膜状の振動部30において端面23からλ/2離れた部分が音圧差により第1内部空間15側へ押し上げられる。また、第2内部空間25において端面23からλ/2離れた位置の音圧が前記最大値の負の値となると、第2内部空間の音圧が第1内部空間15の音圧より低くなるため、振動部30において端面23からλ/2離れた部分が音圧差により第2内部空間25側へ押し下げられる。即ち、振動部30は、第1内部空間15と第2内部空間25との圧力差により振動することとなる。これは、第1内部空間15と第2内部空間とで他に音圧振幅の腹と節がずれている部分(端面23からλ/4離れた位置、端面23から3λ/4離れた位置、端面23からλ離れた位置)においても同様である。
このため、図4(b)や図4(c)の場合においても、吸音体1に音波が入ると、第2内部空間25内において音圧振幅の腹と節となる位置上の振動部30は、第1内部空間15側と第2内部空間25側へ変位して振動し、効率良く音波を減衰させることができる。
なお、上記振動板30の共振周波数を、定在波を生成した音波の周波数とは敢えて一致させないで、本吸音体1の吸音力を広帯域に増大させるように制御してもよい。
また、吸音体1においては、音波が第1内部空間15と第2内部空間25に進入すると、第1共鳴部10と第2共鳴部20は音波と共鳴することとなり、第1内部空間15と第2内部空間25では、音波が振動を繰り返すうちに第1共鳴部10と第2共鳴部20の壁面での摩擦や開口端での空気粒子間の粘性作用によりエネルギーを消費し、音波を減衰させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
なお、本明細書において板状や膜状とは、外力により屈曲振動するものであり、例えば、剛性が低い(ヤング率が低い、厚さが薄い、断面二次モーメントが小さい)、あるいは機械インピーダンス(8×(曲げ剛性×面密度)1/2)の値が小さい場合である。
また、本発明においては、図7に示したように、内部に空間を有する共鳴部40,50,60を上下方向の同列に複数重ねてもよい。そして、上側の共鳴部と下側の共鳴部との間に振動部30を介在させ、上側共鳴部の内部空間の音圧と下側共鳴部の内部空間の音圧の差により振動部30が振動するようにしてもよい。なお、図7においては、上下方向に重ねる共鳴部の数は3つとなっているが、重ねる数は3つに限定されるものではなく、4つ以上重ねてもよい。また、図7のように共鳴部を上下方向の同列に複数重ねた吸音体を、図6と同様に各共鳴部の内部空間が並行となるように左右方向に並列に束ねてもよい。なお、図7において点線で図示されている波形は、定在波の音圧振幅の波形である。
なお、開口端11が向く方向を開口端21が向いている方向と反対方向にする構成においては、図11(b)に示したように、第1共鳴部10の長さと第2共鳴部20の長さを同じとしてもよい。
また、図11(c)に示したように、端面13の位置と開口端21の位置を同じとしてもよい。
また、図11(d)に示したように、開口端11の位置は、端面23の位置からλ/2だけ離れた位置であってもよい。
また、本実施形態における吸音体および吸音体を連結した吸音体群は、音響特性を制御する各種の音響室に配置することが可能である。ここで各種音響室とは、防音室、ホール、劇場、音響機器のリスニングルーム、会議室等の居室、車両などの各種輸送機器の空間、スピーカや楽器などの筐体などである。なお、スピーカに配置する場合には、エンクロージャの側面、背面、底面などに配置してもよい。
第2共鳴部20Aは、金属で管状または筒状に形成されており、一方を開口し、他方の開口部を閉じた形状(いわゆる閉管)であって、内部に柱状の第2内部空間25Aを有している。
第1共鳴部10Aは、一方を開口し、他方の開口部を閉じた形状となっており、金属で形成されている非振動部16と、力が加えられると変形して振動する素材で形成されている振動部17とを有している。また、第1共鳴部10Aは、内部に柱状の第1内部空間15Aを有している。
また、第1共鳴部10Aは、非振動部16の部分が第2共鳴部20Aの外側に位置しており、振動部17の部分が第2共鳴部20Aの内部に位置している。
そして、第2共鳴部20Aの開口端から第1内部空間15Aの底面までの距離D2は、吸音する音の周波数の波長をλとすると、数2の式の距離となっている。
ここで、第1内部空間15Aの底面から第2内部空間25Aの底面までの距離はλ/4となっている。または、第1共鳴部10Aの開口端から振動部17までの距離(即ち飛び出している非振動部16の長さ)はλ/4となっている。但し、前記非振動部16の飛び出しがなく、第1共鳴部の開口端が第2内部空間25Aの内部に入り込んだ場合では、第1共鳴部の開口端の境界条件と該開口端位置に相当する第2共鳴部の部位の境界条件とが整合しないので、第1共鳴部の開口端が第2内部空間25Aの内部に入り込んだ場合は除くこととする。
本変形例においても、第1共鳴部10Aと第2共鳴部20Aに音波が入ると、第2内部空間25A内において音圧振幅の腹と節となる位置上の振動部17は、第1内部空間15A側と第2内部空間25A側へ変位して振動し、効率良く音波を減衰させることができる。
Claims (17)
- 外力により振動する板状または膜状の振動部と、
管状で一端を開口し他端を閉じた複数の共鳴部と
を有し、
各共鳴部は、並行に隣接して配置され、隣接する共鳴部の内部空間同士の間の少なくとも一部が前記振動部で区切られており、
隣接する共鳴部同士の一方の共鳴部内に発生する定在波の節の位置が、隣接する他方の共鳴部内に発生する定在波の節の位置とずれていること
を特徴とする吸音体。 - 前記複数の共鳴部は、上下方向に隣接していることを特徴とする請求項1に記載の吸音体。
- 前記複数の共鳴部は、左右方向にも隣接していることを特徴とする請求項2に記載の吸音体。
- 隣接する共鳴部同士のうちの一方の第1共鳴部の開口端が向けられている方向と、他方の第2共鳴部の開口端が向けられている方向とが反対であることを特徴とする請求項1に記載の吸音体。
- 隣接する共鳴部同士のうちの一方の第1共鳴部の延伸方向の長さは、他方の第2共鳴部の延伸方向の長さと同じであることを特徴とする請求項1に記載の吸音体。
- 隣接する共鳴部同士のうちの一方の第1共鳴部の延伸方向の長さは、他方の第2共鳴部の延伸方向の長さと異なることを特徴とする請求項1に記載の吸音体。
- 外力により振動する板状または膜状の振動部と、
管状で両端を開口した複数の共鳴部と
を有し、
前記各共鳴部は、並行に隣接して配置され、隣接する共鳴部の内部空間同士の間の少なくとも一部が前記振動部で区切られており、
隣接する共鳴部同士の一方の共鳴部内に発生する定在波の節の位置が、隣接する他方の共鳴部内に発生する定在波の節の位置とずれていること
を特徴とする吸音体。 - 外力により振動する板状または膜状の振動部と、
管状で一端を開口し他端を閉じた第1共鳴部と、
管状で両端を開口した第2共鳴部と
を有し、
前記第1共鳴部と前記第2共鳴部は、並行に隣接して配置され、隣接する共鳴部の内部空間同士の間の少なくとも一部が前記振動部で区切られており、
隣接する共鳴部同士の一方の共鳴部内に発生する定在波の節の位置が、隣接する他方の共鳴部内に発生する定在波の節の位置とずれていること
を特徴とする吸音体。 - 管状で一端を開口し他端を閉じた形状で、外力により振動する板状または膜状の振動部を管状の一部に有する第1共鳴部と、
管状で一端を開口し他端を閉じた形状で前記第1共鳴部を内部に有する第2共鳴部と
を有し、
前記第1共鳴部と前記第2共鳴部は、開口端を同じ方向に向けて並行に配置され、
前記第1共鳴部内に発生する定在波の節の位置と、前記第2共鳴部内に発生する定在波の節の位置とがずれていること
を特徴とする吸音体。 - 前記振動部の共振周波数と、前記定在波の周波数とが一致していることを特徴とする請求項1,10,11,12のいずれかに記載の吸音体。
- 前記振動部の共振時の振動速度の腹または節の配置関係と、
前記定在波の音圧振幅の腹または節の配置関係とが対応していること
を特徴とする請求項1,10,11,12のいずれかに記載の吸音体。 - 請求項1,10,11,12のいずれかに記載の吸音体が並列に複数並べられている吸音体群。
- 請求項1,10,11,12のいずれかに記載の吸音体を有する音響室。
- 請求項15に記載の吸音体群を有する音響室。
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WO2018147105A1 (ja) * | 2017-02-08 | 2018-08-16 | 富士フイルム株式会社 | 防音構造体および開口構造体 |
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2008
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