JP2017118660A - 発電装置 - Google Patents

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江波戸 明彦
Akihiko Ebato
明彦 江波戸
敦郎 大西
Atsuro Onishi
敦郎 大西
小川 昭人
Akito Ogawa
昭人 小川
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Abstract

【課題】入力される振動の特性による発電量の低下を抑制する発電装置を提供する。【解決手段】一つの実施形態に係る発電装置は、共鳴器と、第1の部分と、第2の部分と、発電部と、振動部材とを備える。前記共鳴器の内側に、空洞の少なくとも一部が設けられる。前記第1の部分は、前記共鳴器に設けられ、前記空洞に開口する第1の端部と前記共鳴器の外部に開口する第2の端部とを有する開口部が設けられる。前記第2の部分は、前記共鳴器に設けられ、前記空洞の少なくとも一部を形成するとともに、前記第1の部分に対して相対的に振動可能である。前記発電部は、磁石と、前記磁石に対して相対的に移動可能な導体と、を有する。前記振動部材は、前記開口部の前記第2の端部に面し、前記磁石と前記導体とのうち一方が取り付けられ、前記共鳴器に対して相対的に振動可能である。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、発電装置に関する。
振動の運動エネルギーを電力に変換する振動発電装置が知られる。振動発電装置は、例えば、入力された振動によってバネ・マス振動系の共振を生じさせ、より大きい電力を得ることができる。
特開2005−057820号公報
振動発電装置において、入力された振動の特性によって共振が生じにくい場合がある。
一つの実施形態に係る発電装置は、共鳴器と、第1の部分と、第2の部分と、発電部と、振動部材とを備える。前記共鳴器の内側に、空洞の少なくとも一部が設けられる。前記第1の部分は、前記共鳴器に設けられ、前記空洞に開口する第1の端部と前記共鳴器の外部に開口する第2の端部とを有する開口部が設けられる。前記第2の部分は、前記共鳴器に設けられ、前記空洞の少なくとも一部を形成するとともに、前記第1の部分に対して相対的に振動可能である。前記発電部は、磁石と、前記磁石に対して相対的に移動可能な導体と、を有する。前記振動部材は、前記開口部の前記第2の端部に面し、前記磁石と前記導体とのうち一方が取り付けられ、前記共鳴器に対して相対的に振動可能である。
図1は、第1の実施形態に係る振動発電システムを示す断面図である。 図2は、第1の実施形態の共鳴器を概略的に示す斜視図である。 図3は、第1の実施形態の共鳴器を示す平面図である。 図4は、第1の実施形態の振動部材の振動加速度レベルの一例を模式的に示すグラフである。 図5は、第2の実施形態に係る振動発電システムを示す断面図である。
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、実施形態に係る構成要素や、当該要素の説明について、複数の表現を併記することがある。当該構成要素及び説明について、記載されていない他の表現がされることは妨げられない。さらに、複数の表現が記載されない構成要素及び説明について、他の表現がされることは妨げられない。
図1は、第1の実施形態に係る振動発電システム10を示す断面図である。振動発電システム10は、発電装置の一例である。図1に示すように、振動発電システム10は、振動源11と、発電機12とを有する。
各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、発電機12の幅に沿う。Y軸は、発電機12の長さ(奥行き)に沿う。Z軸は、発電機12の高さ(厚さ)に沿う。
振動源11は、例えば、車両の部品である。なお、振動源11はこれに限らず、例えば、車両、モータのような機械、建物、壁、及び地面のような、振動を発生又は振動が伝達する他の物体であっても良い。
振動源11は、部材15を有する。部材15は、例えば、金属板であり、振動源11の筐体の一部を形成する。部材15は、振動源11の内部の種々の要素を覆う。なお、部材15はこれに限らない。
例えば振動源11の内部の要素が生じさせる振動が部材15に伝わることで、部材15に振動(以下、環境振動と称する)が生じる。このように、振動源11は振動可能である。なお、振動源11は、外部から振動が伝達することにより振動しても良い。例えば、振動源11の一例である壁が騒音によって振動させられても良いし、振動源11の一例である地面が走行する車両によって振動させられても良い。
本実施形態において、環境振動は、X軸に沿う方向における振動、Y軸に沿う方向における振動、及びZ軸に沿う方向における振動を含む。なお、環境振動は、一つの方向における振動であっても良い。
部材15は、取付面15aを有する。取付面15aは、部材15の外面であり、略平坦に形成される。なお、取付面15aは、例えば、部材15の内面であっても良く、曲面であっても良く、凹凸が形成されても良い。本実施形態の取付面15aは、Z軸に沿う正方向(図1における上方向)に向く。
発電機12は、部材15の取付面15aに取り付けられ、部材15の環境振動の運動エネルギーを電力に変換する。発電機12は、共鳴器21と、振動部材22と、発電部23と、筐体24とを有する。共鳴器21は、例えば、ヘルムホルツ共鳴器、カバー、筐体、容器、収容部、又は部材とも称され得る。振動部材22は、例えば、振動素子、変位部、又は部材とも称され得る。筐体24は、支持部材及び筐体の一例である。
共鳴器21は、いわゆるヘルムホルツ共鳴器である。共鳴器21は、覆部31と、首部32とを有する。言い換えると、覆部31及び首部32が共鳴器21に設けられる。覆部31は、第2の部分の一例であり、例えば、筐体、胴部、収容部、振動部、又は本体部とも称され得る。首部32は、第1の部分及び管部の一例であり、例えば、伝送経路、管、境界部、補強部、又は支持部とも称され得る。
本実施形態において、共鳴器21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって作られる。共鳴器21は、例えば、他の合成樹脂、金属、又は他の材料によって作られても良い。
覆部31と首部32とは、一体に形成される。すなわち、覆部31の材料と、首部32の材料とは同一である。なお、覆部31と首部32とは、別個に形成されても良く、異なる材料によって作られても良い。
図2は、第1の実施形態の共鳴器21を概略的に示す斜視図である。図2に示される覆部31は、大よそ円柱の箱型に形成される。覆部31は、直方体の箱状のような他の形状に形成されても良い。
覆部31は、周壁35と、上壁36とを有する。周壁35は、第2の壁の一例である。上壁36は、第1の壁及び壁部の一例である。周壁35及び上壁36は、例えば、振動部、板、又は膜とも称され得る。
図1に示すように、周壁35は、Z軸に沿う方向に延ばされる円筒状に形成される。言い換えると、周壁35の内周面及び外周面は、Z軸と直交(交差)する方向(周壁35の中心軸の径方向)に向く。
周壁35は、Z軸に沿う方向における下端部35aと上端部35bとを有する。なお、下端部35a及び上端部35bの名称は、説明のため、図1における位置に基づいて称され、下端部35a及び上端部35bの位置及び方向を限定しない。
周壁35の下端部35aは、開放された端部である。下端部35aは、部材15の取付面15aに、例えば接着によって、取り付けられる。言い換えると、部材15が、周壁35の下端部35aを塞ぐ。部材15の取付面15aに取り付けられた覆部31は、取付面15aの一部を覆う。
周壁35の上端部35bは、下端部35aの反対側に位置する。上端部35bは、首部32を介して、上壁36に接続される。言い換えると、上端部35bは、首部32に接続される。
上壁36は、X‐Y平面上に広がる平坦な板状に形成される。上壁36はこれに限らず、例えば、曲げられても良いし、凹凸を有しても良い。上壁36の端部36aは、首部32を介して、周壁35の上端部35bに接続される。言い換えると、端部36aは、首部32に接続される。
上壁36は、内面36bと、外面36cとを有する。内面36bは、Z軸に沿う負方向(図1における下方向)に向き、部材15の取付面15aと向かい合う。外面36cは、内面36bの反対側に位置し、Z軸に沿う正方向に向く。
以上のように、共鳴器21は、周壁35の下端部35aが開放された円柱の箱型に形成される。共鳴器21の内部に、大よそ円柱形状の空洞38が設けられる。空洞38は、例えば、閉塞部、部屋、室、又は空間とも称され得る。空洞38は、共鳴器21と、部材15との間に設けられる。
覆部31の周壁35及び上壁36と、首部32の一部とは、空洞38の一部を形成する。詳しく述べると、首部32の一部、周壁35、及び上壁36はそれぞれ、空洞38に面する共鳴器21の内面21aの一部を形成する。例えば、上面36の内面36bは、共鳴器21の内面21aの一部である。共鳴器21の内面21aと、部材15の取付面15aとが、共鳴器21の内側の空間を囲むことで、空洞38が形成(規定)される。
覆部31は、周壁35の下端部35aを塞ぐ壁を有しても良い。この場合、空洞38は、当該壁と、周壁35と、上壁36と、首部32の一部とによって形成(規定)される。例えば、当該壁は、部材15の取付面15aに、例えば接着によって、取り付けられる。
図3は、第1の実施形態の共鳴器21を示す平面図である。なお、図3のF1‐F1線は、図1に示される振動発電システム10の断面の位置を示す。図3に示すように、首部32は、X‐Y平面上で巻かれた円環状に形成される。首部32はこれに限らず、例えば、多角形の環状、C字型、又はU字型のような他の形状に形成されても良い。
首部32は、円環状に延ばされた管状の部分である。言い換えると、首部32は、Z軸に沿う方向に延ばされた周壁35の中心軸の周方向に延ばされる。首部32の内部に、管路41と、隔壁42とが設けられる。管路41は、開口部の一例であり、例えば、経路、流路、通路、又は孔とも称され得る。
管路41は、管状の首部32の内部に設けられた流路である。管路41は、首部32の中心線に沿って、途切れた円環状(C字状)に延ばされる。言い換えると、管路41は、周壁35の中心軸の周方向に延ばされる。なお、管路41は、連続した円環状(O字状)に延ばされても良いし、他の形状に延ばされても良い。
隔壁42は、第1の面42aと、第2の面42bとを有する。第1の面42aは、周壁35の中心軸の周方向の一方向に向く。第2の面42bは、第1の面42aの反対側に位置する。周壁35の中心軸の周方向において、管路41は、隔壁42の第1の面42aと、隔壁42の第2の面42bとの間で、周壁35の中心軸の周方向に延ばされる。
例えば、周壁35の中心軸の周方向における隔壁42の長さ(厚さ)がより大きく設定されることで、管路41の長さはより短く設定される。さらに、首部32の内部に複数の隔壁42が設けられることで、管路41の長さはより短く設定される。このように、例えば、隔壁42の長さ(厚さ)及び数によって、管路41の長さが設定される。
管路41は、第1の連通孔45と、第2の連通孔46とを有する。第1の連通孔45は、第1の端部の一例である。第2の連通孔46は、第2の端部の一例である。第1及び第2の連通孔45,46はそれぞれ、例えば、開口とも称され得る。
第1の連通孔45は、隔壁42の第1の面42aの近傍に設けられる。第1の連通孔45は、他の位置に設けられても良い。図1に示すように、第1の連通孔45は、首部32の中心軸の径方向(首部32が延ばされる方向と直交する方向)に向き、空洞38に開口する。言い換えると、第1の連通孔45は、空洞38に接続される管路41の端部である。
図3に示すように、第2の連通孔46は、隔壁42の第2の面42bの近傍に設けられる。言い換えると、第2の連通孔46は、管路41における第1の連通孔45の反対側、すなわち第1の連通孔45と異なる位置に設けられる。第2の連通孔46は、他の位置に設けられても良い。第2の連通孔46は、Z軸に沿う正方向(図1における上方向)に向き、共鳴器21の外部に開口する。言い換えると、第2の連通孔46は、共鳴器21の外部に接続される管路41の端部である。
第1の連通孔45及び第2の連通孔46の少なくとも一方が、隔壁42から離間した位置に設けられる場合がある。この場合も、管路41において、流体は第1の連通孔45と第2の連通孔46との間で流れるため、第1及び第2の連通孔45,46は、管路41の端部と称され得る。
首部32は、上壁36を囲んで、上壁36の端部36aに接続される。なお、上述のように、首部32は、例えばC字型に形成されても良い。すなわち、図3のように上壁36を平面視した場合に、上壁36の一部が、首部32の外に開放されても良い。この場合でも、首部32は、上壁36を囲むと表現され得る。上壁36を囲む首部32において、首部32の一部と、首部32の他の一部との間に、上壁36が位置する。
図1に示すように、首部32の断面は、円環状に形成される。このため、管路41の断面は、円形に形成される。なお、首部32及び管路41のそれぞれの断面は、例えば、多角形のような他の形状に形成されても良い。
上記のように、首部32は、断面が円環状に形成されるとともに、円環状に延ばされる。一方、周壁35は円筒状に形成されるとともに、周壁35の半径は首部32の半径よりも大きい。上壁36は板状に形成される。首部32、周壁35、及び上壁36のそれぞれの厚さは、実質的に等しい。このため、首部32の剛性は、周壁35の剛性よりも高く、且つ上壁36の剛性よりも高い。なお、首部32、周壁35、及び上壁36のそれぞれの厚さは、互いに異なっても良い。
上記のように、首部32は、周壁35及び上壁36よりも剛性が高い。このため、周壁35及び上壁36は、首部32よりも変形、移動、及び振動しやすい。すなわち、首部32と周壁35とに同一の振動が与えられた場合、周壁35の振幅は、首部32の振幅よりも大きい。なお、当該振動の振動数は、首部32及び周壁35のそれぞれの固有振動数と異なる。さらに、首部32と上壁36とに同一の振動が与えられた場合、上壁36の振幅は、首部32の振幅よりも大きい。なお、当該振動の振動数は、首部32及び上壁36のそれぞれの固有振動数と異なる。
共鳴器21の覆部31は、部材15の取付面15aに取り付けられる。このため、覆部31に部材15の環境振動が伝達することで、覆部31の周壁35及び上壁36は振動可能である。
覆部31の周壁35は、例えば、X軸に沿う方向、Y軸に沿う方向、及びX‐Y平面上の方向(周壁35の中心軸の径方向)に振動可能である。X軸に沿う方向、Y軸に沿う方向、及びX‐Y平面上の方向は、第2の方向の一例である。環境振動は、X軸に沿う方向における振動とY軸に沿う方向における振動とを含む。このため、覆部31に部材15の環境振動が伝達することで、周壁35は振動可能である。
覆部31の上壁36は、例えば、Z軸に沿う方向に振動可能である。Z軸に沿う方向は、第1の方向の一例である。すなわち、周壁35が振動可能な方向と、上壁36が振動可能な方向とは、互いに直交(交差)する。環境振動は、Z軸に沿う方向における振動を含む。このため、覆部31に部材15の環境振動が伝達することで、上壁36は振動可能である。
周壁35及び上壁36のそれぞれの剛性は、部材15よりも低い。さらに、周壁35及び上壁36のそれぞれの固有振動数は、部材15の固有振動数と異なる。例えばこれらの理由により、周壁35及び上壁36のそれぞれの振動と、部材15の振動とは異なる。言い換えると、周壁35及び上壁36はそれぞれ、部材15に対して相対的に振動可能である。例えば、部材15の振幅と、周壁35及び上壁36のそれぞれの振幅とが異なる。なお、周壁35及び上壁36がそれぞれ部材15に対して相対的に振動可能である理由は、上記の理由と異なっても良い。
さらに、周壁35及び上壁36のそれぞれの剛性は、首部32の剛性よりも低い。例えばこのような理由により、周壁35及び上壁36のそれぞれの振動と、首部32の振動とは異なる。言い換えると、周壁35及び上壁36はそれぞれ、首部32に対して相対的に振動可能である。例えば、首部32の振幅と、周壁35及び上壁36のそれぞれの振幅とが異なる。なお、周壁35及び上壁36がそれぞれ首部32に対して相対的に振動可能である理由は、上記の理由と異なっても良い。
振動部材22は、例えば、X‐Y平面上に広がる板状に形成される。振動部材22は、他の形状に形成されても良い。振動部材22は、上壁36の外面36cと、管路41の第2の連通孔46と、に面する。振動部材22は、例えば、上壁36と第2の連通孔46とを覆うように、首部32に乗せられる。振動部材22は、首部32に固定されず、共鳴器21に対して相対的に振動可能である。振動部材22は、例えば、Z軸に沿う方向に振動可能である。
振動部材22は、例えば金属板である。振動部材22の厚さは、周壁35及び上壁36のそれぞれの厚さよりも厚い。振動部材22の剛性は、周壁35及び上壁36のそれぞれの剛性よりも高い。このため、周壁35及び上壁36は、振動部材22よりも変形、移動、及び振動しやすい。すなわち、振動部材22と周壁35とに同一の振動が与えられた場合、周壁35の振幅は、振動部材22の振幅よりも大きい。なお、当該振動の振動数は、振動部材22及び周壁35のそれぞれの固有振動数と異なる。さらに、振動部材22と上壁36とに同一の振動が与えられた場合、上壁36の振幅は、振動部材22の振幅よりも大きい。なお、当該振動の振動数は、振動部材22及び上壁36のそれぞれの固有振動数と異なる。
発電部23は、共鳴器21の外部に設けられる。なお、発電部23の少なくとも一部が共鳴器21の内部に設けられても良い。発電部23は、コイル51と、磁石52と、コア53と、導線54とを有する。コイル51は、導体の一例である。
コイル51は、Z軸に沿う方向に延ばされる螺旋状に巻かれた導体である。コイル51は、例えば円筒状に巻かれるが、他の形状に形成されても良い。コイル51は、振動部材22に取り付けられる。このため、コイル51は、振動部材22と一体的に振動可能である。本実施形態の振動部材22及びコイル51は、コイル51が延ばされる方向(Z軸に沿う方向)に振動可能である。図1は、二点鎖線によって、振動により変位した振動部材22及びコイル51を示す。
磁石52は、コア53に支持される。磁石52のN極及びS極は、Z軸に沿う方向における磁石52の両端部にそれぞれ設けられる。本実施形態において、磁石52の少なくとも一部は、コイル51の内部に配置される。言い換えると、コイル51は、磁石52を囲む。なお、磁石52は、コイル51の外部に配置されても良い。
コイル51及び振動部材22は、例えば、磁石52及びコア53に対して相対的に振動可能に、磁石52及びコア53に支持される。コイル51及び振動部材22は、例えばバネを介して、磁石52及びコア53に取り付けられても良い。なお、コイル51及び振動部材22は、磁石52及びコア53から分離されても良い。
振動部材22及びコイル51が磁石52に対してZ軸に沿う方向に移動(振動)すると、コイル51が、磁石52の磁界を通過する。これにより、電磁誘導によってコイル51に起電力が生じる。このように、発電部23は、コイル51と磁石52とが相対的に移動することにより電力を発生させる。
導線54は、コイル51に接続される。導線54は、例えば、振動発電システム10の端子に接続され、コイル51に生じた電力を当該端子に接続された他の装置に供給する。導線54は、振動発電システム10が電力を供給する他の装置に直接接続されても良い。
筐体24は、振動源11に取り付けられ、共鳴器21、振動部材22、及び発電部23を収容する。言い換えると、筐体24は、共鳴器21、振動部材22、及び発電部23を覆う。なお、共鳴器21、振動部材22、及び発電部23の少なくとも一部が、筐体24の外に位置しても良い。
筐体24は、例えば、金属によって作られ、円柱形の箱状に形成される。筐体24の厚さは、周壁35及び上壁36のそれぞれの厚さよりも厚い。筐体24の剛性は、共鳴器21の周壁35及び上壁36のそれぞれの剛性よりも高い。なお、筐体24は、他の材料によって作られても良く、他の形状に形成されても良い。筐体24は、側壁61と、端壁62とを有する。
側壁61は、例えば、Z軸に沿う方向に延ばされる円筒状に形成される。側壁61は、共鳴器21を囲む。Z軸に沿う方向において、側壁61の一方の端部は、例えば接着によって部材15の取付面15aに取り付けられる。側壁61の他方の端部は、端壁62に接続される。言い換えると、側壁61の両端部は、部材15及び端壁62によって塞がれる。
端壁62は、X‐Y平面上に広がる平坦な板状に形成される。端壁62は、部材15の取付面15aと向かい合う。端壁62に、コア53が取り付けられる。コア53は、筐体24の内面24aに取り付けられる。すなわち、筐体24は、磁石52が取り付けられたコア53を支持する。言い換えると、磁石52は、コア53を介して筐体24に取り付けられる。
上述のように、コイル51は、磁石52に対して相対的に移動可能である。すなわち、振動部材22及びコイル51は、磁石52が取り付けられた筐体24に対して相対的に振動可能である。
筐体24は、剛性が高く、振動源11の部材15と大よそ一体的に振動する。このため、共鳴器21の周壁35及び上壁36はそれぞれ、部材15及び筐体24に対して相対的に振動可能である。なお、周壁35及び上壁36がそれぞれ筐体24に対して相対的に振動可能である理由は、上記の理由と異なっても良い。
上述のように、筐体24は、剛性が高い材料で作られる。このため、部材15の環境振動は、筐体24に効率良く伝わる。この場合、後述のように、磁石52及びコア53は、慣性力により振動し、さらに共鳴による音響加振力も重畳されて、発電する。
以上説明した振動発電システム10において、例えば振動源11の部材15から共鳴器21に環境振動が伝わると、共鳴器21の覆部31(周壁35及び上壁36)は、バネ・マス系(バネ‐質量系)として振動する。以下、理解のため、周壁35及び上壁36を含む覆部31が、質量がm、バネ定数がkのバネ・マス系として一体的に説明される。なお、周壁35の質量及びバネ定数と、上壁36の質量及びバネ定数とは、互いに異なっても良い。覆部31の固有振動数(共振周波数、共振固有値)fは、式(数1)によって表される。
Figure 2017118660
環境振動に、振動数がfである振動又は振動数がfに近い振動が含まれる場合、覆部31は共振する。これにより、覆部31は、環境振動を増幅させる。環境振動と覆部31の共振とにより、空洞38内で振動放射音が生じる。言い換えると、覆部31は、振動源11の環境振動に基づき振動することにより空洞38内で振動放射音を発生させる。振動放射音は、音の一例である。
環境振動がX軸に沿う方向における振動及びY軸に沿う方向における振動の少なくとも一方を含む場合、周壁35が、環境振動に基づき、空洞38内に振動放射音を発生させる。また、環境振動がZ軸に沿う方向における振動を含む場合、上壁36が、環境振動に基づき、空洞38内に振動放射音を発生させる。このように、環境振動の方向にかかわらず、覆部31の周壁35及び上壁36が振動放射音を発生させる。
空洞38の内部に、空気が存在する。空洞38が共鳴器21で覆われるため、空洞38は閉塞空間となる。このような空洞38において、音圧が増加するビルドアップ、及び空間容積で決まる共鳴現象が発生し、音響増幅効果が生じる。当該音響増幅効果により、空洞38内で生じる音響加振力が増加する。
以下、音響加振力について詳しく説明する。閉塞空間である空洞38に、例えば覆部31により発生した振動放射音が存在する。当該振動放射音を音源として、空洞38内に音圧が作用する。
強さがqである振動放射音が空洞38内部のある位置xpi(=x,y,z)に存在する場合、当該振動放射音が空洞38内部の他の位置y(=x,y,z)に与える音圧Pは、以下の式(数2)によって示される。式(数2)は、音源がN個の場合を示す。本実施形態において、N=1である。また、式(数2)におけるVは、空洞38の容積を示す。
Figure 2017118660
式(数2)におけるφは、モード関数を示す。空洞38が直方体であると仮定して、空洞38の各辺の長さをL,L,Lとすると、モード関数φは以下の式(数3)によって示される。
Figure 2017118660
式(数2)におけるωは、共鳴周波数を示す。共鳴周波数ωは、以下の式(数4)によって示される。
Figure 2017118660
式(数2)におけるMは、空間モーダルマスを示す。空間モーダルマスMは、以下の式(数5)によって示される。
Figure 2017118660
式(数2)より、ある位置に面積Sの物体がある場合、当該物体に作用する力(加振力)は、音圧P×面積Sで示される。振動放射音により空洞38内の物体に作用する加振力を、本明細書において音響加振力と称する。
覆部31の共振には減衰が生じる。同じく、空洞38で生じる空気共鳴にも減衰(空気減衰)が生じる。空気減衰をζとすると、空気減衰ζと共鳴周波数ωとの積は、以下の式(数6)によって示される。
Figure 2017118660
式(数6)におけるαは、共鳴器21の平均吸音率を示す。平均吸音率αは、共鳴器21の内面21aの材質により変化する。例えば、共鳴器21の内面21aの材質の種類をN、それぞれの材質の固有の吸音率をα(i=1〜N)、それぞれの面積をS(i=1〜N)、共鳴器21の内面21aの全表面積をSallとすると、平均吸音率αは、以下の式(数7)によって示される。
Figure 2017118660
本実施形態において、空洞38に、管路41の第1の連通孔45が開口する。空洞38の内部から見た場合、管路41の吸音率は1で近似できる。平均吸音率αは、共鳴器21及び管路41の形状に応じて変化する。
一方、上述のように、共鳴器21は、いわゆるヘルムホルツ共鳴器である。このため、覆部31が発する振動放射音を共鳴励振源として、共鳴器21でヘルムホルツ共鳴が励起される。言い換えると、覆部31は、振動放射音により、共鳴器21で共鳴音を励起する。共鳴音は、共鳴による音の一例である。
ヘルムホルツ共鳴は、空洞38中の空気がバネとして、管路41中の空気がマス(質量)として機能し、管路41の第2の連通孔46における空気の移動により空気振動が誘発される現象である。
空洞38の容積V、管路41の長さL、管路41の断面積Sによって、ヘルムホルツ共鳴の固有振動数(共鳴周波数、空気共鳴固有値)が決まる。ヘルムホルツ共鳴器の大きさが気柱共鳴に用いられる気柱の大きさと実質的に同一である場合、ヘルムホルツ共鳴の固有振動数は、気柱共鳴の固有振動数よりも低域に設定することができる。
上述のように、開放された管路41の第2の連通孔46から、空気が空洞38の内部に出入りすることにより、ヘルムホルツ共鳴が励起される。空気の密度をρとすると、管路41中の空気(以下、空気マスと称する)の質量mと、空洞38の空気(以下、空気バネと称する)のバネ定数kとは、以下の式(数8)及び(数9)によって示される。
Figure 2017118660

Figure 2017118660
音速をcとすると、式(数8)及び(数9)より、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の固有振動数fは、以下の式(数10)によって示される。
Figure 2017118660
本実施形態において、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の固有振動数fは、覆部31の固有振動数fと異なる。なお、覆部31の固有振動数fと、ヘルムホルツ共鳴の固有振動数fとが同一に設定されても良い。固有振動数fは、共鳴器21の形状(容積V、長さL、及び断面積S)に応じて変化する。例えば、空洞38の容積が大きいほど、管路41の長さLが長いほど、そして管路41の断面積Sが小さいほど、固有振動数fは低くなる。
共鳴器21においてヘルムホルツ共鳴が発生することで、覆部31の振動とヘルムホルツ共鳴(空気共鳴)とが連成する。励振源は、環境振動と、上述の音響加振力とであり、覆部31にフィードバックされる。これらの励振源は、覆部31の振動との相対位相関係、周波数、空洞38における空気の状態により、覆部31の振動を増幅又は減衰させる。さらに、ヘルムホルツ共鳴により、管路41において音圧が増大し、音響放射力が増加する。
上述のように、部材15から環境振動が覆部31に伝わると、覆部31の周壁35及び上壁36が振動する。振動する覆部31は振動放射音を発生させ、共鳴器21におけるヘルムホルツ共鳴を励起する。さらに、共鳴器21において、覆部31の振動とヘルムホルツ共鳴との連成振動が発生する。言い換えると、覆部31によるバネ・マス系の振動と、ヘルムホルツ共鳴による空気バネ・マス系の振動とが、二自由度振動を形成する。
連成振動の固有振動数fは、覆部31の固有振動数fと異なるとともに、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の固有振動数fとも異なる。なお、連成振動の固有振動数fは、覆部31の固有振動数fと同一に設定されても良いし、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の固有振動数fと同一に設定されても良い。
音響加振力のフィードバックにより、覆部31の振動が増幅される。言い換えると、音響加振力により、共鳴器21の内部の励振エネルギーが増幅させられる。さらに、ヘルムホルツ共鳴により、管路41における音圧が増大する。これにより、振動発電システム10は、管路41の第2の連通孔46において、大きな音圧及び音響放射力(加振力)を得ることができる。
また、上壁36は、空洞38内で振動放射音を発生させるとともに、共鳴器21の外部にも振動放射音を発生させる。言い換えると、上壁36は、外面36cが向く方向にも振動放射音を発生させる。これにより、振動発電システム10は、上壁36の外面36cにおいて、音圧及び音響放射力(加振力)を得る。
管路41の第2の連通孔46における音響放射力と、上壁36の外面36cにおける音響放射力とが、管路41の第2の連通孔46及び上壁36を覆う振動部材22に作用する。すなわち、管路41の第2の連通孔46における音響放射力に、上壁36の外面36cにおける音響放射力が重畳される。これらの音響放射力と、例えば重力とにより、振動部材22とコイル51とが、Z軸に沿う方向に振動する。言い換えると、管路41の第2の連通孔46から放射された共鳴音と、上壁36の外面36cから放射された振動放射音と、が、振動部材22及びコイル51を振動させる。さらに、筐体24によって、部材15の振動が、磁石52及びコア53に伝わる。このため、慣性力によって、振動部材22とコイル51とが、Z軸に沿う方向にさらに振動する。これにより、コイル51に起電力が生じる。以上のように、振動発電システム10は、振動の運動エネルギーを電力に変換し、電力を生じさせる。
振動部材22は、管路41の外部であって、筐体24の内部の閉塞空間に位置する。このため、振動部材22の振動は共鳴器21のヘルムホルツ共鳴と連成し、ヘルムホルツ共鳴による音響加振力が振動部材22の振動にフィードバックされ得る。なお、筐体24の内部は開放空間であっても良い。
図4は、第1の実施形態の振動部材22の振動加速度レベルの一例を模式的に示すグラフである。図4の縦軸は、振動発電システム10に環境振動が入力された場合における振動部材22の振動加速度レベル[dB]を示す。図4の横軸は、環境振動の周波数[Hz]を示す。
環境振動の周波数によって、振動部材22の振動加速度レベルは異なる。環境振動が生じた場合における振動部材22の振動加速度レベルは、一つのグラフによって示され得る。しかし、本実施形態では説明のため、振動発電システム10に環境振動が入力された場合における振動部材22の振動加速度レベルが、第1乃至第5のグラフG1〜G5に分割されて模式的に示される。
図4において二点鎖線で示される第1のグラフG1は、振動発電システム10に環境振動が入力された場合において、上壁36が共鳴器21の外部に発生させた振動放射音によって振動させられる振動部材22の振動加速度レベルを示す。
図4において実線で示される第2のグラフG2は、振動発電システム10に環境振動が入力された場合において、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の共鳴音によって振動させられる振動部材22の振動加速度レベルを示す。共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の共鳴音は、上述のように、周壁35及び上壁36が空洞38の内部に発生させた振動放射音により励起される。
図4において一点鎖線で示される第3のグラフG3は、振動発電システム10に環境振動が入力された場合において、上壁36が共鳴器21の外部に発生させた振動放射音と、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の共鳴音と、の連成振動によって振動させられる振動部材22の振動加速度レベルを示す。
図4において破線で示される第4のグラフG4は、振動発電システム10に環境振動が入力された場合において、環境振動が伝達した筐体24によって振動させられる振動部材22の振動加速度レベルを示す。
図4において点線で示される第5のグラフG5は、振動発電システム10に環境振動が入力された場合において、上壁36が共鳴器21の外部に発生させた振動放射音と、環境振動が伝達した筐体24の振動と、の連成振動によって振動させられる振動部材22の振動加速度レベルを示す。
本実施形態において、上壁36の固有振動数fと、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の固有振動数fと、上壁36の振動放射音及び共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の共鳴音の連成振動の固有振動数fと、筐体24の固有振動数fと、上壁36の振動放射音及び筐体24の振動の連成振動の固有振動数fとは、互いに異なる。なお、固有振動数f〜fのうち二つ以上が同一であっても良い。また、固有振動数f〜fは、図4に例示される固有振動数f〜fと異なっても良い。
環境振動の周波数がfである場合に、上壁36が共振し、共鳴器21の外部に振動放射音を発生させる。当該振動放射音は振動部材22の振動を増幅するため、振動部材22の振動加速度レベルの第1のピークP1が表れる。環境振動の周波数がfである場合における振動部材22の振動加速度レベルは、環境振動の周波数がfと僅かに異なる場合における振動部材22の振動加速度レベルよりも大きい。
環境振動の周波数がfである場合に、共鳴器21がヘルムホルツ共鳴を生じ、共鳴音を発生させる。当該共鳴音は振動部材22の振動を増幅するため、振動部材22の振動加速度レベルの第2のピークP2が表れる。環境振動の周波数がfである場合における振動部材22の振動加速度レベルは、環境振動の周波数がfと僅かに異なる場合における振動部材22の振動加速度レベルよりも大きい。
環境振動の周波数がfである場合に、上壁36の共振と、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴とが、連成振動を発生させる。当該連成振動は振動部材22の振動を増幅するため、振動部材22の振動加速度レベルの第3のピークP3が表れる。環境振動の周波数がfである場合における振動部材22の振動加速度レベルは、環境振動の周波数がfと僅かに異なる場合における振動部材22の振動加速度レベルよりも大きい。
環境振動の周波数がfである場合に、筐体24が共振する。当該共振は振動部材22の振動を増幅するため、振動部材22の振動加速度レベルの第4のピークP4が表れる。環境振動の周波数がfである場合における振動部材22の振動加速度レベルは、環境振動の周波数がfと僅かに異なる場合における振動部材22の振動加速度レベルよりも大きい。
環境振動の周波数がfである場合に、上壁36の共振と、筐体24の共振とが、連成振動を発生させる。当該連成振動は振動部材22の振動を増幅するため、振動部材22の振動加速度レベルの第5のピークP5が表れる。環境振動の周波数がfである場合における振動部材22の振動加速度レベルは、環境振動の周波数がfと僅かに異なる場合における振動部材22の振動加速度レベルよりも大きい。
以上のように、環境振動が、周波数がfである振動、周波数がfである振動、周波数がfである振動、周波数がfである振動、及び周波数がfである振動のうち少なくとも一つを含む場合、振動部材22の振動加速度レベルが大きくなる。振動発電システム10の発電量は、振動部材22に取り付けられたコイル51と、磁石52との相対的な加速度に比例する。このため、環境振動が、周波数がfである振動、周波数がfである振動、周波数がfである振動、周波数がfである振動、及び周波数がfである振動のうち少なくとも一つを含む場合、振動発電システム10の発電量はより大きくなる。
上述のように、音響加振力のフィードバックにより、覆部31の周壁35及び上壁36の振動が増幅される。さらに、ヘルムホルツ共鳴により、管路41における音圧が増大する。これにより、振動部材22の振動加速度レベルがより大きくなり、振動発電システム10の発電量はより大きくなる。
第1の実施形態に係る振動発電システム10において、空洞38の少なくとも一部が内部に設けられた共鳴器21は、空洞38に開口する管路41が設けられた首部32と、空洞38の少なくとも一部を形成する覆部31とを有する。覆部31は、首部32に対して相対的に振動可能である。例えば外部から共鳴器21に振動(環境振動)が伝達すると、覆部31が当該環境振動によって共振し、空洞38内に振動放射音を発生させ得る。当該振動放射音は、空洞38内の各位置に対して作用する音圧である音響加振力を生じさせる。当該音響加振力は、管路41内の空気(空気バネ・マス)を振動させることでヘルムホルツ共鳴を生じさせる。覆部31により発生し、ヘルムホルツ共鳴によって増大された音(空気振動)が、管路41の第2の連通孔46から放射される。当該放射音が振動部材22を振動させることで、コイル51と磁石52とが相対的に変位(振動)し、発電部23から電力が得られる。
ヘルムホルツ共鳴の固有振動数fは、空洞38の体積Vと、管路41の断面積Sと、管路41の長さLとによって決まる。ヘルムホルツ共鳴の固有振動数fは、一般的に、大よそ同じ大きさの気柱共鳴の固有振動数よりも低くなる。すなわち、ヘルムホルツ共鳴を生じさせる振動発電システム10は、低い固有振動数を有しながらも気柱共鳴を利用する装置より小型化されることができる。これにより、振動発電システム10は、例えば、振動源11に生じる低周波の環境振動から電力を得ることができる。
また、ヘルムホルツ共鳴により、管路41における音圧が増大し、音響放射力が増大する。さらに、ヘルムホルツ共鳴における空気バネ・マスの振動や空洞38において反響した振動放射音は、音響加振力として覆部31に作用(フィードバック)し、覆部31の振動を増幅する。これにより、覆部31に入力された振動(環境振動)に対して管路41で得られる音響放射力(ゲイン)が増幅され、発電部23によって得られる電力がより大きくなる。
さらに、覆部31の機械的振動と、カバーのヘルムホルツ共鳴の共鳴振動と、によって連成振動が生じる。このため、発電部23は、覆部31の固有振動数fと、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の固有振動数fと、連成振動の固有振動数fと、を有する。これら三つの固有振動数f〜fが互いに異なる値に設定された本実施形態の振動発電システム10は、広い帯域の周波数を含む振動から電力を得ることができる。一方、三つの固有振動数f〜fが略同一の値に設定された場合、振動発電システム10によって得られる電力がより大きくなる。
以上のように、共鳴器21に入力された環境振動は、覆部31の機械的共振と、共鳴器21におけるヘルムホルツ共鳴と、機械的共振及びヘルムホルツ共鳴の連成と、によって増大される。従って、振動発電システム10に入力される振動の特性による発電量の低下が抑制される。
加えて、共鳴器21の一部である覆部31が、環境振動により共振し、音響加振力を生じさせる。これにより、環境振動に共振する他の部材を共鳴器21とは別に設ける必要がなくなり、振動発電システム10の部品点数の増加が抑制される。
覆部31は、振動することにより空洞38内で放射音を発生させ、当該放射音により共鳴器21で共鳴音を励起する。共鳴音は、管路41の第2の連通孔46から放射されることで、振動部材22を振動させる。これにより、上述のように、振動発電システム10に入力される振動の特性による発電量の低下が抑制される。
覆部31と振動部材22とに同一の振動が与えられた場合、覆部31の振幅は、振動部材22の振幅よりも大きい。言い換えると、覆部31は、振動部材22よりも振動しやすい。このため、覆部31に環境振動が入力された場合、覆部31は振動し、振動放射音を発生させることができる。
共鳴器21は、PETによって作られる。これにより、覆部31に環境振動が入力された場合、覆部31が振動しやすくなる。さらに、共鳴器21が軽くなり、振動発電システム10を種々の場所、部品、又は部材に取り付けやすくなる。
覆部31は、共鳴器21が取り付けられた振動源11に対して相対的に振動可能である。これにより、覆部31に環境振動が入力された場合、覆部31は振動し、振動放射音を発生させることができる。
振動源11に取り付けられた筐体24が、磁石52を支持する。このため、筐体24と、当該筐体24に取り付けられた磁石52に、環境振動が入力される。コイル51が振動部材22に取り付けられるため、筐体24に環境振動が入力されると、コイル51と磁石52とが相対的に変位(振動)し、発電部23から電力が得られる。さらに、環境振動の振動数が筐体24の固有振動数fに近づくことにより、筐体24が共振し、発電量が増大する。
筐体24は、共鳴器21を覆う。このため、振動部材22の振動は共鳴器21のヘルムホルツ共鳴と連成し、ヘルムホルツ共鳴による音響加振力が振動部材22の振動にフィードバックされ、発電量が増大し得る。
覆部31の固有振動数fは、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の固有振動数fと異なる。これにより、覆部31の機械的振動と、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の共鳴振動と、によって連成振動が生じる。連成振動の固有振動数fは、覆部31の固有振動数f、及び共鳴器21のヘルムホルツ共鳴の固有振動数fのそれぞれと異なる。このように、共鳴器21が複数の固有振動数f〜fを有するため、振動発電システム10は、広い帯域の周波数を含む振動から電力を得ることができる。
覆部31は、Z軸に沿う方向に振動可能な上壁36と、X軸に沿う方向及びY軸に沿う方向に振動可能な周壁35と、を有する。これにより、振動発電システム10は、複数の方向の環境振動から電力を得ることができる。
首部32は、覆部31の上壁36を囲んで、当該上壁36の端部36aに接続される。首部32は、管路41の少なくとも一部が内部に設けられる管状の部分であるため、上壁36よりも剛性が高い。当該首部32が上壁36を囲むことで、上壁36の端部36aが首部32に支持される。これにより、上壁32の固有振動数fが低くなり、覆部31に低周波の環境振動が入力された場合に、上壁36が共振し、振動放射音を発生させることができる。
さらに、首部32が一方向に延ばされる場合に比べ、管路41の長さに対する覆部31の占有空間が小さくなり、共鳴器21が小型化及び薄型化され得る。これにより、例えば、比較的長い管路41が設けられた共鳴器21が、筐体24及び発電部23を有するバネ・マス系の振動発電装置の余剰スペースに搭載されることができる。さらに、管路41の長さLが長く設定されやすいため、ヘルムホルツ共鳴の固有振動数fが低くなる。従って、共鳴器21に低周波の環境振動が入力された場合に、ヘルムホルツ共鳴が生じ、共鳴音を発生させることができる。
上壁36は、振動部材22に面する。これにより、覆部31に環境振動が入力された場合、上壁36は、空洞38の内部に向かって振動放射音を発生させるとともに、振動部材22に向かっても振動放射音を発生させる。このため、管路41の第2の連通孔46から放射された振動放射音と、上壁36の外面36cから放射された振動放射音とが重畳し、振動部材22を振動させる。従って、発電部23によって得られる電力がより大きくなる。
以下に、第2の実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図5は、第2の実施形態に係る振動発電システム10を示す断面図である。図5に示すように、第2の実施形態の共鳴器21の形状は、第1の実施形態の共鳴器21の形状と異なる。
第2の実施形態において、覆部31の周壁35の上端部35bは、上壁36の端部36aに接続される。覆部31の周壁35及び上壁36はそれぞれ、空洞38の少なくとも一部を形成する。
首部32は、上壁36から覆部31の外部に向かって突出する。首部32は、例えば、Z軸に沿う方向に延ばされる円筒状に形成される。首部32の内側に、管路41が設けられる。管路41は、首部32の中心線に沿って、Z軸に沿う方向に延ばされる。なお、首部32及び管路41は他の形状に延ばされても良い。
管路41は、第1の端部41aと、第2の端部41bとを有する。第1の端部41aは、空洞38に開口する。このため、首部32の管路41は、空洞38に接続される。第2の端部41bは、第1の端部41aの反対側に位置する。第2の端部41bは、共鳴器21の外部に開口する。このため、管路41は、空洞38と、共鳴器21の外部とを接続する。
振動部材22は、管路41の第2の端部41bに面する。振動部材22は、例えば、第2の端部41bを覆うように、首部32に乗せられる。なお、振動部材22は、管路41の第2の端部41bと、上壁36とに面しても良い。
第1の実施形態と同じく、環境振動が生じると、覆部31の周壁35及び上壁36とが振動し、空洞38内に振動放射音を生じさせる。当該振動放射音を共鳴励振源として、共鳴器21でヘルムホルツ共鳴が励起される。すなわち、空洞38中の空気がバネとして、管路41中の空気がマス(質量)として機能し、管路41の第2の端部41bにおける空気の移動により空気振動が誘発される。
さらに、共鳴器21において、覆部31の振動とヘルムホルツ共鳴との連成振動が発生する。言い換えると、覆部31によるバネ・マス系の振動と、ヘルムホルツ共鳴による空気バネ・マス系の振動とが、二自由度振動を形成する。
管路41の第2の端部41bにおける音響放射力が、管路41の第2の端部41bを覆う振動部材22に作用する。当該音響放射力と、例えば重力とにより、振動部材22とコイル51とが、Z軸に沿う方向に振動する。さらに、筐体24によって、部材15の振動が、磁石52及びコア53に伝わる。このため、慣性力によって、振動部材22とコイル51とが、Z軸に沿う方向にさらに振動する。これにより、コイル51に起電力が生じる。以上のように、振動発電システム10は、振動の運動エネルギーを電力に変換し、電力を生じさせる。
第2の実施形態の振動発電システム10において、首部32は、上壁36から覆部31の外部に向かって突出する。これにより、共鳴器21の形状がより単純になり、覆部31の機械的共振、共鳴器21のヘルムホルツ共鳴、及びこれらの連成振動の固有振動数f〜fの設定及び計算が容易になる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、空洞と、当該空洞に開口する開口部とが設けられた共鳴器の、第2の部分が振動する。これにより、入力される振動の特性による発電量の低下が抑制される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…振動発電システム、11…振動源、21…共鳴器、22…振動部材、23…発電部、24…筐体、31…覆部、32…首部、35…周壁、36…上壁、36a…端部、38…空洞、41…管路、41a…第1の端部、41b…第2の端部、45…第1の連通孔、46…第2の連通孔、51…コイル、52…磁石。

Claims (12)

  1. 空洞の少なくとも一部が内部に設けられた共鳴器と、
    前記共鳴器に設けられ、前記空洞に開口する第1の端部と前記共鳴器の外部に開口する第2の端部とを有する開口部が設けられた第1の部分と、
    前記共鳴器に設けられ、前記空洞の少なくとも一部を形成するとともに、前記第1の部分に対して相対的に振動可能な第2の部分と、
    磁石と、前記磁石に対して相対的に移動可能な導体と、を有する発電部と、
    前記開口部の前記第2の端部に面し、前記磁石と前記導体とのうち一方が取り付けられ、前記共鳴器に対して相対的に振動可能な振動部材と、
    を具備した発電装置。
  2. 前記第2の部分は、振動することにより前記空洞内で音を発生させ、当該音により前記共鳴器で共鳴による音を励起し、前記開口部の前記第2の端部から前記共鳴による音を放射することにより前記振動部材を振動させる、請求項1の発電装置。
  3. 前記第2の部分と前記振動部材とに同一の振動が与えられた場合、前記第2の部分の振幅は、前記振動部材の振幅よりも大きい、請求項1又は請求項2の発電装置。
  4. 前記共鳴器は、ポリエチレンテレフタレートによって作られる、請求項1乃至請求項3のいずれか一つの発電装置。
  5. 前記共鳴器は、振動可能な振動源に取り付けられ、
    前記第2の部分は、前記振動源に対して相対的に振動可能である、
    請求項1乃至請求項4のいずれか一つの発電装置。
  6. 前記振動源に取り付けられ、前記磁石と前記導体とのうち他方を支持する支持部材をさらに具備し、
    前記振動部材は、前記支持部材に対して相対的に振動可能な、
    請求項5の発電装置。
  7. 前記支持部材は、前記共鳴器を覆う筐体を有する、請求項6の発電装置。
  8. 前記第2の部分の固有振動数は、前記共鳴器のヘルムホルツ共鳴の固有振動数と異なる、請求項1乃至請求項7のいずれか一つの発電装置。
  9. 前記第2の部分は、第1の方向に振動可能な第1の壁と、前記第1の方向と交差する第2の方向に振動可能な第2の壁と、を有する、請求項1乃至請求項8のいずれか一つの発電装置。
  10. 前記第2の部分は、前記空洞の一部を形成する壁部を有し、
    前記第1の部分は、前記壁部を囲んで前記壁部の端部に接続され、前記開口部の少なくとも一部が内部に設けられた管部を有する、
    請求項1乃至請求項8のいずれか一つの発電装置。
  11. 前記壁部は前記振動部材に面する、請求項10の発電装置。
  12. 磁石と、前記磁石に対して相対的に移動可能である導体と、を有する発電部と、
    前記磁石及び前記導体の一方に取り付けられる振動部材と、
    振動源に取り付けられ、空洞と、前記空洞に開口する第1の端部及び前記振動部材に面する第2の端部を有する開口部と、が設けられ、前記振動源の振動に基づき振動し、前記空洞内に音を発生させる共鳴器と、
    を具備する発電装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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