JP2015185736A - 変圧器 - Google Patents
変圧器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015185736A JP2015185736A JP2014061749A JP2014061749A JP2015185736A JP 2015185736 A JP2015185736 A JP 2015185736A JP 2014061749 A JP2014061749 A JP 2014061749A JP 2014061749 A JP2014061749 A JP 2014061749A JP 2015185736 A JP2015185736 A JP 2015185736A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diaphragm
- tank
- vibration
- transformer
- coil
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Transformer Cooling (AREA)
- Regulation Of General Use Transformers (AREA)
Abstract
【課題】 変圧器の体格を大きくすることなく、鉄心とコイルの両方から発生する振動・騒音を低減することを目的とする。
【解決手段】 鉄心2およびコイル3を絶縁油9とともに収納するタンク1の上部に絶縁油9の体積変化を吸収するコンサベータ5を設けた変圧器であって、前記鉄心2および前記コイル3と前記コンサベータ5との間の前記絶縁油9で満たされた領域に、前記鉄心2および前記コイル3が生じる磁励音または励磁振動の周波数で共振する振動板10を設けた.
【選択図】 図1
【解決手段】 鉄心2およびコイル3を絶縁油9とともに収納するタンク1の上部に絶縁油9の体積変化を吸収するコンサベータ5を設けた変圧器であって、前記鉄心2および前記コイル3と前記コンサベータ5との間の前記絶縁油9で満たされた領域に、前記鉄心2および前記コイル3が生じる磁励音または励磁振動の周波数で共振する振動板10を設けた.
【選択図】 図1
Description
本発明は変圧器に関するものである。
特許文献1の図1には鉄心およびコイルを絶縁油とともに収納するタンクの上面部に絶縁油の体積変化を吸収するコンサベータを設けた変圧器が示されている。コンサベータは鉄心を収納するタンクの上面を底板として設けられる。絶縁油はタンクの上面に形成された孔を通じてタンクとコンサベータとの間を移動する。
変圧器では、鉄心の磁気歪が原因で発生する振動、騒音と、コイルの電磁力が原因で発生する振動、騒音と、が知られている。これに対して、特許文献2には、変圧器のタンクの側板の上の遮音板に所定のばね定数をもつ薄板に重量体を配設した動吸振器を取り付けて振動、騒音を低減する方法が示されている。また、特許文献3には鉄心の継鉄部を締め付ける締付金具に付加質量を取り付けて、付加質量により騒音エネルギーを吸収させた変圧器が示されている。
特許文献2のような変圧器では、タンクに振動、騒音を低減するための構造を側面に取付けることで、鉄心とコイルの両方から生じる振動・騒音に対して効果が得られるが、変圧器全体の体格が大きくなるという問題点があった。また、特許文献2のような変圧器では、振動、騒音を低減するための構造を鉄心に取付けているため、鉄心から生じる振動・騒音に対しては低減効果が得られたが、コイルから生じる振動・騒音に対しては低減効果が得られにくいという問題点があった。
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、変圧器の体格を大きくすることなく、鉄心とコイルの両方から発生する振動・騒音を低減することを目的とする。
本発明の変圧器は、鉄心およびコイルを絶縁油とともに収納するタンクの上部に絶縁油の体積変化を吸収するコンサベータを設けた変圧器であって、前記鉄心および前記コイルと前記コンサベータとの間の前記絶縁油で満たされた領域に、前記鉄心および前記コイルが生じる磁励音または励磁振動の周波数で共振する振動板を設けたことを特徴とする。
鉄心およびコイルとコンサベータとの間の絶縁油で満たされた領域に、鉄心およびコイルが生じる磁励音または励磁振動の周波数で共振する振動板を設けたことにより、変圧器の体格を大きくすることなく、鉄心とコイルの両方から発生する振動・騒音を低減することができる。
以下に、本発明に係る変圧器の実施の形態を図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。技術的な矛盾が生じない範囲で、ある実施の形態で述べた構成の一部と別の実施の形態で述べた構成とを組み合わせてもよい。また、図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。さらに、実施の形態において同じ構成要素は同じ符号を付し、ある実施の形態において説明した構成要素については、別の実施の形態においてその詳細な説明を略すものとする。
<実施の形態1>
図1は本実施の形態1の変圧器100の構造を示す断面図である。変圧器100は鉄心2およびコイル3を絶縁油9とともに収納するタンク1を有している。鉄心2およびコイル3はタンク1に直接接しないように絶縁スペーサ4を介してタンク1に締め付けられ固定されている。タンク1内のコイル3には図示しない入力用の電線および出力用の電線によってタンク1外からが電流が入出力される。鉄心2には入力用および出力用のコイル3が巻かれ、入力用の電線から入力用のコイル3に流された交流電流によって鉄心2内に磁束が励起され、この磁束によって出力用のコイル3に電流が発生して出力用の電線から出力される。入力用のコイル3と出力用のコイル3との巻き数の違いによって、入力された電流は入力電圧と異なる電圧に変換されて出力される。
図1は本実施の形態1の変圧器100の構造を示す断面図である。変圧器100は鉄心2およびコイル3を絶縁油9とともに収納するタンク1を有している。鉄心2およびコイル3はタンク1に直接接しないように絶縁スペーサ4を介してタンク1に締め付けられ固定されている。タンク1内のコイル3には図示しない入力用の電線および出力用の電線によってタンク1外からが電流が入出力される。鉄心2には入力用および出力用のコイル3が巻かれ、入力用の電線から入力用のコイル3に流された交流電流によって鉄心2内に磁束が励起され、この磁束によって出力用のコイル3に電流が発生して出力用の電線から出力される。入力用のコイル3と出力用のコイル3との巻き数の違いによって、入力された電流は入力電圧と異なる電圧に変換されて出力される。
変圧器100の上部には絶縁油9の体積変化を吸収するコンサベータ5が設けられている。コイル3に流れる電流で発生するジュール熱、また鉄心2内で生じる渦電流および磁気ヒステリシスで発生する熱により、変圧器の内部温度は変化する。タンク1内を満たすシリコーン油、鉱油などの絶縁油9の熱膨張係数はステンレスなどの金属からなるタンク1に比べて大きい。従って、タンク1内で発生する熱、または外部温度の変化による絶縁油9の熱膨張による体積変化はタンク1の体積変化よりも大きい。タンク1は密閉された構造であるため、絶縁油9の体積変化はタンク1の変形、絶縁油9の漏えいの原因となる。そこで、本実施の形態1ではコンサベータ5で絶縁油9の体積変化を吸収し、この問題を解決している。
コンサベータ5は絶縁油9の体積変化を吸収し、かつ、絶縁油9が外気と接して劣化することを防止するものである。一般に、コンサベータ5は変形が容易な膜、薄板等により絶縁油9と空気とを仕切る構造を有し、膜、薄板等に絶縁油9の重さがかからないようにタンク1内の最上部に設置される。本実施の形態1のコンサベータ5は天板6とベローズ7を取りつけた薄板(以下、ベローズ部と省略する)で構成される。ベローズ7および薄板はステンレス板などからなる。タンク1に設けた開口部にベローズ部が内側となるようにして天板6を取り付け、天板6によって開口部を閉じた構造である。従って、コンサベータ5の天板6はタンク1の上部の一部を構成する。ベローズ部と天板6との間には空気8が満たされ、ベローズ部により絶縁油9とは空気8から遮断されている。ベローズ部と天板6との間の空気8の体積が変化することによりベローズ7が伸縮して、絶縁油9の体積変化を吸収する。空気8は絶縁油9よりも圧力変化による体積変化が容易であるため、ベローズ部と天板6との間の空気8は密閉された構造としてもよいが、天板6に図示しない穴を設けて空気8がタンク外の空気と流通し、空気8が常に大気圧に保たれるようにしてもよい。また、変形が容易な構造としてベローズ7を用いたが、体積変化が容易な構造であれば必ずしもベローズでなくてもよい。
ベローズ部は接触しないように鉄心2およびコイル3から適度な距離離れて保持される。本実施の形態1ではベローズ部と鉄心2およびコイル3との間の絶縁油9で満たされた領域に、振動板10を設けた。この振動板10はタンク1の内壁に固定され、タンク1の壁から伝わる振動によって受動的に振動する板である。振動板10は、その形状、サイズ、材質特性、質量などによって決まる固有振動数を有し、タンク1から伝わった振動のエネルギーによって固有振動数で共振する。振動板10は弾性がある耐熱性の材料で構成されるとよく、タンク1を構成するのと同様の金属を用いてもよい。タンク1への固定は溶接、接着、ねじ止めなどの方法で行うことができる。
図2は本実施の形態1の変圧器の構造を示す上面図であり、コンサベータ5を取り外して振動板10が見える状態とした図である。この振動板10はその周囲がタンク1に固定されている。また、振動板10の下側の鉄心2およびコイル3側から上側のコンサベータ5側に絶縁油9が流通するための穴11が設けられている。振動板10は板材12と穴11とで形成されている。本実施の形態1では穴11を2本の平行なスリット状とした。スリット状の穴11に挟まれてできた方形の部分は対向する2辺が固定され、他の対向する2辺が自由である、両端支持の四角形型振動部分となる。このように本実施の形態1は、振動板10は周囲がタンク1の内壁に固定された板上に形成されている。また、その板は、絶縁油9が通過する穴11を有し、その穴の形状によって振動板の振動部分が形成されている構成である。また、振動板10の振動部分はコンサベータ5の直下にあり、振動板10の主面がコンサベータ5に対向するように配置されている。
振動板10の周囲は上述のように絶縁油9で満たされている。また、穴11の開口面積は振動板10の面積に対して非常に小さい。振動板10が振動した際に、振動部分が上下に変位に伴って、コンサベータ5と振動板10との間の体積が変化するが、絶縁油9が穴11を上下に流通することでその体積変化が吸収される。絶縁油9は適度に粘性のある材料であるため、振動部分の上下変位に伴う絶縁油9の変位、および、小さい開口面積の穴11を介した絶縁油9の流通は振動に対する粘性抵抗となり、振動を減衰する作用がある。このようにして、振動板10に伝わったタンク1の振動が減衰するので振動板10がタンク1の振動を吸収することができる。タンク1の内壁から伝わる騒音、振動だけでなく、すぐ下の鉄心2およびコイル3から絶縁油9を介して直接伝わる騒音、振動を吸収することもできる。
変圧器100のコイル3に交流が流れた際に発生した磁界によって鉄心2が磁歪によりわずかに膨張、収縮する。その体積変化により鉄心2には振動が発生する。また、鉄心2には複数のコイル3が巻かれているため、コイル間に電磁力が発生する。このため、コイル3も磁力によって励起された振動を生じる。これらの振動は絶縁油9、絶縁スペーサ4などを通じてタンク1に伝わり、さらにタンク1から外部の空気、タンク1の固定箇所に伝わる。コイル3に流される交流が一定の周波数であり、上記のような磁力で励起された励磁振動の周波数が、人の耳に聞こえる周波数である場合には磁励音と呼ばれる騒音となる。通常、磁励音の周波数は交流の周波数の2倍となる。
振動板10の固有振動数が、磁励音または励磁振動(以下、磁励音等と略す。)の周波数と同じ場合、振動板10は磁励音等の周波数で共振し、そのエネルギーは絶縁油9の粘性によって減衰することができる。振動板10の固有振動数は磁励音等の周波数と完全に同じである必要はない。本実施の形態1では振動板10が磁励音等の周波数で共振するように振動板10の材質、厚み、穴11の形状を調整した。
本実施の形態1の振動部分を両端単純支持梁とみなすと、1次の固有振動数f1は以下の数1式にて求められる。
ここで、lは梁の長さ、Eは梁の縦弾性係数、Iは梁の断面二次モーメント、ρは梁の材料密度、Aは梁の断面積である。本実施の形態1の場合は数1式より基本的な設計が可能である。なお、1次の固有振動数が磁励音等の周波数と一致することが最も望ましいが、高次の固有振動数が磁励音等の周波数と一致する場合でも、振動板10が磁励音等の周波数で共振することが可能である。また、振動板10全体が粘性のある絶縁油9で覆われているため、共振できる周波数帯域が広がり、タンク1内の温度変化で絶縁油9の粘性が変化した場合でも、振動のエネルギーを吸収することができる。
図3は本実施の形態1の振動板10が振動を低減する効果を説明する特性図である。実線が振動板10のある場合の応答倍率を示し、点線が振動板10のない場合の応答倍率を示す。なお、応答倍率はタンク1の上部の取付け部の振動の振幅に対応する。低減したい周波数f0に振動板10の振動周波数f1が一致するように、数1式を基に設計した振動板10を設けることで、周波数f0における振動のエネルギーを吸収し、低減することができる。
以上のように、鉄心2およびコイル3とコンサベータ5との間の絶縁油9で満たされた領域に、鉄心2およびコイル3が生じる磁励音または励磁振動の周波数で共振する振動部分を有する振動板9を設けたので、変圧器の体格を大きくすることなく、鉄心とコイルの両方から発生する振動、騒音を低減することができる。また、振動板10がコンサベータ5の直下にあり、振動板10の主面がコンサベータ5に対向するように配置されているため、鉄心2およびコイル3とコンサベータ5との間のスペースを有効に利用できる。さらに、コンサベータ5から薄板等の一部が落下した場合も振動板10によって受け止めることができる。
また、振動板10はその周囲、特に全周囲がタンク1の内壁に固定されているため、鉄心2およびコイル3からタンク1に伝わった騒音、振動を良好に吸収して減衰できる。また、振動板10が内壁に固定された板上に形成されているので、構造が単純となり、製造コストを低減できる。また、全周がタンク1の内壁に固定された板が、絶縁油9が通過する穴11を有し、その穴11の形状によって振動板の振動部分が形成されているので、構造が単純で、製造コストを低減できる。また、その穴11は複数のスリットを含み、スリット間で挟まれた梁状部分が共振する構造としたので設計が容易となる。
なお、振動板10は全体が振動部分である必要はなく振動部分が部分的に形成されていればよい。その場合、振動部分の周囲はタンク1の内壁から振動部分まで振動・騒音を伝える役割を果たす。また、振動部分に直接タンク1の内壁から振動が伝わるように穴11であるスリットの端がタンク1の内壁に位置するようにしてもよい。振動板10は1枚の板を加工することでできるものがコスト低減の点で優れるが、複数の部材、板材を組み合わせたものであってもかまわない。たとえば、振動部分のみを弾性の大きな板バネの材料で作製して、剛性の高い枠部分と組み合わせて作製してもよい。また、1枚の板の厚みを変化させて、例えば振動部分の厚みを周囲よりも薄くしてもよい。質量を調整するため振動部分の上に別の板材を貼り付けるなどしてもよい。振動板10が完全に平坦である必要はなく、たとえば、振動部分、タンク1と接続する周囲部分などが他の部分に比べて、上下にずれるように加工されていてもよいし、全体が緩やかな球面となるように湾曲されていてもよいし、部分的に波板状に加工されていてもよい。
図4は本発明の実施の形態1の変形例である変圧器101の構造を示す上面図である。図4は図2と同様にコンサベータ5を取り外して振動板10が見える状態とした図である。この変形例では穴11のスリット形状の一部の幅を狭くし、大きく振動する部分である梁の中央領域の厚みを他部分の板材12よりも薄くして肉薄部16を形成した。また、肉薄部16の中央に錘17を固定した。肉薄部16は振動板10を機械的加工、エッチングなどで作製することができる。また、錘17は板材12より少し厚い金属板などで作製したものであり、肉薄部16とは溶接などで固定される。このように振動板10の一部に肉薄部16と錘17とを設けることで振動板を構成すると、振動の振幅がより大きくすることができ、絶縁油9の粘性抵抗による振動減衰効果が大きくなる。さらに、1次の振動モードで振幅が最も大きくなる梁の中央付近の側部でスリットの幅が狭くされていることにより、絶縁油9の粘性抵抗が増して振動減衰効果が大きくなる。
<実施の形態2>
図5は本発明の実施の形態2の変圧器102の構造を示す上面図であり、振動板10が見える状態とした図である。実施の形態1とは穴11の形状が異なる。本実施の形態2の穴11は大きく蛇行するスリットとそのスリットの一部に形成された複数の短いスリットで構成される。大きく蛇行するスリットは角が略直角であるS字状の形状である。S字の内部には2つの矩形の片持ちの梁が逆方向に平行に並んだ形状となる。また、蛇行するスリットの両側それぞれに設けた短い3本のスリットの間には短い矩形の片持ちの梁が2つずつできた形状となる。実施の形態2ではこのような大小6個の梁が振動することでタンク1から伝わる振動を吸収する。このような構成によれば、それぞれの振動部位の寸法により、異なる複数の周波数に対して振動エネルギーを吸収することができる。図4の例では、振動エネルギーを吸収する部位の寸法が2種類あるため、2つの周波数に対して振動エネルギーを吸収することができる。矩形の振動部分を片持ち梁とみなすと、1次の固有振動数は以下の数2式にて求められる。
図5は本発明の実施の形態2の変圧器102の構造を示す上面図であり、振動板10が見える状態とした図である。実施の形態1とは穴11の形状が異なる。本実施の形態2の穴11は大きく蛇行するスリットとそのスリットの一部に形成された複数の短いスリットで構成される。大きく蛇行するスリットは角が略直角であるS字状の形状である。S字の内部には2つの矩形の片持ちの梁が逆方向に平行に並んだ形状となる。また、蛇行するスリットの両側それぞれに設けた短い3本のスリットの間には短い矩形の片持ちの梁が2つずつできた形状となる。実施の形態2ではこのような大小6個の梁が振動することでタンク1から伝わる振動を吸収する。このような構成によれば、それぞれの振動部位の寸法により、異なる複数の周波数に対して振動エネルギーを吸収することができる。図4の例では、振動エネルギーを吸収する部位の寸法が2種類あるため、2つの周波数に対して振動エネルギーを吸収することができる。矩形の振動部分を片持ち梁とみなすと、1次の固有振動数は以下の数2式にて求められる。
本実施の形態2の場合は数2式より設計が可能である。図4ではスリットの穴11として直線を組み合わせて形成したが、曲線で形成してもよい。また、スリットの穴11は板材12の中央部から放射状に設けてもよい。
鉄心2の磁励音は電源の周波数の2倍の周波数を基本周波数として、基本周波数の高調波成分が発生するため、振動板10の異なる振動部位の固有振動数が基本波、高調波それぞれの周波数に一致するようにするとよい。
<実施の形態3>
図6は本発明の実施の形態3の変圧器103の構造を示す上面図であり、振動板10が見える状態とした図である。実施の形態1,2では穴11をスリット状として振動部分を梁形状としたが、本実施の形態3では絶縁油9が通過する穴11を円形として、振動部分を円形としたものである。図の場合、一様な厚みの振動板10がタンク1の内壁に固定されて、円形の振動板10の全体が振動部分となる。このような円板の固有振動数は、単純支持の円板とみなすと、1次の固有振動数は以下の数3式にて求められる。
図6は本発明の実施の形態3の変圧器103の構造を示す上面図であり、振動板10が見える状態とした図である。実施の形態1,2では穴11をスリット状として振動部分を梁形状としたが、本実施の形態3では絶縁油9が通過する穴11を円形として、振動部分を円形としたものである。図の場合、一様な厚みの振動板10がタンク1の内壁に固定されて、円形の振動板10の全体が振動部分となる。このような円板の固有振動数は、単純支持の円板とみなすと、1次の固有振動数は以下の数3式にて求められる。
ここで、Rは円板の半径、Dは円板の曲げ剛性、ρSは単位面積当たりの質量である。実施の形態3の場合は数3式をもとに設計が可能である。なお、穴11を形成したことによる数3式のf1からの固有振動数のずれに対して、振動板10に錘を付加するなどの方法で調整することができる。
円形の振動板10では中心の振幅が最も大きくなる。その中央部分に開口面積が小さな穴11を設けたことにより、絶縁油9の粘性抵抗が大きくなり、振動を減衰する効果が大きくなる。また、スリットに比べて形状が単純であり、製造が容易である。
図7は本発明の実施の形態3の変形例である変圧器104の構造を示す上面図である。振動板10の中心の穴11とタンク1に取り付けた周囲との間に、リング状の肉薄部16を設けた。また、穴11の開口部に網13を取り付けた。絶縁油9が通過可能であれば、網13の替わりに他の多孔材料を用いてもよい。肉薄部16は板材12を機械加工やエッチング加工して形成できる。リング状の肉薄部16からその外側のタンク1までの間はもとの板材12の厚い部分を残し、タンク1との取付部位の強度を保つようにした。また、リング状の肉薄部16からその内側の円形の穴11までの間にも、もとの板材12の厚い部分を残し、厚い部分の質量で固有振動数を調整するようにした。なお、肉薄部16を板材12と別部材で形成してもよい。このようにリング状の肉薄部16を設けたことにより、振幅が大きくなり、絶縁油9の粘性抵抗を利用した振動の減衰を大きくすることができる。また、穴11に網などの多孔材料を設けたため、絶縁油9が通過しにくくなり、粘性抵抗が増すため、さらに振動の減衰を大きくすることができる。また、このような形状の場合、主としてリング状の形状によって固有振動数が決まるため、板材12の外周の形状が必ずしも円形でなくてもよく、たとえば、多角形、四角形等としてもよい。板材12の外周の形状をタンク1の開口部の形状に合わせてもよい。
<実施の形態4>
図8は本実施の形態4の変圧器105の構造を示す断面図である。実施の形態4の変圧器105は実施の形態1と同様の構造であるが、振動板10がタンク1を構成する金属板を用いて形成されている点で異なる。実施の形態1〜3では、開口部を開けたタンク1の開口部内側に別の板材12の振動板10を固定したが、タンク1を構成する板12に穴11を加工して形成されている。このため、振動部分とタンク1との間に接続部がなく、タンク1からの振動が良好に伝搬し、振動を良好に減衰することができる。固有振動数の調整は実施の形態1〜3と同様に可能である。また、図のように錘17を付加することで振動数を調整してもよい。なお、コンサベータ5を取り付けるためのリング状のタンク1の一部は、振動板10が形成された金属板の上に別部材として溶接などで取り付けられる。
図8は本実施の形態4の変圧器105の構造を示す断面図である。実施の形態4の変圧器105は実施の形態1と同様の構造であるが、振動板10がタンク1を構成する金属板を用いて形成されている点で異なる。実施の形態1〜3では、開口部を開けたタンク1の開口部内側に別の板材12の振動板10を固定したが、タンク1を構成する板12に穴11を加工して形成されている。このため、振動部分とタンク1との間に接続部がなく、タンク1からの振動が良好に伝搬し、振動を良好に減衰することができる。固有振動数の調整は実施の形態1〜3と同様に可能である。また、図のように錘17を付加することで振動数を調整してもよい。なお、コンサベータ5を取り付けるためのリング状のタンク1の一部は、振動板10が形成された金属板の上に別部材として溶接などで取り付けられる。
<実施の形態5>
図9は本実施の形態5の変圧器106の構造を示す断面図である。実施の形態1〜3では、振動板10の取付け位置がコンサベータ5を取り付けるタンク1の開口部のすぐ下であり、振動板10が開口部と同程度の小サイズあった。これに対し、本実施の形態4では、さらに開口部より鉄心2およびコイル3側であり、開口部より幅広の領域に振動板10を設けた。振動板10は板ばね14の両端をタンク1に取付けた構造としたが、片端のみをタンク1へ取付けた片持ち梁としてもよい。板ばね14の両端をタンクへ取付ける場合は、数1式により板ばね14の固有振動数f1を低減したい振動の周波数と一致するように設計する。板ばね14の片端のみをタンク1へ取付ける場合は、数2式により板ばね14の固有振動数f1を低減したい振動の周波数と一致するように設計するとよい。実施の形態4では振動部分の長さを大きくできるため、低周波の振動を吸収する場合に有利である。なお、コンサベータ5の下に絶縁油9が流通する穴13を有する板がコンサベータ5が収容された領域と鉄心2およびコイル3が収容された領域とが区切る板としてあるが、実施の形態4で述べたように区切る板の部分を他の振動板10としてもよい。また、板ばね14のかわりに、板材に穴、スリット、切込みを形成した振動板としてもよい。
図9は本実施の形態5の変圧器106の構造を示す断面図である。実施の形態1〜3では、振動板10の取付け位置がコンサベータ5を取り付けるタンク1の開口部のすぐ下であり、振動板10が開口部と同程度の小サイズあった。これに対し、本実施の形態4では、さらに開口部より鉄心2およびコイル3側であり、開口部より幅広の領域に振動板10を設けた。振動板10は板ばね14の両端をタンク1に取付けた構造としたが、片端のみをタンク1へ取付けた片持ち梁としてもよい。板ばね14の両端をタンクへ取付ける場合は、数1式により板ばね14の固有振動数f1を低減したい振動の周波数と一致するように設計する。板ばね14の片端のみをタンク1へ取付ける場合は、数2式により板ばね14の固有振動数f1を低減したい振動の周波数と一致するように設計するとよい。実施の形態4では振動部分の長さを大きくできるため、低周波の振動を吸収する場合に有利である。なお、コンサベータ5の下に絶縁油9が流通する穴13を有する板がコンサベータ5が収容された領域と鉄心2およびコイル3が収容された領域とが区切る板としてあるが、実施の形態4で述べたように区切る板の部分を他の振動板10としてもよい。また、板ばね14のかわりに、板材に穴、スリット、切込みを形成した振動板としてもよい。
図10は本実施の形態4の変形例である変圧器107の構造を示す断面図である。上記の実施の形態ではタンク1の上部にコンサベータ5の外形形状にあわせてコンサベータ5を収納するリング状の容器部分を設けたが、本変形例では、その容器部分を設けず、鉄心2およびコイル3側を囲む形状のタンク1の上部に開口部を設けてコンサベータ5を取り付けた。コンサベータ5のベローズ部がタンク1の上部から鉄心2およびコイル3側に突出するため、振動板10である板ばね14は、さらにその下側となるようにタンク1に取り付けた。振動板10はタンク1上面の開口部周辺に固定され、ベローズ部よりも鉄心2およびコイル3側に突出するように、その基部が曲げられている。また図は片持ちの板ばねを示している。このような変形例ではタンク1の形状が単純となり、低コスト化で有利である。
本発明は、振動・騒音を低減した変圧器の実現に利用できる。
1 タンク、2 鉄心、3 コイル、4 絶縁スペーサ、5 コンサベータ、6 振動板、7 スリット、8 板材、9 絶縁油、10 板ばね、11 穴、12 空気、13 天板、14 ベローズ、16 肉薄部、17 錘、100、101、102、103、104、105、106、107、108 変圧器。
Claims (8)
- 鉄心およびコイルを絶縁油とともに収納するタンクの上部に絶縁油の体積変化を吸収するコンサベータを設けた変圧器であって、
前記鉄心および前記コイルと前記コンサベータとの間の前記絶縁油で満たされた領域に、前記鉄心および前記コイルが生じる磁励音または励磁振動の周波数で共振する振動板を設けたことを特徴とする変圧器。 - 前記振動板が前記コンサベータの直下にあり、前記振動板の主面が前記コンサベータに対向するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の変圧器。
- 前記振動板は周囲が前記タンクの内壁に固定された板上に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の変圧器。
- 全周が前記タンクの内壁に固定された板が、前記絶縁油が通過する穴を有し、該穴の形状によって前記振動板の振動部分が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の変圧器。
- 前記穴は複数のスリットを含み、該スリット間で挟まれた梁状部分が共振することを特徴とする請求項4に記載の変圧器。
- 前記穴は円形であり、その中央に開けられた穴により穴の周りのリング部分が共振することを特徴とする請求項4に記載の変圧器。
- 前記振動板は、前記タンクを構成する板に穴を加工して形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の変圧器。
- 前記振動板の一部の厚みが他の部分に比べて薄くされていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の変圧器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014061749A JP2015185736A (ja) | 2014-03-25 | 2014-03-25 | 変圧器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014061749A JP2015185736A (ja) | 2014-03-25 | 2014-03-25 | 変圧器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015185736A true JP2015185736A (ja) | 2015-10-22 |
Family
ID=54351937
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014061749A Pending JP2015185736A (ja) | 2014-03-25 | 2014-03-25 | 変圧器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015185736A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106229116A (zh) * | 2016-08-31 | 2016-12-14 | 江苏扬动电气有限公司 | 一种非晶变压器箱体 |
CN106683857A (zh) * | 2017-03-14 | 2017-05-17 | 陈伟 | 一种带吸音减震结构的变压器内部装置 |
JP2017188650A (ja) * | 2016-04-05 | 2017-10-12 | エルエス産電株式会社Lsis Co., Ltd. | 高圧インバータシステムの油入式位相シフト変圧器 |
CN117672685A (zh) * | 2024-02-01 | 2024-03-08 | 安溪仟富美电子有限公司 | 一种低噪音的变压器 |
JP7481954B2 (ja) | 2020-08-21 | 2024-05-13 | 東芝産業機器システム株式会社 | 液体シリコーン変圧器及びその製造方法 |
-
2014
- 2014-03-25 JP JP2014061749A patent/JP2015185736A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017188650A (ja) * | 2016-04-05 | 2017-10-12 | エルエス産電株式会社Lsis Co., Ltd. | 高圧インバータシステムの油入式位相シフト変圧器 |
CN106229116A (zh) * | 2016-08-31 | 2016-12-14 | 江苏扬动电气有限公司 | 一种非晶变压器箱体 |
CN106683857A (zh) * | 2017-03-14 | 2017-05-17 | 陈伟 | 一种带吸音减震结构的变压器内部装置 |
JP7481954B2 (ja) | 2020-08-21 | 2024-05-13 | 東芝産業機器システム株式会社 | 液体シリコーン変圧器及びその製造方法 |
CN117672685A (zh) * | 2024-02-01 | 2024-03-08 | 安溪仟富美电子有限公司 | 一种低噪音的变压器 |
CN117672685B (zh) * | 2024-02-01 | 2024-04-26 | 安溪仟富美电子有限公司 | 一种低噪音的变压器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2015185736A (ja) | 変圧器 | |
JP6036143B2 (ja) | 発電装置 | |
JP6669648B2 (ja) | 自己同調質量ダンパ及びこれを備えるシステム | |
JP5943419B2 (ja) | 振動発生装置 | |
JP5921417B2 (ja) | 回転電機 | |
JP3790971B2 (ja) | 磁気共鳴イメージング装置 | |
KR100592925B1 (ko) | 다기능형 진동 액츄에이터 | |
EP2889482B1 (en) | Reciprocating compressor | |
JP5871073B2 (ja) | 圧電発電装置 | |
EP1145592A2 (en) | Vibration actuator having an elastic member between a suspension plate and a magnetic circuit device | |
KR102004066B1 (ko) | 연결구 및 차폐체 | |
US20140185839A1 (en) | Suspension structure of multi-functional type vibration actuator | |
JP2013200426A (ja) | 吸音構造体および吸音構造体を備えた電気機器 | |
JP5439082B2 (ja) | マスダンパ | |
US20110127128A1 (en) | Frequency tunable magnetic damping apparatus | |
JP2013254881A (ja) | 電気機器 | |
KR20160019584A (ko) | 선형 진동자 | |
KR20220031489A (ko) | 스피커 | |
JP2017118660A (ja) | 発電装置 | |
JP2015070182A (ja) | 静止誘導電器 | |
JP2018026936A (ja) | 発電装置 | |
JP2015008173A (ja) | 静止誘導電器 | |
WO2023026558A1 (ja) | 磁歪発電素子 | |
JP2015008174A (ja) | 静止誘導電器 | |
EP4322189A1 (en) | A winding, a transformer and a transformer arrangement |