JP5439082B2 - マスダンパ - Google Patents

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Description

本発明は例えば精密機器等に取り付けて、その振動を減殺するためのマスダンパに関し、特にマス部材を収容するケースの構造に係る。
従来よりこの種のマスダンパとして、例えば特許文献1に開示されているように、マス部材(可動質量)及びばね部材からなる付加振動系の固有振動数を制振対象物(構造体)に合わせて適切に調整し、その振動、特に共振を打ち消すような反力を発生させるようにしたもの(動吸振器)や、マス部材をアクチュエータにより駆動して、センサにより検出される対象物の振動を打ち消すような制御力を発生させるようにしたもの(アクティブ・マスダンパ、以下、AMDと略称する)が知られている。
また、本願の出願人は、空気ばね式の除振台上に載置した除振対象物にAMDを取り付けて、簡易的にアクティブな除振制御を行うことについて既に特許出願をしている(特許文献2を参照)。この出願におけるAMDの特徴は、段落0015〜0017に記載されているように、マス部材をその移動方向に或る程度以上、離れた2点で各々板ばねにより支持するとともに、その移動方向が上下方向になるようにして、即ち「立てて」使用する場合にマス部材の重量を支持するためのコイルバネを別途、設けたことにある。
これは、一般的にAMDの性能を広い周波数域に亘って高めるためには、マス部材及びばね部材からなる付加振動系の固有振動数をできるだけ低くしたいところ、そのためにマス部材を重くし、板ばねを柔らかくすると、AMDを「立てて」使用するときにマス部材の重力による下方への変位が大きくなってしまうからである。このように大きな変位を見越してケースとのクリアランスを大きめに設定することは、AMDの小型化にとって好ましいことではない。
特開2002ー61703号公報 特開2008−261431号公報
ところが、前記後者の従来例のようにコイルばねを追加する場合でも、ばね定数を十分に低くするために柔らかなコイルばねを用いるのであれば、その自由長がかなり長いものを用いなくてはならず、やはり小型化には不利になる。また、板ばねに加えてコイルばねを設けるのはコストの面でも好ましいことではない。
斯かる点に鑑みて本発明の目的は、「立てて」使用する場合でもマス部材とケースとの間に所要のクリアランスを容易に確保することができ、しかもそのケースの大型化を招くことのないマスダンパを提供することにある。
前記の目的を達成すべく本発明では、マスダンパを「立てた」ときに、板ばねの撓みによってマス部材が下方に変位することに対応して、このマス部材とケースとのクリアランスを簡単に調整できるように収容室の周壁を分割したものである。
すなわち、請求項1の発明は、制振対象物に取り付けるケースの内部に、ばね部材を介して所定方向に往復移動可能にマス部材を収容してなるマスダンパが対象であり、そのケースにおいてマス部材を収容する収容室が、当該マス部材の移動方向に延びる筒状の周壁を有し、前記ばね部材は、その周壁の筒軸方向に離間した2箇所においてそれぞれ外周部が当該周壁に、また内周部は前記マス部材に取り付けられた板ばねからなるものとする。
そして、前記収容室の周壁は、前記板ばねの取り付け位置を境に筒軸方向に3分割し、こうして分割した周壁部材の間に前記板ばねの外周部を挟持するとともに、筒軸方向一端側の周壁部材と他端側の周壁部材とでは筒軸方向の長さを異ならせ、前記筒軸方向一端側及び他端側の周壁部材のうち長い一方の周壁部材を、他方の周壁部材と同じ長さの部材と、両者の長さの差分のスペーサ部材と、で構成し、該スペーサ部材を周壁の筒軸方向一端側及び他端側のいずれかに介挿可能とし、その筒軸方向の長さを、筒軸を上下方向に向けて配置したときに前記マス部材の重量を受けて撓む前記板ばねの撓み量に対応付ける構成とした。
斯かるケースの構造によって前記のマスダンパにおいては、マス部材の収容室の周壁を板ばねの取り付け位置を境に3分割し、筒軸方向(マス部材の移動方向)両端側の2つの周壁部材の長さを所要量、異ならせているので、それらの位置を入れ替えることによってマス部材の移動方向の両端面と、これに対向する収容室の端壁面との間隔、即ちマス部材の移動方向におけるケースとのクリアランスを調整することができる。
具体的にはマスダンパを「立てて」、即ちマス部材の移動方向が略上下方向になるように、例えば筒軸方向一端側を下側にして配置するときには、この一端側に長い方の周壁部材を配置する。こうすると短い方の周壁部材との長さの差分だけ、周壁における板ばねの取付位置が高くなるから、その板ばねの撓みによってマス部材が下方に変位しても、当該マス部材の下端面と対向する収容室の下端壁面との間に所要のクリアランスを確保することができる。
尚、そのような作用を十分に得るためには長い方と短い方との周壁部材の長さの差分を、マス部材の重量を受けた板ばねの撓み量と略同じか或いはそれよりも少し長くすることが好ましいが、それよりも少しだけ短くても構わない。
一方で、前記のマスダンパを横倒しにしてマス部材の移動方向、即ちそれを収容する収容室の周壁の筒軸方向が略水平になるように配置するときには、その筒軸方向における前記一端側に短い方の周壁部材を配置すればよい。すなわち、このときには板ばねの撓みが生じないことから、前記のように「立てた」ときに比べると、マス部材の位置は周壁に対し相対的にその筒軸方向の他端側寄りになる。よって、この他端側に長い方の周壁部材を配置することにより、マス部材の他端面と対向する収容室の他端壁面とのクリアランスを適切なものとすることができる。
言い換えると、そうしてマスダンパを横倒しにした板ばねの撓みのない状態で、マス部材の両端面と対向する収容室の両端壁面との間隔が適値になるように、予め2つの周壁部材の長さを設定しておけばよく、そうすることで、前記のようにマスダンパを「立てた」ときも横倒しにしたときも、2つの周壁部材の位置を入れ替えるだけで簡単に、マス部材の移動方向におけるケースとのクリアランスを維持することができる。
また、マス部材の重さや板ばねの柔らかさを変更するときにも、スペーサ部材の長さを変えることで対応可能になるし、薄いスペーサ部材を幾つか準備しておけば、機器にマスダンパを取り付ける現場での調整も可能になる。部材の数が増えることに伴うコストの増大は、一端側及び他端側の周壁部材が共通化されることで抑制される。
また、前記のようなマスダンパに用いる板ばねの具体的な構造として、好ましいのは、薄板からなり、環状の内周部及び外周部と、それらの中間を周方向に延びて一端部が前記内周部に、また他端部が前記外周部にそれぞれ連続する複数の連繋部と、からなるものであり(請求項)、このような構造の板ばねは、その撓みが比較的大きいときでも、周方向に長い連繋部に生じる歪みは比較的小さくなるから、耐久性を確保するのに有利である。
但し、そうした構造の板ばねではそれが撓むとともに捻れて、内周部及び外周部の間に捻れモーメントが生じることになるから、2つの板ばねを相互に裏返しに配設し、それぞれの捻れモーメントを相殺させることが好ましい。
また、前記のような構造を採用するマスダンパとして好ましいのは、所謂アクティブ・タイプのものであり、具体的にはそのケースに、収容室内において前記マス部材を周壁の筒軸方向に往復動させ、その反力を当該ケースを介して制振対象物に作用させるように、アクチュエータが設けられているものである(請求項)。
すなわち、AMDの場合は付加振動系の固有振動数ができるだけ低くなるように、マス部材を重く、板ばねは柔らかくしたいところ、こうすると「立てた」ときの板ばねの撓みが大きくなりやすい。また、AMDはアクチュエータを内蔵する分、大型化しやすい。それ故にAMDにおいて、前記した本発明の作用効果が特に有効なものとなるのである。
そうしてAMDに本発明を適用するのであれば、アクチュエータとして永久磁石を備えた電磁式のアクチュエータを採用し、その永久磁石を前記マス部材に一体的に取り付けることが好ましい(請求項4)。こうすれば、アクチュエータの中で比較的質量の大きな永久磁石をマス部材の一部として利用することができ、小型化を図る上で有利になる。
以上、説明したように本発明に係るマスダンパによると、マス部材を収容するケースの周壁を、板ばねの取り付け位置を境に分割するとともに、マス部材の移動方向である筒軸方向の両端側の2つの周壁部材の長さを所要の長さ、異ならせているので、その2つの周壁部材を入れ替えることにより、マス部材の移動方向におけるケースとのクリアランスを簡単に調整することができる。よって、ケースの大型化を招くことなく、マスダンパを「立てて」使用する場合でも横倒しにする場合でも、適切なクリアランスを確保することができる。
本発明に係るAMDの一使用態様を示す模式図である。 AMDの構造を示す拡大断面図である。 AMDを筒軸方向の一側から見てそのケース(a)と、内部のセンサ、マス部材、リニアモータ、板ばね等(b)と、をそれぞれ示す斜視図である。 軸線Xに沿って見た板ばねの単品図である。 AMDを「立てて」使用するときの図2相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1には、本発明に係るマスダンパの一使用態様を示し、図の例では走査型電子顕微鏡
(SEM)である精密機器D(制振対象物)が除振台Aの定盤a1上に載置され、その本体部分d1から上方に延びる鏡塔d2の頂部にマスダンパが配設されて、図示しないブラケット等により固定されている。図の例では除振台Aは、機器Dの搭載される定盤a1を例えば3、4個の空気ばねユニットa2,a2,…によって弾性的に支持する、所謂パッシブタイプのものである。
一方、マスダンパは所謂アクティブタイプのもので(以下、AMDと略称する)、そのケース1には一体的に加速度センサ2が配設され、これにより検出される機器Dの加速度(振動状態)を示す信号が、コントローラ3に入力されるようになっている。以下に説明するようにAMDのケース1にはマス部材4及びリニアモータ5が収容されており、そのリニアモータ5がコントローラ3からの制御指令を受けて作動すると、マス部材4が往復駆動されて、その反力が機器Dに付加されるようになる。
機器DがSEMである場合、その鏡塔d2には構造的に水平方向の共振が生じやすく、これにより電子銃やレンズの位置が微妙にずれてしまうという問題がある。そこで、図示のように鏡塔d2の頂部に、即ち、局所的に振幅の大きくなる箇所にAMDを取り付け、これにより発生する制御力によって鏡塔d2の揺れを抑えることにより、SEMの性能を十分に発揮させることができる。
−マスダンパの構造−
この例ではケース1はアルミ合金製であり、図2、3に拡大して示すように全体として図の左右方向に長い四角筒状で、その筒軸(軸線X)の方向に延びる断面矩形状の周壁10と、その一端を閉じる矩形状のブロック11と、他端を閉じる矩形状の蓋部材12とによって、マス部材4及びリニアモータ5の収容室1aを区画している。図3(a)にのみ示
すが、ケース1は、その4隅に軸線X方向の他端側から挿入された長尺のボルト13,13,…によって組み立てられている。また、筒軸方向一端(図2,3の左端)側の矩形ブロック11には加速度センサ2が配設されている。
この加速度センサ2は、詳細は図示しないが、円筒状のハウジング内にその筒軸(図では軸線Xと合致)の延びる方向に移動可能に錘を収容するとともに、この錘の移動方向の一側に隣接させて圧電素子を配設したものであり、錘から受ける押圧力に応じて圧電素子の発生する電圧を増幅して出力する。加速度センサ2のハウジングはアルミ合金製であり、圧電素子を囲んで静電シールドを構成している。また、ハウジング外周の略中央には矩形状のフランジ2aが形成されている。
そして、そのフランジ2aが挿入されるように前記矩形ブロック11には、軸線X方向の一側に開口する断面矩形状の収容孔11aが形成されるとともに、この収容孔11aの開口を塞ぐように一側から肉厚の矩形板11bが組み付けられている。一方、矩形ブロック11の他端面には収容孔11aに連通して、加速度センサ2のハウジングに対応する丸穴が開口しており、ここに一側から挿入された加速度センサ2の他端側がマス部材4及びリニアモータ5の収容室1aに向かって突出している。そうして加速度センサ2を包含する矩形ブロック11は肉に形成され、二重の静電シールドとして機能する。
一方でマス部材4は、その重量を確保しやすい鉄製であり、図2の他、図3(b)等にも示すように全体としては円柱状であるが、前記のように収容室1a内に突出する加速度センサ2の他端側を包囲するよう、軸線X方向の一側に開口する円形断面の凹部4aを有している。この凹部4aを取り囲む周壁の先端、即ち図の左端には締結リング41がねじ留めされていて、後述する板ばね6の内周部を挟持している。また、マス部材4の反対側の端面(図の右端面)には、以下に述べるリニアモータ5のヨーク50の一端面が接合され、ボルト42により締結されている。
−リニアモータ−
リニアモータ5においては、前記のようにマス部材4と一体化されたヨーク50等が被駆動側で、これが駆動側のボビン51等と非接触状態で組み合わされており、それらの間に作用する電磁力によって軸線X方向に往復移動されるようになる。この例ではヨーク50は鉄製であり、リニアモータ5のハウジングを兼ねて有底円筒状に形成され、軸線X方向の他側(図2の右側)に向かって開放している。
そうして軸線X方向の他側に向かって開放するヨーク50の筒壁部の先端、即ち図2の右端には締結リング52がねじ留めされていて、後述する板ばね6の内周部を挟持している。すなわち、この実施形態では、前記のように一体化されているマス部材4とヨーク50とが、軸線X方向に離れた2枚の板ばね6,6によってケース1の周壁10(収容室1aの周壁)に取り付けられており、軸線X方向に移動可能に、また、軸線Xに直交する方向には殆ど移動しないようになっている。
また、前記ヨーク50の筒壁部内には円盤状の磁石53とポールピース54とが同軸状に配設されて、ヨーク50の底部にその中央を貫通するボルト55によって取り付けられている。このヨーク50の底部には、磁石53及びポールピース54を囲むよう周方向に間隔を空けて複数のねじ穴が形成され、ここには前記のようにマス部材4と締結するためのボルト42,…がねじ込まれている。
前記磁石53及びポールピース54は該略同径で且つ同程度の厚みを有する比較的厚肉の円盤状であり、それを外周側から包囲するボビン51の筒壁部との間には所定のクリアランスが確保されている。すなわち、駆動側のボビン51は樹脂材によって、軸線X方向一側(図の左側)に開口する有底円筒状に形成され、その筒壁部に電線が巻き付けられて電磁コイル56が構成されている。この筒壁部が磁石53及びポールピース54を外周側から包囲するとともに、それ自体は外周側からヨーク50の筒壁部に包囲されている。
また、ボビン51の底壁部は、図の例では比較的厚肉の円盤状とされ、その軸線X方向の端面(図の右端面)には円形の台座部が形成されて、円柱状の中間部材57を介してケース1の蓋部材12にねじ留めされている。つまり、リニアモータ5において駆動側であるボビン51がケース1の蓋部材12に固定されており、被駆動側にあるヨーク50、磁石53及びポールピース54を含めてマス部材4を軸線X方向に駆動し、その反力(制御力)をケース1に伝えるようになっている。
そうしてリニアモータ5の被駆動側(ヨーク50、磁石53及びポールピース54)が締結リング52と共にマス部材4に一体化されているため、AMDの振動系におけるマス(質量)を確保しやすい。そうして一体化されているヨーク50、磁石53及びポールピース54に2つの締結リング41,52も含めて、以下、この実施形態では「マス部材4等」或いは単に「マス」とも呼ぶものとする。
そして、一般にAMDにおいてはマスが大きく、ばねが柔らかいほどに固有振動数が低くなって、制御力によるアクティブ制振の効果が広い周波数域に亘って得られるようになるから、この実施形態では前記のようにしてマスの質量をできるだけ大きくするとともに、これをケース1に対して軸線X方向に移動可能に取り付ける板ばね6,6は、できるだけ柔らかなものとなるよう、以下のように構成している。
すなわち、この実施形態では板ばね6は薄板をプレス成型したもので、マスの移動方向である軸線X方向に見て図4に示すように、その外形が正方形状とされ、中央に丸穴6aが開口している。この丸穴6aを取り囲む板ばね6の内周部は円環状で、マス部材4又は
ヨーク50と締結リング41,52との間に挟持されて、マス部材4等に取り付けられる。板ばね6の内周部には周方向に略等間隔を空けて、マス部材4又はヨーク50と締結リング41,52とを連結するねじの挿入孔6b,6b,…が形成されている。
一方、板ばね6の外周部にはその4隅においてそれぞれ、ケース1を組み立てるためのボルト13の挿入孔6c,6c,…が形成されており、以下に述べるようにケース1の周壁10を分割した周壁部材10a,10b,10cの間に挟持されて、ケース1の周壁10に取り付けられる。
そうしてマス部材4等及びケース周壁10にそれぞれ取り付けられる板ばね6の内周部及び外周部の中間には、概ね円周方向に延びていて一端部が前記内周部に、また他端部が前記外周部にそれぞれ連繋する3つの連繋部6d,6d,…が周方向に略等間隔に形成されている。板ばね6が軸線X方向に撓むときに、3つの連繋部6d,6d,…はそれぞれの長手方向に撓むことになるので、板ばね6の撓み量が大きくても、連繋部6d,6d,…に生じる歪みは比較的小さくて済み、その耐久性を確保する上で有利な構造と言える。
一方で、そうして板ばね6が軸線X方向に撓むときには、その軸線Xの周りに内周部及び外周部が相互に捻れてモーメントを生じることになるが、この実施形態では、図3(b)に示すように2つの板ばね6,6が、軸線X方向に見て相互に裏返しになるように配設されており、このことで、それぞれの捻れモーメントが相殺されるようになる。
−ケース周壁の分割構造−
次に、この実施形態の主たる特徴であるAMDのケース1の構造、特にその周壁10の分割構造について説明する。図2に明らかなように、マス部材4やリニアモータ5の収容室1aは、軸線X方向に延びる周壁10の一端(図の左端)が矩形ブロック11により閉ざされる一方、他端(図の右端)は蓋部材12により閉ざされている。
そして、図2の他、図3(a)にも示すように周壁10は、2つの板ばね6,6がそれぞれ取り付けられる位置を境に軸線X方向に3つの周壁部材10a,10b,10cに分割され、さらに、図示のようにAMDを横倒しにするときには、軸線X方向の他端(図2,3(a)の右端)、即ち周壁10と蓋部材12との間にスペーサ部材10dが介挿されるようになっている。
そうして分割された3つの周壁部材10a〜10cのうち、軸線X方向の一端側及び他端側のもの、即ち一端側の周壁部材10aと他端側の周壁部材10cとは同じものである。また、これらに挟まれる周壁部材10bは軸線X方向に長く、図の例ではマス部材4及びヨーク50を合わせたのと略同じ長さを有している。さらに、スペーサ部材10dの軸線X方向の長さは、軸線Xを上下方向に向けて、即ちAMDを「立てて」使用するときに(図5を参照)、マス部材4等の重量を受けて撓む板ばね6,6の下方への撓み量に相当するものとされている。
斯かる構造により、この実施形態では前記スペーサ部材10dの介挿する位置を、軸線X方向の一端側、他端側のいずれかに入れ替えることで、以下に述べるようにマス部材4等の軸線X方向の両端(具体的には、一端側の締結リング41及び他端側の締結リング52のそれぞれの外端)と、これに対向する収容室1aの端壁面(具体的には、矩形ブロック11及び蓋部材12のそれぞれが収容室1aに臨む面)との間隔、即ちマス部材4等の移動方向におけるケース1とのクリアランスを容易に調整することができる。
すなわち、前記した図2のようにAMDを横倒しにして、マス部材4等の移動方向である軸線Xが水平になるように配置するとき、マス部材4等の重量は板ばね6,6に対し略平行に作用することになるので、中立位置において撓みが生じることはない。そこで、この状態では図示のように軸線X向の他端にスペーサ部材10dを介挿し、このときにマス部材4等の両端とそれぞれ対向する収容室1aの両端壁面との間隔が適値になるように、予め各周壁部材10a〜10c及びスペーサ部材10dの寸法を設定しておく。
そして、図5に示すようにAMDを「立てて」、即ち軸線X方向の一端側が下側になって、軸線Xが略上下方向を向くようにして配置すると、マス部材4等の重量を受けて板ばね6,6が撓み、マス部材4等が下方に、即ち軸線X方向の一端側に変位することになるが、このときにはスペーサ部材10dを入れ替えて、図示のように周壁10の一端、矩形ブロック11との間に介挿する。
そうすると、そのスペーサ部材10dの分、即ち、マス部材4等の重量を受けて板ばね6,6の撓む分量だけ、周壁10における板ばね6,6の取付位置が高くなるから、前記のように板ばね6,6の撓みによってマス部材4等が下方に変位しても、このマス部材4等の下端(締結リング41の一端)と対向する収容室1aの下端壁面(矩形ブロック11の他端面)との間隔は、前記横倒しにしたとき(図2参照)と同じ適切なクリアランスに保たれるのである。
したがって、この実施形態に係るAMDによると、上述したようにマス部材4等を収容するケース1の周壁10を分割して、その軸線X方向の一端側、他端側のいずれかに所定寸法のスペーサ部材10dを介挿するようにしたので、AMDを「立てて」使用するときと横倒しにするときとの双方で、スペーサ部材10dの介挿位置を入れ替えるだけで簡単に、また、ケース1の大型化を招くことなく、マス部材4等の移動方向におけるケース1とのクリアランスが適切なものとなる。
そのスペーサ部材10dの厚み(軸線X方向の長さ)を変更すれば、マス部材4等の重さや板ばね6の柔らかさが変わっても対応可能である。具体的にスペーサ部材10dの厚みは、前記したようにマス部材4等の重量を受けた板ばね6,6の撓み分とするか、これよりも少し長くすることが好ましいが、少しだけなら短くてもよい。また、薄いスペーサ部材を幾つか準備しておけば、機器DにAMDを取り付ける現場での調整も可能になる。
そのような発明の効果は、実施形態のようなAMDに限らずパッシブ・タイプのマスダンパでも得られるが、AMDの場合は、その振動系の固有振動数をできるだけ低くしたいという要求があり、そのためにマス部材4等を重くし、板ばね6を柔らかくすれば、自ずと「立てて」使用するときのマス部材4等の変位が大きくなりやすい。しかも、AMDはリニアモータ5等を内蔵するため大型化しやすい。よって、大型化を招くことなく、マス部材4等とケース1とのクリアランスを確保できる、という発明の効果はAMDにおいて特に有効なものと言える。
尚、この実施形態ではAMDの周壁10を分割するとともに、スペーサ部材10dを介挿するようにしているが、これに限るものではなく、例えば周壁部材10a、10cの軸線X方向の長さをスペーサ部材10dの分、異ならせ、AMDを「立てて」使用するときと横倒しにして使用するときとで、それらを入れ替えるようにしてもよい。
また、この実施形態のAMDには、機器Dの振動状態を検出するための加速度センサ2が備えられているが、これはAMDとは別に例えば機器Dに直接、配置することもできる。振動状態を検出するためのセンサは加速度センサ2に限らず、例えば速度センサや変位センサを用いることもできる。
さらに、AMDを取り付ける制振対象物はSEMでなくてもよいのは勿論であり、これを空気ばね式の除振台A上に載置することにも限定されない。除振台Aの空気ばねユニットa2,a2,…は、除振対象物にその振動を減殺するような制御力を付加するアクチュエータとして用いることもできる。
本発明は、機器等の振動を抑制するためのマスダンパの小型化、低コスト化に貢献するものであり、産業上の利用可能性は高い。
D 機器(制振対象物)
X 軸線(ケースの筒軸)
1 AMDのケース
1a マス部材等の収容室
10 周壁
10a〜10c 周壁部材
10d スペーサ部材
2 加速度センサ
3 コントローラ
4 マス部材
5 リニアモータ(電磁式アクチュエータ)
53 磁石
6 板ばね
6d 連繋部

Claims (4)

  1. 制振対象物に取り付けるケースの内部に、ばね部材を介して所定方向に往復移動可能にマス部材を収容してなるマスダンパであって、
    前記ケースにおいてマス部材を収容する収容室が、当該マス部材の移動方向に延びる筒状の周壁を有し、
    前記ばね部材は、前記周壁の筒軸方向に離間した2箇所においてそれぞれ、外周部が当該周壁に、また、内周部が前記マス部材に取り付けられた板ばねからなり、
    前記周壁が、前記板ばねの取り付け位置を境に筒軸方向に3分割され、この分割された周壁部材の間に前記板ばねの外周部を挟持しており、
    前記筒軸方向一端側の周壁部材と他端側の周壁部材との筒軸方向の長さが異なっていて、前記筒軸方向一端側及び他端側の周壁部材のうち長い一方の周壁部材が、他方の周壁部材と同じ長さの部材と、両者の長さの差分のスペーサ部材と、からなり、
    該スペーサ部材は、前記周壁の筒軸方向一端側及び他端側のいずれかに介挿可能であって、その筒軸方向の長さは、筒軸方向を上下方向に向けて配置したときに前記マス部材の質量を受けて撓む前記板ばねの撓み量に対応している、ことを特徴とするマスダンパ。
  2. 前記2つの板ばねは、薄板からなり、それぞれ環状に形成された内周部及び外周部と、それらの中間を周方向に延びて一端部が前記内周部に、また他端部が前記外周部にそれぞれ連続する複数の連繋部とからなり、
    前記2つの板ばねが前記周壁の筒軸方向に見て互いに裏返しに配設されている、請求項のマスダンパ。
  3. 前記ケースには、その収容室内において前記マス部材を周壁の筒軸方向に往復動させ、その反力を当該ケースを介して制振対象物に作用させるようにアクチュエータが設けられている、請求項1又は2のいずれか1つのマスダンパ。
  4. 前記アクチュエータが永久磁石を備えた電磁式のアクチュエータであり、その永久磁石が前記マス部材に一体的に取り付けられている、請求項のマスダンパ。
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