JP5033082B2 - 能動型液封入式防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内部液室の圧力を制御することで防振効果を高める形式の能動型液封入式防振装置に関するものである。
従来、例えば自動車のエンジンマウントとして用いられる防振装置において、液室の室壁の一部を加振板で形成するとともに、該加振板をアクチュエータで加振駆動するように構成した能動型液封入式防振装置が知られている(下記特許文献1参照)。能動型液封入式防振装置では、上記液室の圧力をアクチュエータを介して制御することにより、振動を相殺的に抑制したり、入力振動に応じてバネ特性を積極的に変更してマウントの低動バネ化を図るなどして優れた振動抑制効果を得ている。
図9は、従来の能動型液封入式防振装置の一例を示す断面図である。この防振装置では、上側の第1取付具101と、下側の第2取付具102と、これらを連結するゴム状弾性体からなる防振基体103と、該防振基体103が室壁の一部をなす第1液室104と、室壁の一部がゴム膜からなるダイヤフラム105で形成された第2液室106と、両液室104,106を連通させるオリフィス通路107と、第1液室104の室壁の別の一部をなす加振板108と、該加振板108を加振駆動して第1液室104の圧力を制御するアクチュエータ109とを備えて構成されている。
上記アクチュエータ109は、加振板108に連結した可動軸110と、第2取付具102側に固定された固定子111とを備えてなり、固定子111のコイル112を励磁することで、可動軸110が軸方向(上下方向)に往復動し、これにより加振板108を加振するよう構成されている。可動軸110は、上下一対の弾性支持材である板バネ113を介して、固定子111に対して、軸方向に往復動可能に、かつ軸方向に位置決めした状態に支持されている。
特開2007−85407号公報
上記可動軸110のストロークには一定の制限があり、制限を超えて変位してしまうとアクチュエータ109が破損してしまう。防振装置に対する通常の振動入力時においては、板バネ113によって変位が規制されるが、板バネ113による変位規制を超えた過大な入力が負荷される場合がある。このような過大な入力に対し、可動軸110のストロークを一定範囲内に制限するためには、ストッパ手段を設ける必要がある。かかるストッパ手段は、アクチュエータ自体に組み込むこともできるが、そうするとアクチュエータの構造が複雑となってしまう。
アクチュエータの簡素化を図るためには、ストッパ手段を、アクチュエータの周りの防振装置構造に組み込む必要がある。そのようなストッパ手段として、例えば、上記特許文献1に開示されたように、第2取付具102の底部に可動軸110の下端に当たることでその下方への変位を制限するストッパゴム(緩衝ゴム)を設けることも考えられるが、このようなストッパゴムを設けると、それを成形するための金型が必要となる。また、第2取付具102の底部側には、アクチュエータ109の固定子111に対する配線のためにコネクタ等を設けるスペースが要求される場合があるが、可動軸110の下方にストッパゴムを設けると、その分高さ寸法が必要となることから、上記スペースを確保することが難しくなる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、アクチュエータの可動軸の変位を制限することができる能動型液封入式防振装置を提供することを目的とする。
本発明に係る能動型液封入式防振装置は、第1取付具と、筒状部を有する第2取付具と、前記第1取付具と前記第2取付具を連結するゴム状弾性体からなる防振基体と、前記防振基体が室壁の一部をなす第1液室と、前記第1液室の室壁の別の一部をなし、前記第2取付具の軸方向において前記防振基体と対向した状態にゴム状弾性支持部を介して前記第2取付具側に連結された加振板と、前記加振板を挟んで前記第1液室と反対側に配されて前記加振板を加振駆動するためのアクチュエータと、前記アクチュエータを構成するものであって、前記第2取付具側に固定された固定子と、前記固定子に対して往復動可能に支持されるとともに前記加振板に連結されて前記加振板を前記軸方向に加振駆動する可動軸と、前記可動軸の前記軸方向における変位を制限するストッパ手段と、を備え、前記ストッパ手段が、前記可動軸における前記固定子よりも前記加振板側の軸部分において軸直角方向外方に突設された被ストッパ部と、前記第2取付具側に固定されて前記可動軸の前記軸方向における変位により前記被ストッパ部が当たることで当該変位を制限するストッパ部とで構成されたものである。
上記構成によれば、軸方向での過大な入力により可動軸が軸方向に変位したときに、可動軸側に設けた被ストッパ部が第2取付具側に設けたストッパ部に当たることでその変位を制限することができ、アクチュエータの破損を防止することができる。かかるストッパ手段がアクチュエータ単独ではなく、その周りの部材を利用して構成されているため、アクチュエータの簡素化が図られる。また、固定子よりも加振板側の可動軸部分に被ストッパ部が設けられており、第2取付具の底部側にストッパ手段を設けるものではないので、当該底部側に固定子に対する配線のためのスペースを確保しやすい。
本発明に係る能動型液封入式防振装置は、上記構成において、更に、前記加振板を挟んで前記第1液室と反対側において前記第2取付具側に連結して設けられたゴム状弾性膜からなるダイヤフラムと、前記加振板と前記ダイヤフラムの間に設けられて、前記加振板と前記ダイヤフラムを室壁の一部とし、オリフィス通路を介して前記第1液室と連通された第2液室と、前記ダイヤフラムを挟んで前記第2液室と反対側に設けられた前記アクチュエータの収容空間と前記ダイヤフラムを前記収容空間から区画するストッパ部材とを備え、前記可動軸、前記ダイヤフラムを貫通した状態で前記ダイヤフラムと結合され、前記ストッパ部材、外周部が前記第2取付具に固定されるとともに、前記可動軸が貫通する中央開口部に前記ストッパ部が設けられている。このように、可動軸のストッパ部としての機能を持つストッパ部材を、ダイヤフラムをアクチュエータの収容空間から区画するように設けたことにより、ダイヤフラムが液体の流動でアクチュエータ側に膨らんだときに、発熱したアクチュエータに直接接触するのを防ぐことができる。そのため、熱によるダイヤフラムの経年劣化を防止することができ、ダイヤフラムの耐久性を向上することができる。
上記防振装置においては、前記可動軸が、前記ダイヤフラムに対する結合部である軸部材を備え、該軸部材に前記ダイヤフラムが一体に成形され、前記軸部材に前記被ストッパ部が軸直角方向外方に突出して設けられてもよい。このようにダイヤフラムが一体に成形された軸部材に被ストッパ部を設けることで、部品点数を増やすことなく、被ストッパ部を設けることができる。
また、この場合、前記被ストッパ部が前記ダイヤフラムから連なるゴム状弾性被膜で覆われていると、ストッパ部との当接時における衝撃を和らげることができる。しかも、この弾性被膜は、ダイヤフラムの成形時に一体に設けることができるため、別途、緩衝ゴムのための成形型も不要である。
前記ダイヤフラムは、前記被ストッパ部の軸直角方向外周端に連結して設けられてもよいが(図1参照)、前記被ストッパ部よりも前記加振板側における前記軸部材の外周面に連結して設けられてもよい(図5参照)。後者の場合、ダイヤフラムの可撓性膜部分の面積をより大きくすることができるので、オリフィス通路を介した液体の流動量をより大きく確保することができる。
前記ダイヤフラムは、外周部に前記第2取付具に固定されるリング状の固定部材を有し、中央部に設けられた前記軸部材の前記被ストッパ部が前記軸方向における位置で前記固定部材と重ならないように当該軸部材を前記固定子側に移動させた形状にて前記ダイヤフラムが成形され、成形後に前記軸部材を前記軸方向における位置で前記固定部材と重なるように前記軸方向に変位させて組み付けられてもよい。軸部材に被ストッパ部を設けると、ダイヤフラムの成形後に脱型しにくくなるという問題があるが、成形時に中央部の軸部材が外周部の固定部材に重ならないように軸方向にずらして成形することで、脱型しやすくすることができ、成型工程の簡素化が図られる。
上記ストッパ手段は、可動軸側の被ストッパ部が前記軸方向に離間して一対設けられ、第2取付具側のストッパ部が前記一対の被ストッパ部の間に配されてもよく、あるいはまた、第2取付具側のストッパ部が前記軸方向に離間して一対設けられ、可動軸側の被ストッパ部が前記一対のストッパ部の間に配されてもよい。
本発明によれば、軸方向での過大な入力により可動軸が軸方向に変位したときに、可動軸側に設けた被ストッパ部と第2取付具側に設けたストッパ部とにより、その変位を制限することができ、アクチュエータの破損を防止することができる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は自動車のエンジンマウントとして組付けられる第1実施形態に係る能動型液封入式防振装置の断面図である。この液封入式防振装置は、エンジン側に取り付けられる上側の第1取付具10と、車体側のフレームに取り付けられる有底筒状をなす下側の第2取付具12と、両取付具10,12を連結するゴム状弾性体からなる防振基体14と、該防振基体14が室壁の一部をなす第1液室16と、第1液室16の室壁の別の一部をなす加振板18と、該加振板18を加振駆動して第1液室16の圧力を制御するアクチュエータ20と、室壁の一部がゴム膜からなるダイヤフラム22で形成された第2液室24と、第1液室16と第2液室24を連通させるオリフィス通路26と、を備えて構成されている。
第1取付具10は、上端部に径方向外方側に張り出したフランジ部10Aを有して下端ほど先細の略円錐台状に形成された金具であり、第2取付具12の軸心L上において第2取付具12の上部側に離間して配置されている。第1取付具10は、その上面にネジ穴10Bを有し、該ネジ穴10Bに不図示のボルトが螺合されることによりエンジン側のブラケット(不図示)に連結されるようになっている。
第2取付具12は、防振基体14が内周部に加硫接着された円筒状で金属製の筒状部材28と、アクチュエータ20を収容保持する有底円筒状で金属製の椀状部材30とからなる。両部材28,30はかしめ部12Aにおいてかしめ固定されている。椀状部材30の底部には、下向きに連結ボルト32が突設されており、該連結ボルト32によって車体側のフレーム(不図示)に連結するよう構成されている。
防振基体14は、下方ほど軸直角方向外方に広がる略傘状をなし、その上端部に第1取付具10の下面側が埋設された状態に加硫接着されている。また、防振基体14は、第2取付具12の上部開口部側に固着されており、詳細には、防振基体14の下端外周部が筒状部材28の上部内周面の全周に加硫接着されている。
加振板18は、円板状をなす金属部材であり、第2取付具12の軸方向Xにおいて、防振基体14と対向して配置されている。加振板18は、その周りを取り囲む環状のゴム状弾性支持部34を介して第2取付具12側に連結されている。詳細には、第2取付具12の内周には、防振基体14から連なるシールゴム層36を介して、金属製の環状部材38が嵌着されている。ゴム状弾性支持部34は、その外周部が環状部材38の内周部に加硫接着されるとともに、内周部が加振板18の外周部に加硫接着されており、これにより、加振板18がゴム状弾性支持部34を介して第2取付具12に支持されている。
ダイヤフラム22は、加振板18を挟んで第1液室16と反対側において第2取付具12に連結して設けられており、第2取付具12の軸方向Xにおいて、加振板18と対向して配設されている。詳細には、ダイヤフラム22は、その外周部にリング状で金属製の固定部材40を有し、この固定部材40の外周部がかしめ部12Aにおいて第2取付具12に固定されている。
第1液室16は、第2取付具12の内側において、防振基体14の下面と加振板18の上面との間に形成された主液室(受圧室)である。また、第2液室24は、加振板18とダイヤフラム22の間に設けられて、これら加振板18とダイヤフラム22が室壁の一部をなす副液室(平衡室)である。従って、両液室16,24は加振板18により上下に仕切られており、すなわち、加振板18は両液室16,24を軸方向Xに仕切る仕切壁として機能している。
第1液室16と第2液室24を連通させるオリフィス通路26は、第2取付具12の内周面に上記シールゴム層36を介して嵌着されたオリフィス形成部材42により、第2取付具12の周方向に沿って設けられている。オリフィス形成部材42は、外向きに開かれた断面コの字状をなす環状部材であり、加振板18の外周の環状部材38とダイヤフラム22の外周の固定部材40との間で軸方向Xに挟持されている。
アクチュエータ20は、鉄心可動形の電磁石式のリニアアクチュエータであり、加振板18を挟んで第1液室16と反対側に配されている。より詳細には、ダイヤフラム22を挟んで第2液室24と反対側にアクチュエータ収容空間44が設けられ、該収容空間44にアクチュエータ20が収容保持されている。アクチュエータ収容空間44は外部から密閉された状態に設けられている。
アクチュエータ20は、第2取付具12に固定された固定子46と、該固定子46に対して往復動可能に支持されるとともに加振板18に連結されてこれを加振駆動する可動子としての可動軸48とを備えて構成されている。かかるアクチュエータ20自体は、上記特許文献1に記載のものと同様の構成を持つものが用いることができる。
可動軸48は、第2取付具12の軸心Lに沿って(図の例では同軸に)縦姿勢に配されており、その先端部48Aが加振板18の中央部に垂直に結合されて、該加振板18を軸方向Xに加振するよう構成されている。可動軸48の外周面には、電磁鋼板等の磁性金属よりなる多数の金属板を積層してなる可動子鉄心としての磁性材部50が固設されている。磁性材部50は、上記特許文献1のように1個のみ設けることもできるが、この例では軸方向Xに離間して複数個(図では2個)が設けられている。また、可動軸48は、上下一対の弾性支持材である板バネ52を介して、固定子46に対して、軸方向(上下方向)Xに往復動可能に、かつ軸方向Xに位置決めした状態に支持されている。
固定子46は、可動軸48の外周を同軸に取り囲む環状をなし、その中空部において可動軸48を軸方向Xに往復動可能に支持しており、上記かしめ部12Aに固定された後述するストッパ部材76によって椀状部材30内に吊り下げ状態に保持されている。固定子46は、電磁鋼板等の磁性金属よりなる多数の環状の金属板を積層してなるヨーク56と、ヨーク56の中央部において磁性材部50を挟んで相対向するように両側より径方向内方に向かって突出する一対の磁極部58を有している。
磁性材部50に対向する固定子46の磁極部58の先端つまり内端には、可動軸48の往復動方向(上下方向)に隣合った状態で並んで可動軸48に対向する上下一対の円弧板状をなす永久磁石60,62が、それらの磁極が互いにNS交互の異極をなすように、前記往復移動方向と直交する方向(左右方向)に磁極を並べて、かつ互いの磁極(N極とS極)の並びが逆になる状態に配設されている。上下一対の永久磁石60,62は、この例では、磁性材部50に対応させて、軸心方向Xに2組並べて設けられている。
固定子46の一対の磁極部58には、それぞれその周りにコイル64を巻回、つまり前記往復動方向と直交する方向の軸心周りにコイル64を巻回して、前記一対の永久磁石60,62を通る磁束を発生可能に構成してある。この例では、一対の永久磁石60,62が、磁性材部50を挟んで対向する固定子46の一対の磁極部58の内端部にそれぞれ設けられており、両磁極部58それぞれの永久磁石60,62は、前記往復動方向と直交する方向で可動軸48を挟んで対向するとともに、この対向する磁極が互いに異極をなすように磁極の並びを左右で逆にして配設されている。
これによりアクチュエータ20は、コイル64に正方向の電流が流れると、コイル64に発生する起磁力の向きと上側の永久磁石60の起磁力の向きとが同一となって、起磁力が強まる。一方、下側の永久磁石62の起磁力の向きとコイル64の起磁力の向きが反対になって、両者の起磁力が相殺されて弱まる。その結果、磁性材部50に上向きの力が作用して、可動軸48は上昇する。また、コイル64に逆方向の電流が流れると、前記とは反対に、磁性材部50に下向きの力が作用して、可動軸48は下降する。そのため、コイル64の電流の向きが正逆に交互に変わることで、可動軸48は上下に往復動する。
以上の構成を持つものにおいて、本実施形態のものでは、可動軸48の軸方向Xにおける変位を制限するストッパ手段66が設けられている。ストッパ手段66は、可動軸48における固定子46よりも加振板18側(即ち、上側)の軸部分において軸直角方向外方Y1に突設された被ストッパ部68と、第2取付具12側に固定されて可動軸48の軸方向Xにおける変位により被ストッパ部68が当たることで当該変位を制限するストッパ部70とで構成されている。
被ストッパ部68について詳述する。上記のように加振板18をダイヤフラム22の内側に配置したことにより、可動軸48は、ダイヤフラム22を貫通した状態でダイヤフラム22と結合された上で、その先端部48Aが加振板18に連結されている。可動軸48は、このダイヤフラム22に対する結合部としての軸部材72を軸心L上に有し、該軸部材72にダイヤフラム22が一体に加硫成形されている。そして、この軸部材72の外周面に、被ストッパ部68が軸直角方向外方Y1に突出形成されている。なお、軸部材72は、固定子46によって取り囲まれる下側の軸部分(可動軸本体)73の上端部にネジ止めにより連結固定されている。また、軸部材72の上端部は加振板18の下面に対してボルト75で締結固定されている。
被ストッパ部68は、この例では、軸方向Xに離間して上下一対に設けられている。図2に示すように、上側の被ストッパ部68Aは、軸方向視円形状であるのに対し、下側の被ストッパ部68Bは、軸心Lを挟んで対向する部分が軸直角方向外方Y1に突出された軸方向視I字状をなしている。
ダイヤフラム22は、上側の被ストッパ部68Aの軸直角方向外周端に連結して設けられている。また、上下の被ストッパ部68を含む軸部材72の外周面は、ダイヤフラム22から連なるゴム状弾性被膜74で被覆されている。
次に、ストッパ部70について詳述する。ストッパ部70は、ダイヤフラム22をアクチュエータ収容空間44から区画するストッパ部材76に設けられている。ストッパ部材76は、ダイヤフラム22の下面側を覆って、ダイヤフラム22をアクチュエータ20に対して区画する円板状金具であり、外周部76Aが第2取付具12に固定されている。
詳細には、筒状部材28の開口端部が軸直角方向外方Y1に張り出した嵌合筒部28Aに形成され、該嵌合筒部28Aの内側にシールゴム41を介してダイヤフラム22の固定部材40が嵌合保持されている。椀状部材30の上端部がフランジ部30Aを介して軸直角方向外方Y1に張り出したかしめ用筒部30Bに形成されている。上記固定部材40が内嵌した嵌合筒部28Aを、ストッパ部材76の外周部76Aを介してフランジ部30A上に載せて、これらをその外方側から包み込むようにかしめ用筒部30Bでかしめ固定することにより、上記かしめ部12が構成されて、これらの部材が一体に結合されている。
ストッパ部材76は、可動軸48が貫通する中央開口部78を有し、この中央開口部78に上記ストッパ部70が設けられている。ストッパ部材76は、ストッパ部70が設けられた中央部が上方、即ち加振板18側に段付き凸状に形成されている。これにより、ストッパ部材76は、ストッパ部70の外周側が凹状に陥没した形状をなしており、ダイヤフラム22がたわみ変形するための空間を確保している。
ストッパ部70は、段付き凸状に形成された上記中央部において軸直角方向内向きに延設されており、上記一対の被ストッパ部68A,68Bの間に外側から差し入れられた形状に設けられている。ストッパ部材76の中央開口部78は、上記下側の被ストッパ部68Bが挿通可能なように平面視I字状に開口しており(図3参照)、下側の被ストッパ部68Bを挿通させてから90度回転させることで(図4参照)、ストッパ部材76と軸部材72とが組み付けられるようになっている。そのため、中央開口部78の上記I字に直交する軸直角方向Yにおいて相対向する開口縁部がストッパ部70,70を構成する(図3参照)。
ストッパ部材76は、周方向の複数箇所(この例では、直径方向に対向する2箇所(図3,4参照))に設けられたスペーサー54を介して、固定子46の上面に連結されており、これにより、固定子46はストッパ部材76によって椀状部材30内に吊り下げ状態に保持されている。
以上よりなる本実施形態の液封入式防振装置であると、大振幅の低周波数振動が生じたときには、液体がオリフィス通路26を通って第1液室16と第2液室24との間で流通することにより、その液体流動効果によって振動を減衰することができる。
微振幅の高周波振動が生じたときには、不図示の制御部による制御によって、アクチュエータ20のコイル64に正弦波交流を流すことにより可動軸48を上下動させて、これに連結された加振板18に対して正弦波曲線の振動を与え、これにより第1液室16の圧力を制御する。例えば、エンジンからの振動によって第1取付具10が軸方向Xに振動したとき、この振動に同期させて、第1取付具10の下方への変位による第1液室16の液圧上昇をいなすように加振板18を下方に変位させることで、車体側への振動伝達を低減することができる。
そして、特に本実施形態であると、軸方向Xでの過大な入力により可動軸48が軸方向Xに変位したときに、可動軸48側に設けた上下一対の被ストッパ部68A,68Bが、第2取付具12側に設けたストッパ部70に当たることで、その変位を制限することができる。そのため、可動軸48の過大な変位を規制して、アクチュエータ20の破損を防止することができる。
また、このような被ストッパ部68とストッパ部70とでストッパ手段66を構成したので、アクチュエータ20自体の構成は簡素化することができ、コストアップを抑えることができる。
また、ダイヤフラム22に対する結合部である可動軸部分(即ち、軸部材72)に被ストッパ部68を設けてストッパ手段66を構成したので、第2取付具12の底部側にストッパ手段を設ける場合に比べて、当該底部側に固定子46に対する配線のためのスペースを確保しやすい。特に、上記可動軸部分は、ダイヤフラム22の変形を許容するために、そもそもある程度の軸方向X寸法が必要であることから、この部分にストッパ手段66を設けることでスペースの有効利用を図ることができる。
本実施形態によると、また、ダイヤフラム22が一体に成形される軸部材72に被ストッパ部68を設けることで、部品点数を増やすことなく、被ストッパ部68を設けることができる。しかも、かかるダイヤフラム22の加硫成形時に、被ストッパ部68を覆う弾性被膜74を設けることで、別途成形型を設けずとも、ストッパ部68との衝撃を緩和することができ、コストアップを抑えることができる。
また、本実施形態であると、可動軸48のストッパ部70としての機能を持つストッパ部材76が、ダイヤフラム22をアクチュエータ収容空間44から区画するように設けたことにより、ダイヤフラム22が液体の流動でアクチュエータ20側、即ち下方に膨らんだときに、発熱したアクチュエータ20にダイヤフラム22が直接接触するのを防ぐことができる。そのため、熱によるダイヤフラム22の経年劣化を防止することができ、ダイヤフラム22の耐久性を向上することができる。
(第2実施形態)
図5は第2実施形態に係る能動型液封入式防振装置の断面図である。第2実施形態は、軸部材72に対するダイヤフラム22の結合位置が第1実施形態とは異なる。すなわち、この例では、ダイヤフラム22は、被ストッパ部68よりも加振板18側、即ち上方における軸部材72の外周面に連結して設けられている。
このように円柱状をなす軸部材72の外周面にダイヤフラム22の内周部が直接結合した状態に設けることで、ダイヤフラム22の可撓性膜部分の面積を、第1実施形態より大きくすることができる。そのため、他の部材構成はそのままでありながら、ダイヤフラム22の可動容積を大きくして、オリフィス通路26を介した液体の流動量をより大きく確保することができる。
第2実施形態につき、その他の構成及び作用効果は、第1実施形態と同じであり、説明は省略する。
ところで、このように軸部材72に軸直角方向外方Y1に突出する被ストッパ部68を設けた場合、ダイヤフラム22の外周部には固定部材40も一体に成形されることから、ダイヤフラム22の加硫成形後の脱型が問題となる。
これを解消するため、本実施形態では、図6(a)に示すように、ダイヤフラム22を、中央部での軸部材72の被ストッパ部68が軸方向Xにおける位置で外周部の固定部材40と重ならないように、当該軸部材72を固定子46側、即ち下方に移動させた形状にて、加硫成形する。
図7は、加硫成形時の断面図を示したものであり、成形型80は、ダイヤフラム22の上面(第2液室24側の面)を形成する第1型82と、ダイヤフラム22の下面(固定子46側の面)を形成する第2型84とを備え、両型82,84は軸方向Xに相対変位することで開閉可能に構成されている。そして、第2型84が、軸直角方向Yに開閉可能な左右一対の分割型84A,84Bからなる。第2型84を開くとき、上記のように軸部材72の被ストッパ部68と固定部材40とが軸方向Xで重ならないように配されているため、容易に脱型することができる。なお、軸部材72は、必ずしもその全体が固定部材40と軸方向Xにおいて重ならない位置までずらす必要はない。好ましくは、ダイヤフラム22の軸部材72への連結位置が固定部材40と軸方向Xにおいて重ならないようにずらした形状に成形することである。
このようにして成形されたダイヤフラム22は、防振装置への装着時に、図6(b)に示すように、軸部材72を上方に押し上げて、軸方向Xにおける位置で軸部材72と固定部材40とが重なるように軸方向Xに変位させて防振装置に組み付けられる。なお、かかるダイヤフラム22の成形は、第1実施形態のものにおいても同様に適用可能である。
(第3実施形態)
図8は第3実施形態に係る能動型液封入式防振装置の要部拡大断面図である。第3実施形態は、被ストッパ部68とストッパ部70の構成が第2実施形態とは異なる。
この例では、ストッパ部材76の中央部のストッパ部70を軸方向Xに離間して上下一対70A,70Bにて設けるとともに、軸部材72の被ストッパ部68を該一対のストッパ部70A,70B間に配している。
下側(即ち、固定子46側)のストッパ部70Bは、平板状をなすストッパ部材76の本体の内周縁部により構成され、上側(即ち、加振板18側)のストッパ部70Aは、ストッパ部材76の本体から上方に段差状に立ち上げられた形状をなしている。これにより、第1実施形態と同様に、ストッパ部材76の上面は、ストッパ部70Aの外周側が凹状に陥没した形状をなしており、ダイヤフラム22がたわみ変形するための空間を確保している。
被ストッパ部68は、軸部材72のダイヤフラム22に対する結合部から下方に離間した位置にて軸直角方向外方Y1に突出して形成されており、上記一対のストッパ部70A,70Bの間に内側から差し入れられた形状に設けられている。
その他の構成は、第2実施形態と同様であり、同様の作用効果が奏される。但し、第2実施形態の方が、ストッパ部材76を簡単なプレス加工で形成できることから、コスト面で有利である。
本発明は、エンジンマウントをはじめとする各種防振装置に利用することができ、例えば、サスペンションメンバと車体側のフレームとの間に設けられるマウントにも適用することができる。
第1実施形態に係る能動型液封入式防振装置の縦断面図である。 (a)は第1実施形態の軸部材の縦断面図、(b)は底面図である。 第1実施形態のストッパ部材の底面図である。 第1実施形態のストッパ部材と軸部材との組み立て状態での底面図である。 第2実施形態に係る能動型液封入式防振装置の縦断面図である。 第2実施形態のダイヤフラムの断面図であり、(a)は成形後、(b)は防振装置への装着時の図である。 第2実施形態のダイヤフラムを成形時における断面図である。 第3実施形態に係る能動型液封入式防振装置の要部拡大縦断面図である。 従来例に係る能動型液封入式防振装置の縦断面図である。
符号の説明
10…第1取付具、12…第2取付具、14…防振基体、16…第1液室、18…加振板、20…アクチュエータ、22…ダイヤフラム、24…第2液室、26…オリフィス通路、34…ゴム状弾性支持部、40…固定部材、44…アクチュエータ収容空間、46…固定子、48…可動軸、66…ストッパ手段、68…被ストッパ部、70…ストッパ部、72…軸部材、74…弾性被膜、76…ストッパ部材、78…中央開口部、X…軸方向、Y1…軸直角方向外方

Claims (6)

  1. 第1取付具と、
    筒状部を有する第2取付具と、
    前記第1取付具と前記第2取付具を連結するゴム状弾性体からなる防振基体と、
    前記防振基体が室壁の一部をなす第1液室と、
    前記第1液室の室壁の別の一部をなし、前記第2取付具の軸方向において前記防振基体と対向した状態にゴム状弾性支持部を介して前記第2取付具側に連結された加振板と、
    前記加振板を挟んで前記第1液室と反対側に配されて前記加振板を加振駆動するためのアクチュエータと、
    前記アクチュエータを構成するものであって、前記第2取付具側に固定された固定子と、前記固定子に対して往復動可能に支持されるとともに前記加振板に連結されて前記加振板を前記軸方向に加振駆動する可動軸と、
    前記可動軸の前記軸方向における変位を制限するストッパ手段と、
    前記加振板を挟んで前記第1液室と反対側において前記第2取付具側に連結して設けられたゴム状弾性膜からなるダイヤフラムと、
    前記加振板と前記ダイヤフラムの間に設けられて、前記加振板と前記ダイヤフラムを室壁の一部とし、オリフィス通路を介して前記第1液室と連通された第2液室と、
    前記ダイヤフラムを挟んで前記第2液室と反対側に設けられた前記アクチュエータの収容空間と、
    前記ダイヤフラムを前記収容空間から区画するストッパ部材と、
    を備え、
    前記ストッパ手段、前記可動軸における前記固定子よりも前記加振板側の軸部分において軸直角方向外方に突設された被ストッパ部と、前記第2取付具側に固定されて前記可動軸の前記軸方向における変位により前記被ストッパ部が当たることで当該変位を制限するストッパ部とで構成され
    前記可動軸は、前記ダイヤフラムを貫通した状態で前記ダイヤフラムと結合され、
    前記ストッパ部材は、外周部が前記第2取付具に固定されるとともに、前記可動軸が貫通する中央開口部に前記ストッパ部が設けられた、
    ことを特徴とする能動型液封入式防振装置。
  2. 前記可動軸が、前記ダイヤフラムに対する結合部である軸部材を備え、該軸部材に前記ダイヤフラムが一体に成形され、前記軸部材に前記被ストッパ部が軸直角方向外方に突出して設けられた、請求項記載の能動型液封入式防振装置。
  3. 前記被ストッパ部が前記ダイヤフラムから連なるゴム状弾性被膜で覆われた請求項記載の能動型液封入式防振装置。
  4. 前記ダイヤフラムが前記被ストッパ部の軸直角方向外周端に連結して設けられた請求項記載の能動型液封入式防振装置。
  5. 前記ダイヤフラムが、前記被ストッパ部よりも前記加振板側における前記軸部材の外周面に連結して設けられた請求項2又は3記載の能動型液封入式防振装置。
  6. 前記ダイヤフラムは、外周部に前記第2取付具に固定されるリング状の固定部材を有し、中央部に設けられた前記軸部材の前記被ストッパ部が前記軸方向における位置で前記固定部材と重ならないように当該軸部材を前記固定子側に移動させた形状にて前記ダイヤフラムが成形され、成形後に前記軸部材を前記軸方向における位置で前記固定部材と重なるように前記軸方向に変位させて組み付けられた、請求項記載の能動型液封入式防振装置。
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