JPH099384A - 定在波等の低減装置 - Google Patents

定在波等の低減装置

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JPH099384A
JPH099384A JP15137095A JP15137095A JPH099384A JP H099384 A JPH099384 A JP H099384A JP 15137095 A JP15137095 A JP 15137095A JP 15137095 A JP15137095 A JP 15137095A JP H099384 A JPH099384 A JP H099384A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スピーカエンクロージャーや室内に設置で
き、定在波や特定波を効率良く低減し、音質の優れた豊
かな低音の再生ができ、設置場所も大きくなく、取扱い
の容易な定在波等の低減装置を提供する。 【構成】 平行な2壁面間に生じる定在波または特定波
に対し、音源と対向する側の壁面(W)に近接して、一
端又は両端に開口部3を有する多数の中空導音路2を一
列又は複数列で且つ複数段積み重ねて集合体を設け、前
記中空導音路の開口部の高さ(h)は目的とする音波
(T)の波長の4分の1以下好ましくは10分の1以下
とし、各音路長は壁面側から順次または間欠的に短くな
るよう設けた定在波等の低減装置1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスピーカのエンクロージ
ャーの内壁あるいは室内の壁面に取り付けられるか、独
立して設置できるようにして、定在波や特定波を低減し
て音質を改善する定在波等の低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から用いられていた定在波等の低減
装置としては、例えばかまぼこ形や三角柱等の立方体を
壁面に取り付けるものがある。また定在波に対して、こ
れを低減する方法としてスピーカ内にグラスウールやフ
ェルト等の軟質多孔性の吸音材をキャビネットに入れる
もの、エンクロージャーの形状そのものを四角錐台や曲
面からなる箱体とするもの、等が公知公用である。
【0003】定在波等の低減装置は、スピーカのキャビ
ネット内や平行な2壁間に生じる定在波やフラッターエ
コーの悪影響を吸音過剰とならない範囲で低減し、音質
を改善する目的で用いられる。スピーカのキャビネット
内ではキャビネットの形体や大きさ及びスピーカユニッ
トの設置位置によって決まる定在波が生じる。またバス
レフ式(bass reflex baffle)のスピーカでは、キャビネ
ットとダクトの結合した音響器について、ダクトのチュ
ーニング周波数fbよりも高い周波数で通過して外部に放
射される通過周波数が生じる。定在波の周波数において
はスピーカユニットの振動板における駆動点インピーダ
ンスが大きくなり、空気の負荷が大きくなることによ
り、キャビネットにその周波数の音波が他の周波数に比
べて極端に大きな音圧で発生する。
【0004】平行な2壁間に生じる定在波の場合、定在
波の位相が完全に揃っているため、その節における音響
インピーダンスが理論上無限大になって強い定在波を発
生する。この定在波の周波数は基本振動とその整数倍の
周波数であるため、単調な音色を生じ、そのスピーカで
音楽を再生する度にその音色成分だけを強調してしまう
傾向がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来例の
内、かまぼこ形や三角柱等の立方体を用いる場合、これ
らの表面が壁上につくる起伏だけによって音波を拡散し
ようとするものであり、目的の音波は壁面に直角に入射
し、拡散体としての形体で壁面からの高さが重要とな
り、高さが高いほど低い周波数の音波まで改善すること
が出来る。しかし高さを高くすると室内での占有面積が
大きくなり、スピーカのキャビネットのように限られた
スペースでは設置し難く、効率的な定在波等の低減がで
きない難点がみられた。
【0006】また定在波の低減のため、スピーカのキャ
ビネット内にグラスウールやフェルト等の軟質多孔性の
吸音材を入れるものでは、これらが定在波や特定波を選
択的に吸収するものではなく、特定の周波数にピークを
成して発生する定在波を抑えるには合理的でない。また
特定の周波数の音波を吸収するには、多数の吸音材を入
れねばならず、キャビネットの拡大化を必要としまた音
質上詰まったような音になるなどの問題点がある。また
バスレフ式のスピーカではキャビネット内の音波を放射
して低音を増強するものであるので、吸音材を多量に使
用することは、その目的に矛盾することになる。
【0007】さらにスピーカのエンクロージャーを四角
錐台や曲面とする箱体は、キャビネットの音響インピー
ダンスの条件を変えて強い定在波が根本的に発生しない
ようにする試みであって、吸音材を用いる場合と比較し
て定在波を選択的に抑制する作用を有し、音質の改善に
寄与する。しかし通常の直方体のエンクロージャーと比
較して、製造にかなりの難しさがあり、また同容積の直
方体を設置する場合と比較して占有面積が広くなるなど
の難点がある。
【0008】本発明の目的は上記のような問題点や難点
を解消し、スピーカ内や室内等の平行する2壁面間に発
生する定在波や特定波を効率良く低減し、音質の優れた
豊かな低音の再生ができ、壁面側からの集合体の高さを
越える低減効果を有し、製造が容易で設置のための占有
面積が少なく、特にバスレフ式スピーカにおいて吸音に
よらない定在波対策を実現することができ、壁面に取り
付けられ易く、可搬性の独立体としても利用できる定在
波等の低減装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1発明では、平行な2壁面間に生じる定在波また
は特定波に対し、音源と対向する側の壁面(W)に近接
して、一端又は両端に開口部を有する多数の中空導音路
を一列又は複数列で且つ複数段積み重ねた集合体を設
け、前記中空導音路の開口部の高さ(h)は目的とする
音波の波長の4分の1以下、好ましくは10分の1以下
とし、各中空導音路の音路長(l)は壁面側から順次ま
たは間欠的に短く設けた定在波等の低減装置とした。
【0010】第2発明では、中空導音路が直線若しくは
屈曲し、又は直線と屈曲が混在して集合体を構成してい
る。第3発明では、中空導音路の断面積を一定とする
か、または開口部から奥に向かって小さくした。第4発
明では、集合体を構成する各中空導音路の開口部の合計
面積が低減装置の大きさによる壁面の占有面積に近似し
たものにした。
【0011】第5発明では、集合体をスピーカーのエン
クロージャー(enclosure)の内壁や室内の壁面に取り付
け可能とし、又は独立した可搬性の立方体として設置可
能に設けた。
【0012】
【作用】第1発明では音源と対向する側の壁面(W)に
一端又は両端に開口部を有する中空導音路を多数設けて
いるので、音源から壁面に対して進行してくる音波は、
前記一端の開口部から中空導音路内に導かれて閉塞部で
反射されるか(反射波)、一端の開口部から入って中空
導音路を通過し、他方の開口部から再放射される(放射
波)。対向する2壁面(W)を有する箱内の音波(T)
を考えた時、断面積が徐々に減少していくほうが、整数
倍毎に現れる定在波の存在密度が増し、比率が崩されて
一つ一つの定在波のピークが下がって音響の拡散作用が
よくなり、音質が改善される。これを音圧変化の面で捉
えると、音源に対向する壁面を変形して中空導音路の音
路長(l)だけ壁面を延ばした場合と同じ作用をし、音
圧の位相がずれて、定在波または特定波の発生を効果的
に低減させることができる。
【0013】多数の中空導音路は一列(開口幅の大きい
場合)又は複数列で且つ複数段積み重ねて集合体とした
ので、従来例の拡散体が壁面から突出した外形による低
減作用を用いているのと比較して、これを上回る音響の
拡散体となり、十分な減衰作用が発揮できるようになっ
た。また各中空導音路の開口部の高さ(h)が目的とす
る音波の波長の4分の1以下、好ましくは10分の1以
下としているので、中空導音路を通った後の反射波又は
放射波に指向性はなく安定している。4分の1を越える
大きさでは反射波が不安定で、低減作用が確実でない。
10分の1以下でも気流抵抗が小さく音波(T)が入い
り、反射または再放射できる限り効果がある。
【0014】さらに中空導音路の音路長は壁面側から順
次または間欠的に短くなるよう設けたので、音波(T)
はそれぞれ低減装置の外形の壁に衝突して開口部から各
中空導音路へ導入される。多数の中空導音路を積み重ね
た集合体は全体として山形となり安定した形で、スピー
カの内壁や室内の壁面に取り付け易い。音路長を壁面
(W)側から間欠的に短くする場合、特定波に対して有
効な低減作用を得ることが可能である。
【0015】第2発明では中空導音路が直線であるか屈
曲しているかにより透過損失に変わりなく、音源と対向
する側の壁面(W)に平行して設けられ、この壁面から
直角方向に屈曲して音路長を延長することもでき、定在
波または特定波を効率的に低減できる。又直線と屈曲が
混在している形体でもよく、設置場所のスペースにより
集合体の設計を自由に選ぶことができる。
【0016】第3発明では中空導音路の断面積を同一に
すると閉塞端からの反射波が得られ、断面積を開口部か
ら奥に向かって小さくしても、反射波がでるだけで安定
した低減作用に影響がない。第4発明では中空導音路を
一列又は複数列で複数段積み重ねた集合体が占める壁面
の面積が中空導音路の開口部の合計面積に近似している
ことにより、多数の中空導音路の開口部に匹敵するだけ
の壁面を変形したと同じく、定在波や特定波の発生を減
衰させる作用が得られる。
【0017】第5発明では集合体は小型でコンパクトに
構成できるのでスピーカの内壁面や室内の壁面に取り付
けて利用するか、独立した立方体として室内などの任意
の位置に設置可能となった。
【0018】
【実施例】以下図示した実施例につき説明する。図1は
定在波等の低減装置の基本構成を示すもので、1は定在
波等の低減装置で、壁面(W)に近接して設けられ、複
数の中空導音路2が1列で複数段に積み重ねた集合体と
なっている。3は開口部で、前記中空導音路2の一端で
開口され、目的とする音波(T)の波長の10分の1以
下の高さ(h)とした。目的の音波が1000HZ の場合、
3.4cm を用いた(λ=c/f)。中空導音路2の音路長
(l)は、壁面(W)からの高さ(H)方向で順次
1 ,l2 −−−l4 と短くした集合体になっている。
中空導音路2の開口幅(w)−図中の奥行き方向の幅−
の大きい場合は一列でよく、これを複数段に積み重ね、
開口幅(w)の小さい場合は複数列で複数段積み重ね
る。中空導音路2内に気流抵抗の小さい多孔質吸音材、
例えばグラスウールのようなものを充填してもよい。
【0019】図1において、音波(T)は各中空導音路
2の開口部3から入射し、中空導音路2内を進み閉塞部
で反射されて、開口部3から反射される。図2は定在波
等の低減装置1の作用を説明するための参考図で、各中
空導音路2の壁面(W)は図2のように各音路長(l1-
--)に従って奥行きを広げたり、全面へ突出した形体と
同じ作用をする。図2では、壁面(W)からの高さ
(H)方向の開口高さ(h)が目的の音波(T)の波長
に対して十分に小さいため、音波の入射および再放射に
関して、音波の指向性は殆どなく安定している。
【0020】互いに平行に対向する2壁間を往復する平
面波の場合、定在波は波動音響的に軸波と呼ばれ、軸波
は残響時間が特に長いため、音響上弊害が大きい定在波
となる。本発明では主としてこの軸波を採り上げて対策
を考えたものである。本実施例による低減装置では前記
のように壁面(W)を変形したと同じ作用をするので、
反射面により音圧の位相がずれ定在波の発生を低減でき
るようになった。
【0021】図3は横軸に箱の長さ(x)、縦軸に断面
積(S)をとり、本発明の低減装置による断面積の減少
を示し、Aが周囲空間、Bは低減装置の音路長による空
間で、壁面(W)に大きな傾斜(4)が生じたことを示
す。なお上記した定在波等の低減装置の形体、音路長、
中空導音路の数、配置、集合体等は後に述べるように種
々に変更することができる。
【0022】図4は定在波等の低減装置の作用を実証す
る装置を示す。この装置では定在波等の低減装置をスピ
ーカのある壁面に平行して向かい合う壁面(W)に設置
したことによる周辺空間の音響インピーダンスを計算し
た。密閉エンクロージャー5の長さ(x)は60cm、壁面
(W)が29cm, 奥行きが25cm とし、スピーカ及びマイ
クは29 x 25cm のほぼ中心軸上に設置して、上下の壁面
および奥行きの壁による音波の影響を小さくしている。
定在波等の低減装置の音路長(l)を10〜25cm、開
口部の高さ(h)4.4cm 、図中奥行き方向の開口幅
(w)を4.8cm とし4列5段に設けた。
【0023】定在波の節となる平らな側の壁面にスピー
カを設置して駆動し、そこに生じる音圧を測定して、そ
の駆動点の音響インピーダンスを間接的に測定した。1
は定在波等の低減装置で、音路長(l)を有する直方体
の密閉エンクロージャー5内に設置されている。この密
閉エンクロージャー5は補強及び板振動を抑える加工が
施されている。6はスピーカで、パソコンのFM音源よ
り任意の周波数の正弦波を発振できるようにし、密閉エ
ンクロージャー7内にはグラスウール8を充填して吸音
している。9はマイクで、スピーカ6からの音圧を拾い
増幅器10で増幅してテスター11で測定するようにし
た。
【0024】コンピュータによる近似計算を図5の
(イ)と(ロ)の密閉空間について、壁面(C)を強制
駆動した際の壁面上の複素音響インピーダンスの絶対値
|Z|につき計算した。密閉箱の長さ(x)は60cm,
(x’)は50cmで同容積である。図6にその結果を示
す。横軸に周波数f ( HZ ) を入れ、縦軸に音響インピ
ーダンスの絶対値|Z|を入れている。(A)で音響イ
ンピーダンスのピークが生じる周波数は(1)式で示さ
れ、ここで定在波が生じている。
【0025】 fn = nC0 /2l ( HZ ) −−−− (1) 但し、nは自然数、C0 = 34000 (cm/s), l = 60cm 図5の(イ)と(ロ)との変化は下記の通りである。 A (840) −−− B (630) A1 (560) −−− B1 (430) A2 (280) −−− B2 (270) (B)では(A)との比較において、それぞれのピーク
が周波数の低い方へ移動し、その移動の割合は周波数の
高い方のピークほど大きくなっている。これはそれぞれ
の定在波が比較的弱くなり、それらの周波数間の比が簡
単な整数倍から乱されて、比較的ランダムに近くなり、
また定在波の存在密度が高められたものと考えられ、そ
の結果音色の癖が弱まったり、全体として音響の拡散を
良くする方向の変化を生じさせたとみられる。
【0026】上記のように、壁面(W)の形状の違いは
内部の音響的条件に重要な違いをもたらすことが判明
し、本発明では特別の秩序ある低減装置を設けることに
より図5(イ)の箱型の実験装置に対して、あたかも壁
面(W)を変化させて音響的条件を変換して図(ロ)の
ような作用を得ようとしたものである。図7は実験装置
の図4におけるデータと、図5及び図6によるコンピュ
ータによる計算結果とを示す。実験装置で定在波等の低
減装置(1)を用いない場合は、定在波A3 は570H
Z に現れているが、定在波等の低減装置(1)を用いた
場合の定在波B3 では440HZ になっている。この定
在波の移動は計算結果と実験結果と符合しており、定在
波A3 が低い周波数の定在波B3 へ移動することは、音
路長(l)の拡大を意味し、壁面(W)形状の変形に相
当する条件が生じたものと考えられる。
【0027】図4において、定在波等の低減装置が壁面
(W)からの高さ方向の外形が長辺で25cmでほぼ三角
形に近いもので、導音路の開口高さ(h)は最大4.8cm
と太く、気流抵抗等の影響も小さくて、近似計算と良く
符合している。また上記実験で明らかであるが、定在波
等の低減装置(1)が壁面(W)からの高さ方向の外形
を長辺で25cmにしたことにより、図5の(ロ)の傾斜
部分の音路長(x’)の50cmに匹敵する低減効果が現
れているので、本発明が定在波等の低減装置の外形を上
回る効果を有するといえる。
【0028】定在波等の低減装置(1)を構成している
各中空導音路(2)の開口部は、低減をしたい目的とす
る音波の波長の4分の1以下、特に10分の1程度のも
のが適当である。4分の1を越える大きさでは反射波が
不安定で、低減作用が確実でない。10分の1以下の場
合、気流抵抗が小さく音波(T)が入り反射または放射
可能である限り効果がある。
【0029】中空導音路(2)につき、図1のように一
端を開口し他端を閉塞した場合と、両端を開口した場合
とを比較すると、一端を開口した場合は閉塞端で音波が
反射され、音路長(l)に相当する壁面の変化があった
と同じ作用が考えられるが、両端を開口した場合は、開
口部からそれぞれ導入され透過するので、一端を開口し
たものを2つ用いたと同じ作用をする。
【0030】中空導音路(2)の屈曲については、ダク
トの内部を伝わる音波に関して、折れ曲がり部分におけ
る透過損失は、ダクトの径が波長に対して十分に小さい
場合殆ど0であるので影響はないと考えられる。中空導
音路(2)の断面積については、開口端から内方が小さ
くなる場合、そこで反射波が生じる点以外にあまり影響
がない(図20を参照)。開口端から内方が大きく拡が
る場合、ヘルムホルツ共鳴に近い現象が生じ、それによ
る吸音性が生じる可能性があるので、本発明では除く。
【0031】図8は合成樹脂または金属製のパイプから
なる多数の中空導音路12を5列で4段にした集合体と
して壁面に設けた例で、定在波等の低減装置13を構成
している。図9は同様に合成樹脂または金属製の板で複
数の中空導音路14を1列で4段に設けた集合体として
定在波等の低減装置15を構成している。図10では中
空導音路16が多数列で多数段積み重ねられ、定在波等
の低減装置17を構成している。図11は中空導音路1
8を複数列で複数段積み重ねた低減装置19を示してい
るが、段は間欠的に設け音路長(l)を短くしている。
【0032】図12は小部屋の天井付近に取り付け、ブ
ーミング等を緩和する低減装置20である。図13はス
ピーカシステムの後の壁面に取り付けた場合を示すもの
で、独立した低減装置21となっている。なお、フラッ
ターエコーを緩和する低減装置に応用することもでき
る。スピーカシステムの音響的条件の改善により音質を
向上させるには、図14〜17のような形体が用いられ
る。図14で22は横方向に進む音波に対して作用する
低減装置、23は縦方向に進む音波に対して作用する低
減装置で、両方を設けた。なお図示していないが、奥行
き方向の音波に対しても設けることができる。図15で
はスピーカキャビネット内で、屈曲した導音路を用いて
音路長を長くした低減装置24を示す。図16はスーパ
ーウーハーのキャビネットに取り付けた場合を示し、2
5は定在波の低減と音響的条件の改善をする低減装置で
ある。
【0033】図17はバスレフ式スピーカのキャビネッ
トに用いた低減装置26を示す。図18は外形をほぼ円
錐台とした低減装置27で、音路長28は中心軸を中心
に各円盤が回転可能であり、音波(T)方向に適合し易
くした。図19はXY軸2方向に作用する低減装置29
を示し、図20は音路長30の断面積を開口端から小さ
くした例を示す。
【0034】なお直方体のエンクロージャー内壁に本発
明の定在波等の低減装置を取り付けることにより、変形
エンクロージャーで実現し難いような大きな壁面の傾斜
に相当する音響的条件を生じさせることができる。また
定在波等の低減装置がエンクロージャーの補強効果と板
厚を節約する効果もある。さらに定在波等の低減装置の
中空導音路の開口部付近にグラスウール等の吸音材を取
り付けることにより、背後空気層を有する吸音材の構造
を容易に得られ、低い周波数に対するグラスウール等の
吸音率を高くすることができる。
【0035】
【発明の効果】第1発明では目的とする音波の波長の4
分の1以下の高さ(h)、特に10分の1以下の高さの
開口部を有する中空導音路を設けたので安定した反射波
又は放射波が得られ、多数の中空導音路を一列又は複数
列で且つ複数段積み重ねた集合体としているので、これ
らにより音圧の位相がずれてキャビネットや室内の壁面
を変形したと同じ効果が得られる。従ってスピーカ内や
室内又は平行する2壁面間に発生する定在波や特定波を
音色の癖の少ない方向へ変換して効率良く低減し、音質
の優れた豊かな低音の再生ができる。しかも定在波等を
低減はするが、吸音による音の損失がない。
【0036】従来の拡散体が外形の大きさだけの効果し
か得られなかったのに対して、本発明では中空導音路の
内容積がキャビネット内又は室内で開口しているので、
無駄なく利用でき容積が大きく外形の大きさを越えた低
減作用を発揮することができ、低音再生に極めて有利で
ある。集合体としての定在波等の低減装置は一つの塊状
の外形をとり製造が容易で設置のための占有面積が少な
く、特にバスレフ式スピーカに吸音によらない定在波対
策を実現することができ、明瞭度に優れ、能率が高く、
張りのある音質を実現し、音の歯切れも良く抑揚に富
み、低音も豊かで分解能も高く、壁面に取り付けられる
他、可搬性の独立体としても利用できる定在波等の低減
装置を提供することができた。
【0037】第2発明では中空導音路が直線若しくは屈
曲し、又は直線と屈曲が混在して集合体を構成して音路
長を長くして低減効果を高めた。第3発明では中空導音
路の断面を一定とした通常の低減装置と、開口部から奥
に向かって小さくした場合も安定した低減効果が得られ
た。第4発明では開口部の合計面積が集合体による壁面
又は背面が占める面積に近似しているので、音響の拡散
体としての効果が高められた。
【0038】第5発明では集合体としてスピーカーのエ
ンクロージャー(enclosure)の内壁や室内の壁面に取り
付け可能とし、又は可搬性の立方体としたので、どの位
置にも設置が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の定在波等の低減装置の基本的構成を
示す断面図
【図2】 本発明低減装置による作用の説明図
【図3】 本発明低減装置による断面積の変化を示す説
明図
【図4】 音響的条件の変化の実験装置の断面図
【図5】 実験装置の説明図で、(イ)は通常の場合、
(ロ)は低減装置を設けた場合の効果を示す
【図6】 低減装置を付けた場合の音響インピーダンス
の比較説明図
【図7】 図5の実験装置での音圧の変化を示す説明図
【図8】 パイプを用いた低減装置の斜視図
【図9】 板状で一列で複数段の低減装置の斜視図
【図10】 複数列複数段で両端に開口部を有する低減
装置の斜視図
【図11】 間欠的に中空導音路を設けた低減装置の斜
視図
【図12】 天井に取り付けた低減装置の斜視図
【図13】 独立の可搬性の低減装置の斜視図
【図14】 中空導音路を複数設けた場合の低減装置の
断面図
【図15】 屈曲した中空導音路を有する低減装置の断
面図
【図16】 スーパーウーハーのキャビネットに応用し
た場合を示す断面図
【図17】 バスレフ式スピーカに設けた場合の断面図
【図18】 円錐台とした低減装置の平面図
【図19】 2方向の音波に用いられる低減装置の斜視
【図20】 中空導音路を開口部から奥へ向かって小さ
くした例の斜視図
【符号の説明】
1、13、15、17、19、20、21、22、23
24、25、26、27、29、31 本発明の低減装
置 2、12、14、16、18、28、30 中空導音路 3 開口部 6 スピーカ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平行な2壁面間に生じる定在波または特
    定波に対し、音源と対向する側の壁面(W)に近接し
    て、一端又は両端に開口部を有する多数の中空導音路を
    一列又は複数列で且つ複数段積み重ねた集合体を設け、
    前記中空導音路の開口部の高さ(h)は目的とする音波
    の波長の4分の1以下、好ましくは10分の1以下と
    し、各中空導音路の音路長(l)は壁面側から順次また
    は間欠的に短く設けたことを特徴とする定在波等の低減
    装置。
  2. 【請求項2】 中空導音路が直線若しくは屈曲し、又は
    直線と屈曲が混在して集合体を構成している請求項1記
    載の定在波等の低減装置。
  3. 【請求項3】 中空導音路の断面積を一定とするか、ま
    たは開口部から奥に向かって小さくした請求項1記載の
    定在波等の低減装置。
  4. 【請求項4】 集合体を構成する各中空導音路の開口部
    の合計面積が低減装置の大きさによる壁面の占有面積に
    近似していることを特徴とする請求項1記載の定在波等
    の低減装置。
  5. 【請求項5】 集合体をスピーカーのエンクロージャー
    (enclosure)の内壁や室内の壁面に取り付け可能とし、
    又は独立した可搬性の立方体として設置可能に設けた請
    求項1、2、3又は4記載の定在波等の低減装置。
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