JP2011058188A - 音響室 - Google Patents

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廉人 棚瀬
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Abstract

【課題】室空間における比較的低い周波数の音圧を低減させ、特に、利用者が音を聞き取る場所で奏する効果を高める。
【解決手段】音響室の室空間の高さ寸法Hは、例えば2.0〜2.7mなどとをされることが多く、この場合、室空間の利用者の耳の高さ付近であるH/2の高さに、その高さ方向に音圧が分布する二次の固有振動姿態の音圧の腹が位置する。固有振動が減衰しにくく、且つ低周波数の音波が伝播する室空間のような音場では、比較的低い周波数の騒音は固有振動姿態の態様に強く依存する。これに対し、固有振動姿態の音圧の腹の場所を制御対象として音圧を低減させることで、固有振動姿態による作用を抑制することができると発明者らは考えた。よって、固有振動姿態の音圧の腹の場所付近に音響管10の開口部11が位置するようにすれば、室空間における音圧を低減させて、利用者が音を聞き取る場所で奏する効果を高めることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、音響室に関する。
音響室の音圧を低減させる技術として、例えば特許文献1、2に開示された技術がある。特許文献1には、遮音する上でウィークポイントとなる周波数と、音響室の固有周波数とが一致する場合に、音源の位置を固有周波数の音波の反射経路から外して、その位置に散乱体や吸音体を配置することが開示されている。特許文献2には、直方体状の室空間の隅角部に共鳴体を配置して、衝撃音を吸収することが開示されている。
特開2003−22078号公報 特開2003−82839号公報
ところで、引用文献1,2に開示された技術は、室空間の利用者が実際に音を聞き取る場所の音圧を重点的に低減させるというものではない。また、固有振動が減衰しにくい室空間のような音場では、音場の高音圧部に吸音体を設けたとしても、室空間全体で低周波数の音圧を十分に低減させることができない。よって、室空間に響いたり、室空間から音響室外に透過したりする低周波数の音を十分に抑制することができない。
本発明の目的は、室空間における比較的低い周波数の音圧を低減させ、特に、室空間の利用者が音を聞き取る場所で奏する効果を高めることである。
上述した目的を達成するために、本発明の請求項1に係る音響室は、室空間を構成する壁部と、開口部と、前記開口部に繋がる中空領域とを有している共鳴体であって、前記室空間に前記開口部が位置するように設けられた共鳴体とを備え、前記室空間の高さ方向の長さによって定まる固有振動姿態のうち特定周波数の固有振動姿態の音圧の腹となる場所において、前記特定周波数の音圧を、前記共鳴体が共鳴することにより低減させることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る音響室は、室空間を構成する壁部と、開口部と、前記開口部に繋がる中空領域とを有している共鳴体であって、前記室空間に前記開口部が位置するように設けられた共鳴体とを備え、前記室空間の高さ方向の長さによって定まる固有振動姿態のうち特定周波数の固有振動姿態の音圧の腹となる場所において、前記特定周波数の媒質粒子の運動速度を、前記共鳴体が共鳴することにより増大させることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る音響室は、請求項1に係る構成において、前記共鳴体は、二次の前記固有振動姿態の音圧の腹であって、前記室空間の高さ方向の中心に最も近い位置にある前記腹の場所で、前記特定周波数の音圧を低減させることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る音響室は、請求項2に係る構成において、前記共鳴体は、二次の前記固有振動姿態の音圧の腹であって、前記室空間の高さ方向の中心に最も近い位置にある前記腹の場所で、前記特定周波数の媒質粒子の運動速度を増大させることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る音響室は、請求項3又は4に係る構成において、前記共鳴体は、前記壁部に設けられ、二次の前記固有振動姿態の音圧の腹であって、前記室空間の中心に最も近い位置にある前記腹の場所に前記開口部が位置することを特徴とする。
本発明の請求項6に係る音響室は、請求項1ないし5のいずれかに係る構成において、前記共鳴体は、前記室空間の高さ方向の長さの波長となる共鳴周波数で共鳴することを特徴とする。
本発明によれば、室空間における比較的低い周波数の音圧を低減させ、特に、室空間の利用者が音を聞き取る場所で奏する効果を高めることができる。
本発明の実施形態の音響室の構成を模式的に表した図である。 室空間の高さ方向に音圧が分布する固有振動姿態を模式的に表した図である。 測定試験の内容を説明する図である。 測定試験の結果を表すグラフである。 音響室における共鳴体の設置の態様の一例を表す図である。 音響室における共鳴体の設置の態様の一例を表す図である。 板・膜共鳴体の外観を模式的に表した図である。 図7中の矢視VIII−VIIIで板・膜共鳴体を切断した場合の断面を表す図である。 音響室における板・膜共鳴体の設置の態様の一例を表す図である。 ヘルムホルツ共鳴体の構成を説明する図である。 音響室におけるヘルムホルツ共鳴体の設置の態様の一例を表す図である。 本発明の変形例3に係る管部の構成の一例を示す図である。
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、音響室1の構成を模式的に表した図である。
音響室1は、例えばスタジオに設けられる防音室などの、建造物に設けられる部屋である。音響室1は、壁部2と、壁部2により構成される室空間3と、後述する共鳴体(図示せず)とを有している。壁部2は、床面2aと、天井面2bと、4枚の側壁面2cという6枚の平坦な壁面を構成するものである。側壁面2cは、室空間3の高さ方向(例えば、鉛直方向)に広がりを持つ壁面である。室空間3は、壁部2によって外部空間と隔てられた空間であり、壁部2の6枚の壁面が室境界となるように構成された直方体の音場である。室空間3の幅寸法はWであり、奥行き寸法はDであり、高さ寸法はHである。幅寸法、及び奥行き寸法は、矩形の床面2a及び天井面2bの各辺の長さに相当する。高さ寸法は、室空間3の高さ方向の長さであり、床面2aと天井面2bとの間の長さに相当する。この実施形態では、W=1.8m、D=1.8m、H=2.2mとする。
ところで、音響室には、直方体(或いは、立方体)の室空間を有しているものが多いが、建造物の規模や使用目的などに応じて様々な寸法のものが存在する。この場合に、幅寸法、及び奥行き寸法については音響室ごとのばらつきが比較的大きいが、高さ寸法については、音響室ごとのばらつきが比較的小さい。より詳細には、例えば2.2mや2.4mといった2.0mから2.7mの範囲の寸法が採られることが多い。部屋の規模が様々あっても、例えば大きな天井高が要求されるケースが少ないことが、その理由のひとつとして挙げられる。
以上の構成を有している音響室1では、室空間3の寸法や形状などによって定まる固有振動姿態(ノーマルモード)が生成される。直方体である室空間3の固有振動姿態の一例として、1の軸に平行に音圧が分布するものがある。このような音圧分布を形成する固有振動は一次元モードの固有振動とも呼ばれ、その方向に発生する定在波は軸波と呼ばれることがある。このうち床面2a及び天井面2bに直交する方向であり、室空間3の高さ方向に平行に音圧が分布する固有振動姿態にあっては、床面2aと天井面2bとの間の距離、つまり室空間3の天井高によってその態様が定まる。一般に音響室の側壁面にあっては、その近傍に家具や建具などが配置されて、平面的には不整形となることが多いが、床面と天井面とは平行に構成されることが多い。このような理由から、音響室は、高さ方向に音圧が分布する比較的低い周波数の固有振動姿態が生成されやすい条件となりやすい。
図2は、室空間3の高さ方向に音圧が分布する固有振動姿態の一例を模式的に表した図である。図2は、二次の固有振動姿態を表したものであり、室空間3の寸法から158Hzという比較的低い固有周波数のものである。二次の固有振動姿態は、固有周波数のうち2番目に低い固有周波数の固有振動姿態である。図2において、斜線のハッチングで示した領域は、音圧が極大となる場所、又は極大に近くなる場所を表しており、固有振動姿態の音圧の「腹」となる場所を示すものである。一方、縦線のハッチングで示した領域は、音圧が極小、或いは極小に近くなる場所を表しており、固有振動姿態の音圧の「節」となる場所を示すものである。これら以外の領域であり、紙面の色で表される領域は、音圧が中程度となる場所を示す。なお、図2に示す固有振動姿態については、有限要素法(FEM;Finite Element Method)を用いた音場シミュレーションの計算により得た。なお、音響室の壁面は、コンクリートや石膏ボード、木材等の反射性の材料で構成されるのが一般的であるから、現存の室空間においても図示のような固有振動姿態となり得る。
この例のように、二次の固有振動姿態にあっては、壁面の位置である床面2a及び天井面2bの位置に「腹」が現れるとともに、これらの壁面間の中心付近であって室空間3の高さ方向の中心付近にも「腹」が現れる。室空間3の高さ方向の中心付近に位置する腹は、より詳細には、室空間3の高さ方向の中心に最も近い位置にある腹のことである。この「腹」は、床面2aからH/2=2.2/2=1.1mの高さ付近に位置する。床面2aからの高さがおよそ1.0m〜1.2mである、およそH/2という高さは、室空間3で楽器を演奏する演奏者が着席したときの頭部(耳)付近の高さや、その演奏者が演奏する楽器の高さにほぼ一致する。よって、このような二次の固有振動姿態の音圧の腹の存在により、演奏者が比較的低い周波数の音を騒音と感じやすく、楽器の演奏に悪影響を及ぼすこともある。なお、室空間におけるどの場所でも床面2aからH/2という高さに腹が位置することになるので、利用者が室空間のどの場所に居ても耳付近にこの腹が位置することになる。よって、この高さの騒音は、他の方向よりも、室空間の高さ方向に音圧が分布する固有振動姿態に強く依存すると考えられる。
より詳細に説明すると、室空間の利用者が騒音と感じ得る、例えば170Hzのように比較的低い周波数の音は固有振動姿態に強く依存すると発明者らは考えた。一般に拡散音場では、対象とする周波数帯域内で数多くの固有振動姿態が密集して生成されるため、空間内において音圧が一様に分布となり、音場の各位置において、周波数軸上で一様な音圧の分布を示す。これに対し、室空間の音場であって比較的小さい空間の音場では、比較的減衰しにくい固有振動姿態が生成されるので、複数の固有振動姿態がそれぞれ周波数軸上で孤立して存在する音場ということができる。また、低周波数の固有振動姿態にあっては、音場内における音圧の腹の分布が疎であるから、音場の特定の場所にその音圧の腹が出現して、その場所の音圧が他の場所に比べて特に高くなる。更に、上述の孤立した固有振動姿態は、主に一次元モード(軸波)の固有振動姿態となり、その音響エネルギーは大きく、かつ減衰しにくい。このようになるのは、他のモードに比べて単位時間当たりに壁面に音波が入射する回数が少なく、壁面に吸音される音響エネルギーが小さいからである。したがって、室空間の高さ方向に音圧が分布する固有振動姿態を原因として、この周波数の音は利用者に聴取されやすくなるとともに、建築構造を加振しやすくなる。
このような音場にあっては、特定周波数の固有周波数の音圧を低減させたい場合に、その特定周波数の固有振動姿態の音圧の腹となる場所の音圧を低減させるようにすれば、室空間全体の音圧を効果的に低減させることができる、という知見を発明者らは得た。すなわち、固有振動姿態の音圧の腹の場所を音圧を低減させる制御対象とすることで、固有振動姿態を弱体化させることができ、その結果、上記特定周波数について室空間全体の音圧を低減させることができるということである。なお、音圧を低減させるための構成としては、共鳴体(例えば、音響管)を用いることができる。
以上の作用により室空間における低周波数の音圧が低減されることを確認するために、発明者らは以下に説明する測定試験を行った。
図3は、測定試験の内容を説明する図である。図3について、図2と共通する内容についてその意味するところは同じである。上述の音響室1と同じ寸法の室空間でこの測定試験を実施した。また、室空間において音圧を測定する評価位置として、図3に丸印で表した「1」〜「15」の各評価位置を定める。この測定では、これら各評価位置に収音用のマイクを設置した。評価位置「1」〜「9」は、室空間3の高さ方向に延びる稜線に沿う位置とした。これら各評価位置を、床面2aと天井面2bとの間でほぼ等間隔に定めた。評価位置「9」〜「15」は、室空間3の床面に沿って幅方向に延びる稜線に沿う位置とした。これら各評価位置を、床面と天井面との間でほぼ等間隔に定めた。評価位置「9」は室空間3の隅角部に位置しており、そこから最も遠い位置の隅角部に音源を配置した。
図4は、測定試験の結果を表すグラフであり、音源から発せられた音を各評価位置に設けられたマイクによって収音し、その収音結果から求めた音圧を表したものである。図4のグラフにおいて、横軸は、評価位置「1」〜「15」をそれぞれ表しており、縦軸は、160Hz帯域(160Hzを中心とした1/3オクターブバンド測定値)の音圧[dB]を表している。同グラフにおいて、実線は、固有振動姿態の音圧の「腹」となる場所を制御対象として、その場所の音圧を、共鳴体の共鳴により低減させた場合の結果を表す。ここでは、評価位置「5」を含み、床面2a及び天井面2bに平行な平面上において、室空間3の4つの角部(稜線)にそれぞれ4つの音響管を配置した場合の測定結果を表している。ここでは、一端が開口し、他端が閉口した音響管を用いており、音響管の空洞に繋がる開口部が上記4つの角部に位置するように配置した。また、音響管の共鳴周波数については、160Hz帯域を含む周波数帯で共鳴するように設定した。図4のグラフにおいて、破線は、固有振動姿態の音圧の「節」となる場所を制御対象として、その場所の音圧を、共鳴体の共鳴により低減させた場合の結果を表す。ここでは、評価位置「7」を含む、床面2a及び天井面2bに平行な平面上で、上記構成の音響管を上記同じ態様で配置した。また、同グラフにおいて、一点鎖線は、音響管を配置しない場合の測定結果を表している。
図4に示すように、固有振動姿態の音圧の「腹」を制御対象とした場合、音響管の開口部に最も近い評価位置である「5」での音圧が著しく低くなっている(およそ62dB)。また、評価位置「5」に近接する、評価位置「3」、「4」、「6」、「7」においても音圧が90dB程度であり、一点鎖線で示した音響管を設置しない場合に比べて、比較的大きく低減されている。また音響管から離れた位置にある評価位置「8」〜「15」においても、音響管を設置しない場合の測定結果と比較すると、音圧が20dB程度も差異がある。これらの結果から、固有振動姿態の音圧の「腹」の場所を制御対象として音圧を低減させることにより、音響管の開口部付近の音圧を大きく低減させるとともに、開口部の位置から離れた場所でも音圧が或る程度低減されていることが分かる。よって、上記音響管の配置により、室空間3全体の音圧が低減されて、その静粛性が高められていることが確認できた。
一方、図4に示すように、固有振動姿態の音圧の「節」を制御対象とした場合、開口部が位置する評価位置「7」の音圧は比較的大きく低減されている(およそ76dB)。しかしながら、その他の評価位置については、音響管を設置しない場合の測定結果と比較しても、さほど効果が得られていない。この結果から、固有振動姿態の音圧の「節」の場所を制御対象としても、室空間全体の音圧を低減させる点においては不十分である。
したがって、音響室1において室空間3の低周波数の音圧を低減させるためには、床面2aからおよそH/2の高さの位置付近に音響管の開口部が位置するような配置を行うことが好適である。
図5は、音響室1における共鳴体の設置の態様の一例を表す図であり、側壁面2cをほぼ正面から見た様子を表す。ここでは、共鳴体として音響管10を用いる。音響管10は、周知の構成のものでよく、開口部11と、開口部11に繋がり、伸張方向を有している空間である中空領域12とを有している。音響管10は、中空領域12に入射する音波に応じて共鳴し、それによって生じる位相干渉により共鳴周波数を中心とした周波数帯域で音圧を減衰させる。このときの媒質粒子(気体粒子)の振る舞いについて説明すると、気体粒子は、中空領域12での定在波に発生によって振動を繰り返し、音響管10の内周面での摩擦や開口部11での気体粒子間の粘性作用により音響エネルギーを消費し、この結果音圧が低減される。
図5に示す態様では、室空間3に開口部11が位置し、開口部11の位置が床面からおよそH/2の位置となるように、側壁面2cに複数設けられている。なお、開口部11の位置については、固有振動姿態の制御対象とする音圧の腹の場所に一致させる場合のほか、その場所近傍としてもよい。要するに、音響管10が共鳴したときに、その共鳴により制御対象とする音圧の腹の場所の音圧を低減させ得る場所に、開口部11が位置していればよい。また、音響管10については、上記特定周波数の音圧を低減させるような共鳴周波数を設定するとよい。例えば、160Hz帯域で音圧を低減させるためには、例えば160Hzの周波数の音波の波長の1/4の長さとなるよう中空領域12の伸張方向の長さを設定するとよい。この場合、例えば、中空領域12の伸張方向の長さを40cm〜80cmとする。二次の固有振動姿態に基づいた音響管10の配置を行う場合、共鳴周波数の音波の波長が室空間3の高さ寸法Hにほぼ一致するようにすればよい。
また、図6に示すような態様で音響管10を設置してもよい。
図6(a)に示す例では、側壁面2cにおいて、室空間3の幅方向又は奥行き方向に対する中心付近に音響管10を設けている。図6(b)に示す例では、室空間3の隅角部付近で開口部11が開口するように音響管10を設けている。要するに、開口部11が床面2aからおよそH/2の位置となるように設けられていれば、音響管10を壁部2に対してどのような態様で設けてもよい。また、開口部11の位置が制御対象とする音圧の腹の場所にあればよいから、音響管10の伸張方向はどの方向を向いていてもよい。
ところで、音響室1のような直方体の室空間3においては、不整形室に比べて固有振動が減衰しにくいので、固有振動姿態に起因する低周波数の騒音は問題になりやすい。一方で、スタジオのほか、住宅やオフィスビルなどでは室空間は直方体(或いは立方体)であったり、それに近い形状であったりすることが多い。また、上述のように、種々の音響室において室空間の高さ方向の寸法は似通ったものとなることが多いから、現存の多くの室空間において、室空間3の高さ方向に音圧が分布する固有振動姿態も或る程度似通った態様となる。つまり、多くの室空間において、室空間の高さ方向に対する中心付近に、比較的低い周波数の固有振動姿態の音圧の腹が位置することになる。よって、床面2aからH/2に開口部11が位置するように音響管10を設けることは、多くの室空間において、利用者の頭部付近や、利用者が演奏する楽器が位置する場所での音圧の低減の効果を特に高めることに寄与させることができる。
また、室空間3において床面2aからH/2の高さ付近に位置する二次の固有振動姿態の音圧の腹の場所は、天井面2b及び床面2aに直交する方向に伝搬する定在波のみによって決定付けられるものとは限らない。直方体の室空間においては、軸波や、室空間におけるすべての壁面に斜めに入射する定在波(いわゆる、斜め波)、一対の側壁面に平行な方向に入射する定在波(接線波)も存在するが、これらの音波も、高さ方向に音圧が分布する固有振動姿態の音圧の腹の出現場所に影響していることが考えられる。つまり、このような複数の定在波の合成によって、楽器に近い位置や、椅子に座って演奏する演奏者の耳の高さ付近に固有振動姿態の音圧の腹が位置していることもあり得る。ただし、室空間の高さ方向の中心付近に現れる音圧の「腹」の場所は、高さ方向に音圧が分布する固有振動姿態にほぼ決定付けられるので、この場合も、室空間の高さ方向の寸法によって腹の場所が定まっていると言える。
以上説明したように、音響室1の構成は、音響室の高さ寸法は2.0〜2.7mなどの類似した寸法が採られることが多いという事実から、室空間のどの場所に利用者が居ても、椅子に座る利用者の頭部付近や、利用者が演奏する楽器の位置に低周波数の固有振動姿態の音圧の腹が位置する、という発見のもとなされた。すなわち、利用者の耳付近に位置する音圧の腹は、音響室の高さ寸法に強く依存する。これに対し、発明者らは、低周波数の音が伝播する音場であって固有振動姿態に強く支配される音場においては、その音圧の腹の場所を制御対象として音圧を低減させることが、室空間全体の音圧を効果的に減衰させる点において効果的であると考えた。この考えのもと、共鳴体の共鳴によりその音圧の腹の場所の音圧が低減させるように共鳴体を配置すればよい、という知見を発明者らは得た。
以上の理由により、音響室1の構成によれば、固有振動姿態の音圧の腹となる場所以外の場所を制御対象として低周波数の音圧を低減させる場合に比べて、室空間全体においても静粛性を高めるとともに、実際に音を聞き取る利用者の聴覚に対する効果を顕著にすることができる。また、かかる効果を奏するために効果的な位置のみに共鳴体を配置することができるから、それ以外の場所に余分な共鳴体を配置することを回避することができる。
また、音響室においては壁部が二重構造とされることも多い。このような壁部には、例えばブラスターボードの2重張りで作られた壁部がある。この場合、2つの壁部どうしの間に空間が構成されて、2つの壁部が質量となり、この空間がバネとなって、いわゆるバネマス系の振動が生じて不要共鳴が発生し得る。このような現象は、低音域共鳴透過現象とも呼ばれ、低周波数域で特に顕著に発現する。これに対し、音響室1の構成であれば、低周波数域の音圧が室空間3全体で低減されるので、この不要共鳴を原因とした、音響室1外への透過音の伝播も抑制することができる。
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態で実施することが可能である。また、以下に示す変形例は、各々を適宜に組み合わせてもよい。
(変形例1)
以上説明した実施形態においては、共鳴体として音響管を用いたが、これ以外の共鳴体を用いることもできる。以下、適用可能な共鳴体の一例について説明する。
(1−1)板・膜共鳴体20
図7は、板・膜共鳴体20の外観を模式的に表した図であり、図8は、図7中の矢視VIII−VIIIで板・膜共鳴体20を切断した場合の断面を表す図である。
板・膜共鳴体20の構成は、筐体21と振動部25とに大別される。筐体21は、上面側の全体が開口する直方体の箱状の部材である。筐体21は、開口部22と、開口部22に繋がる中空領域として、直方体の気体層23とを有している。筐体21は、例えば木材で形成されるが、振動部25よりも相対的に硬い素材であれば、例えば合成樹脂や金属など他の素材を用いてもよい。振動部25は、弾性を有し、板状又は膜状に形成された矩形の部材である。振動部25には、例えば合成樹脂、金属、繊維板などの、弾性を有し弾性振動を生じる素材を板状に形成したもの、又は弾性を有する素材や高分子化合物を膜状に形成したものが用いられる。振動部25は、その一方の面の端部付近の領域が筐体21によって支持されており、筐体21の開口部22を塞ぐようにして設けられている。開口部22が振動部25で塞がれることにより、板・膜共鳴体20の内部に閉じた気体層23が形成される。なお、気体層23は、気体分子からなる層であり、ここでは空気分子からなる空気層である。
板・膜共鳴体20にあっては、振動部25側が空間に向けられて、その空間に音が発生すると、筐体21の振動部25(開口部22)に向かって入射する音波に応じて共鳴が生じる。この共鳴により、その空間の音圧と、板・膜共鳴体20の気体層23内の圧力とに差が生じる。この圧力差により振動部25が振動して、空間内に入り込んだ音波のエネルギーが振動により消費されて音圧が低減したり、共鳴による逆相の反射波が空間内に放射されて位相干渉を起こしたり、固有振動姿態に干渉したりする。このような、板状又は膜状の振動体及び気体層からなる板・膜共鳴体20によって、音圧を低減させる効果を奏する周波数は、振動部25の質量成分(マス成分)と、気体層23のバネ成分とによるバネマス系の共鳴周波数によって定まる。このようなバネマス系の振動を「ピストン振動」と呼ぶ。また、振動部25は弾性を有しており、その面積が相対的に小さいから、筐体21での支持部拘束が振動部25に働く系では弾性振動による屈曲系の性質が加わる。すなわち、板・膜共鳴体20は、「屈曲振動」をする振動部25と、振動部25の背後の気体層23とを有していることにもなる。
以上のように、板・膜共鳴体20は、ピストン振動によって生じる共鳴と、屈曲振動によって生じる共鳴とを生じさせる。しかしながら、それぞれは独立して発生するものではなく、各共鳴の周波数が近接している場合には、バネマス系の共鳴と屈曲系の共鳴が連成して挙動し、板・膜共鳴体20の共鳴周波数が決定される。一方、バネマス系の共鳴周波数と屈曲系の共鳴周波数とが相対的に離れていると、各共鳴系は互いに影響を及ぼすが独立的に挙動する。これにより、屈曲系の基本振動が背後の気体層のバネ成分と連成して、バネマス系の共鳴周波数と屈曲系の基本周波数との間の帯域に振幅の大きな振動が励振され、音圧の減衰量が大きくなる。以上の作用により、板・膜共鳴体20によれば、比較的低い周波数の共鳴周波数を設定して、その周波数を中心とした帯域の音圧を低減させる点において好適である。
図9は、音響室1における板・膜共鳴体20の設置の態様の一例を表す図であり、側壁面2cをほぼ正面から見た様子を表す。
図9に示すように、板・膜共鳴体20は、振動部25(すなわち、開口部22)の位置が、制御対象とする音圧の腹の位置に一致するように配置されるとよい。なお、この場合も、振動部25を音圧の腹の場所に一致させるような配置に限らず、板・膜共鳴体20が共鳴したときに、その共鳴によって上記腹の場所の音圧を低減させ得る場所に振動部25(開口部22)が位置していればよい。
(1−2)ヘルムホルツ共鳴体30
図10は、ヘルムホルツ共鳴体30の構成を説明する図である。図10(a)はその外観を模式的に表した図であり、図10(b)は同図(a)中の矢視X−Xからヘルムホルツ共鳴体30を見た断面図である。ヘルムホルツ共鳴体30は、胴部31と管部32とによって構成されている。ヘルムホルツ共鳴体30において、胴部31及び管部32内に形成される空間が中空領域となって、これが開口部33に繋がる構成となっている。
胴部31は、内部に気体層が形成され、例えばFRP(繊維強化プラスチック)によって円筒状に形成されている。管部32は、例えば塩化ビニール製のいわゆる両端開口の管状部材を成しており、胴部31の孔部に挿入されて両者は連結されている。管部32の開口部33は空間に面している。開口部33の位置に音波が入射すると、ヘルムホルツ共鳴体30において共鳴が生じて、開口部33付近の音圧を低減させる。具体的には、ヘルムホルツ共鳴体30は、管部32の内部にある気体を質量成分とし、胴部31の気体層をバネ成分としたバネマス系を形成し、管部32の内壁と空気との摩擦によって音のエネルギーが熱エネルギーに変換されて音圧が低減する。
なお、ここでは管部32の数をここでは1本としているが、2本など管部32を複数設けるようにしてもよい。
図11は、音響室1におけるヘルムホルツ共鳴体30の設置の態様の一例を表す図であり、側壁面2cを正面から見た様子を表す。
図11に示すように、ヘルムホルツ共鳴体30は、「◎」で図示した開口部33の位置が、制御対象とする音圧の腹の位置に一致するように配置されるとよい。この例では、胴部31、及び管部32の一部又は全体が側壁面2cの背後であり、利用者が居室する空間でない場所に設けられている。なお、この場合も、ヘルムホルツ共鳴体30が共鳴したときに、その共鳴によって上記腹の場所の音圧を低減させ得る場所に開口部33が位置していればよい。
以上説明した音響管10、板・膜共鳴体20及びヘルムホルツ共鳴体30については、これらを適宜組み合わせて室空間3に設けるようにしてもよい。また、共鳴体の種類はこれらに限定されるものではなく、共鳴することによって音圧を低減させることのできる共鳴体であればよい。
また、音響管10の開口部11又はその近傍、若しくはヘルムホルツ共鳴体30の管部32の開口部33又はその近傍に、若しくは板・膜共鳴体20の筐体21の内部に、グラスウール、クロス、ガーゼ等の通気性を有し、流れ抵抗を有している流れ抵抗材を設けてもよい。これにより、抵抗材の位置でのエネルギーの損失が増大するので、音圧の低減の効果を奏する周波数帯域が広がる。
(変形例2)
上述した実施形態において、固有振動姿態の音圧の腹となる場所の音圧を低減させるための共鳴体を設けていたが、その場所での媒質粒子の運動速度(つまり、粒子速度)を増大させるための共鳴体を設けてもよい。媒質粒子の運動速度は、より詳細には、媒質粒子が振動する速度である。
室空間において固有振動姿態の音圧の腹となる場所では、音圧が極大となっているのに対し、粒子速度については極小となっている。このような粒子速度が小さい場所でそれを増大させる作用を生じさせることによっても、固有振動姿態の態様に変化を生じさせることになり、室空間全体の静粛性を高めることに寄与させることができる。この構成においても、本来、固有振動姿態の音圧の腹の出現により音圧が高くなっていた場所の媒質に変化が生じて、実施形態と同様の効果を奏するというわけである。
この変形例の共鳴体としては、例えば音響管(開管または閉管)を用いることができる。例えば閉管である音響管の中空領域にあっては、閉口端での粒子速度が零となる境界条件に合致するように定在波が存在し、例えば1次の共鳴周波数(最低共鳴周波数)では、開口部での粒子速度が極大となる。よって、開口部の位置を、固有振動姿態において制御対象とする音圧の腹となる場所や、その近傍に配置すれば、その場所での粒子速度を増大させることができる。このとき、粒子速度を低減させ得るような、抵抗材等の部材を設けないことが好ましい。また、板・膜共鳴体20やヘルムホルツ共鳴体30を用いた場合であっても、板・膜共鳴体20の振動部25や、ヘルムホルツ共鳴体30の開口部33の位置付近で粒子速度の増大に寄与させることもできる。
なお、粒子速度の増大に係る上記構成は一例に過ぎず、共鳴することにより粒子速度を増大させることのできる共鳴体を用いることができる。要するに、固有振動姿態において制御対象とする音圧の腹となる場所に粒子速度を増大させる作用を生じさせるよう、共鳴体の開口部の位置を定めればよい。
(変形例3)
上述した実施形態において、ヘルムホルツ共鳴体30の管部32は、その長さが自在に変えられる構成に変形されてもよい。図12はこの態様の管部32aの構成の一例を示す図であり、図12(a)は管部32aの伸張方向の断面図であり、図12(b)は管部32aを(a)の開口部323側から見た図である。
図12(a)に示すように、管部32aは、内管322及び外管321からなる。内管322は、管状の部材で、その外周面に雄螺子を構成する溝が設けられている。内管322は、胴部31に回り止めされた状態で固定されている。外管321は、内径が内管322のそれよりも大きい管状の部材であり、その内周面に雌螺子を構成する溝が設けられている。管部32aは、外管321に対して内管322がねじ込まれることによって構成されており、管部32aの全長、すなわち管部32aの長さLは、内管322に対する外管321のねじ込み具合によって決まる。図12(b)に示すように、外管321の外周は六角柱状であり、ユーザはスパナ等の工具を用いてねじ込み具合を調整することにより、管部32aの長さLを自在に変えることができる。上述したように、ヘルムホルツ共鳴体30の共鳴周波数は管部32aの長さによって決まるから、必要に応じて共鳴周波数を調整することができる。
なお、管部32aの長さを変えるために、内管322及び外管321が螺子部材を構成するようにしていたが、3つ以上の螺子部材から構成されていてもよいし、蛇腹状の管を用いてもよく、管部32aを伸縮可能にする種々の構成を用いることができる。また、外管321の外周は六角柱状でなくてもよいが、ユーザが管部32aの長さを調整しやすいように加工されていることが好ましい。
また、この構成において、管部32aの長さの調整を自動化してもよい。この場合、管部32aの長さを調整する、例えばマイクと、周波数解析装置と、コントローラと、駆動装置かならなる自動調整機構を設ける。自動調整機構にあっては、マイクによって音を収音し、周波数解析装置がこの収音された音を表す信号を解析して、特に騒音が大きい周波数を特定する。コントローラは、特定された周波数に応じたヘルムホルツ共鳴体30の管部32aの長さを算出し、ソレノイド等からなる駆動装置に、その長さに応じた駆動信号を出力する。駆動装置は、駆動信号に応じてヘルムホルツ共鳴体30の管部32aの長さを調整し、特に騒音が大きい周波数の音圧を低減することができる。なお、管部32aを駆動をする際に、コントローラはフィードバック制御を行ってもよい。
また、上述の実施形態の伸縮に係る構成を利用するなどして、(変形例1)で説明したヘルムホルツ共鳴体30の胴部31の寸法を可変にしても良い。この場合、胴部31内に形成された気体層の体積が変化し、共鳴周波数を可変にすることができる。また、音響管10についても、同様の構成によって伸張方向の長さを調整自在にしてもよい。
(変形例4)
上述の実施形態では、板・膜共鳴体20の構成を、矩形状の筐体21、筐体21の開口部を塞ぐ振動部25と、筐体21内に形成される気体層23とを備えるものであったが、筐体の形状は矩形状に限らず、円形状や多角形状であってよい。また、いずれの形状の筐体であっても、振動部25に対して振動条件を変更するための集中質量を、振動部25の中央部に設けることが望ましい。
ところで、板・膜共鳴体20は、先にも説明した通り、バネマス系と屈曲系とで音圧の低減に係るメカニズムが形成されている。板・膜共鳴体20においては、中央部の面密度を周縁部の面密度より大きくすると、音圧の低減量のピークがさらに低周波数側へ移動する。この構成によれば、振動部25を、板・膜共鳴体20全体と同じ素材で板状に形成し、板・膜共鳴体20全体の質量を重くする場合と比較して、板・膜共鳴体20全体の質量を大きく変更することなく、音圧の低減量がピークとなる周波数を低くすることができる。さらに、板・膜共鳴体20の気体層23内に、多孔質材(例えば、発泡樹脂、フェルト、ポリエステルウール等の綿状繊維)を充填することにより、音圧の低減量を増大させてもよい。
(変形例5)
上述した実施形態において、各音響管10の共鳴周波数をそれぞれ異ならせてもよい。これにより、音圧の減衰の効果を奏する周波数帯域を広げることができる。つまり、複数の共鳴体を1又は複数単位でグルーピングし、各グループによって共鳴の共鳴周波数がそれぞれ異なるようにする構成を採用することができる。なお、共鳴体の共鳴周波数は、共鳴体の配置位置の選定に用いた固有振動姿態の周波数に必ずしも一致させる必要はない。例えば、共鳴体が設置される室空間3と、共鳴体の中空領域との連成振動に係る相互作用により、音圧を低減させる対象とする特定の固有周波数の音圧を低減させることに寄与させることができるからである。また、変形例1で説明した板・膜共鳴体20やヘルムホルツ共鳴体30についても同様である。
また、上述した実施形態において、音響管10を曲げて、設置の際に妨げとならないような方向に伸びるようにしてもよい。また、音響管10は、いわゆる一端開口のものに限らず、両端部が開かれた管(いわゆる開管)で構成してもよいし、これら閉管と開管とを混合して配置してもよい。
(変形例6)
上述した実施形態の音響室1には様々な種のものがあり、防音室のほか、マンションなどの住居や、オフィス、ホール、劇場、音響機器のリスニングルーム、会議室等の居室、各種輸送機器の空間、スピーカや楽器などの筐体等である。輸送機器であれば、例えば電車や航空機、船舶、自動車、宇宙ステーションなどの乗り物があり、乗車者が居る車室のほか、機械室や荷物室なども本発明の音響室として特定し得る。これらの音響室において、人間の耳の位置のほか、録音マイクやスピーカなどの機器の場所近傍にある固有振動姿態の音圧の腹を制御対象として、音圧を低減させることもできる。
(変形例7)
上述した実施形態では、床面2aと天井面2bとの間の距離であり、室空間3の高さ寸法Hにほぼ一致する波長の周波数を上記特定周波数として、二次の固有振動姿態に着目した。これ以外にも、例えば一次、又は三次以上の固有振動姿態であっても、その音圧の腹が室空間に位置する周波数を上記特定周波数とし、その音圧の腹となる場所を制御対象として音圧を低減させれば、実施形態と同等の効果を奏する。
また、本発明の音響室は、直方体或いは立方体の室空間を有する音響室に限らない。不整形室など、その他の形状の室空間であっても、FEMを用いた計算やマイクや音源などを用いた実測により固有振動姿態を求めて音圧の腹の場所を特定すれば、実施形態で説明したとおりの実施が可能である。また、例えば、天井面や床面が平坦でない場合には、室空間の各位置で室空間の中心が異なる。この場合、例えば、床面の各点と、そこから高さ方向にある天井面の点との中間点に最も近い位置にある固有振動姿態の音圧の腹の場所を制御対象として共鳴体を配置すればよい。また、室空間3の高さ方向に音圧が分布する固有振動については、その高さ寸法から音圧の腹の位置を特定することもできる。
また、上述した実施形態では、室空間の高さ方向の中心として、床面2aから1.0〜1.2m程度の高さに出現する腹の場所の音圧を低減させていた。これに対し、室空間の高さ寸法が異なれば、その腹の場所も異なる。例えば高さ寸法が3.0m〜4.0mのような室空間であれば、室空間で立っている利用者の耳付近に、160Hz帯域の二次の固有振動姿態の音圧の腹が位置する。よって、この場所を制御対象として音圧を低減させることでも、実施形態で述べたものと同等の効果を奏する。つまり、天井高がどのような室空間であっても、比較的低い周波数の固有振動姿態の音圧の腹の高さが、利用者の耳位置にほぼ一致していれば、その場所を制御対象として音圧を低減させることで、上記構成と同等の効果を奏する。換言すれば、高さ方向に対して壁部に最も近い位置に出現する音圧の腹よりも、それよりも遠い位置に出現する音圧の腹の場所を制御対象として音圧を低減させることが効果的であると言える。
上述した実施形態において、床面2aや天井面2bにも固有振動姿態の音圧の腹が位置するが、この位置に人物の耳が位置することは稀であるので、室空間の高さ方向の中心付近に開口部11が位置するよう音響管10を配置した。しかしながら、床面2aや天井面2b付近に開口部11が位置する配置であっても、その他の場所に設けるよりも室空間中心付近の腹の場所には近くなることが多いし、また、この固有振動姿態を弱体化させることはできるので、利用者が音を聴く場所で奏する効果を高めることに寄与させることができる。
音響室3に設けられる共鳴体にあっては、開口部の位置によって音圧の低減の効果を奏する場所が定まるので、その他の部位の位置は壁部2のどの位置に設けられてもよい。例えば、利用者が居室する空間であるか否かについても特に問わず、少なくとも共鳴体の開口部が室空間3に位置していればよい。すなわち、固有振動姿態を弱体化させる対象とする室空間の音圧が透過するような場所に、開口部が位置していればよい。
また、共鳴体は、室境界を構成する壁部2に設けられる構成に限らず、室境界となる場所以外の場所に設けられてもよい。例えば、天井面2bの中心付近に設けられる照明器具において、天井面2bからぶら下げられて床面2aからの高さがH/2となるような場所に設けられてもよい。また、例えば、家具などの什器や、洗濯器等の電気機器のキャビネット、パーテションなど、室空間に配置される物品に共鳴体が設けられてもよい。また、キャスタ等の移動手段を有する平板状のパネルに取り付けられてもよく、実施形態と同等の効果を奏するのであれば、設置場所や設置方法についても問わない。
1…音響室、10…音響管、11…開口部、12…抵抗材、2…壁部、2a…床面、2b…天井面、2c…側壁面、20…板・膜共鳴体、21…筐体、22…開口部、23…気体層、25…振動部、3…室空間、30…ヘルムホルツ共鳴体、31…胴部、32,32a…管部、33…開口部。

Claims (6)

  1. 室空間を構成する壁部と、
    開口部と、前記開口部に繋がる中空領域とを有している共鳴体であって、前記室空間に前記開口部が位置するように設けられた共鳴体と
    を備え、
    前記室空間の高さ方向の長さによって定まる固有振動姿態のうち特定周波数の固有振動姿態の音圧の腹となる場所において、前記特定周波数の音圧を、前記共鳴体が共鳴することにより低減させる
    ことを特徴とする音響室。
  2. 室空間を構成する壁部と、
    開口部と、前記開口部に繋がる中空領域とを有している共鳴体であって、前記室空間に前記開口部が位置するように設けられた共鳴体と
    を備え、
    前記室空間の高さ方向の長さによって定まる固有振動姿態のうち特定周波数の固有振動姿態の音圧の腹となる場所において、前記特定周波数の媒質粒子の運動速度を、前記共鳴体が共鳴することにより増大させる
    ことを特徴とする音響室。
  3. 前記共鳴体は、
    二次の前記固有振動姿態の音圧の腹であって、前記室空間の高さ方向の中心に最も近い位置にある前記腹の場所で、前記特定周波数の音圧を低減させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の音響室。
  4. 前記共鳴体は、
    二次の前記固有振動姿態の音圧の腹であって、前記室空間の高さ方向の中心に最も近い位置にある前記腹の場所で、前記特定周波数の媒質粒子の運動速度を増大させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の音響室。
  5. 前記共鳴体は、前記壁部に設けられ、
    二次の前記固有振動姿態の音圧の腹であって、前記室空間の中心に最も近い位置にある前記腹の場所に前記開口部が位置する
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の音響室。
  6. 前記共鳴体は、
    前記室空間の高さ方向の長さの波長となる共鳴周波数で共鳴する
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の音響室。
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