JP2009174612A - 無段変速機 - Google Patents

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隆弘 横川
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Abstract

【課題】変速ショックの発生を抑制することができる無段変速機を提供する。
【解決手段】駆動源100からの駆動力を入力側部材2から出力側部材3に伝達可能であると共に入力側部材2と出力側部材3との回転速度比である変速比を無段階に変更可能であり、目標の変速比である目標変速比と実際の変速比である実変速比との偏差に基づいたフィードバック制御と目標変速比に基づいたフィードフォワード制御とによって実変速比が目標変速比になるように制御される無段変速機において、フィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になった場合にフィードフォワード制御を継続する制御手段5を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、無段変速機に関し、特に、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力を車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達する無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、このような無段変速機、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)には、例えば、駆動源からの駆動力が伝達されるプライマリプーリ及びプライマリプーリに伝達された駆動力を変化させて出力するセカンダリプーリと、このプライマリプーリに伝達された駆動力をセカンダリプーリに伝達するベルトとにより構成される、いわゆる、ベルト式の無段変速機や、入力ディスクと出力ディスクとの間に挟み込んだパワーローラを介して各ディスクの間でトルクを伝達すると共に、パワーローラを傾転させて変速比を変化させる、いわゆる、トロイダル式の無段変速機などがある。
このような従来の無段変速機として、例えば、特許文献1に記載の無段変速機の変速制御装置は、無段変速機の入力回転数と出力回転数との間の変速比を制御する場合に、フィードバック制御とフィードフォワード制御とによって変速制御を実行している。すなわち、この特許文献1に記載の無段変速機の変速制御装置は、無段変速機の変速要求に基づいて変速用目標入力回転数の変化率を求める場合に、変速用目標入力回転数の変化率を所定条件により制限する変化率算出手段と、制限された変速用目標入力回転数の変化率に基づいてフィードフォワード制御用の目標入力回転数を求める第1の変速制御手段と、フィードフォワード制御用の目標入力回転数に基づいてフィードバック制御用の目標入力回転数を求める第2の変速制御手段とを有しており、これにより、無段変速機の変速要求により変速用目標入力回転数をステップ的に変化させる場合でも、フィードフォワード制御を適正に実行することができる。
特開2006−144977号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている無段変速機の変速制御装置では、例えば、フィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になりフィードフォワード制御を禁止しフィードバック制御のみによる変速制御に移行する場合に、大きな変速ショックが発生するおそれがあった。
そこで本発明は、変速ショックの発生を抑制することができる無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による無段変速機は、駆動源からの駆動力を入力側部材から出力側部材に伝達可能であると共に前記入力側部材と前記出力側部材との回転速度比である変速比を無段階に変更可能であり、目標の変速比である目標変速比と実際の変速比である実変速比との偏差に基づいたフィードバック制御と前記目標変速比に基づいたフィードフォワード制御とによって前記実変速比が前記目標変速比になるように制御される無段変速機において、前記フィードフォワード制御実行中の急変速時に適正な前記フィードフォワード制御が不能になった場合に前記フィードフォワード制御を継続する制御手段を備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明による無段変速機では、前記制御手段は、前記フィードバック制御を実行するフィードバック制御手段と、前記フィードフォワード制御を実行するフィードフォワード制御手段と、前記フィードフォワード制御の実行条件の不成立を判定する不成立判定手段と、前記実変速比の急変速を判定する急変速判定手段と、前記不成立判定手段により前記フィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定された際に前記フィードフォワード制御手段による前記フィードフォワード制御を禁止可能なフィードフォワード制御禁止手段と、前記フィードフォワード制御禁止手段により前記フィードフォワード制御を禁止可能な条件において前記急変速判定手段により前記実変速比が急変速中であると判定された際に前記フィードフォワード制御手段による前記フィードフォワード制御を継続するフィードフォワード制御継続手段とを有することを特徴とする。
請求項3に係る発明による無段変速機では、前記フィードフォワード制御禁止手段は、前記急変速判定手段により前記実変速比が急変速中でないと判定された際に前記フィードフォワード制御手段による前記フィードフォワード制御を禁止することを特徴とする。
請求項4に係る発明による無段変速機では、前記駆動力を前記入力側部材から前記出力側部材に伝達可能なベルトを備えることを特徴とする。
請求項5に係る発明による無段変速機では、前記駆動力を前記入力側部材から前記出力側部材に伝達可能なパワーローラを備えることを特徴とする。
本発明に係る無段変速機によれば、フィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になった場合にフィードフォワード制御を継続する制御手段を備えるので、目標変速比が急激に変動することが防止されることから、変速ショックの発生を抑制することができる。
以下に、本発明に係る無段変速機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機の概略構成図、図2は、本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機のECUを表すブロック図、図3は、本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機の変速制御を説明する線図、図4は、本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機の変速制御を説明するフローチャートである。
なお、以下で説明する実施形態では、本発明の無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源としてエンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機を駆動源として用いてもよい。また、駆動源として内燃機関及び電動機を併用してもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る無段変速機は、車両に搭載される駆動源である内燃機関としてのエンジン100からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で車輪160に伝達するためにエンジン100の出力側に設けられるものである。本実施形態に係る無段変速機は、入力側部材と出力側部材との回転数比である変速比を無段階(連続的)に制御することができる、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)である。
この無段変速機1は、エンジン100からの駆動力をベルト4によって入力側部材から出力側部材に伝達可能であると共に、入力側部材と出力側部材との回転数比である変速比を無段階(連続的)に変更する、いわゆる、ベルト式無段変速機1である。すなわち、このベルト式無段変速機1は、エンジン100からの駆動力が伝達される入力側部材としてのプライマリプーリ2と、プライマリプーリ2に伝達された駆動力を変化させて出力する出力側部材としてのセカンダリプーリ3と、プライマリプーリ2に伝達された駆動力をセカンダリプーリ3に伝達するベルト4とを含んで構成されるものである。さらに、このベルト式無段変速機1は、エンジン100の各部やベルト式無段変速機1の各部を制御する制御手段としての電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit、以下、特に断りのない限り「ECU5」と略記する。)5と、各部の油圧を制御する油圧制御装置6とを含んで構成される。
このベルト式無段変速機1が搭載される図示しない車両の駆動系は、トルクコンバータ110、前後進切替機構120、入力されたエンジン100の駆動力を変速比に応じて変換するベルト式無段変速機1、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140、ドライブシャフト150を介して、エンジン100が発生するエンジントルクを車輪160に伝達する。なお、図1は、ベルト式無段変速機1の変速比が最大、すなわち最大変速比における図である。
エンジン100が発生するエンジントルクは、図示しないフライホイールなどが連結されたクランクシャフト101を介してトルクコンバータ110に伝達される。トルクコンバータ110は、発進機構であるとともに、ダンパ機構である。トルクコンバータ110は、エンジントルクを所定のトルク比で前後進切替機構120に伝達するものである。前後進切替機構120は、伝達されたエンジントルクの車輪160、160への伝達方向を切り替えるものであり、これによりベルト式無段変速機1が搭載された車両が前進あるいは後進をする。前後進切替機構120により伝達方向が決定されたエンジントルクは、ベルト式無段変速機1に伝達される。なお、トルクコンバータ110の制御、例えばロックアップのON/OFF制御及び前後進切替機構120の制御、すなわちエンジントルクの伝達方向の切替制御は、油圧制御装置6から供給される油圧が用いられる。これらの制御を行うための油圧制御装置6の油圧制御は、ECU5により行われる。
ベルト式無段変速機1で変速比に応じて変換されたエンジントルクは、ベルト式無段変速機1の後述するセカンダリプーリ3のセカンダリプーリ軸31を介して動力伝達機構130に伝達される。動力伝達機構130は、上記セカンダリプーリ軸31と連結される図示しないリダクションドライブギヤを有し、ベルト式無段変速機1とディファレンシャルギヤ140とを連結するものである。動力伝達機構130に伝達されたエンジントルクは、ディファレンシャルギヤ140に伝達され、ディファレンシャルギヤ140と車輪160、160とを連結するドライブシャフト150、150を介して、車輪160、160に伝達される。
ベルト式無段変速機1は、所定の間隔を設けて平行に配置した2本のプーリ軸としてのプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31と、プライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31に各々配置され且つプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31上を軸線方向に摺動し得るプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33と、この各プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33に各々対向させてプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31上に配置され且つプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33との間でプライマリ溝27、セカンダリ溝37を形成するプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32と、対向配置したそれぞれのプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33及びプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32における各プライマリ溝27、セカンダリ溝37に巻き掛けられるベルト4とを含んで構成される。
具体的には、ベルト式無段変速機1は、上述したように、一方のプーリとしてのプライマリプーリ2と、他方のプーリとしてのセカンダリプーリ3と、ベルト4と、ECU5と、油圧制御装置6とを備える。
プライマリプーリ2は、一方のプーリであり、前後進切替機構120を介して伝達されたエンジントルクをベルト4により、他方のプーリであるセカンダリプーリ3に伝達するものである。言い換えれば、エンジン100(駆動源)からのエンジントルク(駆動力)が入力されるプライマリプーリ2は、ベルト式無段変速機1が備える2つのプーリのうち、一方のプーリをなす。
プライマリプーリ2は、プライマリプーリ軸21と、プライマリ固定シーブ22と、プライマリ可動シーブ23と、プライマリプーリ2にベルト挟圧力を発生させることでベルト式無段変速機1の変速比を変更するプライマリ油圧室24とにより構成されている。
プライマリプーリ軸21は、軸受部材25、26により回転可能に支持されている。また、プライマリプーリ軸21は、内部に図示しない作動油通路を有している。作動油通路は、油圧制御装置6の油圧制御回路に接続されており、油圧制御装置6からプライマリ油圧室24に供給される作動油が流入する。
プライマリ固定シーブ22は、円錐板状に形成され、プライマリ可動シーブ23と対向する位置に、プライマリプーリ軸21と一体回転するように設けられている。ここでは、プライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21の外周から径方向外側に突出する環状部として形成されている。つまり、プライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21の外周に一体的に設けられている。なお、プライマリ固定シーブ22は、プライマリプーリ軸21と別体であってもよい。
プライマリ可動シーブ23は、円錐板状に形成され、例えば、スプライン嵌合により、プライマリプーリ軸21に対して軸方向に移動可能で、プライマリプーリ軸21と一体回転可能に支持されている。
プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23とは、プライマリ固定シーブ22のプライマリ可動シーブ23に対向する面と、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22と対向する面との間に、V字形状のプライマリ溝27を形成している。プライマリ溝27は、無端であるベルト4が巻き掛けられる。つまり、ベルト4は、プライマリ固定シーブ22とプライマリ可動シーブ23との間に挟み込まれるようにして設けられる。
プライマリ油圧室24は、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22と対向する面と反対側の背面23aと、プライマリプーリ軸21に固定されたリング形状のプライマリピストン28とにより構成されている。プライマリ可動シーブ23の背面23aには、軸方向の一方向に突出、すなわちプライマリ固定シーブ22とは反対側に突出する円筒形状の突出部23bが形成されている。突出部23bとプライマリピストン28との間には、例えばシールリングなどの図示しないプライマリ油圧室用シール部材が設けられている。つまり、プライマリ油圧室24を構成するプライマリ可動シーブ23の背面23aとプライマリピストン28とは、シール部材によりシールされている。なお、軸受部材26及びプライマリピストン28は、ロックナット29により、プライマリプーリ軸21に対して固定されている。
プライマリ油圧室24には、プライマリプーリ軸21の図示しない作動油通路に流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御装置6は、プライマリ油圧室24に作動油を供給し、プライマリ油圧室24の油圧により、プライマリ可動シーブ23を軸方向に摺動させ、プライマリ可動シーブ23をプライマリ固定シーブ22に対して接近あるいは離隔させるものである。プライマリ油圧室24は、プライマリ油圧室24に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ23を軸方向におけるプライマリ固定シーブ22側に押圧する可動シーブ押圧力をプライマリ可動シーブ23に作用させることで、プライマリ溝27に巻き掛けられるベルト4に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、プライマリプーリ2は、プライマリ油圧室24の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、プライマリ可動シーブ23のプライマリ固定シーブ22に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、プライマリ油圧室24は、例えばベルト式無段変速機1の変速比γを変更させる機能を有するものである。
セカンダリプーリ3は、他方のプーリであり、ベルト4によりプライマリプーリ2に伝達されたエンジントルクを図示しないリダクションドライブギヤに伝達し、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140、ドライブシャフト150を介して車輪160に伝達するものである。言い換えれば、プライマリプーリ2からの駆動力が出力されるセカンダリプーリ3は、ベルト式無段変速機1が備える2つのプーリのうち、他方のプーリをなす。
セカンダリプーリ3は、セカンダリプーリ軸31と、セカンダリ固定シーブ32と、セカンダリ可動シーブ33と、セカンダリプーリ3にベルト挟圧力を発生させることで、ベルト4の張力を調整するセカンダリ油圧室34とにより構成されている。
セカンダリプーリ軸31は、軸受部材35、36により回転可能に支持されている。また、セカンダリプーリ軸31は、内部に図示しない作動油通路を有している。作動油通路は、油圧制御装置6に接続されており、油圧制御装置6からセカンダリ油圧室34に供給される作動油が流入する。
上述のプライマリプーリ軸21とセカンダリプーリ軸31とは、互いにほぼ平行になるように配置されている。
セカンダリ固定シーブ32は、円錐板状に形成され、セカンダリ可動シーブ33と対向する位置に、セカンダリプーリ軸31と一体回転するように設けられている。ここでは、セカンダリ固定シーブ32は、セカンダリプーリ軸31の外周から径方向外側に突出する環状部として形成されている。つまり、実施の形態では、セカンダリ固定シーブ32は、セカンダリプーリ軸31の外周に一体的に設けられている。なお、セカンダリ固定シーブ32は、セカンダリプーリ軸31と別体であってもよい。
セカンダリ可動シーブ33は、円錐板状に形成され、例えば、スプライン嵌合により、セカンダリプーリ軸31に対して軸方向に移動可能で、セカンダリプーリ軸31と一体回転可能に支持されている。
セカンダリ固定シーブ32とセカンダリ可動シーブ33とは、セカンダリ固定シーブ32のセカンダリ可動シーブ33に対向する面と、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32と対向する面との間に、V字形状のセカンダリ溝37を形成している。セカンダリ溝37は、無端であるベルト4が巻き掛けられる。つまり、ベルト4は、セカンダリ固定シーブ32とセカンダリ可動シーブ33との間に挟み込まれるようにして設けられる。
セカンダリ油圧室34は、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32と対向する面と反対側の背面33aと、セカンダリプーリ軸31に固定されたリング形状のセカンダリピストン38とにより構成されている。セカンダリ可動シーブ33の背面33aには、軸方向の一方向に突出、すなわちセカンダリ固定シーブ32とは反対側に突出する円筒形状の突出部33bが形成されている。突出部33bとセカンダリピストン38との間には、例えばシールリングなどの図示しないセカンダリ油圧室用シール部材が設けられている。つまり、セカンダリ油圧室34を構成するセカンダリ可動シーブ33の背面33aとセカンダリピストン38とは、シール部材によりシールされている。なお、軸受部材35及びセカンダリピストン38は、ロックナット39aにより、セカンダリプーリ軸31に対して固定されている。また、軸受部材36は、ロックナット39bにより、セカンダリプーリ軸31に対して固定されている。なお、この軸受部材36とセカンダリ固定シーブ32との間には、パーキングギヤ8が設けられている。
セカンダリ油圧室34には、セカンダリプーリ軸31の図示しない作動油通路に流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御装置6は、セカンダリ油圧室34に作動油を供給し、セカンダリ油圧室34の油圧により、セカンダリ可動シーブ33を軸方向に摺動させ、セカンダリ可動シーブ33をセカンダリ固定シーブ32に対して接近あるいは離隔させるものである。セカンダリ油圧室34は、セカンダリ油圧室34に供給される作動油により、セカンダリ可動シーブ33を軸方向におけるセカンダリ固定シーブ側に押圧する可動シーブ押圧力をセカンダリ可動シーブ33に作用させることで、セカンダリ溝37に巻き掛けられるベルト4に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、セカンダリプーリ3は、セカンダリ油圧室34の油圧によりベルト4に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、セカンダリ可動シーブ33のセカンダリ固定シーブ32に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、セカンダリ油圧室34は、例えば、ベルト4の張力を制御することで、ベルト4のプライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3に対する接触半径を一定に維持する機能の一部を担うものである。
ベルト4は、入力側であるエンジン100(駆動源)からプライマリプーリ2に入力された駆動力、すなわちエンジントルクをセカンダリプーリ3に伝達するものである。ベルト4は、プライマリプーリ2のプライマリ溝27とセカンダリプーリ3のセカンダリ溝37との間に巻き掛けられている。また、ベルト4は、多数の金属製のベルトエレメントと複数本のスチールリングで構成された無端ベルトである。
ECU5は、ベルト式無段変速機1の駆動を制御、特に変速比γを制御するものであり、ここでは、エンジン100が搭載された車両の各所に取り付けられたセンサから入力された各種入力信号や各種マップとに基づいてエンジン100の運転制御、例えば図示しない燃料噴射弁の噴射制御、エンジン100の吸入空気量を制御する図示しないスロットルバルブのスロットル開度制御、点火プラグの点火制御なども行うものである。このECU5には、ベルト式無段変速機1の変速制御を行うためのデータ,例えばアクセル開度や車速等の情報に基づいた走行状態に応じてベルト式無段変速機1の変速比γを制御するためのデータが予め記憶されている。
すなわち、ECU5は、図2に示すように、エンジン回転数センサ70、入力回転数センサ71、出力回転数センサ72、アクセルポジションセンサ73、スロットルポジションセンサ74、車速センサ75、シフトポジションセンサ76、水温センサ77及び油温センサ78などの種々のセンサが電気的に接続されている。そして、ECU5は、エンジン100の燃料噴射弁、スロットルバルブ、点火プラグや後述する油圧制御装置6に電気的に接続されており、上記種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態などに基づいて、これらの駆動を制御している。
エンジン回転数センサ70は、駆動源であるエンジン100の回転速度としてエンジン回転数を検出し、検出したエンジン回転数をECU5に送信する。ここで、エンジン回転数センサ70は、例えば、エンジン100のクランク角度を検出するクランク角センサを用いることができ、ECU5は、検出されたクランク角度に基づいて各気筒における吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を判別すると共に、エンジンの回転速度としてエンジン回転数(rpm)を算出する。なおここで、エンジン回転数は、言い換えれば、クランクシャフト101の回転速度に対応し、このクランクシャフト101の回転速度が高くなれば、クランクシャフト101の回転数、すなわち、エンジン回転数も高くなる。
入力回転数センサ71は、ベルト式無段変速機1への入力回転数として、プライマリプーリ2(例えば、プライマリプーリ軸21)の回転数を検出し、検出した入力回転数をECU5に送信する。出力回転数センサ72は、ベルト式無段変速機1からの出力回転数として、セカンダリプーリ3(例えば、セカンダリプーリ軸31)の回転数を検出し、検出した出力回転数をECU5に送信する。なお、入力回転数センサ71、出力回転数センサ72は、それぞれ、プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3の回転数に比例した回転数で回転する部材の回転数に基づいて検出してもよい。また、入力回転数、出力回転数は、言い換えれば、プライマリプーリ2、セカンダリプーリ3の回転速度に対応する。
アクセルポジションセンサ73は、このベルト式無段変速機1が搭載される車両のアクセル開度を検出し、検出したアクセル開度をECU5に送信する。スロットルポジションセンサ74は、このベルト式無段変速機1が搭載される車両のスロットル開度を検出し、検出したスロットル開度をECU5に送信する。車速センサ75は、このベルト式無段変速機1が搭載される車両の車速を検出し、検出した車速をECU5に送信する。シフトポジションセンサ76は、このベルト式無段変速機1が搭載される車両のシフトポジション(例えば、パーキングポジション、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジションなど)を検出し、検出したシフトポジションをECU5に送信する。水温センサ77は、各部を冷却する冷却水の温度を検出するものであり、検出した冷却水温をECU5に出力している。油温センサ78は、プライマリ油圧室24やセカンダリ油圧室34に供給される作動油の温度を検出するものであり、検出した油温をECU5に出力している。
油圧制御装置6は、ベルト式無段変速機1のプライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34内の作動油の油圧を制御するものであり、ここではベルト式無段変速機1が搭載される車両の駆動系各部、例えば、トルクコンバータ110、前後進切替機構120等に作動油を供給するものでもある。
油圧制御装置6は、オイルタンクに貯留されトランスミッションの各部に供給される作動油をオイルポンプにより吸引、加圧し、吐出する。そして、油圧制御装置6は、オイルポンプにより加圧された作動油がプレッシャーレギュレータバルブを介して、流量制御弁などに供給される。流量制御弁は、スプール弁子、電磁ソレノイドなどを含んで構成され、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34へ作動油の供給、あるいは、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34からの作動油の排出を制御するものである。油圧制御装置6の流量制御弁は、ECU5から入力される制御指令値入力に基づいた駆動電流により駆動する電磁ソレノイドがスプール弁子の位置を変位させることで、プライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34に供給、排出される作動油の流量を制御するものである。なお、このプレッシャーレギュレータバルブは、プレッシャーレギュレータバルブよりも下流側における油圧が所定油圧以上、すなわち、油圧制御装置6の元圧として用いられるライン圧以上になった際に、下流側にある作動油をオイルタンクに戻して所定のライン圧に調圧するものである。
そして、ECU5は、上述したように、ベルト式無段変速機1が搭載された車両の運転状態(走行状態)に応じてベルト式無段変速機1の各部の駆動を制御しベルト式無段変速機1の実際の変速比である実変速比を制御する。ECU5は、上記種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態などに基づいて目標の変速比である目標変速比を決定すると共に、油圧制御装置6を駆動して油圧制御を行うことで、プライマリ油圧室24の油圧及びセカンダリ油圧室34の油圧を調整する。したがって、ECU5は、油圧制御装置6の流量制御弁に供給する駆動電流を制御指令値に基づいてデューティ制御することで、プライマリ油圧室24の油圧及びセカンダリ油圧室34の油圧を調整し、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して接近離間させる。そして、ECU5は、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して接近離間させることで、プライマリプーリ2におけるベルト挟圧力及びセカンダリプーリ3におけるベルト挟圧力を調整し、プライマリプーリ2の回転数である入力軸回転数と、セカンダリプーリ3の回転数である出力軸回転数との比である変速比γを制御することができ、実際の変速比である実変速比が目標の変速比である目標変速比となるように制御することができる。
ここで、このようなベルト式無段変速機1は、変速比を連続的に変化させることができるので、上述のように、アクセル開度などのアクセルペダルの踏み込み量、車速やエンジン回転数に代表される駆動要求量などの車両の運転状態(走行状態)に基づいて、目標変速比、あるいは、目標変速比に応じた目標入力回転数などの目標値を求め、実変速比、あるいは、実変速比に応じた実入力回転数などの実際値がその目標値に一致するように変速比が制御される。すなわち、このECU5は、ベルト式無段変速機1の変速制御において、アクセルポジションセンサ73が検出するアクセル開度と車速センサ75が検出する車速などから決定される目標変速比γo(目標入力回転数)と実変速比γ(実入力回転数)との偏差に基づいて、この実変速比が目標変速比となるようにフィードバック制御を実行している。
このフィードバック制御は、目標変速比γo(目標入力回転数)と実変速比γ(実入力回転数)との偏差に所定のゲインを掛けて制御量(油圧制御装置6の流量制御弁に供給するデューティ比など)を求める制御であることから、上記偏差が生じることによって実行され、つまり、上記偏差の発生を前提とする制御であるので不可避的な制御の遅れが生じる。これを是正するためにゲインを大きくすると、ハンチングが生じたり、あるいは収束性が悪くなるなどの不都合が生じるおそれがある。
そこで、このECU5は、ベルト式無段変速機1の変速制御において、フィードバック制御と共に目標変速比γo(目標入力回転数)に基づいたフィードフォワード制御をあわせて実行することで、変速比の応答性の向上を図っている。
このフィードフォワード制御は、モデルベースの変速制御であり、目標変速比γo(目標入力回転数)などの目標値に基づいて、数式モデルなどにより制御量(油圧制御装置6の流量制御弁に供給するデューティ比など)を算出する制御であることから、目標変速比γo(目標入力回転数)と実変速比γ(実入力回転数)との偏差の検出を待つことなく制御を実行でき、このため、変速比の応答性の点ではフィードバック制御よりも優れている。
ここで、このECU5は、マイクロコンピュータを中心として構成され処理部51、記憶部52及び入出力部53を有し、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。入出力部53にはベルト式無段変速機1の各部を駆動する不図示の駆動回路、上述した走各種センサが接続されており、この入出力部53は、これらのセンサ等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部52には、ベルト式無段変速機1の各部を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部52は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。処理部51は、不図示のメモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、フィードバック制御手段としてのFB制御部54と、フィードフォワード制御手段としてのFF制御部55とを有している。図4で説明するベルト式無段変速機1の変速制御は、各部に設けられたセンサによる検出結果に基づいて、処理部51が前記コンピュータプログラムを当該処理部51に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて制御信号を送ることにより実行される。その際に処理部51は、適宜記憶部52へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このベルト式無段変速機1を制御する場合には、前記コンピュータプログラムの代わりに、ECU5とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
そして、FB制御部54は、フィードバック制御を実行するものであり、ここでは、目標入力回転数と実入力回転数との偏差に基づいて、油圧制御装置6の駆動を制御してプライマリ油圧室24の油圧及びセカンダリ油圧室34の油圧を制御するフィードバック制御を実行可能である。すなわち、FB制御部54によるフィードバック制御は、目標入力回転数(目標変速比)などの目標値と、実入力回転数や実変速比などの実際値との偏差を求め、その偏差を小さく(少なく)するような制御量を算出し油圧制御装置6を駆動する制御である。
ここで、目標入力回転数は、ベルト式無段変速機1を搭載する車両の運転状態(走行状態)に基づいて設定される目標変速比に応じた入力回転数であり、アクセルポジションセンサ73が検出するアクセル開度や車速センサ75が検出する車速などに基づいて算出される。より具体的には、ECU5は、例えば、アクセル開度とその時点の車速とに基づいて要求駆動力を求める。これは、例えば予め用意したマップから求められる。ECU5は、その要求駆動力と車速とからエンジン100の要求出力を算出し、その要求出力を最小の燃費で出力するエンジン回転数を予め用意されたマップを用いて求める。こうして求められたエンジン回転数に対応するベルト式無段変速機1の入力回転数が目標入力回転数となる。また、実入力回転数は、入力回転数センサ71によって検出される。
FF制御部55は、フィードフォワード制御を実行するものである。ここでは、FF制御部55は、例えば、プライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34内の作動油の油圧を制御する油圧制御装置6などのアクチュエータの応答遅れ等を回避するべく、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33の移動量と入力回転数(変速比)との対応関係、言い換えれば、プライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34への作動油の供給量・排出量と入力回転数(変速比)との対応関係を油温や冷却水温などの車両の運転状態(走行状態)に応じたモデルベースに基づいて予めデータ化しておく。そして、FF制御部55は、モデルベース化されたプライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34への作動油の供給量・排出量と入力回転数(変速比)との対応関係に基づいて、現在推定される車両の運転状態における目標入力回転数に応じて制御量を算出し、これにより、プライマリ油圧室24の油圧及びセカンダリ油圧室34の油圧を調整してプライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33の移動量を制御するフィードフォワード制御を実行可能である。すなわち、FF制御部55によるフィードフォワード制御は、例えば、冷却水温や油温などの車両の運転状態(走行状態)に応じたモデルベースに基づいてデータ化されたプライマリ油圧室24、セカンダリ油圧室34における作動油の供給量・排出量と、入力回転数(変速比)との対応関係に基づいて、現在推定される車両の運転状態における目標入力回転数(目標変速比)に応じた制御量を算出し油圧制御装置6を駆動する制御である。
なお、ECU5は、種々の公知の制御により、FB制御部54によるフィードバック制御の制御量とFF制御部55によるフィードフォワード制御の制御量とに基づいて最終的な変速制御量を算出して変速制御を実行してもよいし、ベルト式無段変速機1を搭載する車両の運転状態(走行状態)に応じてフィードバック制御とフィードフォワード制御とを選択的に切り換えて変速制御を実行してもよい。
上記のように構成されるベルト式無段変速機1は、シフトポジションセンサ76により検出される車両のシフトポジションがパーキングポジションやニュートラルポジションなどの非駆動ポジションである場合、前後進切替機構120が制御されて、エンジン100と車輪160との間で動力伝達が不可能な状態となる。これに対して、シフトポジションセンサ76により検出される車両のシフトポジションがリバースポジションやドライブポジションなどの駆動ポジションである場合、前後進切替機構120が制御されて、エンジン100と車輪160との間で動力伝達が可能な状態となる。
そして、駆動ポジションが選択され、エンジン100からエンジントルクが出力された場合は、トルクコンバータ110、前後進切替機構120を経由して、プライマリプーリ2のプライマリプーリ軸21にトルクが伝達(入力)される。プライマリプーリ軸21を介してプライマリプーリ2に入力されたトルクは、ベルト4を介して、セカンダリプーリ3のセカンダリプーリ軸31に伝達される。そして、セカンダリプーリ軸31を介してセカンダリプーリ3から出力されるトルクは、動力伝達機構130、ディファレンシャルギヤ140及びドライブシャフト150を介して車輪160に伝達されて駆動力が発生する。
そして、ベルト式無段変速機1における変速比を変更する場合は、ECU5が油圧制御装置6を駆動しプライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34内の作動油の油圧を調整して、プライマリ可動シーブ23、セカンダリ可動シーブ33をプライマリプーリ軸21、セカンダリプーリ軸31の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22、セカンダリ固定シーブ32に対して相対的に接近又は離間させることで、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3からベルト4に適正なベルト挟圧力を作用させる。ベルト式無段変速機1は、プライマリプーリ2及びセカンダリプーリ3からベルト4に適正なベルト挟圧力を作用させることで、ベルト4が巻き掛けられているプライマリ溝27とセカンダリ溝37の幅が変化し、ベルト式無段変速機1の変速比を変更することができると共にベルト4の張力を適正に調整することができる。
すなわち、ベルト式無段変速機1は、プライマリ可動シーブ23をプライマリプーリ軸21の軸方向に沿ってプライマリ固定シーブ22に対して相対的に接近又は離間させプライマリ溝27の幅を調整することで、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径(ベルト4に対するプライマリプーリ2の有効径)とセカンダリプーリ3におけるベルト4の巻き掛け半径(ベルト4に対するセカンダリプーリ3の有効径)との比が変化し、この結果、プライマリプーリ2の回転数(回転速度)とセカンダリプーリ3の回転数(回転速度)との比である変速比が変更される。例えば、ベルト式無段変速機1は、プライマリ溝27の幅が狭められると、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径が大きくなり、ベルト式無段変速機1の変速比が小さくなるように変速(アップシフト)する。これに対して、ベルト式無段変速機1は、プライマリ溝27の幅が広げられると、プライマリプーリ2におけるベルト4の巻き掛け半径が小さくなり、ベルト式無段変速機1の変速比が大きくなるように変速(ダウンシフト)する。
また、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ可動シーブ33をセカンダリプーリ軸31の軸方向に沿ってセカンダリ固定シーブ32に対して相対的に接近又は離間させセカンダリ溝37の幅を調整することで、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力、およびベルト4の張力が変更され、この結果、プライマリプーリ2からセカンダリプーリ3に伝達されるトルクの容量が制御される。例えば、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ溝37の幅が狭められると、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力が増加し、ベルト4のトルク容量が増加する。これに対して、ベルト式無段変速機1は、セカンダリ溝37の幅が広げられると、セカンダリプーリ3からベルト4に加えられるベルト挟圧力が減少すると、ベルト4のトルク容量が低下する。
この間、ECU5は、目標入力回転数(目標変速比γo)と数式モデルなどに基づいたフィードフォワード制御と、目標入力回転数(目標変速比γo)と実入力回転数(実変速比γ)との偏差に基づいたフィードバック制御とを実行することで、実変速比が目標変速比に追従するようにベルト式無段変速機1の各部を制御することができると共に、ベルト式無段変速機1における変速比の応答性を向上させることができる。
ところで、このようなベルト式無段変速機1は、例えば、フィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になりフィードフォワード制御を禁止しフィードバック制御のみによる変速制御に移行する場合に、大きな変速ショックが発生するおそれがある。
すなわち、上述したように、FF制御部55によるフィードフォワード制御は、例えば、冷却水温や油温などの車両の運転状態(走行状態)に応じたモデルベースに基づいた変速制御である。つまり、FF制御部55は、ベルト式無段変速機1やベルト式無段変速機1を搭載した車両がこのモデル通りに作動していることが前提で変速比のフィードフォワード制御を行っている。このため、ベルト式無段変速機1は、FB制御部54によるフィードバック制御とFF制御部55によるフィードフォワード制御とに基づいて目標入力回転数(目標変速比)になるように実入力回転数(実変速比)を制御する場合、フィードフォワード制御がモデルベースに基づいた変速制御であるがゆえに、車両の運転状態がモデルベースの前提条件通りに動作しない状態では、フィードバック制御のみの変速制御に切り換える必要がある。つまり、ベルト式無段変速機1は、車両の運転状態がフィードフォワード制御の前提となるモデルベースからずれた場合にはフィードフォワード制御を禁止する必要がある。
ところが、例えば、フィードフォワード制御実行中の急変速時にフィードフォワード制御実行条件が不成立となり適正なフィードフォワード制御が不能になった場合に、すぐにフィードフォワード制御を禁止しフィードバック制御のみの変速制御に切り換えると、大きな変速ショックが発生するおそれがある。図6は、従来の無段変速機の変速制御を説明する線図であり、横軸を時刻、縦軸を入力回転数及びFF制御実行フラグのON・OFFとしている。すなわち、フィードフォワード制御における目標入力回転数は、油圧制御装置6などのアクチュエータの応答遅れ等を考慮しているため、フィードバック制御における目標入力回転数よりも少し低めに設定される。ここで、急変速中の時刻t1にて、フィードフォワード制御実行条件が不成立となり適正なフィードフォワード制御が不能となってFF制御実行フラグがOFFとなることで、フィードフォワード制御及びフィードバック制御による変速制御からフィードバック制御のみによる変速制御に切り換わると、フィードフォワード制御及びフィードバック制御による目標入力回転数とフィードバック制御のみによる目標入力回転数との差分だけ急激に目標入力回転数が変動することになる。そして、目標入力回転数が急激に変動することで、例えば、急変速に起因するダウンシフトに目標入力回転数の急変動に起因するダウンシフトが重なり、二重の急ダウンシフトが実行されるおそれがあり、これにより、実入力回転数が目標入力回転数の変動に追従するように急変動し、この結果、大きな変速ショックが発生するおそれがある。
そこで、本実施形態のベルト式無段変速機1は、制御手段のECU5がフィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になった場合にフィードフォワード制御を継続することで、変速ショックの発生を抑制している。
具体的には、ベルト式無段変速機1は、図2に示すように、ECU5の処理部51に上述したFB制御部54と、FF制御部55とが設けられると共に、さらに、不成立判定手段としてのFF制御実行条件不成立判定部56と、急変速判定手段としての急変速判定部57と、フィードフォワード制御禁止手段としてのFF制御禁止部58と、フィードフォワード制御継続手段としてのFF制御継続部59とが設けられる。
FF制御実行条件不成立判定部56は、FF制御部55によるフィードフォワード制御の実行条件の不成立を判定するものである。言い換えれば、FF制御実行条件不成立判定部56は、例えば、現在の車両の運転状態がモデルベースの前提条件通りに動作しているか否か、あるいは、現在の車両の運転状態が推定できない運転状態であるか否かを判定するものである。
車両の運転状態は、例えば、気候条件の変動などにより、モデルベースの前提条件からずれたりすることがある。ここでは、FF制御実行条件不成立判定部56は、プライマリ油圧室24及びセカンダリ油圧室34への作動油の供給量・排出量と入力回転数(変速比)との対応関係を油温や冷却水温などの車両の運転状態(走行状態)に応じたモデルベースに基づいてデータ化していることから、例えば、油温センサ78が検出する作動油の温度が予め設定される所定温度より低下した場合、言い換えれば、作動油の粘度が予め設定される所定粘度より増加した場合や水温センサ77が検出する冷却水の温度が設定される所定温度より低下した場合などに現在の車両の運転状態がモデルベースの前提条件から外れていると判定することができる。これにより、FF制御実行条件不成立判定部56は、FF制御部55によるフィードフォワード制御の実行条件の不成立を判定することができる。
なお、ここでは、FF制御部55によるフィードフォワード制御の実行条件の不成立を判定するためのパラメータとして、油温センサ78が検出する作動油の温度や水温センサ77が検出する冷却水の温度を例示したが、これに限らず、車両の運転状態(走行状態)に応じたモデルベースのパラメータに対応して、適宜他のパラメータを用いればよい。
急変速判定部57は、実変速比の急変速を判定するものである。ここでは、急変速判定部57は、例えば、アクセルポジションセンサ73が検出するアクセル開度に基づいてアクセル開度の増加速度、すなわち、アクセル開速度を算出し、このアクセル開速度が所定開速度以上になった場合などに現在急変速中であると判定することができる。
FF制御禁止部58は、FF制御実行条件不成立判定部56によりフィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定された際にFF制御部55によるフィードフォワード制御を禁止可能なものである。
FF制御継続部59は、FF制御実行条件不成立判定部56によりフィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定された場合、すなわち、FF制御禁止部58によりFF制御部55によるフィードフォワード制御を禁止可能な条件であっても、急変速判定部57より実変速比が急変速中であると判定された際にはFF制御部55によるフィードフォワード制御を継続するものである。
そして、FF制御禁止部58は、FF制御実行条件不成立判定部56によりフィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定され、かつ、急変速判定部57により実変速比が急変速中でないと判定された際にFF制御部55によるによるフィードフォワード制御を禁止する。
図3は、本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1の変速制御を説明する線図であり、横軸を時刻、縦軸を入力回転数、急変速実行フラグのON・OFF及びFF制御実行フラグのON・OFFとしている。
例えば、時刻t1にて、FF制御実行条件不成立判定部56がFF制御部55によるフィードフォワード制御の実行条件の不成立を判定(検出)し、適正なフィードフォワード制御が不能になったとする。このとき、本図のように急変速判定部57が実変速比の急変速を判定(検出)し急変速実行フラグがONとなっていると、FF制御継続部59は、適正なフィードフォワード制御が不能な運転状態であってもFF制御実行フラグをONのまま継続し、FF制御部55によるフィードフォワード制御をそのまま継続する。
この結果、FF制御部55によりフィードフォワード制御が継続されることで、急変速中においてフィードフォワード制御及びフィードバック制御による変速制御からフィードバック制御のみによる変速制御に切り換わってしまうことを防止することができる。このため、目標入力回転数が急激に変動することを防止することができ、例えば、急変速に起因するダウンシフトに目標入力回転数の急変動に起因するダウンシフトが重なることを防止することができ、二重の急ダウンシフトが実行されることを防止することができる。これにより、実入力回転数が目標入力回転数の急変動に追従するように急変動することを抑制することができ、制御切り替え時のショックの発生を抑制することができる。また、変速開始時の予定以上のダウンシフトが抑制され、燃費悪化を防止することができ、さらに、意図しない急加速を防止することができる。
なお、FF制御部55により不適正なフィードフォワード制御が継続されることで、目標入力回転数(目標変速比)に対する実入力回転数(実変速比)の追従性、応答性、言い換えれば、変速精度が多少低下するものの、急変速中においてフィードフォワード制御及びフィードバック制御による変速制御からフィードバック制御のみによる変速制御に切り換わり目標入力回転数が急激に変動することと比較すると、その影響は、極めて小さいものである。言い換えれば、このベルト式無段変速機1は、目標入力回転数(目標変速比)に対する実入力回転数(実変速比)の追従性、応答性と変速ショック発生の抑制とをバランスよく両立することができる。
そして、時刻t2にて、急変速判定部57が実変速比の急変速が終了したと判定(検出)し急変速実行フラグがOFFとされると、FF制御禁止部58は、FF制御実行フラグをOFFとし、FF制御部55によるによるフィードフォワード制御を禁止し、FB制御部54によるフィードバック制御のみの変速制御に切り換える。このとき、急変速中でなければ、フィードフォワード制御及びフィードバック制御による目標入力回転数とフィードバック制御のみによる目標入力回転数との差分は小さくなっているので、フィードフォワード制御及びフィードバック制御による変速制御からフィードバック制御のみによる変速制御に切り換えても、目標入力回転数が急激に変動することを防止することができる。この結果、変速ショックの発生を抑制しつつフィードバック制御による正常な変速制御に移行することができる。
次に、図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係るベルト式無段変速機1の変速制御を説明する。なお、この制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、ECU5は、現在の車両の運転状態がモデルベースの前提条件通りに動作している場合には、FB制御部54によるフィードバック制御とFF制御部55によるフィードフォワード制御とに基づいて目標入力回転数(目標変速比)になるように実入力回転数(実変速比)を変速制御する(S100)。これにより、目標入力回転数(目標変速比)に対する実入力回転数(実変速比)の追従性、応答性を良好に維持することができる。
次に、ECU5のFF制御実行条件不成立判定部56は、FF制御部55によるフィードフォワード制御の実行条件が不成立であるか否かを判定する(S102)。例えば、気候条件の変動などにより現在の車両の運転状態がモデルベースの前提条件からずれたりした場合にFF制御部55によるフィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定される。FF制御部55によるフィードフォワード制御の実行条件が成立していると判定された場合(S102:No)、適正なフィードフォワード制御が可能な運転状態であることから、FF制御継続部59は、FF制御実行フラグをONのまま継続し(OFFであればONにし)、FB制御部54によるフィードバック制御とFF制御部55によるフィードフォワード制御とによる変速制御を継続し(S108)、次の制御周期に移行する。
FF制御部55によるフィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定された場合(S102:Yes)、ECU5の急変速判定部57は、現在急変速中であるか否かを判定する(S104)。急変速中であると判定された場合(S104:Yes)、FF制御継続部59は、適正なフィードフォワード制御が不能な運転状態であっても、FF制御実行フラグをONのまま継続し、FB制御部54によるフィードバック制御とFF制御部55によるフィードフォワード制御とによる変速制御を継続し(S108)、次の制御周期に移行する。これにより、目標入力回転数の急変動を防止することができ、実入力回転数が目標入力回転数の急変動に追従するように急変動することを抑制することができ、変速ショックの発生を抑制することができる。
急変速中でないと判定された場合(S104:No)、FF制御禁止部58は、FF制御実行フラグをOFFとし、FF制御部55によるフィードフォワード制御を禁止し(S106)、FB制御部54によるフィードバック制御のみの変速制御に切り換えて、次の制御周期に移行する。これにより、変速ショックの発生を抑制しつつフィードバック制御による正常な変速制御に移行することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1によれば、エンジン100からの駆動力をプライマリプーリ2からセカンダリプーリ3に伝達可能であると共にプライマリプーリ2とセカンダリプーリ3との回転数比(回転速度比)である変速比を無段階に変更可能であり、目標の変速比である目標変速比に応じた目標入力回転数と実際の変速比である実変速比に応じた実入力回転数との偏差に基づいたフィードバック制御と目標変速比に応じた目標入力回転数に基づいたフィードフォワード制御とによって実入力回転数が目標入力回転数になるように制御されるベルト式無段変速機1において、フィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になった場合にフィードフォワード制御を継続するECU5を備える。
したがって、ECU5がフィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になった場合にフィードフォワード制御を継続するので、急変速中においてフィードフォワード制御及びフィードバック制御による変速制御からフィードバック制御のみによる変速制御に切り換わることで目標入力回転数が急激に変動することが防止されることから、変速ショックの発生を抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1によれば、ECU5は、フィードバック制御を実行するFB制御部54と、フィードフォワード制御を実行するFF制御部55と、フィードフォワード制御の実行条件の不成立を判定するFF制御実行条件不成立判定部56と、実変速比の急変速を判定する急変速判定部57と、FF制御実行条件不成立判定部56によりフィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定された際にFF制御部55によるフィードフォワード制御を禁止可能なFF制御禁止部58と、FF制御禁止部58によりFF制御部55によるフィードフォワード制御を禁止可能な条件において急変速判定部57により実変速比が急変速中であると判定された際にFF制御部55によるフィードフォワード制御を継続するFF制御継続部59とを有する。
したがって、ECU5は、FF制御実行条件不成立判定部56がフィードフォワード制御の実行条件の不成立を判定すると共に急変速判定部57が実変速比の急変速を判定し、FF制御実行条件不成立判定部56によりフィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定され、かつ、急変速判定部57により実変速比が急変速中であると判定された際に、FF制御継続部59がFF制御部55によるフィードフォワード制御を継続することから、フィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になった場合でもフィードフォワード制御を確実に継続することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1によれば、FF制御禁止部58は、急変速判定部57により実変速比が急変速中でないと判定された際にFF制御部55によるフィードフォワード制御を禁止する。したがって、フィードフォワード制御及びフィードバック制御による変速制御からフィードバック制御のみによる変速制御に切り換える場合に、変速ショックの発生を抑制しつつフィードバック制御による正常な変速制御に移行することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機1によれば、駆動力をプライマリプーリ2からセカンダリプーリ3に伝達可能なベルト4を備える。すなわち、ベルト式無段変速機1は、エンジン100からの駆動力が伝達されるプライマリプーリ軸21とこのプライマリプーリ軸21上を軸線方向に摺動するプライマリ可動シーブ23とこのプライマリ可動シーブ23に軸線方向に対向するとともにプライマリ可動シーブ23との間でプライマリ溝27を形成するプライマリ固定シーブ22とからなるプライマリプーリ2と、プライマリプーリ軸21と平行に配置されるセカンダリプーリ軸31とこのセカンダリプーリ軸31上を軸線方向に摺動するセカンダリ可動シーブ33とセカンダリ可動シーブ33に軸線方向に対向するとともにセカンダリ可動シーブ33との間でセカンダリ溝37を形成するセカンダリ固定シーブ32とからなるセカンダリプーリ3と、プライマリ溝27とセカンダリ溝37との間に巻き掛けられるベルト4とを備える。
なお、上述した本発明の実施形態に係る無段変速機は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
図5は、本発明の変形例に係るトロイダル式無段変速機の概略構成図である。以上の図1乃至図4の説明では、本発明の無段変速機をベルト式無段変速機1に適用した場合で説明したが、これに限らず、本発明の無段変速機は、図5に示すような、いわゆるトロイダル式無段変速機1Aに適用することもできる。なお、本図では上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
変形例に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機1Aは、駆動力を入力側部材としての入力ディスク2Aから出力側部材としての出力ディスク3Aに伝達可能なパワーローラ4Aを備える。このトロイダル式無段変速機1Aは、入力ディスク2Aと出力ディスク3Aとによって形成される2組のキャビティC1、C2を有する、いわゆる、ダブルキャビティ型のトロイダル式無段変速機である。パワーローラ4Aは、一対の入力ディスク2A及び出力ディスク3Aによって形成される1つのキャビティに対してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられる。
トロイダル式無段変速機1Aは、入力ディスク2Aと出力ディスク3Aとの間に挟み込んだパワーローラ4Aを介して各入力ディスク2Aと出力ディスク3Aの間でトルクを伝達すると共に、パワーローラ4Aを傾転させて変速比を変化させる。すなわち、このトロイダル式無段変速機1Aは、トロイダル面2A’、3A’を有する入力ディスク2Aと出力ディスク3Aとの間に、外周面をトロイダル面2A’、3A’に対応する曲面としたパワーローラ4Aなどの回転部材を挟み込み、これら入力ディスク2A、出力ディスク3A及びパワーローラ4Aとの間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するものである。
そして、このパワーローラ4Aは、トラニオンにより回転自在に支持されており、このトラニオンは、揺動軸を中心として揺動可能であると共に、例えば、トラニオンに設けられたピストンに対して油圧室に供給される作動油の油圧により変速制御押圧力を作用させることで、この揺動軸に沿った方向に移動可能に構成されている。したがって、トラニオンに支持されるパワーローラ4Aがこのトラニオンと共に入力ディスク2A及び出力ディスク3Aに対する中立位置から変速位置に移動することで、パワーローラ4Aと入力ディスク2A、出力ディスク3Aとの間に接線力が作用しサイドスリップが発生し、このパワーローラ4Aが入力ディスク2A及び出力ディスク3Aに対して揺動軸を中心として揺動、すなわち、傾転し、この結果、入力ディスク2Aと出力ディスク3Aとの回転数比である変速比が変更される。そして、入力ディスク2Aと出力ディスク3Aとの回転数比である変速比は、パワーローラ4Aが入力ディスク2A及び出力ディスク3Aに対して傾転する角度、すなわち、傾転角に基づいて決まり、この傾転角は、当該パワーローラ4Aの中立位置から変速位置側への移動量としてのストローク量(オフセット量)の積分値に基づいて決まる。
そして、このようなトロイダル式無段変速機1Aは、傾転角センサによって検出されるパワーローラ4Aの傾転角とストロークセンサによって検出されるストローク量に基づいて、実変速比(実際の変速比)が目標変速比(変速後の目標の変速比)となるようにカスケード式のフィードバック制御を行うと共に、変速比の応答性を向上するためにこのフィードバック制御と共にフィードフォワード制御をあわせて行うことがある。この場合でも、ECU5がフィードフォワード制御実行中の急変速時に適正なフィードフォワード制御が不能になった場合にフィードフォワード制御を継続することから、急変速中においてフィードフォワード制御及びフィードバック制御による変速制御からフィードバック制御のみによる変速制御に切り換わることで目標入力回転数が急激に変動することを防止することができ、変速ショックの発生を抑制することができる。
以上のように、本発明に係る無段変速機は、変速ショックの発生を抑制することができるものであり、種々の無段変速機に用いて好適である。
本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機の概略構成図である。 本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機のECUを表すブロック図である。 本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機の変速制御を説明する線図である。 本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機の変速制御を説明するフローチャートである。 本発明の変形例に係るトロイダル式無段変速機の概略構成図である。 従来の無段変速機の変速制御を説明する線図である。
符号の説明
1 ベルト式無段変速機(無段変速機)
2 プライマリプーリ(入力側部材)
3 セカンダリプーリ(出力側部材)
4 ベルト
5 ECU(制御手段)
6 油圧制御装置
21 プライマリプーリ軸
22 プライマリ固定シーブ
23 プライマリ可動シーブ
24 プライマリ油圧室
27 プライマリ溝
28 プライマリピストン
31 セカンダリプーリ軸
32 セカンダリ固定シーブ
33 セカンダリ可動シーブ
34 セカンダリ油圧室
37 セカンダリ溝
38 セカンダリピストン
54 FB制御部(フィードバック制御手段)
55 FF制御部(フィードフォワード制御手段)
56 FF制御実行条件不成立判定部(不成立判定手段)
57 急変速判定部(急変速判定手段)
58 FF制御禁止部(フィードフォワード制御禁止手段)
59 FF制御継続部(フィードフォワード制御継続手段)
100 エンジン(駆動源)
1A トロイダル式無段変速機(無段変速機)
2A 入力ディスク(入力側部材)
3A 出力ディスク(出力側部材)
4A パワーローラ

Claims (5)

  1. 駆動源からの駆動力を入力側部材から出力側部材に伝達可能であると共に前記入力側部材と前記出力側部材との回転速度比である変速比を無段階に変更可能であり、目標の変速比である目標変速比と実際の変速比である実変速比との偏差に基づいたフィードバック制御と前記目標変速比に基づいたフィードフォワード制御とによって前記実変速比が前記目標変速比になるように制御される無段変速機において、
    前記フィードフォワード制御実行中の急変速時に適正な前記フィードフォワード制御が不能になった場合に前記フィードフォワード制御を継続する制御手段を備えることを特徴とする、
    無段変速機。
  2. 前記制御手段は、前記フィードバック制御を実行するフィードバック制御手段と、前記フィードフォワード制御を実行するフィードフォワード制御手段と、前記フィードフォワード制御の実行条件の不成立を判定する不成立判定手段と、前記実変速比の急変速を判定する急変速判定手段と、前記不成立判定手段により前記フィードフォワード制御の実行条件が不成立であると判定された際に前記フィードフォワード制御手段による前記フィードフォワード制御を禁止可能なフィードフォワード制御禁止手段と、前記フィードフォワード制御禁止手段により前記フィードフォワード制御を禁止可能な条件において前記急変速判定手段により前記実変速比が急変速中であると判定された際に前記フィードフォワード制御手段による前記フィードフォワード制御を継続するフィードフォワード制御継続手段とを有することを特徴とする、
    請求項1に記載の無段変速機。
  3. 前記フィードフォワード制御禁止手段は、前記急変速判定手段により前記実変速比が急変速中でないと判定された際に前記フィードフォワード制御手段による前記フィードフォワード制御を禁止することを特徴とする、
    請求項2に記載の無段変速機。
  4. 前記駆動力を前記入力側部材から前記出力側部材に伝達可能なベルトを備えることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無段変速機。
  5. 前記駆動力を前記入力側部材から前記出力側部材に伝達可能なパワーローラを備えることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無段変速機。
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