JP2009275885A - 無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】適正に駆動力を伝達することができる無段変速機を提供する。
【解決手段】挟圧力発生油圧室に供給される作動媒体の圧力を入力ディスクの回転に伴って回転する圧力作用面に作用させることで入力ディスク2と出力ディスクとの間にパワーローラ4を挟み込む挟圧力を作用可能な挟圧手段15と、出力ディスクの現在の実際の回転速度である実出力回転速度で実現可能な入力ディスク2の目標の回転速度である目標入力回転速度の最低速度である最低目標入力回転速度に応じた作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の挟圧力から最低目標入力回転速度に応じた作動媒体の遠心圧力を減じた挟圧力となるように挟圧手段15を制御する制御手段60を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、無段変速機に関し、特に、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力を車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達する無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、このような無段変速機、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)には、例えば、入力ディスクと出力ディスクとの間に挟み込んだパワーローラを介して各ディスクの間でトルクを伝達すると共に、パワーローラを傾転させて変速比を変化させる、いわゆる、トロイダル式の無段変速機や、駆動源からの駆動力が伝達されるプライマリプーリ及びプライマリプーリに伝達された駆動力を変化させて出力するセカンダリプーリと、このプライマリプーリに伝達された駆動力をセカンダリプーリに伝達するベルトとにより構成される、いわゆる、ベルト式の無段変速機などがある。
例えば、トロイダル式無段変速機は、トロイダル面を有する入力ディスクと出力ディスクとの間に、外周面をトロイダル面に対応する曲面としたパワーローラなどの回転手段を挟み込み、これら入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラとの間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するものである。そして、このパワーローラは、トラニオンにより回転自在に支持されており、このトラニオンは、揺動軸を中心として揺動可能であると共に、例えば、トラニオンに設けられたピストンに対して変速制御油圧室に供給される作動油の油圧により変速制御押圧力を作用させることで、この揺動軸に沿った方向に移動可能に構成されている。したがって、トラニオンに支持されるパワーローラがこのトラニオンと共に入力ディスク及び出力ディスクに対する中立位置から変速位置に移動することで、パワーローラとディスクとの間に接線力が作用しサイドスリップが発生し、このパワーローラが入力ディスク及び出力ディスクに対して揺動軸を中心として揺動、すなわち、傾転し、この結果、入力ディスクと出力ディスクとの回転数比である変速比が変更される。そして、入力ディスクと出力ディスクとの回転数比である変速比は、パワーローラが入力ディスク及び出力ディスクに対して傾転する角度、すなわち、傾転角に基づいて決まり、この傾転角は、当該パワーローラの中立位置から変速位置側への移動量としてのストローク量(オフセット量)の積分値に基づいて決まる。
ここで、このようなトロイダル式無段変速機は、例えば、挟圧手段により入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラを挟み込むための所定の挟圧力を作用させることで、入力ディスク、出力ディスクとパワーローラとの接触部分において適正なトラクション状態を維持している。そして、このような挟圧手段は、例えば、挟圧力発生油圧室に供給される作動媒体としての作動油の圧力を入力ディスクの回転に伴って回転する圧力作用面に作用させることで入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラを挟み込む挟圧力を作用させる。
このような油圧式の挟圧手段は、上述のベルト式無段変速機にも設けられている。すなわち、例えば、特許文献1に記載されている油圧制御装置が適用されたベルト式無段変速機は、挟圧力発生油圧室に供給される作動媒体としての作動油の圧力をプライマリプーリの回転に伴って回転する圧力作用面に作用させることで可動シーブを固定シーブ側に押圧し、これにより、可動シーブと固定シーブとの間にベルトを挟み込むベルト挟圧力を作用させる。
特開2004−19882号公報
ところで、上述のような油圧式の挟圧手段は、挟圧力発生油圧室に供給される作動油が圧力作用面などと共に回転することよりこの作動油に遠心力が発生し、作動油の遠心力による油圧、すなわち、遠心油圧が圧力作用面に作用することがある。これにより、圧力作用面に作用させる油圧の制御が不正確になるおそれがある。上述の特許文献1に記載されている油圧制御装置では、このような無段変速機などの回転部材に給排される作動油に発生する遠心油圧を回転部材の回転速度の変化に対する作動油の回転速度の変化の遅れを見込んで検出し、検出した遠心油圧に基づいて油圧制御をおこなうことで適正な挟圧力を作用させベルトなどの伝達部材の滑りや動力の伝達効率の低下などの防止を図っているものの、例えば、より簡易な構成で適正な駆動力の伝達を実現可能な無段変速機が望まれていた。
そこで本発明は、適正に駆動力を伝達することができる無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による無段変速機は、駆動力が入力される入力ディスクと、前記駆動力が出力される出力ディスクと、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に設けられるパワーローラと、前記パワーローラを回転自在、かつ、傾転自在に支持すると共に、前記パワーローラを傾転させることで前記入力ディスクと前記出力ディスクとの回転速度比である変速比を変更可能な変速比変更手段と、挟圧力発生油圧室に供給される作動媒体の圧力を前記入力ディスクの回転に伴って回転する圧力作用面に作用させることで前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に前記パワーローラを挟み込む挟圧力を作用可能な挟圧手段と、前記出力ディスクの現在の実際の回転速度である実出力回転速度で実現可能な前記入力ディスクの目標の回転速度である目標入力回転速度の最低速度である最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の前記挟圧力から前記最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明による無段変速機では、前記最低目標入力回転速度は、前記実出力回転速度に対する変化率が、前記実出力回転速度が高い側より低い側の方が小さく設定されることを特徴する。
請求項3に係る発明による無段変速機では、前記制御手段は、運転状態に応じて設定される前記目標入力回転速度が増加する場合に、目標の前記挟圧力から前記最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御することを特徴とする。
請求項4に係る発明による無段変速機では、前記制御手段は、運転状態に応じて設定される前記目標入力回転速度が定常的である場合に、前記入力ディスクの現在の実際の回転速度である実入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の前記挟圧力から前記実入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御することを特徴とする。
請求項5に係る発明による無段変速機では、前記制御手段は、運転状態に応じて設定される前記目標入力回転速度の変化量が予め設定された所定範囲内で予め設定される所定期間継続した際に、前記目標入力回転速度が定常的であると判定することを特徴とする。
請求項6に係る発明による無段変速機では、前記制御手段は、運転状態に応じて設定される前記目標入力回転速度が低下する場合に、前記入力ディスクの現在の実際の回転速度である実入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の前記挟圧力から前記実入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御することを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項7に係る発明による無段変速機は、駆動源からの駆動力を入力側部材から出力側部材に伝達可能であると共に前記入力側部材と前記出力側部材との回転速度比である変速比を無段階に変更可能な無段変速機において、前記駆動力を前記入力側部材側から前記出力側部材側に伝達可能な伝達部材と、挟圧力発生油圧室に供給される作動媒体の圧力を前記入力側部材の回転に伴って回転する圧力作用面に作用させることで、第1挟圧部材と当該第1挟圧部材に対向する第2挟圧部材との間に前記伝達部材を挟み込む挟圧力を作用可能な挟圧手段と、前記出力側部材の現在の実際の回転速度である実出力回転速度で実現可能な前記入力側部材の目標の回転速度である目標入力回転速度の最低速度である最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の前記挟圧力から前記最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る無段変速機によれば、出力ディスクの現在の実際の回転速度である実出力回転速度で実現可能な入力ディスクの目標の回転速度である目標入力回転速度の最低速度である最低目標入力回転速度に応じた作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の挟圧力から最低目標入力回転速度に応じた作動媒体の遠心圧力を減じた挟圧力となるように挟圧手段を制御する制御手段を備えるので、適正に駆動力を伝達することができる。
本発明に係る無段変速機によれば、出力側部材の現在の実際の回転速度である実出力回転速度で実現可能な入力側部材の目標の回転速度である目標入力回転速度の最低速度である最低目標入力回転速度に応じた作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の挟圧力から最低目標入力回転速度に応じた作動媒体の遠心圧力を減じた挟圧力となるように挟圧手段を制御する制御手段を備えるので、適正に駆動力を伝達することができる。
以下に、本発明に係る無段変速機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の概略断面図、図2は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の要部の構成図、図3は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する中立位置を説明する模式図、図4は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する変速位置を説明する模式図、図5は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機における最低目標入力回転数を求めるための目標入力回転数マップ、図6は、本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機における遠心油圧を求めるための遠心油圧マップである。
なお、図2は、無段変速機としてのトロイダル式無段変速機を構成する各パワーローラのうち任意のパワーローラと、このパワーローラに接触する入力ディスクを示す図である。また、図3、図4は、入力ディスクを出力ディスク側から見た図であり、入力ディスクとパワーローラをそれぞれ1つだけ模式的に図示している。
ここで、以下で説明する実施形態では、本発明の無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源としてエンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機を駆動源として用いてもよい。また、駆動源として内燃機関及び電動機を併用してもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機1は、車両に搭載される駆動源としてのエンジン21からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で車輪27に伝達するためのものであり、変速比を無段階(連続的)に制御することができる、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)である。このトロイダル式無段変速機1は、入力ディスク2と出力ディスク3との間に挟み込んだパワーローラ4を介して各入力ディスク2と出力ディスク3の間でトルクを伝達すると共に、パワーローラ4を傾転させて変速比を変化させる、いわゆる、トロイダル式の無段変速機である。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、トロイダル面2a、3aを有する入力ディスク2と出力ディスク3との間に、外周面をトロイダル面2a、3aに対応する曲面としたパワーローラ4を挟み込み、これら入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ4との間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するものである。
具体的には、このトロイダル式無段変速機1は、図1、図2に示すように、入力側部材としての入力ディスク2と、出力側部材としての出力ディスク3と、伝達部材としてのパワーローラ4と、変速比変更手段としての変速比変更部5とを備える。変速比変更部5は、支持手段としてのトラニオン6と、移動手段としての移動部7を有する。さらに、移動部7は、油圧ピストン部8と、油圧制御手段としての油圧制御装置9とを有する。また、このトロイダル式無段変速機1は、トロイダル式無段変速機1の各部を制御する制御手段としての電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)60を備える。このトロイダル式無段変速機1では、入力ディスク2と出力ディスク3とに接触して設けられるパワーローラ4が移動部7により入力ディスク2及び出力ディスク3に対して中立位置から変速位置に移動することで、入力ディスク2と出力ディスク3との回転数比である変速比が変更される。なお、本実施形態では、入力ディスク2は、本発明の入力側部材に相当すると共に第1挟圧部材にも相当し、出力ディスク3は、本発明の出力側部材に相当すると共に第2挟圧部材にも相当する。
入力ディスク2は、エンジン21側からの駆動力(トルク)が、例えば、発進機構であり流体伝達装置であるトルクコンバータ22や前後進切換機構23などを介して伝達(入力)されるものである。
エンジン21は、このエンジン21が搭載された車両を前進あるいは後進させるためのエンジントルク、すなわち、駆動力を出力するものである。また、エンジン21は、ECU60に電気的に接続されており、このECU60によってその駆動が制御され、出力する駆動力が制御されている。エンジン21からの駆動力は、クランクシャフト21aを介してトルクコンバータ22に伝達される。
トルクコンバータ22は、前後進切換機構23を介してエンジン21からの駆動力をトロイダル式無段変速機1に伝達するものである。トルクコンバータ22は、ポンプ(ポンプインペラ)、タービン(タービンランナ)、ステータ、ロックアップクラッチを備える。ポンプは、フロントカバー等を介してエンジン21のクランクシャフト21aに連結されており、クランクシャフト21a、フロントカバーと共に回転可能に設けられている。タービンは、上記ポンプと対向するように配置されている。このタービンは、インプットシャフト22a、前後進切換機構23を介して入力軸10に連結されており、入力軸10と共にクランクシャフト21aと同一の軸線を中心に回転可能に設けられている。ステータは、そのポンプとタービンとの間に配置されている。ロックアップクラッチは、このタービンとフロントカバーとの間に設けられており、タービンに連結されている。
したがって、このトルクコンバータ22は、エンジン21の駆動力(エンジントルク)がクランクシャフト21aからフロントカバーを介してポンプに伝達される。そして、ロックアップクラッチが解放されている場合には、このポンプに伝達された駆動力は、ポンプとタービンとの間に介在する作動流体である作動油を介してタービン、インプットシャフト22a、入力軸10に伝達される。このとき、トルクコンバータ22は、ステータにより、ポンプとタービンとの間を循環する作動油の流れを変化させ所定のトルク特性を得ることができる。そして、トルクコンバータ22は、タービンに連結されているロックアップクラッチがフロントカバーに係合されている場合、フロントカバーを介してポンプに伝達されたエンジン21からの駆動力は、作動油を介さずに直接的に入力軸10に伝達される。ここで、ロックアップクラッチの係合及び係合の解除、すなわち、ON、OFFを行うON/OFF制御は、後述する油圧制御装置9から供給される作動油によって行われる。油圧制御装置9は、後述するECU60と接続されている。したがって、ロックアップクラッチのON/OFF制御は、ECU60により行われる。
前後進切換機構23は、トルクコンバータ22を介して伝達されたエンジン21からの駆動力をトロイダル式無段変速機1の入力ディスク2に伝達するものである。前後進切換機構23は、例えば、遊星歯車機構と、フォワードクラッチ(摩擦クラッチ)及びリバースブレーキ(摩擦ブレーキ)などによって構成され、エンジン21の駆動力を直接、あるいは反転して入力ディスク2に伝達するものである。つまり、前後進切換機構23を介したエンジン21の駆動力は、入力ディスク2を正回転させる方向(車両が前進する際に入力ディスク2が回転する方向)に作用する正回転駆動力として、あるいは、入力ディスク2を逆回転させる方向(車両が後進する際に入力ディスク2が回転する方向)に作用する逆回転駆動力として、入力ディスク2に伝達される。この前後進切換機構23による駆動力の伝達方向の切換制御は、フォワードクラッチ、リバースブレーキの係合及び係合の解除、すなわち、ON、OFFを行うON/OFF制御を実行することで行われる。前後進切換機構23による駆動力の伝達方向の切換制御、言い換えれば、フォワードクラッチ、リバースブレーキのON/OFF制御は、後述する油圧制御装置9から供給される作動油により行われる。したがって、前後進切換機構23の切換制御は、ECU60により行われている。
前後進切換機構23は、例えば、車両の前進走行時には、フォワードクラッチがON、リバースブレーキがOFFにされる。また、車両の後進走行時には、フォワードクラッチがOFF、リバースブレーキがONにされる。これにより、前後進切換機構23は、トルクの回転方向を切り替えることができる。そして、前後進切換機構23は、ニュートラル時には、フォワードクラッチがOFF、リバースブレーキがOFFにされる。
入力ディスク2は、エンジン21の回転に基づいて回転される入力軸10に2つが結合されており、この入力軸10により回転自在に設けられている。さらに言えば、各入力ディスク2は、入力軸10と同一の回転をするバリエータ軸11によって回転される。したがって、各入力ディスク2は、入力軸10の回転軸線X1を回転中心として回転可能である。このトロイダル式無段変速機1は、バリエータ軸11に対して、フロント側(エンジン21側)にフロント側入力ディスク2が設けられ、回転軸線X1に沿った方向にフロント側入力ディスク2に対して所定の間隔をあけてリア側(車輪27側)にリア側入力ディスク2が設けられる。
フロント側入力ディスク2は、ボールスプライン11aを介してバリエータ軸11に支持されている。つまり、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、このバリエータ軸11に対して回転軸線X1に沿った方向に移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しない一方、回転軸線X1に沿った方向には相対的に変位可能である。一方、リア側入力ディスク2は、スプライン嵌合部を介してバリエータ軸11に支持されていると共に、バリエータ軸11のリア側端部に設けられたスナップリング11bにより回転軸線X1に沿った方向への移動が制限されている。つまり、リア側入力ディスク2は、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、バリエータ軸11の回転軸線X1に沿った方向の移動に伴って移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、リア側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しないと共に、回転軸線X1に沿った方向にも相対的に変位しない。なお、以下の説明では、フロント側入力ディスク2とリア側入力ディスク2とを特に区別する必要がない場合、単に「入力ディスク2」と略記する。
各々の入力ディスク2は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する形状をなす。各入力ディスク2の突出部分の斜面は、回転軸線X1方向に沿った断面がほぼ円弧形状となるように形成され各入力ディスク2のトロイダル面2aをなす。2つの入力ディスク2は、トロイダル面2aが互いに対向するように設けられる。
出力ディスク3は、各入力ディスク2に伝達(入力)された駆動力を車輪27側に伝達(出力)するものであり、各入力ディスク2に対応して1つずつ、合計2つ設けられる。このトロイダル式無段変速機1は、バリエータ軸11に対して、フロント側(エンジン21側)にフロント側出力ディスク3が設けられ、リア側(車輪27側)にリア側出力ディスク3が設けられる。フロント側出力ディスク3とリア側出力ディスク3とは、共に回転軸線X1に沿った方向に対してフロント側入力ディスク2とリア側入力ディスク2との間に設けられ、さらに言えば、リア側出力ディスク3は、フロント側出力ディスク3とリア側入力ディスク2との間に設けられている。つまり、このトロイダル式無段変速機1は、回転軸線X1に沿った方向に対して、フロント側からフロント側入力ディスク2、フロント側出力ディスク3、リア側出力ディスク3、リア側入力ディスク2の順で設けられている。なお、以下の説明では、フロント側出力ディスク3とリア側出力ディスク3とを特に区別する必要がない場合、単に「出力ディスク3」と略記する。
各入力ディスク2と各出力ディスク3とは、回転軸線X1に同軸上に入力軸10に対して相対的に回転自在に設けられる。したがって、各出力ディスク3は、回転軸線X1を回転中心として回転可能である。そして、各出力ディスク3は、各入力ディスク2とほぼ同一な形状をなし、すなわち、各々の出力ディスク3は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する形状をなす。各出力ディスク3の突出部分の斜面は、回転軸線X1方向に沿った断面がほぼ円弧形状となるように形成され各出力ディスク3のトロイダル面3aをなす。そして、各出力ディスク3は、上述のように回転軸線X1に沿った方向に対して2つの入力ディスク2の間に設けられると共に、各トロイダル面3aが各入力ディスク2のトロイダル面2aにそれぞれ対向するように設けられる。すなわち、回転軸線X1に沿った断面内において、一方のフロント側入力ディスク2のトロイダル面2aとフロント側出力ディスク3のトロイダル面3aとが対向してフロント側(エンジン21側)半円キャビティCを形成し、他方のリア側入力ディスク2のトロイダル面2aとリア側出力ディスク3のトロイダル面3aとが対向して別のリア側(車輪27側)半円キャビティCを形成している。
また、各出力ディスク3は、ベアリングを介しバリエータ軸11に回転可能に支持されている。この2つの出力ディスク3の間には、出力ギヤ12が連結されており、この出力ギヤ12は、2つの出力ディスク3と共に一体で回転可能である。出力ギヤ12には、カウンターギヤ13がかみ合わされており、このカウンターギヤ13に出力軸14が連結されている。したがって、各出力ディスク3の回転に伴い、出力軸14が回転する。そして、この出力軸14は、動力伝達機構24、ディファレンシャルギヤ25等を介して車輪27に接続されており、駆動力は、動力伝達機構24、ディファレンシャルギヤ25等を介して車輪27に伝達(出力)される。
動力伝達機構24は、トロイダル式無段変速機1とディファレンシャルギヤ25との間で、駆動力の伝達を行うものである。動力伝達機構24は、出力ディスク3とディファレンシャルギヤ25との間に配置される。ディファレンシャルギヤ25は、動力伝達機構24と車輪27との間で、駆動力の伝達を行うものである。ディファレンシャルギヤ25は、動力伝達機構24と車輪27との間に配置されている。ディファレンシャルギヤ25には、ドライブシャフト26が連結されている。ドライブシャフト26には、車輪27が取り付けられている。
パワーローラ4は、入力ディスク2と出力ディスク3との間にこの入力ディスク2と出力ディスク3とに接触して設けられ、入力ディスク2からの駆動力を出力ディスク3に伝達するものである。すなわち、パワーローラ4は、外周面がトロイダル面2a、3aに対応した曲面状の接触面4aとして形成される。そして、パワーローラ4は、入力ディスク2と出力ディスク3との間に挟持され、接触面4aがトロイダル面2a、3aに接触可能であり、各パワーローラ4は、それぞれ後述するトラニオン6によってこの接触面4aがトロイダル面2a、3aに接触しながら、回転軸線X2を回転中心として回転自在に支持されている。パワーローラ4は、トロイダル式無段変速機1に供給されるトラクションオイルにより入力ディスク2と出力ディスク3のトロイダル面2a、3aとパワーローラ4の接触面4aとの間に形成される油膜のせん断力を用いて駆動力(トルク)を伝達する。
パワーローラ4は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3によって形成される1つのキャビティに対してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられる。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、フロント側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4が一対で設けられ、リア側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4が一対で設けられる。
さらに具体的には、パワーローラ4は、パワーローラ本体41と、外輪42とにより構成される。パワーローラ本体41は、外周面に入力ディスク2、出力ディスク3のトロイダル面2a、3aと接触する上述の接触面4aが形成されている。パワーローラ本体41は、外輪42に形成された回転軸42aに対して、ラジアルベアリングRBを介して回転自在に支持されている。また、パワーローラ本体41は、外輪42のパワーローラ本体41と対向する面に対して、スラストベアリングSBを介して回転自在に支持されている。したがって、パワーローラ本体41は、回転軸42aの回転軸線X2を回転中心として回転可能である。
外輪42は、上述の回転軸42aと共に偏心軸42bが形成されている。偏心軸42bは、回転軸線X2’が回転軸42aの回転軸線X2に対してずれた位置となるように形成されている。偏心軸42bは、後述するトラニオン6のローラ支持部6aに凹部として形成される嵌合部6dに対して、ラジアルベアリングRBを介して回転自在に支持されている。したがって、外輪42は、偏心軸42bの回転軸線X2’を中心として回転可能である。つまり、パワーローラ4は、トラニオン6に対して、回転軸線X2及び回転軸線X2’を中心として回転可能となり、すなわち、回転軸線X2’を中心として公転可能でかつ回転軸線X2を中心として自転可能となる。これにより、パワーローラ4は、回転軸線X1に沿った方向に移動可能な構成となり、例えば、部品変形や部品精度のバラツキを許容することが可能となる。
ここで、入力軸10は、挟圧手段としての油圧押圧(エンドロード)機構15に接続される。油圧押圧機構15は、入力ディスク2及び出力ディスク3とパワーローラ4とを接触させ、この入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力を作用させるものである。この油圧押圧機構15は、挟圧力発生油圧室15aと、挟圧押圧力ピストン15bとを有する。油圧押圧機構15は、この挟圧力発生油圧室15aに供給される作動媒体としての作動油の圧力、すなわち、油圧を入力ディスク2の回転に伴って回転する圧力作用面としてのフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に作用させることで入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込む挟圧力を作用可能のものである。
具体的には、挟圧力発生油圧室15aは、2つの入力ディスク2に対して回転軸線X1に沿った方向の一方側に設けられる。ここでは、挟圧力発生油圧室15aは、回転軸線X1に沿った方向に対してフロント側入力ディスク2側に設けられ、入力軸10とフロント側入力ディスク2との間に配置される。挟圧力発生油圧室15aは、運転状態に応じて油圧制御装置9から内部に作動油が供給される。
挟圧押圧力ピストン15bは、円板状に形成され、その中心が回転軸線X1とほぼ一致するようにバリエータ軸11の一端部に設けられる。挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11のリア側入力ディスク2が設けられている端部とは反対側の端部、すなわち、フロント側(エンジン21側)に設けられている。挟圧押圧力ピストン15bは、回転軸線X1に沿った方向に対して、入力軸10とフロント側入力ディスク2との間にフロント側入力ディスク2と間隔をあけて配置される。上述の挟圧力発生油圧室15aは、この挟圧押圧力ピストン15bとフロント側入力ディスク2との間に設けられている。
また、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11に対してこのバリエータ軸11と共に回転軸線X1を中心として回転可能であり、回転軸線X1に沿った方向に移動可能に設けられる。つまり、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、バリエータ軸11の回転軸線X1に沿った方向の移動に伴って移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しないと共に、回転軸線X1に沿った方向にも相対的に変位しない。したがって、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bは、一体となって回転軸線X1を中心として回転可能であり回転軸線X1に沿った方向に移動可能である。また、フロント側入力ディスク2は、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bと共に一体となって回転軸線X1を中心として回転可能である一方で、ボールスプライン11aによって、このリア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bに対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能である。
さらに、挟圧押圧力ピストン15bは、入力軸10にも連結されており、この入力軸10と共に回転軸線X1を中心として回転可能であり、また、回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能に設けられる。つまり、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bは、入力軸10と一体となって回転軸線X1を中心として回転可能である一方で、この入力軸10に対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能である。入力軸10からの駆動力は、バリエータ軸11に伝達され、バリエータ軸11からフロント側入力ディスク2、リア側入力ディスク2に伝達される。
また、フロント側入力ディスク2は、上述のフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28を有する一方、挟圧押圧力ピストン15bは、上述のリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29を有する。フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28は、フロント側入力ディスク2にて、パワーローラ4との接触面であるトロイダル面2aの背面に設けられる。リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29は、挟圧押圧力ピストン15bにて、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28と回転軸線X1に沿った方向に対向する面に設けられる。リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29は、上述の挟圧力発生油圧室15aを挟んでフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28と対向するように設けられる。挟圧力発生油圧室15aは、挟圧押圧力ピストン15bとフロント側入力ディスク2との間でフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28とリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29とによって回転軸線X1に沿った方向に対して区画されている。つまり、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28とリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29とは、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28がリア側で挟圧力発生油圧室15aに対向し、リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29がフロント側で挟圧力発生油圧室15aに対向する。
したがって、油圧押圧機構15は、挟圧力発生油圧室15a内に供給される作動油の油圧によりフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に挟圧押圧力を作用させることで、フロント側入力ディスク2を油圧押圧機構15側からリア側に離間する方向へ移動させ、リア側入力ディスク2をバリエータ軸11と共にリア側から油圧押圧機構15側に接近する方向へ移動させる。このとき、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動する。そして、油圧押圧機構15は、フロント側入力ディスク2を油圧押圧機構15側からリア側に移動させ、リア側入力ディスク2をバリエータ軸11と共にフロント側に接近する方向へ移動させることで、フロント側入力ディスク2をフロント側出力ディスク3側に接近させると共にリア側入力ディスク2をリア側出力ディスク3側に接近させ、フロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間及びリア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟圧力を発生させる。これにより、油圧押圧機構15は、フロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間及びリア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟圧力を発生させることから、各パワーローラ4をそれぞれ所定の挟圧力でフロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間、リア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟み込むことができる。この結果、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間のスリップを防ぎ、適正なトラクション状態を維持することができる。
ここで油圧押圧機構15による挟圧押圧力、言い換えれば挟圧力は、後述する油圧制御装置9により、挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油の量が制御されることで、トロイダル式無段変速機1への入力トルクに基づいた所定の大きさに制御される。油圧制御装置9は、後述するECU60と接続されている。したがって、油圧押圧機構15による挟圧押圧力の大きさの制御は、ECU60により行われる。
変速比変更部5は、上述したように、トラニオン6と、移動部7を有し、移動部7によって、入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1に対して、トラニオン6と共にパワーローラ4を移動し、パワーローラ4をこの入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させることで変速比を変更するものである。ここで、変速比とは、入力ディスク2と出力ディスク3との回転数比であり、典型的には、[変速比=出力側接触半径(パワーローラ4と出力ディスク3とが接触する接触半径(接触点と回転軸線X1との距離))/入力側接触半径(入力ディスク2とパワーローラ4とが接触する接触半径)]で表すことができる。
具体的には、各トラニオン6は、パワーローラ4をそれぞれ回転自在に支持すると共に、このパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して移動させ入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転自在に支持するものである。トラニオン6は、ローラ支持部6aと揺動軸6bとを有する。ローラ支持部6aは、パワーローラ4が配置される空間部6cが形成され、この空間部6cに凹部状の嵌合部6dが形成されている。そして、トラニオン6は、この空間部6cにて、上述のようにパワーローラ4の偏心軸42bが嵌合部6dに挿入されることで、パワーローラ4を回転自在に支持している。また、ローラ支持部6aは、揺動軸6bと一体で移動可能に設けられる。揺動軸6bは、柱状に形成され回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられる。したがって、トラニオン6は、ローラ支持部6aが揺動軸6bと共に回転軸線X3を回転中心として回転自在に、ロアリンク16やアッパリンク17等を介してケーシング(不図示)に支持されている。また、トラニオン6は、回転軸線X3に沿った方向に移動自在に、ロアリンク16やアッパリンク17等を介してケーシング(不図示)に支持され、後述する移動部7によって、回転軸線X3に沿った方向に移動可能に構成される。
トラニオン6は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3によって形成される1つのキャビティに対してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられ、4つのパワーローラ4をそれぞれ1つずつ支持する。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、フロント側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4を各々に支持する2つのトラニオン6が一対で設けられ、リア側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4を各々に支持する2つのトラニオン6が一対で設けられる。
ここで、トラニオン6は、パワーローラ4の回転軸線X2が揺動軸6bの回転軸線X3と垂直な平面と平行になるようにパワーローラ4を支持している。また、トラニオン6は、揺動軸6bの回転軸線X3が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1と垂直な平面と平行になるように配置される。すなわち、トラニオン6は、回転軸線X1と垂直な平面内で回転軸線X3に沿って移動することで、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1に対して回転軸線X3に沿って移動させることができる。また、トラニオン6は、回転軸線X3を回転中心として回転揺動することで、パワーローラ4を回転軸線X3と垂直な平面内でこの回転軸線X3を中心として入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転自在とすることができる。なお、言い換えれば、トラニオン6は、パワーローラ4に後述する傾転力が作用することでこのパワーローラ4を傾転可能に支持していることになる。
移動部7は、トラニオン6と共にパワーローラ4を回転軸線X3に沿った方向に移動させるものであり、上述したように、油圧ピストン部8と、油圧制御装置9とを有する。
油圧ピストン部8は、変速制御ピストン81と、変速制御油圧室82とを含んで構成され、変速制御油圧室82に導入される作動油の油圧を変速制御ピストン81のフランジ部84により受圧することで、トラニオン6を回転軸線X3に沿った2方向(A1方向及びA2方向)に移動させるものである。すなわち、油圧ピストン部8は、変速制御油圧室82に供給される作動油の油圧によりトラニオン6に設けられたフランジ部84に変速制御押圧力を作用させる。
具体的には、変速制御ピストン81は、ピストンベース83とフランジ部84とにより構成されている。ピストンベース83は、円筒形状に形成され揺動軸6bの一端部に挿入され、回転軸線X3方向及び回転軸線X3周り方向に対して固定されている。
フランジ部84は、ピストンベース83からピストンベース83の径方向、言い換えれば、揺動軸6bの径方向に突出するように固定的に設けられており、ピストンベース83及びトラニオン6の揺動軸6bと共に回転軸線X3に沿った方向に移動可能である。フランジ部84は、揺動軸6bの回転軸線X3周りに円環板状に形成されている。
変速制御油圧室82は、油圧室構成部材85により構成される。この油圧室構成部材85は、第1構成部材としてのシリンダボデー86及び第2構成部材としてのロアカバー87により構成される。すなわち、油圧室構成部材85は、変速制御油圧室82の壁面をなすと共に、トラニオン6の移動方向(ストローク方向)である回転軸線X3に沿った方向に対してシリンダボデー86とロアカバー87とに分割されている。シリンダボデー86は、変速制御油圧室82の空間部となる凹部が形成されている。ロアカバー87は、シリンダボデー86の凹部の開口を塞ぐようにこのシリンダボデー86に固定され、これにより、変速制御油圧室82は、シリンダボデー86とロアカバー87とにより回転軸線X3を中心とした円筒状(シリンダ状)に区画される。このシリンダボデー86及びロアカバー87は、シリンダボデー86のロアカバー87側とは反対側においてケーシング(不図示)に固定されている。
そして、フランジ部84は、作動油が導入される変速制御油圧室82内に収容されると共に、この変速制御油圧室82内を回転軸線X3に沿った方向に2つの油圧室、すなわち、第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とに仕切り区画する。第1油圧室OP1は、内部に供給される作動油の油圧により、フランジ部84と共にトラニオン6を回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動させる一方、第2油圧室OP2は、内部に供給される作動油の油圧により、フランジ部84と共にトラニオン6を第1方向の逆方向である第2方向A2に移動させる。フランジ部84の径方向外側の先端部には、環状のシール部材Sが設けられており、したがって、このフランジ部84によって区画される変速制御油圧室82の第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とは、それぞれこのシール部材Sにより互いに作動油が漏れないようにシールされている。
なお、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとにパワーローラ4、トラニオン6が2つずつ設けられることから、この第1油圧室OP1及び第2油圧室OP2は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとにそれぞれ2つずつ設けられることになる。このとき、この一対のトラニオン6では、第1油圧室OP1及び第2油圧室OP2の位置関係がトラニオン6ごとに入れ替わっている。つまり、一方のトラニオン6の第1油圧室OP1とした油圧室が他方のトラニオン6の第2油圧室OP2となり、一方のトラニオン6の第2油圧室OP2とした油圧室が他方のトラニオン6の第1油圧室OP1となる。したがって、図2に示すトロイダル式無段変速機1では、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとに設けられる2つのパワーローラ4は、第1油圧室OP1又は第2油圧室OP2内の油圧により、回転軸線X3に沿って互いに逆方向に移動することになる。
油圧制御装置9は、トランスミッションの各部、例えば、油圧押圧機構15、トルクコンバータ22、前後進切換機構23等に作動油を供給するものであり、さらに、変速制御油圧室82内の作動油の油圧を制御するものである。油圧制御装置9は、オイルタンク91と、加圧手段としてのオイルポンプ92と、流量制御弁としての第1流量制御弁93と、第2流量制御弁94と、作動油通路としての第1通路95と、第2通路96と、供給通路97と、排出通路98と、作動油供給通路99とを含んで構成される。
オイルタンク91は、トランスミッションの各部に供給する作動油を貯留している。オイルポンプ92は、例えば、エンジンの出力軸であるクランクシャフト21aの回転に連動して作動し、オイルタンク91に貯留されている作動油を吸引、加圧し、吐出するものである。この加圧された作動油は、プレッシャーレギュレータバルブ(不図示)を介して、第1流量制御弁93及び第2流量制御弁94や他の流量制御弁などに供給される。なお、このプレッシャーレギュレータバルブは、プレッシャーレギュレータバルブよりも下流側における油圧が所定油圧以上、すなわち、油圧制御装置9の元圧として用いられるライン圧以上になった際に、下流側にある作動油をオイルタンク91に戻して所定のライン圧に調圧するものである。
第1流量制御弁93は、第1油圧室OP1に作動油を供給し、第2油圧室OP2から作動油を排出するものである一方、第2流量制御弁94は、第2油圧室OP2に作動油を供給し、第1油圧室OP1から作動油を排出するものである。第1流量制御弁93は、油路構成本体部93aと、スプール弁子93bと、作動油供給ポート93cと、作動油排出ポート93dと、第1油圧室連通ポート93eと、第2油圧室連通ポート93fと、第1弾性部材93gと、第1ソレノイド93hとにより構成される。一方、第2流量制御弁94は、油路構成本体部94aと、スプール弁子94bと、作動油供給ポート94cと、作動油排出ポート94dと、第2油圧室連通ポート94eと、第1油圧室連通ポート94fと、第2弾性部材94gと、第2ソレノイド94hとにより構成される。この第1流量制御弁93と、第2流量制御弁94は、ECU60から入力される制御指令値入力に基づいた駆動電流により駆動する駆動手段としての第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94hがスプール弁子93b、94bの位置を変位させることで、作動油供給ポート93c、94c、作動油排出ポート93d、94dと、第1油圧室連通ポート93e、94f、第2油圧室連通ポート93f、94eから流出入する作動油の流量を制御するものである。
具体的には、油路構成本体部93a、94aは、油路を構成するものであり、それぞれ、構成された油路と連通する作動油供給ポート93c、94c、作動油排出ポート93d、94dと、第1油圧室連通ポート93e、94fと、第2油圧室連通ポート93f、94eが形成される。油路構成本体部93a、94aに構成される油路は、それぞれスプール弁子93b、94bが挿入されている。スプール弁子93b、94bは、各ポートの連通状態を切り替えるものである。
作動油供給ポート93c、94cは、供給通路97を介してオイルポンプ92と接続されており、この作動油供給ポート93c、94cにはオイルポンプ92によりライン圧に加圧された作動油が供給される。作動油排出ポート93d、94dは、排出通路98を介してオイルタンク91と接続されている。第1流量制御弁93の第1油圧室連通ポート93eは、第1通路95を介して第1油圧室OP1と接続されると共に、第2流量制御弁94の第1油圧室連通ポート94fと接続される。また、第1流量制御弁93の第2油圧室連通ポート93fは、第2通路96を介して第2油圧室OP2と接続されると共に、第2流量制御弁94の第2油圧室連通ポート94eと接続される。
そして、第1弾性部材93g、第2弾性部材94gは、それぞれ、スプール弁子93b、94bの一端側に設けられる一方、第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94hは、それぞれ、スプール弁子93b、94bの他端側に設けられる。第1弾性部材93g、第2弾性部材94gは、スプール弁子93b、94bを第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94h側(OFF側)に移動させる付勢力を作用させる一方、第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94hは、供給される駆動電流に応じて発生する電磁力により、当該付勢力に抵抗してスプール弁子93b、94bを第1弾性部材93g、第2弾性部材94g側(ON側)に移動させる押圧力を作用させる。
また、この第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94hは、ECU60と電気的に接続されており、このECU60により駆動制御されている。したがって、スプール弁子93b、94bには、第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94hに供給される駆動電流に応じた押圧力が作用する。
例えば、ECU60は、第1流量制御弁93がOFF状態(図2に示すOFFの部分)では、第1ソレノイド93hに供給する駆動電流を0Aとする。したがって、スプール弁子93bには、第1ソレノイド93hによる押圧力が作用しないため第1弾性部材93gによる付勢力のみが作用し、スプール弁子93bは、第1ソレノイド93h側のOFF位置に位置する。このとき、作動油供給ポート93cと第1油圧室連通ポート93eとの連通が遮断され、作動油排出ポート93dと第2油圧室連通ポート93fとの連通が遮断される。つまり、第1流量制御弁93がOFF状態では、オイルポンプ92により加圧された作動油は第1油圧室OP1に供給されず、第2油圧室OP2内の作動油は、排出されない。
一方、ECU60は、第1流量制御弁93がON状態(図2に示すONの部分)では、第1ソレノイド93hに駆動電流を供給する。このとき、ECU60は、トロイダル式無段変速機1の変速比や変速速度などに基づいて駆動電流を設定する。したがって、スプール弁子93bには、第1ソレノイド93hによる押圧力と第1弾性部材93gによる付勢力とが作用する。第1ソレノイド93hによる押圧力が第1弾性部材93gによる付勢力よりも大きくなると、スプール弁子93bは、第1弾性部材93g側に移動し、OFF位置以外のON位置(最大ON位置は図2のONの部分)に位置する。このとき、作動油供給ポート93cと第1油圧室連通ポート93eとが連通され、作動油排出ポート93dと第2油圧室連通ポート93fとが連通される。つまり、第1流量制御弁93がON状態では、オイルポンプ92により加圧された作動油は第1油圧室OP1に供給され、第2油圧室OP2内の作動油は排出される。これにより、第1油圧室OP1の油圧がフランジ部84に作用し[第1油圧室OP1の油圧>第2油圧室OP2の油圧]となることで、油圧ピストン部8のフランジ部84が回転軸線X3に沿った第1方向A1に押圧され、トラニオン6と共にパワーローラ4が回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動する。このとき、スプール弁子93bのON側への移動量に応じて、パワーローラ4の第1方向A1への移動が調整される。
同様に、第2流量制御弁94のOFF状態(図2に示すOFFの部分)では、ECU60は、第2ソレノイド94hに供給する駆動電流を0Aとする。このとき、作動油供給ポート94cと第2油圧室連通ポート94eとの連通が遮断され、作動油排出ポート94dと第1油圧室連通ポート94fとの連通が遮断され、オイルポンプ92により加圧された作動油は第2油圧室OP2に供給されず、第1油圧室OP1内の作動油は、排出されない。第2流量制御弁94のON状態(図2に示すONの部分)では、ECU60は、第2ソレノイド94hに駆動電流を供給する。このとき、作動油供給ポート94cと第2油圧室連通ポート94eとが連通され、作動油排出ポート94dと第1油圧室連通ポート94fとが連通され、オイルポンプ92により加圧された作動油は第2油圧室OP2に供給され、第1油圧室OP1内の作動油は排出される。これにより、第2油圧室OP2の油圧がフランジ部84に作用し[第1油圧室OP1の油圧<第2油圧室OP2の油圧]となることで、油圧ピストン部8のフランジ部84が回転軸線X3に沿った第2方向A2に押圧され、トラニオン6と共にパワーローラ4が回転軸線X3に沿った第2方向A2に移動する。
したがって、この移動部7は、ECU60により油圧制御装置9が駆動され油圧ピストン部8の各変速制御油圧室82内の油圧が制御されることで、変速制御ピストン81のフランジ部84に所定の変速制御押圧力を作用させ、トラニオン6と共にパワーローラ4を回転軸線X3に沿った2方向、すなわち、第1方向A1と第2方向A2とに移動させることができる。そして、変速比変更部5は、この移動部7によって、トラニオン6と共にパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対する中立位置(図3参照)から変速比に応じた変速位置(図4参照)に移動させ、このパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させることで変速比を変更することができる。
作動油供給通路99は、供給通路97におけるオイルポンプ92の下流側、第1流量制御弁93、第2流量制御弁94の上流側と油圧押圧機構15、トルクコンバータ22、前後進切換機構23等とを接続しオイルポンプ92によりライン圧に加圧された作動油を油圧押圧機構15、トルクコンバータ22、前後進切換機構23等に供給する。
ここで、図3に示すように、パワーローラ4の入力ディスク2及び出力ディスク3に対する中立位置は、変速比が固定される位置であり、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させる傾転力がこのパワーローラ4に作用不能な位置である。すなわち、パワーローラ4が中立位置にあり、変速比が固定されている状態では、パワーローラ4の回転軸線X2は、回転軸線X1を含む平面で、かつ、回転軸線X3と垂直な平面内に設定される。言い換えれば、パワーローラ4の中立位置(変速比固定時)では、パワーローラ4の回転軸線X3に沿った方向の位置は、このパワーローラ4の回転軸線X2が回転軸線X1を通る(直交する)位置に設定される。このとき、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4の回転方向(転がる方向)と入力ディスク2の回転方向とが一致しており、この結果、パワーローラ4に傾転力が作用せず、したがって、パワーローラ4は、この中立位置にとどまりながら入力ディスク2とともに回転をつづけ、この間の変速比は固定されている。
このとき、入力ディスク2からパワーローラ4に作用する力は駆動力(トルク)だけであるので、移動部7の油圧ピストン部8と油圧制御装置9とは、油圧によりこの駆動力に抗するだけの力をトラニオン6に作用させている。すなわち、パワーローラ4及びこれを支持するトラニオン6が中立位置にある場合、上述したように、入力トルクに応じて入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との接触点に作用する接線力F1(図3参照)に抗する大きさの変速制御押圧力F2(図3参照)をフランジ部84に作用させ、パワーローラ4に作用する接線力F1と変速制御押圧力F2とをつりあわせることで、パワーローラ4及びこれを支持するトラニオン6の位置を中立位置に固定し、変速比を固定している。
一方、図4に示すように、パワーローラ4の変速位置は、変速比が変更される位置であり、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させる傾転力がこのパワーローラ4に作用する位置である。すなわち、パワーローラ4が変速位置にあり、変速比が変更される状態では、パワーローラ4の回転軸線X2は、回転軸線X1を含む平面で、かつ、回転軸線X3と垂直な平面内から回転軸線X3に沿った第1方向A1あるいは第2方向A2に移動した位置に設定される。言い換えれば、パワーローラ4の変速位置(変速時)では、パワーローラ4の回転軸線X3に沿った方向の位置は、このパワーローラ4の回転軸線X2が回転軸線X1を通る位置、すなわち、中立位置からオフセットされた位置に設定される。このとき、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4の回転方向と入力ディスク2の回転方向とがずれ、これにより、パワーローラ4に傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4に作用する傾転力によりパワーローラ4と入力ディスク2及び出力ディスク3との間にサイドスリップが発生し、パワーローラ4は、入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転し、パワーローラ4と入力ディスク2との入力側接触半径と、パワーローラ4と出力ディスク3との出力側接触半径とが変更され、したがって、変速比が変更される。
例えば、本図4に示すように、入力ディスク2が図4中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、パワーローラ4を回転軸線X3に沿った第2方向A2(パワーローラ4と入力ディスク2と接触点における入力ディスク2の移動方向とは反対方向、すなわち、入力ディスク2の回転方向に逆らう方向(出力ディスク3の回転方向に沿う方向))にオフセットする。すると、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4に入力ディスク2の円周方向の力が作用し、パワーローラ4を入力ディスク2の周辺側に移動させる方向(パワーローラ4を入力ディスク2の回転軸線X1から離間させる方向)の傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4は、入力ディスク2との接触点が入力ディスク2の径方向外方側に移動すると共に出力ディスク3との接触点が出力ディスク3の径方向内方側に移動するように傾転し、変速比が減少側に変更され、アップシフトする。そして、パワーローラ4が再び中立位置に戻ることで変更された変速比が固定される。
逆に、ダウンシフトする場合は、パワーローラ4を回転軸線X3に沿った第1方向A1(パワーローラ4と入力ディスク2との接触点における入力ディスク2の移動方向、すなわち、入力ディスク2の回転方向に沿う方向(出力ディスク3の回転方向に逆らう方向))にオフセットする。すると、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4に入力ディスク2の円周方向の力が作用し、パワーローラ4を入力ディスク2の中心側に移動させる方向(パワーローラ4を入力ディスク2の回転軸線X1に近接させる方向)の傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4は、入力ディスク2との接触点が入力ディスク2の径方向内方側に移動すると共に出力ディスク3との接触点が出力ディスク3の径方向外方側に移動するように傾転し、変速比が増加側に変更され、ダウンシフトする。そして、パワーローラ4が再び中立位置に戻ることで変更された変速比が固定される。
ここで、このパワーローラ4の位置は、ストローク量と入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾転角により決定される。パワーローラ4のストローク量は、パワーローラ4の回転軸線X2が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1を通る中立位置を基準位置として、この中立位置から第1方向A1あるいは第2方向A2への移動量としてのストローク量、さらに言えば、中立位置からのストローク量(オフセット量)に応じた量である。パワーローラ4の傾転角は、パワーローラ4の回転中心である回転軸線X2が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転中心である回転軸線X1と直交する位置を基準位置として、この基準位置から入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾斜角度(鋭角側の傾斜角度)であり、言い換えれば、回転軸線X3周りの回転角度である。そして、このトロイダル式無段変速機1の変速比は、パワーローラ4の入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾転角によって定まり、この傾転角は、パワーローラ4の中立位置からのストローク量(オフセット量)の積分値により定まる。
ここで、トロイダル式無段変速機1は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとに設けられる2つのパワーローラ4及びトラニオン6の回転軸線X3に沿った逆方向の移動を同期させるための機構として、ロアリンク16やアッパリンク17などにより構成されるリンク機構を備えている。ロアリンク16は、揺動軸6bにおいて変速制御ピストン81が設けられている一端部側(シリンダボデー86とローラ支持部6aとの間)にてラジアルベアリングRBを介して一対のトラニオン6を連結する一方、アッパリンク17は、揺動軸6bにおいて他端部側にてラジアルベアリングRBを介して一対のトラニオン6を連結する。そして、ロアリンク16、アッパリンク17は、それぞれケーシング(不図示)に固定されるロアポスト、アッパポストの支持軸16a、17aに支持されている。この支持軸16a、17aは、回転軸線X1と平行な方向に延設されており、ロアリンク16、アッパリンク17は、この支持軸16a、17aを支点としてシーソー状に揺動可能に構成されている。したがって、ロアリンク16、アッパリンク17は、一対のトラニオン6の回転軸線X3に沿った逆方向の移動を同期させることができる。
また、トロイダル式無段変速機1は、複数のトラニオン6の回転軸線X3を回転中心とした回転の同期を促進する機構として、同期機構18を備える。同期機構18は、同期ワイヤ19と、複数の固定プーリ20とを有する。同期機構18は、各トラニオン6の揺動軸6bに固定して設けられる固定プーリ20と、回転軸線X1方向又は回転軸線X2方向に隣り合う固定プーリ20間で一回交差するように反転して張架される同期ワイヤ19との摩擦力により、一方のトラニオン6の回転トルクを他方のトラニオン6に伝達することで、複数のトラニオン6の回転軸線X3を回転中心とした回転の同期を促進することができる。
この結果、各パワーローラ4、各トラニオン6の傾転動作(変速動作)において、複数のパワーローラ4の支持構造であるトラニオン6の部材精度や組付精度のバラツキ等により複数のパワーローラ4に油圧押圧機構15の挟圧力が均等に作用しない場合や油圧制御装置9の油路抵抗の差などに起因して変速応答性に微小なずれが発生しそうになった場合でも、この同期機構18が複数のトラニオン6の回転を相互に連動させ同期させ複数のパワーローラ4の傾転動作が相互に同期させることができるので、トロイダル式無段変速機1の変速制御精度を向上することができる。
ECU60は、トロイダル式無段変速機1の駆動を制御、特に変速比γを制御するものであり、ここでは、エンジン21が搭載された車両の各所に取り付けられたセンサから入力された各種入力信号や各種マップとに基づいてエンジン21の運転制御、例えば図示しない燃料噴射弁の噴射制御、エンジン21の吸入空気量を制御する図示しないスロットルバルブのスロットル開度制御、点火プラグの点火制御なども行うものである。そして、ECU60は、トロイダル式無段変速機1の運転状態に応じてトロイダル式無段変速機1の各部の駆動を制御しトロイダル式無段変速機1の実際の変速比である実変速比を制御する。すなわち、ECU60は、例えば、種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態や傾転角、ストローク量などに基づいて、目標の変速比である目標変速比を決定すると共に変速比変更部5を駆動してパワーローラ4を中立位置から変速位置側に所定のストローク量まで移動させて、所定の傾転角まで傾転させることで変速比の変更を実行する。さらに言えば、ECU60は、第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94hに供給する駆動電流を制御指令値に基づいてデューティ制御することで、第1流量制御弁93又は第2流量制御弁94のON/OFF状態を制御し、これにより、油圧ピストン部8の第1油圧室OP1、第2油圧室OP2の油圧を制御して、トラニオン6と共にパワーローラ4を中立位置から変速位置側に所定のストローク量まで移動させて所定の傾転角まで傾転させることで、実変速比が目標変速比となるように制御する。
具体的には、図2に示すように、ECU60は、上述したように、第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94hに電気的に接続されており、第1ソレノイド93h、第2ソレノイド94hをデューティ制御している。さらに、ECU60は、傾転角センサ50と、ストロークセンサ51とが電気的に接続されている。また、ECU60は、さらに、エンジン回転数センサ52と、入力回転数センサ53及び出力回転数センサ54と、アクセル開度センサ55と、車速センサ56と、スロットル開度センサ57と、シフトポジションセンサ58と、ライン圧センサ59などの種々のセンサが電気的に接続されている。
傾転角センサ50は、パワーローラ4の入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾転角を検出し、検出した傾転角をECU60に送信する。また、傾転角センサ50は、複数のパワーローラ4に対応して複数設けられており、各パワーローラ4の傾転角をそれぞれ検出している。ここで、傾転角センサ50が検出する傾転角は、パワーローラ4と共に回転軸線X3周りに回転するトラニオン6の回転軸線X3周りの回転角度として検出している。ストロークセンサ51は、パワーローラ4のストローク量を検出し、検出したストローク量をECU60に送信する。また、ストロークセンサ51は、複数のパワーローラ4に対応して複数設けられており、各パワーローラ4のストローク量をそれぞれ検出している。ここで、ストロークセンサ51が検出するパワーローラ4のストローク量は、このパワーローラ4と共に回転軸線X3に沿った方向に移動するトラニオン6のストローク量として検出している。
また、エンジン回転数センサ52は、駆動源であるエンジン21の回転速度としてエンジン回転数を検出し、検出したエンジン回転数をECU60に送信する。ここで、エンジン回転数センサ52は、例えば、エンジンのクランク角度を検出するクランク角センサを用いることができ、ECU60は、検出されたクランク角度に基づいて各気筒における吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を判別すると共に、エンジンの回転速度としてエンジン回転数(rpm)を算出する。なおここで、エンジン回転数は、言い換えれば、クランクシャフト21aの回転速度に対応し、このクランクシャフト21aの回転速度が高くなれば、クランクシャフト21aの回転数、エンジン回転数も高くなる。以下、特に断りの無い限り、回転速度は、回転数として説明する。
入力回転数センサ53は、例えば、正逆判定機能付きホール素子回転センサを用いることができ、入力ディスク2の回転数である入力回転数及び回転方向を検出し、検出した入力回転数及び回転方向をECU60に送信する。出力回転数センサ54は、例えば、正逆判定機能付きホール素子回転センサを用いることができ、出力ディスク3の回転数である出力回転数及び回転方向を検出し、検出した出力回転数及び回転方向をECU60に送信する。なお、入力回転数センサ53、出力回転数センサ54は、それぞれ、入力ディスク2、出力ディスク3の回転数(回転速度)に比例した回転数(回転速度)で回転する部材の回転数に基づいて検出してもよい。また、入力回転数、出力回転数は、言い換えれば、入力ディスク2、出力ディスク3の回転速度に対応する。
アクセル開度センサ55は、このトロイダル式無段変速機1が搭載される車両のアクセル開度を検出し、検出したアクセル開度をECU60に送信する。車速センサ56は、このトロイダル式無段変速機1が搭載される車両の車速を検出し、検出した車速をECU60に送信する。スロットル開度センサ57は、このトロイダル式無段変速機1が搭載される車両のスロットル開度を検出し、検出したスロットル開度をECU60に送信する。
シフトポジションセンサ58は、このトロイダル式無段変速機1が搭載される車両に設けられた図示しないシフトポジション装置のシフトポジション(例えば、パーキングポジション、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジションなど)を検出し、検出したシフトポジションをECU60に送信する。ライン圧センサ59は、油圧制御装置9の元圧として用いられるライン圧を検出し、検出したライン圧をECU60に送信する。
上記のようなトロイダル式無段変速機1は、入力ディスク2に駆動力(トルク)が入力されると、その入力ディスク2にトラクションオイルを介して接触しているパワーローラ4に駆動力が伝達され、さらにそのパワーローラ4から出力ディスク3にトラクションオイルを介して駆動力が伝達される。この間、トラクションオイルは加圧されることによりガラス転移化し、それに伴う大きいせん断力によって駆動力を伝達するので、各入力ディスク2、出力ディスク3は、入力トルクに応じた挟圧力がパワーローラ4との間に生じるように、油圧押圧機構15により押圧される。また、パワーローラ4の周速と各入力ディスク2、出力ディスク3のトルク伝達点(パワーローラ4がトラクションオイルを介して接触している接触点)の周速とが実質的に同じであるから、入力ディスク2とパワーローラ4との接触点の回転軸線X1からの半径と、パワーローラ4と出力ディスク3との接触点の回転軸線X1からの半径とに応じて、各入力ディスク2、出力ディスク3の回転数(回転速度)が異なることとなり、その回転数(回転速度)の比率が変速比となる。
そして、ECU60は、変速比を設定した目標変速比に変更する場合、すなわち、変速比の変速の場合は、入力ディスク2(あるいは出力ディスク3)の回転方向に基づいて、第1ソレノイド93hあるいは第2ソレノイド94hに駆動電流を供給し、第1流量制御弁93あるいは第2流量制御弁94をON状態とすることで、パワーローラ4が目標変速比に応じた傾転角になるまで、トラニオン6を中立位置から第1方向A1あるいは第2方向A2に移動させる。例えば、入力ディスク2が図2中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、第1流量制御弁93をON状態、第2流量制御弁94をOFF状態として、第1油圧室OP1の油圧によりパワーローラ4を中立位置から回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動させると、上述したように変速比が増加しダウンシフトが行われる。一方、入力ディスク2が図2中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、第1流量制御弁93をOFF状態、第2流量制御弁94をON状態として、第2油圧室OP2の油圧によりパワーローラ4を中立位置から回転軸線X3に沿った第2方向A2に移動させると、上述したように変速比が減少しアップシフトが行われる。また、設定された変速比を固定する場合は、第1ソレノイド93hあるいは第2ソレノイド94hに駆動電流を供給し、第1流量制御弁93あるいは第2流量制御弁94をON状態とすることでパワーローラ4が中立位置となるまで、トラニオン6を第1方向A1あるいは第2方向A2に移動させる。
なお、このECU60は、傾転角センサ50によって検出されるパワーローラ4の傾転角とストロークセンサ51によって検出されるストローク量に基づいて、実変速比(実際の変速比)が目標変速比(変速後の目標の変速比)となるようにカスケード式のフィードバック制御を行っている。すなわち、このECU60は、アクセル開度及び車速に基づいて目標変速比に対応した目標の傾転角である目標傾転角を決定し、この目標傾転角と傾転角センサ50によって検出した実際の傾転角である実傾転角との偏差に基づいて、目標変速比、目標傾転角に対応した目標のストローク量である目標ストローク量を決定し、ストロークセンサ51が検出したストローク量がこの目標ストローク量となるように移動部7の第1流量制御弁93、第2流量制御弁94を制御している。
すなわち、ECU60は、アクセル開度センサ55が検出するアクセル開度と車速センサ56が検出する車速などから目標の変速比である目標変速比を決定する。ここで、例えば、アクセル開度などで表される要求駆動量と車速とに基づいて要求駆動力が算出され、その要求駆動力と車速とから目標出力が求められ、その目標出力を最小の燃費で達成するエンジンの回転数が求められ、トロイダル式無段変速機1への入力回転数がそのエンジンの回転数に相当する目標の回転数、すなわち目標入力回転数となるように目標変速比が求められる。そして、パワーローラ4と入力ディスク2及び出力ディスク3との接触点がわかれば、変速比と傾転角との関係は幾何学形状だけで定まるため、目標変速比から目標傾転角を求めることができる。
このようなトロイダル式無段変速機1の変速制御では、基本的には、傾転角センサ50によって検出される傾転角(言い換えれば、変速比)のみをフィードバック制御すればよいが、ストローク量が傾転角の微分に相当することから、ストロークセンサ51によって検出されるストローク量のフィードバック制御もあわせて行うことで、傾転制御における振動を抑制するダンピング効果を得ることができる。また、このECU60は、変速比の応答性を向上するために、このフィードバック制御と共にフィードフォワード制御をあわせて行ってもよい。
ところで、上述のようなトロイダル式無段変速機1が備える油圧式の油圧押圧機構15は、挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油が圧力作用面としてのフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29などと共に回転することよりこの作動油に遠心力が発生し、作動油の遠心力による油圧、すなわち、遠心油圧がフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に作用することがある。これにより、油圧押圧機構15にてフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に作用させる油圧の制御が不正確になるおそれがあり、例えば、駆動力の伝達効率が抑制されるおそれがある。
そこで、本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、制御手段としてのECU60が出力ディスク3の現在の実際の回転数である実出力回転数で実現可能な入力ディスク2の最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、油圧押圧機構15における目標挟圧力からこの最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御することで、適正に駆動力を伝達することができるようにしている。ここで、入力ディスク2の最低目標入力回転数とは、出力ディスク3の現在の実出力回転数で実現可能な入力ディスク2の目標入力回転数のうち最低の回転数である。また、油圧押圧機構15における目標挟圧力とは、トロイダル式無段変速機1への入力トルクに基づいた所定の大きさの挟圧力であり、すなわち、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間のスリップを防ぎ、適正なトラクション状態を維持することができる大きさの挟圧力である。
具体的には、本実施形態のトロイダル式無段変速機1が備えるECU60は、図2に示すように、トルクコンバータ制御部61と、前後進切換制御部62と、挟圧力制御部63と、エンジン制御部64と、変速比制御部65と、遠心油圧算出部66と、挟圧力補正部67とを有する。
ここで、このECU60は、マイクロコンピュータを中心として構成され処理部、記憶部及び入出力部を有し、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。入出力部にはトロイダル式無段変速機1やエンジン21などの各部を駆動する不図示の駆動回路、上述した傾転角センサ50、ストロークセンサ51、エンジン回転数センサ52、入力回転数センサ53、出力回転数センサ54、アクセル開度センサ55、車速センサ56、スロットル開度センサ57、シフトポジションセンサ58、ライン圧センサ59などの各種センサが接続されており、この入出力部は、これらのセンサ等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部には、トロイダル式無段変速機1やエンジン21などの各部を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。処理部は、不図示のメモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、上述のトルクコンバータ制御部61と、前後進切換制御部62と、挟圧力制御部63と、エンジン制御部64と、変速比制御部65と、遠心油圧算出部66と、挟圧力補正部67とを有している。トロイダル式無段変速機1における各種制御は、各部に設けられたセンサによる検出結果に基づいて、処理部が前記コンピュータプログラムを当該処理部に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて制御信号を送ることにより実行される。その際に処理部は、適宜記憶部へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このトロイダル式無段変速機1やエンジン21などの各部を制御する場合には、前記コンピュータプログラムの代わりに、ECU60とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
トルクコンバータ制御部61は、トルクコンバータ22のロックアップクラッチを制御するものである。トルクコンバータ制御部61は、油圧制御装置9を制御してトルクコンバータ22のロックアップクラッチの係合及び係合の解除、すなわち、ON/OFF制御を行う。
前後進切換制御部62は、前後進切換機構23を制御するものである。前後進切換制御部62は、油圧制御装置9を制御して前後進切換機構23のフォワードクラッチ及びリバースブレーキの係合及び係合の解除、すなわち、ON/OFF制御を行うことで、前後進切換機構23の切換制御を行う。
挟圧力制御部63は、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込む挟圧力を作用させる油圧押圧機構15を制御するものである。挟圧力制御部63は、油圧制御装置9を制御して挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油の量を制御することで、油圧押圧機構15による挟圧力をトロイダル式無段変速機1への入力トルクに基づいた所定の目標挟圧力に制御する。
エンジン制御部64は、エンジン21を運転制御するものである。エンジン制御部64は、インジェクタ、点火プラグ、電子スロットル弁を制御してエンジン21から取り出される出力を制御し、エンジン21の出力トルクとしてのエンジントルクとエンジン回転数との制御を行うものである。
変速比制御部65は、実際の変速比である実変速比が目標の変速比である目標変速比になるように変速比変更部5を制御するものである。言い換えれば、変速比制御部65は、変速比変更部5を制御して入力ディスク2への実際の入力回転数が目標変速比に応じた目標入力回転数となるように実変速比を制御するものである。すなわち、変速比制御部65は、上述のように、エンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態や傾転角、ストローク量などに基づいて、目標の変速比である目標変速比を決定すると共に変速比変更部5を駆動してパワーローラ4を中立位置から変速位置側に所定のストローク量まで移動させて、所定の傾転角まで傾転させることで変速比の変更を実行する。変速比制御部65は、上述のように、実変速比(実際の変速比)が目標変速比(変速後の目標の変速比)となるようにカスケード式のフィードバック制御を行うと共に、変速比の応答性を向上するために、このフィードバック制御と共にフィードフォワード制御をあわせて行ってもよい。
遠心油圧算出部66は、出力ディスク3の現在の実出力回転数で実現可能な入力ディスク2の目標入力回転数のうち最低の回転数である最低目標入力回転数を算出し、この最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出する。
遠心油圧算出部66は、例えば、図5に示す目標入力回転数マップm01に基づいて現在の実出力回転数に応じた最低目標入力回転数を求める。この目標入力回転数マップm01は、縦軸が目標入力回転数、横軸が出力回転数を示す。目標入力回転数マップm01は、各アクセル開度における出力回転数と目標入力回転数との関係を記述したものである。この目標入力回転数マップm01では、目標入力回転数は、アクセル開度の増加にともなって増加し、出力回転数の増加にともなって増加する。また、最低目標入力回転数は、各出力回転数においてアクセル開度が最小(アクセル開度が全開である場合を100%とするときの0%)である場合、すなわち、運転者による加速の要求が最小である場合の目標入力回転数に対応する。また、最低目標入力回転数は、出力回転数に対する変化率が、出力回転数が高い側より低い側の方が小さく設定される。すなわち、最低目標入力回転数は、出力回転数が低い側、言い換えれば、このトロイダル式無段変速機1を搭載する車両の速度(車速)が低い側においてほぼ一定となっている。目標入力回転数マップm01は、ECU60の不図示の記憶部に格納されている。遠心油圧算出部66は、この目標入力回転数マップm01に基づいて出力回転数センサ54が検出した実出力回転数から最低目標入力回転数を求める。
なお、本実施形態では、遠心油圧算出部66は、目標入力回転数マップm01を用いて最低目標入力回転数を求めたが、本実施形態はこれに限定されない。遠心油圧算出部66は、例えば、目標入力回転数マップm01に相当する数式に基づいて最低目標入力回転数を求めてもよいし、種々の公知の方法で求めてもよい。
そして、遠心油圧算出部66は、例えば、図6に示す遠心油圧マップm02に基づいてこの最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を求める。この遠心油圧マップm02は、縦軸が遠心油圧、横軸が入力回転数を示す。遠心油圧マップm02は、入力回転数と遠心油圧との関係を記述したものである。この遠心油圧マップm02では、遠心油圧は、入力回転数の増加にともなって増加する。遠心油圧マップm02は、ECU60の不図示の記憶部に格納されている。遠心油圧算出部66は、この遠心油圧マップm02に基づいて現在の実出力回転数に応じた最低目標入力回転数から遠心油圧を求める。
なお、本実施形態では、遠心油圧算出部66は、遠心油圧マップm02を用いて遠心油圧を求めたが、本実施形態はこれに限定されない。遠心油圧算出部66は、例えば、遠心油圧マップm02に相当する数式に基づいて遠心油圧を求めてもよいし、種々の公知の方法で求めてもよい。
挟圧力補正部67は、遠心油圧算出部66が算出した最低目標入力回転数に応じた遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正する。すなわち、挟圧力補正部67は、油圧押圧機構15における目標挟圧力から現在の実出力回転数で実現可能な目標入力回転数のうちの最低目標入力回転数に応じた遠心油圧を減じて補正後の目標挟圧力である補正目標挟圧力を算出する。言い換えれば、挟圧力補正部67は、現在の実出力回転数で実現可能な最低目標入力回転数に基づいた補正目標挟圧力を算出する。
そして、挟圧力制御部63は、挟圧力補正部67が算出した補正目標挟圧力に基づいて、油圧制御装置9を制御して挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油の量を制御することで、油圧押圧機構15による挟圧力をトロイダル式無段変速機1への入力トルクに基づいた所定の挟圧力に制御する。
上記のように構成されるトロイダル式無段変速機1は、現在の実出力回転数で実現可能な最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標挟圧力からこの最低目標入力回転数に応じた遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御することで、挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油の遠心油圧がフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に作用した場合でも、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との接触部分の面圧を適正に維持することができる。すなわち、最低目標入力回転数に応じた遠心油圧を目標挟圧力から減じて補正目標挟圧力を算出するので、遠心油圧がフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に作用するがために入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が過剰に作用することを抑制することができる。この結果、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間に過剰に挟圧力が作用することを抑制することができることから、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との接触部分の面圧が高くなりすぎてフリクションが増加することを抑制することができる。したがって、フリクションが増加することを抑制することができることから、駆動力の伝達効率の低下を抑制することができ、燃費の悪化を抑制することができる。
このとき、現在の実出力回転数で実現可能な最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を目標挟圧力から減算して補正目標挟圧力を算出することで、目標挟圧力から遠心油圧分の圧力を減算しすぎて、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が過小になり不足することを防止することができる。
すなわち、例えば、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28、リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29が設けられた入力ディスク2、挟圧押圧力ピストン15bなどの回転数が変化した場合、挟圧力発生油圧室15aの作動油は、入力ディスク2や挟圧押圧力ピストン15bの回転数の変化に起因する慣性力によって流動するため、作動油の回転数は、入力ディスク2や挟圧押圧力ピストン15bの回転数の変化に対して遅れて変化する。このため、入力ディスク2、挟圧押圧力ピストン15bの回転数が変化する過渡状態における実際の遠心油圧は、例えば、その時点での入力ディスク2の実際の実入力回転数から求められる遠心油圧に対して遅れて変化する。したがって、例えば、入力ディスク2や挟圧押圧力ピストン15bの回転数の増加に対して作動油の回転数の増加が遅れることで入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧に対して実際の遠心油圧が小さい場合に、その時点での入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧をそのまま目標挟圧力から減算してしまうと、この作動油遅れの影響で目標押圧力を減算しすぎてしまうおそれがあり、この結果、挟圧力が不足するおそれがある。
しかしながら、本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、現在の実出力回転数で実現可能な最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を目標挟圧力から減算して補正目標挟圧力を算出することで、作動油遅れの影響を受けることがないので、目標挟圧力から遠心油圧分の圧力を減算しすぎて、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が過小になり不足することを防止することができる。
ここで、最低目標入力回転数は、上述したように、各出力回転数における最低の目標入力回転数であり、車速が一定、言い換えれば、出力回転数が一定であれば、実入力回転数がこの最低目標入力回転数より低下することはない。
また、最低目標入力回転数は、上述したように、出力回転数が低い側、言い換えれば、このトロイダル式無段変速機1を搭載する車両の速度(車速)が低い側においてほぼ一定となっている。このため、車速が増加し出力回転数が増加した場合であっても、相対的に低車速である場合には、最低目標入力回転数の増加量は極微量であることから、最低目標入力回転数に応じた遠心油圧の増加量も極微量であり、これにより、遠心油圧の変化遅れを考慮しても最低目標入力回転数に応じた遠心油圧が実際の遠心油圧より大きくなってしまうことはない。
一方、出力回転数が高い側、言い換えれば、このトロイダル式無段変速機1を搭載する車両の速度(車速)が高い側においては、最低目標入力回転数の出力回転数に対する変化率は増加するが、実際にはある程度まで車速が上昇し出力回転数が上昇した後は変速比が増速側にあり、短期間で出力回転数が急激に上昇することはなく、この結果、出力回転数に応じた最低目標入力回転数も急激に上昇することはない。これにより、この場合も最低目標入力回転数に応じた遠心油圧が実際の遠心油圧より大きくなってしまうことはない。
このため、いずれの運転状態においても最低目標入力回転数に応じた遠心油圧を目標挟圧力から減算して補正目標挟圧力を算出しても、目標挟圧力から遠心油圧分の圧力を減算しすぎて、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が過小になり不足することを防止することができる。この結果、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が不足することを防止することができることから、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との接触部分の面圧が低くなりすぎてパワーローラ4がスリップすることを防止することができる。
また、最低目標入力回転数に応じた遠心油圧を減じていることから、上述のように、いずれの運転状態においても実際の遠心油圧のうち少なくとも最低目標入力回転数に応じた遠心油圧分は入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間に過剰に挟圧力が作用することを抑制することができる。
また、例えば、作動油の油温などに基づいて作動油の回転数変化の遅れ、すなわち、遠心油圧の変化の遅れを推定して入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧を補正し目標挟圧力を補正することも可能であるが、例えば、実際には挟圧力発生油圧室15aを出入りする作動油の量は極微量であるため挟圧力発生油圧室15a内の作動油の油温等を正確に測定するのは困難である。このため、遠心油圧の変化の遅れ量を推定するのも困難である。これに対して、上記のように構成されるトロイダル式無段変速機1では、少なくとも最低目標入力回転数に応じた遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正するため、簡易な演算により過剰な挟圧力が作用することによるフリクション増加の抑制と、挟圧力が不足することによるスリップの防止とを両立することができ、この結果、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間のトラクション状態を適正に維持することができ、適正に駆動力を伝達することができる。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機1によれば、駆動力が入力される入力ディスク2と、駆動力が出力される出力ディスク3と、入力ディスク2と出力ディスク3との間に設けられるパワーローラ4と、パワーローラ4を回転自在、かつ、傾転自在に支持すると共に、パワーローラ4を傾転させることで入力ディスク2と出力ディスク3との回転数比である変速比を変更可能な変速比変更部5と、挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油の圧力を入力ディスク2の回転に伴って回転するフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28、リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に作用させることで入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込む挟圧力を作用可能な油圧押圧機構15と、出力ディスク3の現在の実際の回転数である実出力回転数で実現可能な入力ディスク2の目標の回転数である目標入力回転数の最低回転数である最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標挟圧力から最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御するECU60とを備える。
言い換えれば、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機1は、エンジン21からの駆動力を入力側部材としての入力ディスク2から出力側部材としての出力ディスク3に伝達可能であると共に入力ディスク2と出力ディスク3との回転数比である変速比を無段階に変更可能なトロイダル式無段変速機1において、駆動力を入力ディスク2側から出力ディスク3側に伝達可能な伝達部材としてのパワーローラ4と、挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油の圧力を入力ディスク2の回転に伴って回転するフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28、リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に作用させることで、第1挟圧部材としての入力ディスク2とこの入力ディスク2に対向する第2挟圧部材としての出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込む挟圧力を作用可能な油圧押圧機構15と、出力ディスク3の現在の実際の回転数である実出力回転数で実現可能な入力ディスク2の目標の回転数である目標入力回転数の最低回転数である最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標挟圧力から最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御するECU60とを備える。
したがって、ECU60が出力ディスク3の実出力回転数で実現可能な入力ディスク2の最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、油圧押圧機構15における目標挟圧力からこの最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御することで、少なくとも最低目標入力回転数に応じた遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正するため、遠心油圧に起因する過剰な挟圧力が作用することによるフリクション増加の抑制と、挟圧力が不足することによるスリップの防止とを両立することができる。この結果、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間のトラクション状態を適正に維持することができ、適正に駆動力を伝達することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機1によれば、最低目標入力回転数は、実出力回転数に対する変化率が、実出力回転速度が高い側より低い側の方が小さく設定される。したがって、いずれの運転状態においても最低目標入力回転数に応じた遠心油圧を目標挟圧力から減算して補正目標挟圧力を算出しても、目標挟圧力から遠心油圧分の圧力を減算しすぎて、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が過小になり不足することを防止することができる。
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2に係るトロイダル式無段変速機の遠心油圧補正制御を説明するフローチャート、図8は、本発明の実施形態2に係るトロイダル式無段変速機201の遠心油圧補正制御を説明するタイムチャートである。実施形態2に係る無段変速機は、実施形態1に係る無段変速機と略同様の構成であるが運転状態に応じて遠心油圧の算出方法をかえる点で実施形態1に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1乃至図6を参照する。
実施形態2に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機201が備える制御手段としてのECU60は、運転状態に応じて設定される目標入力回転数が増加する場合に、実施形態1で説明したように目標挟圧力から最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように挟圧手段としての油圧押圧機構15を制御する。一方、ECU60は、運転状態に応じて設定される目標入力回転数が定常的である場合、及び、目標入力回転数が低下する場合に、入力ディスク2の現在の実際の回転数である実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標挟圧力から実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御する。
例えば、図8に示すように、運転状態に応じて設定される目標入力回転数が定常的である場合、すなわち、入力ディスク2の実入力回転数が定常的で安定している場合、挟圧力発生油圧室15a内の作動油の回転も実入力回転数近傍で安定している。このため、入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧と実際の遠心油圧とはほぼ一致している。
よって、ECU60は、運転状態に応じて設定される目標入力回転数が定常的である場合に、入力ディスク2の現在の実際の回転数である実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標挟圧力から実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御する。ECU60の遠心油圧算出部66は、例えば、図6で示した遠心油圧マップm02に基づいて、入力回転数センサ53が検出する現在の実入力回転数から遠心油圧を求める。そして、ECU60の挟圧力補正部67は、油圧押圧機構15における目標挟圧力から現在の実入力回転数に応じた遠心油圧を減じて補正後の目標挟圧力である補正目標挟圧力を算出する。これにより、入力ディスク2の実入力回転数が定常的で安定している場合には、現在の実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正することから、最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正する場合と比較して、遠心油圧に起因して入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間に作用する過剰な挟圧力をより適正に抑制することができると共に、挟圧力が過小になり不足することを防止することができる。
ここで、ECU60は、運転状態に応じて設定される目標入力回転数の変化量が予め設定された所定範囲内で予め設定される所定期間継続した際に、目標入力回転数が定常的であると判定すればよい。これにより、ECU60は、適正に目標入力回転数の定常性を判定することができる。なお、目標入力回転数の変化量に対して設定される所定範囲は、一般的な傾向などから予め実験等より適宜導き出し予め設定しておけばよい。また、目標入力回転数の変化量が所定範囲内で継続する期間に対して設定される所定期間は、目標入力回転数に追従する実入力回転数が安定し、挟圧力発生油圧室15a内の作動油の回転数もこれに伴って安定する期間などから予め実験等より適宜導き出し予め設定しておけばよい。
また、上述したように、その時点での入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧をそのまま目標挟圧力から減算してしまうことで、目標挟圧力から遠心油圧分の圧力を減算しすぎて、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が過小になり不足するおそれがあるのは、入力ディスク2や挟圧押圧力ピストン15bの回転数の増加に対して作動油の回転数の増加が遅れることで、入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧に対して実際の遠心油圧が小さい場合である。すなわち、例えば、図8に示すように、入力ディスク2や挟圧押圧力ピストン15bの回転数の低下に対して作動油の回転数の低下が遅れることで、入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧と実際の遠心油圧とにずれがある場合は、入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧に対して実際の遠心油圧が大きいので、その時点での入力ディスク2の実入力回転数から求められる遠心油圧をそのまま目標挟圧力から減算しても、目標挟圧力から遠心油圧分の圧力を減算しすぎて、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が過小になり不足することはない。
よって、ECU60は、運転状態に応じて設定される目標入力回転数が低下する場合、目標入力回転数が定常的である場合と同様に、入力ディスク2の現在の実際の回転数である実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標挟圧力から実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御する。これにより、目標入力回転数が低下する場合には、現在の実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正することから、最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正する場合と比較して、遠心油圧に起因して入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間に作用する過剰な挟圧力をより適正に抑制することができると共に、挟圧力が過小になり不足することを防止することができる。
次に、図7のフローチャート及び図8のタイムチャートを参照してトロイダル式無段変速機201の遠心油圧補正制御を説明する。なお、この制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。また、図8のタイムチャートでは、縦軸を目標入力回転数変化量及び回転数、横軸を時間軸としている。
まず、ECU60は、車速センサ56により検出される車速spdが予め設定される車速判定閾値Thspd以上であるか否かを判定する(S100)。車速spdが予め設定される車速判定閾値Thspdよりも低い(ほぼ停止状態)と判定された場合(S100:No)、言い換えれば、出力回転数が所定以下の場合、遠心油圧の影響はほとんど無いので、このまま遠心油圧補正制御を終了する。
車速spdが予め設定される車速判定閾値Thspd以上であると判定された場合(S100:Yes)、遠心油圧算出部66は、目標入力回転数変化量dNINTを算出する。遠心油圧算出部66は、今回の制御周期での目標入力回転数NINT(i)から前回の制御周期での目標入力回転数NINT(i−1)を減算することで目標入力回転数変化量dNINTを算出する。そして、遠心油圧算出部66は、この目標入力回転数変化量dNINTが予め設定される変化量判定閾値ThdNINT以下であるか否かを判定する(S102)。この変化量判定閾値ThdNINTは、目標入力回転数が定常的であるか否かを判定するために目標入力回転数の変化量に対して設定される所定範囲に相当する値である。
目標入力回転数変化量dNINTが変化量判定閾値ThdNINT以下であると判定された場合(S102:Yes)、すなわち、目標入力回転数NINTの変化量が予め設定された所定範囲内である場合、及び、目標入力回転数NINTが低下していた場合、遠心油圧算出部66は、実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいた遠心油圧補正を実行するか否かを判定するための仮判定フラグF1がONであるか否かを判定する(S104)。
仮判定フラグF1がOFFであると判定された場合(S104:No)、遠心油圧算出部66は、仮判定フラグF1にONを代入し、この仮判定フラグF1をONに設定する(S106、図8の時刻t1)。そして、遠心油圧算出部66は、目標入力回転数の変化量が所定範囲内で継続する期間を計測するためのタイマTをスタートさせて(S108)、実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいた遠心油圧補正を実行するか否かを判定するための本判定フラグF2がONであるか否かを判定する(S110)。仮判定フラグF1がONであると判定された場合(S104:Yes)、S106、S108の処理をとばして本判定フラグF2がONであるか否かを判定する(S110)。
本判定フラグF2がOFFであると判定された場合(S110:No)、タイマTの値が予め設定された判定期間ThT以上であるか否かを判定する(S112)。この判定期間ThTは、目標入力回転数の変化量が所定範囲内で継続する期間に対して設定される所定期間に相当する値である。タイマTの値が予め設定された判定期間ThT未満であると判定された場合(S112:No)、この遠心油圧補正制御を終了する。
タイマTの値が予め設定された判定期間ThT以上であると判定された場合(S112:Yes)、遠心油圧算出部66は、本判定フラグF2にONを代入し、この本判定フラグF2をONに設定し(S114、図8の時刻t2)、実入力回転数に基づく遠心油圧補正を実行する。S110にて本判定フラグF2がONであると判定された場合も(S110:Yes)、実入力回転数に基づく遠心油圧補正を実行する。すなわち、遠心油圧算出部66は、入力ディスク2の現在の実際の回転数である実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、挟圧力補正部67は、油圧押圧機構15における目標挟圧力から現在の実入力回転数に応じた遠心油圧を減じて補正後の目標挟圧力である補正目標挟圧力を算出し(S116)、この遠心油圧補正制御を終了する。そして、挟圧力制御部63は、挟圧力補正部67が算出した補正目標挟圧力に基づいて油圧押圧機構15による挟圧力を制御する。
S102にて目標入力回転数変化量dNINTが変化量判定閾値ThdNINTより大きいと判定された場合(S102:No)、すなわち、目標入力回転数NINTが増加していた場合、遠心油圧算出部66は、仮判定フラグF1及び本判定フラグF2にOFFを代入しこの仮判定フラグF1及び本判定フラグF2をOFFに設定すると共にタイマTをクリアし(S118、図8の時刻t3)、最低目標入力回転数NINTminに基づく遠心油圧補正を実行する。すなわち、遠心油圧算出部66は、最低目標入力回転数NINTminに応じた作動油の遠心油圧を算出し、挟圧力補正部67は、油圧押圧機構15における目標挟圧力から最低目標入力回転数NINTminに応じた遠心油圧を減じて補正後の目標挟圧力である補正目標挟圧力を算出し(S120)、この遠心油圧補正制御を終了する。そして、挟圧力制御部63は、挟圧力補正部67が算出した補正目標挟圧力に基づいて油圧押圧機構15による挟圧力を制御する。
したがって、図8のタイムチャートに例示するトロイダル式無段変速機201では、時刻t2から時刻t3までの目標入力回転数が定常的である場合、及び、目標入力回転数が低下する場合に、実入力回転数に基づく遠心油圧補正が実行される一方、時刻t2以前、及び、時刻t3以降の目標入力回転数が増加する場合に最低目標入力回転数NINTminに基づく遠心油圧補正が実行される。
以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機201によれば、ECU60が出力ディスク3の実出力回転数で実現可能な入力ディスク2の最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、油圧押圧機構15における目標挟圧力からこの最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御することで、少なくとも最低目標入力回転数に応じた遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正するため、遠心油圧に起因する過剰な挟圧力が作用することによるフリクション増加の抑制と、挟圧力が不足することによるスリップの防止とを両立することができる。この結果、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間のトラクション状態を適正に維持することができ、適正に駆動力を伝達することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機201によれば、ECU60は、運転状態に応じて設定される目標入力回転数が増加する場合に、目標挟圧力から最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御する。したがって、入力ディスク2や挟圧押圧力ピストン15bの回転数の増加に対して作動油の回転数の増加が遅れる場合に、最低目標入力回転数に基づいて補正目標挟圧力することから、目標挟圧力から遠心油圧分の圧力を減算しすぎて、入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力が過小になり不足することを確実に防止することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機201によれば、ECU60は、運転状態に応じて設定される目標入力回転数が定常的である場合に、入力ディスク2の現在の実際の回転数である実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標挟圧力から実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御する。したがって、入力ディスク2の実入力回転数が定常的で安定している場合には、現在の実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正することから、最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正する場合と比較して、遠心油圧に起因して入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間に作用する過剰な挟圧力をより適正に抑制することができると共に、挟圧力が過小になり不足することを防止することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機201によれば、ECU60は、運転状態に応じて設定される目標入力回転数の変化量が予め設定された所定範囲内で予め設定される所定期間継続した際に、目標入力回転数が定常的であると判定すればよい。これにより、ECU60は、適正に目標入力回転数の定常性を判定することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機201によれば、ECU60は、目標入力回転数が低下する場合に、入力ディスク2の現在の実際の回転数である実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標挟圧力から実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標挟圧力となるように油圧押圧機構15を制御する。したがって、目標入力回転数が低下する場合には、現在の実入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正することから、最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧に基づいて目標挟圧力を補正する場合と比較して、遠心油圧に起因して入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間に作用する過剰な挟圧力をより適正に抑制することができると共に、挟圧力が過小になり不足することを防止することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る無段変速機は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、無段変速機はダブルキャビティ型のトロイダル式無段変速機であるものとして説明したが、これに限らす、シングルキャビティ型のトロイダル式無段変速機であってもよい。また、以上の説明では、変速比変更手段を構成する油圧制御装置9は、流量制御弁を2つ備えるものとして説明しが、これに限らず、1つでもよいし3つ以上でもよい。
また、例えば、パワーローラ4と入力ディスク2及び出力ディスク3との接触点がわかれば、実変速比と実傾転角との関係は幾何学形状だけで定まるため、実変速比を実傾転角に置き換えることができ、また、実傾転角を実変速比に置き換えることもできる。すなわち、変速比制御部65は、傾転角センサ50が検出した実際の実傾転角に基づいて実変速比を算出し、算出した実変速比と目標変速比との偏差を算出し、この偏差に基づいて目標ストローク量を設定するようにしてもよい。また、この場合、実変速比は、傾転角センサ50が検出した実際の実傾転角に基づいて算出する以外にも、例えば、入力回転数センサ53が検出した入力回転数と出力回転数センサ54が検出した出力回転数から算出することもできる。
また、以上の説明では、パワーローラ4、トラニオン6の実ストローク量は、ストロークセンサ51により検出するものとして説明したが、これに限らず、傾転角センサ50が検出した実傾転角の変化量、入力回転数センサ53が検出した入力回転数の変化量又は実変速比の変化量などに基づいて算出してもよい。
また、以上の説明では、本発明の無段変速機は、トロイダル式無段変速機1、201であるものとして説明したがこれに限らない。
図9は、本発明の変形例に係るベルト式無段変速機の概略構成図である。以上の図1乃至図8の説明では、本発明の無段変速機をトロイダル式無段変速機1、201に適用した場合で説明したが、これに限らず、本発明の無段変速機は、図9に示すような、いわゆるベルト式無段変速機301に適用することもできる。なお、本図では上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
この本発明の変形例にかかる無段変速機としてのベルト式無段変速機301は、エンジン21からの駆動力をベルト304によって入力側部材から出力側部材に伝達可能であると共に、入力側部材と出力側部材との回転数比である変速比を無段階(連続的)に変更する、いわゆる、ベルト式の無段変速機である。すなわち、このベルト式無段変速機301は、エンジン21からの駆動力が伝達される入力側部材としてのプライマリプーリ302と、プライマリプーリ302に伝達された駆動力を変化させて出力する出力側部材としてのセカンダリプーリ303と、プライマリプーリ302に伝達された駆動力をセカンダリプーリ303に伝達する伝達部材としてのベルト304とを含んで構成されるものである。さらに、このベルト式無段変速機301は、エンジン21の各部やベルト式無段変速機301の各部を制御する制御手段としてのECU360と、各部の油圧を制御する油圧制御装置309とを含んで構成される。なお、以下の説明では、エンジン21、トルクコンバータ22、前後進切換機構23、動力伝達機構24、ディファレンシャルギヤ25等の構成は、上述のトロイダル式無段変速機1、201とほぼ同様であるので説明を省略する。
ベルト式無段変速機301は、所定の間隔を設けて平行に配置した2本のプーリ軸としてのプライマリプーリ軸321、セカンダリプーリ軸331と、プライマリプーリ軸321、セカンダリプーリ軸331に各々配置され且つプライマリプーリ軸321、セカンダリプーリ軸331上を軸線方向に摺動し得るプライマリ可動シーブ323、セカンダリ可動シーブ333と、この各プライマリ可動シーブ323、セカンダリ可動シーブ333に各々対向させてプライマリプーリ軸321、セカンダリプーリ軸331上に配置され且つプライマリ可動シーブ323、セカンダリ可動シーブ333との間でプライマリ溝327、セカンダリ溝337を形成するプライマリ固定シーブ322、セカンダリ固定シーブ332と、対向配置したそれぞれのプライマリ可動シーブ323、セカンダリ可動シーブ333及びプライマリ固定シーブ322、セカンダリ固定シーブ332における各プライマリ溝327、セカンダリ溝337に巻き掛けられるベルト304とを含んで構成される。
具体的には、ベルト式無段変速機301は、上述したように、一方のプーリとしてのプライマリプーリ302と、他方のプーリとしてのセカンダリプーリ303と、ベルト304と、ECU360と、油圧制御装置309とを備える。
プライマリプーリ302は、一方のプーリであり、前後進切替機構23を介して伝達されたエンジントルクをベルト304により、他方のプーリであるセカンダリプーリ303に伝達するものである。言い換えれば、エンジン21(駆動源)からのエンジントルク(駆動力)が入力されるプライマリプーリ302は、ベルト式無段変速機301が備える2つのプーリのうち、一方のプーリをなす。
プライマリプーリ302は、プライマリプーリ軸321と、プライマリ固定シーブ322と、プライマリ可動シーブ323と、プライマリプーリ302にベルト挟圧力を発生させることでベルト式無段変速機301の変速比を変更する挟圧力発生油圧室としてのプライマリ油圧室324とにより構成されている。
プライマリプーリ軸321は、軸受部材325、326により回転可能に支持されている。また、プライマリプーリ軸321は、内部に図示しない作動油通路を有している。作動油通路は、油圧制御装置309の油圧制御回路に接続されており、油圧制御装置309からプライマリ油圧室324に供給される作動油が流入する。
プライマリ固定シーブ322は、円錐板状に形成され、プライマリ可動シーブ323と対向する位置に、プライマリプーリ軸321と一体回転するように設けられている。ここでは、プライマリ固定シーブ322は、プライマリプーリ軸321の外周から径方向外側に突出する環状部として形成されている。つまり、プライマリ固定シーブ322は、プライマリプーリ軸321の外周に一体的に設けられている。なお、プライマリ固定シーブ322は、プライマリプーリ軸321と別体であってもよい。
プライマリ可動シーブ323は、円錐板状に形成され、例えば、スプライン嵌合により、プライマリプーリ軸321に対して軸方向に移動可能で、プライマリプーリ軸321と一体回転可能に支持されている。
プライマリ固定シーブ322とプライマリ可動シーブ323とは、プライマリ固定シーブ322のプライマリ可動シーブ323に対向する面と、プライマリ可動シーブ323のプライマリ固定シーブ322と対向する面との間に、V字形状のプライマリ溝327を形成している。プライマリ溝327は、無端であるベルト304が巻き掛けられる。つまり、ベルト304は、プライマリ固定シーブ322とプライマリ可動シーブ323との間に挟み込まれるようにして設けられる。
プライマリ油圧室324は、プライマリ可動シーブ323のプライマリ固定シーブ322と対向する面と反対側の背面の圧力作用面としてのプライマリ可動シーブ挟圧押圧力作用面323aと、プライマリプーリ軸321に固定されたリング形状のプライマリピストン328とにより構成されている。プライマリ可動シーブ323のプライマリ可動シーブ挟圧押圧力作用面323aには、軸方向の一方向に突出、すなわちプライマリ固定シーブ322とは反対側に突出する円筒形状の突出部323bが形成されている。突出部323bとプライマリピストン328との間には、例えばシールリングなどの図示しないプライマリ油圧室用シール部材が設けられている。つまり、プライマリ油圧室324を構成するプライマリ可動シーブ323のプライマリ可動シーブ挟圧押圧力作用面323aとプライマリピストン328とは、シール部材によりシールされている。なお、軸受部材326及びプライマリピストン328は、ロックナット329により、プライマリプーリ軸321に対して固定されている。
プライマリ油圧室324には、プライマリプーリ軸321の図示しない作動油通路に流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御装置309は、プライマリ油圧室324に作動油を供給し、プライマリ油圧室324の油圧により、プライマリ可動シーブ323を軸方向に摺動させ、プライマリ可動シーブ323をプライマリ固定シーブ322に対して接近あるいは離隔させるものである。プライマリ油圧室324は、プライマリ油圧室324に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ323を軸方向におけるプライマリ固定シーブ322側に押圧する可動シーブ押圧力をプライマリ可動シーブ挟圧押圧力作用面323aに作用させることで、プライマリ溝327に巻き掛けられるベルト304に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、プライマリプーリ302は、プライマリ油圧室324の油圧によりベルト304に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、プライマリ可動シーブ323のプライマリ固定シーブ322に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、プライマリ油圧室324は、例えばベルト式無段変速機301の変速比γを変更させる機能を有するものである。
つまり、このプライマリ油圧室324、プライマリ可動シーブ323のプライマリ可動シーブ挟圧押圧力作用面323a、突出部323b及びプライマリピストン328は、本発明の挟圧手段としての油圧押圧機構315を構成する。すなわち、油圧押圧機構315は、挟圧力発生油圧室としてのプライマリ油圧室324に供給される作動油の圧力をプライマリプーリ302の回転に伴って回転する圧力作用面としてのプライマリ可動シーブ挟圧押圧力作用面323aに作用させることで、第1挟圧部材としてのプライマリ可動シーブ323とこのプライマリ可動シーブ323に対向する第2挟圧部材としてのプライマリ固定シーブ322との間に伝達部材としてのベルト304を挟み込むベルト挟圧力を作用可能である。
なお、セカンダリプーリ303は、他方のプーリであり、ベルト304によりプライマリプーリ302に伝達されたエンジントルクを図示しないリダクションドライブギヤに伝達し、動力伝達機構24、ディファレンシャルギヤ25、ドライブシャフト26を介して車輪27に伝達するものである。言い換えれば、プライマリプーリ302からの駆動力が出力されるセカンダリプーリ303は、ベルト式無段変速機301が備える2つのプーリのうち、他方のプーリをなす。
セカンダリプーリ303は、セカンダリプーリ軸331と、セカンダリ固定シーブ332と、セカンダリ可動シーブ333と、セカンダリプーリ303にベルト挟圧力を発生させることで、ベルト304の張力を調整するセカンダリ油圧室334とにより構成されている。
セカンダリプーリ軸331は、軸受部材335、336により回転可能に支持されている。また、セカンダリプーリ軸331は、内部に図示しない作動油通路を有している。作動油通路は、油圧制御装置309に接続されており、油圧制御装置309からセカンダリ油圧室334に供給される作動油が流入する。
上述のプライマリプーリ軸321とセカンダリプーリ軸331とは、互いにほぼ平行になるように配置されている。
セカンダリ固定シーブ332は、円錐板状に形成され、セカンダリ可動シーブ333と対向する位置に、セカンダリプーリ軸331と一体回転するように設けられている。ここでは、セカンダリ固定シーブ332は、セカンダリプーリ軸331の外周から径方向外側に突出する環状部として形成されている。つまり、変形例では、セカンダリ固定シーブ332は、セカンダリプーリ軸331の外周に一体的に設けられている。なお、セカンダリ固定シーブ332は、セカンダリプーリ軸331と別体であってもよい。
セカンダリ可動シーブ333は、円錐板状に形成され、例えば、スプライン嵌合により、セカンダリプーリ軸331に対して軸方向に移動可能で、セカンダリプーリ軸331と一体回転可能に支持されている。
セカンダリ固定シーブ332とセカンダリ可動シーブ333とは、セカンダリ固定シーブ332のセカンダリ可動シーブ333に対向する面と、セカンダリ可動シーブ333のセカンダリ固定シーブ332と対向する面との間に、V字形状のセカンダリ溝337を形成している。セカンダリ溝337は、無端であるベルト304が巻き掛けられる。つまり、ベルト304は、セカンダリ固定シーブ332とセカンダリ可動シーブ333との間に挟み込まれるようにして設けられる。
セカンダリ油圧室334は、セカンダリ可動シーブ333のセカンダリ固定シーブ332と対向する面と反対側の背面のセカンダリ固定シーブ挟圧押圧力作用面333aと、セカンダリプーリ軸331に固定されたリング形状のセカンダリピストン338とにより構成されている。セカンダリ可動シーブ333のセカンダリ固定シーブ挟圧押圧力作用面333aには、軸方向の一方向に突出、すなわちセカンダリ固定シーブ332とは反対側に突出する円筒形状の突出部333bが形成されている。突出部333bとセカンダリピストン338との間には、例えばシールリングなどの図示しないセカンダリ油圧室用シール部材が設けられている。つまり、セカンダリ油圧室334を構成するセカンダリ可動シーブ333のセカンダリ固定シーブ挟圧押圧力作用面333aとセカンダリピストン338とは、シール部材によりシールされている。なお、軸受部材335及びセカンダリピストン338は、ロックナット339bにより、セカンダリプーリ軸331に対して固定されている。また、軸受部材336は、ロックナット339aにより、セカンダリプーリ軸331に対して固定されている。なお、この軸受部材336とセカンダリ固定シーブ332との間には、パーキングギヤ308が設けられている。
セカンダリ油圧室334には、セカンダリプーリ軸331の図示しない作動油通路に流入した作動油が供給される。つまり、油圧制御装置309は、セカンダリ油圧室334に作動油を供給し、セカンダリ油圧室334の油圧により、セカンダリ可動シーブ333を軸方向に摺動させ、セカンダリ可動シーブ333をセカンダリ固定シーブ332に対して接近あるいは離隔させるものである。セカンダリ油圧室334は、セカンダリ油圧室334に供給される作動油により、セカンダリ可動シーブ333を軸方向におけるセカンダリ固定シーブ側に押圧する可動シーブ押圧力をセカンダリ固定シーブ挟圧押圧力作用面333aに作用させることで、セカンダリ溝337に巻き掛けられるベルト304に対するベルト挟圧力を発生させる。つまり、セカンダリプーリ303は、セカンダリ油圧室334の油圧によりベルト304に対してベルト挟圧力を発生させ、発生したベルト挟圧力により、セカンダリ可動シーブ333のセカンダリ固定シーブ332に対する軸方向位置を変更するものである。これにより、セカンダリ油圧室334は、例えば、ベルト304の張力を制御することで、ベルト304のプライマリプーリ302及びセカンダリプーリ303に対する接触半径を一定に維持する機能の一部を担うものである。
ベルト304は、入力側であるエンジン21(駆動源)からプライマリプーリ302に入力された駆動力、すなわちエンジントルクをセカンダリプーリ303に伝達するものである。ベルト304は、プライマリプーリ302のプライマリ溝327とセカンダリプーリ303のセカンダリ溝337との間に巻き掛けられている。また、ベルト304は、多数の金属製のベルトエレメントと複数本のスチールリングで構成された無端ベルトである。
ECU360は、ベルト式無段変速機301が搭載された車両の運転状態(走行状態)に応じてベルト式無段変速機301の各部の駆動を制御しベルト式無段変速機301の実際の変速比である実変速比を制御する。ECU360は、種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力回転数、出力回転数、シフトポジションなどの運転状態などに基づいて目標の変速比である目標変速比を決定すると共に、油圧制御装置309を駆動して油圧制御を行うことで、プライマリ油圧室324の油圧及びセカンダリ油圧室334の油圧を調整する。つまり、ECU360は、油圧制御装置309の不図示の流量制御弁に供給する駆動電流を制御指令値に基づいてデューティ制御することで、プライマリ油圧室324の油圧及びセカンダリ油圧室334の油圧を調整し、プライマリ可動シーブ323、セカンダリ可動シーブ333をプライマリ固定シーブ322、セカンダリ固定シーブ332に対して接近離間させる。そして、ECU360は、プライマリ可動シーブ323、セカンダリ可動シーブ333をプライマリ固定シーブ322、セカンダリ固定シーブ332に対して接近離間させることで、プライマリプーリ302におけるベルト挟圧力及びセカンダリプーリ303におけるベルト挟圧力を調整し、プライマリプーリ302の回転数である入力回転数と、セカンダリプーリ303の回転数である出力回転数との比である変速比γを制御することができ、実際の変速比である実変速比が目標の変速比である目標変速比となるように制御することができる。
そして、上記のように構成されるベルト式無段変速機301であっても、ECU360がセカンダリプーリ303の現在の実際の回転数である実出力回転数で実現可能なプライマリプーリ302の最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、油圧押圧機構315における目標の挟圧力からこの最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた挟圧力となるように油圧押圧機構315を制御することで、適正に駆動力を伝達することができる。
つまり、本変形例に係るベルト式無段変速機301は、エンジン21からの駆動力を入力側部材としてのプライマリプーリ302から出力側部材としてのセカンダリプーリ303に伝達可能であると共にプライマリプーリ302とセカンダリプーリ303との回転数比である変速比を無段階に変更可能なベルト式無段変速機301において、駆動力をプライマリプーリ302側からセカンダリプーリ303側に伝達可能な伝達部材としてのベルト304と、挟圧力発生油圧室としてのプライマリ油圧室324に供給される作動油の圧力をプライマリプーリ302の回転に伴って回転する圧力作用面としてのプライマリ可動シーブ挟圧押圧力作用面323aに作用させることで、第1挟圧部材としてのプライマリ可動シーブ323とこのプライマリ可動シーブ323に対向する第2挟圧部材としてのプライマリ固定シーブ322との間にベルト304を挟み込むベルト挟圧力を作用可能な油圧押圧機構315と、セカンダリプーリ303の現在の実際の回転数である実出力回転数で実現可能なプライマリプーリ302の目標の回転数である目標入力回転数の最低回転数である最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、目標ベルト挟圧力から最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標ベルト挟圧力となるように油圧押圧機構315を制御するECU360とを備える。
この場合でも、ECU360がセカンダリプーリ303の実出力回転数で実現可能なプライマリプーリ302の最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を算出し、油圧押圧機構315における目標ベルト挟圧力からこの最低目標入力回転数に応じた作動油の遠心油圧を減じた補正目標ベルト挟圧力となるように油圧押圧機構315を制御することで、少なくとも最低目標入力回転数に応じた遠心油圧に基づいて目標ベルト挟圧力を補正するため、遠心油圧に起因する過剰な挟圧力が作用することによるフリクション増加の抑制と、ベルト挟圧力が不足することによるベルト304のスリップの防止とを両立することができる。この結果、プライマリ固定シーブ322、プライマリ可動シーブ323とベルト304との間のトラクション状態を適正に維持することができ、適正に駆動力を伝達することができる。
以上のように、本発明に係る無段変速機は、適正に駆動力を伝達することができるものであり、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力を車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達する無段変速機に適用して好適である。
本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の概略断面図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機の要部の構成図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する中立位置を説明する模式図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する変速位置を説明する模式図である。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機における最低目標入力回転数を求めるための目標入力回転数マップである。 本発明の実施形態1に係るトロイダル式無段変速機における遠心油圧を求めるための遠心油圧マップである。 本発明の実施形態2に係るトロイダル式無段変速機の遠心油圧補正制御を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態2に係るトロイダル式無段変速機の遠心油圧補正制御を説明するタイムチャートである。 本発明の変形例に係るベルト式無段変速機の概略構成図である。
符号の説明
1、201 トロイダル式無段変速機(無段変速機)
2 入力ディスク(入力側部材、第1挟圧部材)
3 出力ディスク(出力側部材、第2挟圧部材)
4 パワーローラ(伝達部材)
5 変速比変更部(変速比変更手段)
6 トラニオン
7 移動部
8 油圧ピストン部
9、309 油圧制御装置
10 入力軸
11 バリエータ軸
15、315 油圧押圧機構(挟圧手段)
15a 挟圧力発生油圧室
15b 挟圧押圧力ピストン
21 エンジン(駆動源)
28 フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面(圧力作用面)
29 リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面(圧力作用面)
60、360 ECU(制御手段)
61 トルクコンバータ制御部
62 前後進切換制御部
63 挟圧力制御部
64 エンジン制御部
65 変速比制御部
66 遠心油圧算出部
67 挟圧力補正部
81 変速制御ピストン
82 変速制御油圧室
93 第1流量制御弁
94 第2流量制御弁
301 ベルト式無段変速機(無段変速機)
302 プライマリプーリ(入力側部材)
303 セカンダリプーリ(出力側部材)
304 ベルト(伝達部材)
322 プライマリ固定シーブ(第2挟圧部材)
323 プライマリ可動シーブ(第1挟圧部材)
323a プライマリ可動シーブ挟圧押圧力作用面(圧力作用面)
324 プライマリ油圧室(挟圧力発生油圧室)

Claims (7)

  1. 駆動力が入力される入力ディスクと、
    前記駆動力が出力される出力ディスクと、
    前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に設けられるパワーローラと、
    前記パワーローラを回転自在、かつ、傾転自在に支持すると共に、前記パワーローラを傾転させることで前記入力ディスクと前記出力ディスクとの回転速度比である変速比を変更可能な変速比変更手段と、
    挟圧力発生油圧室に供給される作動媒体の圧力を前記入力ディスクの回転に伴って回転する圧力作用面に作用させることで前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に前記パワーローラを挟み込む挟圧力を作用可能な挟圧手段と、
    前記出力ディスクの現在の実際の回転速度である実出力回転速度で実現可能な前記入力ディスクの目標の回転速度である目標入力回転速度の最低速度である最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の前記挟圧力から前記最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする、
    無段変速機。
  2. 前記最低目標入力回転速度は、前記実出力回転速度に対する変化率が、前記実出力回転速度が高い側より低い側の方が小さく設定されることを特徴する、
    請求項1に記載の無段変速機。
  3. 前記制御手段は、運転状態に応じて設定される前記目標入力回転速度が増加する場合に、目標の前記挟圧力から前記最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御することを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載の無段変速機。
  4. 前記制御手段は、運転状態に応じて設定される前記目標入力回転速度が定常的である場合に、前記入力ディスクの現在の実際の回転速度である実入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の前記挟圧力から前記実入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御することを特徴とする、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無段変速機。
  5. 前記制御手段は、運転状態に応じて設定される前記目標入力回転速度の変化量が予め設定された所定範囲内で予め設定される所定期間継続した際に、前記目標入力回転速度が定常的であると判定することを特徴とする、
    請求項4に記載の無段変速機。
  6. 前記制御手段は、運転状態に応じて設定される前記目標入力回転速度が低下する場合に、前記入力ディスクの現在の実際の回転速度である実入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の前記挟圧力から前記実入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御することを特徴とする、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無段変速機。
  7. 駆動源からの駆動力を入力側部材から出力側部材に伝達可能であると共に前記入力側部材と前記出力側部材との回転速度比である変速比を無段階に変更可能な無段変速機において、
    前記駆動力を前記入力側部材側から前記出力側部材側に伝達可能な伝達部材と、
    挟圧力発生油圧室に供給される作動媒体の圧力を前記入力側部材の回転に伴って回転する圧力作用面に作用させることで、第1挟圧部材と当該第1挟圧部材に対向する第2挟圧部材との間に前記伝達部材を挟み込む挟圧力を作用可能な挟圧手段と、
    前記出力側部材の現在の実際の回転速度である実出力回転速度で実現可能な前記入力側部材の目標の回転速度である目標入力回転速度の最低速度である最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を算出し、目標の前記挟圧力から前記最低目標入力回転速度に応じた前記作動媒体の遠心圧力を減じた前記挟圧力となるように前記挟圧手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする、
    無段変速機。
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