JP2009156328A - 無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のパワーローラの傾転を確実に同期させることができる無段変速機を提供する。
【解決手段】パワーローラを支持する支持手段を回転させる回転力を他の支持手段に伝達する回転力伝達材19と、各支持手段に設けられ止め具31を介して該回転力伝達材19が巻き掛けられる巻掛部20とを有し、該回転力伝達材19を介して複数の支持手段の回転を相互に同期させる同期手段18と、止め具31の巻掛部20からの脱落を防止可能な防止手段100とを備えることを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、無段変速機に関し、特に、入力ディスクと出力ディスクとの間に配置されたパワーローラの移動により変速比の変更が行われる、いわゆるトロイダル式の無段変速機に関するものである。
一般に、車両には、駆動源である内燃機関や電動機からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で路面に伝達するために、駆動源の出力側に変速機が設けられている。この変速機には、変速比を無段階(連続的)に制御する無段変速機と、変速比を段階的(不連続)に制御する有段変速機とがある。ここで、このような無段変速機、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)には、入力ディスクと出力ディスクとの間に挟み込んだパワーローラを介して各ディスクの間でトルクを伝達すると共に、パワーローラを傾転させて変速比を変化させる、いわゆる、トロイダル式の無段変速機がある。
このトロイダル式無段変速機は、トロイダル面を有する入力ディスクと出力ディスクとの間に、外周面をトロイダル面に対応する曲面としたパワーローラなどの回転手段を挟み込み、これら入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラとの間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するものである。そして、このパワーローラは、トラニオンにより回転自在に支持されており、このトラニオンは、揺動軸を中心として揺動可能であると共に、例えば、トラニオンに設けられたピストンに対して変速制御油圧室に供給される作動油の油圧により変速制御押圧力を作用させることで、この揺動軸に沿った方向に移動可能に構成されている。したがって、トラニオンに支持されるパワーローラがこのトラニオンと共に入力ディスク及び出力ディスクに対する中立位置から変速位置に移動することで、パワーローラとディスクとの間に接線力が作用しサイドスリップが発生し、このパワーローラが入力ディスク及び出力ディスクに対して揺動軸を中心として揺動、すなわち、傾転し、この結果、入力ディスクと出力ディスクとの回転数比である変速比が変更される。そして、入力ディスクと出力ディスクとの回転数比である変速比は、パワーローラが入力ディスク及び出力ディスクに対して傾転する角度、すなわち、傾転角に基づいて決まり、この傾転角は、当該パワーローラの中立位置から変速位置側への移動量としてのストローク量(オフセット量)の積分値に基づいて決まる。
このような従来のトロイダル式の無段変速機は、複数のトラニオンに設けられたプーリ(巻掛部)に8の字状の無端同期ケーブルが掛け渡され、この同期ケーブルによって複数のトラニオンの回転、言い換えれば、複数のパワーローラの傾転の同期を図っているものがある。例えば、特許文献1に記載されているトロイダル形無段変速機用同期ケーブルは、ワイヤロープ(回転力伝達材)と、このワイヤロープに締結されるとともにトラニオンに装着される円弧状のチューブ(止め具)とから構成され、このチューブの両端部を除いた他の部分を加締めることで、ワイヤロープに引っ張り力が加わってもチューブからワイヤロープが抜けてしまうことを防止している。
特開平11−230291号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載されているトロイダル形無段変速機用同期ケーブルでは、例えば、入力ディスク、出力ディスクとパワーローラとが接触する部分の面圧が過小の場合にこの接触部分にて著しい滑り、いわゆる、グロススリップが発生した際など、複数のパワーローラの傾転が大きくずれようとした場合に、入力ディスク、出力ディスク及びパワーローラとの間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力によってワイヤロープに過大な引っ張り力が作用しこのワイヤロープがプーリから脱落するおそれがあった。この結果、複数のパワーローラの傾転の同期が適正に実行されないおそれがあった。
そこで本発明は、複数のパワーローラの傾転を確実に同期させることができる無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による無段変速機は、駆動力が入力される入力ディスクと、前記駆動力が出力される出力ディスクと、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に設けられる複数のパワーローラと、前記パワーローラを各々回転自在、かつ、前記入力ディスク及び前記出力ディスクに対して傾転自在に支持する複数の支持手段を有し、回転軸線を中心として前記支持手段を回転させ前記パワーローラを傾転させることで、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの回転数比である変速比を変更可能な変速比変更手段と、前記支持手段を回転させる回転力を他の前記支持手段に伝達する回転力伝達材と、前記各支持手段に設けられ止め具を介して該回転力伝達材が巻き掛けられる巻掛部とを有し、該回転力伝達材を介して前記複数の支持手段の回転を相互に同期させる同期手段と、前記止め具の前記巻掛部からの脱落を防止可能な防止手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明による無段変速機では、前記巻掛部は、前記回転軸線を中心とする円柱状に形成されると共に外周面に円弧状の前記止め具が装着される円弧状の溝部を有し、前記防止手段は、前記巻掛部の前記回転軸線周り方向に対する前記止め具の止め具端面と前記溝部の溝部端面とが前記巻掛部の径方向内側に隙間を有して当接可能な当接部により構成されることを特徴とする。
請求項3に係る発明による無段変速機では、前記当接部は、前記巻掛部の径方向外側に前記止め具端面と前記溝部端面とが接触可能な接触部を有する一方、前記径方向内側に前記隙間をなす非接触部を有し、前記非接触部は、前記回転力伝達材に所定の荷重が作用した際に前記止め具端面と前記溝部端面とが接触することを特徴とする。
請求項4に係る発明による無段変速機では、前記当接部は、前記巻掛部の径方向に対する前記溝部端面の両端面に沿った線の交点が前記溝部に対して前記回転軸線より離間した側に設定される、又は、前記巻掛部の径方向に対する前記止め具端面の両端面に沿った線の交点が前記溝部に対して前記回転軸線より近接した側に設定されることで構成されることを特徴とする。
請求項5に係る発明による無段変速機では、前記当接部は、前記溝部の外径が前記止め具の内径より小さく設定されることで構成されることを特徴とする。
請求項6に係る発明による無段変速機では、前記防止手段は、前記止め具に当接し該止め具の前記回転軸線から離間する方向への移動を規制可能な保持プレートを有することを特徴する。
請求項7に係る発明による無段変速機では、前記保持プレートは、プレート本体部から前記回転軸線に沿った方向に突起し前記巻掛部の外面との間に前記止め具を保持可能な保持部を有することを特徴とする。
請求項8に係る発明による無段変速機では、前記保持部は、前記止め具の中央部を保持可能な位置に設けられることを特徴とする。
請求項9に係る発明による無段変速機では、前記保持部は、前記止め具の両端部を保持可能な位置に設けられることを特徴とする。
請求項10に係る発明による無段変速機では、前記支持手段は、前記回転軸線を回転中心として回転可能であると共に前記回転軸線に沿った方向に移動自在な揺動軸を有し、前記保持プレートは、プレート本体部に前記揺動軸が挿入される挿入口を有し、前記挿入口に前記揺動軸が挿入された後に該揺動軸に前記巻掛部が設けられ該巻掛部に前記回転力伝達材が巻き掛けられ前記巻掛部と共に前記揺動軸に固定される、又は、前記揺動軸に前記巻掛部が設けられ該巻掛部に前記回転力伝達材が巻き掛けられた後に前記挿入口に前記揺動軸が挿入され該巻掛部と共に前記揺動軸に固定されることを特徴とする。
本発明に係る無段変速機によれば、防止手段が回転力伝達材に設けられた止め具の巻掛部からの脱落を防止することから、回転力伝達材が巻掛部から脱落することを確実に防止することができるので、複数のパワーローラの傾転を確実に同期させることができる。
以下に、本発明に係る無段変速機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の概略断面図、図2は、本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の要部の構成図、図3は、本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する中立位置を説明する模式図、図4は、本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する変速位置を説明する模式図、図5は、本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の同期ワイヤの掛け方を説明する模式的平面図、図6は、本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す概略平面図、図7は、本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(低荷重時)を示す部分平面図、図8は、本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(高荷重時)を示す部分平面図である。
なお、図2は、トロイダル式無段変速機を構成する各パワーローラのうち任意のパワーローラと、このパワーローラに接触する入力ディスクを示す図である。また、図3、図4は、入力ディスクを出力ディスク側から見た図であり、入力ディスクとパワーローラをそれぞれ1つだけ模式的に図示している。
ここで、以下で説明する実施例では、本発明の無段変速機に伝達される駆動力を発生する駆動源としてエンジントルクを発生する内燃機関(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなど)を用いるが、これに限定されるものではなく、モータトルクを発生するモータなどの電動機を駆動源として用いてもよい。また、駆動源として内燃機関及び電動機を併用してもよい。
図1に示すように、本実施例に係る無段変速機としてのトロイダル式無段変速機1は、車両に搭載される駆動源としてのエンジン21からの駆動力、すなわち出力トルクを車両の走行状態に応じた最適の条件で車輪27に伝達するためのものであり、変速比を無段階(連続的)に制御することができる、いわゆるCVT(CVT:Continuously Variable Transmission)である。このトロイダル式無段変速機1は、入力ディスク2と出力ディスク3との間に挟み込んだパワーローラ4を介して各入力ディスク2と出力ディスク3の間でトルクを伝達すると共に、パワーローラ4を傾転させて変速比を変化させる、いわゆる、トロイダル式の無段変速機である。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、トロイダル面2a、3aを有する入力ディスク2と出力ディスク3との間に、外周面をトロイダル面2a、3aに対応する曲面としたパワーローラ4を挟み込み、これら入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ4との間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するものである。
具体的には、このトロイダル式無段変速機1は、図1、図2に示すように、入力ディスク2と、出力ディスク3と、パワーローラ4と、変速比変更手段としての変速比変更部5とを備える。変速比変更部5は、支持手段としてのトラニオン6と、移動部7を有する。さらに、移動部7は、油圧ピストン部8と、油圧制御装置9とを有する。また、このトロイダル式無段変速機1は、トロイダル式無段変速機1の各部を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)60を備える。このトロイダル式無段変速機1では、入力ディスク2と出力ディスク3とに接触して設けられるパワーローラ4が移動部7により入力ディスク2及び出力ディスク3に対して中立位置から変速位置に移動することで、入力ディスク2と出力ディスク3との回転数比である変速比が変更される。
入力ディスク2は、エンジン21側からの駆動力(トルク)が、例えば、発進機構であり流体伝達装置であるトルクコンバータ22や前後進切換機構23などを介して伝達(入力)されるものである。
エンジン21は、このエンジン21が搭載された車両を前進あるいは後進させるためのエンジントルク、すなわち、駆動力を出力するものである。また、エンジン21は、ECU60に電気的に接続されており、このECU60によってその駆動が制御され、出力する駆動力が制御されている。エンジン21からの駆動力は、クランクシャフト21aを介してトルクコンバータ22に伝達される。
トルクコンバータ22は、前後進切換機構23を介してエンジン21からの駆動力をトロイダル式無段変速機1に伝達するものである。トルクコンバータ22は、ポンプ(ポンプインペラ)、タービン(タービンランナ)、ステータ、ロックアップクラッチを備える。ポンプは、フロントカバー等を介してエンジン21のクランクシャフト21aに連結されており、クランクシャフト21a、フロントカバーと共に回転可能に設けられている。タービンは、上記ポンプと対向するように配置されている。このタービンは、前後進切換機構23を介して入力軸10に連結されており、入力軸10と共にクランクシャフト21aと同一の軸線を中心に回転可能に設けられている。ステータは、そのポンプとタービンとの間に配置されている。ロックアップクラッチは、このタービンとフロントカバーとの間に設けられており、タービンに連結されている。
したがって、このトルクコンバータ22は、エンジン21の駆動力(エンジントルク)がクランクシャフト21aからフロントカバーを介してポンプに伝達される。そして、ロックアップクラッチが解放されている場合には、このポンプに伝達された駆動力は、ポンプとタービンとの間に介在する作動流体である作動油を介してタービン、入力軸10に伝達される。このとき、トルクコンバータ22は、ステータにより、ポンプとタービンとの間を循環する作動油の流れを変化させ所定のトルク特性を得ることができる。そして、トルクコンバータ22は、タービンに連結されているロックアップクラッチがフロントカバーに係合されている場合、フロントカバーを介してポンプに伝達されたエンジン21からの駆動力は、作動油を介さずに直接的に入力軸10に伝達される。ここで、ロックアップクラッチの係合及び係合の解除、すなわち、ON、OFFを行うON/OFF制御は、後述する油圧制御装置9から供給される作動油によって行われる。油圧制御装置9は、後述するECU60と接続されている。したがって、ロックアップクラッチのON/OFF制御は、ECU60により行われる。
前後進切換機構23は、トルクコンバータ22を介して伝達されたエンジン21からの駆動力をトロイダル式無段変速機1の入力ディスク2に伝達するものである。前後進切換機構23は、例えば、遊星歯車機構、摩擦クラッチ、摩擦ブレーキなどにより構成され、エンジン21の駆動力を直接、あるいは反転して入力ディスク2に伝達するものである。つまり、前後進切換機構23を介したエンジン21の駆動力は、入力ディスク2を正回転させる方向(車両が前進する際に入力ディスク2が回転する方向)に作用する正回転駆動力として、あるいは、入力ディスク2を逆回転させる方向(車両が後進する際に入力ディスク2が回転する方向)に作用する逆回転駆動力として、入力ディスク2に伝達される。この前後進切換機構23による駆動力の伝達方向の切換制御は、摩擦クラッチ、摩擦ブレーキの係合及び係合の解除、すなわち、ON、OFFを行うON/OFF制御を実行することで行われる。前後進切換機構23による駆動力の伝達方向の切換制御、言い換えれば、摩擦クラッチ、摩擦ブレーキのON/OFF制御は、後述する油圧制御装置9から供給される作動油により行われる。したがって、前後進切換機構23の切換制御は、ECU60により行われている。
入力ディスク2は、エンジン21の回転に基づいて回転される入力軸10に2つが結合されており、この入力軸10により回転自在に設けられている。さらに言えば、各入力ディスク2は、入力軸10と同一の回転をするバリエータ軸11によって回転される。したがって、各入力ディスク2は、入力軸10の回転軸線X1を回転中心として回転可能である。このトロイダル式無段変速機1は、バリエータ軸11に対して、フロント側(エンジン21側)にフロント側入力ディスク2が設けられ、回転軸線X1に沿った方向にフロント側入力ディスク2に対して所定の間隔をあけてリア側(車輪27側)にリア側入力ディスク2が設けられる。
フロント側入力ディスク2は、ボールスプライン11aを介してバリエータ軸11に支持されている。つまり、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、このバリエータ軸11に対して回転軸線X1に沿った方向に移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しない一方、回転軸線X1に沿った方向には相対的に変位可能である。一方、リア側入力ディスク2は、スプライン嵌合部を介してバリエータ軸11に支持されていると共に、バリエータ軸11のリア側端部に設けられたスナップリング11bにより回転軸線X1に沿った方向への移動が制限されている。つまり、リア側入力ディスク2は、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、バリエータ軸11の回転軸線X1に沿った方向の移動に伴って移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、リア側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しないと共に、回転軸線X1に沿った方向にも相対的に変位しない。なお、以下の説明では、フロント側入力ディスク2とリア側入力ディスク2とを特に区別する必要がない場合、単に「入力ディスク2」と略記する。
各々の入力ディスク2は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する形状をなす。各入力ディスク2の突出部分の斜面は、回転軸線X1方向に沿った断面がほぼ円弧形状となるように形成され各入力ディスク2のトロイダル面2aをなす。2つの入力ディスク2は、トロイダル面2aが互いに対向するように設けられる。
出力ディスク3は、各入力ディスク2に伝達(入力)された駆動力を車輪27側に伝達(出力)するものであり、各入力ディスク2に対応して1つずつ、合計2つ設けられる。このトロイダル式無段変速機1は、バリエータ軸11に対して、フロント側(エンジン21側)に第1出力ディスクとしてのフロント側出力ディスク3が設けられ、リア側(車輪27側)に第2出力ディスクとしてのリア側出力ディスク3が設けられる。フロント側出力ディスク3とリア側出力ディスク3とは、共に回転軸線X1に沿った方向に対してフロント側入力ディスク2とリア側入力ディスク2との間に設けられ、さらに言えば、リア側出力ディスク3は、フロント側出力ディスク3とリア側入力ディスク2との間に設けられている。つまり、このトロイダル式無段変速機1は、回転軸線X1に沿った方向に対して、フロント側からフロント側入力ディスク2、フロント側出力ディスク3、リア側出力ディスク3、リア側入力ディスク2の順で設けられている。なお、以下の説明では、フロント側出力ディスク3とリア側出力ディスク3とを特に区別する必要がない場合、単に「出力ディスク3」と略記する。
各入力ディスク2と各出力ディスク3とは、回転軸線X1に同軸上に入力軸10に対して相対的に回転自在に設けられる。したがって、各出力ディスク3は、回転軸線X1を回転中心として回転可能である。そして、各出力ディスク3は、各入力ディスク2とほぼ同一な形状をなし、すなわち、各々の出力ディスク3は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する形状をなす。各出力ディスク3の突出部分の斜面は、回転軸線X1方向に沿った断面がほぼ円弧形状となるように形成され各出力ディスク3のトロイダル面3aをなす。そして、各出力ディスク3は、上述のように回転軸線X1に沿った方向に対して2つの入力ディスク2の間に設けられると共に、各トロイダル面3aが各入力ディスク2のトロイダル面2aにそれぞれ対向するように設けられる。すなわち、回転軸線X1に沿った断面内において、一方のフロント側入力ディスク2のトロイダル面2aとフロント側出力ディスク3のトロイダル面3aとが対向してフロント側(エンジン21側)半円キャビティCを形成し、他方のリア側入力ディスク2のトロイダル面2aとリア側出力ディスク3のトロイダル面3aとが対向して別のリア側(車輪27側)半円キャビティCを形成している。
また、各出力ディスク3は、ベアリングを介しバリエータ軸11に回転可能に支持されている。この2つの出力ディスク3の間には、出力ギア12が連結されており、この出力ギア12は、2つの出力ディスク3と共に一体で回転可能である。出力ギア12には、カウンターギア13がかみ合わされており、このカウンターギア13に出力軸14が連結されている。したがって、各出力ディスク3の回転に伴い、出力軸14が回転する。そして、この出力軸14は、動力伝達機構24、ディファレンシャルギア25等を介して車輪27に接続されており、駆動力は、動力伝達機構24、ディファレンシャルギア25等を介して車輪27に伝達(出力)される。
動力伝達機構24は、トロイダル式無段変速機1とディファレンシャルギア25との間で、駆動力の伝達を行うものである。動力伝達機構24は、出力ディスク3とディファレンシャルギア25との間に配置される。ディファレンシャルギア25は、動力伝達機構24と車輪27との間で、駆動力の伝達を行うものである。ディファレンシャルギア25は、動力伝達機構24と車輪27との間に配置されている。ディファレンシャルギア25には、ドライブシャフト26が連結されている。ドライブシャフト26には、車輪27が取り付けられている。
パワーローラ4は、入力ディスク2と出力ディスク3との間にこの入力ディスク2と出力ディスク3とに接触して設けられ、入力ディスク2からの駆動力を出力ディスク3に伝達するものである。すなわち、パワーローラ4は、外周面がトロイダル面2a、3aに対応した曲面状の接触面4aとして形成される。そして、パワーローラ4は、入力ディスク2と出力ディスク3との間に挟持され、接触面4aがトロイダル面2a、3aに接触可能であり、各パワーローラ4は、それぞれ後述するトラニオン6によってこの接触面4aがトロイダル面2a、3aに接触しながら、回転軸線X2を回転中心として回転自在に支持されている。パワーローラ4は、トロイダル式無段変速機1に供給されるトラクションオイルにより入力ディスク2と出力ディスク3のトロイダル面2a、3aとパワーローラ4の接触面4aとの間に形成される油膜のせん断力を用いて駆動力(トルク)を伝達する。
パワーローラ4は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3によって形成される1つのキャビティに対してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられる。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、フロント側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4が一対で設けられ、リア側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4が一対で設けられる。
さらに具体的には、パワーローラ4は、パワーローラ本体41と、外輪42とにより構成される。パワーローラ本体41は、外周面に入力ディスク2、出力ディスク3のトロイダル面2a、3aと接触する上述の接触面4aが形成されている。パワーローラ本体41は、外輪42に形成された回転軸42aに対して、ラジアルベアリングRBを介して回転自在に支持されている。また、パワーローラ本体41は、外輪42のパワーローラ本体41と対向する面に対して、スラストベアリングSBを介して回転自在に支持されている。したがって、パワーローラ本体41は、回転軸42aの回転軸線X2を回転中心として回転可能である。
外輪42は、上述の回転軸42aと共に偏心軸42bが形成されている。偏心軸42bは、回転軸線X2’が回転軸42aの回転軸線X2に対してずれた位置となるように形成されている。偏心軸42bは、後述するトラニオン6のローラ支持部6aに凹部として形成される嵌合部6dに対して、ラジアルベアリングRBを介して回転自在に支持されている。したがって、外輪42は、偏心軸42bの回転軸線X2’を中心として回転可能である。つまり、パワーローラ4は、トラニオン6に対して、回転軸線X2及び回転軸線X2’を中心として回転可能となり、すなわち、回転軸線X2’を中心として公転可能でかつ回転軸線X2を中心として自転可能となる。これにより、パワーローラ4は、回転軸線X1に沿った方向に移動可能な構成となり、例えば、部品変形や部品精度のバラツキを許容することが可能となる。
ここで、入力軸10は油圧押圧(エンドロード)機構15に接続される。油圧押圧機構15は、入力ディスク2及び出力ディスク3とパワーローラ4とを接触させ、この入力ディスク2と出力ディスク3との間にパワーローラ4を挟み込むための挟圧力を作用させるものである。この油圧押圧機構15は、挟圧力発生油圧室15aと、挟圧押圧力ピストン15bとを有する。
挟圧力発生油圧室15aは、2つの入力ディスク2に対して回転軸線X1に沿った方向の一方側に設けられる。ここでは、挟圧力発生油圧室15aは、回転軸線X1に沿った方向に対してフロント側入力ディスク2側に設けられ、入力軸10とフロント側入力ディスク2との間に配置される。挟圧力発生油圧室15aは、運転状態に応じて油圧制御装置9から内部に作動油が供給される。
挟圧押圧力ピストン15bは、円板状に形成され、その中心が回転軸線X1とほぼ一致するようにバリエータ軸11の一端部に設けられる。挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11のリア側入力ディスク2が設けられている端部とは反対側の端部、すなわち、フロント側(エンジン21側)に設けられている。挟圧押圧力ピストン15bは、回転軸線X1に沿った方向に対して、入力軸10とフロント側入力ディスク2との間にフロント側入力ディスク2と間隔をあけて配置される。上述の挟圧力発生油圧室15aは、この挟圧押圧力ピストン15bとフロント側入力ディスク2との間に設けられている。
また、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11に対してこのバリエータ軸11と共に回転軸線X1を中心として回転可能であり、回転軸線X1に沿った方向に移動可能に設けられる。つまり、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11の回転に伴って回転可能であると共に、バリエータ軸11の回転軸線X1に沿った方向の移動に伴って移動可能にバリエータ軸11に支持されている。さらに言い換えれば、挟圧押圧力ピストン15bは、バリエータ軸11に対して、回転軸線X1周りに相対的に回転変位しないと共に、回転軸線X1に沿った方向にも相対的に変位しない。したがって、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bは、一体となって回転軸線X1を中心として回転可能であり回転軸線X1に沿った方向に移動可能である。また、フロント側入力ディスク2は、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bと共に一体となって回転軸線X1を中心として回転可能である一方で、ボールスプライン11aによって、このリア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bに対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能である。
さらに、挟圧押圧力ピストン15bは、入力軸10にも連結されており、この入力軸10と共に回転軸線X1を中心として回転可能であり、また、回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能に設けられる。つまり、リア側入力ディスク2、バリエータ軸11及び挟圧押圧力ピストン15bは、入力軸10と一体となって回転軸線X1を中心として回転可能である一方で、この入力軸10に対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能である。入力軸10からの駆動力は、バリエータ軸11に伝達され、バリエータ軸11からフロント側入力ディスク2、リア側入力ディスク2に伝達される。
また、フロント側入力ディスク2は、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28を有する一方、挟圧押圧力ピストン15bは、リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29を有する。フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28は、フロント側入力ディスク2にて、パワーローラ4との接触面であるトロイダル面2aの背面に設けられる。リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29は、挟圧押圧力ピストン15bにて、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28と回転軸線X1に沿った方向に対向する面に設けられる。リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29は、上述の挟圧力発生油圧室15aを挟んでフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28と対向するように設けられる。挟圧力発生油圧室15aは、挟圧押圧力ピストン15bとフロント側入力ディスク2との間でフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28とリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29とによって回転軸線X1に沿った方向に対して区画されている。つまり、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28とリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29とは、フロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28がリア側で挟圧力発生油圧室15aに対向し、リア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29がフロント側で挟圧力発生油圧室15aに対向する。
したがって、油圧押圧機構15は、挟圧力発生油圧室15a内に供給される作動油の油圧によりフロント側入力ディスク2のフロント側入力ディスク挟圧押圧力作用面28及びリア側入力ディスク2のリア側入力ディスク挟圧押圧力作用面29に挟圧押圧力を作用させることで、フロント側入力ディスク2を油圧押圧機構15側からリア側に離間する方向へ移動させ、リア側入力ディスク2をバリエータ軸11と共にリア側から油圧押圧機構15側に接近する方向へ移動させる。このとき、フロント側入力ディスク2は、バリエータ軸11に対して回転軸線X1に沿った方向に相対的に移動する。そして、油圧押圧機構15は、フロント側入力ディスク2を油圧押圧機構15側からリア側に移動させ、リア側入力ディスク2をバリエータ軸11と共にフロント側に接近する方向へ移動させることで、フロント側入力ディスク2をフロント側出力ディスク3側に接近させると共にリア側入力ディスク2をリア側出力ディスク3側に接近させ、フロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間及びリア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟圧力を発生させる。これにより、油圧押圧機構15は、フロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間及びリア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟圧力を発生させることから、各パワーローラ4をそれぞれ所定の挟圧力でフロント側入力ディスク2とフロント側出力ディスク3との間、リア側入力ディスク2とリア側出力ディスク3との間に挟み込むことができる。この結果、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との間のスリップを防ぎ、トラクション状態を維持することができる。
ここで油圧押圧機構15による挟圧押圧力は、後述する油圧制御装置9により、挟圧力発生油圧室15aに供給される作動油の量が制御されることで、トロイダル式無段変速機1への入力トルクに基づいた所定の大きさに制御される。油圧制御装置9は、後述するECU60と接続されている。したがって、油圧押圧機構15による挟圧押圧力の大きさの制御は、ECU60により行われる。
変速比変更部5は、上述したように、トラニオン6と、移動部7を有し、移動部7によって、入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1に対して、トラニオン6と共にパワーローラ4を移動し、パワーローラ4をこの入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させることで変速比を変更するものである。ここで、変速比とは、入力ディスク2と出力ディスク3との回転数比であり、典型的には、[変速比=出力側接触半径(パワーローラ4と出力ディスク3とが接触する接触半径(接触点と回転軸線X1との距離))/入力側接触半径(入力ディスク2とパワーローラ4とが接触する接触半径)]で表すことができる。
具体的には、各トラニオン6は、パワーローラ4をそれぞれ回転自在に支持すると共に、このパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して移動させ入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転自在に支持するものである。トラニオン6は、ローラ支持部6aと揺動軸6bとを有する。ローラ支持部6aは、パワーローラ4が配置される空間部6cが形成され、この空間部6cに凹部状の嵌合部6dが形成されている。そして、トラニオン6は、この空間部6cにて、上述のようにパワーローラ4の偏心軸42bが嵌合部6dに挿入されることで、パワーローラ4を回転自在に支持している。また、ローラ支持部6aは、揺動軸6bと一体で移動可能に設けられる。揺動軸6bは、柱状に形成され回転軸線X3を回転中心として回転可能に設けられる。したがって、トラニオン6は、ローラ支持部6aが揺動軸6bと共に回転軸線X3を回転中心として回転自在に、ロアリンク16やアッパリンク17等を介してケーシング(不図示)に支持されている。また、トラニオン6は、回転軸線X3に沿った方向に移動自在に、ロアリンク16やアッパリンク17等を介してケーシング(不図示)に支持され、後述する移動部7によって、回転軸線X3に沿った方向に移動可能に構成される。
トラニオン6は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3によって形成される1つのキャビティに対してそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられ、4つのパワーローラ4をそれぞれ1つずつ支持する。すなわち、このトロイダル式無段変速機1は、フロント側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4を各々に支持する2つのトラニオン6が一対で設けられ、リア側半円キャビティCに対して2つのパワーローラ4を各々に支持する2つのトラニオン6が一対で設けられる。
ここで、トラニオン6は、パワーローラ4の回転軸線X2が揺動軸6bの回転軸線X3と垂直な平面と平行になるようにパワーローラ4を支持している。また、トラニオン6は、揺動軸6bの回転軸線X3が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1と垂直な平面と平行になるように配置される。すなわち、トラニオン6は、回転軸線X1と垂直な平面内で回転軸線X3に沿って移動することで、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1に対して回転軸線X3に沿って移動させることができる。また、トラニオン6は、回転軸線X3を回転中心として回転揺動することで、パワーローラ4を回転軸線X3と垂直な平面内でこの回転軸線X3を中心として入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転自在とすることできる。なお、言い換えれば、トラニオン6は、パワーローラ4に後述する傾転力が作用することでこのパワーローラ4を傾転可能に支持していることになる。
移動部7は、トラニオン6と共にパワーローラ4を回転軸線X3に沿った方向に移動させるものであり、上述したように、油圧ピストン部8と、油圧制御装置9とを有する。
油圧ピストン部8は、変速制御ピストン81と、変速制御油圧室82とを含んで構成され、変速制御油圧室82に導入される作動油の油圧を変速制御ピストン81のフランジ部84により受圧することで、トラニオン6を回転軸線X3に沿った2方向(A1方向及びA2方向)に移動させるものである。すなわち、油圧ピストン部8は、変速制御油圧室82に供給される作動油の油圧によりトラニオン6に設けられたフランジ部84に変速制御押圧力を作用させる。
具体的には、変速制御ピストン81は、ピストンベース83とフランジ部84とにより構成されている。ピストンベース83は、円筒形状に形成され揺動軸6bの一端部に挿入され、回転軸線X3方向及び回転軸線X3周り方向に対して固定されている。
フランジ部84は、ピストンベース83からピストンベース83の径方向、言い換えれば、揺動軸6bの径方向に突出するように固定的に設けられており、ピストンベース83及びトラニオン6の揺動軸6bと共に回転軸線X3に沿った方向に移動可能である。フランジ部84は、揺動軸6bの回転軸線X3周りに円環板状に形成されている。
変速制御油圧室82は、油圧室構成部材85により構成される。この油圧室構成部材85は、第1構成部材としてのシリンダボデー86及び第2構成部材としてのロアカバー87により構成される。すなわち、油圧室構成部材85は、変速制御油圧室82の壁面をなすと共に、トラニオン6の移動方向(ストローク方向)である回転軸線X3に沿った方向に対してシリンダボデー86とロアカバー87とに分割されている。シリンダボデー86は、変速制御油圧室82の空間部となる凹部が形成されている。ロアカバー87は、シリンダボデー86の凹部の開口を塞ぐようにこのシリンダボデー86に固定され、これにより、変速制御油圧室82は、シリンダボデー86とロアカバー87とにより回転軸線X3を中心とした円筒状(シリンダ状)に区画される。このシリンダボデー86及びロアカバー87は、シリンダボデー86のロアカバー87側とは反対側においてケーシング(不図示)に固定されている。
そして、フランジ部84は、作動油が導入される変速制御油圧室82内に収容されると共に、この変速制御油圧室82内を回転軸線X3に沿った方向に2つの油圧室、すなわち、第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とに仕切り区画する。第1油圧室OP1は、内部に供給される作動油の油圧により、フランジ部84と共にトラニオン6を回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動させる一方、第2油圧室OP2は、内部に供給される作動油の油圧により、フランジ部84と共にトラニオン6を第1方向の逆方向である第2方向A2に移動させる。フランジ部84の径方向外側の先端部には、環状のシール部材Sが設けられており、したがって、このフランジ部84によって区画される変速制御油圧室82の第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とは、それぞれこのシール部材Sにより互いに作動油が漏れないようにシールされている。
なお、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとにパワーローラ4、トラニオン6が2つずつ設けられることから、この第1油圧室OP1及び第2油圧室OP2は、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとにそれぞれ2つずつ設けられることになる。このとき、この一対のトラニオン6では、第1油圧室OP1及び第2油圧室OP2の位置関係がトラニオン6ごとに入れ替わっている。つまり、一方のトラニオン6の第1油圧室OP1とした油圧室が他方のトラニオン6の第2油圧室OP2となり、一方のトラニオン6の第2油圧室OP2とした油圧室が他方のトラニオン6の第1油圧室OP1となる。したがって、図2に示すトロイダル式無段変速機1では、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとに設けられる2つのパワーローラ4は、第1油圧室OP1又は第2油圧室OP2内の油圧により、回転軸線X3に沿って互いに逆方向に移動することになる。
油圧制御装置9は、トランスミッションの各部、例えば、油圧押圧機構15、トルクコンバータ22、前後進切換機構23等に作動油を供給するものであり、さらに、変速制御油圧室82内の作動油の油圧を制御するものである。油圧制御装置9は、オイルタンクに貯留されトランスミッションの各部に供給される作動油をオイルポンプにより吸引、加圧し、吐出する。そして、油圧制御装置9は、オイルポンプにより加圧された作動油がプレッシャーレギュレータバルブを介して、流量制御弁などに供給される。流量制御弁は、スプール弁子、電磁ソレノイドなどを含んで構成され、第1油圧室OP1、第2油圧室OP2へ作動油の供給、あるいは、第1油圧室OP1、第2油圧室OP2からの作動油の排出を制御するものである。油圧制御装置9の流量制御弁は、ECU60から入力される制御指令値入力に基づいた駆動電流により駆動する電磁ソレノイドがスプール弁子の位置を変位させることで、第1油圧室OP1、第2油圧室OP2に供給、排出される作動油の流量を制御するものである。なお、このプレッシャーレギュレータバルブは、プレッシャーレギュレータバルブよりも下流側における油圧が所定油圧以上、すなわち、油圧制御装置9の元圧として用いられるライン圧以上になった際に、下流側にある作動油をオイルタンクに戻して所定のライン圧に調圧するものである。
例えば、ECU60は、油圧制御装置9の流量制御弁を制御し、オイルポンプにより加圧された作動油を第1油圧室OP1に供給し、第2油圧室OP2内の作動油を排出すると、第1油圧室OP1の油圧がフランジ部84に作用し[第1油圧室OP1の油圧>第2油圧室OP2の油圧]となる。これにより、油圧ピストン部8のフランジ部84は、回転軸線X3に沿った第1方向A1に押圧され、トラニオン6と共にパワーローラ4が回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動する。同様に、ECU60は、油圧制御装置9の流量制御弁を制御し、オイルポンプにより加圧された作動油を第1油圧室OP1から排出し、第2油圧室OP2内に供給すると、第2油圧室OP2の油圧がフランジ部84に作用し[第1油圧室OP1の油圧<第2油圧室OP2の油圧]となる。これにより、油圧ピストン部8のフランジ部84が回転軸線X3に沿った第2方向A2に押圧され、トラニオン6と共にパワーローラ4が回転軸線X3に沿った第2方向A2に移動する。このとき、流量制御弁のスプール弁子の移動量に応じて、パワーローラ4の第1方向A1、あるいは、第2方向A2のへの移動が調整される。
したがって、この移動部7は、ECU60により油圧制御装置9が駆動され油圧ピストン部8の各変速制御油圧室82内の油圧が制御されることで、変速制御ピストン81のフランジ部84に所定の変速制御押圧力を作用させ、トラニオン6と共にパワーローラ4を回転軸線X3に沿った2方向、すなわち、第1方向A1と第2方向A2とに移動させることができる。そして、変速比変更部5は、この移動部7によって、トラニオン6と共にパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対する中立位置(図3参照)から変速比に応じた変速位置(図4参照)に移動させ、このパワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させることで変速比を変更することができる。
ここで、図3に示すように、パワーローラ4の入力ディスク2及び出力ディスク3に対する中立位置は、変速比が固定される位置であり、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させる傾転力がこのパワーローラ4に作用不能な位置である。すなわち、パワーローラ4が中立位置にあり、変速比が固定されている状態では、パワーローラ4の回転軸線X2は、回転軸線X1を含む平面で、かつ、回転軸線X3と垂直な平面内に設定される。言い換えれば、パワーローラ4の中立位置(変速比固定時)では、パワーローラ4の回転軸線X3に沿った方向の位置は、このパワーローラ4の回転軸線X2が回転軸線X1を通る(直交する)位置に設定される。このとき、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4の回転方向(転がる方向)と入力ディスク2の回転方向とが一致しており、この結果、パワーローラ4に傾転力が作用せず、したがって、パワーローラ4は、この中立位置にとどまりながら入力ディスク2とともに回転をつづけ、この間の変速比は固定されている。
このとき、入力ディスク2からパワーローラ4に作用する力は駆動力(トルク)だけであるので、移動部7の油圧ピストン部8と油圧制御装置9とは、油圧によりこの駆動力に抗するだけの力をトラニオン6に作用させている。すなわち、パワーローラ4及びこれを支持するトラニオン6が中立位置にある場合、上述したように、入力トルクに応じて入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4との接触点に作用する接線力F1(図3参照)に抗する大きさの変速制御押圧力F2(図3参照)をフランジ部84に作用させ、パワーローラ4に作用する接線力F1と変速制御押圧力F2とをつりあわせることで、パワーローラ4及びこれを支持するトラニオン6の位置を中立位置に固定し、変速比を固定している。
一方、図4に示すように、パワーローラ4の変速位置は、変速比が変更される位置であり、パワーローラ4を入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転させる傾転力がこのパワーローラ4に作用する位置である。すなわち、パワーローラ4が変速位置にあり、変速比が変更される状態では、パワーローラ4の回転軸線X2は、回転軸線X1を含む平面で、かつ、回転軸線X3と垂直な平面内から回転軸線X3に沿った第1方向A1あるいは第2方向A2に移動した位置に設定される。言い換えれば、パワーローラ4の変速位置(変速時)では、パワーローラ4の回転軸線X3に沿った方向の位置は、このパワーローラ4の回転軸線X2が回転軸線X1を通る位置、すなわち、中立位置からオフセットされた位置に設定される。このとき、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4の回転方向と入力ディスク2の回転方向とがずれ、これにより、パワーローラ4に傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4に作用する傾転力によりパワーローラ4と入力ディスク2及び出力ディスク3との間にサイドスリップが発生し、パワーローラ4は、入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転し、パワーローラ4と入力ディスク2との入力側接触半径と、パワーローラ4と出力ディスク3との出力側接触半径とが変更され、したがって、変速比が変更される。
例えば、本図4に示すように、入力ディスク2が図4中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、パワーローラ4を回転軸線X3に沿った第2方向A2(パワーローラ4と入力ディスク2との接触点における入力ディスク2の移動方向とは反対方向、すなわち、入力ディスク2の回転方向に逆らう方向(出力ディスク3の回転方向に沿う方向))にオフセットする。すると、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4に入力ディスク2の円周方向の力が作用し、パワーローラ4を入力ディスク2の周辺側に移動させる方向(パワーローラ4を入力ディスク2の回転軸線X1から離間させる方向)の傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4は、入力ディスク2との接触点が入力ディスク2の径方向外方側に移動すると共に出力ディスク3との接触点が出力ディスク3の径方向内方側に移動するように傾転し、変速比が減少側に変更され、アップシフトする。そして、パワーローラ4が再び中立位置に戻ることで変更された変速比が固定される。
逆に、ダウンシフトする場合は、パワーローラ4を回転軸線X3に沿った第1方向A1(パワーローラ4と入力ディスク2との接触点における入力ディスク2の移動方向、すなわち、入力ディスク2の回転方向に沿う方向(出力ディスク3の回転方向に逆らう方向))にオフセットする。すると、パワーローラ4と入力ディスク2との接触点において、パワーローラ4に入力ディスク2の円周方向の力が作用し、パワーローラ4を入力ディスク2の中心側に移動させる方向(パワーローラ4を入力ディスク2の回転軸線X1に近接させる方向)の傾転力が作用する。この結果、パワーローラ4は、入力ディスク2との接触点が入力ディスク2の径方向内方側に移動すると共に出力ディスク3との接触点が出力ディスク3の径方向外方側に移動するように傾転し、変速比が増加側に変更され、ダウンシフトする。そして、パワーローラ4が再び中立位置に戻ることで変更された変速比が固定される。
ここで、このパワーローラ4の位置は、中立位置からのストローク量と入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾転角により決定される。パワーローラ4のストローク量は、パワーローラ4の回転軸線X2が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転軸線X1を通る中立位置を基準位置として、この中立位置から第1方向A1あるいは第2方向A2への移動量(中立位置からのオフセット量)である。パワーローラ4の傾転角は、パワーローラ4の回転中心である回転軸線X2が入力ディスク2及び出力ディスク3の回転中心である回転軸線X1と直交する位置を基準位置として、この基準位置から入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾斜角度(鋭角側の傾斜角度)であり、言い換えれば、回転軸線X3周りの回転角度である。そして、このトロイダル式無段変速機1の変速比は、パワーローラ4の入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾転角によって定まり、この傾転角は、パワーローラ4の中立位置からのストローク量の積分値により定まる。
ここで、ECU60は、トロイダル式無段変速機1の運転状態に応じてトロイダル式無段変速機1の各部の駆動を制御しトロイダル式無段変速機1の実際の変速比である実変速比を制御するものである。すなわち、ECU60は、例えば、種々のセンサが検出するエンジン回転数、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、入力ディスク回転数、出力軸回転数、シフトポジションなどの運転状態や傾転角、ストローク量などに基づいて、目標の変速比である目標変速比を決定すると共に変速比変更部5を駆動してパワーローラ4を中立位置から変速位置側に所定のストローク量まで移動させて、所定の傾転角まで傾転させることで変速比の変更を実行する。さらに言えば、ECU60は、油圧制御装置9の流量制御弁に供給する駆動電流を制御指令値に基づいてデューティ制御することで、油圧ピストン部8の第1油圧室OP1、第2油圧室OP2の油圧を制御して、トラニオン6と共にパワーローラ4を中立位置から変速位置側に所定のストローク量まで移動させて所定の傾転角まで傾転させることで、実変速比が目標変速比となるように制御する。
上記のようなトロイダル式無段変速機1は、入力ディスク2に駆動力(トルク)が入力されると、その入力ディスク2にトラクションオイルを介して接触しているパワーローラ4に駆動力が伝達され、さらにそのパワーローラ4から出力ディスク3にトラクションオイルを介して駆動力が伝達される。この間、トラクションオイルは加圧されることによりガラス転移化し、それに伴う大きいせん断力によって駆動力を伝達するので、各入力ディスク2、出力ディスク3は、入力トルクに応じた挟圧力がパワーローラ4との間に生じるように、油圧押圧機構15により押圧される。また、パワーローラ4の周速と各入力ディスク2、出力ディスク3のトルク伝達点(パワーローラ4がトラクションオイルを介して接触している接触点)の周速とが実質的に同じであるから、入力ディスク2とパワーローラ4との接触点の回転軸線X1からの半径と、パワーローラ4と出力ディスク3との接触点の回転軸線X1からの半径とに応じて、各入力ディスク2、出力ディスク3の回転数(回転速度)が異なることとなり、その回転数(回転速度)の比率が変速比となる。
そして、ECU60は、変速比を設定した目標変速比に変更する場合、すなわち、変速比の変速の場合は、入力ディスク2の回転方向に基づいて、油圧制御装置9の流量制御弁に駆動電流を供給し、第1油圧室OP1、第2油圧室OP2の油圧を制御することで、パワーローラ4が目標変速比に応じた傾転角になるまで、トラニオン6を中立位置から第1方向A1あるいは第2方向A2に移動させる。例えば、入力ディスク2が図2中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、第1油圧室OP1の油圧によりパワーローラ4を中立位置から回転軸線X3に沿った第1方向A1に移動させると、上述したように変速比が増加しダウンシフトが行われる。一方、入力ディスク2が図2中の矢印B方向(反時計回り)に回転している状態において、第2油圧室OP2の油圧によりパワーローラ4を中立位置から回転軸線X3に沿った第2方向A2に移動させると、上述したように変速比が減少しアップシフトが行われる。また、設定された変速比を固定する場合は、パワーローラ4が再び中立位置となるまで、トラニオン6を第1方向A1あるいは第2方向A2に移動させる。
なお、このECU60は、傾転角センサ(不図示)によって検出されるパワーローラ4の傾転角とストロークセンサ(不図示)によって検出されるストローク量に基づいて、実変速比(実際の変速比)が目標変速比(変速後の目標の変速比)となるようにカスケード式のフィードバック制御を行っている。すなわち、このECU60は、アクセル開度及び車速に基づいて目標変速比に対応した目標の傾転角である目標傾転角を決定し、この目標傾転角と傾転角センサによって検出した実際の傾転角である実傾転角との偏差に基づいて、目標変速比、目標傾転角に対応した目標のストローク量である目標ストローク量を決定し、ストロークセンサが検出したストローク量がこの目標ストローク量となるように移動部7の油圧制御装置9を制御している。このようなトロイダル式無段変速機1の変速制御では、基本的には、傾転角センサによって検出される傾転角(言い換えれば、変速比)のみをフィードバック制御すればよいが、ストローク量が傾転角の微分に相当することから、ストロークセンサによって検出されるストローク量のフィードバック制御もあわせて行うことで、傾転制御における振動を抑制するダンピング効果を得ることができる。また、このECU60は、変速比の応答性を向上するために、このフィードバック制御と共にフィードフォワード制御をあわせて行ってもよい。
ここで、トロイダル式無段変速機1は、図2に示すように、一対の入力ディスク2及び出力ディスク3ごとに設けられる2つのパワーローラ4及びトラニオン6の回転軸線X3に沿った逆方向の移動を同期させるための機構として、ロアリンク16やアッパリンク17などにより構成されるリンク機構を備えている。ロアリンク16は、揺動軸6bにおいて変速制御ピストン81が設けられている一端部側(シリンダボデー86とローラ支持部6aとの間)にてラジアルベアリングRBを介して一対のトラニオン6を連結する一方、アッパリンク17は、揺動軸6bにおいて他端部側にてラジアルベアリングRBを介して一対のトラニオン6を連結する。そして、ロアリンク16、アッパリンク17は、それぞれケーシング(不図示)に固定されるロアポスト、アッパポストの支持軸16a、17aに支持されている。この支持軸16a、17aは、回転軸線X1と平行な方向に延設されており、ロアリンク16、アッパリンク17は、この支持軸16a、17aを支点としてシーソー状に揺動可能に構成されている。したがって、ロアリンク16、アッパリンク17は、一対のトラニオン6の回転軸線X3に沿った逆方向の移動を同期させることができる。
また、トロイダル式無段変速機1は、図2、図5に示すように、複数のトラニオン6の回転軸線X3を回転中心とした回転の同期を促進する機構として、同期手段としての同期機構18を備える。同期機構18は、回転力伝達材としての同期ワイヤ19と、巻掛部としての固定プーリ20とを有する。
固定プーリ20は、各トラニオン6の各揺動軸6bにそれぞれ固定して設けられる。複数の固定プーリ20は、各揺動軸6bにおいて、ピストンベース83の図2中下側(パワーローラ4が配置される側とは反対側)に設けられる。固定プーリ20は、円柱状に形成され、中心軸線が回転軸線X3とほぼ一致するように揺動軸6bに固定して設けられる。
固定プーリ20は、揺動軸6bに対して回転軸線X3周りに回転不能、かつ、回転軸線X3に沿った方向に移動不能に設けられる。つまり、各固定プーリ20は、各トラニオン6の各揺動軸6bに対して回転軸線X3周りに相対的に回転変位しないと共に回転軸線X3に沿った方向にも相対的に変位しない。したがって、各固定プーリ20は、各トラニオン6の各揺動軸6bの回転軸線X3周りの回転に伴って回転可能であると共に、回転軸線X3に沿った移動に伴って移動可能である。そして、各固定プーリ20は、止め具としてのかしめ部材31を介して同期ワイヤ19が巻き掛けられる。
同期ワイヤ19は、1つのトラニオン6を回転軸線X3周りに回転させる回転力(回転トルク)を他のトラニオン6に伝達するものである。すなわち、同期ワイヤ19は、パワーローラ4の傾転によって1つのトラニオン6に作用する回転軸線X3周りの回転力を他のトラニオン6に伝達する。このトロイダル式無段変速機1は、4つのトラニオン6にそれぞれ設けられる4つの固定プーリ20に対して、変速比変更部5により変速比を変更する際に回転軸線X3周りの回転方向が相互に逆方向である一対のトラニオン6同士の間にそれぞれ1ずつ、合計4つの同期ワイヤ19が設けられている。各同期ワイヤ19は、各固定プーリ20間で1回交差するように反転して張架される。各同期ワイヤ19は、平面形状が8の字無端ループ状となるように、別部材の金属製で円弧チューブ状のかしめ部材31がその端部などでかしめられている。ここで、「かしめ」とは、例えば、加圧力を加えて塑性変形させることによって締め付け固定する処理全般をいう。
そして、このトロイダル式無段変速機1では、パワーローラ4を傾転させ変速比が変更される際、各トラニオン6の回転軸線X3周りの回転方向は、フロント側の一方のトラニオン6(例えば、図1中下側のトラニオン)とリア側の他方のトラニオン6(例えば、図1中上側のトラニオン)の回転方向が同方向となり、フロント側の他方のトラニオン6(例えば、図1中上側のトラニオン)とリア側の一方のトラニオン6(例えば、図1中下側のトラニオン)の回転方向が同方向となる。
したがって、同期機構18は、各固定プーリ20と各同期ワイヤ19との摩擦力により、変速比を変更する際に回転軸線X3周りの回転方向が相互に逆方向である一方のトラニオン6の回転力(回転トルク)を他方のトラニオン6に伝達し、各同期ワイヤ19を介して4つのトラニオン6の回転を相互に連動させ同期させることができる。これにより、4つのパワーローラ4の傾転動作が相互に連動して同期され、各パワーローラ4の入力ディスク2及び出力ディスク3に対する傾転角を複数のパワーローラ4の間で同じ傾転角とすることができる。
この結果、各パワーローラ4、各トラニオン6の傾転動作(変速動作)において、複数のパワーローラ4の支持構造であるトラニオン6の部材精度や組付精度のバラツキ等により複数のパワーローラ4に油圧押圧機構15の挟圧力が均等に作用しない場合や油圧制御装置9の油路抵抗の差などに起因して変速応答性に微小なずれが発生しそうになった場合でも、この同期機構18が複数のトラニオン6の回転を相互に連動させ同期させ複数のパワーローラ4の傾転動作が相互に同期させることができるので、トロイダル式無段変速機1の変速制御精度を向上することができる。
なお、以上の説明では、同期ワイヤ19は、変速比変更部5により変速比を変更する際に、回転軸線X3周りの回転方向が相互に逆方向であるトラニオン6同士の間で1回交差させて各固定プーリ20に巻き掛けるものとして説明したが、これに限らず、奇数回交差(例えば3回交差)させていれば、この同期ワイヤ19を介して複数のトラニオン6の回転を相互に同期させることができる。また、この同期ワイヤ19は、変速比変更部5により変速比を変更する際に、回転軸線X3周りの回転方向が相互に同方向であるトラニオン6同士の間で交差せずに各固定プーリ20に巻き掛けたり、偶数回交差(例えば2回交差)させて各固定プーリ20に巻き掛けたりすることでも同様に複数のトラニオン6の回転を相互に同期させることができる。
ところで、このようなトロイダル式無段変速機1では、例えば、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4とが接触する部分の面圧が過小の場合にこの接触部分にて著しい滑り、いわゆる、グロススリップが発生した際など、複数のパワーローラ4の傾転が大きくずれようとした場合に、入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ4との間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力によって同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用するとこの同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落するおそれがある。この結果、複数のパワーローラ4の傾転の同期が適正に実行されないおそれがある。
そこで、本実施例のトロイダル式無段変速機1は、図2、図6乃至図8に示すように、防止手段としての脱落防止部100が同期ワイヤ19に設けられたかしめ部材31の固定プーリ20からの脱落を防止し、同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを確実に防止することで、複数のパワーローラ4の傾転を確実に同期させている。
ここで、固定プーリ20は、上述したように、固定プーリ20は、中心軸線が回転軸線X3とほぼ一致するように円柱状に形成される。そして、固定プーリ20は、外周面にワイヤ溝32及びかしめ部材31が装着される溝部としての装着溝33が形成されている。ワイヤ溝32及び装着溝33は、固定プーリ20の外周面にて、回転軸線X3周り方向(以下、特に断りのない限り単に「周方向(例えば、図6参照)」という。)に沿って延設される。
ワイヤ溝32は、固定プーリ20の外周面に周方向に沿った円環状に形成される。装着溝33は、ワイヤ溝32の一部として円弧状に形成される。装着溝33は、固定プーリ20の外周面から回転軸線X3に向かう方向(以下、特に断りのない限り単に「径方向(例えば、図13参照)」という。)に対する深さがワイヤ溝32より深い溝として形成される。同期ワイヤ19は、ワイヤ部分がワイヤ溝32内に配置されると共にかしめ部材31が装着溝33内に配置されることで各固定プーリ20に巻き掛けられる。そして、同期ワイヤ19と各固定プーリ20とは、円弧状のかしめ部材31が円弧状の装着溝33内に装着されることで相対的な変位、すなわち、同期ワイヤ19が回転力を伝達する際にこの同期ワイヤ19が各固定プーリ20に対して空転することが防止される。言い換えれば、かしめ部材31は、同期ワイヤ19を固定プーリ20に固定する(位置決めする)固定手段としても作用する。つまり、かしめ部材31は、同期ワイヤ19に固定的に設けられると共に固定プーリ20の溝に装着されることで、同期ワイヤ19と固定プーリ20との相対的な変位を防止する。
そして、脱落防止部100は、このかしめ部材31の固定プーリ20からの脱落を防止可能なものである。本実施例の脱落防止部100は、かしめ部材31と装着溝33とが当接する当接部110により構成される。
具体的には、当接部110は、かしめ部材31の部材端面131(止め具端面)と、装着溝33の溝端面133(溝部端面)とが当接する部分である。部材端面131は、固定プーリ20の周方向に対するかしめ部材31の端面である。溝端面133は、固定プーリ20の周方向に対する装着溝33の端面である。当接部110は、部材端面131と溝端面133とが互いに対向する端面により構成され、ここでは、かしめ部材31、装着溝33の両端面部に1つずつ、合計2つが設けられる。
そして、当接部110は、部材端面131と溝端面133とが固定プーリ20の径方向内側に隙間120を有して当接可能に形成される。
本実施例の脱落防止部100は、部材端面131と溝端面133との形状、さらに言えば、部材端面131、溝端面133の角度を適正に設定することで、当接部110における固定プーリ20の径方向内側に隙間120を形成している。
ここでは脱落防止部100は、図6に示すように、固定プーリ20の径方向に対する部材端面131の両端面に沿った線の交点P1が回転軸線X3上に設定される一方、固定プーリ20の径方向に対する溝端面133の両端面に沿った線の交点P2が装着溝33に対して回転軸線X3より離間した側に設定される。これにより、各当接部110の部材端面131と溝端面133とは、固定プーリ20の径方向外側から内側にいくにしたがって徐々に離間するような位置関係となり、この結果、当接部110における固定プーリ20の径方向内側に隙間120を形成することができる。なお、部材端面131、溝端面133などのエッジ部分は面取り加工を施しておくとよい。
すなわち、脱落防止部100をなす当接部110は、同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用していない状態(低荷重時)では、図7に示すように、固定プーリ20の径方向外側の接触部121にて部材端面131と溝端面133とが接触可能である一方で、径方向内側の非接触部122にて部材端面131と溝端面133とが接触せず、これにより隙間120が形成される。
そして、脱落防止部100をなす当接部110は、同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用した状態(高荷重時)では、図8に示すように、接触部121にて部材端面131と溝端面133との接触状態が継続されると共に、同期ワイヤ19に作用する引っ張り力がかしめ部材31にも作用することで、非接触部122においてもかしめ部材31の部材端面131が溝端面133に接近し、部材端面131と溝端面133とが面接触するようになる。
ここで、図16乃至図18は、比較例に係るトロイダル式無段変速機の構成を示す図である。この比較例のトロイダル式無段変速機は、図16に示すように、同期機構018の固定プーリ020の径方向に対する部材端面0131の両端面に沿った線の交点P01、溝端面0133の両端面に沿った線の交点P02が共に回転軸線X3上に設定されている。これにより、比較例のトロイダル式無段変速機は、同期ワイヤ019に過大な引っ張り力が作用していない状態(低荷重時)であっても、図17に示すように、固定プーリ020の径方向内側にて、部材端面0131と溝端面0133との間に隙間が形成されない。
比較例のトロイダル式無段変速機のように低荷重時に固定プーリ020の径方向内側にて、部材端面0131と溝端面0133とが面接触している場合、この状態から同期ワイヤ019に過大な引っ張り力が作用した場合(高荷重時)、かしめ部材031の一方の部材端面0131が溝端面0133側に極めて大きな力で押し付けられると共に、図18に示すように同期ワイヤ019の伸びなどにより他方の部材端面0131で弛みが発生し、この結果、かしめ部材031を装着溝033から固定プーリ020の径方向外側に浮き上がらせる力が作用し、かしめ部材031が端部を起点として径方向外側に浮き上がる。このときに、変速制御のため一対のトラニオンが回転軸線X3に沿って上下に逆方向に動くと固定プーリ020に対してかしめ部材031がこじれて最終的には図18に示すように、同期ワイヤ019が固定プーリ020から脱落し、すなわち、トラニオンから脱落してしまうおそれがある。
これに対し、本実施例のトロイダル式無段変速機1の脱落防止部100をなす当接部110は、上述の図7に示すように、同期ワイヤ19に作用する引っ張り荷重が相対的に低荷重であるときは、径方向外側の接触部121にて部材端面131と溝端面133とが接触する一方、径方向内側の非接触部122にて部材端面131と溝端面133との間に隙間120が形成されている。この場合でも、同期ワイヤ19に作用する引っ張り荷重が作用すると、かしめ部材31の一方の部材端面131が溝端面133側に押し付けられる。このとき、この脱落防止部100をなす当接部110は、非接触部122にて部材端面131と溝端面133とが接触していないことで部材端面131と溝端面133との接触面積が相対的に小さくても、同期ワイヤ19、かしめ部材31に作用する荷重自体が小さいことから部材端面131と溝端面133との接触面圧も小さく、よって十分に同期ワイヤ19の各固定プーリ20に対する空転を防止することができる。
そして、脱落防止部100をなす当接部110は、上述の図8に示すように、同期ワイヤ19に作用する引っ張り荷重が相対的に高荷重であるときは、かしめ部材31の一方の部材端面131が溝端面133側に極めて大きな力で押し付けられることで、非接触部122において、かしめ部材31の部材端面131が溝端面133に接近し、部材端面131が溝端面133にならうため、部材端面131と溝端面133とが面接触するようになる。
すなわち、当接部110は、同期ワイヤ19に作用する引っ張り荷重が相対的に高荷重であるときは、当接部110における径方向内側の隙間120がかしめ部材31の逃げ空間(あそび空間)として作用する。このとき、当接部110は、接触部121と非接触部122との両方で部材端面131と溝端面133とが面接触すると共に、かしめ部材31の部材端面131が溝端面133に接近し部材端面131が溝端面133にならうことで、かしめ部材31全体に固定プーリ20の径方向内側への力が作用する。この結果、かしめ部材31に固定プーリ20の径方向内側への力が作用することで、かしめ部材31が端部を起点として装着溝33から固定プーリ20の径方向外側に浮き上がることが防止され、このときに、変速制御のため一対のトラニオン6が回転軸線X3に沿って上下に逆方向に動いても、かしめ部材31と共に同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落しトラニオン6から脱落することを防止することができる。
この結果、上記のように構成されるトロイダル式無段変速機1では、例えば、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4とが接触する部分の面圧が過小の場合にこの接触部分にて著しい滑り、いわゆる、グロススリップが発生した際など、複数のパワーローラ4の傾転が大きくずれようとし、入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ4との間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力によって同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用した場合でも、脱落防止部100によってこの同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを防止することができる。
以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機1によれば、駆動力が入力される入力ディスク2と、駆動力が出力される出力ディスク3と、入力ディスク2と出力ディスク3との間に設けられる複数のパワーローラ4と、パワーローラ4を各々回転自在、かつ、入力ディスク2及び出力ディスク3に対して傾転自在に支持する複数のトラニオン6を有し、回転軸線X3を中心としてトラニオン6を回転させパワーローラ4を傾転させることで、入力ディスク2と出力ディスク3との回転数比である変速比を変更可能な変速比変更部5と、トラニオン6を回転させる回転力を他のトラニオン6に伝達する同期ワイヤ19と、各トラニオン6に設けられ、かしめ部材31を介してこの同期ワイヤ19が巻き掛けられる固定プーリ20とを有し、同期ワイヤ19を介して複数のトラニオン6の回転を相互に同期させる同期機構18と、かしめ部材31の固定プーリ20からの脱落を防止可能な脱落防止部100とを備える。
したがって、脱落防止部100が同期ワイヤ19に設けられたかしめ部材31の固定プーリ20からの脱落を防止することから、同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを確実に防止することができるので、複数のパワーローラ4の傾転を確実に同期させることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機1によれば、固定プーリ20は、回転軸線X3を中心とする円柱状に形成されると共に外周面に円弧状のかしめ部材31が装着される円弧状の装着溝33を有し、脱落防止部100は、固定プーリ20の回転軸線X3周り方向に対するかしめ部材31の部材端面131と装着溝33の溝端面133とが固定プーリ20の径方向内側に隙間120を有して当接可能な当接部110により構成される。
したがって、同期ワイヤ19に大きな引っ張り荷重が作用しても、脱落防止部100をなす当接部110において径方向内側の隙間120がかしめ部材31の逃げ空間(あそび空間)として作用し、これにより、接触部121と非接触部122との両方で部材端面131と溝端面133とが相対的に大きな接触面積で面接触すると共にかしめ部材31に固定プーリ20の径方向内側への力が作用するので、かしめ部材31が固定プーリ20の径方向外側に浮き上がることを防止することができる。この結果、脱落防止部100によりかしめ部材31が固定プーリ20の径方向外側に浮き上がることを防止することができることから、かしめ部材31が固定プーリ20から脱落することを防止することができ、同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを防止することができる。また、既存の部品であるかしめ部材31の部材端面131や固定プーリ20の溝端面133の角度を適正に設定することで脱落防止部100を構成することができるため、トロイダル式無段変速機1を構成する部品点数の増加を抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機1によれば、当接部110は、固定プーリ20の径方向外側に部材端面131と溝端面133とが接触可能な接触部121を有する一方、径方向内側に隙間120をなす非接触部122を有し、非接触部122は、同期ワイヤ19に所定の荷重が作用した際に部材端面131と溝端面133とが接触する。
したがって、同期ワイヤ19に作用する引っ張り荷重が相対的に低荷重であるときは、当接部110は、径方向外側の接触部121にて十分に同期ワイヤ19の各固定プーリ20に対する空転を防止することができると共に径方向内側の非接触部122にてかしめ部材31の逃げ空間(あそび空間)として作用する隙間120を確実に形成することができる。一方、同期ワイヤ19に作用する引っ張り荷重が相対的に高荷重であるときは、接触部121と非接触部122との両方で部材端面131と溝端面133とを面接触させることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機1によれば、固定プーリ20の径方向に対する溝端面133の両端面に沿った線の交点P2が装着溝33に対して回転軸線X3より離間した側に設定される。したがって、当接部110の部材端面131と溝端面133とは、固定プーリ20の径方向外側から内側にいくにしたがって徐々に離間するような位置関係となり、この結果、当接部110における固定プーリ20の径方向内側に隙間120を形成することができる。そして、当接部110は、接触部121と非接触部122との両方で部材端面131と溝端面133とが面接触する際に、かしめ部材31に固定プーリ20の径方向内側への力を作用させることができる。言い換えれば、部材端面131に対する溝端面133の傾きを大きな荷重が作用した際にかしめ部材31に径方向内側への力が作用するような傾きに設定することができる。
図9は、本発明の実施例2に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す概略平面図、図10は、本発明の実施例2に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(低荷重時)を示す部分平面図、図11は、本発明の実施例2に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(高荷重時)を示す部分平面図である。実施例2に係る無段変速機は、実施例1に係る無段変速機と略同様の構成であるが、当接部において径方向内側に隙間を形成するための構成が実施例1に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
本実施例の無段変速機としてのトロイダル式無段変速機201は、図9に示すように、防止手段としての脱落防止部200を備える。本実施例の脱落防止部200は、かしめ部材31と装着溝33とが当接する当接部210により構成される。
本実施例の脱落防止部200は、部材端面231(止め具端面)と溝端面233(溝部端面)の形状、さらに言えば、部材端面231、溝端面233の角度を適正に設定することで、当接部210における固定プーリ20の径方向内側に隙間120(図10参照)を形成している。
ここでは脱落防止部200は、固定プーリ20の径方向に対する溝端面233の両端面に沿った線の交点P2が回転軸線X3上に設定される一方、固定プーリ20の径方向に対する部材端面231の両端面に沿った線の交点P1が装着溝33に対して回転軸線X3より接近した側に設定される。これにより、各当接部210の部材端面231と溝端面233とは、固定プーリ20の径方向外側から内側にいくにしたがって徐々に離間するような位置関係となり、この結果、当接部210における固定プーリ20の径方向内側に隙間120を形成することができる。
すなわち、脱落防止部200をなす当接部210は、同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用していない状態(低荷重時)では、図10に示すように、固定プーリ20の径方向外側の接触部121にて部材端面231と溝端面233とが接触可能である一方で、径方向内側の非接触部122にて部材端面231と溝端面233とが接触せず、これにより隙間120が形成される。
そして、脱落防止部200をなす当接部210は、同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用した状態(高荷重時)では、図11に示すように、接触部121にて部材端面231と溝端面233との接触状態が継続されると共に、同期ワイヤ19に作用する引っ張り力がかしめ部材31にも作用することで、非接触部122においてもかしめ部材31の部材端面231が溝端面233に接近し、部材端面231と溝端面233とが面接触するようになる。このとき、当接部210における径方向内側の隙間120がかしめ部材31の逃げ空間(あそび空間)として作用し、かしめ部材31の部材端面231が溝端面233に接近し部材端面231が溝端面233にならうことで、かしめ部材31全体に固定プーリ20の径方向内側への力が作用する。
この結果、かしめ部材31に固定プーリ20の径方向内側への力が作用することで、かしめ部材31が端部を起点として装着溝33から固定プーリ20の径方向外側に浮き上がることが防止され、このときに、変速制御のため一対のトラニオン6が回転軸線X3に沿って上下に逆方向に動いても、かしめ部材31と共に同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落しトラニオン6から脱落することを防止することができる。
以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機201によれば、脱落防止部200が同期ワイヤ19に設けられたかしめ部材31の固定プーリ20からの脱落を防止することから、同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを確実に防止することができるので、複数のパワーローラ4の傾転を確実に同期させることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機201によれば、固定プーリ20の径方向に対する部材端面231の両端面に沿った線の交点P1が装着溝33に対して回転軸線X3より近接した側に設定される。したがって、脱落防止部200をなす当接部210の部材端面231と溝端面233とは、固定プーリ20の径方向外側から内側にいくにしたがって徐々に離間するような位置関係となり、この結果、当接部210における固定プーリ20の径方向内側に隙間120を形成することができる。そして、当接部210は、接触部121と非接触部122との両方で部材端面231と溝端面233とが面接触する際に、かしめ部材31に固定プーリ20の径方向内側への力を作用させることができる。言い換えれば、部材端面231に対する溝端面233の傾きを大きな荷重が作用した際にかしめ部材31に径方向内側への力が作用するような傾きに設定することができる。
図12は、本発明の実施例3に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(低荷重時)を示す部分平面図である。実施例3に係る無段変速機は、実施例1に係る無段変速機と略同様の構成であるが、当接部において径方向内側に隙間を形成するための構成が実施例1に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
本実施例の無段変速機としてのトロイダル式無段変速機301は、図12に示すように、防止手段としての脱落防止部300を備える。本実施例の脱落防止部300は、かしめ部材31と装着溝33とが当接する当接部310により構成される。
本実施例の脱落防止部300は、かしめ部材31と装着溝33との曲率を適正に設定することで、当接部310における固定プーリ20の径方向内側に隙間320を形成している。
ここでは、当接部310は、固定プーリ20の外周面に円弧状に形成される装着溝33の外径r2が、円弧状に形成されるかしめ部材31の内径r1より小さく設定されることで、固定プーリ20の径方向内側に隙間320を形成している。言い換えれば、当接部310は、装着溝33の外周面の曲率がかしめ部材31の内周面の曲率より大きく設定されることで、固定プーリ20の径方向内側に隙間320を形成している。ここでは、装着溝33の外周面の中心軸線とかしめ部材31の内周面の中心軸線とは、装着溝33の外周面とかしめ部材31の内周面とが部分的に接触可能なように互いにずらして設定されている。これにより、部材端面331(止め具端面)と溝端面333(溝部端面)とが当接可能な当接部310にて、固定プーリ20の径方向内側に隙間320を形成することができる。
すなわち、脱落防止部300をなす当接部310は、同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用していない状態(低荷重時)では、固定プーリ20の径方向内側にて隙間320が形成される。そして、脱落防止部300をなす当接部310は、同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用した状態(高荷重時)では、同期ワイヤ19に作用する引っ張り力がかしめ部材31にも作用することで、当接部310における径方向内側の隙間320がかしめ部材31の逃げ空間(あそび空間)として作用し、かしめ部材31全体に固定プーリ20の径方向内側への力が作用する。この結果、かしめ部材31に固定プーリ20の径方向内側への力が作用することで、かしめ部材31が端部を起点として装着溝33から固定プーリ20の径方向外側に浮き上がることが防止され、このときに、変速制御のため一対のトラニオン6が回転軸線X3に沿って上下に逆方向に動いても、かしめ部材31と共に同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落しトラニオン6から脱落することを防止することができる。
以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機301によれば、脱落防止部300が同期ワイヤ19に設けられたかしめ部材31の固定プーリ20からの脱落を防止することから、同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを確実に防止することができるので、複数のパワーローラ4の傾転を確実に同期させることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機301によれば、脱落防止部300をなす当接部310は、装着溝33の外径r2がかしめ部材31の内径r1より小さく設定されることで構成される。したがって、部材端面331(止め具端面)と溝端面333(溝部端面)とが当接可能な当接部310にて、より簡易な加工で固定プーリ20の径方向内側にかしめ部材31の逃げ空間としての隙間320を形成することができる。
図13は、本発明の実施例4に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す部分断面図(図14のA−A断面図)、図14は、本発明の実施例4に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す概略平面図である。実施例4に係る無段変速機は、実施例1に係る無段変速機と略同様の構成であるが、防止手段が保持プレートを有する点で実施例1に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
本実施例の無段変速機としてのトロイダル式無段変速機401は、図13、図14に示すように、防止手段としての脱落防止部400を備える。本実施例の脱落防止部400は、保持プレート410を有して構成される。
保持プレート410は、かしめ部材31に当接し、このかしめ部材31の回転軸線X3から離間する方向への移動を規制可能なものである。具体的には、保持プレート410は、プレート本体部411と、保持部412とからなる。
プレート本体部411は、矩形板状に形成されると共に矩形状の挿入口413が形成されている。挿入口413は、保持プレート410をトラニオン6に組み付ける際に揺動軸6bが挿入されるものである。プレート本体部411は、ロアカバー87と固定プーリ20との間にこの挿入口413に揺動軸6bが挿入されるようにして設けられる。プレート本体部411は、固定プーリ20のロアカバー87側の端面に接すると共に回転軸線X3に対してほぼ直交するように配置される。
そして、プレート本体部411は、固定プーリ20と同様に、揺動軸6bに対して回転軸線X3周りに回転不能、かつ、回転軸線X3に沿った方向に移動不能に設けられる。つまり、保持プレート410をなすプレート本体部411は、トラニオン6の揺動軸6b及び固定プーリ20に対して回転軸線X3周りに相対的に回転変位しないと共に回転軸線X3に沿った方向にも相対的に変位しない。したがって、プレート本体部411は、各トラニオン6の各揺動軸6bの回転軸線X3周りの回転に伴って回転可能であると共に、回転軸線X3に沿った移動に伴って移動可能である。なお、ロアカバー87とピストンベース83との間には複数の環状のシール部材Sが設けられている。
保持部412は、プレート本体部411の一端部に設けられており、プレート本体部411から回転軸線X3に沿った方向のかしめ部材31側に突起するように形成される。保持部412は、かしめ部材31の径方向外側でこのかしめ部材31と当接する位置に形成される。したがって、保持部412は、固定プーリ20の外面との間にかしめ部材31を保持することができる。またここでは、保持部412は、かしめ部材31の中央部に当接可能、言い換えれば、保持可能な位置に設けられる。
上記のように構成されるトロイダル式無段変速機401では、保持プレート410は、保持部412が固定プーリ20の外周面との間にかしめ部材31を保持することで、かしめ部材31に当接し、このかしめ部材31の回転軸線X3から離間する方向への移動を規制可能とすることができる。すなわち、同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用しても、脱落防止部400をなす保持プレート410によって、かしめ部材31が装着溝33から固定プーリ20の径方向外側に浮き上がることを防止することができ、このときに、変速制御のため一対のトラニオン6が回転軸線X3に沿って上下に逆方向に動いても、かしめ部材31と共に同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落しトラニオン6から脱落することを防止することができる。
この結果、上記のように構成されるトロイダル式無段変速機401では、例えば、入力ディスク2、出力ディスク3とパワーローラ4とが接触する部分の面圧が過小の場合にこの接触部分にて著しい滑り、いわゆる、グロススリップが発生した際など、複数のパワーローラ4の傾転が大きくずれようとし、入力ディスク2、出力ディスク3及びパワーローラ4との間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力によって同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用した場合でも、脱落防止部400によってこの同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを防止することができる。
ここで、保持プレート410をトラニオン6の揺動軸6bに組み付ける場合には、まず、プレート本体部411の挿入口413に揺動軸6bを挿入した後、この揺動軸6bに固定プーリ20を設ける。そして、この固定プーリ20にかしめ部材31と共に同期ワイヤ19を巻き掛け、その後、固定プーリ20のロアカバー87とは反対側(図13中下側)に、保持プレート410、固定プーリ20の回転軸線X3に沿った下方向の移動を規制するナット6eが揺動軸6bの端部に設けられることで、固定プーリ20と共に保持プレート410を揺動軸6bに固定する。これにより、揺動軸6bに対して保持プレート410、固定プーリ20、同期ワイヤ19及び固定手段としてのナット6eを順次組みつけていくことで、トラニオン6への各部材の組み付け作業を容易化することができ、また、確実に所定の位置に固定することができる。
以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機401によれば、脱落防止部400が同期ワイヤ19に設けられたかしめ部材31の固定プーリ20からの脱落を防止することから、同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを確実に防止することができるので、複数のパワーローラ4の傾転を確実に同期させることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機401によれば、脱落防止部400は、かしめ部材31に当接しこのかしめ部材31の回転軸線X3から離間する方向への移動を規制可能な保持プレート410を有する。したがって、保持プレート410によってかしめ部材31の回転軸線X3から離間する方向への移動を規制することで、かしめ部材31が装着溝33から固定プーリ20の径方向外側に浮き上がることを防止することができ、かしめ部材31と共に同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落しトラニオン6から脱落することを防止することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機401によれば、保持プレート410は、プレート本体部411から回転軸線X3に沿った方向に突起し固定プーリ20の外面との間にかしめ部材31を保持可能な保持部412を有する。したがって、保持部412が固定プーリ20の外面との間にかしめ部材31を保持することで、保持プレート410によってかしめ部材31の回転軸線X3から離間する方向への移動を規制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機401によれば、保持部412は、かしめ部材31の中央部を保持可能な位置に設けられる。したがって、保持プレート410全体の形状を比較的に単純な形状にすることができることから、例えば、プレス品などにより安価に効率よく保持プレート410を製造することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機401によれば、トラニオン6は、回転軸線X3を回転中心として回転可能であると共に回転軸線X3に沿った方向に移動自在な揺動軸6bを有し、保持プレート410は、プレート本体部411に揺動軸6bが挿入される挿入口413を有し、この保持プレート410は、挿入口413に揺動軸6bが挿入された後にこの揺動軸6bに固定プーリ20が設けられ、この固定プーリ20にかしめ部材31と共に同期ワイヤ19が巻き掛けられ、固定プーリ20と共に揺動軸6bに固定される。したがって、揺動軸6bに対して保持プレート410、固定プーリ20、同期ワイヤ19及び固定手段としてのナット6eを順次組みつけていくことで、トラニオン6への各部材の組み付け作業を容易化することができ、また、確実に所定の位置に固定することができる。
図15は、本発明の実施例5に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す概略平面図である。実施例5に係る無段変速機は、実施例4に係る無段変速機と略同様の構成であるが、保持部の位置が実施例4に係る無段変速機とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
本実施例の無段変速機としてのトロイダル式無段変速機501は、図15に示すように、防止手段としての脱落防止部500を備える。本実施例の脱落防止部500は、保持プレート510を有して構成される。
保持プレート510は、かしめ部材31に当接し、このかしめ部材31の回転軸線X3から離間する方向への移動を規制可能なものである。具体的には、保持プレート510は、プレート本体部411と、保持部512とからなる。
保持部512は、プレート本体部411の一端部に設けられており、プレート本体部411から回転軸線X3に沿った方向のかしめ部材31側に突起するように形成される。保持部512は、かしめ部材31の径方向外側でこのかしめ部材31と当接する位置に形成される。したがって、保持部512は、固定プーリ20の外面との間にかしめ部材31を保持することができる。そして、本実施例の保持部512は、かしめ部材31の両端部に当接可能、言い換えれば、保持可能な位置に設けられる。つまり、本実施例の保持部512は、かしめ部材31の両端部に応じた2箇所に設けられている。
以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機501によれば、脱落防止部500が同期ワイヤ19に設けられたかしめ部材31の固定プーリ20からの脱落を防止することから、同期ワイヤ19が固定プーリ20から脱落することを確実に防止することができるので、複数のパワーローラ4の傾転を確実に同期させることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機501によれば、脱落防止部500をなす保持プレート510は、プレート本体部411から回転軸線X3に沿った方向に突起し固定プーリ20の外面との間にかしめ部材31を保持可能な保持部512を有する。したがって、保持部512が固定プーリ20の外面との間にかしめ部材31を保持することで、保持プレート510によってかしめ部材31の回転軸線X3から離間する方向への移動を規制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るトロイダル式無段変速機501によれば、保持部512は、かしめ部材31の両端部を保持可能な位置に設けられる。したがって、同期ワイヤ19に過大な引っ張り力が作用した場合に、浮き上がりの起点になりやすいかしめ部材31の両端部をこの保持部512により保持することができるので、実際に浮き上がる可能性が高い部分を効果的に抑えることができる。
なお、上述した本発明の実施例に係る無段変速機は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本発明の実施例に係る無段変速機は、以上で説明した実施例を複数組み合わせることで構成してもよい。また、以上の説明では、無段変速機はダブルキャビティ型のトロイダル式無段変速機であるものとして説明したが、これに限らない。また、以上の説明では、回転力伝達材は、ワイヤであるものとして説明したが、これに限らず、ベルト等であってもよい。
さらに、以上の説明では、巻掛部は、トラニオン6の揺動軸6bとは別体の固定プーリ20であるものとして説明したが、揺動軸6bに直接ワイヤ溝32や装着溝33を形成し同期ワイヤ19を巻き掛けるようにしてもよい。すなわち、この場合、揺動軸の外周面が本発明の巻掛部に相当することとなる。
また、以上の説明では、保持プレートは、プレート本体部に揺動軸が挿入される挿入口を有し、挿入口に揺動軸が挿入された後に該揺動軸に巻掛部が設けられ該巻掛部に回転力伝達材が巻き掛けられ巻掛部と共に揺動軸に固定されるものとして説明したがこれに限らない。例えば、保持プレートは、揺動軸に巻掛部が設けられ該巻掛部に回転力伝達材が巻き掛けられた後に挿入口に揺動軸が挿入され該巻掛部と共に揺動軸に固定されてもよいし、他の組み付け順で組みつけられてもよい。すなわち、保持プレートは、例えば、固定プーリ20のロアカバー87とは反対側(図13中下側)の端面に接するように設けてもよい。この場合、保持部の突起方向は上述した実施例の逆向きとなる。
以上のように、本発明に係る無段変速機は、複数のパワーローラの傾転を確実に同期させることができるものであり、複数のパワーローラを有する種々のハーフトロイダル式の無段変速機に適用して好適である。
本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の概略断面図である。 本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の要部の構成図である。 本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する中立位置を説明する模式図である。 本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機が備えるパワーローラの入力ディスクに対する変速位置を説明する模式図である。 本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の同期ワイヤの掛け方を説明する模式的平面図である。 本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す概略平面図である。 本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(低荷重時)を示す部分平面図である。 本発明の実施例1に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(高荷重時)を示す部分平面図である。 本発明の実施例2に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す概略平面図である。 本発明の実施例2に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(低荷重時)を示す部分平面図である。 本発明の実施例2に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(高荷重時)を示す部分平面図である。 本発明の実施例3に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部(低荷重時)を示す部分平面図である。 本発明の実施例4に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す部分断面図である。 本発明の実施例4に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す概略平面図である。 本発明の実施例5に係るトロイダル式無段変速機の脱落防止部を示す概略平面図である。 比較例に係るトロイダル式無段変速機の構成を示す概略平面図である。 比較例に係るトロイダル式無段変速機の動作を説明する部分平面図である。 比較例に係るトロイダル式無段変速機の動作を説明する概略平面図である。
符号の説明
1、201、301、401、501 トロイダル式無段変速機(無段変速機)
2 入力ディスク
3 出力ディスク
4 パワーローラ
5 変速比変更部(変速比変更手段)
6 トラニオン(支持手段)
6a ローラ支持部
6b 揺動軸
6c 空間部
6d 嵌合部
6e ナット
7 移動部
8 油圧ピストン部
9 油圧制御装置
10 入力軸
11 バリエータ軸
18 同期機構(同期手段)
19 同期ワイヤ(回転力伝達材)
20 固定プーリ(巻掛部)
31 かしめ部材(止め具)
32 ワイヤ溝
33 装着溝(溝部)
100、200、300、400、500 脱落防止部(防止手段)
110、210、310 当接部
120、320 隙間
121 接触部
122 非接触部
131、231、331 部材端面(止め具端面)
133、233、333 溝端面(溝部端面)
410、510 保持プレート
411 プレート本体部
412、512 保持部
413 挿入口

Claims (10)

  1. 駆動力が入力される入力ディスクと、
    前記駆動力が出力される出力ディスクと、
    前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に設けられる複数のパワーローラと、
    前記パワーローラを各々回転自在、かつ、前記入力ディスク及び前記出力ディスクに対して傾転自在に支持する複数の支持手段を有し、回転軸線を中心として前記支持手段を回転させ前記パワーローラを傾転させることで、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの回転数比である変速比を変更可能な変速比変更手段と、
    前記支持手段を回転させる回転力を他の前記支持手段に伝達する回転力伝達材と、前記各支持手段に設けられ止め具を介して該回転力伝達材が巻き掛けられる巻掛部とを有し、該回転力伝達材を介して前記複数の支持手段の回転を相互に同期させる同期手段と、
    前記止め具の前記巻掛部からの脱落を防止可能な防止手段とを備えることを特徴とする、
    無段変速機。
  2. 前記巻掛部は、前記回転軸線を中心とする円柱状に形成されると共に外周面に円弧状の前記止め具が装着される円弧状の溝部を有し、
    前記防止手段は、前記巻掛部の前記回転軸線周り方向に対する前記止め具の止め具端面と前記溝部の溝部端面とが前記巻掛部の径方向内側に隙間を有して当接可能な当接部により構成されることを特徴とする、
    請求項1に記載の無段変速機。
  3. 前記当接部は、前記巻掛部の径方向外側に前記止め具端面と前記溝部端面とが接触可能な接触部を有する一方、前記径方向内側に前記隙間をなす非接触部を有し、
    前記非接触部は、前記回転力伝達材に所定の荷重が作用した際に前記止め具端面と前記溝部端面とが接触することを特徴とする、
    請求項2に記載の無段変速機。
  4. 前記当接部は、前記巻掛部の径方向に対する前記溝部端面の両端面に沿った線の交点が前記溝部に対して前記回転軸線より離間した側に設定される、又は、前記巻掛部の径方向に対する前記止め具端面の両端面に沿った線の交点が前記溝部に対して前記回転軸線より近接した側に設定されることで構成されることを特徴とする、
    請求項2又は請求項3に記載の無段変速機。
  5. 前記当接部は、前記溝部の外径が前記止め具の内径より小さく設定されることで構成されることを特徴とする、
    請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の無段変速機。
  6. 前記防止手段は、前記止め具に当接し該止め具の前記回転軸線から離間する方向への移動を規制可能な保持プレートを有することを特徴する、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無段変速機。
  7. 前記保持プレートは、プレート本体部から前記回転軸線に沿った方向に突起し前記巻掛部の外面との間に前記止め具を保持可能な保持部を有することを特徴とする、
    請求項6に記載の無段変速機。
  8. 前記保持部は、前記止め具の中央部を保持可能な位置に設けられることを特徴とする、
    請求項7に記載の無段変速機。
  9. 前記保持部は、前記止め具の両端部を保持可能な位置に設けられることを特徴とする、
    請求項7に記載の無段変速機。
  10. 前記支持手段は、前記回転軸線を回転中心として回転可能であると共に前記回転軸線に沿った方向に移動自在な揺動軸を有し、
    前記保持プレートは、プレート本体部に前記揺動軸が挿入される挿入口を有し、前記挿入口に前記揺動軸が挿入された後に該揺動軸に前記巻掛部が設けられ該巻掛部に前記回転力伝達材が巻き掛けられ前記巻掛部と共に前記揺動軸に固定される、又は、前記揺動軸に前記巻掛部が設けられ該巻掛部に前記回転力伝達材が巻き掛けられた後に前記挿入口に前記揺動軸が挿入され該巻掛部と共に前記揺動軸に固定されることを特徴とする、
    請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の無段変速機。
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