JP2009174073A - 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】品位が良好であるため焼成工程での毛羽巻付きの少ない炭素繊維前駆体繊維を安定して得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】ポリアクリロニトリル系重合体溶液を紡糸工程と、得られた繊維糸条Aを水洗する工程と、水浴延伸する工程と、乾燥熱処理する工程と、シール部材を両端側に有する延伸チューブBを備えたスチーム延伸装置を用いて延伸することからなる炭素繊維前駆体繊維の製造方法において、ポリアクリロニトリル系重合体として、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法で測定される重量平均分子量(Mw)が20万〜50万で、多分散度(Mz/Mw)(Mzは、Z平均分子量を表す。)が2.5〜6.0であるポリアクリロニトリル系重合体を用い、かつ、スチーム延伸工程において、延伸チューブには繊維糸条導入側に予熱域C、繊維糸条取り出し側に加熱域Dの分割された2領域を有する延伸チューブを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維前駆体繊維の製造方法に関するものである。詳しくは本発明は、高分子量側に分布の広い分子量分布をもつポリアクリロニトリル系重合体を用いた際のスチーム延伸処理に関し、特に品位が良好であるため焼成工程での毛羽巻付きの少ない炭素繊維前駆体繊維を安定して得ることができる製造方法に関するものである。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあり、更なる低コスト化、なかでも生産性向上の要請が高い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル(以下、PANと記述することがある。)系炭素繊維は、PAN系重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸、乾式紡糸または乾湿式紡糸する紡糸工程と、その紡糸工程で得られた繊維を水浴中で洗浄する水洗工程と、その水洗工程で得られた繊維を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、その水浴延伸工程で得られた繊維を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程と、スチーム延伸工程とを経て、前駆体となる炭素繊維前駆体繊維を得た後、それを200〜400℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維へと転換してから、少なくとも1000℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に製造されている。
上記の生産性向上のためには、工程通過速度、いわゆる糸速を上げることが必要であり、製糸速度を上げるため、スチーム延伸が一般的に行われている。しかしながら、スチーム延伸で生産性は向上しても、不良品が多い場合には効果は激減してしまうため、生産安定化が必要である。生産安定化のためには、特に焼成工程での巻付きを低減することが必要であり、そのためには、炭素繊維前駆体繊維の段階で毛羽がないことが必要である。スチーム延伸工程は、製糸工程の中で延伸の比率が高いため、毛羽が発生しやすく、優れた品位のものを得ようとするスチーム延伸方法が数多く提案されている。
上記のスチーム延伸方法としては、延伸チューブを予熱域と加熱域に分割し、圧力差を利用して2段階で延伸する方法(特許文献1、2および3参照。)、スチーム圧力と温度の関係を制御して、高い湿り度の状態で延伸する方法(特許文献4参照。)、およびラビリンスシール径を制御して、スチームによる糸条の損傷を防ぎつつ延伸する方法(特許文献5参照。)が挙げられる。
特許第2705453号公報 特開平08−246284号公報 特許第2968377号公報 特許第3192689号公報 特許第3044896号公報
炭素繊維製造において、生産性向上のために、特定の分子量分布を有することにより紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができる炭素繊維前駆体繊維製造用のポリアクリロニトリル系重合体を用いることは非常に有用である。製糸速度を向上させることができるポリアクリロニトリル系重合体を使用した炭素繊維製造において、生産安定化のためには、特に焼成工程における巻付きを低減することが必要である。そのためには、炭素繊維前駆体繊維の段階で毛羽の発生を抑えることが必要であり、そのためには、スチーム延伸条件の確立が生産性向上にとって必要不可欠である。しかしながら、特定の分子量分布を有するポリアクリロニトリル系重合体を用いた繊維においては、上記の従来技術に従っても、単に2段階の延伸チューブを用いることでは十分な効果が見られないという問題があり、また高い湿り度の状態で延伸した場合には、逆に延伸性が低下するという課題が新たに生じた。そのため、これらの問題を解決する特別な技術の開発が求められる。
本発明の目的は、高分子量側に分布の広い分子量分布をもつポリアクリロニトリル系重合体を用いたスチーム延伸処理を採用した、品位が良好であるため焼成工程での毛羽巻付きの少ない炭素繊維前駆体繊維を安定して得ることができる製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は、次の構成を有するものである。
すなわち、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は、ポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解してなる紡糸溶液を湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸口金から吐出させ紡糸する紡糸工程と、該紡糸工程で得られた繊維糸条を水浴中で洗浄する水洗工程と、該水洗工程で得られた繊維糸条を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、該水浴延伸工程で得られた繊維糸条を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程と、糸条通過口を有するシール部材を両端側に有する延伸チューブにスチーム吹き込み口を備えたスチーム延伸装置を用いて該乾燥熱処理工程で得られた繊維糸条をスチーム延伸するスチーム延伸工程からなる炭素繊維前駆体繊維の製造方法において、前記のポリアクリロニトリル系重合体として、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法で測定される重量平均分子量(Mw)が20万〜50万で、多分散度(Mz/Mw)(Mzは、Z平均分子量を表す。)が2.5〜6.0であるポリアクリロニトリル系重合体を用い、かつ、前記のスチーム延伸工程において、延伸チューブには繊維糸条導入側に予熱域、繊維糸条取り出し側に加熱域の分割された2領域を有する延伸チューブを用い、該予熱域でのスチームの湿り度が0〜5%であり、かつ、該加熱域でのスチームの湿り度が0.1〜5%となるようにしてスチーム延伸することを特徴とする炭素繊維前駆体繊維の製造方法である。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記のポリアクリロニトリル系重合体は、GPC法により測定される分子量が150万以上のポリアクリロニトリル系重合体成分を、0.5〜5重量%含有している重合体組成物である。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の加熱域にスチーム吹き込み口を設けるとともに、前記の予熱域と前記の加熱域の間に糸条通過口を有するシール部材を設け、かつ、前記のシール部材の最小内径長さから求めた最小内径断面積の逆数と最小内径長さの積が、
延伸チューブの繊維糸条導入側にあるシール部材の糸条通過口>延伸チューブの予熱域と加熱域の間のシール部材の糸条通過口>延伸チューブの繊維糸条取り出し側にあるシール部材の糸条通過口
の関係にあるものである。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記のスチーム延伸工程において、スチーム延伸する際の繊維糸条を構成する単糸の数は10000本以上である。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の延伸チューブの繊維糸条導入側の張力よりも延伸チューブの繊維糸条取り出し側の張力が、0.05〜0.3g/d高くなるようにしてスチーム延伸する。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の炭素繊維前駆体繊維の水分率が0.5〜2.5%となるようにしてスチーム延伸する。
本発明によれば、紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができるPAN系重合体の溶液を用いて、生産性を損なうことなく毛羽立ちの少ない高品位な炭素繊維前駆体繊維を製造することができる。そして、そのような高品位な炭素繊維前駆体繊維を用いることにより、焼成工程も安定しており高品位な炭素繊維を製造することができる。
本発明者らは、生産性を損なうことなく高品位な炭素繊維前駆体繊維を製造するために、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は、ポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解してなる炭素繊維前駆体繊維製造用紡糸溶液を湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸口金から吐出させ紡糸する紡糸工程と、該紡糸工程で得られた繊維糸条を水浴中で洗浄する水洗工程と、該水洗工程で得られた繊維糸条を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、該水浴延伸工程で得られた繊維糸条を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程と、糸条通過口を有するシール部材を両端側に有する延伸チューブにスチーム吹き込み口を備えたスチーム延伸装置を用いて該乾燥熱処理工程で得られた繊維糸条をスチーム延伸するスチーム延伸工程を含んでいる。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法に用いられるポリアクリロニトリル系重合体(PAN系重合体)について、まず説明する。
本発明のポリアクリロニトリル系重合体(PAN系重合体)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCと記述する。)法(測定法の詳細は後述する。)で測定される、紡糸原液中のPAN系重合体の重量平均分子量(以下、Mwと記述する。)が20万〜50万であり、好ましくは30万〜50万である。Mwが20万未満では、前駆体繊維の強度が不足し、Mwが50万より大きいと吐出が困難となる。PAN系重合体のMwは、重合時のモノマー、ラジカル開始剤および連鎖移動剤などの量を変えることにより制御することができる。
本発明のPAN系重合体の多分散度(Mz/Mw)は2.5〜6.0であり、好ましくは3.0〜5.0であり、より好ましくは4.0〜5.0である。GPC法により測定される平均分子量は、下記のものが挙げられ、多分散度(Mz/Mw)は、次の意味を有する。すなわち、数平均分子量(以下、Mnと記述する。)は、高分子化合物に含まれる低分子量物の寄与を敏感に受ける。これに対して、Mwは高分子量物の寄与を敏感に受け、Mzは高分子量物の寄与をさらに敏感に受ける。そのため、分子量分布(Mw/Mn)や多分散度(Mz/Mw)を用いることにより多分散度を評価することができる。分子量分布(Mw/Mn)が1であるとき単分散であり、大きくなるにつれて分子量分布が低分子量側を中心にブロードになることを示すのに対して、多分散度(Mz/Mw)は大きくなるにつれて、分子量分布が高分子量側を中心にブロードになることを示す。
上記のように、分子量分布(Mw/Mn)と多分散度(Mz/Mw)の示すところが異なるため、分子量分布(Mw/Mn)が大きくても、多分散度(Mz/Mw)が2.5以上になるということでは必ずしもない。多分散度(Mz/Mw)が2.5未満では、歪み硬化が弱くPAN系重合体の吐出安定性向上が不足することがある。一方、多分散度(Mz/Mw)が6.0を超えると絡み合いが大きくなりすぎて、吐出が困難となる場合があり、好ましくない。
また、前記分子量の分布において、PAN系重合体は、分子量が150万以上のPAN系重合体成分を0.5〜5重量%含むことが好ましい。分子量が150万以上のPAN系重合体成分が0.5重量%未満では、歪み硬化が弱くPAN系重合体を含む紡糸溶液の口金からの吐出安定性向上度合が不足する場合がある。また、分子量が150万以上のPAN系重合体成分が5重量%を超える場合には、歪み硬化が強すぎて、PAN系重合体の吐出安定性向上度合が不足する場合がある。かかる観点から、分子量150万以上の成分を1〜4重量%含むことがより好ましく、1〜3重量%含むことがさらに好ましい態様である。
ここでいう分子量が150万以上のPAN系重合体成分の含有率は、GPC法により測定されるポリスチレン換算分子量の対数と、屈折率差によって描く分子量分布曲線から得られる値であり、分子量分布全体の積分値に対するポリスチレン換算分子量150万以上のピーク面積の積分値が占める割合を示したものである。屈折率差は、単位時間当たりに溶出された分子の重量にほぼ対応するため、ピーク面積の積分値が重量混合率にほぼ対応する。
本発明において、上記特性のPAN系重合体を用いることにより、生産性の向上と安定化の両立を達成できる炭素繊維前駆体繊維を製造することができるメカニズムは、必ずしも明確になった訳ではないが、次のように考えられる。口金孔直後でPAN系重合体が伸長変形する際に、超高分子量物と高分子量物が絡み合い、超高分子量物を中心に絡み合う間の分子鎖が緊張することで伸長粘度の急激な増大、すなわち、歪み硬化が起きる。PAN系重合体溶液の細化に伴い細化部分の伸長粘度が高くなり、流動安定化するため紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができ、ひいては製糸速度を高めることができる。本発明におけるPAN系重合体を溶媒に溶解させた溶液を用いることにより、20000mm/分もの高速で糸を曳いても糸が切れることはなく、曳糸長としては測定ができないほどとすることができる。
また、分子量分布(Mw/Mn)は、小さいほど炭素繊維の構造欠陥となりやすい低分子成分の含有量が少ないため、小さいほど好ましく、多分散度(Mz/Mw)よりも分子量分布(Mw/Mn)が小さいことが好ましい。すなわち、高分子量側にも、低分子量側にもブロードであっても、吐出安定性低下は少ないが、低分子量側はなるべくシャープであることが好ましく、多分散度(Mz/Mw)が分子量分布(Mw/Mn)に対して、1.5倍以上であることがより好ましく、更に好ましくは1.8倍以上である。本発明者らの検討によると、通常アクリロニトリル(AN)の重合でよく行われている、水系懸濁法や溶液法などのラジカル重合においては、分子量分布として低分子量側に裾を引いているため、分子量分布(Mw/Mn)が多分散度(Mz/Mw)よりも大きくなる。そのため、重合開始剤の種類と割合や逐次添加など、特殊な条件で重合を行うか、一般的なラジカル重合を用いる場合には、2種以上のポリアクリロニトリル系重合体を混合する方法があり、2種以上のポリアクリロニトリル系重合体を混合する方法が簡便である。混合するポリアクリロニトリル系重合体の種類は、少ないほど簡便であり、吐出安定性の観点からも2種で十分なことが多い。
混合するポリアクリロニトリル系重合体のMwは、Mwの大きいポリアクリロニトリル系重合体をA成分とし、Mwの小さいポリアクリロニトリル系重合体をB成分とすると、A成分のMwは好ましくは60万〜1500万であり、より好ましくは100万〜500万であり、B成分のMwは15万〜49万であることが好ましい。A成分とB成分のMwの差が大きいほど、混合された重合体の多分散度(Mz/Mw)が大きくなる傾向があるため好ましい態様であるが、A成分のMwが1500万より大きいときはA成分の生産性は低下する場合があり、B成分のMwが15万未満のときは前駆体繊維の強度が不足する場合があり、多分散度(Mz/Mw)は10以下とすることが現実的である。
具体的には、A成分とB成分の重量平均分子量比(A成分/B成分)は、4〜45であることが好ましく、より好ましくは20〜45である。
また、A成分とB成分の重量比(A成分/B成分)は、0.003〜0.2であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.15であり、更に好ましくは0.01〜0.1である。A成分とB成分の重量比が0.003未満では、歪み硬化が不足することがあり、また0.3より大きいときは重合体溶液の吐出粘度が上がりすぎて吐出困難となることがある。Mwと重量比は、GPCにより測定された分子量分布のピークをショルダーやピーク部分でピーク分割し、それぞれのピークのMwおよびピークの面積比を算出することにより測定される。
A成分とB成分の重合体を混合する場合、両重合体を混合してから溶媒で希釈する方法、重合体それぞれを溶媒に希釈したもの同士を混合する方法、溶解しにくい高分子量物であるA成分をを溶媒に希釈した後にB成分を混合溶解する方法、および高分子量物であるA成分を溶媒に希釈したものとB成分を構成する単量体を混合して単量体を溶液重合することにより混合する方法などを採用することができる。高分子量物を均一に溶解させる観点から、高分子量物であるA成分を初めに溶解する方法が好ましい。特に、炭素繊維前駆体繊維製造用とする場合には、高分子量物であるA成分の溶解状態が極めて重要であり、わずかであっても未溶解物が存在していた場合には異物として認識され、炭素繊維内部にボイドを形成することがある。
A成分の全重合体に対する重量混合量(以下、全重合体に対するA成分の重量混合率とも記述することがある。)の測定は、B成分と混合する場合は、混合前のA成分の重量と混合後のPAN系全重合体組成物の重量を測定し、その重量比から計算することができる。また、B成分を構成する単量体と混合してその単量体を溶液重合する場合は、A成分を重合後、B成分を重合するための重合開始剤を計量導入前の溶液を用いてA成分の重合率を測定し、溶液中のA成分の重量を測定し、別途、PAN系全重合体組成物溶液の重合体組成物濃度から求めたPAN系全重合体の重量を測定し、その重量比から計算することができる。
本発明で好適に用いられるA成分としては、PANと相溶性を有することが望ましく、相溶性の観点からPAN系重合体であることが好ましい。組成としては、アクリロニトリル(以下、ANと記述する。)が好ましくは98〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を2モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分の連鎖移動定数がANより小さく、必要とするMwを得にくい場合は、共重合成分の量をなるべく減らすことが好ましい。
ANと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
本発明において、A成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。必要とするMwを得にくい場合は、連鎖移動定数の大きい溶媒、すなわち、塩化亜鉛水溶液による溶液重合法、あるいは水による懸濁重合法も好適に用いられる。
本発明で好適に用いられるB成分であるPAN系重合体の組成としては、ANが好ましくは98〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を2モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分量が多くなるほど共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維の引張強度が低下する傾向がある。
B成分において、ANと共重合可能な単量体としては、耐炎化を促進する観点から、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
本発明において、B成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。中でも、PANの溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。
次に、上記PAN系重合体を用いた本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法について説明する。
まず、前記のPAN系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPAN系重合体が可溶な溶媒に溶解し、紡糸原液とする。溶液重合を用いる場合、重合に用いられる溶媒と紡糸溶媒を同じものにしておくと、得られたポリアクリロニトリルを分離し紡糸溶媒に再溶解する工程が不要となる。
PAN系重合体溶液の重合体濃度は、15〜30重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは17〜25重量%であり、最も好ましくは19〜23重量%である。重合体濃度が15重量%未満では溶媒使用量が多くなり経済的でなく、凝固浴内での凝固速度を低下させ内部にボイドが生じて緻密な構造が得られないことがある。一方、重合体濃度が30重量%を超えると粘度が上昇し、紡糸が困難となる傾向を示す。紡糸溶液の重合体濃度は、使用する溶媒量により調製することができる。
本発明において重合体濃度とは、PAN系重合体溶液中に含まれるPAN系重合体の重量%である。具体的には、PAN系重合体溶液を計量した後、PAN系共重合体を溶解せずかつPAN系共重合体溶液に用いられる溶媒と相溶性のあるものに、計量したPAN系共重合体溶液を脱溶媒させた後、PAN系共重合体を計量する。重合体濃度は、脱溶媒後のPAN系共重合体の重量を、脱溶媒する前のPAN系共重合体溶液の重量で割ることにより算出する。
また、45℃の温度におけるPAN系重合体溶液の粘度は、150〜2,000ポイズの範囲であることが好ましく、より好ましくは200〜1,500ポイズであり、最も好ましくは300〜1,000ポイズである。溶液の粘度が150ポイズ未満では、紡糸糸条の賦形性が低下するため、口金から出た糸条を引き取る速度、すなわち可紡性が低下する傾向を示す。また、溶液の粘度は2,000ポイズを超えるとゲル化し易くなり、安定した紡糸が困難になる傾向を示す。紡糸溶液の粘度は、重合開始剤や連鎖移動剤の量などにより制御することができる。
本発明において45℃の温度におけるPAN系重合体溶液の粘度は、B型粘度計により測定することができる。具体的には、ビーカーに入れたPAN系重合体溶液を、45℃の温度に温度調節された温水浴に浸して調温した後、B型粘度計として、(株)東京計器製B8L型粘度計を用い、ローターNo.4を使用し、PAN系重合体溶液の粘度が0〜1,000ポイズの範囲はローター回転数6r.p.m.で測定し、またその紡糸溶液の粘度が1,000〜10,000ポイズの範囲はローター回転数0.6r.p.m.で測定する。
PAN系重合体溶液を紡糸する前に、高強度な炭素繊維を得る観点から、そのPAN系重合体溶液を、例えば、目開き10μm以下のフィルターに通し、重合体原料および各工程において混入した不純物を除去することが好ましい。
本発明では、前記のPAN系重合体溶液を、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸することにより、炭素繊維前駆体繊維を製造することができる。乾湿式紡糸法は、紡糸原液を口金から一旦空気中に吐出した後、凝固浴中に導入して凝固させる紡糸方法である。
本発明において、凝固浴には、PAN系重合体溶液の溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどの溶媒と、いわゆる凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては、前記のPAN系重合体を溶解せず、かつPAN系重合体溶液に用いた溶媒と相溶性があるものが好ましく、具体的には、水を使用することが好ましい。凝固浴としての条件は、凝固糸条を構成する単繊維の断面が真円状となるように制御ことが好ましく、有機溶媒の濃度は、臨界浴濃度といわれる濃度以下であることが好ましい。有機溶媒の濃度が高いとその後の溶媒洗浄工程が長くなり、生産性が低下する。例えば、溶媒にジメチルスルホキシドを用いた場合は、ジメチルスルホキシド水溶液の濃度を5〜55重量%とし、更に好ましくは、5〜30重量%とすることが好ましい。また、凝固浴の温度は、繊維側面が平滑となるように制御ことが好ましく、−10〜30℃とし、更に好ましくは−5〜5℃とすることが好ましい。
PAN系重合体溶液を紡糸口金から吐出させそれを凝固浴中に導入して凝固させ繊維糸条を形成した後、水洗工程、水浴延伸工程、油剤付与工程、乾燥熱処理工程およびスチーム延伸工程を経て、炭素繊維前駆体繊維が得られる。
水浴延伸は、通常、30〜98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で行うことが好ましい。そのときの延伸倍率は、1〜5倍であることが好ましく、より好ましくは1〜3倍である。
水浴延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する目的から、延伸された繊維糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。シリコーン油剤は、耐熱性の高いアミノ変性シリコーン等の変性されたシリコーンを含有するものを用いることが好ましい。
乾燥熱処理工程は、公知の方法を利用することができる。例えば、乾燥熱処理温度が70〜200℃で乾燥時間が10秒から200秒の乾燥条件が好ましい結果を与える。
乾燥熱処理工程後に、繊維糸条はスチーム延伸に供される。本発明で用いられるスチーム延伸装置は、糸条通過口を有するシール部材を両端側に有する延伸チューブにスチーム吹き込み口を備えた延伸装置であり、上記の延伸チューブには、繊維糸条導入側に予熱域が設けられ、繊維糸条取り出し側に加熱域が設けられ、2領域で分割されているものである。繊維糸条取り出し側の加熱域にスチーム吹き込み口を設けるとともに、予熱域と加熱域の2領域の間に糸条通過口を有するシール部材を配置することが好ましい態様である。ここで、繊維糸条導入側を予熱域と呼び、繊維糸条取り出し側を加熱域と呼ぶことがある。
スチーム延伸装置では、スチームにより乾燥された繊維糸条を可塑化し延伸するが、延伸チューブの繊維糸条導入側と繊維糸条取り出し側にスチームの使用量を減らすため、または糸道を規制するためにシール部材を有している。乾燥された繊維糸条は、このスチーム延伸装置中を通過する間にスチームにより加圧加温され、引取ローラー(ドローローラー)により延伸され、延伸チューブの前段である予熱域で予熱され、後段である加熱域で延伸される。
ここでの延伸倍率は、生産性の向上や結晶配向度の向上のために4〜10倍であることが好ましい。延伸倍率は、より好ましくは4.5〜7倍であり、さらに好ましくは5〜6倍である。延伸倍率が4倍未満では、生産性および結晶配向度の観点から好ましくなく、10倍を超えると糸切れや毛羽発生の問題から好ましくない。予熱域での延伸倍率は、1〜2倍であることが好ましく、より好ましくは1〜1.5倍であり、さらに好ましくは1〜1.2倍である。加熱域で残りを延伸することが好ましい。予熱域の延伸倍率が2倍を超える場合は十分な予熱を経ずに延伸されるため、延伸むらが発生することがある。
予熱域の圧力は、0.5〜7.0kg/cmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0kg/cmであり、さらに好ましくは1.3〜3.0kg/cmである。予熱域の圧力が0.5kg/cm未満では繊維糸条の昇温に時間を有するため、延伸チューブ長を長く取る必要があり、生産性向上に適さないことがある。また、予熱が不十分であるため、毛羽発生などの品位低下やローラー巻付き等の操業性不良を起こすことがある。また、予熱域の圧力が7.0kg/cmを超えると、延伸が開始される可能性がある。
予熱域の圧力は、加熱域の圧力より0.5〜3.0kg/cm低いことが好ましい。PAN系重合体の分子量にもよるが、繊維糸条はある一定の温度で延伸されるため、予熱域では延伸されず繊維糸条が素早く温められることが好ましい。
加熱域の圧力は、3.0〜10.0kg/cmであることが好ましく、より好ましくは4.0〜8.0kg/cmであり、さらに好ましくは5.0〜7.0kg/cmである。加熱域の圧力が1.0kg/cm未満では、繊維糸条の温度が低い状態で無理に延伸されるため、毛羽発生などの品位低下や巻付き、断糸等の操業性不良を起こす可能性がある。また、加熱域の圧力が10.0kg/cmを超えると、温度が高くなりすぎて単繊維同士が融着を起こす可能性がある。
スチームは、温度と圧力の関係から、飽和スチーム、湿りスチームおよび過熱スチームに分類される。従来の重合体を用いた場合には、特許文献1に示すように圧力の割に温度を低くし、湿り度を増やした湿りスチームを用いることにより可塑性を高め、延伸性が高められてきた。
しかしながら、本発明で用いられるPAN系重合体の場合には、スチームの湿り度を増やすと延伸性が低下したことから、分子量分布が高分子量側に広い特殊な重合体に適応した延伸条件を検討したところ、加熱域のスチームの湿り度は0.1〜5%であることが好適であると判明した。湿り度は、より好ましくは0.1〜2%である。本発明で用いられるPAN系重合体は、分子量分布が広いため、スチームの湿り度が5%を超え可塑性が高まると高分子量成分の効果が発揮されないが、可塑化の程度を適切に制御することにより、絡み合いが多く残っている高分子量成分が優先的に延伸され、絡み合い点間分子量が均一に近づくため、延伸性が高まると推定される。
予熱域は、素早く繊維糸条を昇温する観点からスチームの湿り度は低いことが好ましく、スチームの湿り度は0〜5%であり、より好ましくは0〜1%である。スチーム湿り度が5%を超えると、繊維糸条の昇温が遅れ、加熱領域で十分に延伸されない可能性がありこのましくない。予熱域では、昇温が素早くできる湿り度0%の飽和スチームあるいは過熱スチームにより延伸することも本発明の一態様である。
また、加熱域に供給されるスチームの湿り度は、加熱域のスチーム湿り度と同等以下とすることが好ましい。湿り度を制御しない場合は、配管内壁付近でドレンが発生し、湿り度が増大していることがあり好ましくない。また、供給されるスチームの湿り度を1%に制御したとしても、シール部材の構成によっては延伸チューブ内の湿り度は増大することがあるので、供給されるスチームの湿り度は低い方が延伸チューブ内の湿り度は制御しやすい。
スチームの湿り度は、例えば飽和スチームをその配管の途中で冷却することにより容易に制御することができ、Qwを冷却水量(Kg/Hr)、Δtを冷却水のスチーム冷却前後の温度差(℃)、Cpを冷却水比熱(Kcal/Kg℃)、Qsをスチーム流量(Kg/Hr)、rをスチーム潜熱(Kcal/Kg)、Xsをスチーム湿り度(%)としたとき、湿り度はQw・Δt・Cp=Qs・r・Xs/100で定義される。また、延伸チューブ内の予熱域と加熱域のそれぞれのスチーム湿り度の測定には、絞り乾き度計が用いられる。絞り乾き度計は、断熱容器の中で湿り蒸気を絞ることによって乾き蒸気に変え、その状態を測定してもとの乾き度を求めるものである。湿り度=100−乾き度(%)から算出される。
スチームの湿り度は、スチーム延伸装置に供給されるスチームの余分なドレンを分離した後、除熱を行い、飽和スチームを得て所定の圧力に設定することができる。次いで、再びドレンの分離を行い、温度および流量をコントロールした冷却水にて除熱することにより加湿を行い、湿り度を制御した加圧スチームを用いることができる。
予熱域と加熱域のスチームの湿り度を別々に制御するためには、別のラインで湿り度を制御されたスチームを供給する方法や、予熱域あるいは加熱域をジャケット加熱することによりスチームの湿り度を低下させる方法や、シール部材の構成によりスチームの湿り度を制御する方法があるが、簡便性の観点から、シール部材の構成で制御することが好ましい。
図2は、本発明で用いられるシール部材を例示説明するための概略側面図と断面図である。すなわち、図2において、シール部材Eの最小内径長さ10から求めた最小内径断面積9の逆数と最小内径長さ10の積が、
延伸チューブの繊維糸条導入側にあるシール部材の糸条通過口>延伸チューブの予熱域と加熱域の間のシール部材の糸条通過口>延伸チューブの繊維糸条取り出し側にあるシール部材の糸条通過口
の関係になるように制御することが好ましい。
具体的には、延伸チューブの繊維糸条導入側にあるシール部材において、最小内径断面積は、導入する糸条断面積の4〜10倍とし、最小内径長さは、40〜200mmとすることが好ましい。最小内径断面積の逆数と最小内径長さの積において、延伸チューブの繊維糸条導入側にあるシール部材の糸条通過口と延伸チューブの予熱域と加熱域の間のシール部材の糸条通過口の比は、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、2もあれば十分である。最小内径断面積の逆数と最小内径長さの積において、延伸チューブの予熱域と加熱域の間のシール部材の糸条通過口と延伸チューブの繊維糸条取り出し側にあるシール部材の糸条通過口の比は1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、10もあれば十分である。
また、炭素繊維前駆体繊維の水分率は、0.5〜2.5%であることが好ましい。かかる水分率は、予熱域および加熱域の湿り度を反映しており、耐炎化工程への負荷を増すため低いほど好ましいが、0.5%未満であると炭素繊維前駆体繊維の集束性が不足することがある。
次に、図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明で用いられる加圧スチーム延伸装置を例示説明するための概略側面図である。
図1において、スチーム延伸装置を構成する延伸チューブBは、繊維糸条Aの繊維糸条導入口1を有する前段シール部材4と繊維糸条取り出し口2を有する後段シール部材6をその両端側に備え、かつ、加圧スチームのスチーム吹き込み口3に隣接して予熱域Cと加熱域Dの間に中段シール部材5を設けた円筒状容器から構成されている。スチーム延伸装置の延伸チューブBに供給される加圧スチームは、圧力制御装置(図示せず)で圧力制御された後、スチーム吹き込み口3から延伸チューブBに導入される。
スチーム吹き込み口3の位置は、繊維糸条Aの予熱と延伸が十分に行われることを考慮し、延伸チューブBの中央部付近の加熱域D側に設けることが好ましい。
加熱域D側から導入されたスチームは、予熱域Cと加熱域Dの間の糸条通過口を有する中段シール部材5と糸条通過口を有する後段シール部材6によりシールされている。これらの中段シール部材5と後段シール部材6の断面積が大きくなるほど、また両シール部材5,6の長さが短くなるほど、温度は低下しにくいが圧力が低下しやすくなる。そのため、繊維糸条取り出し側の糸条通過口の後段シール部材6の最小内径から求めた断面積の逆数と最小内径部分の長さの積を小さくするほど、湿り度は小さくなり好ましい態様である。最小内径の好ましい範囲は、繊維糸条のトータル繊度により、繊維糸条の断面積の2〜5倍であることが好ましい。最小内径は、繊維糸条の擦過とも関係するため、最小内径部分の長さで最小内径から求めた断面積の逆数と最小内径部分の長さの積を制御することが好ましい。加熱域Dのスチーム圧力と温度は低下するが、好ましい延伸温度は、重合体分子量分布に依存するため、スチームの供給圧力を高めることにより延伸温度を制御することができる。
予熱域Cと加熱域Dの圧力差は、各シール部材、シール部材の断面積およびシール部材の長さを調節することにより制御することができる。繊維糸条が円滑に通過し、かつ、延伸チューブB内の圧力バランスが適性に保たれるように、各シール部材の断面積と長さを調節することが好ましい。具体的には、最小内径断面積の逆数と最小内径部分の長さの積において、延伸チューブの繊維糸条導入側にあるシール部材の糸条通過口の値と延伸チューブの予熱域と加熱域の間のシール部材の糸条通過口の値を足したものと、延伸チューブの繊維糸条取り出し側にあるシール部材の糸条通過口の値の比が、4〜20となるように設定する。この値が小さいと予熱域と加熱域の圧力差が小さくなる。
繊維糸条Aは、フィードローラー7とドローローラー8の間で延伸される。また、繊維糸条のスチーム延伸においては、延伸チューブBの繊維糸条導入側の張力よりも繊維糸条取出し側の張力を0.05〜0.3g/d高くすることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.2g/dである。繊維糸条取出し側の張力より繊維糸条導入側の張力が高いか、または繊維糸条導入側と繊維糸条取出し側の張力差がないと、延伸点が加熱域D側から予熱域C側にずれて低い温度で延伸され、毛羽発生の原因となることがある。繊維糸条取出し側の張力が繊維糸条導入側の張力より0.3g/dを超えると加熱域Dが狭くなっている可能性があり、満足する延伸性が得られないことがある。
スチーム延伸する際の繊維糸条を構成する単繊維の数は、10000本以上であることが好ましい。通常、フィラメント数(単繊維数)を増やすと不均一な延伸状態となり、延伸性は低下しやすいが、本発明のスチーム延伸条件においては、湿り度が少ないため、均一に繊維糸条が昇温され、顕著に延伸性を高める効果が現れる。また、延伸チューブの数を減らすことができるため、工程管理が簡便になるだけでなく、延伸チューブによる延伸状態の差が減少するため、炭素繊維前駆体繊維としても均一なものが得られる。
このようにして得られた炭素繊維前駆体繊維の単繊維繊度は、0.01〜1.5dtexであることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0dtexであり、さらに好ましくは0.1〜0.8dtexである。単繊維繊度が小さすぎると、ローラーやガイドとの接触による糸切れ発生などにより、製糸工程および炭素繊維製造の焼成工程のプロセス安定性が低下することがある。一方、単繊維繊度が大きすぎると、耐炎化後の各単繊維における内外構造差が大きくなり、続く炭化工程でのプロセス性低下や、得られる炭素繊維の引張強度および引張弾性率が低下することがある。本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法を用いることにより単繊維繊度を低下させることが容易であり、炭素繊維の引張強度と弾性率向上にも有効である。本発明における単繊維繊度(dtex)とは、単繊維10,000mあたりの重量(g)である。
上記のようにして得られた炭素繊維前駆体繊維は、公知の方法を使って炭素繊維となすことができる。すなわち、上記の本発明の製造方法によって得られた炭素繊維用前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化処理することにより、炭素繊維を製造することができる。その際に、本発明で得られる炭素繊維前駆体繊維は高品位な炭素繊維前駆体繊維であるがために、スチーム延伸工程で発生した毛羽や欠陥によって焼成工程において毛羽巻付きなどの問題を起こすことはなく、有用である。
以下、実施例により本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法についてさらに具体的に説明する。本発明で用いる特性は、具体的に次のようにして測定することができる。
<重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mn>
測定しようとするポリマーをその濃度が0.1重量%となるように、ジメチルホルムアミド(0.01N−塩化リチウム添加)に溶解し、検体溶液を得る。得られた検体溶液について、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、単にGPCという)装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線より、分子量分布曲線を求め、MnとMwを算出する。
・カラム :極性有機溶媒系GPC用カラム
・流速:1ml/min
・温度 :40℃
・試料濾過 :メンブレンフィルター(0.5μmカット)
・注入量:0.1ml
・検出器 :示差屈折率検出器
MwおよびMnは、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも3種類用いて、溶出時間−分子量の検量線を作成し、該検量線上において、該当する溶出時間に対応する分子量を読み取ることにより求める。
本発明の実施例では、GPC装置として、(株)島津製作所製CLASS−LC10を、カラムとして東ソー(株)製TSK−GEL−α―M(×2)を、ジメチルホルムアミドおよび塩化リチウムとして和光純薬工業(株)製を、メンブレンフィルターとしてミリポアコーポレーション製0.5μ−FHLP FILTERを、示差屈折率検出器として(株)島津製作所製RID−10AVを、検量線作成用の単分散ポリスチレンとして、分子量184000、427000、791000および1300000のものを、それぞれ用いた。
<スチーム延伸での延伸限界倍率>
スチーム延伸に供する速度を30m/分にし、毛羽が発生したときの引き取り側の速度を読みとり、かかる速度をスチーム延伸に供する速度で除した値を、その温度における延伸限界倍率とする。ここで毛羽とは、走行中のアクリル系繊維の束から突出した5mm以上の単繊維切れのことをいう。また、供給するスチーム圧力を0.05GPaずつ変化させながら試験を行い、延伸限界倍率のピーク値を求め、その値を用いた。
<繊維糸条(原糸)の水分率>
スチーム延伸装置の延伸チューブを出た後に最初に接触する駆動源を持ったローラー出側で繊維糸条を巻き取り、速やかに27m採取し、乾燥前重量(g)を測定する。その繊維糸条を120℃の温度で1時間乾燥させ、乾燥後重量(g)を測定する。原糸水分率(%)は、次の式で算出される。
・原糸水分率(%)=乾燥前重量/乾燥後重量×100
[実施例1]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定されるポリスチレン換算分子量が150万以上であるポリアクリロニトリル系重合体が全重合体に対して4.0重量%混合されており、かつ、全重合体のポリスチレン換算分子量が40万であり、Mz/Mwが4.9であるポリアクリロニトリル系重合体組成物を重合体濃度が21重量%になるようにジメチルスルホキシドに溶解してなる炭素繊維前駆体繊維製造用紡糸溶液を紡糸原液として用い、孔径が0.15mmφであり、孔数が3,000の形状を有する紡糸口金を用いて、DMSO40重量%と水60重量%からなる凝固浴中にエアーギャップを介したのち吐出し、ドラフト率4で引き取り凝固繊維糸条を得た。この凝固繊維糸条を水洗後、65℃の温度の温水を用いた浴中延伸で3倍に延伸し、さらにアミノ変成シリコーン系シリコーン油剤を付与した。引き続き、165℃の温度に加熱したローラーを用いて乾燥熱処理を行い、単繊維繊度3.5dtexのフィラメント糸条を得た。このようにして得られた繊維糸条を4本合糸し、フィラメント数を12,000本とした上で、図1に示す糸条通過口を有するシール部材を両端側に有する延伸チューブにスチーム吹き込み口を備えたスチーム延伸装置を用い、表1に示す供給スチームの湿り度とシール部材の構成で、延伸限界倍率を測定した。シール部材の最小内径長さは10mmのものを用いた。上記の延伸チューブは、繊維糸条導入側に予熱域、繊維糸条取り出し側に加熱域の分割された2領域を有し、予熱域でのスチームの湿り度が1%であり、かつ、加熱域でのスチームの湿り度が1%となるようにした。シール部材は、繊維糸条導入側の糸条通過口が内径7.0mmのものを10個用い、予熱域と加熱域の間の糸条通過口には内径6.0mmのものを6個用い、繊維糸条取り出し側の糸条通過口には内径5.0mmのものを2個使用し、延伸限界倍率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定されるポリスチレン換算分子量が150万以上であるポリアクリロニトリル系重合体が、全重合体に対して2.8重量%混合されており、かつ、全重合体のポリスチレン換算分子量が26万であり、Mz/Mwが4.0である紡糸原液を使用し、繊維糸条取り出し側の糸条通過口のシール部材の内径が5.0mmのものを2個から4個に変えたこと以外は、実施例1と同様にし、延伸限界倍率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例2と同様の紡糸原液を用い、繊維糸条取り出し側の糸条通過口のシール部材の内径が7.0mmのものを8個に変えたこと以外は、実施例1と同様にし、延伸限界倍率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2と同様の紡糸原液を用い、延伸チューブに投入するフィラメント数(単繊維数)を3000本とし、シール部材として、繊維糸条導入側には糸条通過口の内径が3.0mmのものを8個、予熱域と加熱域の間には糸条通過口の内径が4.0mmのものを6個、繊維糸条取り出し側には糸条通過口の内径が5.0mmのものを2個使用したこと以外は、実施例1と同様にし、延伸限界倍率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例5]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定されるポリスチレン換算分子量が150万以上であるポリアクリロニトリル系重合体が、全重合体に対して2.9重量%混合されており、かつ、全重合体のポリスチレン換算分子量が48万であり、Mz/Mwが5.7である紡糸原液を使用したこと以外は、実施例1と同様にし、延伸限界倍率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例6]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定されるポリスチレン換算分子量が150万以上であるポリアクリロニトリル系重合体が、全重合体に対して1.3重量%混合されており、かつ、全重合体のポリスチレン換算分子量が34万であり、Mz/Mwが2.7である紡糸原液を使用したこと以外は、実施例1と同様にし、延伸限界倍率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例2と同様の紡糸原液を用い、繊維糸条取り出し側の糸条通過口のシール部材の内径が7.0mmのものを8個に変えたこと以外は、実施例1と同様にし、延伸限界倍率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2009174073
[比較例1]
実施例2と同様の紡糸原液を用い、繊維糸条取り出し側の糸条通過口の内径が5.0mmのシール部材をを2個から12個に変えたこと以外は、実施例2と同様にしたところ、加熱域の湿り度が10%と大きかった。延伸限界倍率は、実施例2に比べて低下した。結果を表2に示す。
[比較例2]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定されるポリスチレン換算分子量が150万以上であるポリアクリロニトリル系重合体が、全重合体に対して0重量%混合されており、かつ、全重合体のポリスチレン換算分子量が38万であり、Mz/Mwが1.6である紡糸原液を使用したこと以外は、比較例1と同様に延伸限界倍率を測定した。このとき、加熱域の湿り度が10%と大きかった。結果を表2に示す。
[比較例3]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定されるポリスチレン換算分子量が150万以上であるポリアクリロニトリル系重合体が、全重合体に対して2.0重量%混合されており、かつ、全重合体のポリスチレン換算分子量が60万であり、Mz/Mwが1.8である紡糸原液を使用したこと以外は、比較例1と同様に延伸限界倍率を測定した。このとき、加熱域の湿り度が10%と大きかった。結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例2と同様の紡糸原液を使用したこと以外は、実施例1と同様に延伸限界倍率を測定した。分子量が150万以上の成分の含有率が0重量%と低く、Mz/Mwが1.6と低いと、加熱域の湿り度が1%と低下しても、逆に比較例2よりも延伸性は低下した。結果を表2に示す。
[比較例5]
比較例3と同様の紡糸原液を使用したこと以外は、実施例1と同様に延伸限界倍率を測定した。Mz/Mwが1.8と低いと、加熱域の湿り度が1%と低下しても、逆に比較例3よりも延伸性は低下した。結果を表2に示す。
[比較例6]
比較例2と同様の紡糸原液を使用したこと以外は、実施例3と同様に延伸限界倍率を測定した。分子量が150万以上の成分の含有率が0重量%と低く、Mz/Mwが1.6と低いと、加熱域の湿り度が1%と低下しても、逆に比較例2よりも延伸性は低下した。結果を表2に示す。
Figure 2009174073
図1は、本発明で用いられる加圧スチーム延伸装置を例示説明するための概略側面図である。 図2は、本発明で用いられるシール部材を例示説明するための概略側面図と断面図である。
符号の説明
A:繊維糸条
B:延伸チューブ
C:予熱域
D:加熱域
E:シール部材
1:繊維糸条導入口
2:繊維糸条取り出し口
3:スチーム吹き込み口
4:前段シール部材
5:中段シール部材
6:後段シール部材
7:フィードローラー
8:ドローローラー
9:最小内径断面積
10:最小内径長さ

Claims (6)

  1. ポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解してなる紡糸溶液を湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸口金から吐出させ紡糸する紡糸工程と、該紡糸工程で得られた繊維糸条を水浴中で洗浄する水洗工程と、該水洗工程で得られた繊維糸条を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、該水浴延伸工程で得られた繊維糸条を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程と、糸条通過口を有するシール部材を両端側に有する延伸チューブにスチーム吹き込み口を備えたスチーム延伸装置を用いて該乾燥熱処理工程で得られた繊維糸条をスチーム延伸するスチーム延伸工程からなる炭素繊維前駆体繊維の製造方法において、前記のポリアクリロニトリル系重合体として、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法で測定される重量平均分子量(Mw)が20万〜50万で、多分散度(Mz/Mw)(Mzは、Z平均分子量を表す。)が2.5〜6.0であるポリアクリロニトリル系重合体を用い、かつ、前記のスチーム延伸工程において、延伸チューブには繊維糸条導入側に予熱域、繊維糸条取り出し側に加熱域の分割された2領域を有する延伸チューブを用い、該予熱域でのスチームの湿り度が0〜5%であり、かつ、該加熱域でのスチームの湿り度が0.1〜5%となるようにしてスチーム延伸することを特徴とする炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  2. 全重合体中、GPC法により測定される分子量が150万以上のポリアクリロニトリル系重合体成分の含有率が、0.5〜5重量%である請求項1記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  3. 加熱域にスチーム吹き込み口を設けるとともに、予熱域と加熱域の間に糸条通過口を有するシール部材を設け、かつ、シール部材の最小内径長さから求めた最小内径断面積の逆数と最小内径長さの積が、延伸チューブの繊維糸条導入側にあるシール部材の糸条通過口>延伸チューブの予熱域と加熱域の間のシール部材の糸条通過口>延伸チューブの繊維糸条取り出し側にあるシール部材の糸条通過口の大きさの関係にある請求項1または2記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  4. スチーム延伸する際の繊維糸条を構成する単糸の数が10000本以上である請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  5. 延伸チューブの繊維糸条導入側の張力よりも延伸チューブの繊維糸条取り出し側の張力が、0.05〜0.3g/d高くなるようにしてスチーム延伸する請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  6. 炭素繊維前駆体繊維の水分率が0.5〜2.5%となるようにしてスチーム延伸する請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
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