JP2009173727A - 改質ゴム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然ゴムを原料として、ガス非透過性に優れた機能性高分子材料を提供する。
【解決手段】天然ゴムの各イソプレン単位に含まれる二重結合をエポキシ基に転化し、次いでエポキシ基を加水分解して水酸基に転化する。全ての二重結合に水酸基を確実に導入することができ、また多くの水酸基を導入できるので、ガス非透過性に優れた食品包装用フィルムなどに利用することができる。エポキシ基導入前に該天然ゴム中の蛋白質を除去する脱蛋白工程を行うことが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】天然ゴムの各イソプレン単位に含まれる二重結合をエポキシ基に転化し、次いでエポキシ基を加水分解して水酸基に転化する。全ての二重結合に水酸基を確実に導入することができ、また多くの水酸基を導入できるので、ガス非透過性に優れた食品包装用フィルムなどに利用することができる。エポキシ基導入前に該天然ゴム中の蛋白質を除去する脱蛋白工程を行うことが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、食品包装用フィルム、タイヤのインナーライナーなどに有用な機能性高分子材料としての改質ゴムと、その製造方法に関する。
これまでの産業では、石油などの化石燃料由来の原料を用いて製造された、各種の機能性有機材料が用いられている。例えば機能性高分子材料の一つであるエチレン−ビニルアルコール共重合体は、その著しく低いガス透過性を利用して、マヨネーズボトルなどの食品包装の用途に使用されている。このエチレン−ビニルアルコール共重合体は、化石燃料由来のエチレンと酢酸ビニルとをラジカル共重合し、その後にエステル部位を加水分解して水酸基を導入することで製造されている。
食品包装用のフィルムにおいては、酸素の非透過性が重要な特性である。エチレン−ビニルアルコール共重合体の酸素透過係数を極性基の観点から捉えると、水酸基を多く有するものほど酸素透過度が小さいことが解っている。一方、水酸基が50%以上と多くなり過ぎると、高湿度下でのガス非透過性が低下したり、結晶性であるためにその用途が制限される。
また化石燃料の枯渇問題が重要視されている昨今では、化石燃料由来の原料の使用を余儀なくされることに加えて、エステル部位の加水分解によって脱アセチル化を行うことは、アトムエコノミーの観点からも不利である。したがって近年では、天然資源由来の環境調和型有機材料を用いることが望まれている。
そこで本願発明者らは、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの代替え品として、天然の高分子材料である天然ゴムに着目した。
天然ゴムを改質変性する技術として、特許第 3294903号には、天然ゴムを脱蛋白処理し、さらにエポキシ化する方法が記載されている。この方法により得られた改質天然ゴムは、蛋白質を有しないためアレルギ−を起こすことがなく、強度を維持したまま耐油性、耐ガス透過性などの特性に優れる。したがってホース、タイヤのインナーライナーなどの用途に好適に使用できる。
また特開昭57−125230号公報には、分子末端に水酸基を有しかつ分子内部にエポキシ基を有する液状ゴムと固形ゴムとを配合してなるゴム組成物が記載され、固形ゴム本来の弾性を失わず優れた成形加工性を有することが記載されている。
特許第 3294903号
特開昭57−125230号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、天然ゴムを原料としてガス非透過性に優れた機能性高分子材料を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明の改質ゴムの特徴は、ポリイソプレンを主成分とするゴム素材から形成され、各イソプレン単位に含まれる二重結合の少なくとも一部が水酸基に転化されてなることにある。
ゴム素材に含まれる二重結合の全てが水酸基及びテトラヒドロフラン環(以下、フラン環という)に転化されていることが好ましく、ゴム素材に含まれる二重結合の全てが水酸基に転化されていることが望ましい。またゴム素材は、イソプレンゴム(合成天然ゴム)でもよいが、天然資源である天然ゴムであることが望ましい。
また上記改質ゴムを製造する本発明の製造方法の特徴は、ポリイソプレンを主成分とするゴム素材の各イソプレン単位に含まれる二重結合をエポキシ基に転化してエポキシ化ゴム素材とするエポキシ基導入工程と、エポキシ化ゴム素材に含まれるエポキシ基を加水分解して水酸基に転化する水酸基導入工程と、からなることにある。
水酸基導入工程では、エポキシ化ゴム素材に含まれるエポキシ基の全てが水酸基及びフラン環に転化されることが望ましい。
ゴム素材として天然ゴムを用いた場合には、エポキシ基導入工程の前に天然ゴム中の蛋白質を除去する脱蛋白工程をさらに行うことが望ましい。
エポキシ基導入工程と水酸基導入工程は有機過酸の存在下にて行い、かつゴム素材及びエポキシ化ゴム素材のラテックスと有機過酸との親和性の高い共溶媒の存在下にて行うことが望ましい。
本発明の改質ゴムは、ポリイソプレンを主成分とするゴム素材から形成され、各イソプレン単位に一つ含まれる二重結合の少なくとも一部が水酸基に転化されてなる。そのため本発明の改質ゴムはガス非透過性に優れ、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの代替え品として利用することができる。
また本発明の製造方法によれば、各イソプレン単位に一つ含まれる二重結合を先ずエポキシ基に転化することで、水酸基導入工程において確実に水酸基を導入することができる。したがって本発明の改質ゴムを確実に製造することができる。
エポキシ基導入工程においてエポキシ基に転化されない二重結合が残留してもよいが、水酸基を多く導入するには全ての二重結合がエポキシ基に転化することが望ましい。このようにするには、エポキシ基導入工程と水酸基導入工程を有機過酸の存在下にて行い、かつゴム素材及びエポキシ化ゴム素材のラテックスと有機過酸との親和性の高い共溶媒の存在下にて行うことで達成できる。
また水酸基導入工程においてエポキシ基が残留する場合もあるが、エポキシ基の全てが水酸基及びフラン環に転化されることが望ましく、エポキシ基の全てが水酸基に転化されることが特に望ましい。すなわち、一分子中の水酸基が多いほどガス非透過性が向上するので、ゴム素材に含まれる二重結合の全てが水酸基に転化されていることが望ましい。
さらにゴム素材として天然ゴムを用いた場合には、エポキシ基導入工程の前に天然ゴム中の蛋白質を除去する脱蛋白工程をさらに行うことが望ましい。このようにすることで、エポキシ基導入工程における反応と水酸基導入工程における反応とが円滑に進行すると考えられ、多くの水酸基を有する改質ゴムを製造することができる。
本発明の改質ゴムは、ポリイソプレンを主成分とするゴム素材から形成され、各イソプレン単位に含まれる二重結合の少なくとも一部が水酸基に転化されてなる。ポリイソプレンを主成分とするゴム素材としては、ポリイソプレン(合成天然ゴム)を用いることもできるが、天然資源である天然ゴムを用いることが望ましい。なお場合によっては、ポリイソプレンの二重結合の一部に各種モノマーあるいはポリマーがグラフト化されたゴム素材を用いることも可能である。
イソプレン単位に含まれる二重結合の少なくとも一部が水酸基に転化されていれば、その水酸基の存在によってガス非透過性が発現される。しかし水酸基の数が多いほどガス非透過性が高まることから、各イソプレン単位に含まれる二重結合のできるだけ多くが水酸基に転化していることが望ましく、各イソプレン単位に含まれる二重結合の全てが水酸基に転化しているのが最も望ましい。
なお本発明の改質ゴムは、本発明の製造方法によって製造することができるが、本発明の製造方法では、各イソプレン単位に含まれる二重結合が先ずエポキシ基に転化され、その後に水酸基に転化される。したがって二重結合あるいはエポキシ基が残留している場合もあり、二重結合あるいはエポキシ基を含む改質ゴムも本発明に含まれる。またエポキシ基を水酸基に転化する際にフラン環が形成される場合もあり、フラン環を含む改質ゴムも本発明に含まれる。もちろん、二重結合、エポキシ基、フラン環は存在せず、水酸基のみが存在する形態の改質ゴムであることが特に望ましい。
本発明の改質ゴムが得られる本発明の製造方法では、先ずエポキシ基導入工程において、ポリイソプレンを主成分とするゴム素材の各イソプレン単位に含まれる二重結合をエポキシ基に転化してエポキシ化ゴム素材とし、ついで水酸基導入工程において、エポキシ化ゴム素材に含まれるエポキシ基を加水分解して水酸基に転化している。
ポリイソプレンを主成分とするゴム素材としては、前述したように、ポリイソプレン(合成天然ゴム)を用いることもできるが、天然資源である天然ゴムを用いることが望ましい。
天然ゴムを用いる場合には、エポキシ基導入工程に先だって、天然ゴム中に含まれている蛋白質を除去する脱蛋白工程をさらに行うことが望ましい。このようにすることで、エポキシ基導入工程における反応と水酸基導入工程における反応とが円滑に進行すると考えられ、多くの水酸基を有する改質ゴムを製造することができる。
脱蛋白工程としては、天然ゴムラテックスに蛋白質分解酵素またはバクテリアを添加して蛋白質を分解する方法、石鹸などの界面活性剤でラテックスを繰り返し洗浄する方法、あるいは尿素によって蛋白質を変性させる方法などが知られている。
天然ゴムラテックスには、市販のアンモニア処理ラテックス、フィールドラテックスのいずれも使用することができる。前記蛋白質分解酵素としては、特に限定されず、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のものいずれも用いられるが、細菌由来のプロテアーゼを用いるのが好ましい。
蛋白質分解酵素でラテックス中の蛋白質を分解するには、ラテックスに約 0.001〜10質量%の蛋白質分解酵素を添加し、攪拌あるいは静置して数分間〜1週間程度処理すればよい。処理温度は5〜90℃とすることができ、20〜60℃が好ましい。
また界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤でラテックスを繰り返し洗浄する方法としては、ラテックスに界面活性剤を約 0.001〜10質量%添加し、遠心分離によって複数回洗浄する方法が例示される。場合によっては、凝集剤によってラテックス粒子を凝集させて分離する洗浄方法を用いることもできる。
エポキシ基導入工程は、ポリイソプレンを主成分とするゴム素材の各イソプレン単位に含まれる二重結合をエポキシ基に転化する工程である。このエポキシ基導入工程は、有機過酸を用いて行うことが望ましい。このようにすれば、エポキシ基導入反応と水酸基導入反応とを連続してほぼ同時に進行させることができる
有機過酸としては、例えば過安息香酸、過酢酸、過蟻酸、過フタル酸、過プロピオン酸、トリフルオロ過酢酸、過酪酸などが例示される。これらから選ばれる有機過酸をラテックスに直接添加してもよいし、有機過酸を形成する複数種の薬剤をラテックスに添加してから有機過酸を生成させてもよい。
有機過酸としては、例えば過安息香酸、過酢酸、過蟻酸、過フタル酸、過プロピオン酸、トリフルオロ過酢酸、過酪酸などが例示される。これらから選ばれる有機過酸をラテックスに直接添加してもよいし、有機過酸を形成する複数種の薬剤をラテックスに添加してから有機過酸を生成させてもよい。
有機過酸の添加量は、合成天然ゴムあるいは脱蛋白処理天然ゴムのラテックス中の二重結合の全てにエポキシ基を導入可能な当量より過剰に添加することが望ましい。また有機過酸を形成する複数種の薬剤を添加する場合も、生成する有機過酸の量がこの範囲となるようにする。そして攪拌することで、あるいは静置しておくことで、各イソプレン単位に含まれる二重結合がエポキシ基に転化される。
そして有機過酸を用いてエポキシ基を導入する方法によれば、有機過酸から有機酸が派生し、それによる酸性雰囲気下にてエポキシ基の加水分解反応が同時に進行する。したがって、各イソプレン単位に含まれる二重結合が水酸基に転化され、本発明の改質ゴムを製造することができる。
しかしながら、有機過酸とラテックスとを混合するだけでは、生成するエポキシ基の全てを加水分解することが困難であり、得られる改質ゴム中にエポキシ基が残留する場合がある。エポキシ基が残留すれば、その分だけ水酸基が減少しガス非透過性が低下する。
そこでエポキシ基導入工程と水酸基導入工程は、有機過酸の存在下にて行うとともに、ラテックス及び有機過酸の両者との親和性の高い共溶媒の存在下にて行うことが望ましい。共溶媒の存在下で反応させることで、エポキシ基の全てを水酸基に転化させることができる。
共溶媒としては、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、t−ブタノールなどが例示される。その作用機構は明確ではないが、水及び有機過酸を溶解し、かつラテックスのゴム粒子を膨潤させることで、エポキシ基導入工程と水酸基導入工程における反応を促進しているものと推察される。
共溶媒の添加量は、溶媒種によっても異なるが、ラテックスの固形分 100質量部に対して 0.1〜1000質量部の範囲が好ましい。共溶媒の添加量がこの範囲より少ないと添加した効果が得られずエポキシ基が残留するようになり、この範囲より多く添加しても効果が飽和するとともに必要な反応が阻害される場合もあるため好ましくない。
なお有機過酸による上記反応では、水酸基ばかりでなくフラン環も生成する場合がある。共溶媒を用いてもフラン環の生成を抑制することは現時点では困難であるが、エポキシ基導入工程におけるエポキシ化反応をさらに検討することでエポキシ化率を自在に制御できる可能性があり、水酸基含有率を自在に制御できる可能性が高い。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に本発明の一実施例に係る改質ゴムの構造を示す。この改質ゴムは水酸基含有天然ゴムと称されるべきものであり、天然ゴムからエポキシ化天然ゴムを経由して製造され、各イソプレン単位に含まれる二重結合が全て水酸基、エポキシ基、フラン環に転化している。以下、この改質ゴムの製造方法を説明し、構成の詳細な説明に代える。
図1に本発明の一実施例に係る改質ゴムの構造を示す。この改質ゴムは水酸基含有天然ゴムと称されるべきものであり、天然ゴムからエポキシ化天然ゴムを経由して製造され、各イソプレン単位に含まれる二重結合が全て水酸基、エポキシ基、フラン環に転化している。以下、この改質ゴムの製造方法を説明し、構成の詳細な説明に代える。
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%) 100質量部に対し、ドデシル硫酸ナトリウムを 1.0質量部と、尿素 0.1質量部とを加え、十分に攪拌して溶解させた後、室温にて1時間静置した。なお尿素は、蛋白質を変性させる目的で添加している。
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%) 100質量部に対し、ドデシル硫酸ナトリウムを 1.0質量部と、尿素 0.1質量部とを加え、十分に攪拌して溶解させた後、室温にて1時間静置した。なお尿素は、蛋白質を変性させる目的で添加している。
これを遠心分離して上澄み液を除去し、得られたクリーム分を固形分が30質量%となるように濃度1質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液に混合した。そして再び遠心分離し、この工程を2回繰り返して洗浄することで、脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<エポキシ基導入工程及び水酸基導入工程>
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックスの固形分10質量部に対して、過酢酸を70質量部添加して攪拌混合し、室温にて16時間静置した。その後アンモニア水を加えて中和し、蒸留水を用いた遠心分離による洗浄を数回繰り返した。そして真空下にて乾燥させ、改質ゴムを調製した。
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックスの固形分10質量部に対して、過酢酸を70質量部添加して攪拌混合し、室温にて16時間静置した。その後アンモニア水を加えて中和し、蒸留水を用いた遠心分離による洗浄を数回繰り返した。そして真空下にて乾燥させ、改質ゴムを調製した。
<組成分析>
脱蛋白工程で得られた脱蛋白質天然ゴムと、調製された改質ゴムとを NMRにて解析し、そのスペクトルを図2a と図2b にそれぞれ示す。
脱蛋白工程で得られた脱蛋白質天然ゴムと、調製された改質ゴムとを NMRにて解析し、そのスペクトルを図2a と図2b にそれぞれ示す。
脱蛋白質天然ゴムには、イソプレン単位の二重結合に由来する5.2ppmのシグナルが存在しているが、改質ゴムにはそのシグナルが認められず、二重結合が消失したことが認められる。すなわちエポキシ基導入工程及び水酸基導入工程を行うことで、全ての二重結合が反応したことが明らかである。
また改質ゴムのスペクトルには、2.7ppmにエポキシ基に由来するシグナルが、3.4ppmに水酸基に由来するシグナルが、3.9ppmにフラン環に由来するシグナルがそれぞれ現れ、エポキシ基、水酸基、フラン環がそれぞれ存在していることがわかる。一方、脱蛋白質天然ゴムのスペクトルにはこれらのシグナルが認められず、これらの基はエポキシ基導入工程及び水酸基導入工程で生成したことが明らかである。
(実施例2)
実施例1と同様に形成された脱蛋白質天然ゴムラテックスの固形分10質量部に対して、過酢酸を70質量部添加するとともにイソプロピルアルコール( IPA)を5質量部添加して攪拌混合し、室温にて16時間静置した。その後アンモニア水を加えて中和し、蒸留水を用いた遠心分離による洗浄を数回繰り返した。そして真空下にて乾燥させ、改質ゴムを調製した。
実施例1と同様に形成された脱蛋白質天然ゴムラテックスの固形分10質量部に対して、過酢酸を70質量部添加するとともにイソプロピルアルコール( IPA)を5質量部添加して攪拌混合し、室温にて16時間静置した。その後アンモニア水を加えて中和し、蒸留水を用いた遠心分離による洗浄を数回繰り返した。そして真空下にて乾燥させ、改質ゴムを調製した。
得られた改質ゴムの NMRスペクトルを図3に示す。図3から、イソプレン単位の二重結合に由来する5.2ppmのシグナルが消失するとともに、2.7ppmのエポキシ基に由来するシグナルが消失していることがわかり、共溶媒としてイソプロピルアルコールを添加することで全ての二重結合が水酸基又はフラン環に転化したことが明らかである。
(実施例3)
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<エポキシ基導入工程及び水酸基導入工程>
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス20gに対して、過酢酸を14g添加して攪拌混合し、室温にて16時間静置した。その後アンモニア水を加えて中和し、蒸留水を用いた遠心分離による洗浄を数回繰り返した。そして真空下にて乾燥させ、改質ゴムを調製した。
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス20gに対して、過酢酸を14g添加して攪拌混合し、室温にて16時間静置した。その後アンモニア水を加えて中和し、蒸留水を用いた遠心分離による洗浄を数回繰り返した。そして真空下にて乾燥させ、改質ゴムを調製した。
(実施例4)
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<エポキシ基導入工程及び水酸基導入工程>
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス20gに対して、過酢酸を14g添加するとともに、共溶媒としてのイソプロピルアルコール( IPA)を2ml添加したこと以外は実施例3と同様にして、改質ゴムを調製した。
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス20gに対して、過酢酸を14g添加するとともに、共溶媒としてのイソプロピルアルコール( IPA)を2ml添加したこと以外は実施例3と同様にして、改質ゴムを調製した。
(実施例5)
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<エポキシ基導入工程及び水酸基導入工程>
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス40gに対して、過酢酸を14g添加するとともに、共溶媒としてのイソプロピルアルコール( IPA)を20ml添加したこと以外は実施例3と同様にして、改質ゴムを調製した。
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス40gに対して、過酢酸を14g添加するとともに、共溶媒としてのイソプロピルアルコール( IPA)を20ml添加したこと以外は実施例3と同様にして、改質ゴムを調製した。
(実施例6)
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<エポキシ基導入工程及び水酸基導入工程>
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス20gに対して、過酢酸を14g添加するとともに、共溶媒としてのジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)を10ml添加したこと以外は実施例3と同様にして、改質ゴムを調製した。
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス20gに対して、過酢酸を14g添加するとともに、共溶媒としてのジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)を10ml添加したこと以外は実施例3と同様にして、改質ゴムを調製した。
(実施例7)
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<脱蛋白工程>
市販の高アンモニア天然ゴムラテックス(固形分30質量%)を用い、実施例1と同様にして脱蛋白質天然ゴムラテックスを調製した。
<エポキシ基導入工程及び水酸基導入工程>
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス40gに対して、過酢酸を14g添加するとともに、共溶媒としてのテトラヒドロフラン( THF)を10ml添加したこと以外は実施例3と同様にして、改質ゴムを調製した。
得られた脱蛋白質天然ゴムラテックス40gに対して、過酢酸を14g添加するとともに、共溶媒としてのテトラヒドロフラン( THF)を10ml添加したこと以外は実施例3と同様にして、改質ゴムを調製した。
(組成分析)
各実施例で調製された改質ゴムの NMRスペクトルから、エポキシ基、水酸基、フラン環の組成比率をそれぞれ算出し、結果をそれぞれ表1に示す。
各実施例で調製された改質ゴムの NMRスペクトルから、エポキシ基、水酸基、フラン環の組成比率をそれぞれ算出し、結果をそれぞれ表1に示す。
表1から、実施例3を除く改質ゴムにはエポキシ基が認められず、水酸基とフラン環のみが存在している。すなわちエポキシ基導入工程及び水酸基導入工程において共溶媒を用いることで、エポキシ基が消失することが明らかである。
(比較例1)
実施例1で調製された脱蛋白質天然ゴムラテックスを真空下にて乾燥させ、比較例1の改質ゴムとした。
実施例1で調製された脱蛋白質天然ゴムラテックスを真空下にて乾燥させ、比較例1の改質ゴムとした。
(比較例2)
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体(「EVAL-G156B」株式会社クラレ製)を比較例2の改質ゴムとした。
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体(「EVAL-G156B」株式会社クラレ製)を比較例2の改質ゴムとした。
<ガス透過性試験>
実施例2、比較例1、比較例2の改質ゴムから、それぞれフィルム試料を作製し、差圧法にてガス透過係数を測定した。測定には東洋精機社製「BT−3」を用い、図4に示すように、1気圧の酸素を封入した1000mlの容器1にフィルム試料2を隔てて 2.5mlの容器3を定圧側として配置し、定圧側の容器内の圧力変化を測定した。なおガス透過係数の単位は、1m2、1日、1気圧において1μmのフィルムを透過した酸素の体積(cm3 )を示している。
実施例2、比較例1、比較例2の改質ゴムから、それぞれフィルム試料を作製し、差圧法にてガス透過係数を測定した。測定には東洋精機社製「BT−3」を用い、図4に示すように、1気圧の酸素を封入した1000mlの容器1にフィルム試料2を隔てて 2.5mlの容器3を定圧側として配置し、定圧側の容器内の圧力変化を測定した。なおガス透過係数の単位は、1m2、1日、1気圧において1μmのフィルムを透過した酸素の体積(cm3 )を示している。
比較例1については、測定開始から約15分程度で定常状態となったので、測定は2時間で終了した。比較例2については、測定開始後58時間で概ね定常状態となったので62時間で測定を終了した。また実施例2については、フィルム試料が脆くて単独の測定が困難であったため、比較例1のフィルム試料を2枚用い、その間に実施例2のフィルムをサンドイッチ状に挟んで測定した。測定開始後18時間で概ね定常状態となったので測定は21時間で終了した。測定はそれぞれ2回行い、その平均値を表2に示す。
表2より、実施例2に係るフィルムは比較例2には及ばないものの、比較例1の脱蛋白質天然ゴムに比べて二桁以上ガス透過係数が小さく、水酸基を導入することによってガス非透過性が向上していることが明らかである。
また実施例2に係る改質ゴムは、図3に示されるように多くのフラン環を有しているので、エポキシ基導入工程の反応を制御してエポキシ基をさらに多く導入することで、水酸基をさらに多く導入することができ、ガス非透過性がさらに向上することが期待される。
本発明の改質ゴムは、ガス非透過性に優れているので、食品包装用フィルム、タイヤのインナーライナー、あるいは気密容器などへ利用することができる。
1、3:容器 2:フィルム試料
Claims (8)
- ポリイソプレンを主成分とするゴム素材から形成され、各イソプレン単位に含まれる二重結合の少なくとも一部が水酸基に転化されてなることを特徴とする改質ゴム。
- 前記ゴム素材に含まれる二重結合の全てが水酸基及びテトラヒドロフラン環に転化されている請求項1に記載の改質ゴム。
- 前記ゴム素材は天然ゴムである請求項1又は請求項2に記載の改質ゴム。
- ポリイソプレンを主成分とするゴム素材の各イソプレン単位に含まれる二重結合をエポキシ基に転化してエポキシ化ゴム素材とするエポキシ基導入工程と、
該エポキシ化ゴム素材に含まれる該エポキシ基を加水分解して水酸基に転化する水酸基導入工程と、からなることを特徴とする改質ゴムの製造方法。 - 前記水酸基導入工程では、前記エポキシ化ゴム素材に含まれる前記エポキシ基の全てが水酸基及びテトラヒドロフラン環に転化される請求項4に記載の改質ゴムの製造方法。
- 前記ゴム素材は天然ゴムであり、前記エポキシ基導入工程の前に該天然ゴム中の蛋白質を除去する脱蛋白工程をさらに行う請求項4又は請求項5に記載の改質ゴムの製造方法。
- 前記エポキシ基導入工程と前記水酸基導入工程は有機過酸の存在下にて行い、かつ前記ゴム素材及び前記エポキシ化ゴム素材のラテックスと該有機過酸との親和性の高い共溶媒の存在下にて行う請求項4〜6のいずれかに記載の改質ゴムの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の改質ゴムからなることを特徴とする食品包装用フィルム。
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