JP2009170881A - 少なくとも1つの高出力ダイオードレーザを含む高出力レーザダイオードアレイ、及びそれを含むレーザ光源 - Google Patents

少なくとも1つの高出力ダイオードレーザを含む高出力レーザダイオードアレイ、及びそれを含むレーザ光源 Download PDF

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Abstract

【課題】高出力レーザダイオードアレイを提供する。
【解決手段】高出力レーザダイオードアレイは、出力レーザビームを放射する複数のレーザ発光体を含む少なくとも1つの高出力レーザダイオード(40a〜40c)であって、速軸方向(y;y’)において上記出力レーザビームをコリメートし、遅軸方向(x;x’)において上記出力レーザビームをコリメート又は合焦する遅軸ビーム整形手段を備える。上記レーザ発光体は、速軸方向、又は速軸及び遅軸方向において、それぞれ等距離間隔だけ互いに変位し、光学手段は、全てのレーザ発光体の遠方場において、概ね100%の光学フィルファクタで、1次元又は2次元において継ぎ目がないように互いに隣接して配置される。
【選択図】図6a

Description

本発明は、包括的には高出力ダイオードレーザに関し、詳細には、多数の発光体を有する少なくとも1つの高出力ダイオードレーザを含み、より好ましくは、多数の発光体を有する複数の高出力ダイオードレーザを含む、高出力レーザダイオードアレイに関する。本発明はさらに、高出力レーザダイオードアレイを製造する方法、及びそのような高出力レーザダイオードアレイの出力を光ファイバに結合する光学装置に関する。
大部分の高出力ダイオードレーザは端面発光半導体であり、1つのファセットからレーザが放射される。1つのダイオードレーザの典型的な寸法は、幅が500ミクロンで、高さが100ミクロンのファセットであり、長さは0.6mm〜3mmである。ダイオードレーザの輝度は、その内部構造によって定められる。pn接合部に平行な(速軸)方向では、放射には回折限界があり、典型的な30°(1/e2の場合、半角)の発散で約1ミクロンの開口から放射が現れ、ダイオードレーザの実装面に対して平行な方向では、数ミクロン〜200ミクロンの範囲の典型的なサイズを有する開口から、7°(1/e2の場合、半角)の典型的な発散で光が現れる。
100W以上の出力電力を有する高出力ダイオードレーザは、多数の端面発光ダイオードレーザ、いわゆるシングルチップを、1つの半導体、いわゆるアレイ内に互いに隣接して配置することによって実現される。そのような事例では、多数のダイオードレーザによって生成される熱を効率的に放散するために、特別な方策が取られなければならない。
端面発光ダイオードレーザの光を小さなスポットに合焦するには、コリメーション及び合焦用の光学素子が必要となる。しかしながら、そのような高出力レーザダイオードのビーム品質は極めて非対称であることに留意されたい。典型的には、速軸では、ビーム品質には回折限界があり、M=1によって特徴付けられるのに対して、遅軸では、100ミクロンの広径の開口の場合のビーム品質はM=24の範囲にある。速軸及び遅軸においてビーム品質が非対称であるという問題は、多数のシングルチップが遅軸方向において互いに隣接して1つの半導体内に配置されている高出力アレイの場合に、はるかに深刻である。速軸においてM=1のビーム品質では、遅軸のビーム品質はM=1.000まで減少することがある。出力レーザビームが極めて非対称であるため、従来技術では、典型的には2つのコリメーティングステップが実行される。典型的には、速軸において大きく発散したビームをコリメートするために第1の微小光学レンズが用いられ、遅軸コリメーションのために第2のコリメーティングレンズが配置され、結果として、ビームは両方の軸においてコリメートされ、その後、1つ又は複数のレンズを用いて、そのビームを小さなスポットに合焦することができる。それでもなお、上記コリメートされた出力レーザビームの対称性は、多くの用途にとって十分ではない。したがって、高出力レーザダイオードが、高いビーム品質、特に高い対称性のレーザビームを出力することができるようにするために、簡単で、コスト効率が良い解決手段を提供することが必要とされている。
光を光ファイバに結合することは、本特許出願の主題の1つの好ましい用途であり、そのためには、ビーム品質は速軸及び遅軸において対称にされなければならない。これまで、ダイオードレーザアレイのビーム整形するために、いくつかの概念が展開されてきた。最新の解決手段は、屈折又は反射光学系を用いて、遅軸の放射をいくつかの断面に切断し、その後、速軸において配列し直している。速軸方向において発散角が大きいため、全ての手法は、レーザダイオードの発光ファセットから極めて短い距離に、速軸コリメーション用のコリメーティングレンズを配置し、すなわち、速軸コリメーションのために、焦点距離が短いコリメーティングレンズを使用する。この手法では通常、多数の微小光学レンズを6つの軸において正確に位置合わせする必要があり、それによって、構成全体が相対的に複雑になり、且つコスト高になる。それでもなお、レンズ又はダイオードアレイ又はビーム整形用の光学部品等の部品において、且つレーザ発光体(複数可)と関連する光学部品(複数可)との位置合わせ、及び光学部品そのものの位置合わせにおいて不可避の許容誤差があるため、ビーム品質は大きな損失を受ける。
上記の種類のレーザダイオードアレイは、たとえば、米国特許第2003/0048819A1号、同第2004/0114648A1号、同第5,715,264号及び同第5,099,488号によって開示されている。
以下では、本特許出願の主題の基礎を形成し、本出願人らの欧州特許第1 830 443 A1号及び米国特許第10,778,806号において開示されている高出力レーザダイオードが、図1a〜図3を参照しながら説明される。図1aに示されるように、当該高出力レーザダイオードは、共通ヒートシンク106と、平面位置合わせ基板110とを備える。レーザダイオード102がサブマウント101上に実装され、サブマウントは共通ヒートシンク106の上側表面上に実装される。図1bに示されるように、中央切欠き部114、左切欠き部115及び右切欠き部116によって形成される切欠きが、位置合わせ基板110内に形成され、上記切欠き部は位置合わせ基板110内にスルーホールとして形成される。図1aに示されるように、サブマウント101上に実装されるレーザダイオード102は、位置合わせ基板110の切欠き部114〜116によって完全に収容される。図1bに示されるように、位置合わせ基板110は、切欠き114〜116の縁部として形成される係止部119を備える。図4a〜図5bを参照しながら以下でさらに詳細に説明されるように、これらの係止部119によって、レーザダイオード101及び/又はサブマウント102を正確に位置合わせすることができるようになる。
図1aに示されるように、出力レーザビームを、以下においてz’(図2aを参照)によって示される光の伝搬方向まで90°の角度だけ偏向させるために、ヒートシンク106の上側表面上にミラー107が一体に設けられる。偏向した光ビームは、個々のレーザダイオード102の前面ファセット付近において位置合わせ基板110内に設けられる右切欠き116を通過する。
図2aに示されるように、ガラスのような透明材料の平面スペーサ基板130が、位置合わせ基板110の上側表面上に結合される。さらに、速軸コリメーティングレンズ133がスペーサ基板130の上側表面上に結合され、オプションでは、そのレンズはアレイとして形成される。このために、速軸コリメーティングレンズ133は平凸レンズとして形成され、その背面はスペーサ基板130の上側表面301上に結合される。スペーサ基板130は、レーザダイオードチップ102の発光ファセットと、下流の速軸コリメーティングレンズ133との間の距離を正確に画定するために用いられる。レンズアレイの適切な向き及び位置合わせが得られたなら、レンズアレイ133をスペーサ基板130に結合することによって、この向き及び位置合わせが固定される。上記のような、この高出力レーザダイオードは、複数の速軸コリメートされた出力レーザビームを放射し、それらのビームは、隣接する出力レーザビームが等距離間隔を成すようにして同じ方向(z’)に伝搬し、一本の線に沿って位置合わせされる。
その装置は、6つの軸においてヒートシンク上にダイオードレーザを極めて正確に配置することを基にしており、それは実際には極めて困難である。FACレンズの個々の位置合わせに基づいて、4つの軸の場合に、且つコリメートされたビームのビームサイズの適切な設計によって、ダイオードレーザのための組立許容誤差を大幅に緩和することができる。
図3aは、本出願人(ら)の欧州特許第1 830 443 A1号及び米国特許第10,778,806号に開示されているような、光学フィルファクタがそれぞれ50%である、図2a及び図2bによる高出力レーザダイオードの2つの速軸コリメートされた出力レーザビームを重ね合わせた後に、遅軸コリメーションを実施する装置を示す。上記で略述されたように構成される2つの高出力レーザダイオードモジュールが、互いに垂直に配置される。そのモジュールのうちの左側にある出力レーザビームは、概ね影響を受けることなく、ビーム重ね合わせプリズム136を通過するのに対して、そのモジュールのうちの右側にある出力レーザビームは、プリズム136の傾いた表面によって反射され、2つの出力レーザビームが同一直線上にある光学軸で重ね合わせられるようになる。プリズム136の下流には、遅軸コリメーション用の共通コリメーティングレンズ137が設けられ、速軸及び遅軸コリメートされた出力レーザビーム138が生成される。したがって、2列のレーザダイオード発光体がインターリーブされ、出力レーザビームが重ね合わせられる。このために、約50%のフィルレートを用いて、長い線の形を成すが、コリメートされたビームの遅軸及び速軸の発散が同じであるレーザビームを出力することができるようになる。図3aに示されるような2つの出力レーザビームの重ね合わせは、光学インターリーバの誤差、及び個々の列の位置合わせ許容誤差を通じて、さらなる光学損を引き起こす。
米国特許第6,771,686B1号は、いくつかのレーザダイオードバーと、速軸方向においてセグメント化される関連する速軸コリメータと、遅軸コリメータとを備える高出力レーザダイオードアレイを開示する。ダイオードレーザバーの平面は、ビームピッチの半分だけ互いにオフセットされる。遅軸コリメータと合焦光学系との間に光学素子又は結合素子が位置付けられ、発光体のビームは、100%のフィルファクタが得られるように互いにインターリーブされる。この構成は、出力レーザビームをインターリーブするために光学インターリーバを必要とする。
米国特許第2005/0069260A1号は、インターリーブされた光学板を用いて、複数のレーザビームを合成する装置を開示する。
本発明の目的は、簡単な構成のダイオードレーザを提供することであり、各出力レーザビームが、1組の専用レンズ又はレンズセクションによって、速軸及び遅軸において個別にコリメートされ、光学インターリーバを用いることなく、100%又は概ね100%の光学フィルファクタで1次元又は2次元において継ぎ目がないように互いに隣り合って、すなわち互いに隣接して配置される複数の速軸及び遅軸コリメートされたか又は合焦された出力レーザビームから成る出力レーザビームプロファイルが形成される。本発明のさらなる関連する目的は、ダイオードレーザの放射を配列し直すためのあらゆるビーム整形光学系を用いることなく、反射光学系又は屈折光学系だけによってファイバ端にダイオードレーザの全てのファセットを結像することによって、全てのダイオードレーザが光ファイバ内に実効的に結合されるようにダイオードレーザを配列することである。本発明のさらなる関連する目的は、上記の構成の高出力レーザダイオードの結像特性及び光学損特性をさらに向上させること、そして同時に、厳しくない許容誤差において出力レーザビームの速軸及び遅軸コリメーションための簡単で、コスト効率の良い構成を可能にすることである。本発明のさらなる関連する態様によれば、そのような高出力レーザダイオードを製造するための対応する方法が提供される。
上記の目的及びさらなる目的は、添付の特許請求の範囲において述べられるような主題によって達成される。
本発明による高出力レーザダイオードアレイであって、出力レーザビームを放射する複数のレーザ発光体を含む少なくとも1つの高出力レーザダイオードであって、発光体はそれぞれ、出力レーザビームの伝搬方向に対して垂直な方向において、速軸及び遅軸を規定する、少なくとも1つの高出力レーザダイオードと、速軸方向において出力レーザビームをコリメートし、速軸コリメートされた出力レーザビームを与える速軸コリメーティング手段と、遅軸方向において出力レーザビームをコリメート又は合焦する遅軸ビーム整形手段であって、少なくとも1つの高出力レーザダイオードの外部に配置される、遅軸ビーム整形手段とを備え、レーザ発光体は、速軸方向において、又は速軸及び遅軸方向において、それぞれ等距離間隔だけ互いに変位し、光学手段は、全てのレーザ発光体の遠方場において、100%又は概ね100%の光学フィルファクタで、1次元又は2次元において継ぎ目がないように互いに隣接して、すなわち隣り合って配置される、複数の速軸及び遅軸コリメートされたか又は合焦された出力レーザビームから成る出力レーザビームプロファイルを形成するために設けられる。本発明によれば、遅軸ビーム整形手段は、光学手段によって構成されるか、又は形成される。
したがって、本発明によれば、継ぎ目がないように互いに隣接して速軸及び遅軸コリメートされた出力レーザビームを配置するように、出力レーザビームを結像するための役割を果たす同じ光学手段が、遅軸方向において上記出力レーザビームをコリメート又は合焦するための遅軸ビーム整形手段としての役割も果たす。本発明によれば、個々のレーザ発光体によって放射される出力レーザビームは、以下に述べられるような高出力レーザダイオードの特定の構成に起因して、既に互いに極めて近接して伝搬する。これは、個々のレーザ発光体によって放射される出力レーザビーム間に非常に狭い間隙しか存在しないこと、又は高出力レーザダイオードアレイのビームプロファイル全体が、100%又は概ね100%の光学フィルファクタで1次元又は2次元において継ぎ目がないように互いに隣り合って、すなわち隣接して配置される、上記複数の速軸及び遅軸コリメートされたか又は合焦された出力レーザビームから成ることを意味する。したがって、その光学手段は、従来技術の場合のように個々の出力レーザビームを配列し直すのではなく、100%のフィルファクタを達成するために、隣接する出力レーザビーム間に間隙があるにしても、その間隙を概ね0まで低減するだけである。本発明のいくつかの実施の形態によれば、その光学手段はまた、速軸コリメートされた出力レーザビームを、遅軸方向において合焦又はコリメートする。しかしながら、他の実施の形態によれば、遅軸コリメーティング手段も、その光学手段の下流に配置されることがある。
一実施の形態によれば、パラボラ中空ミラー又は屈折光学レンズのアレイのような、適切な光学手段と組み合わせて、出力レーザビームが、1次元又は2次元において継ぎ目がないように互いに隣接して配置されるように、すなわち、隣り合った出力レーザビームが、その間で光強度が低下するか又は消失するような大きな間隙を生じることなく、互いに概ね隣接するように、レーザ発光体はチェス盤のようにして互いに変位する。このようにして、100%又は概ね100%の出力レーザビームプロファイルの光学フィルファクタが達成される。より具体的には、出力レーザビームプロファイルは、速軸方向においてコリメート又は合焦され、且つ遅軸方向においてコリメート又は合焦されて、チェス盤のように配置される複数の出力レーザビームから成ることが好ましい。隣り合う列の出力レーザビームは、ビームピッチの半分だけ変位することがあり、それによって、円形、楕円形、線形、長方形等のビームプロファイルのような、任意の形状の出力レーザビームプロファイルを効率的に生成することができるようになる。
一実施の形態によれば、各高出力レーザダイオードのレーザ発光体は、速軸方向において、好ましくは単一の列に沿って、互いに等距離間隔で配置される。さらに、隣り合う高出力レーザダイオードは、遅軸方向において、等距離間隔で互いにオフセットされる。このようにして、出力レーザビームを配列し直すか又は少なくとも偏向させるために用いられる従来技術による、付加的なインターリービング手段を用いることなく、出力レーザビームの上記のチェス盤のような構成が達成される。
一実施の形態によれば、速軸コリメーティング手段は、屈折レンズ、回折光学素子又は反射鏡のような、速軸コリメーティング光学素子を収容又は支持する平面基板手段を用いて、個々の高出力レーザダイオードに組み込まれる。したがって、安定した、且つ正確な速軸コリメーションが達成される。
別の好ましい実施の形態によれば、上記遅軸ビーム整形手段のそれぞれは、遅軸方向において、関連する出力レーザビームをコリメート又は合焦するのに適している形状の反射性パラボラ中空ミラーである。したがって、高出力レーザダイオードアレイは、速軸及び遅軸の両方においてコリメートされた、複数の出力レーザビームを与える。
別の好ましい実施の形態によれば、上記基板、好ましくは銅本体の微細機械加工又はダイヤモンド加工によって、又はガラスのプレス成形によって、上記パラボラ中空ミラーのうちのいくつか又は全てが共通基板内に形成され、それによって、遅軸コリメーティング手段を効率的に実装し、冷却することができるようにする。
別の実施の形態によれば、共通基板は、好ましくは共通基板の中に流体を流すことによって能動的に冷却され、上記パラボラ中空ミラーによって引き起こされる反射損及び/又は吸収損に起因して、共通基板が過熱されるのを避ける。
別の好ましい実施の形態によれば、遅軸ビーム整形手段は、遅軸方向において上記出力レーザビームをコリメートするように構成され、上記高出力レーザダイオードアレイが、速軸方向及び遅軸方向においてそれぞれ、所定の幅の速軸及び遅軸コリメートされた出力レーザビームを与えるようにし、上記レーザ発光体は、速軸方向において上記所定の幅の分数1/n、且つ/又は遅軸方向において上記所定の幅の分数1/nだけ、速軸方向及び/又は遅軸方向において互いに変位し(nは1以上の整数であり、好ましくは2に等しい)、上記速軸及び遅軸コリメートされた出力レーザビームは、継ぎ目なくチェス盤のようにインターリーブされる。
別の実施の形態によれば、レーザ発光体は、少なくとも2つの列に沿って、それぞれの列の2つの隣り合ったレーザ発光体が等距離間隔を成すように位置合わせされ、高出力レーザダイオードの隣り合った列は、速軸方向において、上記間隔の分数1/nだけ交互にシフトされる(nは1以上の整数であり、好ましくは2に等しい)。この光学的な構成によって、チェス盤のように継ぎ目なくインターリーブされた複数の出力レーザビームから成る出力レーザビームプロファイルを得るために、出力レーザビームを効率的にインターリーブすることができるようになる。
別の実施の形態によれば、上記高出力レーザダイオードのそれぞれは、互いから離間して配置される複数の速軸及び遅軸コリメートされた出力レーザビームを放射し、高出力レーザダイオードの2つの隣り合った列の出力速軸及び遅軸コリメートされたレーザビームは、櫛状に互いに配列される。
従来技術による一実施形態のヒートシンク上への位置合わせ基板及びレーザダイオードサブマウントの実装を示す側面図である。 従来技術による一実施形態のヒートシンク上への位置合わせ基板及びレーザダイオードサブマウントの実装を示す平面図である。 スペーサ基板の上側表面上に実装される速軸コリメーティングレンズを、出力レーザビームと共に示す、図1a及び図1bによる実施形態の側面図である。 スペーサ基板の上側表面上に実装される速軸コリメーティングレンズを、出力レーザビームと共に示す、図1a及び図1bによる実施形態の平面図である(ただし、100%光学フィルファクタで図示される)。 図2a及び図2bを参照しながら説明されたような構成の従来技術による、2つの単一レーザダイオードによって出力される2つのレーザビームの重ね合わせを示す図である。 本発明の一実施形態による、共通のヒートシンク上にレーザダイオードサブマウントを実装するための位置合わせ基板を示す側面図である。 本発明の一実施形態による、共通のヒートシンク上にレーザダイオードサブマウントを実装するための位置合わせ基板を示す平面図である。 速軸コリメーティングレンズが平面基板内に支持されている、図4a及び図4bによる実施形態を、出力レーザビームと共に示す側面図である。 速軸コリメーティングレンズが平面基板内に支持されている、図4a及び図4bによる実施形態を、出力レーザビームと共に示す平面図である。 高出力レーザダイオードの複数のレーザダイオードの位置合わせ方向に沿ってこの高出力レーザダイオードの端面を見た、図4a及び図4bによる実施形態の平面図である。 速軸光コリメーティングレンズを支持するための一体の平面基板を有する、図5cに示される実施形態の変更形態を示す図である。 下側及び上側平面基板から成る平坦基板を有する、図5cに示される実施形態の変更形態を示す図である。 速軸方向においてコリメートされた関連する出力レーザビームの位置を調整するための横方向ビームシフトを得るために、速軸コリメーティングレンズが傾けられる、図5cに示される実施形態の変更形態を示す図である。 複数の発光体が上側表面上に配置され、単一の列又は線に沿って位置合わせされている、本発明による高出力レーザダイオードの集積ビーム偏向ミラーを有する共通ビートシンクを上から見た斜視図である。 速軸コリメーションのための複数の円柱形の非球面レンズを保持するために、平坦基板が共通ヒートシンクの表面上に実装されている、図5gによる高出力レーザダイオードを示す図である。 2つの軸において所定のピッチで互いに平行に配置される、3つの線形高出力レーザダイオードの遅軸コリメーションのための本発明の第1の実施形態による高出力レーザダイオードアレイを示す図である。 図6aに示される第1の実施形態を用いて得られるビームプロファイルを示す図である。 1つの軸だけにおいて所定のピッチで互いに平行に配置される、3つの線形高出力レーザダイオードの遅軸コリメーションのための本発明の第2の実施形態による高出力レーザダイオードアレイを示す図である。 1つの軸において所定のピッチで互いに平行に配置される、3つの線形高出力レーザダイオードの遅軸コリメーションのための本発明の第3の実施形態による高出力レーザダイオードアレイを示す図である。 図6dに示される第3の実施形態を用いて得られるビームプロファイルを示す図である。 図6aに示される第1の実施形態の高出力レーザダイオードを、共通ヒートシンク内に組み込まれる遅軸コリメータと共に示す平面図である。 図6fに示される光学装置の斜視図である。 図6gに示される光学装置と共に用いられる遅軸コリメータアレイを示す図である。 本発明による高出力レーザダイオードアレイの出力レーザビームが光ファイバの入射ファセット上に合焦される、本発明によるレーザ光源を示す図である。 レーザ発光体がそれぞれ階段状の基板上に配置され、その反対側にモノリシック遅軸ビーム整形手段が配置されている、本発明の別の実施形態を示す図である。 中空ミラーが、遅軸及び速軸の両方において出力レーザビームを合焦している、図6aに示される高出力レーザダイオードアレイの変更形態を示す図である。
以下では、本発明は、例示するために、添付の図面を参照しながら述べられ、それによって、さらなる特徴、利点、及び本発明によって解決されるべき問題が当業者には明らかになるであろう。
図面全体を通して、類似の参照符号は、全く同じか若しくは概ね同等である素子(構成要素)又は素子(構成要素)群に関連する。
図4a〜図5cを参照すると、本発明による高出力レーザダイオードアレイにおいて用いるための高出力レーザダイオードの構成、及びそのような高出力レーザダイオードを製造するための最も重要なステップが、さらに詳細に示される。
図4a及び図4bに示されるように、ダイオードレーザチップ2はサブマウント1の上側表面上に実装され、サブマウント1は互いに垂直で真直ぐな辺を有する概ね長方形の形状を有する。サブマウント1は、レーザダイオードチップを支持するのに適している任意の材料から形成することができる。ダイオードレーザチップ2によって生成される熱を、サブマウント1を支持するキャリア6に拡散させるために、サブマウントは高い熱伝導率の材料から成ることが好ましい。さらに、サブマウント1の材料は、ダイオードレーザチップの半導体材料と同じ熱膨張係数を有することが好ましい。本発明を制限するものと見なされるべきではないが、サブマウント1に適した材料はAlN、CuWo又はダイヤモンドである。本発明に従って用いるためのサブマウント1の典型的な寸法は、4mm×4mmである。
サブマウント1の表面上には、従来どおりに、ダイオードレーザチップ2と接触するためのボンドパッドが設けられる。より具体的には、ダイオードレーザチップ2のnドープ層と接触するためのボンドパッド3、及びダイオードレーザチップ2のpドープ層と接触するためのボンドパッド4が設けられる。サブマウント1が導電性である場合には、上記pボンドパッドは設けられない。ダイオードレーザチップ2に電力を供給するために、ボンディングワイヤ5が、パッド3とレーザダイオードチップ2との間の間隙にわたって延在する。パッド3、4及びダイオードレーザチップ2はいずれも、サブマウント1の上側表面からわずかに突出することは当業者には明らかであろう。
図4aに示されるように、ダイオードレーザチップ2は、コリメートされていない出力レーザビーム30の伝搬方向(z)に対して垂直な速軸(y)と、速軸及びビーム伝搬方向に対して垂直な遅軸(x)とを規定する。速軸yは、ダイオードレーザチップ2のpn接合部によって画定される平面に対して平行である。図4bに示されるように、ダイオードレーザチップ2は、サブマウント1の上側表面上に明確に規定された向きに実装される。より具体的には、ダイオードレーザチップ2の前面ファセットは、サブマウント1の先端と概ね同一平面を成し、且つ平行であり、ダイオードレーザチップ2の長手方向の側面は、サブマウント1の縁部と概ね平行である。別の方法として、前面ファセットは、サブマウント1の先端からわずかに突出することもできるか、又はサブマウント1の先端から、わずかな距離に且つ平行に配置することができる。ダイオードレーザチップ2をサブマウント1の縁部に対してそのように位置合わせすることができるようにするために、サブマウント1の表面上に、以下で述べられるような係止部を設けることができ、ダイオードレーザチップの1つ又は複数の縁部が、関連する係止部と当接することによって、ダイオードレーザチップ2の適切な位置合わせが得られるようになる。したがって、図4a及び図4bによる実施形態では、出力レーザビーム30が、サブマウント1の先端に概ね垂直であり、且つサブマウント1の上側表面と概ね平行であるz方向において放射される。ダイオードレーザチップ2は、サブマウント1上に任意の他の適切な向きにおいて実装することもできることは当業者には明らかになるであろう。全てのダイオードレーザチップの活性層は共通平面にあることは当業者には明らかになるであろう。
図4aに示されるように、平坦な、すなわち平面平行スペーサ基板10が、共通ヒートシンク6の上側表面上に実装される。以下でさらに詳細に説明されるように、本発明によれば、スペーサ10は、所望の速軸コリメーションを得るために、ダイオードレーザチップの出力レーザビームの速軸コリメーションのために用いられる速軸コリメーティングレンズを正確な向き及び位置に、支持又は収容するための役割を果たす。FACレンズの個々の位置合わせに基づいて、ダイオードレーザのための組立許容誤差は、3つ全ての並進軸において10分の数マイクロメートルまで、1つの回転(遅軸ベクトルを中心にした)軸の場合に数度まで大幅に緩和される。以下でさらに詳細に述べられるように、速軸コリメーティングレンズは高出力レーザダイオードに組み込まれる。
スペーサ10は概ね長方形の形状を有し、実装されるレーザダイオードサブマウントの全数に応じて複数の切欠き14及び16を有する。図4bによれば、切欠き14及び16は概ね長方形の窓を形成する。図5a及び図5bを参照しながらさらに詳細に説明されるように、切欠き16は、出力レーザビームを、スペーサ基板を通じて、下流の速軸コリメーティングレンズに向かって送るための窓としての役割を果たすのに対して、切欠き14は、サブマウント1に実装されるダイオードレーザ2に、そして個々のボンディングバッド3、4と共にボンディングワイヤ5に近づくための役割を果たす(図4bを参照)。切欠き14及び16は同じ幅を有することができ、サブマウントに実装され、結合されるダイオードレーザに部分的にしか近づけないようにする。さらに、切欠き16は下側凹部11を備えることがあり、下側凹部11は、速軸コリメーティングレンズが下側凹部11の上側表面上に載置され、切欠き16の側壁22によって所定の位置に概ね保持されるように形成される。レーザダイオードチップ及び/又はサブマウントを位置合わせすることができるようにするために、任意の他の適切な形状の切欠きを設けることができることは当業者には明らかになるであろう。
その内容全体が参照により本明細書に援用される、本出願人らの関連出願の欧州特許出願第1 830 443 A1号及び米国特許出願第10,778,806号にさらに詳細に記述されるように、レーザサブマウント及び/又はレーザダイオードチップを正確に配置するために、以下のようにして、精密工具又は基板10を用いることができる。中央切欠き14が、基板10の右側の長手方向のウエブから突出する、中央の長方形の突出部によって制限される。突出部の上側は、以下でさらに詳細に説明されるように、ダイオードレーザチップのための位置合わせ係止部としての役割を果たす。突出部の右側に、小さな階段部が設けられ、それによって、以下でさらに詳細に説明されるように、位置合わせ係止部に垂直な第2の位置合わせ係止部を形成することができる。横方向における階段部の高さは、遅軸方向におけるレーザダイオードチップ2の幅よりも小さく、たとえば、遅軸方向におけるレーザダイオードチップ2の全幅の約10%〜30%に相当する。さらに、基板10の厚みは、pn接合部の平面に対して垂直な方向におけるレーザダイオードチップの高さよりもはるかに大きくすることができる。基板10の厚みは、サブマウント1の上側表面上のボンドパッド3、4(図4bを参照)の高さよりもはるかに大きいことが好ましい。こうして、サブマウントがスペーサ及び位置合わせ基板10に実装されるときに、レーザダイオードチップ2及びボンドパッド3、4の両方が、ボンディングワイヤ5と共に、スペーサ及び位置合わせ基板10の下側表面内に形成される切欠き14、16によって概ね完全に収容されるのを確実にすることができる。
スペーサは、所定の向きを有する真直ぐな位置合わせ係止部を正確に形成することができるようにするのに適している任意の材料から形成することができることは当業者には明らかになるであろう。本発明の好ましい実施形態によれば、スペーサは熱機械応力及び変形を最小限に抑えるために、ヒートシンク6の材料と同じ材料から、詳細には銅から形成されることになり、その場合、切欠き及び位置合わせ係止部は、従来の機械加工技術を用いて、容易に且つ正確に形成することができる。しかしながら、本発明は、スペーサのための基本的な材料として銅を使用することには限定されない。本発明を制限はしないが、他の適切な材料には、ガラス及びセラミックがある。これらの材料のうちのいくつかは、高い精度及び向きで、切欠き及び/又は位置合わせ係止部を形成する機械加工技術にも適している。切欠き及び/又は位置合わせ係止部はまた、サブミクロンの精度であっても、レーザ切断、微細機械加工等の他の加工技術を用いて製造することができることは当業者には明らかであろう。スペーサ及び位置合わせ基板は、出力レーザ光に対して光学的に透過性である必要はないことに留意されたい。
図4a及び図4bは、本発明の第1の実施形態よれば、レーザダイオードサブマウント1がヒートシンク6にいかに実装されるかを示す。図4a及び図4bに示されるように、サブマウント1、ボンドパッド3、4、及びレーザダイオードチップ1は、スペーサ10内に形成される切欠き14内に収容される。上記の係止部に起因して、レーザダイオードチップ2の長手方向の側面は、遅軸方向xにおいて基板10に対してレーザダイオードチップ2の角方向を正確に調整するために、突出部上の位置合わせ係止部に対して概ね平行であるか、又は位置合わせ係止部に当接する。さらに、図4bによれば、レーザダイオードチップ2の端面発光ファセットは、基板10に対するレーザダイオードチップ2の長手方向の位置、及び基板10に対するレーザダイオードチップ2の角方向(y方向;図4aを参照)の両方を正確に調整するために用いられる階段部の位置合わせ係止部と概ね平行である。サブマウント1は左側の長手方向のウエブにも接触することができることに留意されたい。図4bに示されるように、サブマウント1内に張力が蓄積するのを防ぐために、サブマウント1の左端の一部は、基板10の左側長手方向ウエブ11と接触していない。図4aに示されるように、スペーサ10がヒートシンク6に実装されるときに、ボンドパッド3、レーザダイオードチップ2及びボンディングワイヤ5は、スペーサ10内に形成される切欠きによって完全に収容される。別の実施形態によれば、レーザダイオードチップは、上記のように、サブマウントに対して位置合わせされる。サブマウント及び/又は平面スペーサ基板及び/又は平面位置合わせ基板上に設けられる位置合わせ機構によれば、それに合わせて正確に位置合わせすることができるようになることは当業者には明らかになるであろう。
図4aに示されるように、90°の角度だけ上方に、すなわちヒートシンク6の上側表面に対して垂直に出力レーザビームを偏向させるために、ヒートシンク6の上側表面上に反射ミラー7が配置される。ミラー7は、ヒートシンク6の上側表面に対して45°だけ傾けられる。そのように傾けられた部分は、たとえば、ミラー7の表面をダイヤモンド加工することによって製造することができ、反射コーティング、たとえば金でコーティングされることがある。ミラー7は平面ミラーであることが好ましい。しかしながら、代替的な実施形態によれば、ミラー7は、出力レーザビームのビームプロファイルを整形するための表面形状を有することもでき、たとえば、ミラー7は、凹形又は凸形の中空ミラーとして形成されることがある。
動作時に、コリメートされていない出力レーザビーム30は、ミラー7によって、伝搬方向zから、伝搬方向z’まで90°だけ偏向し、それによって、スペーサ10の切欠き部16を通過する(図4bを参照)。図4aによる概略図には明示されないが、伝搬方向z’におけるスペーサ10の厚みは、レーザダイオードチップ2の横方向寸法よりもはるかに大きい。本発明によれば、スペーサ及び位置合わせ板10の厚みは、ミリメートル(mm)台であり、適切な厚みは1mm〜5mmの範囲内にあり、2mm〜4mmの範囲内にあることがさらに好ましい。したがって、コリメートされていない出力レーザビーム30の速軸方向y、y’における光円錐は、以下で説明されるように、速軸コリメーティングレンズの入射窓に達するときに、大きく開いている。
図4bを参照しながら上記で説明された切欠き14及び16は、スペーサ10の全高を通じて(z’方向において)延在するが、図5aから判断することができるように、基板10の上側表面の切欠き16の中に凹部を形成することができる。切欠き14及び16の幅は同じ幅から成ることもある。図4bの平面図において示されるように、基板10の平面において、この凹部は、基板10の内側周囲11/22を画定する垂直な側壁によって制限される。より具体的には、内側周囲22は縮小した幅の領域を画定し、レーザダイオードチップのコリメートされていない出力ビームが、妨げられることなく凹部まで伝搬することができるようにし、一方、切欠き16内に挿入される速軸コリメーティングレンズは突出部に載置され、ダイオードレーザまでの具体的な距離を規定し、切欠き16の凹部又は側壁22のいずれに固定されることができる。
中央の切欠き14は、熱管理及び熱放散をさらに向上させるために、スペーサ10の全厚を通じて延在しなくてもよいが、組み立て中に、たとえば、サブマウント1及び/又はレーザダイオードチップ2のような下にある構成要素を実装し、且つ/又はこれらの構成要素の位置を調整するために、上から、これらの構成要素まで、妨げられることなく近づくことができるようにするために切り込むことができる。
図4bに示されるように、切欠き16の2つの向かい合った側壁22は、切欠き16によって形成される周囲から突出する長方形の下側表面を形成することができる。以下で示されるように、これらの長方形の下側表面は、速軸コリメーティングレンズの平坦な背面を支持するための役割を果たすことができる。
図5aに示されるように、速軸コリメーティングレンズ32は、2つの向かい合った内側突出部22によって形成される凹部の長方形の下側表面によって支持されることがある。速軸コリメーティングレンズは、この例では別個の非球面レンズ32であるが、関連する実施形態によれば、平坦な背面を有するレンズアレイとして形成することができる。速軸コリメーティングレンズ32は、凹部の長方形の下側表面上で、又は2つの向かい合った側壁22において、その側端においてのみ支持されることがあるのに対して、出力レーザビームは、その中央領域においてのみ、レンズ32を通過する。それゆえ、出力レーザビームのビームプロファイル及び均質性は、凹部の下側表面又は側壁22のいずれかにおいてレンズ32をスペーサ10に結合しても影響を及ぼされない。
図4a及び図4bを参照しながら上記で説明されてきたものに対する代替形態として、基板10は、速軸光コリメーティングレンズ32を適切な態様で支持するためにのみ用いられることもあり、すなわち、レーザダイオードサブマウント及び/又はレーザダイオードチップそのものを正確に位置決めするために用いられないことがある。本発明のそのような好ましい実施形態によれば、レーザダイオードサブマウント及び/又はレーザダイオードチップは、レーザダイオードサブマウント及び/又はレーザダイオードチップを厳密に位置決めするためのテンプレート又はスクリーンのような位置決めデバイスを用いて、共通ヒートシンク6の上側表面上に厳密に位置決めされる。その後、位置決めデバイスによって位置決めされている間に、レーザダイオードサブマウント及び/又はレーザダイオードチップは、シングルリフロー工程等において、共通ヒートシンク上に結合又ははんだ付けされる。各チップを個々に位置合わせし、はんだ付けすることも可能である。位置決めデバイスが除去された後に、共通ヒートシンク6上に平面基板10が実装されるが、極めて正確に位置決めされる必要はない。その後、速軸光コリメーティングレンズ32が平面基板上に実装される。この目的のために、全ての速軸コリメーティングレンズ32を少なくとも部分的に収容するのに適している単一の長方形の凹部、又はそれぞれが単一の速軸コリメーティングレンズ32を少なくとも部分的に収容するのに適している複数の凹部が、基板10の上側表面内に形成される。代替形態として、凹部(複数可)は、基板10内に適切な形状のスルーホールとして形成されてもよい。
基板10に速軸コリメーティングレンズ32を実装するために、レンズ32は、上から、オプションで凹部を有する切欠き16の中に挿入され、その後、適切なビーム品質を確保するように調整される。個々のダイオードレーザに対する5軸における正確な位置合わせを通じて、ダイオードレーザ毎に個別に、速軸及び光学軸の方向におけるダイオードレーザの変位が補正される。遅軸ベクトルを中心にした角度の位置合わせ不良は、サブマウント2の実装面に対して平行な平面における速軸レンズの個々のシフトによって補正される。遅軸におけるダイオードレーザの並進の位置合わせ不良は、回転した速軸方向を中心にして速軸レンズ32を傾けることによって補正される。速軸レンズは、1つの高出力ダイオードレーザのビーム34が速軸方向において全てコリメートされ、その主軸31が速軸及び遅軸方向において全て互いに平行であるように位置合わせされる。
こうして、基板10は、(a)レーザダイオードチップの発光ファセットと、速軸コリメーティングレンズ32の入射窓との間の距離を等しくするために、そして(b)全てのダイオードレーザからの放射の向きを等しくするために、速軸レンズが正確に調整されるように、速軸レンズを支持するための役割を果たす。基板10は、たとえば、周囲条件に対して速軸コリメートされたダイオードレーザを封止するために、低反射性窓のような、付加的な光学素子を基板に取り付けることができるように設計される。
速軸コリメーティングレンズ32は、たとえば、透明なガラス基板若しくは樹脂をプレス成形又は微細機械加工することによって、又は任意の他の適切な方法によって形成される。それらのレンズは、反射性の速軸コリメーション光学素子を形成するために、銅内にダイヤモンド加工することもできるか、又は適切な材料内に任意の他の方法で加工することもできる。コリメーティングレンズ32は、たとえば、接着、融着、はんだ付け又はレーザ溶接を用いて、凹部の底面に、又は切欠きの側壁に結合される。
本発明の好ましい実施形態によれば、速軸コリメーティングレンズは、基板10内の切欠き16の内側側壁22にのみ結合される。結合するために、レンズ32の側壁と、切欠き16の内側側壁22との間の横方向の間隙18(図5cを参照)に接着剤、好ましくはUV硬化接着剤が満たされる。切欠き16の中でレンズ32の位置及び/又は向きを適切に調整した後に、たとえば、UV照射によって接着剤を硬化させる。本発明人らの膨大な実験によれば、驚くことに、硬化中に切欠き内のレンズ32の位置及び向きが受ける影響は、無視することができる程度であることが明らかになった。言い換えると、基板10の切欠き16の中に少なくとも部分的に収容されるレンズ32の位置及び/又は向きは、高出力レーザダイオードの光学的な品質を著しく低下させるほどの影響は受けない。図5aから判断することができるように、そのような高出力レーザダイオードによって、速軸方向y’において等距離間隔で複数の速軸コリメートされた光ビーム34が放射され、全ての速軸コリメートされた光ビーム34は、真直ぐな線又は列に沿って位置合わせされる。
ヒートシンク6は、ダイオードレーザが実装されている側とは反対側から、又はヒートシンク内に組み込まれる冷却水路を通じて冷却される。こうして、ダイオードレーザ及び少なくとも速軸コリメーションレンズを、不都合な周囲条件に対して封止することができる。出力ビーム品質へのあらゆる熱的な影響を避けるために、基板10は、銅のような、共通ヒートシンク6と同じ材料から形成されることが好ましい。
図5bは、図5aの実施形態の平面図を示す。速軸方向y’における高出力レーザダイオードの出力ビーム30の寸法及びその共通ヒートシンク6の寸法は、両方向において出力レーザビームの発散が異なることに起因して、遅軸方向x’内よりもはるかに大きいことが明らかである。図5bから明らかなように、速軸方向y’における速軸コリメートされた出力レーザビーム34の光円錐は、速軸コリメーティングレンズ32の入射窓を完全には満たさない。言い換えると、レンズ32から出るときに、速軸方向y’におけるコリメートされた出力レーザビーム34のフィルレートは概ね50%である。このフィルレートは、ビーム伝搬方向z’における速軸レンズ32の設計及び位置によって概ね与えられ、たとえば、10%〜概ね100%の範囲内で容易に調整することができることは当業者には明らかになるであろう。高いフィルレートは、コリメートされたビーム34におけるビーム調整及びビーム歪みに関して問題を引き起こすことがあるため、本発明の好ましい実施形態によれば、フィルレートは約50%又は33%に、すなわち分数1/nに調整される。ここで、nは整数である。以下で説明されるように、ダイオードレーザを適切に配置することによって、いかなるビーム偏向光学系も追加することなく、100%のフィルレートを達成することができる。
上記のように、好ましい実施形態によれば、本発明による高出力レーザダイオードは以下の態様で実装される。最初のステップでは、その上にボンドパッド3、4及びレーザダイオードチップ2を実装されているレーザサブマウント1が、共通ヒートシンク6の上側表面上に配置される。サブマウント1に対するレーザダイオードチップ2の位置及び角方向をさらに変更することができるように、レーザダイオードチップ2はまだ、サブマウント1の上側表面に固着されなくてもよい。次のステップとして、たとえば、中間クランピング又は他の中間の固定技法を用いて、スペーサ及び位置合わせ基板10が、共通ヒートシンク6の上側表面上の所定の位置に配置される。その後、レーザダイオードチップ2及び/又はサブマウント1が、スペーサ及び位置合わせ基板10の少なくとも1つの係止部に当接することによって位置合わせされる。その後、単一のステップにおいて、たとえば、はんだ付けによって、サブマウント1及び/又はレーザダイオードチップ2並びにスペーサ及び位置合わせ基板10が共通ヒートシンク6に固定される。このステップでは、ヒートシンク及び/又はレーザダイオードチップの予め位置合わせされた位置が変化しないようにするために、注意を払わなければならない。このステップの後に、その長手方向の側端が突出部17の上側にある係止部18と平行になるように、且つ前面ファセットが階段部19によって設けられる係止部と平行になり、それによってレーザダイオードチップ2が速軸方向及び遅軸方向において位置合わせされるように、レーザダイオードチップ2がサブマウント1上に配置される。
代替的には、レーザダイオードチップ2をサブマウント1に結合し、且つ/又はレーザダイオードチップ2が取り付けられているサブマウント1を共通ヒートシンク6に結合するリフローはんだ付け工程中に、共通ヒートシンク6に対してレーザダイオードチップ2及びサブマウント1を位置決めするために、スペーサ及び位置合わせ基板10の代わりに、精密工具が用いられる。その工具は、サブマウント及び/又はチップを遅軸(x)及び速軸(z)方向において位置合わせ係止部に対して強く押すために、ばねのような手段を組み込むことができ、それによって、レーザダイオードチップの位置、及びy方向において平行なベクトルとの1つの角度を定めることができる。これらの構成要素と、x及びy方向に対して平行なベクトルとの回転方向の位置合わせ不良を最小限に抑えるために、サブマウント1及び/又はレーザダイオードチップ2の上側表面上に、さらなる力をかけることもできる。z方向に対して平行なベクトルとの回転方向の位置合わせ不良は、速軸コリメーションレンズ32の正確な位置合わせによって補償することができないため、さらにビーム整形する上で致命的である。結合/はんだ付け後に、精密工具は除去され、はんだ付け又は接着等による個別の結合工程において、スペーサ基板10が共通ヒートシンク6に取り付けられる。サブマウント及び/又はレーザダイオードチップのはんだ付け/結合工程は、はんだ、及び個々のはんだ付け工程を適切に選択することによって可能になる、自動センタリングによって改善されることがあることは当業者には理解されよう。
レーザダイオードチップ2が、既知のはんだ付け技法を用いて、サブマウント1の上側表面に結合されることは当業者には明らかになるであろう。はんだ付け中の条件は、上記で略述されたような係止部への当接によって決定されるような、レーザダイオードチップ2の向き及び位置合わせが概ね変更されないようにすることである。
代替形態として、サブマウントの縁部に対してダイオードレーザチップを適切に位置合わせするために、代替的には、上記の係止部のうちの少なくとも1つが、サブマウントの上側表面に直接配置されてもよいことは当業者には明らかになるであろう。その代替形態によれば、スペーサ及び位置合わせ基板に対してサブマウントを適切に位置合わせするために、サブマウントの上側側面上にある、同じ又は他の係止部が、後に適切に、且つ異なるように配置されなければならないスペーサ及び位置合わせ基板の切欠きの縁部と相互に係合する。
次のステップとして、速軸コリメーティングレンズがスペーサ及び位置合わせ基板10の切欠き16の中に挿入され、適切に調整及び位置決めされ、その後、上記で述べられたように、その側端において結合される。
そのような態様で組み立てられた高出力レーザダイオードは、複数の速軸コリメートされた出力レーザビーム34を放射し、それらのビームは光学軸31(図5aを参照)に沿って互いに平行に伝搬する。単一の列に沿ってレーザダイオードチップを位置合わせすることに起因して、全ての出力レーザビーム34は、全ての個々のビームの主軸によって画定される1つの平面において位置合わせされ、全て互いに平行であり、方向z’(図5aを参照)を指している。隣り合っている出力レーザビーム34間のピッチは、方向y’において隣り合っているレーザダイオードチップ間のピッチによって与えられる。
図5cは、高出力レーザダイオードの複数のレーザダイオードの位置合わせ方向に沿って高出力レーザダイオードの端面を見た、図4a及び図4bによる実施形態の平面図である。図5cに示されるように、凹部25がスペーサ10の底面の高さに形成される。レーザダイオードチップ(図示せず)の上側表面は、凹部25の上側表面と概ね同じ高さにあり、出力レーザビーム34が、基板10の内側突出部の高さにおいて放射されるようにする。上側凹部が基板10の表面内に形成され、それは基板10の下側表面まで延在しない。内側突出部は、レンズ32が誤ってレーザダイオード上に落下するのを防ぐ。しかしながら、本発明によれば、内側突出部は、レンズ32の背面のための支持体として用いられないことが好ましい。
図5dは、スペーサ10がさらに一体構成の部材である、さらなる変更形態を示す。しかし、図5dによれば、凹部25が、速軸コリメーティングレンズ32の背面まで延在する。しかしながら、この実施形態によれば、レンズ32は基板10の側壁内の段によって支持されないが、上側凹部の内側側壁に直接結合されるので好ましい。
図5eはさらなる変更形態を示しており、スペーサ及び位置合わせ基板10は、好ましくはボンディングによって互いに接続される、平行平面上側基板28及び平行平面下側基板26から成る層状の二体構成の部材である。
図5fは、基板10の上側表面内に形成される凹部内で速軸コリメーティングレンズ32を傾ける効果を示す。その限りでは、レンズ32はガラス板と見なすことができ、光学軸31を中心にして傾けられる場合には、結果として、コリメートされたビームのビーム品質にほとんど影響を及ぼすことなく、透過した光ビームが、シフトされた位置31’まで横方向にシフトされ、その横方向のシフトは、ガラスの屈折率、傾斜角、及び伝搬方向におけるガラス板の厚みによって決定される。したがって、本発明によれば、基板10の上側表面内に形成される凹部内で速軸コリメーティングレンズ32を、そのベクトルがy’に対して平行である1つの軸を中心に傾けることによって、遅軸方向(x方向)におけるレーザダイオードチップ位置の位置合わせ不良を補償することができる。速軸コリメートされたレーザビームの光学軸31を調整して、速軸方向において等距離間隔な直線(列)に沿った全ての出力速軸コリメートされたレーザビーム34(図5aを参照)の正確な位置合わせを得るために、他の2つの直交する軸、及び2つの直交する並進軸(y及びz)を中心とする角度の位置合わせが実行されなければならない。
代替的には、速軸レンズを正確に位置合わせする代わりに、速軸レンズを固定することができ、関連するレーザダイオードを位置合わせすることができることは当業者には明らかになるであろう。
基板10は速軸コリメーティングレンズを収容することができるだけでなく、本発明による高出力レーザダイオードアレイを封止するのに用いられるカバーガラスを収容又は支持することでもできることは当業者には明らかになるであろう。さらに、その基板は、さらにビームを調整するための体積ホログラフィック回折格子又は類似の光学部品のような、さらなる光学部品を収容するように構成することができる。
最適な調整及び性能を得るために、共通ヒートシンク及び速軸コリメーティングレンズホルダの熱膨張係数を同一にして、熱負荷を変更する場合に、関連するレーザダイオードに対する速軸コリメーティングレンズの位置合わせ不良を最小限に抑えることが重要である。
図5gは、本発明による高出力レーザダイオードの共通ヒートシンク6上の斜視図を示す。その上にレーザダイオードチップ2が実装されている複数のレーザダイオードサブマウント1が、速軸方向において等距離間隔で、且つ直線(列)に沿って位置合わせされた状態で配置される。ヒートシンク6の上側表面上に配置されるミラー7が、90°だけ上方に、出力レーザビーム31を偏向させる。
図5hは、その上に平面基板10が実装されている、図5gによる高出力レーザダイオードを示しており、複数の円柱形の速軸コリメーティングレンズ32が、基板10の上側表面内にある単一の長方形の凹部内に部分的に収容される。参照符号34は、速軸コリメートされた出力レーザビームを表し、参照符号8は、全てのレーザダイオードチップ1の電気接触子を指している。
図6a〜図6fは、遅軸コリメーションのための種々の光学アセンブリ、又は所定のピッチで互いに平行に配置される線形高出力レーザダイオードの合焦を含む、本発明による高出力レーザダイオードアレイの種々の実施形態を示す。これらの図面では、高出力レーザダイオードは、この高出力レーザダイオードの複数のレーザダイオードの位置合わせの方向に沿って高出力レーザダイオードの端面を見た平面図で示される。
図6aに示されるように、上記のような高出力レーザダイオード40a〜40cによって生成される速軸コリメートされた出力レーザビーム34a〜34cは、関連するパラボラ中空ミラー41a〜41cによって偏向する。この構成では、各パラボラミラー41a〜41cの中心からレーザダイオード40a〜40cの個々のダイオードレーザまでの距離は、全てのレーザダイオード40a〜40cの場合に同一である。これらのミラー41a〜41cの曲率は、遅軸において出力レーザビーム34a〜34cの遅軸コリメーションが達成され、偏向した出力レーザビーム36a〜36cが速軸及び遅軸の両方向においてコリメートされるような大きさである。言い換えると、レーザダイオード40a〜40cの個々のレーザ発光体は、個々のパラボラ中空ミラー41a〜41cの焦点に配置される。さらに、ミラー41a〜41c及び高出力レーザダイオード40a〜40cは、インターリーブされたチェス盤のように配置され、図6bに示される結果として生成される概略的なビームプロファイルによって示されるように、偏向した出力レーザビーム36a〜36cが概ね継ぎ目がないようにしてインターリーブされるようにする。個々の出力レーザビーム36a〜36cは、遅軸及び速軸方向において好ましくは同一の発散角で、速軸及び遅軸の両方向において概ねコリメートされるため、図6bに示される、結果として生成されるビームプロファイルは、最新のダイオードレーザのビームを配列し直すために、従来技術において一般的に用いられるようないかなる(微小)光学部品も必要とすることなく、概ね100%のフィルファクタで、全ての周囲半径内の(encircled)ビームの場合に概ね一様な強度分布を示す。
図6aによれば、上記のような3つの高出力レーザダイオード40a〜40cは、互いに平行に、且つ3つの方向において隣り合った高出力レーザダイオード40a〜40c間の所定の距離が減少しないように配置される。より具体的には、図6aでは、レーザダイオード40a〜40cは3つの方向において、すなわち、レーザダイオード基板上に配置されるミラーにおいて偏向した後の(たとえば、図5gを参照)、且つ速軸コリメーション後のビーム伝搬方向(z’)に対して垂直な2つの方向(x’、z’)、及びレーザダイオード基板上に配置されるミラーにおいて偏向した後の速軸コリメートされた出力レーザビーム34a〜34cのビーム伝搬方向に対して平行な1つの方向(y’)においてシフトされる。
以下の説明では、速軸方向(y’)におけるフィルレートが50%であるものと仮定しており、それは、等距離間隔において放射され、且つレーザ光ビームの断面において見た場合に、合わせて櫛形のパターンを形成する速軸コリメートされた出力レーザビームが、速軸方向において延在する長方形のストライプの50%を占めることを意味する。この例示的な実施形態では、速軸方向(y’=y’’)において、そのようにフィルレートが50%であることに基づいて、高出力レーザダイオード40a〜40cの隣り合う列が、以下のようにシフトされる。
(a)速軸(y’=y’’)方向では、ピッチの半分だけ、すなわちレーザダイオード40a〜40cの隣り合うレーザ発光体間の距離の半分だけシフトされる。
(b)遅軸(x’)方向(レーザ基板上に配置されるミラーにおけるビーム偏向の前後)では、遅軸コリメートされたビーム36a〜36cのビーム幅の半分だけシフトされる。
(c)遅軸コリメータとしての役割を果たす個々のパラボラ中空ミラー41a〜41cへの一定の距離を得るために、レーザ基板上に配置されるミラーにおけるビーム偏向後の光学軸の方向(z’)においてシフトされる。
ダイオードレーザ及びコリメーションレンズをこのように配置する結果として、従来技術の場合のように個々のビームの方向又は位置を変更するためにさらなる光学系を用いることなく、速軸及び遅軸の両方向において、フィルレートが100%になる。
異なるシフトによって、他のシフト及び他のフィルレートを達成することができることは当業者には明らかであろう。
ミラー41a〜41c及び高出力レーザダイオード40a〜40cを適切に配置及び構成することによって、任意の形状、たとえば、線状、長方形、円形、楕円形、星形のビームプロファイルを得ることが可能であることは当業者には明らかになるであろう。この効果を用いて、出力レーザビームを効率的に結像し、光ファイバ、レーザロッド(補助レーザ源の光学的なポンピング用)、又は任意の種類の光学媒体のような他の光学部品に結合することができる。
図6aに示されるような隣り合う高出力レーザダイオード40a〜40c間のピッチを達成するために、図6aに示される高出力レーザダイオード40a〜40cは、平坦にすることができるか、又は階段のような形状を有することができる(図7を参照しながら以下で説明される)単一の基板、たとえば共通ヒートシンク上に配置することができることは当業者には明らかになるであろう。
図6cは、別の変更形態を示しており、全ての高出力レーザダイオード40a〜40cが、共通の平坦なヒートシンク6の上側表面上に実装される。さらに、パラボラ中空ミラー41a〜41cが出力レーザビーム34a〜34cを結像し、それをヒートシンク6の上側表面に平行でなく、代わりに斜めになるように延在する方向に偏向させる。ここでもまた、偏向した出力レーザビーム36a〜36cは、速軸及び遅軸の両方向においてコリメートされる。こうして、図6cの構成におけるレーザ発光体は、互いに対して垂直な2つの軸においてシフトされる。
本発明のさらなる関連する態様によれば、図6a及び図6cに示されるパラボラ中空ミラーは、たとえば、ダイヤモンド加工又は微細機械加工によって、単一(一体構成)の基板に組み込むことができる。その基板は、光学活性表面に近い背面から実効的に冷却することができるようにするために銅から成り、それによってレンズを高密度に積重することが可能になり、さらに高出力レベルにおいて動作する屈折レンズ系から既知である熱レンズ効果及びその関連するビーム歪みを最小限に抑えることが好ましい。そのような基板内にパラボラ中空ミラーを形成した後に、中空ミラーの内側表面は、できる限り光学損を低減するために、高反射性コーティングをコーティングされることがある。代替形態として、中空ミラーのそのようなアレイは、中実のガラス本体内に、若しくは中空のガラス本体の上側表面内にレンズ若しくはレンズアレイを製造するために、プレス成形することができるか、又は他の最新の手段で機械加工することができ、ガラス本体は強制空気循環を通すことによって冷却することができる。
そのような変更形態が図6fに概略的に示される。反射性パラボラ(遅軸)コリメーション光学系のさらなる利点は、レンズの縁部に起因してビーム歪みを示す屈折光学系とは対照的に、ビーム品質を損失することなく、個々の光学系のフィルレートを100%近くにすることができること、及び、放物面がぶれを最小限に抑え、それゆえ、直径が小さな光ファイバへの結合効率を最大にするための理想的な光学面を表すことである。
図6dは別の変更形態を示しており、全ての高出力レーザダイオード40a〜40cが単一の平面内に位置合わせされ、出力速軸コリメートされたレーザ34a〜34cが屈折レンズ36a〜36cによって遅軸コリメートされる。そのレンズは、レンズアレイにすることもできる。したがって、図6dの構成のレーザ発光体は、互いに垂直な2つの軸においてシフトされる。図6eに示されるように、高出力レーザダイオード40a〜40c及び遅軸コリメーティングレンズ37a〜37cをインターリーブされるように適切に配列することによって、図6eに示される、結果として生成される概略的なビームプロファイルによって示されるように、偏向した出力レーザビーム36a〜36cが概ね継ぎ目がないようにインターリーブされる。個々の出力レーザビーム36a〜36cが速軸及び遅軸方向において概ね等しくコリメートされるため、図6eに示される結果として生成されるビームプロファイルは、遅軸及び速軸において概ね等しい発散を有する個々のビームから成る網羅的なビームプロファイルの、概ね一様な強度分布を示す。
具体的な用途に従うために、個々のビーム及び合成されたビームの発散は両方の軸において異なることがあることは当業者には明らかであろう。同じように、高出力ダイオードレーザの数、及び1つの高出力ダイオードレーザを構成するダイオードの数は、コリメートされたビームを合焦する際のビーム品質及び加工物におけるスポットサイズによって決定される。
図6f及び図6gは、本発明による高出力レーザダイオードアレイの側面図及び斜視図を示す。パラボラ中空ミラーから成る単一(一体構成)のアレイ41が、レーザダイオード(これらの図面では、レーザダイオードのうちの3つだけが参照符号40a〜cによって表される)によって放射される速軸コリメートされた光ビームの遅軸コリメーションのために用いられ、それによって、速軸及び遅軸コリメートされた光ビームを、インターリーブされるように偏向させて結像し、概ね長方形で、継ぎ目がないようにインターリーブされた複数の速軸及び遅軸コリメートされたレーザビーム51から成る概ね一様な出力レーザビームプロファイル(図6hを参照)を生成する。
遅軸コリメーティングレンズ36a〜36c及び高出力レーザダイオード40a〜40cを適切に配置し、構成することによって、任意の形状、たとえば、線状、長方形、円形、楕円形、星形のビームプロファイルを得ることができることは当業者には明らかになるであろう。この効果を用いて、出力レーザビームを効率的に結像し、光ファイバ、レーザロッド(補助レーザ源の光学的なポンピング用)、又は任意の種類の光学媒体のような他の光学部品に結合することができる。
本発明の高出力レーザダイオードアレイの用途の一例として、図6は、全体として60として表される合焦光学系によって、光ファイバの入射開口62上に、上記のような高出力レーザダイオードアレイの出力レーザビーム50を合焦することを示す。図6iの右側の部分に示されるように、出力レーザビーム50は、図5a〜図5hを参照しながら上記で説明された光学構成によって速軸及び遅軸の両方においてコリメートされた、複数の概ね長方形の個別のレーザビーム51から成る。光ファイバの概ね円形の入射開口62に対応する、参照符号50を有する図6iの右側の部分に示される円において、個々のレーザビーム51は、概ね継ぎ目がないようにインターリーブされており、すなわち円50全体を埋める。図6iの右側部分の概略図から明らかなように、本発明による個々の速軸及び遅軸コリメートされたレーザビームのチェス盤のようなインターリーブによって、任意の断面幾何学形状、たとえば図6iの例では、円50を埋めることができるようになる。
図7は、本発明の別の実施形態による高出力レーザダイオードアレイを示す。そのアレイは、楔形基板6を備える。基板6の右側には、複数の階段状レーザダイオード支持部9a〜9cが形成され、その表面上には、サブマウントが個別に配置される。各サブマウントの表面上には、レーザダイオードが実装される。これらの構成要素を正確に位置決めするために、上記で略述されたような精密実装工具が用いられる。こうして、基板6の右側にある高出力レーザダイオード40の個々のレーザ発光体は、等しい間隔で、速軸及び遅軸の両方向において互いにオフセットされる。各レーザ発光体の出射ファセットの前面には、速軸コリメーティング手段70が設けられ、それは個別に位置決め及び位置合わせされる。
反対側、すなわち基板6の左側には、対応する数の階段状部分71a〜71cが設けられる。これらの部分71a〜71cの縁部は、速軸コリメートされたレーザビーム74の遅軸コリメーション又は合焦のための中空ミラー72a〜72cとしての役割を果たすように凹面を成す。同時に、速軸コリメートされたレーザビーム74は90°だけ偏向する。偏向した速軸及び遅軸コリメートされたレーザビーム75は、その後、ミラー73を介して合成され、100%又は概ね100%の光学フィルファクタで1次元において継ぎ目がないように互いに隣接して配置される、複数の速軸及び遅軸コリメートされたか又は合焦された出力レーザビームから成る線形出力レーザビームプロファイル(図示せず)が形成される。
図7を参照しながら説明されたような、高出力レーザダイオードアレイのいくつかを組み合わせて、100%又は概ね100%の光学フィルファクタで、任意の形状において、2次元において継ぎ目がないように互いに隣接して配置される、複数の速軸及び遅軸コリメートされたか又は合焦された出力レーザビームから成る出力レーザビームプロファイルを形成することができることは当業者には明らかになるであろう。
図8は、本発明のさらに別の実施形態による、高出力レーザダイオードアレイを示す。図8に示されるように、図4a〜図5hを参照しながら上記で説明されたようなタイプのダイオードレーザ40a〜40cそれぞれが、速軸コリメートされたレーザビーム34a〜34cを放射し、それらのビームは(この例では)3つの単一の列に沿って位置合わせされ、各列のレーザ発光体は、隣り合うレーザ発光体が等距離間隔を成すように配置される。図8によれば、中空パラボラミラー41a〜41cは、出力レーザビーム34a〜34cを、速軸方向及び遅軸方向の両方において、単一の焦点62上に合焦する。全ての出力レーザビームが同じ焦点62上に合焦されることを確実にするために、各速軸及び遅軸合焦ミラー41a〜41cはわずかに異なる焦点距離を有することは当業者には明らかであろう。ミラー41a〜41cは、図6fを参照しながら上記で説明されたように、単一の共通基板に組み込んでもよい。

Claims (23)

  1. 高出力レーザダイオードアレイであって、
    出力レーザビームを放射する複数のレーザ発光体(2)を含む少なくとも1つの高出力レーザダイオード(40a〜40c;40)であって、該発光体はそれぞれ、出力レーザビームの伝搬方向(z;z’)に対して垂直な方向において、速軸(y;y’)及び遅軸(x;x’)を規定する、少なくとも1つの高出力レーザダイオード(40a〜40c;40)と、
    前記速軸方向(y;y’)において前記出力レーザビームをコリメートし、速軸コリメートされた出力レーザビームを与える速軸コリメーティング手段(32;70)と、
    前記遅軸方向(x;x’)において前記出力レーザビームをコリメート又は合焦する遅軸ビーム整形手段(41;37;72)であって、前記少なくとも1つの高出力レーザダイオード(40a〜40c;40)の外部に配置される、遅軸ビーム整形手段(41;37;72)とを備え、
    前記レーザ発光体(2)は、前記速軸方向において、又は前記速軸及び前記遅軸方向において、それぞれ等距離間隔だけ互いに変位し、
    光学手段(41;37;72)が、全てのレーザ発光体の遠方場において、100%又は概ね100%の光学フィルファクタで、1次元又は2次元において継ぎ目がないように互いに隣接して配置される、前記複数の速軸及び遅軸コリメートされたか又は合焦された出力レーザビーム(36a〜36c;51)から成る出力レーザビームプロファイルを形成するために設けられ、
    前記遅軸ビーム整形手段は、前記光学手段(41;37;72)によって構成されるか、又は形成されることを特徴とする、高出力レーザダイオードアレイ。
  2. 前記遅軸ビーム整形手段(41;37;72)は、前記レーザ発光体(2)の個々の出力レーザビームを配列し直さない、請求項1に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  3. 前記遅軸ビーム整形手段は、前記遅軸方向において前記出力レーザビームをコリメートするように構成され、前記高出力レーザダイオードアレイは、前記速軸方向及び前記遅軸方向においてそれぞれ、所定の幅の速軸及び遅軸コリメートされた出力レーザビームを与えるようにし、
    前記レーザ発光体(2)は、前記速軸方向(y;y’)において、該速軸方向の前記所定の幅の分数1/nだけ、且つ/又は前記遅軸方向において、前記遅軸方向(x;x’)の前記所定の幅の分数1/nだけ、互いに変位し、ここで、nは1以上の整数である、請求項1又は2に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  4. 前記レーザ発光体は、前記速軸方向において個々の列の2つの隣り合うレーザ発光体が等距離間隔を成すように、少なくとも2つの列に沿って配置され、前記高出力レーザダイオードの隣り合う列は、前記間隔の分数1/nだけ遅軸方向において交互にシフトされ、ここで、nは1以上の整数である、請求項3に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  5. 前記高出力レーザダイオード(40a〜40c)のそれぞれは、互いに離間して配置される前記複数の速軸及び遅軸コリメートされた出力レーザビーム(36)を放射し、前記高出力レーザダイオードの2つの隣り合う列の該出力速軸及び遅軸コリメートされた出力レーザビーム(36a〜36c)は櫛状に互いに配列される、請求項3又は4に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  6. 前記隣り合う列はそれぞれ、ビーム伝搬方向(z)において所定の距離において互いに変位する、請求項5に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  7. 前記遅軸ビーム整形手段のそれぞれは、前記遅軸方向において、関連する出力レーザビーム(34a〜34c;74)をコリメート又は合焦するのに適している形状の反射性パラボラ中空ミラー(41a〜41c;72a〜72c)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  8. 前記パラボラ中空ミラー(41a〜41c)のうちのいくつか又は全てが、前記基板、好ましくは銅本体の微小機械加工又はダイヤモンド加工によって、又はガラスのプレス成形によって、共通基板内に形成される、請求項7に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  9. 前記共通基板は、前記パラボラ中空ミラーによって引き起こされる反射損及び/又は吸収損に起因して該共通基板が過熱されるのを避けるために、好ましくは前記共通基板の中に流体を流すことによって能動的に冷却される、請求項8に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  10. 前記遅軸ビーム整形手段のそれぞれは、前記遅軸方向において、前記関連する出力レーザビーム(34a〜34c)をコリメート又は合焦するように構成される、反射性光学素子(37)、詳細にはレンズアレイである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  11. 前記遅軸ビーム整形手段のそれぞれは遅軸ビーム合焦手段(41a〜41c)であり、該遅軸ビーム合焦手段(41a〜41c)は、該遅軸ビーム合焦手段の焦点距離に対応する、高出力レーザダイオード(40a〜40c)の関連する列と該遅軸ビーム合焦手段(41a〜41c)との間のそれぞれの距離において、前記遅軸方向において前記個々の出力レーザビームを合焦するように構成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  12. 前記各遅軸ビーム合焦手段(41a〜41c)のそれぞれは速軸ビーム合焦手段としての役割もさらに果たし、該速軸ビーム合焦手段は、該遅軸及び速軸光合焦手段(41a〜41c)の焦点距離に対応する、前記高出力レーザダイオード(40a〜40c)の関連する列と、該遅軸及び速軸ビーム合焦手段との間のそれぞれの距離において、速軸方向において前記個々の出力レーザビームを合焦するように構成され、それによって、複数の出力レーザビームを合焦するための別個の光学素子を不要にする、請求項11に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  13. 前記速軸及び/又は遅軸ビーム合焦手段のそれぞれは、実際の前記レーザ発光体(2)の位置、及び該位置から全てのレーザ発光体の共通スポットへの距離に応じて、わずかに異なる焦点距離を有する、請求項11又は12に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  14. 前記高出力レーザダイオード(40a〜40c)の前記全てのレーザ発光体(2)は、各レーザ発光体のビーム(30)を前記レーザ発光体(2)の実装面に対して傾けられた方向に、特定の角度だけ、好ましくは90°だけ偏向させるための偏向ミラー(7)を組み込む共通ヒートシンク(6)上に実装される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  15. 前記高出力レーザダイオード(40a〜40c)の前記全てのレーザ発光体(2)は、前記偏向ミラー(7)を組み込むことなく、階段のような形状の共通ヒートシンク(6)上に実装される、請求項1〜123のいずれか一項に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  16. 前記速軸コリメーティング手段(32)は、個々の高出力レーザダイオード(40a〜40c)に組み込まれる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  17. 前記高出力ダイオードレーザのそれぞれは、
    前記高出力ダイオードレーザの前記全てのレーザ発光体(2)を、又は該レーザ発光体を実装するために用いられる複数のサブマウントを実装するための共通ヒートシンク(6)と、
    前記レーザ発光体によって放射される出力レーザビーム(30)の伝搬方向に対して垂直接延在する平面基板手段(10)とを備え、
    前記平面基板手段(10)は、前記速軸結像コリメーティング手段(32)を直接支持する、請求項16に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  18. 前記平面基板手段(10)は、
    それぞれが前記平面基板手段(10)の下側表面上に形成され、且つ前記レーザ発光体(2)、又は前記サブマウント(1)と共に該レーザ発光体(2)を収容するように構成される、複数の切欠き(14、16)と、
    所定の位置及び/又は向きにおいて前記速軸光結像手段(32)を収容し、且つ/又は支持するために前記平面基板手段(10;26;28)の上側表面上に形成される少なくとも1つの上側凹部(27)とを備える、請求項17に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  19. 前記速軸コリメーティング手段(32)のそれぞれは、前記速軸方向(y;y’)において関連する出力レーダビームの所定のコリメーションを得るために、前記平面基板手段(10)の上側凹部内に個別に配置される、球面円柱レンズ又は非球面円柱レンズである、請求項17又は18に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  20. 前記速軸コリメーティング手段(32)のそれぞれは、個々の発光体の前記遅軸位置(x)を所定の量だけシフトするように、前記速軸(y’)によって規定される軸を中心にして個々に傾けられる、請求項19に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  21. 前記円柱レンズ(32)は、前記上側凹部の内側側壁にのみ結合され、該上側凹部の底面によって支持されない、請求項19又は20に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  22. 前記レーザ発光体(2)のそれぞれは、それぞれが複数のレーザ発光体を含むダイオードレーザバーである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の高出力レーザダイオードアレイ。
  23. 光ファイバ(62)と、請求項1〜22のいずれか一項に記載の高出力レーザダイオードアレイと、該光ファイバの入射ファセット上に前記出力レーザビーム(50)を合焦する合焦手段(60)とを備えるレーザ光源。
JP2008292853A 2007-11-16 2008-11-14 少なくとも1つの高出力ダイオードレーザを含む高出力レーザダイオードアレイ、及びそれを含むレーザ光源 Expired - Fee Related JP4980329B2 (ja)

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