JP2009161723A - セルロース分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロース繊維を、該セルロース繊維(絶対乾燥基準)1gに対して、2.0mmol〜10mmolの酸化剤を用いて、酸化して、セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2.0mmol/gである酸化セルロース繊維を得る工程と、前記酸化セルロース繊維を機械的処理することで、平均繊維径が200nm以下の酸化セルロース繊維を得る工程を有する酸化セルロース繊維分散液の製造方法であって、前記機械的処理が、回転体を有する高速回転式分散機を用い、前記回転体の翼先端部の周速が15m/s以上で処理する、酸化セルロース繊維分散液の製造方法。
【選択図】なし
Description
前記酸化セルロース繊維を機械的処理することで、平均繊維径が200nm以下の酸化セルロース繊維を得る工程を有する酸化セルロース繊維分散液の製造方法であって、
前記機械的処理が、回転体を有する高速回転式分散機を用い、前記回転体の翼先端部の周速が15m/s以上で処理する、酸化セルロース繊維分散液の製造方法である。
まず、酸化処理をする前の前処理工程として、原料となる天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して、約10〜1000倍量(質量基準)の水を加え、ミキサー等で処理して、スラリーにする。
次に、前工程で得られた酸化セルロース繊維を機械的処理で平均繊維径が200nm以下にまで微細化する。本工程における機械的処理としては、次の方法を適用することができる。なお、酸化セルロース繊維は、固形分濃度0.01〜10質量%の水分散液、好ましくは0.05〜5質量%の水分散液にした後、機械的処理することが好ましい。
(i)メディアが充填されたミル内に処理液を注入した後、所定の時間処理し、処理液を抜き出すバッチ処理方法、
(ii)メディアが充填されたミル内を攪拌機で攪拌した状態で、別の槽内にある被処理液をポンプ等により連続的にミル内へ供給し、分散された処理液をもとの槽内に戻す循環方式方法、
(iii)処理液の全てを別の槽で受けるパス方式等による分散処理方法が挙げられる。分散処理時の分散速度は、メディアの粒径や充填率、メディアミルの攪拌周速、供給速度等によって調節することができる。
前処理として、サンプル分散液を、セルロース0.01〜0.005%にイオン交換水で希釈した。次に、マイカの壁開面に一滴滴下後、エアー等で水滴を吹き飛ばし、自然乾燥させた。測定は、原子間力顕微鏡(Veeco Dimension 3000 Tapping mode)によって撮影されたセルロース繊維の画像にて行った。繊維径は10点以上抽出し、各繊維の横断面の高さプロファイルから計測し、その平均値とした。
絶乾パルプ約0.5gを100mlビーカーにとり、イオン交換水を加えて全体で55mlとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加えて0.83質量%パルプ懸濁液とし、パルプが十分に分散するまでスターラーにて攪拌した。そして、0.1M塩酸を加えてpH2.5〜3.0としてから、自動滴定装置(AUT−501、東亜デイーケーケー(株)製)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で注入し、パルプ懸濁液の1分ごとの電導度とpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続けた。そして、得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、カルボキシル基含有量を算出した。
得られたセルロースの水分散液を純水で希釈し、0.1質量%の水分散液を得る。得られた分散液を測定用セルに入れ、分光光度計(UVmini1240,島津製作所製)により、光波長550nmにおける透過率を測定した。
セルロース繊維原料として、針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Machenzie」、CSF650ml)を用いた。
まず、上記の針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維3gを297gのイオン交換水で十分攪拌し、ある程度解繊した。
その後、パルプ質量3gに対し、TEMPO(製造会社:ALDRICH、Free radical 98質量%)が1.25質量%となる量、次亜塩素酸ナトリウム(和光純薬工業(株),Cl濃度5質量%)2.5mmol/g−ハ゜ルフ゜、臭化ナトリウム(和光純薬工業(株))3.6mmol/g−ハ゜ルフ゜をこの順で添加した。その後、pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムにて滴下を行い、pHを10.5、温度25℃に保持し、60分間酸化反応を行い、酸化パルプを得た。前記酸化パルプをイオン交換水にて十分洗浄し、脱水処理を行った。
次に、得られた酸化パルプの固形分濃度を0.5質量%に調整した水分散液600gを用い、高速回転式分散機(クレアミックス、型番:CLM−1.5S、エム・テクニック社製、回転数17500rpm、回転翼周速26m/s、処理槽の容量1L、回転体と固定部の間の空隙は0.2mm)にて処理した。60分処理した水分散液の透過率は92%であった。また、平均繊維径は2.7nmであった。なお、機械的処理工程前の水分散液の透過率は60%であった。
次亜塩素酸ナトリウム濃度を表1に示す濃度としたほかは、実施例1と同様にして、酸化パルプを得た。次に、得られた酸化パルプの固形分濃度を0.5質量%に調整した水分散液2500gを用い、高速回転式分散機(マイルダー、型番:MDN303V、大平洋機工(株)製,回転数15000rpm、回転翼周速24m/s、処理槽の容量4L、回転体と固定部の間の空隙は0.5mm)により、処理した。10分処理した水分散液の透過率は81%であった。また、平均繊維径は2.9nmであった。
高速回転式分散機による処理時間を60分としたほかは実施例2と同様にして製造した。水分散液の透過率は91%であった。また、平均繊維径は2.6nmであった。
次亜塩素酸ナトリウム濃度を表1に示す濃度としたほかは、実施例1と同様にして、酸化パルプを得た。次に、得られた酸化パルプの固形分濃度を0.5質量%に調整した水分散液5000gを用い、櫛歯型高速回転式分散機(キャビトロン,大平洋機工(株)製,回転数11200rpm、回転翼周速40m/s,処理槽の容量20L)により、処理した。10パス処理を行った水分散液の透過率は98%であった。また、平均繊維径は3.5nmであった。
次亜塩素酸ナトリウム濃度を表1に示す濃度としたほかは、実施例1と同様にして、酸化パルプを得た。次に、得られた酸化パルプの固形分濃度を1.0質量%に調整した水分散液3000gを用い、高速回転式分散機(シャープフローミル,大平洋機工(株)製,回転数10000rpm、回転翼周速68m/s,処理槽の容量5L)により、処理した。1パス処理した水分散液の透過率は98%であった。また、平均繊維径は4.8nmであった。
次亜塩素酸ナトリウム濃度を表1に示す濃度としたほかは、実施例1と同様にして、酸化パルプを得た。次に、得られた酸化パルプの固形分濃度を0.5質量%に調整した水分散液250gを用い、薄膜旋回型高速回転式分散機(フィルミックス,プライミクス(株)製,回転数12500rpm、回転翼周速50m/s,処理槽の容量0.6L)により、処理した。3分処理した水分散液の透過率は98%であった。また、平均繊維径は6.2nmであった。
酸化処理工程にて、次亜塩素酸ナトリウム濃度を3.8mmol/g−ハ゜ルフ゜としたほかは、実施例1と同様にして、酸化パルプを得た(カルボキシ基量1.51mmol/g)。
実施例1において、高速回転式分散機(TKロボミックス、プライミクス(株)製、回転数10000rpm、翼周速13m/s)で、30分処理したほかは実施例1と同様に製造した。処理後の水分散液の透過率は68%であった。また、平均繊維径は3.6nmであった。
比較例1において、120分処理を行ったほかは同様にして製造した。処理後の水分散液の透過率は76%であった。また、平均繊維径は3.4nmであった。
実施例1において酸化反応を行わない濃度0.25質量%のパルプスラリーを調製したほかは実施例1と同様にして製造した。処理後の水分散液の透過率は31%であった。平均繊維径は非常に大きいため、光学顕微鏡観察により行った。平均繊維径は、20μmであった。
実施例1において酸化反応を行わない濃度0.25質量%のパルプスラリーを調製した後、高圧式分散機(ナノマイザー、型番:YSNM−1500AR、吉田機械工業(株)製)にて、圧力50MPaで処理をしようとしたが、詰まってしまい処理ができなかった。
次亜塩素酸ナトリウム濃度を表1に示す濃度としたほかは、実施例1と同様にして、酸化パルプを得た。次に、得られた酸化パルプの固形分濃度を0.5質量%に調整した水分散液5000gを用い、櫛歯型高速回転式分散機(キャビトロン,大平洋機工(株)製,回転数11200rpm、回転翼周速40m/s,処理槽の容量20L)により、処理した。10パス処理を行った水分散液の透過率は52%であった。また、平均繊維径は4.0nmであった。
次亜塩素酸ナトリウム濃度を表1に示す濃度としたほかは、実施例1と同様にして、酸化パルプを得た。次に、得られた酸化パルプの固形分濃度を1.0質量%に調整した水分散液3000gを用い、高速回転式分散機(シャープフローミル,大平洋機工(株)製,回転数10000rpm、回転翼周速68m/s,処理槽の容量5L)により、処理した。1パス処理した水分散液の透過率は40%であった。また、平均繊維径は5.2nmであった。
次亜塩素酸ナトリウム濃度を表1に示す濃度としたほかは、実施例1と同様にして、酸化パルプを得た。次に、得られた酸化パルプの固形分濃度を0.5質量%に調整した水分散液250gを用い、薄膜旋回型高速回転式分散機(フィルミックス,プライミクス(株)製,回転数12500rpm、回転翼周速50m/s,処理槽の容量0.6L)により、処理した。3分処理した水分散液の透過率は38%であった。また、平均繊維径は6.8nmであった。
Claims (1)
- セルロース繊維を、該セルロース繊維(絶対乾燥基準)1gに対して、2.0mmol〜10mmolの酸化剤を用いて、酸化して、セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2.0mmol/gである酸化セルロース繊維を得る工程と、
前記酸化セルロース繊維を機械的処理することで、平均繊維径が200nm以下の酸化セルロース繊維を得る工程を有する酸化セルロース繊維分散液の製造方法であって、
前記機械的処理が、回転体を有する高速回転式分散機を用い、前記回転体の翼先端部の周速が15m/s以上で処理する、酸化セルロース繊維分散液の製造方法。
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