JP2009160930A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクを吐出可能な複数のノズル列に対して記録データを最適に分配することにより、記録デューティが高いノズル列の近傍に生じる気流の影響を確実に回避することができるインクジェット記録装置および記録方法を提供すること。
【解決手段】往路方向の走査時には、互いに隣接しないマゼンタインク用のノズル列M1とイエローインク用のノズル列Y2との組み合わせを主に用い、復路方向の走査時には、互いに隣接しないマゼンタインク用のノズル列M2とイエローインク用のノズル列Y1との組み合わせを主に用いる。
【選択図】図9

Description

本発明は、複数のノズル列からインクを吐出可能な記録ヘッドを用いて画像を記録するためのインクジェット装置およびインクジェット記録方法に関するものである。
記録装置、特に、インクを吐出可能なインクジェット記録ヘッドを用いる記録装置(インクジェット記録装置)においては、カラー画像記録時の記録スピードと記録画質の向上が重要なテーマとなっている。
いわゆるシリアルスキャンタイプの記録装置において、記録スピードを向上させる手法としては、記録ヘッドの駆動周波数(インクの吐出周波数)を高めること、および双方向記録方式を採用することが一般的である。双方向記録方式においては、記録ヘッドの往路方向および復路方向の移動時に記録走査を行なう。シリアルスキャンタイプの記録装置においては、主走査方向に沿う記録ヘッドの記録走査と、副走査方向における記録媒体の搬送動作と、を繰り返すことにより、記録媒体上に順次画像が記録される。双方向記録方式は、記録ヘッドの往路方向または復路方向のいずれか一方の移動時に記録走査を行なう片方向記録方式に比して、同じスループットを得るために必要エネルギーを時間的に分散化することができ、トータルシステムとしてコスト的に有効である。
しかし、双方向記録方式において、記録ヘッドから複数色のインクを吐出してカラー画像を記録する場合には、記録方向の往路方向と復路方向の移動時における各色インクの吐出順序、つまり記録媒体にする各色インクの打ち込み順序が異なってしまう。そのため、記録画像上にバンド状の色むらが発生するおそれがある。このような色むらの発生は各色インクの打ち込み順序に起因するため、異なる色のインクのドットが記録媒体上において少しでも重なる場合には、それらの色のインクの打ち込み順序が異なることにより、多かれ少なかれ発色の差が現れることになる。
このような各色インクの打ち込み順序に起因する色むらの発生を抑えるために、特許文献1には、記録ヘッドに、同色のインクを吐出するためのノズルとして、往路用ノズルと復路用ノズルを備える構成が記載されている。それらのノズルは、記録ヘッドのいずれの方向の移動時にも各色インクの打ち込み順序が同じになるように、記録ヘッドの移動方向に応じて選択的に用いられる。その記録ヘッドは、例えば、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),Bk(ブラック)の各色インクを吐出する構成となっている。
特開昭58−179653号公報 特開2005−186610号公報
ところで、記録信号に基づいて吐出口からインク滴を吐出した場合に、主たるインク滴に付随して、その主たるインク滴に遅れて微小インクが吐出されることがある。また、主たるインク滴が記録媒体に着弾した場合に、そのインク滴が記録媒体から跳ね返る現象が生じて、極めて微細なインク滴が記録ヘッドと記録媒体との間の領域中に発生するおそれがある。このような微小インク(以下、「インクミスト」ともいう)が発生した場合には、それが記録ヘッドの吐出口面(吐出口の形成面)に付着して、インクの液溜りを生じるおそれがある。このような液溜りの発生は、吐出口からのインク滴の吐出を不安定にしたり、インクの不吐出などを引き起こすおそれがある。
このような液溜まりの発生を抑える方法としては、吐出口面に撥水処理を施して、吐出口面のほぼ全面に撥水膜を形成する方法がある。このように撥水膜を形成した場合には、吐出口の周辺部分におけるインクの滞留が少なくなる。しかし、異なるインクを吐出する複数のノズル列を同時に駆動して、高い駆動周波数によって記録ヘッドを長期間連続して駆動し、記録デューティが高い画像を高速記録した場合には、インクミストの発生量が多くなる。そのため、インク滴が吐出口面に次第に滞留するおそれがある。
以下、吐出口面に付着したインクミストと、インクの吐出状態と、の関係について説明する。
特許文献1のように、走査方向に応じて、それらの往路用ノズルと復路用ノズルを使い分けることにより、往路方向および復路方向のいずれにおいても各色インクの打ち込み順序を同一にして、双方向記録時における色むらの発生を抑えることができる。記録ヘッドには、各色インクを吐出する往路用ノズルおよび復路用ノズルが対称に配置されている。
図21は、矢印X1,X2の往路方向および復路方向の記録走査時に、隣接する2つのノズル列L1,L2の吐出口N1,N2から異なるインク滴I1,I2を吐出して、記録媒体P上に2次色による画像を記録する場合の説明図である。往路方向の走査時には、往路用ノズルを構成する複数のノズル列内の2つのノズル列を用い、復路方向の走査時には、復路用ノズルを構成する複数のノズル列内の2つのノズル列を用いる。本例において、ノズル列L1,L2は異なるチップに形成される。吐出口N1,N2から高い周波数でインク滴I1,I2が吐出されるため、それらのインク滴の運動に伴い、その周囲に存在する粘性を持った空気もインク滴に引きずられて移動する。この結果、記録ヘッドにおける吐出口面の近傍は、記録媒体Pの周囲よりも減圧傾向となり、図中の矢印のように、その減圧領域に向かって周囲の空気が流れる。その気流の影響により、インク滴I1,I2(主滴)よりも小さな液滴群が記録ヘッド側に引き寄せられることが判明した。その液滴群は、インク滴I1,I2に付随して吐出されるサテライト(図示せず)、およびインク滴I1,I2が記録媒体Pに着弾したときに生じる跳ね返りミスト等を含む。
図22,23,24は、このような現象下において、単位記録領域に対するインクの付与量が多い高デューティの画像を複数回の走査によって記録した場合に、記録ヘッドの吐出口面にミストが付着する様子の説明図である。これらの図において、C1,C2はシアンインク吐出用のノズル列、M1,M2はマゼンタインク吐出用のノズル列、Y1,Y2はイエローインク吐出用のノズル列であり、互いに隣接するノズル列間の距離Lは1mmである。
図22(a),(b)は、2次色を記録するために、往路方向の走査時にノズル列C1,M2を駆動し、復路方向の走査時にノズル列C2,M1を駆動した場合におけるミスト12の付着状況の説明図である。同時駆動されるノズル列の間の距離Lは、4mmである。図23(a),(b)は、2次色を記録するために、往路方向の走査時にノズル列C1,Y1を駆動し、復路方向の走査時にノズル列C2,Y2を駆動した場合におけるミスト12の付着状況の説明図である。同時駆動されるノズル列の間の距離Lは、2mmである。図24(a),(b)は、2次色を記録するために、往路方向の走査時にノズル列C1,M1を駆動し、復路方向の走査時にノズル列C2,M2を駆動した場合におけるミスト12の付着状況の説明図である。同時駆動されるノズル列の間の距離Lは、1mmである。
発明者等が鋭意検討を重ねた結果、以下のことが判明した。
すなわち、同時駆動されるノズル列の間の距離Lと、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量と、には相関関係があり、距離Lが大きくなるにつれて、吐出口面に付着するミストは減少することが分かった。特に、同時駆動されるノズル列の間の距離Lが短い場合には、それらのノズル列間のごく狭い領域においてインク滴が高周波数で吐出されるため、その距離Lが長い場合に比して減圧傾向が強くなる。そのため、サテライトや跳ね返りミストが記録ヘッドに到達しやすくなる。
発明者等の検討の結果、吐出口面のほぼ全面に撥水処理を施した場合には、インクミストは、吐出口から離れた領域に次第に多く付着する傾向にあることが分かった。例えば、吐出口から約500μmから1mm程度離れた領域では、直径が300μmから500μm程度に大型に成長したインクミストの集合体が多数存在する。撥水領域では、水(インク)に対する接触角が大きいために流動性が大きくなり、水に対する接触角が80度を越えると一層顕著なものとなる。そのため、大型に成長したインクミストは、特に、記録ヘッドの往復動から生ずる慣性力をきっかけとして、あるいは自重によって、容易に移動し始めて、ついには吐出口に到達するおそれがある。そして、そのインクミストが1〜数の吐出口に引き込まれた場合には、インクの不吐出を発生させるおそれがある。特に、ノズル列の配列間隔を狭く設定し、1回の吐出動作によって10ピコリットル以下の少量のインク滴を高周期で吐出可能なバブルスルー方式の記録ヘッドを用いた場合には、顕著となる。
またインクミストを除去するために、吐出口面をクリ−ニングする頻度を上げる方法、例えば、1ページ単位から1行単位の画像を記録する毎に、頻繁にクリーニングを行う方法が考えられる。しかし、このようにクリーニング回数を増やした場合には、記録速度の低下を招くことになる。
これに対し、特許文献2には、複数のノズル列が形成された記録ヘッドを用いるマルチパス記録方式において、記録デューティが高いノズル列が隣接したときに生じる気流の影響を回避する方法が記載されている。この文献には、インク色毎のノズル列の構成として、奇数カラムを記録するノズルが配列されたノズル列(奇数ノズル列)と、偶数カラムを記録するノズルが配列されたノズル列(偶数ノズル列)と、に分けた構成が記載されている。それらの奇数および偶数ノズル列は隣接配列されており、例えば、1パス目には、2パス目よりも少ない記録データが奇数および偶数ノズル列に均等に振り分けられ、2パス目には、1パス目よりも多い記録データが奇数および偶数ノズル列に均等に振り分けられる。
つまり特許文献2において、1つのインク色当たり2つのノズル列(奇数および偶数ノズル列)に対して、1回の記録走査毎に振り分けられる記録データは均等な関係に特定されている。このように特定された関係のために、記録データの振り分け方が制限されることになる。
本発明の目的は、インクを吐出可能な複数のノズル列に対して記録データを最適に分配することにより、記録デューティが高いノズル列の近傍に生じる気流の影響を低減することができるインクジェット記録装置および記録方法を提供することにある。
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出可能な複数のノズル列が並列に形成された記録ヘッドを前記複数のノズル列と交差する主走査方向に移動させて画像を記録するインクジェット記録装置において、前記複数のノズル列のそれぞれに対して、1画素に記録するドット数を階調値によって定めた多値データを、異なる分配率によって分配可能な分配手段と、前記分配手段によって分配された前記多値データに基づいて、前記記録ヘッドから前記インクを吐出させる制御手段と、を備え、前記分配手段は、前記分配率が高い前記ノズル列の位置が前記主走査方向において集中しないように、前記複数のノズル列のそれぞれに対する前記分配率を異ならせることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出可能な複数のノズル列が並列に形成された記録ヘッドを前記複数のノズル列と交差する主走査方向に移動させて画像を記録するインクジェット記録装置において、前記複数のノズル列のそれぞれに対して、ドットの記録または非記録を定めた記録データを、異なる分配率によって分配可能な分配手段と、前記分配手段によって分配された前記記録データに基づいて、前記記録ヘッドから前記インクを吐出させる制御手段と、を備え、前記分配手段は、前記分配率が高い前記ノズル列の位置が前記主走査方向において集中しないように、前記複数のノズル列のそれぞれに対する前記分配率を異ならせることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、インクを吐出可能な複数のノズル列が並列に形成された記録ヘッドを前記複数のノズル列と交差する主走査方向に移動させて画像を記録するインクジェット記録方法において、前記複数のノズル列のそれぞれに対して、1画素に記録するドット数を階調値によって定めた多値データを、異なる分配率によって分配する分配工程と、前記分配手段によって分配された前記多値データに基づいて、前記記録ヘッドから前記インクを吐出させる制御工程と、を含み、前記分配工程は、前記分配率が高い前記ノズル列の位置が前記主走査方向において集中しないように、前記複数のノズル列のそれぞれに対する前記分配率を異ならせることを特徴とする。
本発明によれば、インク吐出用のデータを複数のノズル列に分配する際に、それらのノズル列の配列位置に応じて、それぞれのノズル列に対する分配率を異ならせる。これにより、分配率が高いノズル列の位置を集中させずに、記録デューティが高いノズル列の近傍に生じる気流の影響を低減することができる。この結果、ノズルの配列密度が高かったり、インクの吐出周波数が高い場合にも、記録ヘッドに付着するインクミストの量を減少させて、そのインクミストがノズルを塞ぐことによって生じるインクの不吐出を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の主要部の構成図である。
図1において、ヘッドカートリッジ1はキャリッジ2に交換可能に搭載される。ヘッドカートリッジ1は、記録ヘッドとインクタンクを分離可能あるいは一体的に備えており、記録ヘッドの駆動信号などを授受するためのコネクタ(不図示)が設けられている。キャリッジ2には、上記コネクタを介して、ヘッドカートリッジ1に駆動信号等を伝達するためのコネクタホルダ(電気接続部)が設けられている。
ヘッドカートリッジ1における記録ヘッドは、例えば、インクを吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生手段として、電気熱変換体(ヒータ)が備えられている。その記録ヘッドは、電気熱変換体が発する熱エネルギーによってインクに膜沸騰を生じさせ、そのときに生じる気泡の圧力を利用して、吐出口からインクを吐出することができる。このような電気熱変換体の発熱によるインクの発泡を利用してインク滴を吐出する方式においては、インク中において成長する気泡が吐出口を介して大気に連通されるバブルスルー方式を採用することができる。インクの吐出方式は、このような電気熱変換体を用いる方式の他、吐出エネルギー発生手段として圧電素子などを用いる種々の方式を用いることができる。また、吐出口から吐出するインク滴は10ピコリットル以下とすることもできる。吐出エネルギー発生手段と吐出口を含む構成部分を「ノズル」ともいう。
キャリッジ2は、矢印Xの主走査方向に延在するガイドシャフト3に沿って、往復移動可能に支持されている。キャリッジ2は、主走査モータ4の駆動力により、モータプーリ5、従動プーリ6、およびタイミングベルト7を含む駆動機構を介して駆動されると共に、その移動位置および移動速度が制御される。キャリッジ2にはホームポジションセンサ30が備えられており、記録装置内の定位置に備わる遮蔽板36をホームポジションセンサ30が検知したときのキャリッジ2の移動位置を基準として、キャリッジ2の移動位置を検知することができる。
プリント用紙やプラスチック薄板等の記録媒体8は、給紙モータ35の駆動力により、ギアを介してピックアップローラ31を回転させることにより、オートシートフィーダ(ASF)32から一枚ずつ給紙される。さらに記録媒体8は、搬送ローラ9の回転により、記録ヘッドの吐出口面(吐出口の形成面)と対向する位置(プリント部)を通して、矢印Yの副走査方向に搬送される。その副走査方向は、主走査方向に対して交差(本例の場合は、直交)する。搬送ローラ9は、副走査モータ34の回転によりギアを介して回転される。記録媒体8が給紙されたかどうかの判定と、その記録媒体8の頭出し位置の確定は、記録媒体8がペーパエンドセンサ33を通過した時点を基準として行われる。ペーパエンドセンサ33は、記録媒体8の後端の位置、および、記録媒体8の後端から現在の記録位置を割り出すためにも使用される。
記録媒体8は、記録位置において平坦な記録面を形成するように、その裏面がプラテン(不図示)により支持される。この場合、キャリッジ2に搭載されたヘッドカートリッジ1は、記録ヘッドの吐出口面がキャリッジ2から下方へ突出して、2組の搬送ローラ対3の間の記録媒体8と平行になるように保持される。
図2は、記録装置における制御の構成を説明するためのブロック図である。200は、装置内の各機構からの情報を取得したりコマンドを送信したりすることによって、装置全体の制御を司るコントローラである。コントローラ200には、CPU201の他に、各種プログラムを格納するROM203と、CPU201の作業用の領域および記録前のデータを各インク色ごとに格納するバッファ領域として使用されるRAM205と、が備えられている。ROM203には、上記プログラムの他に、記録制御に必要なテーブルや固定データなども格納されている。
記録装置の外部に接続されたホスト装置210は、画像データの供給源であり、記録に係る画像等のデータの作成、および処理等を行うコンピュータの形態の他、画像読み取り用のリーダ部等の形態であってもよい。画像データ、その他のコマンド、およびステータス信号等は、インターフェイス(I/F)212を介して、ホスト装置210とコントローラ200との間で送受信される。ホスト装置からコントローラ200へ送信される画像データは、600ppi(ピクセル/インチ;参考値)の多値信号であり、記録ヘッドH1000が記録媒体に記録する画像データは、1200dpiの2値信号である。すなわち、コントローラ200は、記録を実行する際、600ppiの多値信号を1200dpiの2値信号に変換する画像処理を実行する。当該処理については後に詳しく説明する。
ヘッドドライバ240は、2値の記録データに応じて記録ヘッドH1000の電気熱変換体(吐出ヒータ)25を駆動するためのドライバである。記録ヘッドH1000には、適正温度まで記録ヘッドを過熱するためのサブヒータ242も備えられている。
キャリッジモータドライバ250は、キャリッジ2を移動するキャリッジモータ4を駆動するためのドライバであり、搬送モータドライバ270は、記録媒体を副走査方向に搬送する搬送モータ34を駆動するためのドライバである。
図3は、コントローラ200のCPU201の制御下にあって、各インク色に対応するデータバッファ205の構造を示す図である。また、図4は、CPU201が実行する画像処理工程を説明するための模式図である。本例の場合は、後述するように、シアンインク用のノズル列として2つのノズル列C1,C2が含まれ、マゼンタインク用のノズル列として2つのノズル列M1,M2が含まれ、イエローインク用のノズル列として2つのノズル列Y1,Y2が含まれる。それらのノズル列C1,C2,M1,M2,Y1,Y2は、後述するように、主走査方向に沿って主走査方向に対して交差する方向に配列されている。205C1,205C2,205M1,205M2,205Y1,205Y2は、それぞれノズル列C1,C2,M1,M2,Y1,Y2に対応するバッファである。図3に示すように、プリンタドライバ211はホスト装置210に格納されたソフトであり、所望の画像データを600ppi(ピクセル/インチ)のレッド(R)、グリーン(G)、およびブルー(B)の多値の輝度データとして、コントローラ200に入力する。
次に図4を参照すると、多値の輝度データRGBを受信したコントローラ200内のCPU201は、色分解処理部206にて色分解処理を行い、これらのデータを、記録装置で用いる各インク色に対応した多値の濃度データCMYに変換する。さらに、振り分け処理部207C,207M,207Yにて、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のそれぞれの多値の濃度データ(「多値データ」ともいう)を各色のノズル列に分配するためのデータ分配処理を実行する。
図25は、データ分配処理における、各色ごとのノズル列(C1とC2、M1とM2、Y1とY2)に対するデータの分配比の一例を示した図である。縦軸は、多値の濃度データのデータ値(濃度階調)を示し、これらデータ値は、各画素内に対するインクの吐出発数に略対応している。本例の場合、濃度データは、8ビットの256階調データである。濃度階調0〜64は、600dpiの1画素にインクを0発する記録密度に相当する。濃度階調65〜192は、600dpiの1画素にインクを1発吐出してドットを形成する記録密度に相当し、濃度階調193〜255は、600dpiの1画素に2発のインクを吐出してドットを形成する記録密度に相当している。このような分配比テーブルは、コントローラ200内のROM203に予め格納されている。CPU201は、画像領域内の全画素の多値データ(画像濃度)の値を検出し、検出した値と、注目画素が記録される記録走査方向(往方向または復方向)と、に応じて上記テーブルを参照することによって、各ノズル列へのデータの分配比を定める。
例えば、注目画素のシアンインク用の多値データ(濃度階調)の値が120であった場合、CPU201は、当該画素の多値データを1:2に分配する。そして、当該画素が往方向の走査で記録される場合、走査方向前方に位置するノズル列C1に対応する多値データバッファ208C1には、濃度データの値として80(=120×2/3)を格納する。また、走査方向後方に位置するノズル列C2に対応する多値データバッファ208C2には、濃度データの値として40(=120×1/3)を格納する。一方、当該画素が復方向の走査で記録される場合には、ノズル列C1に対応する多値データバッファ208C1にデータ値40(=120×1/3)を格納し、ノズル列C2に対応する多値データバッファ208C2にデータ値80(=120×2/3)を格納する。
図3、4に戻り説明を続ける。全ノズル列に対応する多値データバッファ208C1,208C2,208M1,208M2,208Y1,208Y2への多値データの書き込みが完了すると、CPU201は、それらの多値データに対して誤差拡散処理を施す。すなわち、各ノズル列に対応する誤差拡散処理部209C1,209C2,209M1,209M2,209Y1,209Y2において、対応する多値データバッファに格納されている個々の多値データに誤差拡散処理を施し、それぞれを2値データに変換する。そして、それぞれの2値データを対応するバッファ205C1,205C2,205M1,205M2,205Y1,205Y2に格納する。本例の場合、それらの2値データは、1200dpiの1ビット信号である。それぞれのバッファに格納された2値データは、CPU201によって、記録走査の単位でヘッドドライバ240に転送される。そして、それらの2値データに基づいて、吐出エネルギー発生手段としての吐出ヒータを駆動することによって、各記録走査においてインクの吐出動作が実行される。
図5(a)から(d)は、記録ヘッドのノズルNから吐出されるインク滴の経時変化の説明図である。ノズルNから吐出されてインク滴は、時間が経過するにつれて、主滴11と、複数の微小なサテライト群12とに分かれる。
図6は、ヘッドカートリッジ1における記録ヘッドの構成を説明するための模式図である。同図において、100は、シアンインク(C)を吐出する第1のノズル列(以降、「ノズル列C1」ともいう)、101は、マゼンタインク(M)を吐出する第1のノズル列(以降、「ノズル列M1」ともいう)である。102は、イエローインク(Y)を吐出する第1のノズル列(以降、「ノズル列Y1」ともいう)、103は、イエローインク(Y)を吐出する第2のノズル列(以降、「ノズル列Y2」ともいう)である。104は、マゼンタインク(M)を吐出する第2のノズル列(以降、「ノズル列M2」ともいう)、105は、シアンインク(C)を吐出する第2のノズル列(以降、「ノズル列C2」ともいう)である。さらに、ブラックインク(Bk)を吐出するノズル列を加えてもよい。それぞれのノズル列は、同じ記録ヘッドに形成する他、個別の記録ヘッドに形成することができる。
110は、ノズル列C1におけるシアンインクの吐出ノズル、111は、ノズル列C2におけるシアンインクの吐出ノズルである。112は、ノズル列M1におけるマゼンタインクの吐出ノズル、113は、ノズル列M2におけるマゼンタインクの吐出ノズルである。114は、ノズル列Y1におけるイエローインクの吐出ノズル、115は、ノズル列Y2におけるイエローインクの吐出ノズルである。
それぞれのノズル列におけるノズルは、主走査方向に対して交差する方向(本例の場合は、直交する方向)に配列されている。それらのノズルは、吐出タイミングとの関係から、主走査方向に対して多少斜めに配列される場合もある。また、これらのノズル列は、主走査方向に並ぶように配列されている。また、それぞれのノズル列の間隔は、1mmとなっている。
本例の場合、それぞれのノズル列において、ノズルの配列密度は600dpi、走査方向の記録解像度は1200dpi、ノズル数は256、吐出ノズルから吐出される吐出量は5plであり、図6においては8つのノズルを代表的に現している。また、キャリッジの走査速度は25inch/sであり、記録ヘッドの駆動周波数(インク滴の吐出周波数)は15khzである。図6中の横方向の破線Lは、画像のピクセルを形成する主走査のライン、すなわちラスターを示す。
また本例において、単位記録領域に対するインクの付与量つまり記録デューティは、記録ヘッドの1走査によって記録される単位記録領域(以下、「1走査当りの記録領域」ともいう)に対するインクの付与量である。このような記録デューティは、シアン、マゼンタ、およびイエローのインク毎に、記録データに基づいて算出することができる。例えば、1走査当りの記録領域を形成する複数の単位領域毎に、ドットの形成数(インク滴の吐出数)をカウントし、それらの単位領域毎のカウント値を合計して、1走査当りの記録領域に形成される総ドット数を算出する。そして、その総ドット数が、1走査当りの記録領域内に形成可能なドット数に占める割合を記録デューティとすることができる。例えば、単位領域を600×600dpiに相当する領域(42.3μm×42.3μm)とし、その領域内に2ドットを形成することができる。その場合、単位記録領域内の全ての単位領域内に2ドットが形成されるときに、それらのドットを形成するインクに関しては、記録デューティが100%となる。
1パス記録方式の場合には、このような記録デューティをそのまま用いる。2パス記録を行う場合には、1パス記録のときの記録デューティの1/2を記録デューティとして用いる。つまり、所定領域の画像を2以上(N)の走査で記録するマルチパス記録方式(マルチパス記録モード)において、N回の走査で記録するNパス記録のときの1走査当たりの記録デューティは、1パス記録のときの記録デューティの1/Nとして用いる。マルチパス記録モードは、所定領域の画像を記録ヘッドの複数回の走査によって記録可能な記録モードである。
本実施形態においては、ノズル列C1,M1,Y1,Y2,M2,C2の位置関係を考慮して、シアン、マゼンタ、およびイエローのインクに対応する多値データを、図25に示す分配テーブルに従ってそれぞれのノズル列に分配する。尚、本実施形態では、ノズル列間の距離が近いほど、気流の影響が大きくなってミストが記録ヘッドに付着しやすくなる傾向に鑑みて、分配されるデータ値の差がシアン、マゼンタ、イエローの順に大きくなるように、分配比を設定している。ただし、本発明はこれに限定されるものでなく、全ての色の分配比が同じでも良い。
図7は、多値データの分配処理を説明するためのフローチャートである。
まず、次の走査で記録されるデータに基づいて、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれの色のインクによる記録デューティDC,DM,DYを算出する(S101)。次に、それぞれのインク色毎の記録デューティの中に、所定の閾値を超えるものがあるか否かを判定する(S102)。
ステップS102の判定でYesの場合は、所定の閾値を越えた記録デューティーが2つ以上か否かを判定する(S103)。そして、ステップS103で2つ以上と判断されれば、ステップS105に進み、記録デューティが所定の閾値を超える多値データについては、図25の分配テーブルに従って分配する。例えば、シアンとマゼンタのインクの記録デューティが所定の閾値を超えていた場合、シアンの多値データは、そのデータ値が65以上の画素に関しては、ノズル列C1,C2に対して2:1または1:2の割合でデータ値を分配する。一方、データ値が65以下の画素に関しては、気流の影響があまり大きくないため、ノズル列C1,C2に対して1:1の割合でデータ値を分配する。
また、ステップS103において、所定の閾値を越えた記録デューティーが2つ以上と判断されなかった場合には、ステップS104へと進み、イエロー(Y)インクによる記録デューティが所定の閾値を超えているか否かを判断する。イエロー(Y)インクによる記録デューティが所定の閾値を超えていると判断されれば、ステップS106へと進み、イエローインクの多値データのみが、図25に示される分配テーブルに従って分配される。これにより、ノズル列間の距離が短いために、特に気流の影響を受けやすいイエローインクのミストの影響を軽減することができる。
ステップS104の判定でNoと判断されると、ステップS107へと進み、全てのインクの多値データの分配比が1:1に固定される。ステップS105,S106,S107でデータ値の分配比が設定されると、ステップS108において、設定された分配比に従って、多値データが各ノズル列に分配される。その後、その分配された多値データを2値データに変換し、その2値データに基づいて、各ノズル列からインクを吐出することによって記録が行われる。その後、ステップS109により、次に記録されるバンドがあるか否かを判定し、その判定結果がYesの場合はステップS101に戻り、Noの場合は処理を終了する。
ステップS102の判定において、記録デューティが所定の閾値を超えるものがなければ、ステップS107へと進み、全ていのインクのデータの分配比は1:1に固定される。
このように多値データを分配することにより、ノズル列C1,M1,Y1,Y2,M2,C2の配列において、互いに隣接する2つのノズル列の内、一方はデータ値の分配率が多く、他方はデータ値の分配率が少なくなる。すなわち、ノズル列C1,Y1,M2に対するデータ値の分配率は多く、ノズル列M1,Y2,C2に対するデータ値の分配率は少ない。インク色C,M,Y毎に対応するノズル列は3つ以上(M)ずつ備えてもよい。
次に、記録ヘッドの具体的な第1および第2の制御例について説明する。
(第1の制御例)
図8(a),(b)は、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれのインクによる記録デューティが75%、50%、25%のときに、2パスの双方向記録方式(2パスの双方向記録モード)によって画像を記録する場合の説明図である。図8(a)は往走査時におけるノズルの駆動状況の説明図、図8(b)は復走査時におけるノズルの駆動状況の説明図であり、図中の黒丸が駆動ノズルを示す。2パスの双方向記録方式において、所定の記録領域の画像は、往路方向の走査(往走査)と復路方向の走査(復走査)との2回の走査(2パス)によって完成される。この2パス記録方式においては、記録デューティDC,DM,DYは、37.5(=75/2)%、25(=50/2)%、12.5(=25/2)%となる。
ノズル列C1,M1,Y1,Y2,M2,C2は、それらが吐出するインク色がシアン,マゼンタ,イエロー、イエロー,マゼンタ,シアンのように対称に配置されている。そのため、往復走査において、2次色を記録する場合にもインクの打ち込み順序は同じとなり、インクの打ち込み順序の違いによる発色の差は現れない。
本例では、シアン、マゼンタのインクによる記録デューティが所定の閾値より高く、イエローによる記録デューティが所定の閾値より低い。したがって、往走査時においては図8(a)のように、シアンインク用の多値データは、そのデータ値の大きい画素に関しては、ノズル列C1,C2に対して2:1の割合で分配される。その結果、ノズル列C1の記録デューティは約25%,ノズル列C2の記録デューティは約12.5%になる。同様に、マゼンタインク用の多値データは、そのデータ値の大きい画素に関しては、ノズル列M1,M2に対して1:3の割合で分配される。一方、イエローインク用の多値データは、ノズル列Y1,Y2に対する分配比が1:1で固定され、全画素についてデータが均等に分配される。
図8(a)を参照すると分かるように、単位記録領域内のそれぞれのカラムにおいて駆動されるノズル数は、ノズル列C1、M2が特に多い。がしたがって、ノズル列C1,M2の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなる。前述した図21は、ノズル列L1,L2の記録デューティがノズル列M2と同様のときに生じる気流の様子を示す。本例においても、データの分配率が高いために記録デューティが高くなるノズル列C1,M2の吐出口近傍には、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、記録デューティの高いノズル列C1,M2の間の距離が4mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。その結果、ノズル列C1,M2から吐出されたサテライト12(図3(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8からの跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
一方、復走査時は、ノズル列C1,C2に対する記録デューティの分配関係、ノズル列M1,M2に対する多値データの分配関係、ノズル列Y1,Y2に対する多値データの分配関係をそれぞれ逆転させる。すなわち、図8(b)のように、データ値の大きい画素に関しては、シアンインク用の多値データはノズル列C1,C2に対して1:2の割合で分配され、マゼンタインク用の多値データはノズル列M1,M2に対して3:1の割合で分配される。また、イエローインク用の多値データは、ノズル列Y1,Y2に対する分配比が1:1で固定され、全画素についてデータが均等に分配される。
図8(b)を参照すると分かるように、単位記録領域内のそれぞれのカラムにおいて駆動されるノズル数は、ノズル列C2、M1が特に多い。
したがって復走査時は、ノズル列C2,M1の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなる。しかし、それらの記録デューティの高いノズル列C2,M1の間の距離が4mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。その結果、ノズル列C2,M1から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8からの跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
以上のように、インク吐出用のデータとしての多値データを分配することにより、前述した図22(a),(b)の場合と同様に、記録デューティの高いノズル列の間の距離を大きくして、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量を小さく抑えることができる。この結果、ミストやその集合体が吐出口を塞いだ場合に生じるインクの不吐出を軽減することができる。
なお、往走査時と復走査時とで、各色ノズル列ごとの多値データの分配関係を逆転させることは必須ではないが、逆転させることで、ノズル列ごとの使用頻度の偏りを低減することが可能となる。
なお、上述の説明では、多値データのデータ値を同色の複数のノズル列に分配する例を示したが、2値化処理後の2値データを分配するようにしてもよい。この場合には、例えば、2値データにおける複数の画素ごとに、データ値(ドット数に相当)と走査方向とに応じて決定される分配比に従って、各色インクの2値データを各ノズル列に分配させればよい。
また、記録デューティが所定の閾値を超えた多値データについては、そのデータ値が大きい画素(データ値が65以上の画素)に関しては分配比を1:1以外に設定し、そのデータ値が64以下の画素に関しては分配比を1:1に設定した。このように、気流の影響が特に大きい画素に着目して、ノズル列間においてデータの分配率に差をつけることで、ノズル使用の偏りを抑制しつつ、ミスト付着を軽減することが可能となる。しかし、記録デューティが所定の閾値を超えた多値データについては、そのデータ値によらず、全画素についてデータの分配率に差をつけるように、データ値を分配するようにしてもよい。
(第2の制御例)
図9(a),(b)は、マゼンタ、イエローのそれぞれのインクによる記録デューティが100%のときに、2パスの双方向記録方式によって画像を記録する場合の説明図である。記録デューティDM,DYのそれぞれは50(100/2)%となる。
本例の場合、往走査時には、図9(a)に示すように、ノズル列M1,M2の内のノズル列M1のみで記録をさせるように設計された分配テーブル(不図示)に従って、マゼンタのノズル列M1にデータが分配される。同様に、ノズル列Y1,Y2の内のノズル列Y2のみで記録をさせるように設計された分配テーブル(不図示)に従って、イエローインク用の多値データが分配される。単位記録領域内のそれぞれのカラムにおいて駆動されるノズル数は、記録デューティが50%のときには、全ノズルの256となる。したがって往走査時は、データの分配率が高くて、記録デューティが高くなるノズル列M1,Y2の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列M1,Y2の間の距離が2mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。その結果、ノズル列M1,Y2から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
一方、復走査時は、ノズル列M1,M2に対する多値データの分配関係、およびノズル列Y1,Y2に対する多値データの分配関係を逆転させる。すなわち、図9(b)のように、ノズル列M1,M2の内のノズル列M2のみで記録をさせるように設計された分配テーブル(不図示)に従って、マゼンタインク用の多値データが分配される。同様に、ノズル列Y1,Y2の内のノズル列Y1のみで記録をさせるように設計された分配テーブル(不図示)に従って、イエローインク用の多値データが分配される。したがって復走査時は、記録デューティが高いノズル列M2,Y1の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列M2,Y1の間の距離が2mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。その結果、ノズル列M2,Y1から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
以上のように多値データを分配することにより、前述した図23(a),(b)の場合と同様に、記録デューティの高いノズル列の間の距離を大きくして、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量を小さく抑えることができる。この結果、ミストやその集合体が吐出口を塞いだ場合に生じるインクの不吐出を防止することができる。また、マゼンタおよびイエローインクの打ち込み順序は、図9(a),(b)の往復のいずれの走査時においてもイエローインク、マゼンタインクの順となり、インクの打ち込み順序の違いによる発色の差は現れない。
(第1の比較例)
図10(a),(b)は、第1の比較例を説明するための図である。この比較例の場合は、2パスの双方向記録方式において、往走査時には図10(a)のようにノズル列C1,M1,Y1のみに多値データを分配する。また、復走査時には、図10(b)のようにノズル列C2,M2,Y2のみに多値データを分配するための分配テーブル(不図示)を用いる。
往走査時は、図10(a)のように、ノズル列C1,M1の記録デューティが高くなり、それらの吐出口近傍の減圧傾向が大きくなって、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。それらのノズル列C1,M1の間の距離は1mmと短いために、それらの間には気流の逃げ道が生じいくい。その結果、それらのノズル列C1,M1から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に多量に付着するおそれがある。
一方、復走査時は、図10(b)のように、ノズル列C2,M2の記録デューティが高くなり、それらの吐出口近傍の減圧傾向が大きくなって、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。それらのノズル列C2,M2の間の距離は1mmと短いために、それらの間には気流の逃げ道が生じいくい。その結果、それらのノズル列C2,M2から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に多量に付着するおそれがある。
このように記録ヘッドの吐出口面に多量のミストが付着することにより、そのミストやその集合体が吐出口を塞いで、インクの不吐出を招くおそれがある。
(第2の比較例)
図11(a),(b)は、第2の比較例を説明するための図である。この比較例の場合は、2パスの双方向記録方式において、往走査時には図11(a)のようにノズル列M1,Y1のみにデータを分配し、復走査時には図11(b)のようにノズル列M2,Y2のみにデータを分配するための分配テーブル(不図示)を用いる。
往走査時は、図11(a)のように、ノズル列M1,Y1の記録デューティがいずれも高く、それらの吐出口近傍の減圧傾向が大きくなる。また往走査時は、図11(b)のように、ノズル列M2,Y2の記録デューティがいずれも高く、それらの吐出口近傍の減圧傾向が大きくなる。ノズル列M1,Y1の間の距離、およびノズル列M2,Y2の間の距離は、いずれも1mmと短いために、それらの間には気流の逃げ道が生じいくい。その結果、往走査および復走査において、それらのノズル列から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に多量に付着するおそれがある。このように記録ヘッドの吐出口面に多量のミストが付着することにより、そのミストやその集合体が吐出口を塞いで、インクの不吐出を招くおそれがある。
(第2の実施形態)
本実施形態における記録ヘッド部は、図12(a),(b)のように、それぞれのノズル列におけるノズルの配列密度は600dpiである。また、ノズル列C1、M1,Y1のノズルに対して、ノズル列C2,M2,Y2のノズルが副走査方向に1/2ピッチ分だけずれている。この結果、ノズル列C1,C2による副走査方向の記録密度は1200dpiとなる。同様に、ノズル列M1,M2による副走査方向の記録密度、およびノズル列Y1,Y2による副走査方向の記録密度も1200dpiとなる。それぞれのノズル列の間隔は、1mmである。それぞれのノズル列において、ノズル数は256、吐出ノズルから吐出される吐出量は5plであり、図4においては8つのノズルを代表的に現している。また、記録ヘッドの最大可能駆動周波数(インク滴の吐出周波数)は30khzである。図12(a)中の横方向の破線Lは、画像のピクセルを形成する主走査のライン、すなわちラスターを示す。本例の場合は、1200×1200dpiを基準とする単位領域に対して、記録データに基づいてドットを形成することができる。さらに、本実施形態の記録装置では、第1の実施形態と異なり、2段階の量子化処理を備えている。
図26は、コントローラ200において、CPU201が実行する画像処理工程を説明するための模式図である。多値の輝度データRGBを受信したコントローラ200内のCPU201は、色分解処理部206によって、その輝度データRGBを600ppiの状態で色分解処理を行い、記録装置で用いるインク色に対応した600ppiの多値濃度データCMYを得る。その後、インク色ごとに対応する量子化処理部213C,213M,213Yによって多値量子化処理を実行し、256階調の濃度データを0〜2レベルで表される600ppiの3階調の濃度データに変換する。さらに、インク色ごとに対応するインデックス展開処理部214C,214M,214Yによってインデックス展開処理を行って、600ppiの3値の濃度データを1200dpiの2値データに変換する。その後、それぞれの2値データをバッファ205C1,205C2,205M1,205M2,205Y1,205Y2に格納する。
本実施形態では、上記のインデックス展開処理を実行する際に参照するインデックスパターンに特徴がある。
図27(a),(b),(c)は、インデックスパターンを説明するための図である。
図27(c)のインデックスCは、記録デューティが低いときに用いるインデックスパターンを示している。同図中の左側に示した0〜2の値は、インデックス展開処理部への入力値、すなわち多値量子化処理の出力値のレベルである。同図中右側のパターンは、600ppiの1画素領域に相当する、1200dpiの2×2の4画素を示している。1200dpiの個々の画素に示される丸印は、それが位置する画素が、インクの吐出によってドットが形成される記録画素であることを示している。その丸印が示されていない画素は、それが、インクが吐出されない非記録画素であることを示している。丸印が示された記録画素の数は、レベルが上がるにつれて増える。
インデックスCにおいて、レベルが0の場合には、2×2画素内におけるドットの配置方法は1通りである(0A)。これに対し、レベルが1の場合は、2通りのドットの配置方法がある(1A,1B)。また、レベルが2の場合、2×2画素内のドットの配置方法は一通りである(2B)。本実施形態においては、レベルが1の場合に、これら2通りのドット配置パターン(1A,1B)をシーケンシャルまたはランダムに用いる。
図27(a)のインデックスAおよび図27(b)のインデックスBは、記録デューティが高いときに用いるインデックスパターンを示している。これらのインデックスA,Bにおいて、レベル0のときのドットの配置パターンはインデックスCと同じであるが、レベル1〜2のときのドットの配置パターンは、インデックスCとは異なり1通りのパターンが用意されている。2×2画素のパターンにおいて、上段を偶数列(Even)、下段を奇数列(Odd)とすると、インデックスAはOddに記録画素が偏るように設計されている。一方、インデックスBは、Evenに記録画素が偏るように設計されている。このようなインデックスA,B,Cは、記録装置のROM203に格納されており、CPU201は、各種条件やレベル値に基づいて適切なパターンをROM203から選択する。
図12(a),(b)を参照すると分かるように、本実施形態では、ノズル列C1が偶数列(Even)を記録し、ノズル列C2が奇数列(Odd)を記録する。よって、ノズル列C1からのインクの吐出回数を高めたい場合にはインデックスBを選択し、ノズル列C2からのインクの吐出回数を高めたい場合にはインデックスAを選択すればよい。これにより、各ノズル列の吐出回数を実質的に調整することができる。
各記録走査においては、走査方向に応じて、インデックスdexAとインデックスBを選択的に使用する。すなわち、往方向の走査で記録する場合は、先行するノズル列C2の記録デューティを抑えるために、インデックスBに従ってインデックス展開処理を行う。一方、復方向の走査で記録する場合は、先行するノズル列C1の記録デューティを抑えるために、インデックスAに従ってインデックス展開処理を行う。
再度図26を参照するに、インデックス展開処理によって2値化された各インク色ごとの2値データは、ノズル列ごとに分けられて、それぞれのノズル列に対応するRAM205内のバッファ205C1から205Y2内に格納される。それらの格納された2値データは、CPU201によって、記録走査の単位でヘッドドライバ(図2参照)に転送される。そして、それらの2値データに基づいて、吐出エネルギー発生手段としての吐出ヒータを駆動することによって、各記録走査においてインクの吐出動作が実行される。
以上説明したように、本実施形態では、インデックスパターンを複数用意しておいて、走査方向(往方向あるいは復方向)に応じて、使用するインデックスパターンを選択する。このような構成は、多値の濃度データの値を検出して、そのデータ値を2列のノズル列に分配する第1の実施形態の構成に比べて、より簡易な構成とすることができる。
図12(a),(b)は、シアンおよびマゼンタインクによる記録デューティが100%のとき、つまり、それらのインクによる2次色を最大濃度に記録するときの説明図である。その画像は、前述した実施形態と同様に、2パスの双方向記録方式によって記録する。記録デューティDC,DMのそれぞれは50(100/2)%となる。
本例の場合、往走査時において、シアンおよびマゼンタインク吐出用のデータの処理に用いるインデックスパターンは、図27(b)のインデックスB中の2A、および図27(a)のインデックスA中の2Cである。したがって図12(a)のように、ノズル列C1,M2の記録デューティが高くなり、ノズル列M1,C2の記録デューティが低くなる。したがって往走査時は、記録デューティが高いノズル列C1,M2の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列C1,M2の間の距離が4mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。その結果、それらのノズル列C1,M2から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
一方、復走査時は、シアンおよびマゼンタインク吐出用のデータの処理に用いるインデックスパターンは、図27(a)のインデックスA中の2C、および図27(b)のインデックスB中の2Aである。ノズル列C1,C2に対する記録画素の分配関係、およびノズル列M1,M2に対する記録画素の分配関係を逆転させる。すなわち図12(b)のように、ノズル列C2,M1の記録デューティは高くなり、ノズル列C1,M2の記録デューティは低くなる。したがって復走査時は、記録デューティが高いノズル列C2,M1の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列C2,M1の間の距離が4mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。その結果、それらのノズル列C2,M1から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
以上のように、ノズル列ごとにインデックスパターンを選択することにより、前述した図22(a),(b)の場合と同様に、記録デューティの高いノズル列の間の距離を大きくして、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量を小さく抑えることができる。この結果、ミストやその集合体が吐出口を塞いだ場合に生じるインクの不吐出を防止することができる。
また、シアンおよびマゼンタインクの打ち込み順序は、図12(a),(b)の往復のいずれの走査時においてもマゼンタインク、シアンインクの順となり、インクの打ち込み順序の違いによる発色の差は現れない。
また、本例のようにシンアとマゼンタインクによって2次色を記録するときには、上述した場合とは逆に、往走査時に図12(b)のようにノズル列M1,C2を用い、復走査時に図12(a)のようにノズル列C1,M2を用いてもよい。
また、マゼンタとイエローインクによって2次色を記録する場合も同様に、往走査時にノズル列Y1,M2を用い、復走査時にノズル列Y2,M1を用いることにより、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量を抑えて、インクの不吐出を防止することができる。また逆に、往走査時にノズル列Y2,M1を用い、復走査時にノズル列Y1,M2を用いてもよい。
(第3の比較例)
本比較例は、上述した第2の実施形態と同様の記録ヘッドを用いて、シアンおよびマゼンタのインクによる記録デューティが100%のとき、つまり、それらのインクによる2次色を最大濃度に記録するときの例である。その画像は、前述した実施形態と同様に、2パスの双方向記録方式によって記録する。記録デューティDC,DMのそれぞれは50(100/2)%である。
本例の場合は、往復のいずれの走査時においても、シアンおよびマゼンタインク吐出用のデータの処理に用いるインデックスパターンは、図27(c)のインデックスC中の2Bと0Aであり、ノズル列C1,C2,M1,M2を平均的に用いる。そのため、ノズル列C1,C2,M1,M2の記録デューティは、それぞれ、往復のいずれの走査時においてもある程度高い。
往走査時は、図13(a)のように、ノズル列C1,C2,M1,M2の記録デューティがいずれもある程度高い。そのため、それらの吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。ノズル列C1,M1の間の距離、およびノズル列C2,M2の間の距離は、いずれも1mmと短いために、それらの間には気流の逃げ道が生じいくい。その結果、それらのノズル列から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に多量に付着するおそれがある。
同様に、復走査時も図13(b)のように、ノズル列C1,C2,M1,M2の記録デューティがある程度高い。そのため、それらのノズル列から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に多量に付着しやすい。
このように記録ヘッドの吐出口面に多量のミストが付着することにより、そのミストやその集合体が吐出口を塞いで、インクの不吐出を招くおそれがある。
マゼンタとイエローインクによって2次色を記録するときに、本例と同様に、ノズル列M1,M2,Y1,Y2の記録デューティを往復のいずれの走査時においても25%とした場合には、記録ヘッドの吐出口面に多量のミストが付着するおそれがある。そのため、インクの不吐出を招くおそれがある。
(第3の実施形態)
本実施形態の記録ヘッド(図15参照)において、ノズル列C1には、相対的に大きいシアンのインク滴を吐出する大ノズル110Aと、相対的に小さいシアンのインク滴を吐出する小ノズル110Bと、が交互に配列されている。同様に、ノズル列M1には大ノズル111Aと小ノズル111Bとが交互に配列され、ノズル列Y1には大ノズル112Aと小ノズル112Bとが交互に配列されている。同様に、ノズル列Y2には大ノズル113Aと小ノズル113Bとが交互に配列され、ノズル列M2には大ノズル114Aと小ノズル114Bとが交互に配列され、ノズル列C2には大ノズル115Aと小ノズル115Bとが交互に配列されている。また、同一ラスターL上において、ノズル列C1,C2のノズルの一方は大ノズルであり、他方は小ノズルである。同様に、同一ラスターL上において、ノズル列M1,M2のノズルの一方は大ノズルであり、他方は小ノズルであり、またノズル列Y1,Y2のノズルの一方は大ノズルであり、他方は小ノズルである。
本例の場合、それぞれのノズル列において、ノズルの配列密度(ノズルピッチ)は600dpiである。したがって、それぞれのノズル列において、大ノズルのピッチは300dpiであり、小ノズルのピットも300dpiである。また、それぞれのノズル列において、大ノズルおよび小ノズルの数はそれぞれ128であり、大ノズルは8plのインク滴を吐出し、小ノズルは2plのインク滴を吐出する。図14(a),(b)においては、8つのノズルを代表的に現している。記録ヘッドの駆動周波数(インク滴の吐出周波数)は15khzである。図14(a)中の横方向の破線Lは、画像のピクセルを形成する主走査のライン、すなわちラスターを示す。
図14(a),(b)は、シアンおよびマゼンタインクによる記録デューティが100%のとき、つまり、それらのインクによる2次色を最大濃度に記録するときの説明図である。その画像は、前述した実施形態と同様に、2パスの双方向記録方式によって記録する。記録デューティDC,DMのそれぞれは50(100/2)%となる。
本例の場合、往走査時において、図14(a)に示すように、ノズル列C1,C2の内のノズル列C1のみで記録させるように設計された分配テーブル(不図示)に従って、シアンインク吐出用のデータの値が分配される。マゼンタインク用のノズル列についても同様に、ノズル列M1,M2の内のノズル列M2のみで記録させるように設計された分配テーブル(不図示)に従って、マゼンタインク吐出用のデータの値が分配される。
したがって往走査時は、記録デューティが高いノズル列C1,M2の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列C1,M2の間の距離が4mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。その結果、それらのノズル列C1,M2から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
一方、復走査時は、ノズル列C1,C2に対する記録デューティの分配関係、およびノズル列M1,M2に対する記録デューティの分配関係を逆転させる。すなわち、図14(b)のように、ノズル列C1,C2の内のノズル列C2のみで記録させるように設計された分配テーブル(不図示)に従って、シアンインク吐出用のデータの値が分配される。同様に、ノズル列M1,M2の内のノズル列M1のみで記録させるように設計された分配テーブル(不図示)に従って、マゼンタインク吐出用のデータの値が分配される。
したがって復走査時は、記録デューティが高いノズル列C2,M1の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列C2,M1の間の距離が4mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。その結果、それらのノズル列C2,M1から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
以上のようにデータ値を分配することにより、前述した図22(a),(b)の場合と同様に、記録デューティの高いノズル列の間の距離を大きくして、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量を小さく抑えることができる。この結果、ミストやその集合体が吐出口を塞いだ場合に生じるインクの不吐出を防止することができる。
また、シアンおよびマゼンタインクの打ち込み順序は、図14(a),(b)の往復のいずれの走査時においてもマゼンタインク、シアンインクの順となり、インクの打ち込み順序の違いによる発色の差は現れない。
(第4の比較例)
本比較例は、上述した第3の実施形態と同様の記録ヘッドを用いて、シアンおよびマゼンタのインクによる記録デューティが100%のとき、つまり、それらのインクによる2次色を最大濃度に記録するときの例である。その画像は、前述した実施形態と同様に、2パスの双方向記録方式によって記録する。記録デューティDC,DMのそれぞれは50(100/2)%である。
本例の場合は、往復のいずれの走査時においてもノズル列C1,C2,M1,M2を平均的に用いる。そのため、ノズル列C1,C2,M1,M2の記録デューティは、それぞれ、往復のいずれの走査時においてもある程度高い。
往走査時は、図15(a)のように、ノズル列C1,C2,M1,M2の記録デューティがいずれも高い。そのため、それらの吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。ノズル列C1,M1の間の距離、およびノズル列C2,M2の間の距離は、いずれも1mmと短いために、それらの間には気流の逃げ道が生じいくい。その結果、それらのノズル列から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に多量に付着するおそれがある。
同様に、復走査時も図15(b)のように、ノズル列C1,C2,M1,M2の記録デューティがいずれもある程度高い。そのため、それらのノズル列から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に多量に付着するおそれがある。
このように本比較例においては、図16のように、記録ヘッドの吐出口面に多量のミストが付着し、そのミストやその集合体が吐出口を塞いでインクの不吐出を招くおそれがある。
マゼンタとイエローインクによって2次色を記録するときに、本例と同様に、ノズル列M1,M2,Y1,Y2の記録デューティを往復のいずれの走査時においても25%とした場合には、記録ヘッドの吐出口面に多量のミストが付着するおそれがある。そのため、インクの不吐出を招くおそれがある。
(第4の実施形態)
本実施形態において用いる記録ヘッドは、上述した第2の実施形態における図12と同様の構成である。すなわち、図17のように、それぞれのノズル列におけるノズルの配列密度は600dpiであり、かつノズル列C1、M1,Y1のノズルに対して、ノズル列C2,M2,Y2のノズルが副走査方向に1/2ピッチ分だけずれている。この結果、ノズル列C1,C2による副走査方向の記録密度、ノズル列M1,M2による副走査方向の記録密度、およびノズル列Y1,Y2による副走査方向の記録密度は、それぞれ1200dpiとなる。図17(a),(b)においては、8つのノズルを代表的に現している。
本例においては、1パスの双方向記録方式によって、シアンおよびマゼンタのインクによる2次色を記録する。1パスの双方向記録方式において、所定の記録領域の画像は、往路方向の1回の走査(往走査)、および復路方向の1回の走査(復走査)によって完成される。図17(a)は、往走査時におけるノズルの駆動状況の説明図、図17(b)は、復走査時におけるノズルの駆動状況の説明図である。
図17(a),(b)Bは、シアンおよびマゼンタのインクによる記録デューティのそれぞれが125%のときの説明図であり、それらのインクによる2次色の画像を1パスの双方向記録方式によって記録する。したがって、記録デューティDC,DMのそれぞれは125%となる。
本例の場合、往走査時においては、図17(a)のように、ノズル列C1,M2の記録デューティが高くなり、ノズル列M1,C2の記録デューティが低くなる。したがって往走査時は、記録デューティが高いノズル列C1,M2の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列C1,M2の間の距離が4mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。また、それらのノズル列C1,M2から1mmしか離れていないノズル列M1,C2は、記録デューティが低いために、それらのノズル列M1,C2の吐出口近傍にも気流の逃げ道が生じる。これらの結果、それらのノズル列C1,C2,M1,M2から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
一方、復走査時は、ノズル列C1,C2に対するデータ値の分配関係、およびノズル列M1,M2に対するデータ値の分配関係を逆転させる。すなわち図17(b)のように、ノズル列C1,M2の記録デューティは低くなり、ノズル列M1,C2の記録デューティは高くなる。したがって復走査時は、記録デューティが高いノズル列C2,M1の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列C2,M1の間の距離が4mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。また、それらのノズル列C2,M1から1mmしか離れていないノズル列M2,C1は、記録デューティが低いために、それらのノズル列M2,C1の吐出口近傍にも気流の逃げ道が生じる。これらの結果、それらのノズル列C1,C2,M1,M2から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
以上のようにデータ値を分配することにより、前述した図22(a),(b)の場合と同様に、記録デューティの高いノズル列の間の距離を大きくして、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量を小さく抑えることができる。この結果、ミストやその集合体が吐出口を塞いだ場合に生じるインクの不吐出を防止することができる。
また、シアンおよびマゼンタインクの打ち込み順序は、図17(a),(b)の往復のいずれの走査時においても同じ順序となり、インクの打ち込み順序の違いによる発色の差は現れない。
また、本例のようにシンアとマゼンタインクによって2次色を記録するときに、上述した場合とは逆に、往走査時に図17(b)のようにノズル列を用い、復走査時に図17(a)のようにノズル列を用いてもよい。
また、マゼンタとイエローインクによって2次色を記録する場合も同様に、往走査時にノズル列Y1,M2を用い、復走査時にノズル列Y2,M1を用いることにより、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量を抑えて、インクの不吐出を防止することができる。また逆に、往走査時にノズル列Y2,M1を用い、復走査時にノズル列Y1,M2を用いてもよい。
(第5の実施形態)
図18(a),(b)は、前述した第4の実施形態と同様の記録ヘッドを用いて、マゼンタとイエローのインクによる2次色の画像を1パスの双方向記録方式によって記録する場合の説明図である。本例の場合、マゼンタおよびイエローのインクによる記録デューティのそれぞれは125%である。したがって、記録デューティDM,DYのそれぞれは125%となる。
本例の場合、往走査時においては、ノズル列M1,Y2の記録デューティは低くなり、ノズル列Y1,M2の記録デューティが高くなる。したがって往走査時は、記録デューティが高いノズル列Y1,M2の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列Y1,M2の間の距離が2mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。また、それらのノズル列Y1,M2から1mmしか離れていないノズル列M1,Y2は、記録デューティが低いため、図19のように、それらのノズル列M1,Y2の吐出口近傍には矢印A方向の気流の逃げ道が生じる。これらの結果、それらのノズル列M1,M2,Y1,Y2から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
一方、復走査時は、ノズル列M1,M2に対するデータ値の分配関係、およびノズル列Y1,Y2に対するデータ値の分配関係を逆転させる。すなわち図18(b)のように、ノズル列M1,Y2の記録デューティは高くなり、ノズル列Y1,M2の記録デューティは低くなる。したがって復走査時は、記録デューティが高いノズル列M1,Y2の吐出口近傍の減圧傾向が大きくなり、図21のように、記録媒体から上方に巻き上げる気流が発生する。
しかし、それらのノズル列M1,Y2の間の距離が2mmと大きいために、それらの間に気流の逃げ道が生じる。また、それらのノズル列M1,Y2から1mmしか離れていないノズル列Y1,M2は、記録デューティが低いため、図20のように、それらのノズル列Y1,M2の吐出口近傍には矢印B方向の気流の逃げ道が生じる。これらの結果、それらのノズル列C1,C2,M1,M2から吐出されたサテライト12(図5(a)から(d)参照)、および主滴11の一部が記録媒体8から跳ね返ったミストは、記録ヘッドの吐出口面に付着しにくくなる。
以上のように記録デューティを分配することにより、前述した図22(a),(b)の場合と同様に、記録デューティの高いノズル列の間の距離を大きくして、記録ヘッドの吐出口面に付着するミスト量を小さく抑えることができる。この結果、ミストやその集合体が吐出口を塞いだ場合に生じるインクの不吐出を防止することができる。
また、マゼンタおよびイエローインクの打ち込み順序は、図18(a),(b)の往復のいずれの走査時においても同じ順序となり、インクの打ち込み順序の違いによる発色の差は現れない。
また、本例のようにマゼンタとイエロータインクによって2次色を記録するときに、上述した場合とは逆に、往走査時に図18(b)のようにノズル列を用い、復走査時に図18(a)のようにノズル列を用いてもよい。
(他の実施形態)
本発明は、いわゆるシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置に対して広く適用することができる。その記録装置は、インクを吐出可能な複数のノズル列が並列に形成された記録ヘッドを用い、それら複数のノズル列と交差する主走査方向における記録ヘッドの移動を伴って、記録媒体に画像を記録することができればよい。
本発明は、インク吐出用の多値データまたは2値データを、そのインクに対応する複数のノズル列に異なる分配比によって分配可能であって、その分配されたデータに基づいて記録ヘッドからインクを吐出させることができればよい。これらの機能の少なくとも一部は、記録装置に接続されるホスト装置に持たせることもできる。
データの分配に際しては、データの分配率が高いノズル列の位置が主走査方向(記録ヘッドの移動方向)において集中しないように、主走査方向における複数のノズル列の配列位置に応じて異ならせることができればよい。データの分配率が高いノズル列の集中は、分配率の高いノズル列が隣接した場合と、所定の範囲内に位置する複数のノズル列の内、分配率の高いノズル列が占める割合が所定量以上の場合と、を含む。要は、分配率の高いノズル列の近傍に生じる気流の逃げ道などを形成して、その気流の影響を小さく抑えることができればよい。
また、多値の濃度データのデータ値(階調値)と2値データの記録ドット数とが1対1の関係にあるので、全画素に対する、ドットが記録される画素の割合として、多値の濃度データから記録デューティを取得することができる。
複数のノズル列から吐出可能なインクは、全て同じのものであってもよく、前述した実施形態ように複数の異なるものであってもよい。後者の場合には、それぞれのインクに対して、複数のノズル列からなるノズル列群のそれぞれが対応する。それらのノズル列群の少なくとも1つは、インクの吐出量が異なる複数のノズル列、または配列ピッチがずれる複数のノズル列の内の少なくとも一方を含むものであってもよい。ノズル列群毎における分配率が高いノズル列の位置が主走査方向において集中しないように、主走査方向における複数のノズル列の配列位置に応じて、ノズル列群毎における複数のノズル列に対するデータの分配率を異ならせることができればよい。
それらのノズル列群は、例えば、第1インクを吐出可能な第1および第2ノズル列からなる第1ノズル列群と、第2インクを吐出可能な第3および第4ノズル列からなる第2ノズル列群と、を含むことができる。前述した実施形態においては、シアン、マゼンタ、およびイエローインクの内の2つが第1および第2インクに対応する。また、ノズル列C1,C2からなるノズル列群、ノズル列M1,M2からなるノズル列群、およびノズル列Y1,Y2からなるノズル列群の内の2つが第1および第2ノズル群に対応する。
その場合には、第1および第2ノズルに対して、第1インク吐出用の多値データが分配され、第3および第4ノズルに対して、第2インク吐出用の多値データが分配されることになる。例えば、分配率が高い第1または第2ノズル列のいずれかと、分配率が高い第3または第4ノズル列のいずれかと、が隣接しないように、第1および第2ノズルに対する分配率異ならせ、かつ第3および第4ノズルに対する分配率を異ならせる。具体的には、第1および第2ノズルの一方と、第3および第4ノズルの一方と、が主走査方向において隣接する場合には、第1および第2ノズルの一方と、第3および第4ノズルの一方と、の内の少なくとも一方に対しては分配率を低くすればよい。
双方向記録モードによって、記録ヘッドを走査方向に沿って一方向および他方向に移動させつつ画像を記録する場合には、ノズル列毎の分配率を変化させる。その場合、上述した第1、第2、第3、および第4ノズル列は、記録ヘッドが走査方向に沿って一方向および他方向に移動した際に、それらのノズル列から吐出される第1および第2インクの吐出順序が同じになるように配列されることが望ましい。例えば、第1および第2ノズルの一方と、第3および第4ノズルの一方と、が主走査方向において隣接している場合、記録ヘッドの走査方向に応じて、第1および第2ノズル列に対する分配率を逆転させ、かつ第3および第4ノズル列に対する分配率を逆転させる。すなわち、記録ヘッドが一方向に記録走査するときには、第1および第2ノズル列の一方に対する分配率を高くしかつ他方に対する分配率は低くし、第3および第4ノズル列の一方に対する分配率は低くしかつ他方に対する分配率は高くする。一方、記録ヘッドが他方向に記録走査するときには、第1および第2ノズル列の一方に対する分配率を低くしかつ他方に対する分配率は高くし、第3および第4ノズル列の一方に対する分配率は高くしかつ他方に対する分配率は低くする。ノズル列毎に分配される多値データの階調値の総計は、分配前の階調値と等しくすることができる。
本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成図である。 図1のインクジェット記録装置の制御系のブロック構成図である。 図2におけるRAM内のバッファの説明図である。 図2におけるCPUの処理機能を説明するためのブロック図である。 (a)から(d)は、それぞれ、インクジェット記録ヘッドのインクの吐出状況の説明図である。 本発明の第1実施形態において用いるインクジェット記録ヘッドのノズル構成の説明図である。 本発明の第1の実施形態における画像データの分配処理を説明するためのフローチャートである。 (a),(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態における第1の制御例の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態における第2の制御例の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、第1の比較例における記録データの分配結果の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、第2の比較例における記録データの分配結果の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、本発明の第2の実施形態における制御例の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、第3の比較例における記録データの分配結果の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、本発明の第3の実施形態における制御例の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、第4の比較例における記録データの分配結果の説明図である。 第4の比較例におけるインクミストの付着状況の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、本発明の第4の実施形態における制御例の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、本発明の第5の実施形態における制御例の説明図である。 本発明の第5の実施形態において、往路方向の走査時に形成される気流の逃げ道の説明図である。 本発明の第5の実施形態において、復路方向の走査時に形成される気流の逃げ道の説明図である。 インクジェット記録ヘッドから吐出されるインクによって生じる気流の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、4mm離れた2つのノズル列からインクを吐出したときのインクミストの付着状況の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、2mm離れた2つのノズル列からインクを吐出したときのインクミストの付着状況の説明図である。 (a),(b)は、それぞれ、1mm離れた2つのノズル列からインクを吐出したときのインクミストの付着状況の説明図である。 本発明の第1の実施形態におけるデータの分配比の一例の説明図である。 本発明の第2の実施形態におけるCPUの処理機能を説明するためのブロック図である。 (a),(b),(c)は、それぞれ、図26のインデックス展開処理部において用いるインデックスの説明図である。

Claims (19)

  1. インクを吐出可能な複数のノズル列が並列に形成された記録ヘッドを前記複数のノズル列と交差する主走査方向に移動させて画像を記録するインクジェット記録装置において、
    前記複数のノズル列のそれぞれに対して、1画素に記録するドット数を階調値によって定めた多値データを、異なる分配率によって分配可能な分配手段と、
    前記分配手段によって分配された前記多値データに基づいて、前記記録ヘッドから前記インクを吐出させる制御手段と、
    を備え、
    前記分配手段は、前記分配率が高い前記ノズル列の位置が前記主走査方向において集中しないように、前記複数のノズル列のそれぞれに対する前記分配率を異ならせることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  2. 前記ノズル列毎に分配される前記多値データの階調値の総計は、分配前の前記階調値と等しいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記分配手段は、前記複数のノズル列の分配率を定めたテーブルを用いて前記多値データを分配することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記分配手段は、前記階調値の範囲ごとに記録すべきドットの位置を定めたパターンにより、前記多値データを分配することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 複数の異なるインクのそれぞれに対して、複数のノズル列からなるノズル列群が対応しており、
    前記ノズル列群毎における前記複数のノズル列に対して、当該ノズル列群に対応する前記多値データが分配され、
    前記分配手段は、前記ノズル列群毎における前記分配率が高い前記ノズル列の位置が前記主走査方向において集中しないように、前記主走査方向における前記複数のノズル列の配列位置に応じて、前記ノズル列群毎における前記複数のノズル列に対する前記分配率を異ならせる
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記複数のノズル列群の少なくとも1つは、インクの吐出量が異なる複数のノズル列、または配列ピッチがずれる複数のノズル列の内の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記複数のノズル列は、前記記録ヘッドが前記走査方向に沿って一方向および他方向に移動した際に、それらのノズル列から吐出される前記複数のインクの吐出順序が同じになるように配列されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記複数のノズル列群は、第1インクを吐出可能な第1および第2ノズル列からなる第1ノズル列群と、第2インクを吐出可能な第3および第4ノズル列からなる第2ノズル列群と、を含み、
    前記第1および第2ノズルに対して、前記第1インク吐出用の前記多値データが分配され、前記第3および第4ノズルに対して、前記第2インク吐出用の前記多値データが分配され、
    前記分配手段は、前記第1インク吐出用の前記多値データの分配率が高い前記第1または第2ノズル列のいずれかと、前記第2インク吐出用の前記多値データの分配率が高い前記第3または第4ノズル列のいずれかと、が前記主走査方向において隣接しないように、前記主走査方向における前記第1、第2、第3、および第4ノズル列の配列位置に応じて、前記第1および第2ノズル列に対する前記分配率、および前記第3および第4ノズル列に対する前記分配率のそれぞれを異ならせる
    ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記第1および第2ノズルの一方と、前記第3および第4ノズルの一方と、が前記主走査方向において隣接し、
    前記分配手段は、前記第1および第2ノズルの一方と、前記第3および第4ノズルの一方と、の内の少なくとも一方に対しては前記分配率を低くする
    ことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記第1、第2、第3、および第4ノズル列は、前記記録ヘッドが前記走査方向に沿って一方向および他方向に移動した際に、それらのノズル列から吐出される前記第1および第2インクの吐出順序が同じになるように配列されることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記制御手段は、前記記録ヘッドが前記走査方向に沿って一方向および他方向に移動しつつ画像を記録する双方向記録モードによって記録可能であって、
    前記分配手段は、画像を記録するときの前記記録ヘッドの移動方向に応じて、前記ノズル列の前記分配率を変化させる
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記制御手段は、前記記録ヘッドが前記走査方向に沿って一方向および他方向に移動しつつ画像を記録する双方向記録モードによって記録可能であって、
    前記第1および第2ノズルの一方と、前記第3および第4ノズルの一方と、が前記主走査方向において隣接し、
    前記分配手段は、前記記録ヘッドが前記一方向に移動しつつ画像を記録するときには、前記第1インク吐出用の前記多値データの分配率を前記第1および第2ノズル列の一方に対しては高くしかつ他方に対しては低くし、前記第2インク吐出用の前記多値データの分配率を前記第3および第4ノズル列の一方に対しては低くしかつ他方に対しては高くし、
    前記記録ヘッドが前記他方向に移動しつつ画像を記録するときには、前記第1インク吐出用の前記多値データの分配率を前記第1および第2ノズル列の一方に対しては低くしかつ他方に対しては高くし、前記第2インク吐出用の前記多値データの分配率を前記第3および第4ノズル列の一方に対しては高くしかつ他方に対しては低くする
    ことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記記録装置は、所定領域の画像を前記記録ヘッドの複数回の走査によって記録させるマルチパス記録モードにより記録可能であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  14. インクを吐出可能な複数のノズル列が並列に形成された記録ヘッドを前記複数のノズル列と交差する主走査方向に移動させて画像を記録するインクジェット記録装置において、
    前記複数のノズル列のそれぞれに対して、ドットの記録または非記録を定めた記録データを、異なる分配率によって分配可能な分配手段と、
    前記分配手段によって分配された前記記録データに基づいて、前記記録ヘッドから前記インクを吐出させる制御手段と、
    を備え、
    前記分配手段は、前記分配率が高い前記ノズル列の位置が前記主走査方向において集中しないように、前記複数のノズル列のそれぞれに対する前記分配率を異ならせる
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  15. インクを吐出可能な複数のノズル列が並列に形成された記録ヘッドを前記複数のノズル列と交差する主走査方向に移動させて画像を記録するインクジェット記録方法において、
    前記複数のノズル列のそれぞれに対して、1画素に記録するドット数を階調値によって定めた多値データを、異なる分配率によって分配する分配工程と、
    前記分配手段によって分配された前記多値データに基づいて、前記記録ヘッドから前記インクを吐出させる制御工程と、
    を含み、
    前記分配工程は、前記分配率が高い前記ノズル列の位置が前記主走査方向において集中しないように、前記複数のノズル列のそれぞれに対する前記分配率を異ならせる
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. 複数の異なるインクのそれぞれに対して、複数のノズル列からなるノズル列群が対応し、
    前記ノズル列群毎における前記複数のノズル列に対して、当該ノズル列群に対応する前記多値データが分配され、
    前記分配工程は、前記ノズル列群毎における前記分配率が高い前記ノズル列の位置が前記主走査方向において集中しないように、前記主走査方向における前記複数のノズル列の配列位置に応じて、前記ノズル列群毎における前記複数のノズル列に対する前記分配率を異ならせる
    ことを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記複数のノズル列群は、第1インクを吐出可能な第1および第2ノズル列からなる第1ノズル列群と、第2インクを吐出可能な第3および第4ノズル列からなる第2ノズル列群と、を含み、
    前記第1および第2ノズルに対して、前記第1インク吐出用の前記多値データが分配され、前記第3および第4ノズルに対して、前記第2インク吐出用の前記多値データが分配され、
    前記分配工程は、前記第1インク吐出用の前記多値データの分配率が高い前記第1または第2ノズル列のいずれかと、前記第2インク吐出用の前記多値データの分配率が高い前記第3または第4ノズル列のいずれかと、が前記主走査方向において隣接しないように、前記主走査方向における前記第1、第2、第3、および第4ノズル列の配列位置に応じて、前記第1および第2ノズル列に対する前記分配率、および前記第3および第4ノズル列に対する前記分配率のそれぞれを異ならせる
    ことを特徴とする請求項16に記載のインクジェット記録方法。
  18. 前記制御工程は、前記記録ヘッドが前記走査方向に沿って一方向および他方向に移動しつつ画像を記録する双方向記録モードによって記録可能であって、
    前記分配工程は、画像を記録するときの前記記録ヘッドの移動方向に応じて、前記ノズル列の前記分配率を変化させる
    ことを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  19. 前記制御工程は、前記記録ヘッドが前記走査方向に沿って一方向および他方向に移動しつつ画像を記録する双方向記録モードによって記録可能であって、
    前記第1および第2ノズルの一方と、前記第3および第4ノズルの一方と、が前記主走査方向において隣接し、
    前記分配工程は、前記記録ヘッドが前記一方向に移動しつつ画像を記録するときには、前記第1インク吐出用の前記多値データの分配率を前記第1および第2ノズル列の一方に対しては高くしかつ他方に対しては低くし、前記第2インク吐出用の前記多値データの分配率を前記第3および第4ノズル列の一方に対しては低くしかつ他方に対しては高くし、
    前記記録ヘッドが前記他方向に移動しつつ画像を記録するときには、前記第1インク吐出用の前記多値データの分配率を前記第1および第2ノズル列の一方に対しては低くしかつ他方に対しては高くし、前記第2インク吐出用の前記多値データの分配率を前記第3および第4ノズル列の一方に対しては高くしかつ他方に対しては低くする
    ことを特徴とする請求項18に記載のインクジェット記録方法。
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