JP2009155474A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、熱安定性、色調性に優れる熱可塑性樹脂組成物及び成形品を提供する。
【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、α−メチルスチレン単位68〜75質量%、スチレン単位3〜12質量%及びシアン化ビニル化合物単位20〜26質量%からなり、且つ、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・スチレン単位よりなる連鎖ブロックを2〜12モル%含むα−メチルスチレン系共重合体とを、それぞれ、15〜80質量%及び85〜20質量%の割合で含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性、熱安定性及び色調性に優れる熱可塑性樹脂組成物及び成形品に関する。
従来、α−メチルスチレン単位を含む(共)重合体は、ABS樹脂等に配合して、耐熱性を向上させるものとして知られている(特許文献1、2等参照)。
特許文献1には、65〜90質量部のα−メチルスチレンと、35〜10質量部のアクリロニトリルと、0〜5質量部の共重合可能なビニル単量体とを共重合させて得られた共重合体において、α−メチルスチレン単位量が82質量%以上の重合体を30質量%以上含み、固有粘度が0.25〜1.2であるα−メチルスチレン高含量共重合体が開示されている。
また、特許文献2には、74〜82質量%のα−メチルスチレン(A)と、26〜18質量%のアクリロニトリル(B)とを共重合させて得られた共重合体であって、該共重合体中のモノマーの連鎖の比率が、(1)結合様式[(A)・(A)・(A)]の含有量が0〜10質量%、(2)結合様式[(A)・(A)・(B)]の含有量が55質量%以上、及び、(3)結合様式[(B)・(A)・(B)]の含有量が45質量%以下〔上記(1)、(2)及び(3)の合計を100質量%とする。〕である共重合体と、ABS樹脂とを含有する樹脂組成物が開示されている。
特開昭58−23810号 特開昭60−258217号
樹脂組成物の耐熱性を評価する方法は、様々であるが、成形品として、車両の内装部品や外装部品等を用途とする場合には、通常、JIS K7195に準じて測定されるヒートサグ値が実用耐熱の指標とされる。そのため、ヒートサグ値の低い熱可塑性樹脂組成物が求められていた。
また、従来、公知のABS樹脂等を含有する熱可塑性樹脂組成物においては、成形品の製造時又は使用時に、変色が発生する、即ち、色調性に劣るといった問題があった。
本発明の目的は、耐熱性、熱安定性及び色調性に優れる熱可塑性樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
本発明者らは、α−メチルスチレン単位、スチレン単位及びシアン化ビニル化合物単位からなり、且つ、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・スチレン単位よりなる連鎖ブロック(b1)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b2)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位よりなる連鎖ブロック(b3)、及び、シアン化ビニル化合物単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b4)を含み、且つ、上記連鎖ブロック(b1)を特定の割合で含むα−メチルスチレン系共重合体と、熱可塑性樹脂とを含有する組成物を用いることにより、耐熱性、熱安定性及び色調性に優れた成形品が得られたことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示される。
1.(A)熱可塑性樹脂と、(B)各単位の合計を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン単位68〜75質量%、スチレン単位3〜12質量%及びシアン化ビニル化合物単位20〜26質量%からなり、且つ、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・スチレン単位よりなる連鎖ブロック(b1)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b2)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位よりなる連鎖ブロック(b3)、及び、シアン化ビニル化合物単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b4)を含み、且つ、上記連鎖ブロック(b1)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)との合計を100モル%とした場合に、2〜12モル%であるα−メチルスチレン系共重合体と、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
上記熱可塑性樹脂(A)及び上記α−メチルスチレン系共重合体(B)の含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、15〜80質量%及び85〜20質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
2.上記α−メチルスチレン系共重合体(B)を構成する、上記連鎖ブロック(b2)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)の合計を100モル%とした場合に、55モル%以上である上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.上記α−メチルスチレン系共重合体(B)を構成する、上記連鎖ブロック(b3)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)の合計を100モル%とした場合に、10モル%以下である上記1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.上記α−メチルスチレン系共重合体(B)が、各化合物の合計を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン(m1)68〜78質量%、スチレン(m2)3〜13質量%、及び、シアン化ビニル化合物(m3)18〜28質量%を用いて、
上記α−メチルスチレン(m1)のうちの90〜100質量%に相当するα−メチルスチレンと、上記スチレン(m2)のうちの0〜33質量%に相当するスチレンと、上記シアン化ビニル化合物(m3)のうちの65〜85質量%に相当するシアン化ビニル化合物とを重合する第1重合工程、及び、上記α−メチルスチレン(m1)のうちの0〜10質量%に相当するα−メチルスチレンと、上記スチレン(m2)のうちの67〜100質量%に相当するスチレンと、上記シアン化ビニル化合物(m3)のうちの15〜35質量%に相当するシアン化ビニル化合物とを重合する第2重合工程を、順次、備え、且つ、上記第2重合工程におけるスチレンの使用量が、上記α−メチルスチレン(m1)、上記スチレン(m2)及び上記シアン化ビニル化合物(m3)の合計に対して3質量%以上である製造方法により得られたものである上記1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.上記熱可塑性樹脂(A)が、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びオレフィン系樹脂から選ばれた少なくとも1種である上記1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.上記ゴム強化樹脂が、ゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも2種以上のビニル系単量体(a2)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体(a3)の(共)重合体と、からなる混合物である上記5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.JIS K7195に準じて、温度130℃で測定されるヒートサグ値が25mm以下である上記1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
8.上記1乃至7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
9.上記成形品が車両用部材である上記8に記載の成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、ヒートサグ値で評価される実用耐熱性、熱安定性及び色調性に優れた成形品を得ることができる。
上記α−メチルスチレン系共重合体(B)を構成する、上記連鎖ブロック(b2)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)の合計を100モル%とした場合に、55モル%以上である場合には、特に、耐熱性及び熱安定性に優れる。
本発明の成形品は、ヒートサグ値で評価される実用耐熱性、熱安定性及び色調性に優れる。
以下、本発明を詳しく説明する。本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
1.熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂(以下、「成分(A)」ともいう。)と、(B)各単位の合計を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン単位68〜75質量%、スチレン単位3〜12質量%及びシアン化ビニル化合物単位20〜26質量%からなり、且つ、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・スチレン単位よりなる連鎖ブロック(b1)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b2)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位よりなる連鎖ブロック(b3)、及び、シアン化ビニル化合物単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b4)を含み、且つ、上記連鎖ブロック(b1)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)との合計を100モル%とした場合に、2〜12モル%であるα−メチルスチレン系共重合体(以下、「成分(B)」ともいう。)と、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、上記熱可塑性樹脂(A)及び上記α−メチルスチレン系共重合体(B)の含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、15〜80質量%及び85〜20質量%であることを特徴とする。
上記熱可塑性樹脂(A)としては、特に限定されず、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等のゴム強化樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等の、炭素数2〜10のα−オレフィンの少なくとも1種からなるα−オレフィン(共)重合体並びにその変性重合体(塩素化ポリエチレン等)、環状オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;マレイミド系共重合体;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン系樹脂等が好ましく、ゴム強化樹脂がより好ましい。
上記ゴム強化樹脂は、ゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも2種以上のビニル系単量体(a2)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体(a3)の(共)重合体(以下、「(共)重合体(A2)」という。)と、からなる混合物であることが好ましい。
上記ゴム質重合体(a1)は、室温でゴム質であれば、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよいが、ジエン系ゴム質重合体及び非ジエン系ゴム質重合体が好ましい。更に、上記ゴム質重合体(a1)は、架橋重合体であってもよいし、非架橋重合体であってもよい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ジエン系ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の単独重合体;スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重合体ゴム;スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・イソプレン共重合体等のスチレン・イソプレン系共重合体ゴム;天然ゴム等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。また、これらの共重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%未満。)されたものであってもよい。上記ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記非ジエン系ゴム質重合体としては、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンからなる単位を含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム;ウレタン系ゴム;アクリル系ゴム;シリコーンゴム;シリコーン・アクリル系IPNゴム;共役ジエン系化合物よりなる単位を含む(共)重合体を水素添加してなる重合体等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。また、これらの共重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%以上。)されたものであってもよい。上記非ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ゴム質重合体(a1)として、ジエン系重合体を用いた場合に得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂であり、一般に、「ABS樹脂」といわれている。また、上記ゴム質重合体(a1)として、エチレン・α−オレフィン及び/又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体を用いた場合に得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、一般に、「AES樹脂」といわれている。更に、上記ゴム質重合体(a1)として、アクリル系ゴムを用いた場合に得られるゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、アクリル系ゴム強化ビニル系樹脂であり、一般に、「ASA樹脂」といわれている。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いる上記ゴム質重合体(a1)の形状は、特に限定されないが、粒子状である場合、その重量平均粒子径は、好ましくは50〜3,000nm、より好ましくは100〜2,000nm、更に好ましくは150〜800nmである。重量平均粒子径が小さすぎると、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びそれを含む成形品の耐衝撃性が劣る傾向にある。一方、重量平均粒子径が大きすぎると、成形品の表面外観性が劣る傾向にある。尚、上記重量平均粒子径は、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
上記ゴム質重合体(a1)が粒子状である場合、重量平均粒子径が上記範囲内にある限り、例えば、特開昭61−233010号公報、特開昭59−93701号公報、特開昭56−167704号公報等に記載されている公知の方法により肥大化したものを用いることもできる。
上記ゴム質重合体(a1)を製造する方法としては、平均粒子径の調整等を考慮し、乳化重合が好ましい。この場合、平均粒子径は、乳化剤の種類及びその使用量、開始剤の種類及びその使用量、重合時間、重合温度、攪拌条件等の製造条件を選択することにより調整することができる。また、上記平均粒子径(粒子径分布)の他の調整方法としては、異なる粒子径を有する上記ゴム質重合体(a1)の2種以上をブレンドする方法でもよい。
上記ビニル系ゴム質重合体(A1)の形成に用いる上記ビニル系単量体(a2)は、好ましくは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも2種を含む。尚、必要に応じて、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物を用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環を有する化合物であれば、特に限定されず、その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、ケイ皮酸ニトリル、イタコン酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、フマル酸ジニトリル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物からなる単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
ヒドロキシル基を有するビニル系化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
アミノ基を有するビニル系化合物としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン等が挙げられる。
エポキシ基を有するビニル系化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
アミド基を有するビニル系化合物としては、メタクリルアミド、アクリルアミド等が挙げられる。
カルボキシル基を有するビニル系化合物としては、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
酸無水物基を有するビニル系化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
また、オキサゾリン基を有するビニル系化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。
これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系単量体(a2)としては、好ましくは、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の組合せ(以下、「単量体(a21)」という。)、並びに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物((メタ)アクリル酸エステル化合物等)の組合せ(以下、「単量体(a22)」という。)である。シアン化ビニル化合物を用いることにより、耐薬品性及び耐熱性等の物性バランスが向上する。
従って、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、好ましくは、上記ゴム質重合体(a1)の存在下に、上記ビニル系単量体(a2)として上記単量体(a21)を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂、上記ゴム質重合体(a1)の存在下に、上記ビニル系単量体(a2)として上記単量体(a22)を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂、等である。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、前述のように、上記ゴム強化樹脂は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のみであってよいし、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体(a3)を用いて得られた(共)重合体(A2)とからなる混合物であってもよい。この(共)重合体(A2)は、1種単独であるいは2種以上の組合せからなるものとすることができる。
上記ゴム強化樹脂が、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、上記ビニル系単量体(a3)の(共)重合体(A2)とからなる混合物である場合、両者の含有割合は、特に限定されない。
上記(共)重合体(A2)の形成に用いるビニル系単量体(a3)は、上記ビニル系単量体(a2)として例示した化合物を用いることができる。即ち、上記ビニル系単量体(a3)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、ヒドロキシル基を有するビニル系化合物、アミノ基を有するビニル系化合物、エポキシ基を有するビニル系化合物、アミド基を有するビニル系化合物、カルボキシル基を有するビニル系化合物、酸無水物基を有するビニル系化合物、オキサゾリン基を有するビニル系化合物等から選択されたものとすることができる。従って、上記(共)重合体(A21)は、単独重合体及び共重合体のいずれでもよく、これらの組合せであってもよいが、共重合体であることが好ましい。
上記(共)重合体(A2)としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも2種を用いて得られた共重合体(A21)、(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いて得られた(共)重合体(A22)等が好ましく用いられる。尚、上記共重合体(A21)は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いた上記ビニル系単量体(a2)と全く同じ組成の成分を重合して得られた共重合体であってもよいし、異なる組成で同じ種類の単量体を重合して得られた共重合体であってもよいし、更には、異なる組成で異なる種類の単量体を重合して得られた共重合体であってもよい。
上記(共)重合体(A21)としては、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体等が挙げられる。尚、この(共)重合体(A21)が、アクリロニトリル・スチレン・α−メチルスチレン共重合体等の、シアン化ビニル化合物単位と、スチレン単位と、α−メチルスチレン単位とからなる三元共重合体である場合には、成分(B)と異なる構成の三元共重合体であるものとする。
上記(共)重合体(A22)としては、メタクリル酸メチル・メタクリル酸n−ブチル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
次に、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)、並びに、上記(共)重合体(A2)の製造方法について説明する。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、上記ゴム質重合体(a1)の存在下に、上記ビニル系単量体(a2)を重合することにより製造することができる。重合方法としては、乳化重合、溶液重合、塊状重合、及び、塊状−懸濁重合が好ましい。
尚、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造の際には、ゴム質重合体(a1)及び上記ビニル系単量体(a2)は、反応系において、上記ゴム質重合体(a1)全量の存在下に、上記ビニル系単量体(a2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。また、上記ゴム質重合体(a1)の一部存在下、又は、非存在下に、上記ビニル系単量体(a2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加してもよい。このとき、上記ゴム質重合体(a1)の残部は、反応の途中で、一括して、分割して又は連続的に添加してもよい。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を100質量部製造する場合、上記ゴム質重合体(a1)の使用量は、通常、5〜80質量部、好ましくは10〜70質量部、更に好ましくは15〜60質量部であり、上記ビニル系単量体(a2)の使用量は、通常、20〜95質量部、好ましくは30〜90質量部、更に好ましくは40〜85質量部である。
乳化重合によりゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.05〜2.0質量%である。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
上記乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩、脂肪族リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.3〜5.0質量%である。
乳化重合は、ビニル系単量体(a2)、重合開始剤等の種類に応じ、公知の条件で行うことができる。この乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
尚、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を2種以上含有するゴム強化樹脂とする場合には、各ラテックスから樹脂を単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂をそれぞれ含むラテックスの混合物を凝固する等の方法がある。
溶液重合、塊状重合及び塊状−懸濁重合による上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造方法は、公知の方法を適用することができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のグラフト率は、通常、10〜200質量%、好ましくは15〜150質量%、より好ましくは20〜100質量%である。グラフト率が上記範囲にあると、成形加工性に優れ、本発明の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品の表面外観及び耐衝撃性に優れる。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラム中の上記ゴム質重合体(a1)をxグラム、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラムをアセトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、下記式により求められる値である。但し、該ゴム質重合体(a1)がアクリル系ゴムである場合には、アセトンの代わりにアセトニトリルを用いる。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
また、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のアセトン(但し、上記ゴム質重合体(a1)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを用いる。)に可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常、0.1〜1.0dl/g、好ましくは0.2〜0.9dl/g、より好ましくは0.3〜0.7dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性に優れ、得られる成形品の耐衝撃性にも優れる。
尚、上記のグラフト率及び極限粘度[η]は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造する際に用いる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を調整することにより、容易に制御することができる。
上記(共)重合体(A2)は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造に適用される重合開始剤等を用いて、ビニル系単量体(a3)を重合することにより製造することができる。重合方法は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせて用いてもよい。上記(共)重合体(A2)の製造方法は、重合開始剤を用いる方法であってよいし、重合開始剤を用いない熱重合法であってもよく、また、この組合せを採用してもよい。
上記(共)重合体(A2)のアセトンに可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常、0.1〜1.0dl/g、好ましくは0.15〜0.7dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性に優れ、得られる成形品の耐衝撃性にも優れる。尚、上記(共)重合体(A2)の極限粘度[η]は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の場合と同様、製造条件を調整することにより制御することができる。
上記ゴム強化樹脂のアセトン(但し、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いたゴム質重合体(a1)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを用いる。)に可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常、0.1〜0.8dl/g、好ましくは0.15〜0.7dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性及び耐衝撃性の物性バランスに優れる。
上記ポリカーボネート樹脂は、主鎖にカーボネート結合を有するものであれば、特に限定されず、芳香族ポリカーボネートでよいし、脂肪族ポリカーボネートでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。尚、このポリカーボネート樹脂は、末端が、R−CO−基、R’−O−CO−基(R及びR’は、いずれも有機基を示す。)に変性されたものであってもよい。このポリカーボネート樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ポリカーボネートとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを溶融によりエステル交換(エステル交換反応)して得られたもの、ホスゲンを用いた界面重縮合法により得られたもの、ピリジンとホスゲンとの反応生成物を用いたピリジン法により得られたもの等を用いることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、分子内にヒドロキシル基を2つ有する化合物であればよく、ヒドロキノン、レゾルシノール等のジヒドロキシベンゼン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という。)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(p−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、ビス(p−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(p−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物のうち、2つのベンゼン環の間に炭化水素基を有する化合物が好ましい。尚、この化合物において、炭化水素基は、ハロゲン置換された炭化水素基であってもよい。また、ベンゼン環は、そのベンゼン環に含まれる水素原子がハロゲン原子に置換されたものであってもよい。従って、上記化合物としては、ビスフェノールA、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられる。これらのうち、特に、ビスフェノールAが好ましい。
芳香族ポリカーボネートをエステル交換反応により得るために用いる炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度20℃で測定された溶液粘度より換算した場合、好ましくは12,000〜40,000、より好ましくは14,000〜30,000、特に好ましくは16,000〜26,000である。この粘度平均分子量が上記範囲にあると、成形加工性に優れ、得られる成形体の耐衝撃性、靭性及び耐薬品性に優れる。
上記ポリカーボネート樹脂は、全体としての粘度平均分子量が上記範囲に入るものであれば、異なる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
上記ポリエステル樹脂は、分子の主鎖中にエステル結合を有する樹脂であれば、特に限定されず、飽和ポリエステル樹脂であってよいし、不飽和ポリエステル樹脂であってもよい。これらのうち、飽和ポリエステル樹脂が好ましい。また、単独重合ポリエステルであってよいし、共重合ポリエステルであってもよい。更に、結晶性樹脂であってよいし、非晶性樹脂であってもよい。
上記ポリエステル樹脂が、飽和ポリエステル樹脂である場合、この飽和ポリエステル樹脂は、例えば、ジカルボン酸成分とジヒドロキシ成分との重縮合、オキシカルボン酸成分又はラクトン成分の重縮合等により得られたものを用いることができる。
上記ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸等)、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸等の炭素数8〜16程度の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体等、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸等の炭素数8〜12程度の脂環式ジカルボン酸又はその誘導体等、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の炭素数2〜40程度の脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。
尚、上記誘導体には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステル等の低級アルキルエステル、酸無水物、酸クロライド等の酸ハライド等が含まれる。
これらジカルボン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記ジヒドロキシ成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜12程度のアルキレンジオール等の脂肪族アルキレンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環族ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシフェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールAに対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加した付加体(ジエトキシ化ビスフェノールA等)等の芳香族ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ジテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
尚、上記ジヒドロキシ成分は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン等の置換体であってもよい。
これらジヒドロキシ成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オキシカルボン酸成分としては、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカルボン酸等のオキシカルボン酸及びその誘導体等が挙げられる。
これらオキシカルボン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ラクトン成分としては、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
これらラクトン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記飽和ポリエステル樹脂が共重合ポリエステルである場合、その形成に用いられる共重合可能な単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等の直鎖状アルキレングリコール等のアルキレングリコール、ジエチレングリコール等のポリ(オキシ−アルキレン)単位を含み、繰り返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸等の非対称構造の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
更に、上記化合物以外に、必要に応じて、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等の多官能性単量体を併用してもよい。
上記飽和ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチルテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の単独重合ポリエステル、アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンナフタレート単位を主として含有する共重合ポリエステル、液晶ポリエステル等が挙げられる。
また、上記飽和ポリエステル樹脂としては、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸等の単独重合体;L−乳酸及び/又はD−乳酸、DL−乳酸を主成分とする他の単量体との共重合体等のポリ乳酸を好ましく用いることもできる。
上記ポリエステル樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリアミド樹脂は、主鎖に酸アミド結合(−CO−NH−)を有する樹脂であれば、特に限定されない。上記ポリアミド樹脂は、通常、環構造のラクタム又はアミノ酸の重合、あるいは、ジカルボン酸及びジアミンの縮重合により製造される。従って、このポリアミド樹脂としては、ホモポリアミド、コポリアミド等を用いることができる。単独で重合可能な単量体としては、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、ピペリドン等が挙げられる。
また、ジカルボン酸及びジアミンを縮重合させる場合のジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
上記ポリアミド樹脂としては、ナイロン4、6、7、8、11、12、6.6、6.9、6.10、6.11、6.12、6T、6/6.6、6/12、6/6T、6T/6I等が挙げられる。
尚、ポリアミド樹脂の末端は、カルボン酸、アミン等で封止されていてもよい。カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また、アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第1級アミン等が挙げられる。
上記ポリアミド樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オレフィン系樹脂は、炭素数が2以上のα−オレフィンからなる単量体単位を含む重合体であれば、特に限定されない。好ましいオレフィン系樹脂は、炭素数2〜10のα−オレフィンからなる単量体単位を含む重合体である。従って、炭素数2〜10のα−オレフィンからなる単量体単位の1種以上を主として含む(共)重合体;炭素数2〜10のα−オレフィンからなる単量体単位の1種以上と、このα−オレフィンと共重合可能な化合物からなる単量体単位の1種以上とを主として含む共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1及び4−メチルペンテン−1が好ましい。
また、上記オレフィン系樹脂を構成する他の単量体単位の形成に用いられる化合物としては、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンが挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン・ブテン−1共重合体等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体が好ましく、プロピレン単位を全単量体単位に対して、50質量%以上含む重合体、即ち、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体がより好ましい。尚、上記エチレン・プロピレン共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等があるが、ランダム共重合体が特に好ましい。
上記オレフィン系樹脂は、結晶性であってよいし、非晶性であってもよい。好ましくは、室温下、X線回折により、20%以上の結晶化度を有するものである。
上記オレフィン系樹脂の融点(JIS K7121に準拠)は、好ましくは40℃以上である。
また、上記オレフィン系樹脂の分子量は特に限定されないが、成形性の観点から、メルトフローレート(JIS K7210に準拠。以下、「MFR」ともいう。)は、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分であり、各値に相当する分子量を有するものが好ましい。
上記オレフィン系樹脂としては、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリエチレン等を用いることもできる。
尚、上記成分(A)は、後述する成分(B)以外の他の重合体を含んでもよい。他の重合体としては、以下に例示される。
[1]α−メチルスチレン単位、スチレン単位及びシアン化ビニル化合物単位からなる共重合体であって、各単位の含有量が成分(B)と同じであり、且つ、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・スチレン単位よりなる連鎖ブロック(b1)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b2)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位よりなる連鎖ブロック(b3)、及び、シアン化ビニル化合物単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b4)の各含有量のうち少なくとも1つが成分(B)と異なるα−メチルスチレン系共重合体。
[2]α−メチルスチレン単位、スチレン単位及びシアン化ビニル化合物単位からなる共重合体であって、各単位の含有量のうち少なくとも1つが成分(B)と異なり、且つ、連鎖ブロック(b1)、(b2)、(b3)及び(b4)の各含有量が成分(B)と同じであるα−メチルスチレン系共重合体。
[3]α−メチルスチレン単位、スチレン単位及びシアン化ビニル化合物単位からなる共重合体であって、各単位の含有量のうち少なくとも1つが成分(B)と異なり、且つ、連鎖ブロック(b1)、(b2)、(b3)及び(b4)の各含有量のうち少なくとも1つが成分(B)と異なるα−メチルスチレン系共重合体。
[4]α−メチルスチレン単位、スチレン単位、シアン化ビニル化合物単位、及び、1種又は2種以上の他の単量体単位からなる共重合体。
[5]上記共重合体[4]を除く、α−メチルスチレン単位及びスチレン単位を有する共重合体。
[6]連鎖ブロック(b3)を含み、連鎖ブロック(b1)、(b2)及び(b4)から選ばれた1種又は2種を含む、ポリα−メチルスチレン等の(共)重合体
[7]連鎖ブロック(b2)及び/又は(b4)からなる共重合体。
次に、上記α−メチルスチレン系共重合体(B)は、各単位の合計を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン単位68〜75質量%、スチレン単位3〜12質量%及びシアン化ビニル化合物単位20〜26質量%からなる三元共重合体であり、且つ、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・スチレン単位よりなる連鎖ブロック(b1)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b2)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位よりなる連鎖ブロック(b3)、及び、シアン化ビニル化合物単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b4)を含み、且つ、上記連鎖ブロック(b1)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)との合計を100モル%とした場合に、2〜12モル%である共重合体である。
上記成分(B)を構成する、α−メチルスチレン単位、スチレン単位及びシアン化ビニル化合物単位の含有量は、以下の通りである。即ち、これらの単位の合計を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン単位が68〜75質量%、好ましくは69〜74質量%、より好ましくは70〜73質量%であり、スチレン単位が3〜12質量%、好ましくは4〜11質量%、より好ましくは4〜10質量%であり、シアン化ビニル化合物単位が20〜26質量%、好ましくは21〜25質量%、より好ましくは22〜24質量%である。各単位の含有量が上記範囲にあると、本発明の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品の耐熱性、熱安定性及び色調性が優れる。
上記α−メチルスチレン単位の含有量が多すぎると、熱安定性が十分でない場合がある。また、少なすぎると、耐熱性が十分でない場合がある。
上記スチレン単位の含有量が多すぎると、耐熱性が十分でない場合がある。また、少なすぎると、耐熱性及び熱安定性が十分でない場合がある。
また、上記シアン化ビニル化合物単位の含有量が多すぎると、得られる成形品が黄変する場合がある。また、少なすぎると、耐衝撃性が低下する場合がある。
尚、上記シアン化ビニル化合物単位を形成するシアン化ビニル化合物としては、上記成分(A)の一例であるゴム強化樹脂の形成に用いられる化合物が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
上記成分(B)を構成する、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)の合計を100モル%とした場合に、上記連鎖ブロック(b1)の含有量は2〜12モル%であり、より優れた耐熱性、熱安定性及び色調性を有する成形品を得るためには、好ましくは2〜10モル%、より好ましくは2〜9モル%である。
上記連鎖ブロック(b2)の含有量は、好ましくは55モル%以上であり、より好ましくは55〜70モル%であり、更に好ましくは57〜70モル%、特に好ましくは60〜70モル%である。
上記連鎖ブロック(b3)の含有量は、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは0〜9モル%、更に好ましくは0〜8モル%である。
また、上記連鎖ブロック(b4)の含有量は、好ましくは20〜35モル%であり、より好ましくは20〜34モル%、更に好ましくは20〜33モル%である。
上記の各連鎖ブロックの含有量が、上記範囲にあると、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ヒートサグ値で評価される耐熱性、熱安定性及び色調性に優れる。
上記の各連鎖ブロックの含有量は、13C−NMR測定により求めることができ、以下に示される。
成分(B)を重水素化クロロホルムに溶解し、テトラメチルシランを内部標準として13C−NMRを測定し、13C−NMRスペクトルを得る(図1参照)。この13C−NMRスペクトルにおいて、140〜150ppmに現れるシグナルの内、141〜144ppmの範囲のシグナルは連鎖ブロック(b4)に、144.5〜147ppmの範囲のシグナルは連鎖ブロック(b2)に、147〜147.5ppmの範囲のシグナルは連鎖ブロック(b1)に、141〜144ppmの範囲のシグナルは連鎖ブロック(b3)に、それぞれ、帰属される。各連鎖ブロックの含有量は、各シグナルの面積から求めることができる。尚、141.4ppm及び143.4ppmの各シグナルは、残留モノマーに由来するものであるが、これらが検出された場合には、連鎖ブロック(b4)の含有量を求めるに際して、上記の各シグナルの面積を減ずればよい。
上記成分(B)の重量平均分子量は、好ましくは7万〜20万、より好ましくは8万〜15万、更に好ましくは9万〜13万である。尚、この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。上記重量平均分子量が、上記範囲にあると、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ヒートサグ値で評価される耐熱性、熱安定性及び色調性に優れる。
上記成分(B)は、以下の方法で得られたものとすることができる。即ち、重合開始剤の存在下、各化合物の合計を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン(m1)68〜78質量%、スチレン(m2)3〜13質量%及びシアン化ビニル化合物(m3)18〜28質量%を用いて、上記α−メチルスチレン(m1)のうちの90〜100質量%に相当するα−メチルスチレン、上記スチレン(m2)のうちの0〜33質量%に相当するスチレン、及び、上記シアン化ビニル化合物(m3)のうちの65〜85質量%に相当するシアン化ビニル化合物(以下、これらを合わせて「第1単量体」という。)を重合する第1重合工程と、上記α−メチルスチレン(m1)のうちの0〜10質量%に相当するα−メチルスチレン、上記スチレン(m2)のうちの67〜100質量%に相当するスチレン、及び、上記シアン化ビニル化合物(m3)のうちの15〜35質量%に相当するシアン化ビニル化合物(以下、これらを合わせて「第2単量体」という。)を重合する第2重合工程とを、順次、備え、且つ、上記第2重合工程におけるスチレンの使用量が、上記α−メチルスチレン(m1)、上記スチレン(m2)及び上記シアン化ビニル化合物(m3)の合計に対して3質量%以上である製造方法によるものである。この製造方法は、第1重合工程における第1単量体の重合により第1重合体を製造し、第2重合工程における第2単量体の重合により第1重合体を更に高分子化して、上記構成を有するα−メチルスチレン系共重合体を得るものである。
上記製造方法における単量体の種類別使用量は、第1重合工程における使用量及び第2重合工程における使用量の合計であり、用いる単量体の全量を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン(m1)、スチレン(m2)及びシアン化ビニル化合物(m3)が、それぞれ、68〜76質量%、4〜10質量%及び20〜26質量%であることが好ましい。
上記好ましいα−メチルスチレン系共重合体の製造方法において、適用される重合方法としては、乳化重合、溶液重合、塊状重合及び懸濁重合が挙げられる。これらのうち、乳化重合、溶液重合及び懸濁重合が好ましく、乳化重合が特に好ましい。
上記乳化重合を適用する場合には、通常、乳化剤、重合開始剤、水等が用いられる。必要に応じて、連鎖移動剤(分子量調節剤)を用いることもできる。
上記乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪族カルボン酸塩;脂肪族リン酸塩;ロジン酸カリウム等のロジン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、各重合工程における単量体の全量に対し、通常、1〜4質量%である。
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤の使用量は、各重合工程における単量体の全量に対し、通常、0.2〜1.0質量%である。
上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類;α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、各重合工程における単量体の全量に対し、通常、0〜2質量%である。
上記第1重合工程において、上記α−メチルスチレン(m1)のうちの好ましくは90〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%に相当するα−メチルスチレンと、上記スチレン(m2)のうちの好ましくは0〜33質量%、より好ましくは0〜15質量%に相当するスチレンと、上記シアン化ビニル化合物(m3)のうちの好ましくは65〜85質量%、より好ましくは70〜85質量%に相当するシアン化ビニル化合物とが重合され、第1重合体が製造される。
上記第1重合体を製造する際には、反応系において、重合開始剤の存在下に、上記第1単量体の全量を重合してよいし、上記第1単量体を分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。上記の重合開始剤及び連鎖移動剤は、反応系に一括して添加しておいてよいし、重合開始とともに連続的に添加することができる。
溶液重合及び懸濁重合により、第1重合体を製造する場合には、公知の方法を適用することができる。
溶液重合では、通常、ラジカル重合で用いられる溶媒、例えば、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の不活性溶媒が用いられる。その他、必要に応じて、連鎖移動剤(分子量調節剤)等を用いることができる。
上記第1重合工程は、重合転化率が好ましくは75〜95%、より好ましくは80〜90%となった時点で終了する。この重合転化率を上記範囲とすることにより、効率よく、上記連鎖ブロック(b1)の含有量を2〜12モル%とすることができる。尚、反応系に残留する単量体の種類及び割合は、特に限定されない。
その後、上記第2重合工程において、上記α−メチルスチレン(m1)のうちの好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%に相当するα−メチルスチレンと、上記スチレン(m2)のうちの好ましくは67〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%に相当するスチレンと、上記シアン化ビニル化合物(m3)のうちの好ましくは15〜35質量%、より好ましくは15〜30質量%に相当するシアン化ビニル化合物とからなる第2単量体が重合される。そして、上記連鎖ブロック(b1)の含有量を2〜12モル%とするために、スチレンの使用量を、本製造に係る単量体(第1重合工程及び第2重合工程における全ての単量体)の全量、即ち、上記α−メチルスチレン(m1)、上記スチレン(m2)及び上記シアン化ビニル化合物(m3)の合計に対して好ましくは3質量%以上、より好ましくは3〜13質量%、更に好ましくは4〜10質量%として第2単量体の重合を進めるものである。
尚、上記第2単量体におけるスチレン及びシアン化ビニル化合物の使用比は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは25〜75質量%及び75〜25質量%、より好ましくは30〜70質量%及び70〜30質量%、更に好ましくは35〜65質量%及び65〜35質量%である。上記組成割合とすることにより、上記連鎖ブロック(b1)の含有量を2〜12モル%とすることができる。
上記第2重合工程の重合方法は、好ましくは、上記第1重合工程におけるそれと同様にして進められる。その場合、通常、同じ反応系において進めることができるが、別途、新たな反応系を構築して、重合を進めることもできる。
上記第2重合工程においては、上記第1重合体の存在下に、上記第2単量体の全量を重合してよいし、上記第2単量体を分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。重合開始剤及び連鎖移動剤の使用方法については、上記第1重合工程における使用方法と同様とすることができる。
上記第2重合工程は、重合転化率が好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上となった時点で終了する。この重合転化率を上記範囲とすることにより、上記連鎖ブロック(b1)の含有量を2〜12モル%とすることができる。
上記製造方法において、乳化重合を適用した場合、上記第2重合工程により得られたラテックスに凝固剤を添加し、含有する重合体成分を凝固する凝固工程、並びに、凝固物を水洗及び乾燥する精製工程を更に備えることができる。
上記凝固工程において用いられる凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸等が挙げられる。
また、上記製造方法において、溶液重合を適用した場合、上記第2重合工程により得られた重合溶液から溶媒を除去する除去工程を更に備えることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、上記成分(A)及び(B)の含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、15〜80質量%及び85〜20質量%であり、好ましくは20〜75質量%及び80〜25質量%、より好ましくは25〜70質量%及び75〜30質量%である。上記成分(B)の含有量がこの範囲にあると、耐熱性、熱安定性及び色調性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤、滑剤、充填剤、抗菌剤、相溶化剤、加工助剤、離型剤、耐候剤、耐光剤、防かび剤、防汚剤、着色剤等が挙げられる。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.05〜2質量部である。
酸化防止剤としては、ホスファイト類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化防止剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.05〜2質量部である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の紫外線吸収剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.05〜2質量部である。
帯電防止剤としては、低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤等が挙げられる。また、これらは、イオン伝導型でもよいし、電子伝導型でもよい。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体等が挙げられる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリエーテル、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.05〜20質量部である。
可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルセバゲート、ジブチルセバゲート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバゲート、ジイソオクチルセバゲート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリエーテルエステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.05〜3質量部である。
難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系樹脂、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルや、これらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン塩、シリコーン系、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記難燃剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは3〜30質量部である。
滑剤としては、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、金属石鹸、シリコーン、変性シリコーン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記滑剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜3質量部である。
充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、カオリンクレー、焼結クレー、パイロフィライトクレー、シラン処理クレー、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリン、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラストナイト、ゼオライト、ゾノトライト、アスベスト、PMF(Processed Mineral Fiber)、胡粉、セピオライト、チタン酸カリウム、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記充填剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは5〜40質量部である。
抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀−亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤、錯体化銀−シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤等の無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、イソシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有機系抗菌剤;無機・有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤の含有量は、上記成分(A)及び(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.01〜3質量部である。
上記着色剤としては、有機染料、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、JIS K7195に準じて、温度130℃で測定されるヒートサグ値が、好ましくは25mm以下、より好ましくは21mm以下とすることができ、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の成分(A)及び(B)を含む原料成分を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等に投入して溶融混練することにより製造することができる。溶融混練する際の原料成分の使用方法は、特に限定されず、各々の成分を一括配合した後、混練してもよく、多段配合等分割して配合した後、混練してもよい。混練温度は、通常、成分(A)の種類により選択される。
2.成形品
本発明の成形品は、上記本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
成形品の製造方法としては、射出成形(ガスアシスト成形等)、押出成形(シート押出成形、異形押出成形)、真空成形、プレス成形、ブロー成形等が挙げられる。
本発明の成形品は、OA・家電分野、車両・船舶分野、家具・建材分野、サニタリー用品、スポーツ用品、玩具等、幅広い分野に好適であり、特に、屋外又は屋内で用いられる樹脂製品、各種機器に配設される樹脂部品、車両用部材(車両等に配設される内装部品、外装部品)、家電製品の筐体、建材部品等、耐熱性が要求される用途等に有用である。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
1.熱可塑性樹脂(A)
以下の樹脂を用いた。
(1)AES樹脂(A−1)
撹拌翼、助剤添加装置及び温度計を配設したオートクレーブに、エチレン・プロピレン系ゴム質重合体(商品名「EP84」、JSR社製)20質量部と、スチレン56質量部と、アクリロニトリル24質量部と、トルエン110質量部とを仕込み、内温を75℃とした。1時間撹拌して均一溶液とした後、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.45質量部を添加した。更に昇温して内温を100℃として、撹拌回転数100rpmにて重合反応を行った。反応開始後、4時間経過後、内温を120℃に昇温し、更に2時間反応させて、反応を終了させた。重合転化率は80%であった。
その後、重合溶液を100℃に冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2質量部を添加した。次いで、重合溶液をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により、未反応物及び溶媒を留去し、エチレン・プロピレン系ゴム強化ビニル系樹脂を主とする成分を回収した。その後、この成分を40mmφベント付き押出機に供給し、シリンダー温度220℃及び真空度700mmHgの条件で揮発分を実質的に脱揮して、エチレン・プロピレン系ゴム強化ビニル系樹脂(AES樹脂)からなるペレットを得た。
このエチレン・プロピレン系ゴム強化ビニル系樹脂において、グラフト率は55%、エチレン・プロピレン系ゴム質重合体の含有量は21質量%、アセトン可溶成分の極限粘度は、0.45dl/gであった。
(2)ASA樹脂(A−2)
アクリル酸n−ブチル99質量部及びメタクリル酸アリル1質量部を、不均化ロジン酸カリウム(乳化剤)及び過硫酸カリウム(重合開始剤)を用い、温度80℃で乳化重合し、重量平均粒子径が284nmであるアクリル系ゴム質重合体を含むラテックスを得た。
次いで、攪拌機及び温度計を配設した反応容器に、上記ラテックス100質量部(固形分換算)と、水110質量部とを仕込み、窒素ガス気流下、撹拌しながら昇温した。内温が40℃に達した時点で、水20質量部に、ブドウ糖0.3質量部、ピロリン酸ナトリウム1.2質量部及び硫酸第一鉄0.01質量部を溶解させてなる水溶液と、水30質量部に、tert−ブチルハイドロパーオキサイド0.4質量部及び不均化ロジン酸カリウム2.4質量部を溶解させてなる水溶液(以下、「CAT水溶液」という。)の30質量%分と、を供給した。その直後、スチレン74質量部及びアクリロニトリル26質量部からなる単量体混合物と、CAT水溶液の残部とを、それぞれ、3時間及び3時間30分に渡って、連続添加し、重合を行った。添加開始時に内温を75℃に昇温し、重合中、この温度を維持した。重合終了時の重合転化率は98%であった。
その後、得られた共重合ラテックスに対して、凝固、水洗及び乾燥し、粉末状のアクリル系ゴム強化ビニル系樹脂(ASA樹脂)を得た。
このアクリル系ゴム強化ビニル系樹脂において、グラフト率は57%、アクリル系ゴム質重合体の含有量は51質量%、アセトン可溶成分の極限粘度は、0.45dl/gであった。
(3)ABS樹脂(A−3)
攪拌機及び温度計を配設した反応容器に、窒素ガス気流中、イオン交換水75質量部と、ロジン酸カリウム0.5質量部と、tert−ドデシルメルカプタン0.1質量部と、ゲル含率が85%であり平均粒子径が350nmであるポリブタジエンゴムを含むラテックス40質量部(固形分換算)と、スチレン15質量部と、アクリロニトリル5質量部とを仕込み、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、イオン交換水20質量部に、ピロリン酸ナトリウム0.2質量部、硫酸第一鉄7水和物0.01質量部及びブドウ糖0.2質量部を溶解させてなる水溶液を添加した。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.07質量部を添加して、重合を開始した。
1時間後、イオン交換水50質量部、ロジン酸カリウム0.7質量部、スチレン30質量部、アクリロニトリル10質量部、tert−ドデシルメルカプタン0.05質量部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01質量部を、3時間かけて連続的に添加した。更に1時間重合を継続した後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2質量部を添加し、重合を終了した。
次いで、得られた共重合ラテックスに対し、硫酸水溶液を用いて凝固、その後水洗、乾燥し、ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂(ABS樹脂)を得た。
このジエン系ゴム強化ビニル系樹脂において、グラフト率は68%、ポリブタジエンゴムの含有量は41質量%、アセトン可溶成分の極限粘度は、0.45dl/gであった。
(4)ポリカーボネート樹脂(A−4)
帝人化成社製「パンライトL−1225WP」(商品名)を用いた。粘度平均分子量は22,000、メルトマスフローレート(温度300℃、荷重1.2kg)は14g/10分である。
(5)ポリエステル樹脂(A−5)
三菱エンジニアリングプラスチック社製ポリブチレンテレフタレート「ノバデュラン5007」(商品名)を用いた。極限粘度は0.71dl/gである。
(6)ポリプロピレン樹脂(A−6)
日本ポリプロ社製「ノバテックBC6C」(商品名)を用いた。メルトマスフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)は2.5g/10分である。
(7)アクリロニトリル・スチレン共重合体(A−7)
攪拌機及び温度計を配設した反応容器を2基連結して用いた。各反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、1基目の反応容器に、スチレン75質量部、アクリロニトリル25質量部及びトルエン20質量部を仕込んだ。tert−ドデシルメルカプタン(分子量調節剤)0.12質量部及びトルエン5質量部からなる溶液と、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)(重合開始剤)0.1質量部及びトルエン5質量部からなる溶液とを連続的に供給した。1基目の重合温度は110℃に調整し、平均滞留時間2時間、重合転化率は57%であった。
次いで、1基目の外部に設けたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤及び重合開始剤の供給量と同量の重合溶液を、連続的に取り出し、2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器における重合温度は130℃とし、重合転化率は75%であった。
その後、得られた重合溶液を、2軸3段ベント付き押出機に供給し、未反応の単量体及び溶剤を脱揮して、アクリロニトリル・スチレン共重合体を得た。
このアクリロニトリル・スチレン共重合体について、アクリロニトリル単位量は25質量%、極限粘度は0.48dl/gであった。
2.α−メチルスチレン系共重合体(B)
下記の方法で得られた共重合体B−1〜B−13を用いた。
製造例1(共重合体B−1の製造)
撹拌機付き反応器に、水250質量部、ラウリル酸ナトリウム3質量部、tert−ドデシルメルカプタン0.2質量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4質量部、硫酸第一鉄0.0025質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム0.01質量部及びクメンハイドロパーオキサイド0.5質量部を仕込み、反応器内の脱酸素を行った。その後、窒素気流中、60℃で撹拌しながら、α−メチルスチレン71質量部を仕込んだ(表1「第1工程」の欄参照)。十分に乳化させた後に、表1「第1工程」の欄において、α−メチルスチレン以外の成分である、アクリロニトリル17質量部(表1「第1工程」の欄参照)を5時間かけて連続的に滴下し、共重合を行い、重合転化率が85.0%になったところで重合を終了した(第1重合工程)。
次いで、重合溶液に、更に、クメンハイドロパーオキサイド0.5質量部、tert−ドデシルメルカプタン0.05部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4質量部、硫酸第一鉄0.0025質量部及びエチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム0.01質量部を仕込んだ。その後、窒素気流中、60℃で撹拌しながら、表1「第2工程」の欄におけるスチレン6質量部及びアクリロニトリル6質量部を0.5時間かけて連続的に滴下し、共重合を行った。滴下終了後、60℃で1.5時間撹拌し、重合を終了した(第2重合工程)。最終の重合転化率は96.0%であった。反応器内の残留モノマー量は、重合に供した単量体の全量に対して、α−メチルスチレンが1.4質量%、スチレンが1.4質量%、及び、アクリロニトリルが1.2質量%であった。
その後、塩化カルシウムにより凝固し、これを、日本プラコン社製ベント付き押出機「DMG40mm」(型式名)により、α−メチルスチレン系共重合体(B−1)を回収し、組成分析を行ったところ、α−メチルスチレン単位72.5質量%、スチレン単位4.8質量%及びアクリロニトリル単位(シアン化ビニル化合物単位)22.7質量%であった。また、日本電子社製フーリエ変換核磁気共鳴装置「EX−270」(型式名)を用い、下記測定条件にて、13C−NMRにより連鎖ブロックの含有量を測定したところ、[AMS・AMS・St]が4.0モル%、[AMS・AMS・VC]が62.0モル%、[AMS・AMS・AMS]が9.0モル%及び[VC・AMS・VC]が25.0モル%であった(表1参照)。
<NMR測定条件>
測定溶媒 :重水素化クロロホルム(トリメチルシラン入り)
常磁性緩和試薬 :アセチルアセトンクロム(III)22mg
試料溶液濃度 :10mg/cc
共鳴周波数 :270MHz
検出パルスのフリップ角 :45°
データ取り込み時間 :0.819秒
遅延時間 :1.500秒
積算回数 :23,000回
測定温度 :25℃
製造例2〜13(共重合体B−2〜B−13の製造)
表1及び表2に示す割合で、α−メチルスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを用い、製造例1と同様にしてα−メチルスチレン系共重合体を得た(表1及び表2参照)。尚、製造例3で得られたα−メチルスチレン系共重合体(B−3)の13C−NMRスペクトルを、図1に示した。
Figure 2009155474
Figure 2009155474
3.熱可塑性樹脂組成物の製造及びその評価
実施例1〜12及び比較例1〜10
上記の成分(A)及び(B)を、表3〜表6に記載の割合で、ヘンシェルミキサーに供給し、混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練(シリンダー温度220〜260℃)した。その後、これをペレット化し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、以下に示す評価を行った。その結果を表3〜表6に示す。
(1)耐熱性
熱可塑性樹脂組成物を、JSW社製射出成形機「J−100E」(型式名)に供給し、以下の条件でJIS K7195に準じた試験片(4mm×10mm×80mm)を作製し、温度130℃でヒートサグ値を測定した。
<成形条件>
・成形温度 : NH(240℃),H1(240℃),H2(240℃),H3(240℃)
・スクリュー回転数: 80rpm
・射出速度 : 25%
・射出圧力 : 15%
・保圧 : 10%
・冷却時間 : 40秒
・金型温度 : 50℃
(2)熱安定性
熱可塑性樹脂組成物を、ファナック社製成形機「α150」(型式名)に供給し、以下の条件で試験片を成形し、表面におけるシルバー発生の有無を目視確認した。○印は、シルバーが無かったことを、×印は、シルバーが発生したことを示す。
<成形条件>
・成形温度 : NH(260℃),H1(260℃),H2(250℃),H3(240℃)
・スクリュー回転数: 80rpm
・背圧 : 10MPa
・最大射出圧力 : 160MPa
・射出率 : 50cm/秒
・保圧 : 40MPa
・冷却時間 : 30秒
・金型温度 : 50〜60℃
(3)成形品の色調
熱可塑性樹脂組成物を、JSW社製射出成形機「J−100E」(型式名)に供給し、以下の条件でISO2039に準じたロックウェル試験片を成形し、Gardner社製分光光度計を用いて、その色調(b値)を評価した。
<成形条件>
・成形温度 : NH(240℃),H1(240℃),H2(240℃),H3(240℃)
・スクリュー回転数: 80rpm
・射出速度 : 25%
・射出圧力 : 15%
・保圧 : 10%
・冷却時間 : 40秒
・金型温度 : 50℃
Figure 2009155474
Figure 2009155474
Figure 2009155474
Figure 2009155474
表3〜表6によれば、以下のことが明らかである。
比較例1は、連鎖ブロック(b1)の含有量が1.7モル%と低く、本発明の範囲外の成分(B)を用いた例であり、ヒートサグ値が高く、耐熱性が劣っていた。比較例2は、連鎖ブロック(b1)の含有量が1.5モル%と低く、本発明の範囲外の成分(B)を用いた例であり、熱安定性が劣っていた。比較例3は、α−メチルスチレン単位の含有量が少なく且つシアン化ビニル化合物単位の含有量が多く、本発明の範囲外の成分(B)を用いた例であり、ヒートサグ値が高く、耐熱性が劣っていた。比較例4は、α−メチルスチレン単位の含有量が多く、本発明の範囲外の成分(B)を用いた例であり、熱安定性が劣っていた。比較例5は、シアン化ビニル化合物単位の含有量が少なく、本発明の範囲外の成分(B)を用いた例であり、熱安定性が劣っていた。比較例6は、シアン化ビニル化合物単位の含有量が多く且つ連鎖ブロック(b1)の含有量が少ない、本発明の範囲外の成分(B)を用いた例であり、ヒートサグ値が高く、耐熱性が劣り、そして、色調性が劣っていた。比較例7は、スチレン単位の含有量が少なく、本発明の範囲外の成分(B)を用いた例であり、ヒートサグ値が高く、耐熱性が劣り、そして、色調性が劣っていた。比較例8は、α−メチルスチレン単位の含有量が少なく且つ連鎖ブロック(b1)の含有量が13.1モル%と多い、本発明の範囲外の成分(B)を用いた例であり、ヒートサグ値が高く、耐熱性が劣り、そして、色調性が劣っていた。比較例9は、成分(B)の含有量が本発明の範囲外で多い例であり、熱安定性に劣っていた。また、比較例10は、成分(B)の含有量が本発明の範囲外で少ない例であり、ヒートサグ値が高く、耐熱性が劣っていた。
一方、実施例1〜14は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の例であり、目的とする性能が得られている。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、熱安定性及び色調性に優れることから、該組成物を含む成形品は、特に、屋外又は屋内で用いられる樹脂製品、各種機器に配設される樹脂部品、車両用部材(車両等に配設される内装部品、外装部品)、家電製品の筐体、建材部品等、耐熱性が要求される用途等に有用である。
製造例3で得られたα−メチルスチレン系共重合体(B−3)の13C−NMRスペクトルを示すグラフである。

Claims (9)

  1. (A)熱可塑性樹脂と、(B)各単位の合計を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン単位68〜75質量%、スチレン単位3〜12質量%及びシアン化ビニル化合物単位20〜26質量%からなり、且つ、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・スチレン単位よりなる連鎖ブロック(b1)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b2)、α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位・α−メチルスチレン単位よりなる連鎖ブロック(b3)、及び、シアン化ビニル化合物単位・α−メチルスチレン単位・シアン化ビニル化合物単位よりなる連鎖ブロック(b4)を含み、且つ、上記連鎖ブロック(b1)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)との合計を100モル%とした場合に、2〜12モル%であるα−メチルスチレン系共重合体と、を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    上記熱可塑性樹脂(A)及び上記α−メチルスチレン系共重合体(B)の含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、15〜80質量%及び85〜20質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 上記α−メチルスチレン系共重合体(B)を構成する、上記連鎖ブロック(b2)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)の合計を100モル%とした場合に、55モル%以上である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記α−メチルスチレン系共重合体(B)を構成する、上記連鎖ブロック(b3)の含有量が、上記連鎖ブロック(b1)、上記連鎖ブロック(b2)、上記連鎖ブロック(b3)及び上記連鎖ブロック(b4)の合計を100モル%とした場合に、10モル%以下である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 上記α−メチルスチレン系共重合体(B)が、各化合物の合計を100質量%とした場合に、α−メチルスチレン(m1)68〜78質量%、スチレン(m2)3〜13質量%、及び、シアン化ビニル化合物(m3)18〜28質量%を用いて、
    上記α−メチルスチレン(m1)のうちの90〜100質量%に相当するα−メチルスチレンと、上記スチレン(m2)のうちの0〜33質量%に相当するスチレンと、上記シアン化ビニル化合物(m3)のうちの65〜85質量%に相当するシアン化ビニル化合物とを重合する第1重合工程、及び、上記α−メチルスチレン(m1)のうちの0〜10質量%に相当するα−メチルスチレンと、上記スチレン(m2)のうちの67〜100質量%に相当するスチレンと、上記シアン化ビニル化合物(m3)のうちの15〜35質量%に相当するシアン化ビニル化合物とを重合する第2重合工程を、順次、備え、且つ、上記第2重合工程におけるスチレンの使用量が、上記α−メチルスチレン(m1)、上記スチレン(m2)及び上記シアン化ビニル化合物(m3)の合計に対して3質量%以上である製造方法により得られたものである請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 上記熱可塑性樹脂(A)が、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びオレフィン系樹脂から選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 上記ゴム強化樹脂が、ゴム質重合体(a1)の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれた少なくとも2種以上のビニル系単量体(a2)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、該ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体(a3)の(共)重合体と、からなる混合物である請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. JIS K7195に準じて、温度130℃で測定されるヒートサグ値が25mm以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
  9. 上記成形品が車両用部材である請求項8に記載の成形品。
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