JP2009148213A - 麦類若葉由来凝縮液含有物、顆粒およびその製造方法 - Google Patents

麦類若葉由来凝縮液含有物、顆粒およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、植物の搾汁液の濃縮工程において、副生する廃棄物である大量の凝縮液の香気成分の有効利用を目的とするものである。
【解決手段】麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収し、搾汁液の濃縮工程において回収される凝縮液を含有する、麦類若葉由来凝縮液含有物に関する。また、麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収する第1工程と、搾汁液を濃縮して濃縮液と凝縮液とを回収する第2工程と、濃縮液から麦類若葉エキスを得る第3工程と、麦類若葉エキスに、凝縮液を噴霧する第4工程とを備える、顆粒の製造方法と該製造方法で得られる顆粒に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収し、搾汁液の濃縮工程において回収される凝縮液を含有する麦類若葉由来凝縮液含有物に関する。また、該搾汁液と麦類若葉エキスとを含有する顆粒およびその製造方法に関する。
植物成分中の香気に関与する成分に関する研究は古くより行なわれており、該成分は、その特徴に応じて香料、医薬品、食品等に広範囲にわたり使用されている。植物成分中の香気成分の回収法は、水蒸気蒸留、分留、減圧蒸留、溶剤抽出、蒸気と溶剤による連続的抽出、超臨界ガス抽出、圧搾法等により行なわれている。植物成分中の香気成分等については、飲食物、医薬部外品、医薬品等に用いられるため、下記に示すような研究が進められている。
特許文献1(特開平08−104602号公報)は、植物の生体防御増強剤として、青葉アルコールの生合成誘導物質であるシス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキサナール、トランス−3−ヘキセノール、トランス−3−ヘキサナール、トランス−2−ヘキサナール、トランス−2−ヘキセノールまたはトラウマチン酸半アルデヒドの単独または2種以上の混合物を開示している。そして、特許文献1には、青葉アルコールの生合成誘導物質は、茶生葉の水蒸気蒸留、生葉アルコールと生葉アルデヒドとはアルファルファの生葉の水蒸気蒸留によって得られた旨記載されている。
特許文献2(特開2004−59874号公報)は、室内や衣料品に噴霧する噴霧用およびイオンコンディショナ給水用のフィトンチッド水溶液を開示している。
特許文献3(特開2006−45491号公報)は、機能性材料に関するものであり、その一つとして、機能性成分が青葉アルコールであり、セピオライト粒子の表面に付着または被覆する機能性素材がセルロースであり、機能性成分を機能性素材内部に含有または表面に担持し、亜麻仁油に対して、分散性を有している、香粧品の材料を提供するものである。
特許文献4(特開2006−104067号公報)は、糖質またはデンプン質を含む植物性素材と水とを原料としてアルコール発酵させたものを蒸留して得られたエタノール溶液を開示している。該エタノール溶液によりオーク材を抽出して得られた抽出画分を低級アルコール、低級アルコールとエーテルとの混合溶媒により抽出した自律神経機能を調整する香気組成物が開示されている。
特許文献5(特開2006−241287号公報)は、ヒノキ科植物ホワイトサイプレス心材の鉋屑をフラスコに入れて、加水した状態で、コンデンサと温度計とを取り付けて100℃まで加温し、約3時間蒸留して調整した精油、親水性溶媒または有機溶媒により調製された香気成分または抽出物が脂質代謝改善作用を有する組成物である旨開示されている。
特許文献6(特開2004−18737号公報)は、柚子などの柑橘類の搾汁振動篩残渣を原料として減圧蒸留法により得られる柑橘類エッセンシャルオイルやフローラルウォータ(芳香蒸留水)を開示している。
特許文献7(特開平07−000169号公報)は、桧質木質体から構成されることを特徴とする飲用添加料を開示している。特許文献8(特開2000−69944号公報)は、水にフィトンチッドを混入した排泄物の消臭用の飲料水を開示している。
特許文献9(特開2006−326278号公報)は、青葉アルコールおよび青葉アルデヒドの少なくとも1種を、消臭効果を増強する化合物を含有する消臭剤を開示している。特許文献10(特開2006−335674号公報)は、嗜好飲料成分中にテルピネン−4−オール、青葉アルコールまたはジャスモン酸メチルを含有する中枢神経興奮作用増強剤を開示している。特許文献11(特開2007−110990号公報)は、緑茶飲料原料液であって、ジメチルスルフィド、リナロール、青葉アルコール、カフェインおよびタンニンを所定の割合で含有する緑茶飲料原料液を開示している。
ここで、大麦(Hordeum vulgare L)の焙煎粉の香気成分を水蒸気蒸留して分析することで、該焙煎粉の主要成分として、エチルアセテート、1,2−プロパンジオール−1−アセテート、フルフラール、5−メチルフルフラール、フルフラールアルコールが確認されている(非特許文献1(亀岡ら 日本化学会講演予稿集,69,1009(1995))参照)。
また、大麦若葉の香気成分としては、(E)−β−イオノン、ベンズアルデヒド、フラフラール、5,6−エポキシ−β−イオノン、ベンジルアルデヒドを主成分とすることが報告されている。そして、小麦若葉の香気成分としては、5−ヘキセンニトリル、ファイトール、フェニルアセトニトリル、4−ペンテンニトリル、(E)−β−イオノン、5,6−エポキシ−β−イオノン、β−サイクロシトラールを主成分とすることが報告されている(非特許文献2(Shibamotoら J.Essent.Oil Res.,19,134−137(2007))参照)。
特開平08−104602号公報 特開2004−59874号公報 特開2006−45491号公報 特開2006−104067号公報 特開2006−241287号公報 特開2004−18737号公報 特開平07−000169号公報 特開2000−69944号公報 特開2006−326278号公報 特開2006−335674号公報 特開2007−110990号公報 亀岡ら 日本化学会講演予稿集,69,1009(1995) Shibamotoら J.Essent.Oil Res.,19,134−137(2007)
植物の香気成分、エッセンシャルオイル等の利用は広範囲にわたるが、その回収は、水蒸気蒸留・圧搾法・溶剤抽出法等により行なわれている。上述のように、植物の香気成分の回収に関する発明は、開示されているが、該回収は、上述の香気成分、エッセンシャルオイル等を得るために行なわれているものであって手間がかかっている。
麦類若葉の青汁粉末を製造する際は、搾汁液を濃縮する必要がある。麦類若葉の搾汁液を濃縮する目的は、噴霧乾燥を行なう際の濃度調節をすることにある。現在、麦類若葉の搾汁液の濃縮工程において、大量に発生する蒸気は、凝縮液として廃棄されている。本濃縮工程において得られる凝縮液は、強い植物特有の香りを有する香気成分を有しているが、その用途については報告されていない。
以上の問題を鑑みて、本発明は、植物の搾汁液の濃縮工程において副生する、廃棄物として処理していた香気成分を含有する凝縮液の有効利用を目的とするものである。
本発明は、麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収し、搾汁液の濃縮において回収される凝縮液を含有する、麦類若葉由来凝縮液含有物に関する。
また、本発明の麦類若葉由来凝縮液含有物において、凝縮液は、5〜13の炭素を有するアルコール、アルデヒドおよびケトンの少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
また、本発明の麦類若葉由来凝縮液含有物において、凝縮液は、エタノール、ヘキサナール、1−ペンタノール、2−ペンテン−1−オール、1−ヘキサノール、3−ヘキセン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、2,4−ヘプタジエナール、3,5−オクタジエン−2−オン、ベンズアルデヒド、シクロへキセン、シクロシトラールおよびイオノンの少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
また、本発明は、上述の麦類若葉由来凝縮液含有物を飲食品、医薬品、医薬部外品、殺菌剤、化粧品、芳香剤または消臭剤に使用する方法に関する。
また、本発明は、麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収する第1工程と、搾汁液を濃縮して濃縮液と凝縮液とを回収する第2工程と、濃縮液から麦類若葉エキスを得る第3工程と、麦類若葉エキスに、凝縮液を噴霧する第4工程と、を備える、顆粒の製造方法に関する。
また、本発明は、上述の第1工程から第4工程を経て製造される顆粒に関する。
また、本発明は上述の顆粒を含有する、飲食品、医薬品、医薬部外品に関する。
従来廃棄物として処理していた麦類若葉由来の凝縮液が備える強い植物特有の香気成分を利用した麦類若葉由来凝縮液含有物を提供することができる。
また、絞りたての麦類若葉の搾汁液と同じ風味、香味を有する顆粒を提供することができる。
<実施形態1>
本実施形態は、麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収し、該搾汁液の濃縮において回収される凝縮液を含有する、麦類若葉由来凝縮液含有物に関する。該麦類若葉由来凝縮液含有物は、より具体的には、飲食品、医薬品、医薬部外品、殺菌剤、化粧品、芳香剤または消臭剤として使用することができる。
一般的に、麦類若葉の青汁粉末を製造する際には、麦類若葉の搾汁液を低温濃縮により所定の固形分濃度にまで濃縮した濃縮液を噴霧乾燥または凍結乾燥することが好ましい。これは、新鮮な生の麦類若葉の風味と栄養価を保ったまま青汁粉末を製造するためである。該濃縮液と同時に凝縮液が回収されるが、通常該凝縮液は廃棄されている。本実施形態においては、該凝縮液が備える植物特有の香気成分の用途を見出したことから新規の麦類若葉由来凝縮液含有物を提供することができる。
本実施形態における麦類若葉由来凝縮液含有物は、該凝縮液を含有するため、まず、該凝縮液について説明する。
≪凝縮液≫
本実施形態の凝縮液は、5〜13の炭素を有するアルコール、アルデヒドおよびケトンの少なくとも1種の化合物を含む。そして、5〜13の炭素を有するアルコール、アルデヒドおよびケトンの少なくとも1種の化合物としては、エタノール、ヘキサナール、1−ペンタノール、2−ペンテン−1−オール、1−ヘキサノール、3−ヘキセン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、2,4−ヘプタジエナール、3,5−オクタジエン−2−オン、ベンズアルデヒド、シクロへキセン、シクロシトラールおよびイオノン少なくとも1種の化合物であることが好ましい。ただし、凝縮液に含まれる成分については、特に限定されず、上述の化合物以外のものを含んでも良い。上述の化合物を含有する混合物は、新鮮な大麦若葉本来の香りを有することを特徴とする。
≪凝縮液の回収方法≫
図1は、凝縮液を回収するための工程を示す工程図である。凝縮液を得るためには、麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収する第1工程と、搾汁液を濃縮して濃縮液と凝縮液とを回収する第2工程とを経る。以下、図1に基づいて説明する。
第1工程においては、麦類若葉、特に好ましくは、収穫した直後の大麦若葉を用いる。新鮮な生の麦類若葉を機械的に搾汁し、固形分を濾過または遠心分離により除去して搾汁液を調製する。そして、該搾汁液に速やかに塩類を添加する。該塩類とは、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩化カルシウムおよび有機酸カルシウム等から選ばれる塩類を1種類または2種類以上であって、該搾汁液の0.02〜1質量%添加されることが好ましく、該搾汁液の0.03〜0.3質量%を添加されることが特に好ましい。上述の塩類添加量を選択する理由は、後述する第2工程の際に、濃縮液の塩類濃度が高くなるのを調節するためである。また、該塩類添加量で、搾汁液の成分の変質を可及的防止することができる。具体的には、該搾汁液が空気に触れ酸化されて生じる色の変化、味または香りの変化や、該麦類若葉由来の搾汁液中に含まれる多種多様の酵素による該搾汁液の成分の分解から抑制することができる。また、第1工程中、該搾汁液の温度は、5〜15℃に保たれることが好ましい。該搾汁液の品質の低下を防止するためである。
本工程においては、搾汁液のpHの範囲を6.0〜8.5に保つことが好ましい。一般には新鮮な植物の搾汁液は通常、pHの範囲は5.0〜6.0で弱酸性であり、該麦類若葉の搾汁液のpHも同様の範囲である。そして、通常のカビおよび腐敗菌はpH5.0〜6.0で活性が大となる。そのため、該搾汁液について、pHの範囲を調製しない場合には、通常のカビおよび腐敗菌が繁殖しやすい環境となる。したがって、本実施形態においては、搾汁液のpHの範囲を6.0〜8.5に保つことでカビおよび腐敗菌の繁殖を抑制することができる。以上の操作によって、搾汁液が回収される。
本発明で好適に使用される麦類としては、大麦が最も適しているが、裸麦、小麦、トウモロコシ、燕麦、はと麦、イタリアンダイグラスおよびキビ等も使用できる。そして、本工程においては、特に大麦および裸麦の緑葉の新鮮な成熟期前の若葉を用いることが特に好ましい。
次に、第2工程について説明する。本工程においては、第1工程で回収した搾汁液から濃縮液および凝縮液を回収する。本実施形態においては、第1工程で回収したpHの範囲が6.0〜8.5で、温度が5〜15℃の範囲である搾汁液を低温濃縮装置で濃縮することができる。該低温濃縮装置には、たとえばグローバル型低温濃縮装置を用いることができる。該搾汁液を、該グローバル型低温濃縮装置の濃縮部に投入し、循環冷却水温度5〜20℃、グローバル液温20〜40℃、投入された液体の温度が5〜15℃の範囲内の条件において、濃縮歩留90%以上の濃縮液を調製することができる。そして、第2工程において、搾汁液の50〜70v/v%の凝縮液を回収することができる。つまり、第1工程における搾汁液の半数以上の体積が凝縮液として、回収されることになる。ただし、凝縮液が回収される量は、第1工程における搾汁液の固形分濃度による。なお、濃縮に用いる方法は、適宜公知の方法を採用することが可能である。
本実施形態の第1工程および第2工程を経た該濃縮液は、噴霧乾燥または凍結乾燥等されることによって、新鮮な生の麦類若葉の風味と栄養価を保ったまま、嗜好性が著しくよい青汁粉末となる。
≪麦類若葉由来凝縮液含有物の利用方法≫
回収される濃縮液と搾汁液とは香味が異なり、搾汁液が含有しており、濃縮液が含有しない成分は、凝縮液が含有している場合がある。麦類若葉由来凝縮液含有物は、本来、廃棄物として廃棄されていた凝縮液が有する独特な緑葉香気成分に着目し、上述の凝縮液を含有させたものをいう。該麦類若葉由来凝縮液含有物は、飲食品、医薬品、医薬部外品、殺菌剤、化粧品、芳香剤または消臭剤に使用することができる。
麦類若葉由来凝縮液含有物を飲食品として使用する場合には、たとえば、上述の濃縮液を噴霧乾燥または凍結乾燥して製造された青汁粉末と該凝縮液とを混合することによって、絞りたての麦類若葉の搾汁液のような風味を楽しむことができる麦類若葉由来凝縮液含有物を提供できる。また、麦類若葉由来凝縮液含有物を飲食品として使用する場合には、好みに応じて希釈し、清涼飲料水とする用途、調理用としての用途を提供することもできる。
また、レモン果実等の果実の粉末やデキストリン、サイクロデキストリンなどの糖類を流動造粒乾燥機等に投入して、果実の粉末や糖類を材料とする顆粒を製造する際に、凝縮液を50〜90℃で噴霧する操作によっても、該麦類若葉由来凝縮液含有物を得ることができる。なお、顆粒を製造するための方法は、適宜公知の方法を用いることができる。麦類若葉の搾汁液と略同様の香味を付与された顆粒が製造される。また、該凝縮液に、デキストリン、サイクロデキストリン等の糖類を混合してから上述のような噴霧に用いてもよい。該糖類等と凝縮液とを含有する麦類若葉由来凝縮液含有物は、嗜好性の改善を得ることができる。
麦類若葉由来凝縮液含有物を医薬部外品として使用する場合には、たとえば、浴用剤や加湿器用水等のように使用をすることができる。
麦類若葉由来凝縮液含有物を殺菌剤として用いる場合には、たとえば、該凝縮液におけるアルコール等の成分を利用して、該凝縮液自体を麦類若葉由来凝縮液含有物を殺菌したいものに直接吹きかける等することができる。該凝縮液は、本来、食用される麦類若葉から回収されたものであり、人体への悪影響はないものと考えられる。
麦類若葉由来凝縮液含有物を化粧品に使用する場合には、該化粧品の材料と該凝縮液とを混合することで、爽やかな緑葉の香りがする化粧品としての麦類若葉由来凝縮液含有物を提供することができる。
麦類若葉由来凝縮液含有物を芳香剤または消臭剤として使用する場合には、該芳香剤または消臭剤の材料と該凝縮液とを混合することで、爽やかな緑葉の香りがする芳香剤または消臭剤としての麦類若葉由来凝縮液含有物を提供することができる。麦類若葉由来凝縮液含有物を芳香剤として使用する場合には、浴槽の湯に混合する用途を提供することもできる。
<実施形態2>
本実施形態においては、上述した濃縮液と凝縮液とを利用した顆粒およびその製造方法について説明する。図2は、本実施形態の顆粒の製造工程を示す工程図である。以下、図2に基づいて説明する。
本実施形態においては、実施形態1で説明した第1工程および第2工程に続いて、該濃縮液から麦類若葉エキスを得る第3工程と、該麦類若葉エキスに、該凝縮液を噴霧する第4工程とを備える。
まず、第3工程について、説明する。第3工程においては、所定の固形分濃度、たとえば固形分0.1〜50%好ましくは1〜30%にまで第2工程で製造された濃縮液に対して送風温度100〜200℃、排気温度90〜150℃で噴霧乾燥または、凍結乾燥に際しては20〜50℃の条件で行ない、麦類若葉エキスを得る。麦類若葉エキスは、該濃縮液中に含まれる麦類若葉の成分を含有するものであり、具体的には、青汁粉末を挙げることができる。また、該濃縮液にたとえばデキストリン、サイクロデキストリンなどの糖類を混合した溶液を噴霧乾燥または凍結乾燥等を行ない得られた粉末も麦類若葉エキスとすることができる。糖類等を混合することによって、乾燥物の安定性は増大する。
次に、第4工程について、説明する。第4工程においては、該麦類若葉エキスを流動造粒乾燥機等に投入して、該麦類若葉エキスを材料とする顆粒を製造する際に、該麦類若葉エキスに凝縮液を5〜150℃、好ましくは20〜100℃で噴霧する。上述の操作によって、麦類若葉の搾汁液と略同様の香味が付与された顆粒が製造される。また、該凝縮液には、デキストリン、サイクロデキストリン等の糖類を混合してから該麦類若葉エキスに噴霧してもよい。
上述したとおり、搾汁液と濃縮液とは、含有する成分が異なるため、必然的に風味、香味等が異なる。したがって、該濃縮液から得られる麦類若葉エキスは、絞りたての搾汁液とは風味等が異なっている。しかし、本実施形態によると、絞りたての搾汁液と同じ風味、香味を有する顆粒を提供することができる。
また、顆粒を含有する、飲食品または医薬部外品を製造することもできる。該顆粒を含有する飲食品は、たとえば、絞りたての麦類若葉の搾汁液のような風味を楽しむことができる。また、該顆粒は、好みに応じて希釈し、清涼飲料水とする用途、調理用としての用途を提供することもできる。該顆粒を医薬部外品として使用する場合には、たとえば、飲食品、医薬品、医薬部外品、殺菌剤、化粧品、芳香剤または消臭剤等に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例]
<実施例1>
大麦若葉(固形分5.0w/w%)を水洗後、ジューサーで搾汁し、固形分を濾過することで、搾汁液を得た(第1工程)。次に、該搾汁液に対して0.08質量%の塩化ナトリウムと0.02質量%の重炭酸ナトリウムとを該搾汁液に添加して、該搾汁液のpHを7.1に調節した。次に、1000Lの該搾汁液をグローバル型低温濃縮装置に投入し、グローバル液温31℃、循環冷却水温度15℃の操作条件において、グローバル型低温濃縮装置を稼動させた。この際、適宜、操作液量が1000Lとなるよう該搾汁液を連続的に該グローバル型低温濃縮装置に供給した。そして、該搾汁液から、所定の固形分濃度に濃縮した濃縮液と、凝縮液とを回収した(第2工程)。このとき得られた凝縮液は、pHが8.41であり、大麦若葉の搾汁液と同様の特有の強い芳香を有する透明な液体であった。
<凝縮液の成分分析>
得られた凝縮液10gを吸着剤ツイスターに室温で3時間吸着処理した。そして、吸着剤ツイスターに吸着した成分について、ガスクロマトグラフ質量分析計 加熱脱着装置付 GC/MSにより、吸着した成分を
TDS温度:20℃−20℃/min−230℃(5min)、
CIS温度:−150℃−12℃/sec−230℃(10min)、
GCカラム:HP−INNOWAX(60m×0.25mm×0.25μm)、
GCオーブン:50℃−10℃/min−230℃(10min)、
スキャンレンジ:m/z 29−400
において測定した結果、
エタノール(4.89min)、ヘキサナール(6.49min)、1−ペンタノール(8.14min)、2−ペンテン−1−オール(9.04min)、1−ヘキサノール(9.47min)、3−ヘキセン−1−オール(9.92min)、2−ヘキセン−1−オール(10.17min)、2,4−ヘプタジエナール(11.65min)、3,5−オクタジエン−2−オン(11.90min,12.54min)、ベンズアルデヒド(12.10min)、シクロへキセン(12.32min)、シクロシトラール(13.25min)、イオノン(16.71min)
と推定される物質を認めた。表1に大麦若葉の搾汁液、凝縮液および濃縮液に含まれている、本条件において検出された香気成分を示す。表1に示されるように、搾汁液における濃縮液が含有しない成分は、凝縮液が含有していることがわかった。
Figure 2009148213
<実施例2>
実施例1と同様の操作で回収した1000Lの大麦若葉の濃縮液に対して、50kgのデキストリンを投入し、溶解させた。そして、デキストリンが溶解した濃縮液は、送風温度190℃、排風温度120℃の条件で噴霧乾燥され、最終的に93kgの大麦若葉エキスを得た(第3工程)。次に、実施例1と同様の操作で回収した凝縮液をフィルタープレス(FILTER PAPER,INDUSTRIAL ADVANTEC No.27,Toyo Roshi Kaisha,Ltd.)により濾過した。そして、得られた5kgの該大麦若葉エキスを流動造粒乾燥機に投入し、濾過した該凝縮液を80℃の熱風と共に噴霧しながら造粒して、生の青汁に近い香気を有する4.5kgの大麦若葉エキス顆粒を得た。
<実施例3>
実施例1と同様の操作で回収した凝縮液をフィルタープレス(FILTER PAPER,INDUSTRIAL ADVANTEC No.27,Toyo Roshi Kaisha,Ltd.)により濾過し、得られた凝縮液を90℃で40分間加熱滅菌を行なった。そして、サイクロデキストリン(天野エンザイム株式会社製)5kgを流動造粒乾燥機に投入し、加熱殺菌した2.5Lの凝縮液を80℃の熱風とともに噴霧して緑葉の香りを包接したサイクロデキストリン4.5kgを得た。
<実施例4>
実施例1により製造した凝縮液をフィルタープレス(FILTER PAPER,INDUSTRIAL ADVANTEC No.27,Toyo Roshi Kaisha,Ltd.)により濾過し、得られた凝縮液に90℃で40分間加熱滅菌を行なった。そして、デキストリン5kgを流動造粒乾燥機に投入し、加熱滅菌した2.5Lの凝縮液を80℃の熱風とともに噴霧して緑葉の香りを有する4.7kgのデキストリン顆粒を得た。
<実施例5>
実施例1と同様の操作で回収した凝縮液をフィルタープレス(FILTER PAPER,INDUSTRIAL ADVANTEC No.27,Toyo Roshi Kaisha,Ltd.)により濾過し、得られた凝縮液に90℃で40分間加熱滅菌を行なった。該凝縮液に30g/Lの濃度となるよう実施例4において製造したデキストリン顆粒を溶解した1.5Lの凝縮液溶液を調整した。そして、実施例2において製造した5kgの大麦若葉エキスを流動造粒乾燥機に投入し、1.5Lの該凝縮液溶液を70℃の熱風とともに噴霧して搾汁液に近似した緑葉の香りを有する4.7kgの大麦若葉エキス顆粒を得た。
<実施例6>
実施例1と同様の操作で回収した凝縮液をフィルタープレス(FILTER PAPER,INDUSTRIAL ADVANTEC No.27,Toyo Roshi Kaisha,Ltd.)により濾過し、ビンに充填した。そして、ビンに充填した凝縮液に90℃で40分間加熱滅菌を行ない、飲料用、芳香剤、製菓用水等の用途を持つ製品を製造した。該製品は、大麦若葉エキス製品を溶かして飲用に供するのに適していることを確認した。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
凝縮液を回収するための工程を示す工程図である。 実施形態2の顆粒の製造工程を示す工程図である。

Claims (7)

  1. 麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収し、前記搾汁液の濃縮において回収される凝縮液を含有する、麦類若葉由来凝縮液含有物。
  2. 前記凝縮液は、5〜13の炭素を有するアルコール、アルデヒドおよびケトンの少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の麦類若葉由来凝縮液含有物。
  3. 前記凝縮液は、エタノール、ヘキサナール、1−ペンタノール、2−ペンテン−1−オール、1−ヘキサノール、3−ヘキセン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、2,4−ヘプタジエナール、3,5−オクタジエン−2−オン、ベンズアルデヒド、シクロへキセン、シクロシトラールおよびイオノンの少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の麦類若葉由来凝縮液含有物。
  4. 請求項1〜3のいずれかの麦類若葉由来凝縮液含有物を飲食品、医薬品、医薬部外品、殺菌剤、化粧品、芳香剤または消臭剤に使用する方法。
  5. 前記麦類若葉を搾汁して搾汁液を回収する第1工程と、
    前記搾汁液を濃縮して濃縮液と凝縮液とを回収する第2工程と、
    前記濃縮液から前記麦類若葉エキスを得る第3工程と、
    前記麦類若葉エキスに、前記凝縮液を噴霧する第4工程と、
    を備える、顆粒の製造方法。
  6. 請求項5の製造方法で製造される顆粒。
  7. 請求項6に記載の顆粒を含有する、飲食品、医薬品、医薬部外品。
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