JP2009147353A - 基板の搬送用キャリア - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板の搬送に用いられ、該基板の下面と密着する樹脂層を備えた搬送用キャリアであって、前記樹脂層は、シリケート化合物と、末端をシリケート変性したポリジメチルシロキサンとを有する混合物を、加水分解反応および縮合反応することによって得られた組成物を主成分とし、透明性を有する、基板の搬送用キャリアを提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、基板の搬送に用いられ、該基板の下面と密着する樹脂層を備えた基板の搬送用キャリアであって、前記樹脂層は、シリケート化合物と、末端をシリケート変性したポリジメチルシロキサンとを有する混合物を、加水分解反応および縮合反応することによって得られた組成物を主成分として特徴とする、基板の搬送用キャリアに関するものである。
以下、ポリジメチルシロキサンを「PDMS」と略し、末端をシリケート変性されたポリジメチルシロキサンを「変性PDMS」と略す。
本発明のシリケート化合物とは、シリコン(Si)でできた金属アルコキシドのオリゴマーであり、主鎖にシロキサン(−Si−O−Si−)骨格を持ち、外鎖にアルコキシ基(RO)を導入した化合物のことである。ここで、アルコキシ基(RO)のアルキル部分である(R)は、メチル基、エチル基、プロピル基等が例示される。このシリケート化合物は、水と容易に反応する特性を持っている。
本発明の変性PDMSとは、シリケート化合物にてPDMSの末端を変性処理したものであり、両末端にシラノール基を有するPDMSと、主鎖の片側または両側に加水分解可能な官能基であるアルコキシ基を有するアルコキシシラン部分縮合物とを反応させて得られるものをいう。
本発明においては、前記したシリケート化合物と、前記した変性PDMSとを有する混合物を加水分解および縮合反応させる。
一方、前記変性PDMSも同様に、加水分解をすることにより、水の存在によってシラノール基(「シラノール変性」とも呼ぶ。)となる。
前記組成物は液状(「ゾル」とも呼ぶ。)であるので、組成物から樹脂層に成形するには、組成物を金型等のトレイに塗布し、乾燥焼成処理によって、硬化(固体または半固体 「ゲル」とも呼ぶ。)させて成形する。成形形状は、基板を表面に置いて搬送できるものであれば任意でよいが、一般的にはシート状、板状に成形する。
また、前記シリケート化合物は、〔化学式1〕SinO(n−1)(RO)2(n+1) (R=アルキル基、n=4〜16)で表されるものであり、また、変性PDMSは、〔化学式2〕SinO(n−1)(RO)2(n+1) (OSi(CH3)2)m(RO)2(n+1)SinO(n−1)(R=アルキル基、n=4〜16、m>50)で表されるものであっても良い。
また、前記シリケート化合物(A)と、前記変性PDMS(B)の配合の割合が、A/Bのモル比にて、0.1以上10以下の範囲であることが好ましい。最適な配合の割合は、A/Bのモル比にて1前後である。
また、前記樹脂層は、260℃以下でガスクロマトグラフ(GC−MS)により測定した場合に、価数が15以下のシロキサンを含まないことが好適である。
尚、実施例における「部」、「%」は特記ない限りいずれも質量基準(質量部、質量%)である。
本発明に係る搬送用キャリアが対象とする被搬送物は、FPC等の基板である。
ここで、基板とは、FPC等のプリント配線基板に限るものではなく、シート状のものであれば、何でも良い。
本発明に係る基板の搬送用キャリアは、被搬送物であるフィルム状の基板の下面と密着する樹脂層と、この樹脂層を密着して固定したベースとからなる。
ベースは、リフロー炉等で加熱されても変形しない耐熱性の剛性板であれば良い。
本発明に係る基板の搬送用キャリア1は、図1に示すように、硬い剛体でできた金属平板であるベース2の表面に、FPCなどの基板3の下面と密着する、滑らかな表面を有し、前記組成物を主成分とする、透明性を有した樹脂層4を備えている。
この樹脂層4は、弱粘着性を有しているので、基板3を密着して位置を保持することができ、反りやねじれを防止することができる。また、容易に、基板3をはがすこともできる。
本発明に係る基板の搬送用キャリアの樹脂層は、シリケート化合物と、末端をシリケート変性したポリジメチルシロキサンとを有する混合物を、加水分解反応および縮合反応することによって得られた組成物を主成分とする。この組成物の製造について以下に具体的に説明する。
ここで、エチルシリケートと、エチルシリケートを両末端にアルコキシ変性したポリジメチルシロキサンで用いられたシリケートは、同じ種類および同じ特性を持つシリケートを使用した。
その後、攪拌しながら約30分かけて室温まで自然冷却し、組成物を得た。
前記組成物は液状(「ゾル」とも呼ぶ。)であるので、組成物から樹脂層に成形するには、組成物を金型等のトレイに塗布し、乾燥焼成処理によって施し、硬化(固体または半固体 「ゲル」とも呼ぶ。)させてシート状に成形する。
(測定試験片シート)
前記した組成物をシャーレ(直径103mm)に仕上がりで1mmの厚みになるように注入し、200℃で2時間、乾燥焼成処理を行い、その後、シャーレから脱型して、測定試験片シート(直径103mm、厚さ1mm)とした。
また、比較対象となる従来のシリコーンゴムとして、市販されているタイガースポリマー株式会社製のSR−50を採用し、直径103mm、厚さ1mmのシートを作成した。
低分子のシロキサンの揮発成分である環状シロキサンの残量を測定するため、評価機器は、加熱脱着器〔Twister Desorption Unit(以下、「TDU」と略す。)〕(Gerstel社)のCooled Injection System(以下、「CIS」と略す。)付ガスクロマトグラフ質量分析計〔Gas Chromatography Mass Spectrometry(以下、「GC−MS」と略す。)〕を用いた。尚、GC−MS装置は、アジレントテクノロジー社製5975Bシステムである。
試料中の揮発性成分を気化させるため、TDUによってサンプルホルダーの試料にヘリウムガスを流しながら加熱した。そして、ヘリウム中に気化したアウトガスをCISユニット中の吸着管に吸着させた後、吸着管に捕集されたアウトガスをGC−MS装置に流して、揮発性成分の種類と量とを測定した。GC−MS装置のカラムは、キャピラリーカラム(液層:フェニルメチルシロキサン)である。
加熱部は、TDUにて、160℃/minで40℃〜200℃(ホールド時間5分)まで昇温加熱し、不活性キャピラリ管(温度:350℃)を通して、質量分析を実施した。
である。ここで、MSは、Mass Spectrometryの略である。
評価結果を、表1に示す。この表1は、揮発成分のうち150℃以上260℃以下での高温下で揮発が懸念されるD3〜D15のシロキサンの価数の領域に分類し、それぞれの揮発成分量をまとめたものである。
また、揮発量は、ピーク面積として表し、単位はCounts(「ct」と略す)である。また、横軸は、環状シロキサンの価数である。
(測定試験片シート)
前記した組成物をシャーレ(縦50mm×横50mm)に仕上がりで20μmの厚みになるように注入し、200℃で1時間、乾燥焼成処理を行い、その後、シャーレから脱型して、測定試験片シート(縦50mm×横50mm、厚さ20μm)とした。そして、搬送キャリアのベース部となる縦50mm、横50mm、1.8mmの材質ガラエポの上面に、前記作成した測定試験片シートをベース部に密着させて、試験用搬送キャリアを作成した。
また、比較対象となる従来のシリコーンゴムとして、市販されているタイガースポリマー株式会社製のSR−50を採用し、縦50mm、横50mm、厚さ20μmのシリコーンゴムシートを作成した。そして、ベース部となる縦50mm、横50mm、1.8mmの材質ガラエポの上面に、前記成形したシリコーンゴムシートをベース部に密着させて、試験用搬送キャリアを作成した。
また、比較対象となる市販の基板の搬送キャリアとして、信越ポリマー株式会社製のアシストキャリア(型式 FB−A)と、株式会社大昌電子社製のマジックレジン(Type−K)を試験用搬送キャリアとして採用した。サイズはともに、縦50mm、横50mm、厚さ2mm〔樹脂層20μm、ベース部(材質ガラエポ)1.8mm〕である。
評価方法は、前記試験用搬送キャリアの上に、それぞれフレキシブル基板(縦50mm、横50mm、厚さ75μm )を置いて、手で軽く加圧して貼り付けし、リフロー炉搬入前(以下、「リフロー投入前」と呼ぶ。)、リフロー炉に投入してから6分後にリフロー炉から搬出した直後(以下、「リフロー直後」と呼ぶ。)、リフロー炉から搬出後、搬送キャリアが常温(25℃)に戻ってから(以下、「常温冷却後」と呼ぶ。)の、それぞれの剥離強度の測定を実施した。リフロー直後の剥離強度を測定する理由は、リフロー炉内でフレキシブル基板が樹脂層より浮く問題が発生していることが背景にあるからである。
Test(型式 EZ−S)を用いた。
評価結果を、表2に示す。この表2は、それぞれの搬送キャリアの剥離強度を測定したものであり、剥離試験は、それぞれ3回実施し、平均値を算出して、表にまとめたものである。
一方、本発明に係る基板の搬送用キャリアを用いた測定試験片シートは、リフロー投入前、リフロー直後、常温冷却後の剥離強度には変化が見られない。つまり、260℃の高温下では粘着性が保たれたままであることがわかる。本発明の搬送キャリアは、従来の搬送キャリアと比較して耐熱性および粘着性が優れていることがわかる。
2,20…ベース
3,30…基板
4,40…樹脂層
Claims (5)
- 基板の搬送に用いられ、該基板の下面と密着する樹脂層と、
該樹脂層を固定したベースとを備えた搬送用キャリアであって、
前記樹脂層は、シリケート化合物と、末端をシリケート変性したポリジメチルシロキサンとを有する混合物を、加水分解反応および縮合反応することによって得られた組成物を主成分とすることを特徴とする基板の搬送用キャリア。 - 前記シリケート化合物は、
〔化学式1〕 SinO(n−1)(RO)2(n+1) (R=アルキル基、n=4〜16)
であり、
前記末端をシリケート変性したポリジメチルシロキサンは、
〔化学式2〕 SinO(n−1)(RO)2(n+1) (OSi(CH3)2)m(RO)2(n+1)SinO(n−1)
(R=アルキル基、n=4〜16、m>50)
で表されることを特徴とする請求項1に記載の基板の搬送用キャリア。 - 前記シリケート化合物(A)と、
前記末端をシリケート変性したポリジメチルシロキサン(B)の配合の割合が、A/Bのモル比にて、0.1以上10以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板の搬送用キャリア。 - 前記組成物は、260℃以下でガスクロマトグラフ(GC−MS)により測定した場合に、価数が15以下のシロキサンを含まないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板の搬送用キャリア。
- シリケート化合物と、末端をシリケート変性したポリジメチルシロキサンとを有する混合物を、加水分解反応および縮合反応することによって得られた組成物を主成分とする材料を熱硬化してシート状に成形し、
ベースに固定したことを特徴とする基板の搬送用キャリアの製造方法。
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