JP2009142036A - 電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】前輪を駆動する駆動力と後輪を駆動する駆動力を同等に設定する場合には、発進時や低速からの加速時に前輪の荷重分担割合が小さくなるとき前輪のコーナリングフォーススが低下して走行安定性が低下するうえ、加速性能も十分に高めることが難しい。
【解決手段】電動車両1は、1対の前輪2、1対の後輪3、各前輪2を駆動するインホイールモータからなる前輪モータ4、前輪モータ4とホイール間に設けられた前輪減速機構、各後輪3を駆動するインホイールモータからなる後輪モータ5、後輪モータ5とホイール間に設けられた後輪減速機構、エンジン8、発電機9、バッテリ10、インバータ11、ECU12、車速センサ13、アクセル開度センサ14などを備えている。後輪減速機構の減速比は前輪減速機構の減速比よりも大きく設定されている。
【選択図】 図1
【解決手段】電動車両1は、1対の前輪2、1対の後輪3、各前輪2を駆動するインホイールモータからなる前輪モータ4、前輪モータ4とホイール間に設けられた前輪減速機構、各後輪3を駆動するインホイールモータからなる後輪モータ5、後輪モータ5とホイール間に設けられた後輪減速機構、エンジン8、発電機9、バッテリ10、インバータ11、ECU12、車速センサ13、アクセル開度センサ14などを備えている。後輪減速機構の減速比は前輪減速機構の減速比よりも大きく設定されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電動車両に関し、特に前輪と後輪を同じ出力特性のモータで駆動する構成とし、後輪モータとホイール間の減速比を前輪モータとホイール間の減速比よりも大きく設定したものである。
最近、前輪モータで前輪を駆動し、後輪モータで後輪を駆動するようにした電動車両が種々提案され、 特に前輪モータと後輪モータをインホイールモータで構成する例も提案されている。電動車両において、前輪モータや後輪モータをホイールに直結する構成にすると、低速走行時における駆動力(トルク)を確保できないため、前輪モータとホイール間、後輪モータとホイール間に夫々減速機構を介装するのが普通である。
特許文献1に記載の各輪独立駆動車両においては、前輪をインホイールモータからなる前輪モータにより減速機構を介して駆動すると共に、後輪をインホイールモータからなる後輪モータにより減速機構を介して駆動するように構成してある。そして、複数の駆動輪の振動や異音の発生周期が、全ての車輪で同期しないようにするために、少なくとも1つの車輪のモータとホイール間の減速比を他の車輪の減速比に対して異ならせて振動や異音の発生を低減させるように構成している。
特開2006−67753号
例えば、電動車両において、前輪モータとホイール間に減速機構を設け、後輪モータとホイール間に減速機構を設ける場合に、モータと減速機構の設計や調達のコスト低減の為、前輪モータと後輪モータに同一の出力特性のモータを採用し、前輪用の減速機構と後輪用の減速機構とに同一の減速比の減速機構を採用するのが有利である。
しかし、前輪を駆動する駆動力を後輪を駆動する駆動力と同等に設定する場合には、電動車両の発進時や低速走行の加速時には、前輪の荷重分担割合が減少するため、グリップ力が低下し、コーナリングフォースも低下してスピンし易くなる。そのため、前輪を駆動する駆動力を小さくすることで前輪のコーナリングフォースを確保し、走行安定性を確保することが望ましい。そして、後輪については荷重分担割合が増大してグリップ力も大きくなっているため、後輪を駆動する駆動力を大きくする余地があるから、駆動力を大きく設定することで走行安定性を確保しながら、加速性能を確保することが望ましい。
一方、電動車両において、後輪駆動又は前輪駆動の状態で高速走行するとき、従動輪のモータはホイールから伝達される駆動力で逆駆動されるが、このときモータに鉄損が生じるため、駆動輪の負荷が大きくなる。しかも、減速機構の減速比が大きいほど逆駆動される従動回転数が大きくなるため、モータの鉄損も大きくなる。
請求項1の電動車両は、1対の前輪と、1対の後輪と、前記前輪を駆動する前輪モータと、前記後輪を駆動する後輪モータとを備えた電動車両において、前記前輪モータと後輪モータの全てのモータが同一の出力特性を備え、後輪モータとホイール間の減速比を、前輪モータとホイール間の減速比よりも大きく設定したことを特徴としている。
この電動車両では、前輪モータとホイール間に前輪減速機構が設けられ、後輪モータとホイール間に後輪減速機構が設けられ、後輪減速機構の減速比が前輪減速機構よりも大きく設定されている。低速走行時には前輪のみ又は前後輪の4輪を駆動し、高速走行時には前輪のみ又は前後輪の4輪を駆動し、低速と高速の間の所定の運転領域では後輪のみを駆動するように前輪モータと後輪モータとを制御してもよい。
請求項2の電動車両は、請求項1の発明において、前記前輪モータと後輪モータが夫々インホイールモータであり、前記前輪モータとホイール間に減速機構が設けられ、前記後輪モータとホイール間に減速機構が設けられたこと特徴としている。
請求項3の電動車両は、請求項1又は2の発明において、車速を検出する車速検出手段を備え、車速が低いときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも大きくし、車速が高いときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも小さくすることを特徴としている。尚、車速が低いときに後輪のみ駆動する場合もあるし、また前後輪の4輪を駆動する場合もある。同様に、車速が高いとき前輪のみ駆動する場合もあるし、また前後輪の4輪を駆動する場合もある。
請求項4の電動車両は、請求項1又は2の発明において、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を備え、アクセル開度が大きいときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも大きくし、アクセル開度が小さいときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも小さくすることを特徴としている。尚、請求項3と同様に、アクセル開度が大きいときに後輪のみ駆動する場合もあるし、また前後輪の4輪を駆動する場合もある。同様に、アクセル開度が小さいとき前輪のみ駆動する場合もあるし、また前後輪の4輪を駆動する場合もある。
請求項5の電動車両は、請求項1の発明において、前記前輪モータとホイールを減速機構を介さずに連動連結したことを特徴としている。
請求項6の電動車両は、請求項1の発明において、前記後輪モータとホイール間に減速機構を備え、この減速機構とホイール間に後輪モータが逆駆動される状態のときにフリーとなるワンウェイクラッチを設けたことを特徴としている。
請求項6の電動車両は、請求項1の発明において、前記後輪モータとホイール間に減速機構を備え、この減速機構とホイール間に後輪モータが逆駆動される状態のときにフリーとなるワンウェイクラッチを設けたことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、後輪モータと前輪モータの全てのモータが同一の出力特性を備えており、後輪モータとホイール間の減速比を前輪モータとホイール間の減速比によりも大きく設定したため、前輪を駆動する駆動力よりも後輪を駆動する駆動力を大きく設定することが可能となる。それ故、発進時や低速走行の加速時など、前輪の荷重分担割合が小さくなってグリップ力が低下するとき、前輪の駆動力を後輪の駆動力よりも小さく設定することで、前輪のコーナングフォースを確保して走行安定性を確保することができる。 また、この後輪の荷重分担割合が大きいときに後輪の駆動力を前輪の駆動力よりも大きくすることができるため、走行安定性を確保しながら加速性能を確保することができる。
しかも、低速時には主として後輪モータで駆動し、高速時には主として前輪モータで駆動するように構成することも可能であり、モータと減速機構からなる駆動手段の出力特性を加味して、4輪駆動、後輪駆動、前輪駆動を使い分けることも可能であり、前輪モータと後輪モータをトータルとして有効活用可能にすることができる。
請求項2の発明によれば、前輪と後輪にインホイールモータを採用することで、車両の駆動手段の構成を簡単化することができるうえ、インホイールモータとホイール間に減速機構を組み込むため、各輪のモータと減速機構をコンパクトに構成することができる。
請求項3の発明によれば、車速が低いときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも大きくし、車速が高いときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも小さくするため、請求項1と同様に、発進時や低速走行の加速時などにおける走行安定性と、加速性能を確保することができるうえ、前輪モータと後輪モータをトータルとして高効率で使用することが可能となる。
請求項4の発明によれば、アクセル開度が大きいときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも大きくし、アクセル開度が小さいときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも小さくするため、請求項1,3と同様に、後輪モータとその減速機構により、発進時や低速走行の加速時などにおける走行安定性と加速性能を確保することができるうえ、前輪モータと後輪モータをトータルとして高効率で使用することが可能となる。
請求項5の発明によれば、前記前輪モータとホイールを減速機構を介さずに連動連結したので、前輪を駆動する駆動手段の構成を簡単化することができる。
請求項6の発明によれば、後輪モータとホイール間に減速機構を備え、この減速機構とホイール間に後輪モータが逆駆動される状態のときにフリーとなるワンウェイクラッチを設けたため、次の効果が得られる。
請求項6の発明によれば、後輪モータとホイール間に減速機構を備え、この減速機構とホイール間に後輪モータが逆駆動される状態のときにフリーとなるワンウェイクラッチを設けたため、次の効果が得られる。
後輪モータとホイール間の減速機構の減速比が大きいため、前輪モータのみで駆動する前輪駆動時には後輪モータは逆駆動されるが、このとき上記のワンウェイクラッチがフリーとなるため、後輪モータが逆駆動されず停止状態を維持するので、後輪モータに鉄損が生じることがない。
以下、本発明をを実施するため最良の形態について、実施例に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、本実施例の電動車両1は、1対の前輪2と、1対の後輪3と、1対の前輪2を夫々駆動する1対の前輪モータ4と、1対の後輪3を夫々駆動する1対の後輪モータ5と、1対の前輪モータ4と対応するホイール2間に夫々設けられた1対の前輪減速機構6と、1対の後輪モータ5と対応するホイール3間に夫々設けられた1対の後輪減速機構7と、エンジン8と、このエンジン8で駆動される発電機9と、発電された電力を蓄電するバッテリ10と、4つのモータ4,5を駆動するインバータ11と、このインバータ11及びエンジン8を制御する制御ユニットであるECU12と、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ13と、車速を検出する車速センサ14などを備えている。
前輪モータ4と後輪モータ5は、夫々インホイールモータで構成され、且つこれら4つのモータ4,5は全て同一の出力特性を有する同構造の例えば3相の交流同期モータであり、制動時や下り坂走行時には電力回生も行うものである。
次に、前輪モータ4と前輪減速機構6について図2に基づいて説明する。
前輪モータ4と前輪減速機構6を収容するケース部材20に、ホイール支持部材21が軸受22を介して回転自在に支持され、このホイール支持部材21にブレーキディスク23とホイール24が複数のボルト25により固定され、ホイール支持部材21の中心部には軸部材26が螺合とナット部材26aにより固定され、この軸部材26は前輪減速機構6のキャリア33にスプライン結合にて連動連結されている。
前輪モータ4と前輪減速機構6を収容するケース部材20に、ホイール支持部材21が軸受22を介して回転自在に支持され、このホイール支持部材21にブレーキディスク23とホイール24が複数のボルト25により固定され、ホイール支持部材21の中心部には軸部材26が螺合とナット部材26aにより固定され、この軸部材26は前輪減速機構6のキャリア33にスプライン結合にて連動連結されている。
前輪モータ4は、軸部27と、この軸部27と一体のロータ28と、このロータ28に遊外嵌されたステータ29とを備え、ロータ28の外周部には複数極の永久磁石28aが設けられ、ステータ29には3相のコイルが組み込まれている。
前輪減速機構6は、遊星歯車減速機構で構成され、サンギヤ30と、リングギヤ32と、これらサンギヤ30とリングギヤ32間に装着された複数のピニオン31と、これらピニオン31を支持するキャリア33とを備えている。サンギヤ30が前輪モータ4の軸部27の車幅方向の外端部にスプライン結合され、リングギヤ32がケース部材20に固定され、前輪減速機構6の駆動力はキャリア33から軸部材26に出力される。
前輪モータ4の車幅方向内側にはオイルポンプ34が同軸状に配設され、このオイルポンプ34で加圧されたオイルが前輪減速機構6に供給されると共に、ケース部材20の外周壁内のジャケット内へ供給されてケース部材20とステータ29とを冷却する。
このオイルポンプ34は通常は前輪モジュール又はホイール24からの駆動力で駆動されるが、オイルポンプ34に内蔵されたポンプモータによっても駆動可能に構成されている。軸部27の内端部とオイルポンプ34のポンプ軸部材34aとの間にはワンウェイクラッチ35が装着され、電動車両1の走行中には前輪基づいて又はホイール24からの駆動力がワンウェイクラッチ35を介してポンプ軸部材34aに伝達されてオイルポンプ34が駆動される。
このオイルポンプ34は通常は前輪モジュール又はホイール24からの駆動力で駆動されるが、オイルポンプ34に内蔵されたポンプモータによっても駆動可能に構成されている。軸部27の内端部とオイルポンプ34のポンプ軸部材34aとの間にはワンウェイクラッチ35が装着され、電動車両1の走行中には前輪基づいて又はホイール24からの駆動力がワンウェイクラッチ35を介してポンプ軸部材34aに伝達されてオイルポンプ34が駆動される。
次に、後輪モータ5と後輪減速機構7について図3に基づいて説明する。
後輪モータ5は前輪モータ4と同構造のモータであるため、前輪モータ4と同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略し、図3の構成要素と同一のその他の構成要素にも同一の参照符号を付して説明を省略する。後輪モータ5は、ケース部材20Aに収容されており、後輪モータ5は、軸部27と、ロータ28と、複数極の永久磁石28aと、ステータ29とを備えている。
を備えている。
後輪モータ5は前輪モータ4と同構造のモータであるため、前輪モータ4と同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略し、図3の構成要素と同一のその他の構成要素にも同一の参照符号を付して説明を省略する。後輪モータ5は、ケース部材20Aに収容されており、後輪モータ5は、軸部27と、ロータ28と、複数極の永久磁石28aと、ステータ29とを備えている。
を備えている。
後輪減速機構7は、遊星歯車減速機構で構成され、サンギヤ40と、リングギヤ42と、これらサンギヤ40とリングギヤ42間に装着された複数のピニオン41と、これらピニオン41を支持するキャリア43とを備えている。サンギヤ40が後輪モータ5の軸部27にスプライン結合され、リングギヤ42がケース部材20Aに固定され、後輪減速機構7の駆動力はキャリア43から軸部材26に出力される。但し、リングギヤ42は前記リングギヤ32よりも大径であり、ピニオン41は前記ピニオン31よりも大径に形成され、後輪減速機構7の減速比(例えば、4.5 )は、前輪減速機構6の減速比(例えば、3.2 )よりも大きく設定されている。尚、後輪モータ5の車幅方向内側には、オイルポンプ34とワンウェイクラッチ35が設けられている。
次に、制御系について図4に基づいて説明する。
制御ユニットとしてのECU12は、CPUとROMとRAMとI/O(入出力インターフェース)を備え、電動車両1の車速を検出する車速センサ13と、アルセル開度を検出するアクセル開度センサ14と、バッテリ10の蓄電量を検出するバッテリ蓄電量出手段15と、発電機9の発電電流を検出する発電電流センサ16と、前輪モータ4への駆動電流を検出する前輪モータ電流センサ17と、後輪モータ5への駆動電流を検出する後輪モータ電流センサ18などの検出信号がECU12へ供給されている。
制御ユニットとしてのECU12は、CPUとROMとRAMとI/O(入出力インターフェース)を備え、電動車両1の車速を検出する車速センサ13と、アルセル開度を検出するアクセル開度センサ14と、バッテリ10の蓄電量を検出するバッテリ蓄電量出手段15と、発電機9の発電電流を検出する発電電流センサ16と、前輪モータ4への駆動電流を検出する前輪モータ電流センサ17と、後輪モータ5への駆動電流を検出する後輪モータ電流センサ18などの検出信号がECU12へ供給されている。
ECU12は、エンジン8とインバータ11とに夫々制御信号を出力するように構成されており、ECU12により、エンジン8の吸気系と燃料噴射系が制御され、インバータ11を制御することで、1対の前輪モータ4と1対の後輪モータ5とへ供給する駆動電流が夫々制御される。ECU12のROMには、少なくとも図5のモータ制御のフローチャート、図6のマップと図7のテーブルが予め格納されており、RAMには種々のワークメモリが設けられている。
図6のマップM1は、前輪モータ4及び前輪減速機構6の出力特性(破線にて図示)と、後輪モータ5及び後輪減速機構7の出力特性(実線にて図示)とを示すものである。これら出力特性にはモータの効率等高線を含む。前輪減速機構6の減速比が後輪減速機構7の減速比よりも小さいため、図6のマップに示すように、前輪モータ5は高速側において効率よく使用できる特性になっており、後輪モータ4は低速側において効率よく使用できる特性になっている。
この図6のマップに示すライン1の左側では主として後輪モータ5のみを駆動し、ライン1の右側では主として前輪モータ4のみを駆動するように構成してもよい。その場合、後輪モータ5も、前輪モータ4も高効率で駆動させることができ、トータルとして高いモータ効率でモータを作動させることができる。但し、本実施例においては、図7のテーブルに基づいて、後輪駆動、4輪駆動、前輪駆動の3とおりの駆動を採用している。
図7のテーブルは、車速と、アクセル開度をパラメータとして、後輪モータ5の駆動力分担比率を予め設定したものであり、車速が低いときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも大きくし、車速が高いときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも小さく設定している。
また、アクセル開度が大きいときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも大きくし、アクセル開度が小さいときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも小さく設定している。
また、アクセル開度が大きいときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも大きくし、アクセル開度が小さいときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも小さく設定している。
次に、前輪モータ4と後輪モータ5を駆動するモータ制御について、図5のフローチャートに基づいて説明する。尚、図5中の符号Si(i=1,2,・・)は各ステップを示す。電動車両1の走行中には常時この制御が微小時間おきに繰り返し実行されるが、S1ではセンサ類から各種信号が読み込まれる。
次に、S2において、車速とアクセル開度を図7のテーブルに適用して後輪モータ5の駆動力分配比率Aが演算される。S3において駆動力分配比率Aが0か否か判定し、その判定がYesの場合は、前輪モータ4のみを駆動するため、S4において図6のマップを基づいて前輪モータ4の駆動力を演算し且つこの駆動力と図示外の所定のテーブルに基づいて駆動電流が演算され、S5ではその演算された駆動電流が前輪モータ4へ供給されるように、インバータ11を制御することで、前輪モータ4が駆動され、その後制御はS1へリターンする。
S3の判定がNoの場合には、S6において駆動力分配比率Aが 1.0 か否か判定され、その判定がYesのときは、S7において図6のマップに基づいて後輪モータ5の駆動力が演算され且つその駆動力と図示外の所定のテーブルに基づいて駆動電流が演算され、S8ではその演算された駆動電流が後輪モータ5へ供給されるように、インバータ11を制御することで、後輪モータ5が駆動され、その後制御はS1へリターンする。
S6の判定がNoの場合には、S9において図6のマップに基づいて前輪モータ4と後輪モータ5の駆動力が演算され且つそれら駆動力と図示外の所定のテーブルに基づいて前輪モータ4と後輪モータ5の駆動電流が演算され、S10では、それら演算された駆動電流が前輪モータ4と後輪モータ5へ夫々供給されるように、インバータ11を制御することで、前輪モータ4と後輪モータ5が駆動され、その後制御はS1へリターンする。
以上説明した電動車両1の作用、効果について説明する。
前輪モータ4と後輪モータ5の全てのモータが同一の出力特性を備えており、後輪減速機構7の減速比を前輪減速機構6の減速比によりも大きく設定したため、前輪2を駆動する駆動力よりも後輪3を駆動する駆動力を大きくする設定することが可能になる。
発進時や低速走行の加速時など、前輪2の荷重分担割合が小さくなってグリップ力が低下するとき、前輪2の駆動力を後輪3の駆動力よりも小さく設定することで、前輪2のコーナリングフォースを確保して走行安定性を確保することができる。そして、後輪3の荷重分担割合が大きいときに後輪3の駆動力を前輪2の駆動力よりも大きく設定できるため、走行安定性を確保しながら加速性能を確保することができる。
前輪モータ4と後輪モータ5の全てのモータが同一の出力特性を備えており、後輪減速機構7の減速比を前輪減速機構6の減速比によりも大きく設定したため、前輪2を駆動する駆動力よりも後輪3を駆動する駆動力を大きくする設定することが可能になる。
発進時や低速走行の加速時など、前輪2の荷重分担割合が小さくなってグリップ力が低下するとき、前輪2の駆動力を後輪3の駆動力よりも小さく設定することで、前輪2のコーナリングフォースを確保して走行安定性を確保することができる。そして、後輪3の荷重分担割合が大きいときに後輪3の駆動力を前輪2の駆動力よりも大きく設定できるため、走行安定性を確保しながら加速性能を確保することができる。
しかも、低速時には主として後輪モータ5で駆動し、高速時には主として前輪モータ4で駆動するため、モータと減速機構からなる駆動手段の出力特性を加味して、4輪駆動、後輪駆動、前輪駆動を使い分けることも可能であり、前輪モータ4と後輪モータ5をトータルとして有効活用することができ、消費電力の節減を図ることができる。
前輪2と後輪3にインホイールモータを採用することで、電動車両1の駆動手段の構成を簡単化することができるうえ、インホイールモータとホイール間に減速機構6,7を組み込むため、各輪のモータ4,5,と減速機構6,7をコンパクトに構成できる。
車速が低いときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも大きくし、車速が高いときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも小さくするため、発進時や低速走行時などの走行安定性と、加速性能を確保することができるうえ、前輪モータ4と後輪モータ5をトータルとして高効率で使用することが可能となる。
アクセル開度が大きいときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも大きくし、アクセル開度が小さいときに後輪3の駆動力分担比率を前輪2の駆動力分担比率よりも小さくするため、上記と同様に、後輪モータ5とその減速機構7により、発進時や低速走行の加速時などにおける走行安定性と加速性能を確保することができるうえ、前輪モータ4と後輪モータ7をトータルとして高効率で使用することが可能となる。
この実施例2は、前輪モータ4とホイール24を直結し、前輪減速機構を省略した例であり、図8、図9に基づいて説明する。図8の前輪モータ4は、図2の前輪モータと同様の構成であるので、同一の構成要素に同一の参照符号を付して説明を省略し、図2の構成要素と同一のその他の構成要素についても同一の参照符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、前輪モータ4は、ケース部材20Bと、軸部27と、ロータ28と、複数極の永久磁石28aと、ステータ29を備えている。前輪モータ4の車幅方向内側部位には、オイルポンプ34が設けられている。ホイール支持部材21に固定された軸部材26と前輪モータ4の軸部27とがスプライン結合にて直結されている。即ち、軸部材26の車幅方向内側端部にはスプライン内歯を有する軸側筒部26bが形成され、軸部27の車幅方向外側端部には軸側筒部26bに内嵌してスプライン結合されたスプライン軸部27aが形成されている。
図9の後輪モータ5は、図3の後輪モータと同様の構成であるので、同一の構成要素に同一の参照符号を付して説明を省略し、図3の構成要素と同一のその他の構成要素についても同一の参照符号を付して説明を省略する。この後輪モータ5は、ケース部材20Cと、軸部27と、ロータ28と、複数極の永久磁石28aと、ステータ29を備えている。前輪モータ5の車幅方向内側部位には、オイルポンプ34が設けられている。
後輪減速機構7は、遊星歯車減速機構で構成され、サンギヤ40と、リングギヤ42と、これらサンギヤ40とリングギヤ42間に装着された複数のピニオン41と、これらピニオン41を支持するキャリア43とを備えている。サンギヤ40が後輪モータ5の軸部27にスプライン結合され、リングギヤ42がケース部材20Cに固定され、後輪減速機構7の駆動力はキャリア43から軸部材26に出力される。この後輪減速機構7の減速比は、図3の後輪減速機構の減速比よりも小さく設定してもよいが、その減速比は 1.0 よりも大きな値に設定されている。
この電動車両では、前輪モータ4とホイール24間の前輪減速機構が省略され、前輪モータ4がホイール24に直結されているため、前輪2を駆動する駆動手段の構成を簡単化し、軽量化し、製作コストを低減することができる。
実施例3は、後輪減速機構7とホイール24の間に後輪モータ5が逆駆動される状態のときにフリーとなるワンウェイクラッチ50を設けた例であり、図10〜図13に基づいて説明する。図10の前輪モータ4及び前輪減速機構6は、図2のものと同様のものであり、その他の構成要素も図2のものと同様のものであるので、同一の構成要素に同一の参照符号を付して説明を省略する。
図11の後輪モータ5、オイルポンプ34、後輪減速機構7、ワンウェイクラッチ50以外のその他の構成要素は、図3のものと同様のものであるので、同一構成要素に同一の参照符号を付して説明を省略する。キャリア43の車幅方向外端部には、リングギヤ42とほぼ同径のキャリア側筒部43aが形成され、軸部材26の車幅方向内端部にはやや大径の軸側筒部26bが形成され、この軸側筒部26bとキャリア側筒部43aとの間に後輪モータ5が逆駆動される状態のときにフリーとなるワンウェイクラッチ50が設けられている(図12、図13参照)。
図12に示すように、キャリア側筒部43aの車両前進方向の回転駆動力はワンウェイクラッチ50を介して軸側筒部26bへ伝達されるが、図13に示すように、軸側筒部26bの車両前進方向の回転駆動力はワンウェイクラッチ50を介してはキャリア側筒部43aへ伝達されないように構成されている。
それ故、主に高速走行域において、前輪モータ4の駆動力のみで走行する際に、後輪モータ5がホイール24からの駆動力で逆駆動されることはなく、後輪モータ5は回転停止状態を維持するので、後輪モータ5の鉄損が発生することがない。そのため、前輪モータ4の負荷を低減し、消費電力を節減し、後輪モータ5の耐久性を高めることができる。
この実施例4の電動車両1Aは、図14に示すように、前輪モータ4Aと後輪モータ5Aを夫々インボードモータで構成した例である。各前輪2Aを駆動する為に、前輪モータ4Aと、この前輪モータ4Aとホイール間に装備された前輪減速機構6Aと、前輪車軸2aが設けられている。後輪3Aを駆動する為に、後輪モータ5Aと、この後輪モータ5Aとホイール間に装備された後輪減速機構7Aと、後輪車軸3aが設けられている。実施例1と同様に、エンジン8、発電機9、バッテリ10、インバータ11、ECU12、車速センサ及びアクセル開度センサ(図示略)なども設けられている。後輪減速機構7Aの減速比は、前輪減速機構6Aの減速比よりも大きく設定されている。
この実施例5の電動車両1Bは、図15に示すように、1対の前輪2Bを駆動する為に、1つの前輪モータ4Bと、1つの前輪減速機構6Bと、1つの差動機構2dと、1対の前輪車軸2bとが設けられている。1対の後輪3Bを駆動する為に、1つの後輪モータ5Bと、1つの後輪減速機構7Bと、1つの差動機構3dと、1対の後輪車軸3dとが設けられている。実施例1と同様に、エンジン8、発電機9、バッテリ10、インバータ11、ECU12、車速センサ及びアクセル開度センサ(図示略)なども設けられている。
以下、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1)前輪モータ、前輪減速機構、後輪モータ、後輪減速機構などの構造は例示に過ぎず、これらの構造と同等の機能を発揮する種々の構造のものを採用可能であることは勿論である。図4の制御系のブロック図、図5のフローチャート、図6のマップ、図7のテーブルも夫々一例に過ぎず、これらと同等の機能を発揮するその他の構成も採用可能である。
1)前輪モータ、前輪減速機構、後輪モータ、後輪減速機構などの構造は例示に過ぎず、これらの構造と同等の機能を発揮する種々の構造のものを採用可能であることは勿論である。図4の制御系のブロック図、図5のフローチャート、図6のマップ、図7のテーブルも夫々一例に過ぎず、これらと同等の機能を発揮するその他の構成も採用可能である。
2)その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加して実施可能であり、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
1,1A,1B 電動車両
2 前輪
3 後輪
4,4A,4B 前輪モータ
5,5A,5B 後輪モータ
6,6A,6B 前輪減速機構
7,7A,7B 後輪減速機構
13 車速センサ
14 アクセル開度センサ
50 ワンウェイクラッチ
2 前輪
3 後輪
4,4A,4B 前輪モータ
5,5A,5B 後輪モータ
6,6A,6B 前輪減速機構
7,7A,7B 後輪減速機構
13 車速センサ
14 アクセル開度センサ
50 ワンウェイクラッチ
Claims (6)
- 1対の前輪と、1対の後輪と、前記前輪を駆動する前輪モータと、前記後輪を駆動する後輪モータとを備えた電動車両において、
前記前輪モータと後輪モータの全てのモータが同一の出力特性を備え、
後輪モータとホイール間の減速比を、前輪モータとホイール間の減速比よりも大きく設定したことを特徴とする電動車両。 - 前記前輪モータと後輪モータが夫々インホイールモータであり、
前記前輪モータとホイール間に減速機構が設けられ、前記後輪モータとホイール間に減速機構が設けられたこと特徴とする請求項1に記載の電動車両。 - 車速を検出する車速検出手段を備え、車速が低いときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも大きくし、車速が高いときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも小さくすることを特徴とする請求項1又は2と記載の電動車両。
- アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を備え、アクセル開度が大きいときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも大きくし、アクセル開度が小さいときに後輪の駆動力分担比率を前輪の駆動力分担比率よりも小さくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動車両。
- 前記前輪モータとホイールを減速機構を介さずに連動連結したことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
- 前記後輪モータとホイール間に減速機構を備え、この減速機構とホイール間に後輪モータが逆駆動される状態のときにフリーとなるワンウェイクラッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
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