JP2009139014A - 空気調和装置およびその運転制御方法 - Google Patents

空気調和装置およびその運転制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、空気の温度条件、室内機の運転台数、熱負荷などに合わせて効率的な運転を行い、省エネルギ化を図る空気調和装置およびその運転制御方法を得る。
【解決手段】冷媒が圧縮機1、室外熱交換器2、電子式膨張弁4、室内熱交換器5、アキュムレータ7、圧縮機1の順に環状に循環する冷媒回路が構成されている。バイパス配管8が液配管3とアキュムレータ7とを連通し、電子式膨張弁9がバイパス配管8に配設されている。そして、制御手段19が、室内熱交換器5出口の冷媒の過熱度に基づいて電子式膨張弁4の開度を制御して室内熱交換器5に流入する冷媒流量を調整するとともに、電子式膨張弁9の開度を制御して室外熱交換器2の出口に滞留する余剰冷媒をバイパス配管8を介してアキュムレータ7に戻す。
【選択図】図1

Description

この発明は、1台の室外機に複数台の室内機を接続し、各室内機の電子式膨張弁で各室内機に分配する冷媒流量を制御する多室形空気調和装置に関し、特に、冷房運転時に成績係数COP(Coefficient of Performance)が高い状態で運転を行い、省エネルギ化を図ることができる空気調和装置およびその運転制御方法に関するものである。
近年、1台の室外機に複数台の室内機を接続した多室形空気調和装置が、室外の省スペース性や小電源容量の利点から、その需要を伸ばしている。従来、この多室形空気調和装置において、冷房運転時に運転中の室内機の容量が異なっていても、各室内機の冷媒配管内に備えられた絞り手段を用いて各室内熱交換器出口の冷媒の過熱度SHを個々に制御することにより、各室内機へ供給する冷媒流量を適正に制御することが提案されている。例えば、特許文献1,2に記載された従来の多室形空気調和装置では、能力ランクが異なる複数の室内熱交換器出口の過熱度SHを一定に制御することにより必要能力に応じた冷媒流量制御を行っていた。
また、従来、室外熱交換器の能力を効率よく利用するために、室外熱交換器出口の冷媒の過冷却度SCを制御する冷媒循環式熱移動装置が提案されている。例えば、特許文献3に記載された従来の冷媒循環式熱移動装置では、バイパス配管内に備えられた絞り手段を用いて室外熱交換器出口の冷媒の過冷却度SCを制御していた。
特開平5−79721号公報 特開2005−16782号公報 特開平11−182944号公報
この種の多室形空気調和装置では、空気の温度条件、熱負荷、および室内機の運転台数などの条件が異なれば、COPが高い状態で運転できる好適な冷媒充填量は異なるが、通常は冷媒回路内の冷媒充填量は容易に変更できない。
従来の多室形空気調和装置では、室内熱交換器出口の冷媒の過熱度SHの制御により各室内機の冷媒流量を制御しているので、空気の温度条件、熱負荷、および室内機の運転台数などの条件により冷媒充填量が適正でない場合、余剰冷媒が発生する虞がある。そして、余剰冷媒が発生した場合には、余剰冷媒が高圧側の要素機器に滞留することで必要以上に圧縮動力が増大し、効率的な運転を行うことができないという課題があった。
また、従来の冷媒循環式熱移動装置では、室内機側の絞り手段については制御を行わず、室外熱交換器出口の冷媒の過冷却度SCのみを制御しているので、空気の温度条件、および熱負荷の変化などにより絞り手段の冷媒の入口状態および出口状態が変わってしまうため、各室内機に流入する冷媒流量を適切に調整できず、効率的な運転を行うことができないという課題があった。
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、適切な冷媒流量制御を行うとともに、高圧側の要素機器に滞留する余剰冷媒の処理を行うことにより、空気の温度条件、室内機の運転台数、熱負荷、および封入された冷媒量に合わせて効率的な運転を行い、省エネルギ化を図ることができる空気調和装置およびその運転制御方法を得ることを目的とする。
この発明による空気調和装置は、圧縮機、室外熱交換器、およびアキュムレータを有した室外機と、室内熱交換器、および上記室内熱交換器の第1絞り手段を有した複数の室内機と、制御手段と、を備え、液配管の一端を上記室外熱交換器の出口に接続し、他端を分岐してそれぞれ上記第1絞り手段を介して上記室内熱交換器の入口に接続し、かつガス配管の一端を上記アキュムレータに接続し、他端を分岐してそれぞれ上記室内熱交換器の出口に接続して、冷媒が上記圧縮機、上記室外熱交換器、上記第1絞り手段、上記室内熱交換器、上記アキュムレータ、上記圧縮機の順に環状に循環する冷媒回路を構成して冷房運転を行う。さらに、本空気調和装置は、上記液配管とアキュムレータとを連通するバイパス配管と、上記バイパス配管に配設された第2絞り手段と、上記室内熱交換器の出口の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段および蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段と、を備えている。そして、上記制御手段が、上記室内熱交換器それぞれの出口の冷媒の過熱度を算出し、該過熱度に基づいて上記第1絞り手段の開度を制御して上記室内熱交換器それぞれに流入する冷媒流量を調整するとともに、上記第2絞り手段の開度を制御して上記室外熱交換器の出口に滞留する余剰冷媒を上記バイパス配管を介して上記アキュムレータに戻すように構成されている。
この発明によれば、空気の温度条件、室内機の運転台数、熱負荷の変動などの条件に対して冷媒充填量が適正でない場合にも、適切な冷媒流量の制御を行うことができるとともに、余剰冷媒を処理することによりCOPが高い状態での運転を維持することができるので、効率的な運転を行うことができ、省エネルギ化を図ることができる。
以下、この発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示す冷媒回路図である。
図1において、この空気調和装置は、1台の室外機に対して2台の室内機を備えた冷房専用の空気調和装置であり、冷媒を圧縮するための圧縮機1、室外熱交換器2、室外の空気を室外熱交換器2に導入する室外ファン2−aおよびアキュムレータ7を有する室外ユニットAと、室内熱交換器5および室内の空気を室内熱交換器5に導入する室内ファン5−aからなる室内機を2台有する室内ユニットBと、要素機器を駆動を制御する制御手段19と、を備える。なお、この実施の形態1では、室内ユニットBが2台の室内機を有するものとしているが、室内機の台数は2台に限定されるのではなく、3台以上の室内機を有していてもよい。
圧縮機吐出側配管20の一端が圧縮機1の冷媒吐出口に接続され、他端が室外熱交換器2の入口に接続されている。液配管3の一端が室外熱交換器2の出口に接続され、他端が分岐して各室内熱交換器5の入口に接続されている。ガス配管6の一端がアキュムレータ7の上部に接続され、他端が分岐して各室内熱交換器5の出口に接続されている。圧縮機吸入側配管21の一端が圧縮機1の冷媒吸入口に接続され、他端がアキュムレータ7の上部に接続されている。さらに、バイパス配管8の一端が液配管3に接続され、他端がガス配管6に接続されている。また、第1絞り手段としての電子式膨張弁4が各室内機への分岐後の液配管3にそれぞれ設置され、第2絞り手段としての電子式膨張弁9がバイパス配管8に設置されている。
冷媒の吐出圧力を検出する吐出圧力検出器11が圧縮機吐出側配管20に設けられ、冷媒の吸入圧力を検出する吸入圧力検出器12が圧縮機吸入側配管21に設けられている。冷媒温度検出器14が液配管3の室外熱交換器2の出口近傍に配設されている。冷媒温度検出器15、16が液配管3およびガス配管6の室内熱交換器5の出入り口近傍に配設されている。なお、冷媒温度検出器14〜16は、冷媒の温度を直接測る代わりに各配管の表面温度を測っても同様の効果が得られる。室内温度検出器17および外気温度検出器18が室内熱交換器5および室外熱交換器2のそれぞれの空気側に設けられ、空気側の代表温度として、例えば吸い込み温度を測る。なお、吐出圧力検出器11および吸入圧力検出器11,12が冷媒圧力検出手段に相当し、冷媒温度検出器14,15,16が冷媒温度検出手段に相当する。
制御手段19は、吐出圧力検出器11、吸入圧力検出器12、冷媒温度検出器14〜16、室内温度検出器17および外気温度検出器18の検出信号に基づいて、圧縮機1の駆動、室外ファン2−aのファンモータの駆動、電子式膨張弁4および9の開度、室内ファン5−aのファンモータの駆動を制御する。また、制御手段19は後述する温度、圧力の計測結果から各制御値を決定する関数などが格納されたメモリ19aを備えている。
このように構成された空気調和装置の動作について説明する。
まず、アキュムレータ7内の低温・低圧の冷媒ガスが圧縮機吸入側配管21を介して圧縮機1に吸入され、圧縮機1により圧縮され、高温・高圧の冷媒ガスとなって吐出され、圧縮機吐出側配管20を介して室外熱交換器2に導入される。室外熱交換器2に導入された高温・高圧の冷媒ガスは、室外ファン2−aにより室外熱交換器2に導入された室外の空気と熱交換され、室外の空気を加熱しながら、中温・高圧の冷媒となる。さらに、中温・高圧の冷媒は、液配管3を流通し、電子式膨張弁4にて減圧されて低温・低圧の気液二相状態の冷媒となり、液配管3を流通して室内熱交換器5に導入される。室内熱交換器5に導入された低温・低圧の気液二相状態の冷媒は、室内ファン5−aにより室内熱交換器5に導入された室内の空気と熱交換され、室内の空気を冷却しながら、低温・低圧の冷媒蒸気に変化する。低温・低圧の冷媒蒸気は、ガス配管6を流通してアキュムレータ7に戻される。アキュムレータ7に戻された冷媒は気液分離され、低温・低圧の冷媒ガスが圧縮機吸入側配管21を介して圧縮機1に吸入される。
ここで、冷媒充填量が適正な冷媒量よりも多い場合には、余剰冷媒は室外熱交換器2から液配管3、およびバイパス配管8を流通し、電子式膨張弁9にて減圧されて低温・低圧の気液二相状態の冷媒となり、バイパス配管8を流通して、ガス配管6を流れる冷房を行った後の冷媒蒸気と合流し、アキュムレータ7に戻される。
このように、冷媒が、図1に実線の矢印で示されるように、圧縮機1→圧縮機吐出側配管20→室外熱交換器2→液配管3→電子式膨張弁4→室内熱交換器5→ガス配管6→アキュムレータ7→圧縮機吸入側配管21→圧縮機1の順で冷媒回路内を循環し、冷房運転が行われるとともに、余剰冷媒が室外熱交換器2→液配管3→バイパス配管8→電子式膨張弁9→ガス配管6→アキュムレータ7と流動する。
つぎに、バイパス配管8を使用して余剰冷媒を処理した場合としなかった場合のサイクルの挙動、およびCOPについて図2〜図7を用いて説明する。図2は冷媒回路内の冷媒充填量M[kg]に対する高圧側圧力P[MPa]の変化を示し、図3は冷媒回路内の冷媒充填量M[kg]に対する室外熱交換器出口の過冷却度SC[℃]の変化を示し、図4は冷媒回路内の冷媒充填量M[kg]に対する室外熱交換器出口の冷媒温度Tref[℃]の変化を示し、図5は冷媒回路内の冷媒充填量M[kg]に対するCOP[−]の変化を示し、図6は余剰冷媒処理の制御を行わなかった場合のP−h線図を示し、図7は余剰冷媒処理の制御を行った場合のP−h線図を示している。なお、各図において、A点は冷媒充填量Mが過少な場合、B点は冷媒充填量Mが適正になっている場合、C、D点は冷媒充填量Mが過大な場合である。
バイパス回路を使用せず余剰冷媒を処理しなかった場合には、図2〜図4より、冷媒充填量の増大に対して高圧側圧力P、および過冷却度SCは増大し、室外熱交換器出口の冷媒温度Trefは減少することがわかる。そして、図6に示されるように、冷媒充填量MがA点からB点まで増大すると、冷媒を高圧側圧力Pまで圧縮する圧縮機の入力仕事は増大するものの、室外熱交換器出口の比エンタルピhref[kJ/kg]も大きく減少する。そこで、冷媒を高圧側圧力Pまで圧縮する圧縮機の入力仕事の増大分の割合に対して、室外熱交換器出口の比エンタルピhrefが減少することによる冷房能力の増大分の割合が大きくなることから、COPは上昇することがわかる。一方、図6に示されるように、冷媒充填量MがB点からC点、D点と増大すると、冷媒を高圧側圧力Pまで圧縮する圧縮機の入力仕事は増大するものの、室外熱交換器出口の比エンタルピhrefがあまり減少しなくなる。そこで、冷媒を高圧側圧力Pまで圧縮する圧縮機の入力仕事の増大分の割合に対して、室外熱交換器出口の比エンタルピhrefが減少することによる冷房能力の増大分の割合が小さくなることから、COPは低下することがわかる。従って、図5に示されるように、COPは、冷媒充填量Mの増大に対して増大し、B点で極大値をとり、その後減少する。
一方、バイパス回路を使用して余剰冷媒を処理した場合には、圧縮機で圧縮し、室外熱交換器で冷却した一部の冷媒をそのままアキュムレータに戻すことになるため、高圧側圧力P、室外熱交換器出口の過冷却度SC、および室外熱交換器出口の冷媒温度Trefは、冷媒充填量MがB点以上でほぼ一定となる。そこで、冷媒充填量MがB点以上で高圧側圧力Pがほぼ一定となるので、図7に示されるように、C、DのサイクルがBのサイクルとほぼ等しくなり、余剰冷媒を処理しない場合に比べて圧縮機の入力仕事を減らすことができる。また、圧縮機入口のSHを減少させることにより、吸入冷媒の比エントロピs[kJ/(kg・K)]が減少し、圧縮機の入力仕事を減らすことができる。これらの効果により、図5に示されるように、冷媒充填量Mが適正量(B点)よりも過大であっても、そのCOPは、適正な冷媒量の場合とほとんど変わらなくなる。
このように、冷媒充填量Mが適正量よりも過大である場合には、余剰冷媒を処理することによって、高圧側圧力P、室外熱交換器出口の過冷却度SC、および室外熱交換器出口の冷媒温度Trefが一定となる。このことから、高圧側圧力P、室外熱交換器出口の過冷却度SC、および室外熱交換器出口の冷媒温度Trefの一定となる値を制御目標値P 、SC、Tref として設定し、いずれかの指標によって、電子式膨張弁9の制御を行うことで、COPが高い状態で空気調和装置を運転することができる。
例えば、高圧側圧力Pを制御指標にとった場合には、現在の高圧側圧力Pが高圧側圧力の制御目標値P よりも大きな場合は電子式膨張弁9の開度を開き、小さな場合には電子式膨張弁9の開度を閉じるように制御すればよい。同様に、室外熱交換器出口の過冷却度SCを制御指標にとった場合には、現在の過冷却度SCが過冷却度の制御目標値SCよりも大きな場合は電子式膨張弁9の開度を開き、小さな場合には電子式膨張弁9の開度を閉じるように制御すればよい。また、室外熱交換器出口の冷媒温度Trefを制御指標にとった場合には、現在の冷媒温度Trefが冷媒温度の制御目標値Tref よりも大きな場合は電子式膨張弁9の開度を閉じ、小さな場合には電子式膨張弁9の開度を開くように制御すればよい。
なお、冷媒充填量Mが適正な充填量よりも過小である場合には、より多くの冷媒を室内機に送るために電子式膨張弁9は全閉にしたほうが良いが、例えば高圧側圧力Pを制御指標にとった場合には、冷媒充填量Mが過小であると、高圧側圧力Pが高圧側圧力の制御目標値P に届かないため、全閉になってもさらに閉じようとする制御を行い、上述の制御方法により、全閉を実現することができる。
ついで、熱負荷が大きな場合、小さな場合の各場合における電子式膨張弁4の開度に対するCOPの変化、および室内熱交換器出口の過熱度に対するCOPの変化について図8および図9を用いて説明する。図8は室内機の絞り手段の開度Cv[−]に対するCOP[−]の変化を示し、図9は室内熱交換器出口の過熱度SH[℃]に対するCOP[−]の変化を示している。
図8より、熱負荷により電子式膨張弁4の出入り口の状態が変化するため、高いCOPを得るに好適な電子式膨張弁4の開度Cvが熱負荷の大きさにより変化することがわかる。また、図9より、高いCOPを得るに好適な室内熱交換器出口の過熱度SHが熱負荷の大きさに拘わらずほぼ一定になることがわかる。そこで、熱負荷によらず、室内熱交換器出口の過熱度SHを一定になるように電子式膨張弁4の開度Cvを制御すればCOPが高い状態で運転を行うことができる。なお、空気の温度が変化した場合も同様である。
以上のように、各室内熱交換器5出口の冷媒の過熱度SHを算出して、算出された過熱度SHに基づいて各室内熱交換器5の絞り手段(電子式膨張弁4)を用いて各室内機に流入する冷媒流量を制御するとともに、室外機出口に滞留する余剰冷媒をアキュムレータ7に戻すようにバイパス配管8の絞り手段(電子式膨張弁9)を用いて制御することにより、空気の温度条件や熱負荷が変動したり、冷媒充填量が適正でなく余剰冷媒が発生したりする等、運転条件が変動しても、COPが高い状態で空気調和装置を運転できる。
つぎに、室内熱交換器5の出口での冷媒の過熱度SHに基づいて電子式膨張弁4の開度(Cν4)を制御して熱交換器5に流入する冷媒流量を調整する方法について図10を参照しつつ説明する。図10は電子式膨張弁9による室外熱交換器2の出口での冷媒の過冷却度SCの制御を説明するフローチャートであり、図中、便宜上、ステップ1〜5をS1〜S5としている。ここでは、制御手段19は、電子式膨張弁4の開度(Cν4)を、一定の間隔、例えば1分間隔で室内熱交換器5の出口での冷媒の過熱度SHの現在値と目標値の差をもとに比例制御を行っている。
まず、ステップ1において、制御機器の制御値である電子式膨張弁4の開度(Cν4)の初期値を出力する。ついで、ステップ2において、冷媒温度検出器16による検出温度と冷媒温度検出器15による検出温度との温度差、または吸入圧力検出器12による検出圧力に基づく蒸発温度と冷媒温度検出器15による検出温度との温度差をもとに、現在の室内熱交換器5の出口での冷媒の過熱度SHを算出する。ここで、制御手段19が吸入圧力検出器12の検出圧力に基づいて蒸発温度を算出しており、制御手段19が吸入圧力検出器12とともに蒸発温度検出手段を構成する。また、吸入圧力検出器12の検出圧力に基づいて算出された冷媒の蒸発温度は、室内熱交換器5の入口での冷媒温度に一致することから、冷媒温度検出器16も蒸発温度検出手段として機能する。ついで、ステップ3において、式(1)により、算出された過熱度SHの目標値(目標過熱度SH)からの差異が設定した許容範囲ε内に入っているかの確認を行う。
|SH−SH|<ε ・・・式(1)
現在の過熱度SHの目標過熱度SHからの差異が設定した許容範囲内に入っている場合には、電子式膨張弁4の開度(Cν4)を維持して運転する。また、当該差異が設定した許容範囲内に入っていない場合には、ステップ4に移行する。
ステップ4では、現在の過熱度SHと目標過熱度SHとの差異に基づいて電子式膨張弁4の開度の調整量ΔCν4を算出し、ステップ5に移行する。ここでは、電子式膨張弁4の開度の調整量ΔCν4は式(2)に基づいて算出される。
ΔCν4=f(SH−SH) ・・・式(2)
なお、関数f(SH−SH)は、簡易的にはシステムに適当な定数aを設定して、a×(SH−SH)と設定すればよい。また、aを定数とおく代わりに、SHの時系列データをもとにaを変更すれば、収束性を早めることができる。
ついで、ステップ5では、算出された電子式膨張弁4の開度の調整量ΔCν4に基づいて電子式膨張弁4の開度を修正、出力し、ステップ2に戻る。これにより、現在の過熱度SHが目標過熱度SHよりも大きな場合には、電子式膨張弁4の開度を現在値と目標値との差(SH−SH)に基づいて開ける。一方、現在の過熱度SHが目標過熱度SHよりも小さな場合には、電子式膨張弁4の開度を現在値と目標値との差(SH−SH)に基づいて閉める。そして、この制御指標が許容範囲内に収まるまで、ステップ2からステップ5の制御を続ける。
なお、上記説明では、圧縮機吸入側配管21に設けられた吸入圧力検出器12により冷媒圧力を検出するものとしているが、冷媒圧力は、圧縮機吸入側配管21内の冷媒圧力に限定されるものではなく、電子式膨張弁4から圧縮機1吸入口に至る配管の中のいずれかの配管内の冷媒圧力であればよい。
つぎに、余剰冷媒をバイパス配管8を介してアキュムレータ7に戻す方法として、室外熱交換器2の出口での冷媒の過冷却度SCに基づいて電子式膨張弁9の開度(Cν9)を制御する場合について説明する。図11は電子式膨張弁9による室外熱交換器2の出口での冷媒の過冷却度SCの制御を説明するフローチャートであり、図中、便宜上、ステップ11〜15をS11〜S15としている。ここでは、制御手段19は、電子式膨張弁9の開度(Cν9)を、一定の間隔、例えば1分間隔で室外熱交換器2の出口での冷媒の過冷却度SCの現在値と目標値の差をもとに比例制御を行っている。
まず、ステップ11において、制御機器の初期値である電子式膨張弁9の開度(Cν9)の初期値を出力する。ついで、ステップ12において、吐出圧力検出器11による検出圧力に基づく凝縮温度と冷媒温度検出器14による検出温度との温度差をもとに、現在の室外熱交換器2の出口での冷媒の過冷却度SCを算出する。ここで、制御手段19が吐出圧力検出器11の検出圧力に基づいて凝縮温度を算出しており、制御手段19が吐出圧力検出器11とともに凝縮温度検出手段を構成する。ついで、ステップ13において、式(3)により、算出された過冷却度SCの目標値(目標過冷却度SC)からの差異が設定した許容範囲ε内に入っているかの確認を行う。
|SC−SC|<ε ・・・式(3)
現在の過冷却度SCの目標過冷却度SCからの差異が設定した許容範囲内に入っている場合には、電子式膨張弁9の開度(Cν9)を維持して運転する。また、当該差異が設定した許容範囲内に入っていない場合には、ステップ14に移行する。
ステップ14では、現在の過冷却度SCの目標過冷却度SCからの差異に基づいて電子式膨張弁9の開度の調整量ΔCν9を算出し、ステップ15に移行する。ここでは、電子式膨張弁9の開度の調整量ΔCν9は式(4)に基づいて算出される。
ΔCν9=f(SC−SC) ・・・式(4)
なお、関数f(SC−SC)は、簡易的にはシステムに適当な定数aを設定して a×(SC−SC)と設定すればよい。また、aを定数とおく代わりに、SCの時系列データをもとにaを変更すれば、収束性を早めることができる。
なお、上記説明では、圧縮機吐出側配管20に設けられた吐出圧力検出器11により冷媒圧力を検出するものとしているが、冷媒圧力は、圧縮機吐出側配管20内の冷媒圧力に限定されるものではなく、圧縮機1吐出口から電子式膨張弁4に至る配管の中のいずれかの配管内の冷媒圧力であればよい。
ついで、ステップ15では、算出された電子式膨張弁9の開度の調整量ΔCν9に基づいて電子式膨張弁9の開度を修正、出力し、ステップ12に戻る。これにより、現在の過冷却度SCが目標過冷却度SCよりも大きな場合には、電子式膨張弁9の開度を現在値と目標値の差(SC−SC)に基づいて開ける。一方、現在の過冷却度SCが目標過冷却度SCよりも小さな場合には、電子式膨張弁9の開度を現在値と目標値の差(SC−SC)に基づいて閉める。そして、この制御指標が許容範囲内に収まるまで、ステップ12からステップ15の制御を続ける。
ここで、上記ステップ12では、吐出圧力検出器11による検出圧力に基づく凝縮温度と冷媒温度検出器14による検出温度との温度差をもとに、現在の室外熱交換器2の出口での冷媒の過冷却度SCを算出するものとして説明しているが、室内熱交換器5の冷媒が気液二相流となる室内熱交換器の中心付近に室内熱交換器側冷媒温度検出器を設置し、室内熱交換器側冷媒温度検出器による検出温度と冷媒温度検出器14による検出温度との温度差をもとに、室外熱交換器2の出口での冷媒の過冷却度SCを算出してもよい。
つぎに、圧縮機1の回転数(f)および室外ファン2−aの回転数(F)の制御の一例を説明する。図12は室外機の圧縮機1および室外ファン2−aによる低圧側圧力Pおよび高圧側圧力Pの制御を説明するフローチャートであり、図中、便宜上、ステップ21〜25をS21〜S25としている。ここでは、制御手段19は、圧縮機1の回転数(f)および室外ファン2−aの回転数(F)を、一定の間隔、例えば1分間隔で低圧側圧力P、および高圧側圧力Pの現在値と目標値との差をもとに比例制御を行う。
まず、ステップ21において、制御機器の初期値である圧縮機1の回転数(f)および室外ファン2−aの回転数(F)の初期値を出力する。ついで、ステップ22において、吐出圧力検出器11、および吐出圧力検出器12により、現在の低圧側圧力P、および高圧側圧力Pを計測する。ついで、ステップ23において、式(5)(6)により、計測された低圧側圧力P、および高圧側圧力Pの目標値(目標低圧側圧力P 、および目標高圧側圧力P )からの差異が設定した許容範囲ε、ε内に入っているかの確認を行う。
|P−P |<ε ・・・式(5)
|P−P |<ε ・・・式(6)
現在の低圧側圧力P、および高圧側圧力Pの目標低圧側圧力P 、および目標高圧側圧力P からの差異が設定した許容範囲内に入っている場合には、圧縮機1の回転数(f)および室外ファン2−aの回転数(F)を維持して運転する。また、当該差異が設定した許容範囲内に入っていない場合には、ステップ24に移行する。
ステップ24では、現在の低圧側圧力P、および高圧側圧力Pの目標低圧側圧力P 、および目標高圧側圧力P からの差異に基づいて圧縮機1の回転数の調整量Δfおよび室外ファン2−aの回転数の調整量ΔFを算出し、ステップ25に移行する。ここでは、圧縮機1の回転数の調整量Δfおよび室外ファン2−aの回転数の調整量ΔFは式(7)(8)に基づいて算出される。
Δf=f(P−P ) ・・・式(7)
ΔFo=f(P−P ) ・・・式(8)
なお、関数f(P−P )、f(P−P )は、簡易的にシステムに適当な定数a、aを設定してa×(P−P )、a×(P−P )と設定すればよい。また、a、aを定数とおく代わりに、P、Pの時系列データをもとにa、aを変更すれば、収束性を早めることができる。
ついで、ステップ25では、算出された圧縮機1の回転数の調整量Δfおよび室外ファン2−aの回転数の調整量ΔFに基づいて圧縮機1の回転数および室外ファン2−aの回転数を修正、出力し、ステップ22に戻る。これにより、現在の低圧側圧力Pが目標低圧側圧力P よりも大きな場合には、圧縮機1の回転数を現在値と目標値の差(P−P )に基づいて大きくする。一方、現在の低圧側圧力Pが目標低圧側圧力P よりも小さな場合には、圧縮機1の回転数を現在値と目標値の差(P−P )に基づいて小さくする。また、現在の高圧側圧力Pが目標高圧側圧力P よりも大きな場合には、室外ファン2−aの回転数を現在値と目標値の差(P−P )に基づいて大きくする。一方、現在の高圧側圧力Pが目標高圧側圧力P よりも小さな場合には、室外ファン2−aの回転数を現在値と目標値の差(P−P )に基づいて小さくする。そして、この制御指標が許容範囲内に収まるまで、ステップ22からステップ25の制御を続ける。
なお、高低圧の目標値は、外気温度、室内温度や熱負荷に応じて制御目標値を変更すれば、COPが高い状態での運転ができる。また、この実施の形態1では、電子式膨張弁4を室内熱交換器出口のSH制御に、電子式膨張弁9を室外熱交換器出口のSC制御に、圧縮機1、および室外ファン2−aを高圧側圧力、および低圧側圧力の制御に用いたが、室外ファン2−aの制御値を一定値に設定し、電子式膨張弁9で高圧側圧力の制御を行うと簡易的に制御できる。さらに、この実施の形態1では、圧縮機1や室外ファン2−aなどの制御機器と、高圧側圧力P、低圧側圧力Pなどの制御指標を1対1で制御するように設定したが、制御指標と制御機器のマトリクスを組み、制御を行うことで、収束性を早めることができる。なお、室内温度の制御方法としては、冷房運転をしているすべての部屋の室内温度があらかじめ設定した設定温度になれば、圧縮機を止めればよい。しかし、室内温度があらかじめ設定した設定温度に近づいた時点で目標低圧側圧力PL を高くなるように変更し、冷房能力が必要能力(熱負荷)に合うように制御すれば、高圧側圧力PHおよび低圧側圧力PLの圧力差が小さくなり、圧縮機入力を抑えた状態で運転できるため、COPが高い状態で運転を継続できる。
また、今回は、室外熱交換器2の出口での冷媒の過冷却度SCや高圧側圧力Pの制御目標値SC*、P *を一定値に設定して制御したが、室外熱交換器2の性能を鑑みて、熱負荷が大きな場合にはSC*やP *を大きくなるように変更し、熱負荷が小さな場合にはSC*やP *を小さくなるように変更すれば、よりCOPが高い状態で運転を行うことができる。さらに、通常、室外熱交換器2は大きく、空気の風量も大きく設計されているため、室外熱交換器2の出口の冷媒温度Trefは外気温度にほぼ近い温度となる。そこで、冷媒温度の制御目標値Tref *を熱負荷等に関わらず、外気温度から1〜10℃高い値、例えば5℃程度高い値に設定してこれを制御すれば、過冷却度SCや、高圧側圧力Pを制御指標とした場合よりも簡便に、COPが高い状態で運転を行うことができる。
また、室内ファン5−aの回転数は、全速とするか、リモコンによる設定を行えばよい。さらに、顕熱比SHF(Sensible Heat Factor)などの制御指標をもとに運転を行えば、室内の快適性を確保した運転を行うことができる。
実施の形態2.
図13はこの発明の実施の形態2に係る空気調和装置を示す冷媒回路図である。
図13において、四方切替弁10が、圧縮機1から吐出された高温・高圧の冷媒が室外熱交換器2、または室内熱交換器5に供給され、室内熱交換器、または室外熱交換器から吐出された低温・低圧の冷媒がアキュムレータ7に戻されるように配設されている。
なお、他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。つまり、上記実施の形態1による空気調和装置は、冷房専用の空調機として動作するものであるが、この実施の形態2による空気調和装置は、四方切替弁10による冷媒流路を切り換えることにより、冷暖切換型の空調機として動作する。
この実施の形態2による空気調和装置の暖房運転について説明する。
まず、アキュムレータ7内の低温・低圧の冷媒ガスが圧縮機吸入側配管21を介して圧縮機1に吸入され、圧縮機1により圧縮され、高温・高圧の冷媒ガスとなって吐出される。高温・高圧の冷媒ガスは、四方切替弁10およびガス配管6を介して室内熱交換器5に導入される。室内熱交換器5に導入された高温・高圧の冷媒ガスは、室内ファン5−aにより室内熱交換器5に導入された室内の空気と熱交換され、室内の空気を加熱しながら温度が下がる。そして、室内熱交換器5から吐出された冷媒は、電子式膨張弁4で絞られて減圧され、低温・低圧の気液二相状態に変化する。気液二相状態の冷媒は、液配管3を介して室外熱交換器2に導入され、室外ファン2−aにより室外熱交換器2に導入された室外の空気と熱交換され、室外の空気を冷却して低温低圧の冷媒ガスに変化する。その後、冷媒ガスは、四方切替弁10を通りアキュムレータ7に戻される。アキュムレータ7に戻された冷媒ガスは気液分離され、低温・低圧の冷媒ガスが圧縮機吸入側配管21を介して圧縮機1に吸入される。
このように、暖房運転では、冷媒が、図13に点線の矢印で示されるように、圧縮機1→四方切替弁10→ガス配管6→室内熱交換器5→電子式膨張弁4→液配管3→室外熱交換器2→四方切替弁10→アキュムレータ7→圧縮機吸入側配管21→圧縮機1の順で冷媒回路内を循環する。
つぎに、この実施の形態2による空気調和装置の冷房運転について説明する。
まず、アキュムレータ7内の低温・低圧の冷媒ガスが圧縮機吸入側配管21を介して圧縮機1に吸入され、圧縮機1により圧縮され、高温・高圧の冷媒ガスとなって吐出される。高温・高圧の冷媒ガスは、四方切替弁10および圧縮機吐出側配管20を介して室外熱交換器2に導入される。室外熱交換器2に導入された高温・高圧の冷媒ガスは、室外ファン2−aにより室外熱交換器2に導入された室外の空気と熱交換され、室外の空気を加熱しながら中温・高圧の冷媒となる。さらに、中温・高圧の冷媒は、液配管3を流通し、電子式膨張弁4にて減圧されて低温・低圧の気液二相状態の冷媒となり、液配管3を流通して室内熱交換器5に導入される。室内熱交換器5に導入された低温・低圧の気液二相状態の冷媒は、室内ファン5−aにより室内熱交換器5に導入された室内の空気と熱交換され、室内の空気を冷却しながら、低温・低圧の冷媒蒸気に変化する。低温・低圧の冷媒蒸気は、ガス配管6を流通してアキュムレータ7に戻される。アキュムレータ7に戻された冷媒は気液分離され、低温・低圧の冷媒ガスが圧縮機吸入側配管21を介して圧縮機1に吸入される。
このように、冷房運転では、冷媒が、図13に実線の矢印で示されるように、圧縮機1→圧縮機吐出側配管20→室外熱交換器2→液配管3→電子式膨張弁4→室内熱交換器5→ガス配管6→アキュムレータ7→圧縮機吸入側配管21→圧縮機1の順で冷媒回路内を循環する。
この実施の形態2においても、冷房運転時に、上記実施の形態1と同様に、室内熱交換器5出口の冷媒の過熱度SHを算出して、算出された過熱度SHに基づいて電子式膨張弁4の開度を制御して、室内熱交換器5に流入する冷媒流量を制御するとともに、電子式膨張弁9の開度を制御して、室外熱交換器2出口に滞留する余剰冷媒をバイパス配管8を介してアキュムレータ7に戻すようにすることで、冷房運転時に空気の温度条件、熱負荷条件等が変動した場合にも、室内機の容量に応じた冷媒流量の配分を効率的に行えるとともに、余剰冷媒を処理することで高圧側圧力を適正化し、余計な圧縮動力の入力を防ぐことができ、COPが高い状態で運転できる。
実施の形態3.
図14はこの発明の実施の形態3に係る空気調和装置を示す冷媒回路図である。
図14において、内部熱交換器30が、液配管3とバイパス配管8の電子式膨張弁9のアキュムレータ側との間で熱交換可能に配設されている。
なお、他の構成は上記実施の形態2と同様に構成されている。
この実施の形態3では、余剰冷媒のもつ冷却エネルギの有効利用のために、内部熱交換器30を用いて、液配管3を流通する冷媒とバイパス配管8を流通する冷媒との間で熱交換させて、液配管3の冷媒を冷却すれば、COPの向上につながる。
この空気調和装置の冷房運転において、冷媒充填量が過大である場合には、高圧側圧力P、室外熱交換器2出口の過冷却度SC、室外熱交換器2出口の冷媒温度Trefを制御指標として、上記実施の形態1と同様に余剰冷媒の処理を行えば、COPが高い状態で運転できる。しかし、冷媒充填量が過少である場合には、上記方法では電子式膨張弁9が全閉となり、内部熱交換器30を使用することができない。そこで、高圧側圧力P、室外熱交換器2出口の過冷却度SC、室外熱交換器2出口の冷媒温度Trefに閾値を設け、P、SC、Trefが例えばP 、SC、Tref よりも低くなった場合には、冷媒充填量が過小であると判断して、電子式膨張弁9の制御方法を切り替え、バイパス配管8の内部熱交換器30の出口の冷媒の過熱度に基づいて電子式膨張弁9の開度を制御すれば、冷媒充填量が過大である場合に、バイパス配管を使用して余剰冷媒を処理するとともに、冷媒充填量が過小である場合に、内部熱交換器30により室内機に流入する冷媒温度を下げることができ、冷媒充填量がどのような場合にも、各冷媒充填量に対して、COPが高い状態で運転を行うことができる。
なお、室外熱交換器出口の過冷却度SCや、冷媒温度Tref、高圧側圧力P等を制御する方法は、フロン系冷媒、炭化水素系冷媒、アンモニア等、高圧側で冷媒が凝縮、低圧側で冷媒が蒸発する蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いる空気調和装置に対して有効である。
また、二酸化炭素のような使用条件により高圧側が臨界圧力を超える冷媒を用いる場合には、高圧側圧力Pが臨界圧力よりも低い場合には、上記制御方法により制御できるが、高圧側圧力Pが臨界圧力よりも高くなった場合には凝縮温度を定義できなくなるため、過冷却度SCの代わりに室外熱交換器2の出口の冷媒温度、または室外熱交換器2の出口の冷媒温度と外気温度の差を制御すれば、COPが高い状態での運転を行うことができる。さらに、臨界圧力以上の凝縮温度の定義として、当該圧力で比熱が最も大きな温度(擬臨界温度)や臨界圧力の比エンタルピと当該圧力から求められる温度等を擬似的な凝縮温度T'と仮定し、擬似的な過冷却度SC'(=T'−T)を一定値になるように制御した場合にも、室内温度Tが変動した場合に冷媒と室内空気の温度差を適切にとることができ、COPが高い状態で運転することができる。
この発明の実施の形態1に係る空気調和装置を示す冷媒回路図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路の冷凍サイクルにおける冷媒量と高圧側圧力との関係を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路の冷凍サイクルにおける冷媒量と過冷却度との関係を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路の冷凍サイクルにおける冷媒量と室外熱交換器出口の冷媒温度との関係を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路の冷凍サイクルにおける冷媒量とCOPとの関係を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路の冷凍サイクルにおけるバイパス回路を使用しない場合の圧力−比エンタルピ線図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路の冷凍サイクルにおけるバイパス回路を使用した場合の圧力−比エンタルピ線図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路の冷凍サイクルにおける電子式膨張弁4の開度とCOPとの関係を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置の冷媒回路の冷凍サイクルにおける過熱度とCOPとの関係を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置における室内熱交換器出口の冷媒の過熱度を制御指標としたときの運転制御のフローチャートである。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置における室外熱交換器出口の冷媒の過冷却度を制御指標としたときの運転制御のフローチャートである。 この発明の実施の形態1に係る空気調和装置における圧縮機および室外ファンの回転数を制御指標としたときの運転制御のフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係る空気調和装置を示す冷媒回路図である。 この発明の実施の形態3に係る空気調和装置を示す冷媒回路図である。
符号の説明
1 圧縮機、2 室外熱交換器、3 液配管、4 電子式膨張弁(第1絞り手段)、5 室内熱交換器、6 ガス配管、7 アキュムレータ、8 バイパス配管、9 電子式膨張弁(第2絞り手段)、11 吐出圧力検出器(冷媒圧力検出手段、凝縮温度検出手段)、12 吸入圧力検出器(冷媒圧力検出手段、蒸発温度検出手段)、14,15 冷媒温度検出器(冷媒温度検出手段)、16 冷媒温度検出器(冷媒温度検出手段、蒸発温度検出手段)、18 外気温度検出器、19 制御手段、20 圧縮機吐出側配管、21 圧縮機吸入側配管、30 内部熱交換器。

Claims (16)

  1. 圧縮機、室外熱交換器、およびアキュムレータを有した室外機と、
    室内熱交換器、および上記室内熱交換器の第1絞り手段を有した複数の室内機と、
    制御手段と、を備え、
    液配管の一端を上記室外熱交換器の出口に接続し、他端を分岐してそれぞれ上記第1絞り手段を介して上記室内熱交換器の入口に接続し、かつガス配管の一端を上記アキュムレータに接続し、他端を分岐してそれぞれ上記室内熱交換器の出口に接続して、冷媒が上記圧縮機、上記室外熱交換器、上記第1絞り手段、上記室内熱交換器、上記アキュムレータ、上記圧縮機の順に環状に循環する冷媒回路を構成して冷房運転を行う空気調和装置において、
    上記液配管とアキュムレータとを連通するバイパス配管と、
    上記バイパス配管に配設された第2絞り手段と、
    上記室内熱交換器の出口の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段および蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段と、を備え、
    上記制御手段が、上記室内熱交換器それぞれの出口の冷媒の過熱度を算出し、該過熱度に基づいて上記第1絞り手段の開度を制御して上記室内熱交換器それぞれに流入する冷媒流量を調整するとともに、上記第2絞り手段の開度を制御して上記室外熱交換器の出口に滞留する余剰冷媒を上記バイパス配管を介して上記アキュムレータに戻すように構成されていることを特徴とする空気調和装置。
  2. 上記室外熱交換器の出口の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段および凝縮温度を検出する凝縮温度検出手段を備え、上記制御手段は、上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度を算出して、該過冷却度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
  3. 上記液配管の上記室外熱交換器の出口の冷媒と上記バイパス配管の上記第2絞り手段の出口の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、
    上記制御手段は、上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度に閾値を設け、上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度が所定の範囲内の場合には該過冷却度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御し、上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度が所定の範囲外の場合には上記バイパス配管の上記内部熱交換器の出口の冷媒の過熱度を算出し、算出された当該過熱度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項2記載の空気調和装置。
  4. 上記室外熱交換器の出口の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段を備え、
    上記制御手段は、上記冷媒温度検出手段により検出された冷媒温度、又は上記室外熱交換器の出口の冷媒温度と外気温度との差温に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
  5. 上記液配管の上記室外熱交換器の出口の冷媒と上記バイパス配管の上記第2絞り手段の出口の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、
    上記制御手段は、上記室外熱交換器の出口の冷媒温度に閾値を設け、上記室外熱交換器の出口の冷媒温度が所定の範囲内の場合には該冷媒温度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御し、上記室外熱交換器の出口の冷媒温度が所定の範囲外の場合には上記バイパス配管の上記内部熱交換器の出口の冷媒の過熱度を算出し、算出された当該過熱度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項4記載の空気調和装置。
  6. 上記圧縮機の出口から上記第1絞り手段に至る配管内の高圧側冷媒の圧力を検出する冷媒圧力検出手段を備え、
    上記制御手段は、上記冷媒圧力検出手段により検出された高圧側冷媒の圧力に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
  7. 上記液配管の上記室外熱交換器の出口の冷媒と上記バイパス配管の上記第2絞り手段の出口の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、
    上記制御手段は、上記高圧側冷媒の圧力に閾値を設け、上記高圧側冷媒の圧力が所定の範囲内の場合には該高圧側冷媒の圧力に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御し、上記高圧側冷媒の圧力が所定の範囲外の場合には上記バイパス配管の上記内部熱交換器の出口の冷媒の過熱度を算出し、算出された当該過熱度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項6記載の空気調和装置。
  8. 圧縮機、室外熱交換器、およびアキュムレータを有した室外機と、
    室内熱交換器、および上記室内熱交換器の第1絞り手段を有した複数の室内機と、を備え、
    液配管の一端を上記室外熱交換器の出口に接続し、他端を分岐してそれぞれ上記第1絞り手段を介して上記室内熱交換器の入口に接続し、かつガス配管の一端を上記アキュムレータに接続し、他端を分岐してそれぞれ上記室内熱交換器の出口に接続して、冷媒が上記圧縮機、上記室外熱交換器、上記第1絞り手段、上記室内熱交換器、上記アキュムレータ、上記圧縮機の順に環状に循環する冷媒回路を構成し、さらにバイパス配管を上記液配管と上記アキュムレータとを連通するように配設し、かつ第2絞り手段を上記バイパス配管に配設して冷房運転を行う空気調和装置の運転制御方法において、
    上記室内熱交換器それぞれの出口の冷媒の過熱度を算出し、該過熱度に基づいて上記第1絞り手段の開度を制御して上記室内熱交換器それぞれに流入する冷媒流量を調整するとともに、上記第2絞り手段の開度を制御して上記室外熱交換器の出口に滞留する余剰冷媒を上記バイパス配管を介して上記アキュムレータに戻すことを特徴とする空気調和装置の運転制御方法。
  9. 上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度を算出して、算出された該過冷却度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項8記載の空気調和装置の運転制御方法。
  10. 上記液配管の上記室外熱交換器の出口の冷媒と上記バイパス配管の上記第2絞り手段の出口の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、
    上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度に閾値を設け、上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度が所定の範囲内の場合には該過冷却度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御し、上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度が所定の範囲外の場合には上記バイパス配管の上記内部熱交換器の出口の冷媒の過熱度を算出し、算出された当該過熱度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とすることを特徴とする請求項9記載の空気調和装置の運転制御方法。
  11. 上記室外熱交換器の出口の冷媒温度を測定して、測定された該冷媒温度、又は上記室外熱交換器の出口の冷媒温度と外気温度との差温に基づいて第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項8記載の空気調和装置の運転制御方法。
  12. 上記液配管の上記室外熱交換器の出口の冷媒と上記バイパス配管の上記第2絞り手段の出口の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、
    上記室外熱交換器の出口の冷媒温度に閾値を設け、上記室外熱交換器の出口の冷媒温度が所定の範囲内の場合には該冷媒温度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御し、上記室外熱交換器の出口の冷媒温度が所定の範囲外の場合には上記バイパス配管の上記内部熱交換器の出口の冷媒の過熱度を算出し、算出された当該過熱度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項11記載の空気調和装置の運転制御方法。
  13. 上記圧縮機の出口から上記第1絞り手段に至る配管内の高圧側冷媒の圧力を測定し、測定された該高圧側冷媒の圧力に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項8記載の空気調和装置の運転制御方法。
  14. 上記液配管の上記室外熱交換器の出口の冷媒と上記バイパス配管の上記第2絞り手段の出口の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、
    上記高圧側冷媒の圧力に閾値を設け、上記高圧側冷媒の圧力が所定の範囲内の場合には該高圧側冷媒の圧力に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御し、上記高圧側冷媒の圧力が所定の範囲外の場合には上記バイパス配管の上記内部熱交換器の出口の冷媒の過熱度を算出し、算出された当該過熱度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項13記載の空気調和装置の運転制御方法。
  15. 上記圧縮機の出口から上記第1絞り手段に至る配管内の高圧側冷媒の圧力が臨界圧力以上の場合には、上記室外熱交換器出口の冷媒温度、又は上記室外熱交換器の出口の冷媒温度と外気温度との差温に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御し、上記高圧側冷媒の圧力が臨界圧力より低い場合には、上記室外熱交換器の出口の冷媒の過冷却度に基づいて上記第2絞り手段の開度を制御することを特徴とする請求項9記載の空気調和装置の運転制御方法。
  16. 上記圧縮機の出口から上記第1絞り手段に至る配管内の高圧側冷媒の圧力が臨界圧力以上の場合には、臨界圧力以上の凝縮温度の定義として、当該圧力で比熱が最も大きな温度、又は臨界圧力の比エンタルピと当該圧力から求められる温度を擬似的な凝縮温度と定義し、過冷却度を制御することを特徴とする請求項9記載の空気調和装置の運転制御方法。
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