JP2009138310A - 着用運動時の冷却感に優れる生地 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メッシュホール部分と編織物からなるグランド部分から構成される生地であって、メッシュホール部分の平均面積が0.25mm2以上30mm2以下であり、生地全体に対するメッシュホール部分の面積比が、3%以上70%以下であり、生地の通気度が100cc/cm2・s以上であり、生地を着用した運動評価での皮膚表面温度変化(ΔTW)が、未着用時の運動評価での皮膚表面温度変化(ΔTS)よりも大きいことを特徴とする着用運動時の冷却感に優れる生地。
【選択図】図4
Description
一方、特許文献2のような、熱伝導性の高い材料を利用して接触冷感を促す場合、着用初期には若干効果は得られるが、継続した効果は得られない。さらに、連続運動を継続して行う場合には、これらの効果はほとんど見られなかった。
(1)メッシュホール部分と編織物からなるグランド部分から構成される生地であって、メッシュホール部分の1個あたりの平均面積が0.25mm2以上30mm2以下であり、生地全体に対するメッシュホール部分の面積比が、3%以上70%以下であり、生地の通気度が100cc/cm2・s以上であり、生地を着用した運動評価での皮膚表面温度変化(ΔTW)が、未着用時の運動評価での皮膚表面温度変化(ΔTS)よりも大きいことを特徴とする着用運動時の冷却感に優れる生地。
本発明に用いる生地としては、織物でも丸編みや経編みの様なニットでもかまわない。織物の場合、薄く軽量でなおかつ強力や摩耗性にすぐれた生地を作ることができる。また、ニットの場合、伸長性やソフト風合いを兼ね備えた生地を作ることができる。
本発明の生地が着用運動時に冷却感を促すメカニズムとしては、以下のことが考えられる。
皮膚表面には、温度(暑さ、寒さ)を感じるための器官として、温受容器と、冷受容器があることが一般に知られている。これら受容器の活動性(受容器の活動の強さが温感、冷感の強さとなる)は、(1)絶対温度により決定される静的活動性(static activity)、及び(2)温度変化に左右される動的活動性(dynamic activity)に大別できる。この動的活動性の大きさは、温度変化速度が早いほど、変化温度が大きいほど、大きくなる。すなわち、皮膚表面の温度変化を早く、大きくすることにより、強く冷感を感じることができる。これらの現象を利用したクーリング素材が、本発明の生地である。
メッシュホールとは、生地に部分的に作られたホールのことであり、気流の通り道となる。ホールの作り方としては、鹿子やメッシュ組織、パワーネット組織、チュール組織、からみ織りなどの織編組織を利用する方法や、パンチングやレーザー裁断などを利用し生地に穴を開ける方法や、オパール加工により穴を開ける方法などが考えられるが、いずれの方法を用いてもよい。
また、同一生地内に本発明の生地構造とメッシュホールの存在しない生地部を組み合わせ、衣服を作成した時に、背中や側面部など、部分的に本発明の生地構造が存在するように作り、実際の使用において、より効率的に気流による冷感効果を得ることに利用してもかまわない。
(a)メッシュホール部分の形状が単純で、均一な大きさで規則的に配列している場合
(i)1個あたりのメッシュホール部分の面積
生地を無張力下で広げ、マイクロスコープにより写真撮影し、寸法および形状を測定し、計算により算出した。
生地を無張力下で広げ、マイクロスコープにより、写真撮影し、メッシュホール部分の面積、視野内の数、視野の面積を算出し、以下の式により算出した。
メッシュホール部分の面積比(%)
=(1個あたりのメッシュホール部分の面積×視野内のメッシュホールの数)
×100/視野の面積
生地を無張力下で広げ、メッシュホールがマイクロスコープにより生地の表面を写真撮影する。この際、写真撮影する画像には、完全なメッシュホール部分が少なくとも8個以上含まれるようにする。また、測定視野内にメッシュホール部分の数が少ない場合には、写真撮影の枚数を増やす。
メッシュホール部分の面積比は、下記の式により算出する。
メッシュホール部分の面積比(%)
=(測定視野内のメッシュホールの総面積×100/測定視野の面積)
温度・気流速度センサー(DegreeC社製)を、検出方向が手の甲に水平となるように、手の甲に固定した。25℃、50%RHの恒温恒湿室でセンサーを固定した手を、評価生地で作製した袋(13cm×25cm)に入れ、3分間静止し環境が安定した後に、1分間に手首を軸に手を90°の角度で120往復させる運動を3分間行い、その時の生地と皮膚との間の温度と気流速度を測定した。
生地着用時の皮膚表面温度変化ΔTWは、静止3分後の生地−皮膚間の温度を0としたときの、運動時の生地−皮膚間の温度減少量の絶対値から算出した。なお、生地を着用した運動評価における、皮膚の表面の温度変化を示すグラフを図1に記す。
温度・気流速度センサー(DegreeC社製)を、検出方向が手の甲に水平となるように、手の甲に固定した。25℃、50%RHの恒温恒湿室でセンサーを固定した手を3分間静止した後、1分間に90°の角度で120往復させる運動を3分間行い、その時の皮膚表面の温度と気流速度を測定した。
未着用時の皮膚の表面の温度変化ΔTSは、静止3分後の皮膚表面の温度を0としたときの、3分間運動後の皮膚表面の温度減少量の絶対値から算出し、ΔTS=1.2℃を得た。未着用時の運動評価での皮膚表面の温度変化を示すグラフを図2に記す。
JIS−L−1018に準拠し、フラジール形試験機により測定した。
JIS−L−1907に準拠し、吸水速度滴下法により測定した。
生地を10cm×10cmのサイズに切り、標準状態(20℃×65%RH)で調整した生地サンプルの質量を測定した(W0)。次いで、無張力下で広げ、生地サンプル中央に0.6mLの水を滴下した後の生地サンプルの質量を測定した(W1)。その後、生地サンプルを吊り下げた状態で、50分経過した後の生地サンプルの質量を測定した(W2)。これらの測定値から、生地の拡散性残留水分率を下記の式より算出した。
残留水分率(%)=(W2−W0)×100/(W1−W0)
25℃、50%RHの恒温恒湿室で、手を生地サンプルで作製した袋(13cm×25cm)入れ、往復運動をさせた際の冷感の官能評価を行った。
官能評価には、下記の基準で、「涼しい」〜「暖かい」の5段階のSD法によるアンケートを行い、被験者5名の値を平均して算出した。なお、生地を着用していない場合の冷感を基準の0(どちらでもない)とした。
−2:涼しく感じる
−1:やや涼しく感じる
0:どちらでもない
1:やや暖かく感じる
2:暖かく感じる
ラッセル編機(130インチ、28ゲージ)を用い、下記の糸使い、条件でパワーネットを編成、加工し、コース密度189コース/インチ、ウエール密度35ウエール/インチ、目付75g/m2の6コースパワーネット生地を得た。
なお、下記の糸使いにおいて、Nyは丸断面のナイロン6からなるマルチフィラメント(東洋紡績株式会社製)、エスパはスパンデックス糸(東洋紡績株式会社製、登録商標)を意味する。
F(フロント)オサ
・糸 :Ny(33dtex、6フィラメント;セミダル)
・糸配置 :1イン 1アウト
・ランナー:79cm/480コース
・編組織 :10/12/21/23/21/12
M(ミドル)オサ
・糸 :Ny(33dtex、6フィラメント:セミダル)
・糸配置 :1アウト 1イン
・ランナー:79cm/480コース
・編組織 :23/21/12/10/12/21
M2(ミドル第2)オサ
・糸 :エスパ(155dtex)
・糸配置 :1イン 1アウト
・ランナー:10.6cm/480コース
・編組織 :11/00
B(バック)オサ
・糸 :エスパ(155dtex)
・糸配置 :1アウト 1イン
・ランナー:10.6cm/480コース
・編組織 :00/11
得られた生機を連続精練機で精練し、190℃×45秒にてプレセットを実施した後、 液流染色機で100℃×30分で染色を行った。次いで、染色後の生地に、ポリエステル系樹脂からなり、かつアニオン性の吸水加工剤(高松油脂社製、SR1800)を用いて吸水加工処理を行い、170℃×45秒で仕上げセットを行った。
実施例1で得られた生地の表面のマイクロスコープ写真を図3に示す。
トリコット機(カールマイヤー製、KS−3;28ゲージ)を用い、フロントに単糸の断面形状が偏平のポリエステルマルチフィラメント(50dtex/36フィラメント)のフラットヤーンを配し、バックにフロントと同様に単糸の断面形状が偏平のポリエステルマルチフィラメント(50dtex/36フィラメント)のフラットヤーンを配して、下記の編条件にて生機を作製した。
なお、偏平断面を有するポリエステル単糸の偏平度は、いずれも5であった。また、上記のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを意味する。
・糸配列
バック :2イン 2アウト
フロント:2イン 2アウト
・編組織
バック :4−5/3−2/1−0/2−3//
フロント:1−0/2−3/4−5/3−2//
・ランナー
バック :146cm/480ラック
フロント:146cm/480ラック
得られた生機を液流染色機にてリラックス/精練し、引き続き、ポリエステル系樹脂からなり、かつアニオン性の吸水剤(高松油脂社製、SR1000)を、染色時に同浴で処理する方法(染色同時処理法)にて130℃×30分で染色を行い、次いで、脱水、乾燥を行った。次いで、染色、吸水処理後の生地に、帯電防止剤、風合い調整剤による後加工処理を行い、170℃×45秒で仕上げセットを行った。
実施例2で得られた生地の表面のマイクロスコープ写真を図4に示す。
トリコット機(カールマイヤー製、KS−3;28ゲージ)を用い、フロントに単糸の断面形状が丸いポリエステルマルチフィラメント仮撚り加工糸(84dtex/36フィラメント)を配し、バックにフロントと同様に単糸の断面形状が丸いポリエステルマルチフィラメント仮撚り加工糸(84dtex/36フィラメント)を配し、ミドルに単糸の断面形状が丸いポリエステルマルチフィラメント仮撚り加工糸(84dtex/72フィラメント)を配して、下記の編条件にて生機を作製した。
なお、上記のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを意味する。
・糸配列
バック :5イン 1アウト
ミドル :1アウト 1イン
フロント:2イン 1アウト 3イン
・編組織
バック :4−5/4−3/4−5/3−2/3−4/2−1/2−3/1−0
/1−2/1−0/2−3/2−1/3−4/3−2//
ミドル :0−0/2−2/0−0/3−3/1−1/4−4/2−2/5−5
/3−3/5−5/2−2/4−4/1−1/3−3//
フロント:1−0/1−2/1−0/2−3/2−1/3−4/3−2/4−5 /4−3/4−5/3−2/3−4/2−1/2−3//
・ランナー
バック :148cm/480ラック
ミドル : 66cm/480ラック
フロント:148cm/480ラック
得られた生機を実施例2と同様の条件で仕上げた。
実施例3で得られた生地の表面のマイクロスコープ写真を図5に示す。
トリコット機(カールマイヤー製、KS−3;28ゲージ)を用い、フロントに単糸の断面形状が偏平のポリエステルマルチフィラメント(50dtex/36フィラメント)のフラットヤーンを配し、ミドルに単糸の断面形状が丸いポリエステルマルチフィラメント加工糸(84dtex/72フィラメント)を配し、バックにフロントと同様に単糸の断面形状が偏平のポリエステルマルチフィラメント(50dtex/36フィラメント)のフラットヤーンを配し、下記の編条件にて生機を作製した。
なお、偏平断面を有するポリエステル単糸の偏平度は、いずれも5であった。また、上記のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを意味する。
・糸配列
バック :5イン 1アウト
ミドル :1アウト 1イン
フロント:2イン 1アウト 3イン
・編組織
バック :4−5/4−3/4−5/3−2/3−4/2−1/2−3/1−0
/1−2/1−0/2−3/2−1/3−4/3−2//
ミドル :0−0/2−2/0−0/3−3/1−1/4−4/2−2/5−5
/3−3/5−5/2−2/4−4/1−1/3−3//
フロント:1−0/1−2/1−0/2−3/2−1/3−4/3−2/4−5
/4−3/4−5/3−2/3−4/2−1/2−3//
・ランナー
バック :128cm/480ラック
ミドル : 52cm/480ラック
フロント:128cm/480ラック
得られた生機を実施例2と同様の条件で仕上げた。
実施例4で得られた生地の表面のマイクロスコープ写真を図6に示す。
実施例4と同条件で得られた生機を、液流染色機にてリラックス/精練し、引き続きポリエステル系樹脂からなり、かつアニオン性の吸水剤(高松油脂社製、SR1000)を、染色時に同浴で処理する方法(染色同時処理法)にて130℃×30分で染色を行い、次いで、脱水、乾燥を行った。次いで、染色、吸水処理後の生地に、帯電防止剤、風合い調整剤による後加工処理を行い、170℃×45秒で仕上げセットを行った。さらに、熱ロールカレンダー機(温度180℃ 圧力30kPa 速度30m/分)を通して生地を仕上げた。
実施例4と同条件で得られた生機を、液流染色機にてリラックス/精練し、引き続き、引き続きポリエステル系樹脂からなり、かつアニオン性の吸水剤(高松油脂社製、SR1000)を、染色時に同浴で処理する方法(染色同時処理法)にて130℃×30分で染色を行い、次いで、脱水、乾燥を行った。次いで、染色、吸水処理後の帯電防止剤、風合い調整剤による後加工処理を行い、170℃×45秒で仕上げセットを行った。さらに、グラビアロールを用いて、ポリウレタン樹脂を生地の裏面にドット状(直径1.0mm ドット数16個/(2.54cm×2.54cm))にプリントして、生地の裏面(肌側)に凹凸を形成させ、生地を仕上げた。
トリコット編機(130インチ、28ゲージ)を用い、下記の糸使い、条件でメッシュ生地を編成、加工し、コース密度102コース/インチ、ウエール密度61ウエール/インチ、目付180g/m2の8コースメッシュ生地を得た。
なお、下記の糸使いにおいて、Esは、偏平度が5の偏平断面を有し、ポリエチレンテレフタレートからなる単糸から構成されたマルチフィラメント(東洋紡績株式会社製)、エスパはスパンデックス糸(東洋紡績株式会社製、登録商標)を意味する。
F(フロント)オサ
・糸 :Es(50dtex、36フィラメント;セミダル)
・糸配置 :2イン 2アウト
・ランナー:142cm/480コース
・編組織 :45/32/45/32/10/23/10/23
M(ミドル)オサ
・糸 :Es(50dtex、36フィラメント:セミダル)
・糸配置 :2イン 2アウト
・ランナー:142cm/480コース
・編組織 :10/23/10/23/45/32/45/32
B(バック)オサ
・糸 :エスパ(44dtex)
・糸配置 :フルセット
・ランナー:84cm/480コース
・編組織 :12/10
得られた生機を連続精練機で精練し、190℃で45秒間のプレセットを行った後、 液流染色機で130℃×30分で染色を行った。次いで、吸水加工剤(高松油脂社製、SR1800)を用いて、染色後の生地に吸水加工処理を行い、170℃×45秒で仕上げセットを行った。
比較例1で得られた生地の表面のマイクロスコープ写真を図7に示す。
シングル丸編機(福原製、SDY機28G)を用い、単糸の断面形状が丸いポリエステルマルチフィラメント仮撚り加工糸A(174dtex/144フィラメント)と、単糸の断面形状が丸いポリエステルマルチフィラメント仮撚り加工糸B(33dtex/12フィラメント)とを用い、下記の編条件にて生機を作製した。
また、上記のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを意味する。
(a)加工糸A
130mm/50ウエール
(b)加工糸B
64mm/50ウエール
(c)編組織(K:ニット、T:タック)
KKKKTKKKKKKKKTKKKK 1リピート
KKKKKKKKKKKKKKKKKK 1リピート
KKKKKKKKTKKKKKKKKT 1リピート
KKKKKKKKKKKKKKKKKK 1リピート
得られた生機を実施例2と同様の条件で仕上げた。
比較例2で得られた生地の表面のマイクロスコープ写真を図8に示す。
1:メッシュホール部分
2:グランド部分
Claims (3)
- メッシュホール部分と編織物からなるグランド部分から構成される生地であって、メッシュホール部分の1個あたりの平均面積が0.25mm2以上30mm2以下であり、生地全体に対するメッシュホール部分の面積比が、3%以上70%以下であり、生地の通気度が100cc/cm2・s以上であり、生地を着用した運動評価での皮膚表面温度変化(ΔTW)が、未着用時の運動評価での皮膚表面温度変化(ΔTS)よりも大きいことを特徴とする着用運動時の冷却感に優れる生地。
- グランド部分の編織物の一部または全部に偏平断面からなる合成繊維が使用され、偏平断面の最大径a(長軸)と該長軸に直交する最大径の長さb(短軸)の比である偏平度a/bが2以上であることを特徴とする請求項1記載の着用運動時の冷却感に優れる生地。
- グランド部分が吸水剤で吸水加工処理され、JIS−L−1907に準拠する 吸水速度滴下法の値が3秒以下であり、拡散性残留水分率が50分経過後に10%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の着用運動時の冷却感に優れる生地。
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