JP2009137442A - 車両のパワーステアリング装置 - Google Patents

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Fumihiro Hayakawa
文洋 早川
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Abstract

【課題】ステアリング操作をアシストするトルクを付与するに際してその目標とするトルクに対する外乱を適正に排除することにより、より安定した操舵フィーリングを実現することのできる車両のパワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】このパワーステアリング装置では、車速v及び横加速度Ygに応じて目標トルクToを設定するとともに、操舵トルクTθが目標トルクToとなるようにアシストトルクTaを制御する。ここでは特に、車速v及び横加速度Ygに基づき操舵パラメータ(K,C,J,Tfmax)をマップ演算するとともに、操舵角θ及び操舵トルクTθの時系列的な関係からその時々の操舵フィーリングとして各対応する操舵パラメータ(Ke,Ce,Je,Tfmaxe)を推定する。そして、車速v及び横加速度Ygに基づき求めた操舵パラメータをこの推定した操舵パラメータにて補正して目標トルクToを求める。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両のステアリングにアシストトルクを付与して運転者によるステアリング操作を補助する車両のパワーステアリング装置に関する。
従来、この種のパワーステアリング装置としては、例えば特許文献1に記載の装置がある。同文献に記載の装置では、電動モータによりアシストされるステアリング(ハンドル)にその操舵トルクを検出するトルクセンサを設け、まずは通常のアシスト制御(第1制御)として、このトルクセンサを通じて得られる操舵トルクが小さくなるように電動モータの制御量を設定する。またこの装置では、センターフィール補償制御(第2制御)として、同トルクセンサを通じて得られる操舵トルクが予め設定した目標トルク(目標操舵力)となるように電動モータの制御量を設定する制御を併せて行う。そして、これら第1制御と第2制御によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータの最終的な駆動量(アシスト量)を制御する。
一方、同装置では、特に高速直進時におけるステアリングの操舵特性についてこれを、ばね成分、粘性成分、及び摩擦成分といった3種の成分に分解してモデル化し、車速80km/h以上となるような車両の高速直進時には、このモデル化した操舵特性となるように上記センターフィール補償制御(第2制御)での目標トルクが設定される。しかもこの際、上記通常のアシスト制御(第1制御)はキャンセルされる。すなわち、車両の高速直進時には、上記ばね成分、粘性成分、及び摩擦成分の総和のみによって上記操舵トルクについての目標トルクが設定される。ここで、上記ばね成分とは、ステアリングの操舵角をパラメータとする関数で表されるトルク成分であり、また上記粘性成分とは、同ステアリングの操舵角速度に比例するトルク成分であり、そして上記摩擦成分とは、同ステアリングの操舵角速度をパラメータとする関数で表されるトルク成分である。このように、車両の高速直進時には、これらばね成分、粘性成分、及び摩擦成分の総和として上記操舵トルクの目標トルクが設定され、この目標トルクに収束されるように同操舵トルクが管理、制御されることで、ステアリングの操舵フィーリングも車両の走行状態に見合うかたちでその改善が図られるようになる。
特開2003−285753号公報
ところで、特許文献1に記載の装置では上述のように、ステアリングの操舵特性を上記各成分に分解してモデル化しているとはいえ、同モデルを用いての上記アシストトルクの付与に際し、それら各成分が実際のステアリング操作に伴ってどのように変化するかについては何ら考慮されていない。すなわちこの場合、上記各センサの出力が上記モデルのばね成分、粘性成分、及び摩擦成分をそれぞれ決定するいわゆる操舵パラメータの値を用いて上記操舵トルクの目標トルクが設定されることとなるが、例えば斜面やカーブ路などにおいて路面状態が変化するようなことがあれば、その変化に伴ってステアリングの実際の操舵フィーリングに寄与する操舵パラメータのいずれかが特異な値をとらないとも限らない。そしてこのとき、操舵パラメータの1つでも特異な値をとることがあれば、このことが外乱となって操舵フィーリングの変化を招き、ひいてはステアリング操作している運転者に違和感等をも与えかねない。
なお、ステアリングの操舵特性を決定するばね項、粘性項、あるいは摩擦項等、複数の操舵パラメータを用いて上記操舵トルクの目標トルクを設定すること自体は、パワーステアリング装置におけるアシストトルクの付与手法としてその簡便さや制御精度等の点からむしろ望ましい手法ではある。また、特許文献1に記載の装置では、こうした手法を採用しながらも上述のような状況については何ら考慮していないために、例えば路面状態の変化等に起因した操舵フィーリングの変化を招きかねないなどの課題を残すこととなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステアリング操作をアシストするトルクを付与するに際してその目標とするトルクに対する外乱を適正に排除することにより、より安定した操舵フィーリングを実現することのできる車両のパワーステアリング装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のステアリング操作に際しての操舵角及び操舵トルクを検出しつつ、該検出される操舵トルクが車両の状態に応じて設定される目標トルクとなるように前記ステアリング操作を補助するアシストトルクをステアリングに対して付与する車両のパワーステアリング装置において、前記ステアリングの操舵特性を決定する複数の操舵パラメータを用いて前記目標トルクを設定するとともに、同ステアリングの操舵角と操舵トルクとの時系列的な関係からその時々の操舵フィーリングとして前記複数の操舵パラメータを推定し、前記目標トルクとして設定される、前記複数の操舵パラメータをこの推定した複数の操舵パラメータにより補正して前記ステアリングに対する前記アシストトルクの付与を行うことを要旨としている。
同構成によれば、ステアリングの操舵特性を決定する複数の操舵パラメータとしてその都度の車両の状態に応じて設定される目標トルクに対し、実際のステアリング操作に際して何らかの外乱が生じるような場合、すなわち上記推定される複数の操舵パラメータのいずれかが特異な値をとるような場合であれ、ステアリングのその都度の操舵角と操舵トルクとの時系列的な関係からその時々の操舵フィーリングとして推定される同複数の操舵パラメータによって上記目標トルクが補正されることから、こうした外乱も自ずと抑制され、安定した操舵フィーリングが得られやすくなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両のパワーステアリング装置において、前記目標トルクが、前記ステアリングの操舵角の値に比例するばね項、及び前記ステアリングの操舵角速度の値に比例する粘性項、及び前記ステアリングの操舵角加速度の値に比例する慣性項、及び前記ステアリングに付与されるトルクの絶対値が同ステアリングの静摩擦トルクの値よりも小さいときには同ステアリングに付与されるトルクの値に比例する値に設定されるとともに同ステアリングに付与されるトルクの絶対値が前記静摩擦トルクの値以上のときには動摩擦トルクの値に設定される摩擦トルク項に基づき算出され、前記複数の操舵パラメータが、前記ばね項の比例定数であるばね係数、及び前記粘性項の比例定数である粘性係数、及び前記慣性項の比例定数である慣性係数、及び前記静摩擦トルクの値からなるものであり、前記補正が、これら操舵パラメータの各係数及び静摩擦トルクの別に行われることを要旨としている。
従来一般に採用されているリンク式の操舵装置では、ステアリングを操作する際に運転者の感じる操舵感が、大きくは、ばね感、粘性感、慣性感、及び摩擦感といった感覚成分に分類可能である。したがって、同構成によるように、目標トルクの値をこれら各感覚成分に対応したばね項、粘性項、慣性項、及び摩擦項の各項に基づき算出するとともに、これら各項の係数、あるいは静摩擦トルクの値を車両の状態に応じて設定するようにすれば、車両の状態に対応した適切な操舵感、すなわち操舵フィーリングを運転者に提供することができるようになる。また、同構成によるように、これら目標トルクとして設定される各係数、及び静摩擦トルクの値を、その時々の操舵フィーリングとして推定される各係数、及び静摩擦トルクの推定値により各別に補正するようにすれば、例えば、ばね感を調整する必要がある際にはばね係数を変更するといったように、感覚成分毎に個別に補正することが可能であるため、より安定した操舵フィーリングが得られやすくなる。ちなみにここでは、ステアリングの静摩擦トルクの最大値と動摩擦トルクとがほぼ等しいと近似している。
そしてこの場合、具体的には、請求項3に記載の発明によるように、前記ステアリングの操舵角と操舵トルクとの時系列的な関係によるその時々の操舵フィーリングとしての前記複数の操舵パラメータの推定についてはこれを、前記ステアリングの操舵に際して検出される操舵角の時系列をθ、同操舵角の時系列θに基づいて算出される操舵角速度の時系列をω、同じく前記操舵角の時系列θに基づいて算出される操舵角加速度の時系列をγ、前記検出される操舵トルクの時系列をTθ、前記ばね係数の推定値をKe、前記粘性係数の推定値をCe、前記慣性係数の推定値をJe、前記静摩擦トルクの推定値Tfmaxeに基づき算出される摩擦トルク項の推定値をTfeとするとき、次式
Tθe=Je×γ+Ce×ω+Ke×θ+Tfe
から算出される推定トルクTθeと前記操舵トルクの時系列Tθとの残差が最小となる前記推定値Ke,Ce,Je,Tfmaxeの値を求めることで行うことができ、また前記推定トルクTθeと前記操舵トルクの時系列Tθとの残差が最小となる前記推定値Ke,Ce,Je,Tfmaxeの値の算出についてはこれを、線形もしくは非線形計画法を用いて行うことができる。このように、線形もしくは非線形計画法を用いて推定トルクTθeと操舵トルクの時系列Tθとの残差が最小となる推定値Ke,Ce,Je,Tfmaxeの値を算出するようにすれば、これら推定値Ke,Ce,Je,Tfmaxeの値を容易に求めることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両のパワーステアリング装置において、前記摩擦トルク項の推定値Tfeが、前記操舵角の時系列θの一成分をθ、この操舵角θに対応する前記操舵角速度の時系列ωの一成分をω、同操舵角θに対応する前記操舵角加速度の時系列γの一成分をγ、同操舵角θに対応する前記検出される操舵トルクの時系列Tθの一成分をTθとするとき、
(a)前記操舵角速度ωの値が「0」であると判定された場合には、次式
Tfe=Tθ−(Je×γ+Ke×θ
に基づいて設定される、
(b)前記操舵角速度ωの値が正の値であると判定された場合には、次式
Tfe=Tfmaxe
に基づいて設定される、
(c)前記操舵角速度ωの値が負の値であると判定された場合には、次式
Tfe=−Tfmaxe
に基づいて設定される、
といった態様で設定されることを要旨としている。
摩擦トルク項の推定値Tfeと操舵角速度ωの値との間には、以下のような関係があるものと推定される。
(a)操舵角速度ωの値が「0」であると判定された場合、すなわちステアリングが回転していないと判定された場合には、操舵角速度ωの値に比例する粘性項の推定値(Ce×ω)は「0」となる。このため、慣性項の推定値(Je×γ)、ばね項の推定値(Ke×θ)、及び摩擦トルク項の推定値Tfeを加算した値と操舵トルクTθの値とが等しくなると考えられる。したがって、上記摩擦トルク項の推定値Tfeが、次式
Tfe=Tθ−(Je×γ+Ke×θ
を満たすと推定される。
(b)操舵角速度ωの値が正の値であると判定された場合、すなわちステアリングが回転していると判定された場合には、摩擦トルク項の推定値Tfeはステアリングの動摩擦トルクの値となる。一方、ここでは、上述のように、ステアリングの静摩擦トルクの最大値と動摩擦トルクとがほぼ等しいと近似している。このため、摩擦トルク項の推定値Tfeが上記静摩擦トルクの推定値Tfmaxeとなると考えられる。したがって、上記摩擦トルク項の推定値Tfeが、次式
Tfe=Tfmaxe
を満たすと推定される。
(c)操舵角速度ωの値が負の値であると判定された場合、すなわちステアリングが上記(b)の場合と逆の方向に回転していると判定された場合には、上記摩擦トルク項の推定値Tfeが、次式
Tfe=−Tfmaxe
を満たすと推定される。
したがって、同構成によれば、摩擦トルク項の推定値Tfeが実情に即した値に設定されるようになるため、より適切な摩擦感を運転者に提供することができるようになる。
本発明にかかる車両のパワーステアリング装置によれば、ステアリング操作をアシストするトルクを付与するに際してその目標とするトルクに対する外乱を適正に排除することが可能となり、ひいてはより安定した操舵フィーリングを実現することができるようになる。
以下、本発明にかかる車両のパワーステアリング装置の一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、この実施形態にかかるパワーステアリング装置の概要について説明する。
同図1に示されるように、この車両では、ステアリングホイール及びステアリングシャフトから構成されるステアリング10が運転者により操作されると、運転者からステアリング10に付与された操舵力が転舵機構20に伝達され、この操舵力に基づいて転舵機構20の操舵輪23が転舵される。こうした車両において、パワーステアリング装置30は、車両の状態に応じた適宜のトルクをステアリング10に付与することによって運転者によるステアリング操作をアシストする。
ここで、ステアリング10には、その先端部にステアリング10と一体回転するピニオンギア11が設けられており、運転者によってステアリング10が操作されると、同ステアリング10の操作に連動してピニオンギア11が回転する。
一方、転舵機構20には、このピニオンギア11に歯合されるラックギア21が設けられており、ピニオンギア11の回転に伴いラックギア21がスライド駆動する。そして、この転舵機構20では、このラックギア21の両端にタイロッド22を介して操舵輪23が連結されており、上記ラックギア21のスライド駆動に基づいて操舵輪23が転舵される。
また一方、パワーステアリング装置30は、電動モータ31がギア機構32を介してステアリング10に接続される構成を有し、電動モータ31を通じて発生させたトルクをギア機構32を介してステアリング10に付与することで運転者の操舵にかかる労力をアシストする。
なお、この車両には、ステアリング10の操作量や車両の状態を検出するための各種センサが設けられている。例えば、上記ステアリング10には、その回転角、すなわちステアリング10の操舵角θを検出するための角度センサ40が設けられている。また、このステアリング10には、同ステアリング10に働くトルク、すなわち運転者からステアリング10に付与される操舵トルクTθを検出するためのトルクセンサ41が設けられている。さらに、この車両には、車速vを検出するための車速センサ42、及び同車両の横加速度Ygを検出するための横加速度センサ43が設けられている。そして、これら各センサ40〜43の検出信号は、マイクロコンピュータを中心に構成されて上記電動モータ31の駆動にかかる制御を統括的に司る制御装置50に入力される。この制御装置50は、上記各センサ40〜43の出力に基づいて車両の状態を検出するとともに、この検出された車両の状態に基づいて上記トルクセンサ41を通じて得られる操舵トルクTθの目標値である目標トルクを設定する。そして、上記トルクセンサ41により検出される操舵トルクTθがこの目標トルクとなるように電動モータ31からステアリング10に付与されるアシストトルクの大きさをフィードバック制御する。
図2は、この制御装置50を通じて実行される処理の概要を機能ブロック図として示したものであり、次に、図2を参照して、制御装置50を通じて実行される処理の具体的な内容を説明する。
この制御装置50では、従来一般のステアリング10を操作する際に運転者の感じる操舵感が、大きくは、ばね感、粘性感、慣性感、及び摩擦感といった感覚成分に分類可能であることに鑑みて、以下の(a1)〜(a4)の各項の総和から目標トルクを算出する。
(a1)ステアリング10の操舵角θの値に比例するばね項。
(a2)ステアリング10の操舵角速度ωの値に比例する粘性項。
(a3)ステアリング10の操舵角加速度γの値に比例する慣性項。
(a4)図3に示すように、操舵トルクTθの絶対値がステアリング10の静摩擦トルクTfmaxの値よりも小さいときには操舵トルクTθの値に比例する値に設定され、操舵トルクTθの絶対値が静摩擦トルクTfmaxの値以上のときには「Tfmax」あるいは「−Tfmax」の値に設定される摩擦トルク項。
すなわち、上記ばね項の比例定数であるばね係数をK、上記粘性項の比例定数である粘性係数をC、上記慣性項の比例定数である慣性係数をJ、及び上記静摩擦トルクTfmaxの値に基づいて設定される摩擦トルク項をTfとするとき、制御装置50は、次式(1)の演算式に基づいて目標トルクTbを算出する。
Tb←J×γ+C×ω+K×θ+Tf ・・・(1)
そして、制御装置50では、これら係数K,C,J、及び静摩擦トルクTfmaxの各値をステアリング10の操舵特性を決定する操舵パラメータとするとともに、これら各値を車両の状態に応じて変化させることで、車両の状態に応じたステアリング10の操舵フィーリングを実現する。
具体的には、制御装置50では、一般的にステアリング10の操舵フィーリングが車両の速度や横加速度に応じて変化することに鑑みて、車両の状態を示す指標として車両の速度及び横加速度を採用するとともに、これら車両の速度及び横加速度に応じて上記操舵パラメータK,C,J,Tfmaxを変更する。すなわち、この制御装置50では、図2に示されるように、まずは、上記センサ42,43により車速v及び横加速度Ygを検出する。そして、これら検出される車速v及び横加速度Ygと上記操舵パラメータK,C,J,Tfmaxとの関係が予め登録された図4に例示するようなマップを用いて操舵パラメータK,C,J,Tfmaxの各値をマップ演算する。また、マップ中にない値については適宜に補間演算する。ちなみに、制御装置50は不揮発性のメモリを有しており、このメモリ内に図4に例示するマップが記憶されている。
また、制御装置50は、このようにして操舵パラメータK,C,J,Tfmaxの値を演算する一方で、上記角度センサ40を通じて操舵角θを検出するとともに、同操舵角θの時系列的なデータから操舵角速度ω及び操舵角加速度γを算出する。
そして、制御装置50では、こうして求められる操舵パラメータK,C,J,Tfmax、操舵角θ、操舵角速度ω、操舵角加速度γから、上記式(1)に基づき目標トルクTbを演算する。また制御装置50は、こうして目標トルクTbの値を演算すると、上記トルクセンサ41を通じて随時検出される操舵トルクTθの値が目標トルクTbとなるようにアシストトルクTaの値を設定する。これにより電動モータ31の制御部は、この設定されるアシストトルクTaの値に基づいて電動モータ31の駆動を制御する。
ところで、このようにステアリング10の操舵特性をばね成分、粘性成分、慣性成分、及び摩擦成分に分解し、さらにこれら感覚成分の値をそれぞれ決定する操舵パラメータK,C,J,Tfmaxを車速vや横加速度Ygに応じて変化させるようにすることで、確かに車両の状態に応じた操舵フィーリングを実現することができるようにはなる。ただし、この場合には前述のように、例えば斜面やカーブ路などにおいて路面状態が変化するようなことがあれば、その変化に伴ってステアリング10の実際の操舵フィーリングに寄与する操舵パラメータK,C,J,Tfmaxのいずれかが特異な値をとり、ひいてはこのことが外乱となってステアリング10の操舵フィーリングの変化を招きかねない。
そこで、本実施形態にかかるパワーステアリング装置では、上記センサ40,41により検出される操舵角θ及び操舵トルクTθの時系列的な関係からこのような外乱を含んだ実際に運転者が感じているステアリング10の操舵フィーリングを推定しつつ、その外乱成分を排除するようにしている。具体的には、その時々の操舵フィーリングとして上記操舵パラメータK,C,J,Tfmaxに対応した推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeをまずは求める。そして、こうして求められた推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeに基づき上記操舵パラメータK,C,J,Tfmaxの値を各別に補正することで、上述のようなステアリング10の操舵フィーリングに影響を与えるような外乱を排除する。以下、図5〜図8に基づいて、その詳細を説明する。
例えばいま、上記トルクセンサ41により操舵トルクTθの時系列的なデータとして図5に黒点で示されるような複数のデータが得られたとする。このとき制御装置50は、この操舵トルクTθを出力する可能性のある関数を上記推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeをパラメータとした関数として推定し(図5の実線の関数参照)、この推定関数から推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeの各値を決定する。
図6は、これら推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeの各値を推定する操舵フィーリング推定処理についてその処理手順をフローチャートとして示したものである。なお、この図6に示す処理は、制御装置50を通じて、実際には所定の演算周期tをもって繰り返し実行される。
図6に示されるように、この操舵フィーリング推定処理では、はじめに、制御装置50内のデータメモリに記憶されている所定時間前までの操舵角θ、操舵角速度ω、操舵角加速度γ、及び操舵トルクTθの時系列的なデータが読み込まれる(ステップS100)。すなわち、操舵角θについては操舵角θ〜θn−1のデータ、操舵角速度ωについては操舵角速度ω〜ωn−1のデータ、操舵角加速度γについては操舵角加速度γ〜γn−1のデータ、操舵トルクTθについては操舵トルクTθ〜Tθn−1のデータといったように、各々(n−1)個のデータが読み込まれる。そして、続くステップS101の処理では、上記角度センサ40及びトルクセンサ41により現在の操舵角θ及び操舵トルクTθが検出される。続いて、こうして検出された操舵角θ、及び上記ステップS100の処理を通じて読み込まれた操舵角θn−2,θn−1、及び同処理の演算周期tから次式(2),(3)に基づき現在の操舵角速度ω及び操舵角加速度γが算出される(ステップS102)。
ω←(θ−θn−1)/t ・・・(2)
γ←(θ−2×θn−1+θn−2)/t ・・・(3)
すなわち、これらステップS100〜S102の処理を通じて、所定時間前から現在までの操舵角θ、操舵角速度ω、操舵角加速度γ、及び操舵トルクTθのデータとして、図7に示すような各々n個の時系列的なデータθ,ω,γ,Tθが得られる(但しi=1〜n)。そして、続くステップS103の処理として、これら時系列的なデータθ,ω,γ,Tθから推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeが算出される。
次に、推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeを算出するための具体的な手法について説明する。
まず、推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxe、及び時系列的なデータθ,ω,γ,Tθから、次式(4)に基づき算出されるトルクを推定トルクTθeと定義する。
Tθe=Je×γ+Ce×ω+Ke×θ+Tfe ・・・(4)
ここで、摩擦トルク項の推定値Tfeは、操舵角の時系列θの一成分をθ、この操舵角θに対応する操舵角速度の時系列ωの一成分をω、同操舵角θに対応する操舵角加速度の時系列γの一成分をγ、同操舵角θに対応する上記検出される操舵トルクの時系列Tθの一成分をTθとするとき、
(a)操舵角速度ωの値が「0」であると判定された場合には、次式
Tfe=Tθ−(Ke×θ+Ke×θ
に基づいて設定される。
(b)操舵角速度ωの値が正の値であると判定された場合には、次式
Tfe=Tfmaxe
に基づいて設定される。
(c)操舵角速度ωの値が負の値であると判定された場合には、次式
Tfe=−Tfmaxe
に基づいて設定される。
といった態様で設定される。これは以下の理由による。
(a)操舵角速度ωの値が「0」であると判定された場合、すなわちステアリング10が回転していないと判定された場合には、操舵角速度ωの値に比例する粘性項の推定値(Ce×ω)は「0」となる。このため、慣性項の推定値(Je×γ)、ばね項の推定値(Ke×θ)、及び摩擦トルク項の推定値Tfeを加算した値と操舵トルクTθの値とが等しくなると考えられる。したがって、上記摩擦トルク項の推定値Tfeが、次式
Tfe=Tθ−(Je×γ+Ke×θ
を満たすと推定されるからである。
(b)操舵角速度ωの値が正の値であると判定された場合、すなわちステアリング10が回転していると判定された場合には、摩擦トルク項の推定値Tfeはステアリング10の動摩擦トルクの値となる。一方、ここでは、上述のように、ステアリング10の静摩擦トルクと動摩擦トルクとがほぼ等しいと近似している。このため、摩擦トルク項の推定値Tfeが上記静摩擦トルクの推定値Tfmaxeとなると考えられる。したがって、上記摩擦トルク項の推定値Tfeが、次式
Tfe=Tfmaxe
を満たすと推定されるからである。
(c)操舵角速度ωの値が負の値であると判定された場合、すなわちステアリング10が上記(b)の場合と逆の方向に回転していると判定された場合には、上記摩擦トルク項の推定値Tfeが、次式、
Tfe=−Tfmaxe
を満たすと推定されるからである。
そして、制御装置50では、上記演算式(4)に基づき、上記推定トルクTθeと上記操舵トルクの時系列的なデータTθとの残差が所定値以下となる推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeを求めることで推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeの各値を決定し、これら決定した値を制御装置50内のデータメモリに記憶する。このような推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeを算出する手法としては、例えば推定トルクTθeと上記操舵トルクの時系列的なデータTθとの残差の二乗和を最小とするように推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeの各値を決定する、いわゆる最小自乗法の利用が効率的である。また、推定トルクTθeと上記操舵トルクの時系列的なデータTθとの残差の二乗和を最小とするような推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeの各値を実際に求める際には、例えば準ニュートン法等の線形もしくは非線形計画法が用いられる(図5からも明らかなように実際には非線形計画法が用いられる)。
こうして推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeを求めた制御装置50では、それら推定パラメータに基づき上記操舵パラメータK,C,J,Tfmaxの各値を補正しつつ、最終的な、すなわち補正後の目標トルクToの値を決定する。
図8は、上記推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxe、及び上記操舵パラメータK,C,J,Tfmaxに基づき上記目標トルクToを算出するための目標トルク算出処理についてその処理手順を示したものである。なお、この図8に示す処理も、制御装置50を通じて、実際には所定の演算周期tをもって繰り返し実行される。
同図8に示されるように、この目標トルク算出処理では、はじめに、上記各センサ40〜43により車速v、横加速度Yg、操舵角θ、及び操舵トルクTθが検出されるとともに(ステップS200)、これら検出値のうちの車速v及び横加速度Ygに基づいて操舵パラメータK,C,J,Tfmaxがマップ演算される(ステップS201)。ここで、車速v及び横加速度Ygと操舵パラメータK,C,J,Tfmaxとの関係が先の図4に例示するようなマップとして不揮発性メモリに記憶されていることは上述の通りである。ちなみに、先の特許文献1に見られる従来のパワーステアリング装置はいうならば、こうしてマップ演算された操舵パラメータK,C,J,Tfmaxから最終的な目標トルクを算出するものであった。これに対し、本実施形態にかかるパワーステアリング装置では更に、以下のステップS202〜S206の処理を通じてこれら操舵パラメータK,C,J,Tfmaxを上記推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeに基づき補正し、この補正した操舵パラメータに基づいて上記目標トルクToを算出するようにしている。そしてこれによって、上述のようなステアリング10の操舵フィーリングに影響を与えるような外乱を排除する。
具体的には、まず同図8のステップS202の処理として、上記操舵フィーリング推定処理を通じて算出された推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeが制御装置50内のデータメモリから読み込まれる。そして、続くステップS203の処理として、上記操舵パラメータK,C,J,Tfmaxと推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeとから、ばね係数Kについての補正値ΔK、粘性係数Cについての補正値ΔC、慣性係数Jについての補正値ΔJ、静摩擦トルクTfmaxについての補正値ΔTfmaxがそれぞれ算出される。すなわち、次式(5)〜(8)に基づいて、これら補正値ΔK,ΔC,ΔJ,ΔTfmaxがそれぞれ算出される。
ΔK←K−Ke ・・・(5)
ΔC←C−Ce ・・・(6)
ΔJ←J−Je ・・・(7)
ΔTfmax←Tfmax−Tfmaxe ・・・(8)
そして、このステップS203の処理に続いて、静摩擦トルクTfmax、及びその補正値ΔTfmax、そして上記ステップS200の処理で検出された操舵トルクTθに基づいて補正後の摩擦トルク項Tf’が算出される(ステップS204)。具体的には、まずは次式(9)に基づき、静摩擦トルクTfmaxをその補正値ΔTfmaxにより補正することで補正後の静摩擦トルクTfmax’が算出される。
Tfmax’←Tfmax+ΔTfmax ・・・(9)
その後、こうして算出された補正後の静摩擦トルクTfmax’及び操舵トルクTθから先の図3のグラフに基づき補正後の摩擦トルク項Tf’が算出される。
続いて、上記ステップS200の処理で検出された操舵角θ及び同処理の演算周期tから操舵角速度ω及び操舵角加速度γが、上記演算式(2)及び(3)に基づき求められる(ステップS205)。そして、操舵パラメータK,C,J、及びこれらの推定値である推定操舵パラメータKe,Ce,Je、補正後の摩擦トルク項Tf’、操舵角θ、操舵角速度ω、及び操舵角加速度γから、次式(10)に基づいて最終的な目標トルクToが算出される(ステップS206)。
To←(J+ΔJ)γ+(C+ΔC)ω+(K+ΔK)θ+Tf’ ・・・(10)
この式(10)から明らかなように、本実施形態にかかる目標トルク算出処理によれば、外乱の影響によりばね係数Kに関する推定操舵パラメータKeが特異な値をとるようなことがあったとしても、同ばね係数Kといった操舵パラメータ自身がその補正値ΔKに基づいて補正されるようになる。このため、こうした外乱の影響を排除することができるようになる。このことは、他の操舵パラメータについても同様である。
そしてこのとき、制御装置50では、電動モータ31によるステアリング10へのアシストトルクTaの付与を、上記トルクセンサ41により検出される操舵トルクTθを上記補正された目標トルクToに一致させるフィードバック制御として実行する。すなわちここでは、こうした外乱の影響が排除された目標トルクToに基づき上記アシストトルクTaの値が設定されることから、より安定したステアリング10の操舵フィーリングを得ることができるようになる。
以上説明したように、本実施形態かかる車両のパワーステアリング装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)ステアリング10の操舵角θ及び操舵トルクTθのそれぞれの時系列的なデータθ,Tθからその時々の操舵パラメータK,C,J,Tfmaxの推定値として推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeを求め、操舵パラメータK,C,J,Tfmaxをこの推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeにより補正して目標トルクToを算出するようにした。そして、こうして求められた目標トルクToに基づいてステアリング10に対するアシストトルクの付与を行うようにした。このため、例えば路面状態の変化等に起因する外乱によって実際の操舵フィーリングが変化するような場合であれ、この実際の操舵フィーリングに対応した推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeによって操舵パラメータK,C,J,Tfmaxが補正されることから、こうした外乱も自ずと抑制され、安定した操舵フィーリングが得られやすくなる。
(2)目標トルクToを、ばね項、粘性項、慣性項、及び摩擦項の総和から算出するとともに、これら各項の比例定数であるばね係数K、粘性係数C、慣性係数Jや静摩擦トルクTfmaxを車速v及び車両の横加速度Ygに応じて変更するようにした。これにより、車両の状態に対応した操舵フィーリングを運転者に提供することができるようになる。また、操舵パラメータK,C,J,Tfmaxの各値を、その時々の推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeにより補正するようにしたことで、操舵トルクのうちの例えばばね感に調整の必要が生じた際にはこのばね係数Kを補正するといったように、感覚成分毎に個別の補正が行われるため、より安定した操舵フィーリングが得られやすくなる。
(3)上記演算式(4)に基づき算出される推定トルクTθeと、操舵トルクTθの時系列的なデータTθとの残差が最小となる推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeを求める際に非線形計画法を用いるようにした。これにより、推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeを容易に求めることができるようになる。
(4)操舵パラメータK,C,J,Tfmaxを、車速v及び車両の横加速度Ygの各値に基づいてマップ演算するようにした。一般に、操舵フィーリングは、車速や車両の横加速度に応じて変化することから、このように操舵パラメータK,C,J,Tfmaxを車速v及び車両の横加速度Ygの値に基づいてマップ演算するようにしたことで、車両の状態に応じた、より適切な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
(5)摩擦トルク項の推定値Tfeを、
(a)操舵角速度ωの値が「0」であると判定されるとき、次式
Tfe=Tθ−(Je×γ+Ke×θ
に基づいて設定する。
(b)操舵角速度ωの値が正の値であると判定されるとき、次式
Tfe=Tfmaxe
に基づいて設定する。
(c)操舵角速度ωの値が負の値であると判定されるとき、次式
Tfe=−Tfmaxe
に基づいて設定する。
といった態様で設定するようにした。このため、摩擦トルク項の推定値Tfeが実情に即した値に設定されるようになり、より適切な摩擦感を運転者に提供することができるようになる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、操舵パラメータK,C,J,Tfmaxを演算するにあたり、車速v及び横加速度Ygの値に基づいてマップ演算することとしたが、これら車速v及び横加速度Ygの他、例えば車両のアクセルペダルの踏み込み量や車両のブレーキペダルの踏み込み量等といった車両状態量を加味して同操舵パラメータを求めるようにしてもよい。このように、車速v及び横加速度Ygに加え、これら各ペダルの踏み込み量を加味することで、車両の状態量をより高い精度で検出することが可能となるため、操舵パラメータK,C,J,Tfmaxの各値についてもこれをより正確に求めることができるようになる。
・上記実施形態では、目標トルクToの値をばね項、粘性項、慣性項、及び摩擦項から算出するようにしたが、例えば車両が高速で直進しているような状態にある場合には操舵角加速度γの値に比例する慣性項の値は非常に小さくなるため、慣性項を省略して目標トルクToを算出するようにしてもよい。すなわち、車両の状態に応じた上記各項の影響の度合を考慮して上記目標トルクToを算出するための演算式を適宜変更するようにしてもよい。
・上記実施形態では、推定トルクTθeと操舵トルクの時系列的なデータTθとの残差の二乗和を最小とするような推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeの各値を実際に求める際に非線形計画法、具体的には準ニュートン法を利用することとしたが、他に例えば、ニュートン法や最急降下法等を利用してもよい。
・上述のように目標トルクToを算出するための演算式、すなわち上記演算式(1)を変更した場合には、例えば推定トルクTθeを算出するための演算式、すなわち上記演算式(4)もこれに応じて変更する必要がある。そしてこのような場合には、上記推定トルクTθeと操舵トルクの時系列的なデータTθとの残差の二乗和を最小とするような推定操舵パラメータKe,Ce,Je,Tfmaxeの各値を実際に求める際に非線形計画法を用いる必要がない場合もある。このような場合には、例えば線形計画法を用いるなど、解析方法も適宜変更可能である。
・上記実施形態では、ステアリング10にアシストトルクを直接的に付与するタイプのパワーステアリング装置に本発明を適用する場合について例示した。これに対し、例えばラックギア21にアシストトルクを付与する、いわゆるラックアシスト式パワーステアリング装置など、ステアリング10にアシストトルクを間接的に付与するタイプのパワーステアリング装置についても本発明は同様に適用することができる。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項1に記載の車両のパワーステアリング装置において、前記目標トルクは、前記ステアリングの操舵角の値に比例するばね項に基づき算出され、前記複数の操舵パラメータには、前記ばね項の比例定数であるばね係数が含まれることを特徴とする車両のパワーステアリング装置。同構成によるように、ステアリングの操舵角の値に比例するばね項に基づいて目標トルクを算出するようにすれば、ステアリングの操舵感として、少なくともばね感を実現することができるようになる。したがって、このばね項の比例定数であるばね係数を車両の状態に応じて設定するようにすれば、車両の状態に応じた適切なばね感を運転者に提供することができるようになる。
(ロ)請求項1または付記イに記載の車両のパワーステアリング装置において、前記目標トルクは、前記ステアリングの操舵角速度の値に比例する粘性項に基づき算出され、前記複数の操舵パラメータには、前記粘性項の比例定数である粘性係数が含まれることを特徴とする車両のパワーステアリング装置。同構成によるように、ステアリングの操舵角の値に比例する粘性項に基づいて目標トルクを算出するようにすれば、ステアリングの操舵感として、少なくとも粘性感を実現することができるようになる。したがって、この粘性項の比例定数である粘性係数を車両の状態に応じて設定するようにすれば、車両の状態に応じた適切な粘性感を運転者に提供することができるようになる。
(ハ)請求項1、付記イまたはロのいずれか一項に記載の車両のパワーステアリング装置において、前記目標トルクは、前記ステアリングの操舵角加速度の値に比例する慣性項に基づき算出され、前記複数の操舵パラメータには、前記慣性項の比例定数である慣性係数が含まれることを特徴とする車両のパワーステアリング装置。同構成によるように、ステアリングの操舵角の値に比例する慣性項に基づいて目標トルクを算出するようにすれば、ステアリングの操舵感として、少なくとも慣性感を実現することができるようになる。したがって、この慣性項の比例定数である慣性係数を車両の状態に応じて設定するようにすれば、車両の状態に応じた適切な慣性感を運転者に提供することができるようになる。
(ニ)請求項1、付記イ〜ハのいずれか一項に記載の車両のパワーステアリング装置において、前記目標トルクは、前記ステアリングに付与されるトルクの絶対値が同ステアリングの静摩擦トルクの値よりも小さいときには同ステアリングに付与されるトルクの値に比例する値に設定されるとともに、同ステアリングに付与されるトルクの絶対値が前記静摩擦トルクの値以上のときには静摩擦トルクの値に設定される摩擦トルク項に基づき算出され、前記複数の操舵パラメータには、前記静摩擦トルクの値が含まれることを特徴とする車両のパワーステアリング装置。同構成によるように、ステアリングの操舵角の値に比例する摩擦トルク項に基づいて目標トルクを算出するようにすれば、ステアリングの操舵感として、少なくとも摩擦感を実現することができるようになる。したがって、この摩擦トルク項の値を車両の状態におうじて設定するようにすれば、車両の状態に応じた適切な摩擦感を運転者に提供することができるようになる。
(ホ)請求項1〜3、付記イ〜ニのいずれか一項に記載の車両のパワーステアリング装置において、前記複数の操舵パラメータが、前記車両のその都度の速度及び横加速度の値に基づいてマップ演算されることを特徴とする車両のパワーステアリング装置。一般に、ステアリングの操舵フィーリングは、車両の速度や横加速に応じて変化する。このため、同構成によるように、車両のその都度の速度及び横加速度の値に基づいてステアリングの操舵特性を決定する複数の操舵パラメータの各値をマップ演算するようにすれば、車両の状態に応じた、より適切な操舵フィーリングを実現することができるようになる。
本発明にかかる車両のパワーステアリング装置の一実施形態についてその概略の構成を模式的に示すブロック図。 同実施形態のパワーステアリング装置の制御装置についてその具体機能を示す機能ブロック図。 同実施形態のパワーステアリング装置により算出される目標トルクについてその一成分である摩擦トルク項とステアリングの操舵トルクとの関係を示すグラフ。 同目標トルクを算出する際に利用される車速及び車両の横加速度と操舵パラメータとの関係を示すマップ。 同実施形態のパワーステアリング装置による操舵パラメータの推定態様を示すグラフ。 同実施形態のパワーステアリング装置による操舵フィーリング推定処理についてその処理手順を示すフローチャート。 同操舵フィーリング推定処理に際して検出される操舵角、操舵角速度、操舵角加速度、及び操舵トルクの時系列的なデータの採取態様を模式的に示す図。 同実施形態のパワーステアリング装置による目標トルク算出処理についてその処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
10…ステアリング、11…ピニオンギア、20…転舵機構、21…ラックギア、22…タイロッド、23…操舵輪、30…パワーステアリング装置、31…電動モータ、32…ギア機構、40…角度センサ、41…トルクセンサ、42…車速センサ、43…横加速度センサ、50…制御装置。

Claims (4)

  1. 車両のステアリング操作に際しての操舵角及び操舵トルクを検出しつつ、該検出される操舵トルクが車両の状態に応じて設定される目標トルクとなるように前記ステアリング操作を補助するアシストトルクをステアリングに対して付与する車両のパワーステアリング装置において、
    前記ステアリングの操舵特性を決定する複数の操舵パラメータを用いて前記目標トルクを設定するとともに、同ステアリングの操舵角と操舵トルクとの時系列的な関係からその時々の操舵フィーリングとして前記複数の操舵パラメータを推定し、前記目標トルクとして設定される、前記複数の操舵パラメータをこの推定した複数の操舵パラメータにより補正したトルクに基づいて前記ステアリングに対する前記アシストトルクの付与を行う
    ことを特徴とする車両のパワーステアリング装置。
  2. 前記目標トルクが、前記ステアリングの操舵角の値に比例するばね項、及び前記ステアリングの操舵角速度の値に比例する粘性項、及び前記ステアリングの操舵角加速度の値に比例する慣性項、及び前記ステアリングに付与されるトルクの絶対値が同ステアリングの静摩擦トルクの値よりも小さいときには同ステアリングに付与されるトルクの値に比例する値に設定されるとともに同ステアリングに付与されるトルクの絶対値が前記静摩擦トルクの値以上のときには動摩擦トルクの値に設定される摩擦トルク項に基づき算出され、前記複数の操舵パラメータが、前記ばね項の比例定数であるばね係数、及び前記粘性項の比例定数である粘性係数、及び前記慣性項の比例定数である慣性係数、及び前記静摩擦トルクの値からなるものであり、前記補正が、これら操舵パラメータの各係数及び静摩擦トルクの別に行われる
    請求項1に記載の車両のパワーステアリング装置。
  3. 前記ステアリングの操舵角と操舵トルクとの時系列的な関係によるその時々の操舵フィーリングとしての前記複数の操舵パラメータの推定が、前記ステアリングの操舵に際して検出される操舵角の時系列をθ、同操舵角の時系列θに基づいて算出される操舵角速度の時系列をω、同じく前記操舵角の時系列θに基づいて算出される操舵角加速度の時系列をγ、前記検出される操舵トルクの時系列をTθ、前記ばね係数の推定値をKe、前記粘性係数の推定値をCe、前記慣性係数の推定値をJe、前記静摩擦トルクの推定値Tfmaxeに基づき算出される摩擦トルク項の推定値をTfeとするとき、次式
    Tθe=Je×γ+Ce×ω+Ke×θ+Tfe
    から算出される推定トルクTθeと前記操舵トルクの時系列Tθとの残差が最小となる前記推定値Ke,Ce,Je,Tfmaxeの値を求めることで行われ、前記推定トルクTθeと前記操舵トルクの時系列Tθとの残差が最小となる前記推定値Ke,Ce,Je,Tfmaxeの値の算出が、線形もしくは非線形計画法を用いて行われる
    請求項2に記載の車両のパワーステアリング装置。
  4. 前記摩擦トルク項の推定値Tfeが、前記操舵角の時系列θの一成分をθ、この操舵角θに対応する前記操舵角速度の時系列ωの一成分をω、同操舵角θに対応する前記操舵角加速度の時系列γの一成分をγ、同操舵角θに対応する前記検出される操舵トルクの時系列Tθの一成分をTθとするとき、
    (a)前記操舵角速度ωの値が「0」であると判定された場合には、次式
    Tfe=Tθ−(Je×γ+Ke×θ
    に基づいて設定される、
    (b)前記操舵角速度ωの値が正の値であると判定された場合には、次式
    Tfe=Tfmaxe
    に基づいて設定される、
    (c)前記操舵角速度ωの値が負の値であると判定された場合には、次式
    Tfe=−Tfmaxe
    に基づいて設定される、
    といった態様で設定される
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両のパワーステアリング装置。
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