JP2009137435A - 車体前部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】低速衝突および高速衝突による各衝撃エネルギーを吸収可能で、かつ、明確な加速度段差の範囲内にしきい値を設定することができる車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前部構造10は、左フロントサイドフレーム11および左アッパメンバー15の前端部に内外側の衝撃吸収部62,63を設け、外側衝撃吸収部が内側衝撃吸収部の突出量に対して短くなるように内外側の衝撃吸収部の突出量を異ならせた。これにより、内側衝撃吸収部のうち、外側衝撃吸収部から前方に突出した部位62aが衝撃エネルギーで変形するときの加速度と、内外側の衝撃吸収部が衝撃エネルギーで変形するときの加速度との範囲内にエアバッグ113を展開させるしきい値Gsを設定可能とした。
【選択図】図5

Description

本発明は、フロントサイドフレームに衝撃吸収部を設け、この衝撃吸収部にエアバッグ用の加速度センサーを設けた車体前部構造に関する。
車体前部構造のなかには、フロントサイドフレームの外側にアッパメンバーを配置し、アッパメンバーおよびフロントサイドフレームの前端部を連結フレームでそれぞれ連結し、連結フレームに加速度(減速度)を検知する加速度センサーを設けたものが知られている。
加速度センサーで検知した加速度に基づいて衝突の有無を判断し、衝突したと判断されたときエアバッグを展開させて乗員を保護する(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3930004号明細書
車体前部構造のなかには、低速衝突による衝撃エネルギーを吸収可能で、かつ、高速衝突による衝撃エネルギーを吸収可能なものが知られている。
低速衝突の衝撃エネルギーを吸収することで、衝突した物体を保護することが可能である。
一方、高速衝突の衝撃エネルギーを吸収することで、乗員を保護することが可能である。
この車体前部構造に、特許文献1の加速度センサーを備えることで、加速度センサーで検知した加速度がしきい値を超えた場合に、エアバッグを車室内に展開させて乗員を一層良好に保護することが可能である。
ところで、エアバッグは、低速衝突時に非展開状態を保ち、高速衝突時にのみ展開するように、しきい値を精度良く検知する必要がある。
ここで、衝撃エネルギーが作用して発生する加速度は、ある程度のばらつきを生じる。このため、しきい値を精度良く検知するためには、加速度のばらつきに影響されないように、加速度が急激に上昇して加速度段差が大きな範囲内(すなわち、「明確な加速度段差」の範囲内)にしきい値を設定することが好ましい。
しかし、車体前部構造は、低速衝突による衝撃エネルギーを吸収可能な機能を備えているので、高速衝突時に低速衝突用の機能が働いてしまう。
このため、高速衝突時に、加速度を急激に上昇させて加速度段差を大きく確保することが難しく、明確な加速度段差の範囲内にしきい値を設定することは難しいとされていた。
本発明は、低速衝突および高速衝突による各衝撃エネルギーを吸収可能で、かつ、明確な加速度段差の範囲内にしきい値を設定することができる車体前部構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車体前後方向にフロントサイドフレームを延ばし、前記フロントサイドフレームの上側後方にフロントピラーを設け、前記フロントピラーから前方に向けてアッパメンバーを延ばすとともに、前記アッパメンバーを前記フロントサイドフレームの外側に配置し、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバーの前端部に内外側の衝撃吸収部を内側と外側とに設け、前記内外側の衝撃吸収部に衝撃加重が作用したときにエアバッグを展開させるための加速度を検知する加速度センサーを設けた車体前部構造において、前記外側衝撃吸収部および前記内側衝撃吸収部は、前記外側衝撃吸収部が前記内側衝撃吸収部の突出量に対して短くなるように、前記内外側の衝撃吸収部の突出量を異ならせることで、前記内側衝撃吸収部のうち、前記外側衝撃吸収部から前方に突出した部位が衝撃エネルギーで変形するときの加速度と、前記内側衝撃吸収部の変形が前記外側衝撃吸収部に達した後、前記内外側の衝撃吸収部が衝撃エネルギーで変形するときの加速度との範囲内に、前記エアバッグを展開させるしきい値を設定可能としたことを特徴とする。
請求項2に係る発明において、前記加速度センサーは、前記アッパメンバーのうち、前記内側衝撃吸収部から離れた部位で、かつ前記外側衝撃吸収部に近い部位に設けられたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、外側衝撃吸収部が内側衝撃吸収部の突出量に対して短くなるように、内外側の衝撃吸収部の突出量を異ならせた。
これにより、内側衝撃吸収部のうち、外側衝撃吸収部から前方に突出した部位を変形させて低速衝突の衝撃エネルギーを吸収可能で、かつ、内外側の衝撃吸収部を変形させて高速衝突の衝撃エネルギーを吸収可能に構成することができる。
ここで、「低速衝突」とは、一例として、20km/h未満の速度で衝突する場合をいう。
「低速衝突」の例としては、相手車両が車体に対して左右にずれて衝突する、いわゆる、低速オフセット衝突が考えられる。
また、「高速衝突」とは、一例として、20km/h以上の速度で衝突する場合をいう。
「高速衝突」の例としては、相手車両が車体に対して左右にずれて衝突する、いわゆる、高速オフセット衝突や、相手車両が車体の前面全域(全面)に対して衝突する、いわゆる、高速全面衝突が考えられる。
なお、本明細書においては、発明の理解を容易にするため、「高速衝突」を高速オフセット衝突を例に説明する。
また、内側衝撃吸収部のうち、外側衝撃吸収部から前方に突出した部位が衝撃エネルギーで変形するときの加速度(減速度)と、内側衝撃吸収部の変形が外側衝撃吸収部に達した後、内外側の衝撃吸収部が衝撃エネルギーで変形するときの加速度(減速度)との範囲内に、エアバッグを展開させるしきい値を設定可能とした。
ここで、外側衝撃吸収部が変形を開始することで、内側衝撃吸収部および外側衝撃吸収部の2部材で衝撃エネルギーを吸収することになり、車両に大きな加速度が発生する(すなわち、加速度が急激に上昇する)。
よって、内側衝撃吸収部のみで衝撃エネルギーを吸収していたときの加速度と、内外側の衝撃吸収部で衝撃エネルギーを吸収するときの加速度との段差(以下、「加速度段差」という)を大きくできる。
そこで、請求項1において、内側衝撃吸収部のみで衝撃エネルギーを吸収していたときの加速度と、内外側の衝撃吸収部で衝撃エネルギーを吸収するときの加速度との範囲内に、エアバッグを展開させるしきい値を設定した。
これにより、加速度が急激に上昇して加速度段差が大きな範囲内(すなわち、「明確な加速度段差」の範囲内)にしきい値を設定することが可能なり、加速度のばらつきに影響を受けることなく、しきい値を精度良く検知することができる。
請求項2に係る発明では、加速度センサーを、アッパメンバーのうち、内側衝撃吸収部から離れた部位で、かつ外側衝撃吸収部に近い部位に設けた。
内側衝撃吸収部から離れた部位に加速度センサーを設けることで、内側衝撃吸収部のうち、外側衝撃吸収部から前方に突出した部位の変形中に、加速度センサーに衝撃エネルギーは伝わり難い。
一方、外側衝撃吸収部に近い部位に加速度センサーを設けることで、外側衝撃吸収部の変形中に、加速度センサーに衝撃エネルギーを効率よく伝えることができる。
よって、外側衝撃吸収部の変形が開始するとき、加速度センサーを設けた部位に、大きな加速度を発生させて、明確な加速度段差を生じさせることができる。
このように、アッパメンバーのうち、内側衝撃吸収部から離れた部位で、かつ外側衝撃吸収部に近い部位に加速度センサーを設けることで、加速度センサーでしきい値を一層精度良く検知することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
図1は本発明に係る車体前部構造を示す斜視図である。
車体前部構造10は、車体前部の左右側に左右のフロントサイドフレーム(フロントサイドフレーム)11,12を備え、左フロントサイドフレーム11の上側後方に左フロントピラー(フロントピラー)13を設け、左フロントピラー13の下端部13aから前方に向けて左アッパメンバー(アッパメンバー)15を延ばすとともに、左アッパメンバー15を左フロントサイドフレーム11の外側に配置し、右フロントサイドフレーム12の上側後方に右フロントピラー(フロントピラー)14を設け、右フロントピラー14の下端部14aから前方に向けて右アッパメンバー(アッパメンバー)16を延ばすとともに、右アッパメンバー16を右フロントサイドフレーム12の外側に配置したものである。
左フロントサイドフレーム11と左アッパメンバー15との間に、左前輪(図示せず)を覆う左ホイールハウス18が設けられている。
右フロントサイドフレーム12と右アッパメンバー16との間に、右前輪(図示せず)を覆う右ホイールハウス19が設けられている。
図2は本発明に係る車体前部構造に備えた衝撃吸収構造を示す斜視図である。
車体前部構造10は、左フロントサイドフレーム11の前端部11aと左アッパメンバー15の前端部15aとが車体幅方向に向けて配置されて各前端部11a,15aが互いに連結され、右フロントサイドフレーム12の前端部12aと右アッパメンバー16の前端部16aとが車体幅方向に向けて配置されて各前端部12a,16aが互いに連結され、前端部11a,15aおよび前端部12a,16aに衝撃吸収構造20が備えられ、左右のアッパメンバー15,16に左右の加速度センサー30(右加速度センサーは図示せず)がそれぞれ設けられている。
なお、左加速度センサー30については後で詳しく説明する。
衝撃吸収構造20は、前端部11a,15aに左取付プレート21を介して左衝撃吸収ユニット25が設けられ、前端部12a,16aに右取付プレート22を介して右衝撃吸収ユニット26が設けられ、左右の衝撃吸収ユニット25,26に亘ってバンパービーム27が架け渡され、バンパービーム27にエネルギー吸収部材28が設けられている。
すなわち、バンパービーム27は、左端部27aが左衝撃吸収ユニット25に取り付けられ、右端部27bが右衝撃吸収ユニット26に取り付けられている。
ここで、左右のフロントサイドフレーム11,12、左右のアッパメンバー15,16は左右対称の部材であり、右フロントサイドフレーム12、右アッパメンバー16の説明を省略する。
また、左右の衝撃吸収ユニット25,26は左右対称の部材であり、右衝撃吸収ユニット26の構成部材に左衝撃吸収ユニット25と同じ符号を付して説明を省略する。
さらに、左右の加速度センサー30(右加速度センサーは図示せず)は左右対称の部材であり、右加速度センサーの説明を省略する。
図3は図2の3部拡大図、図4(a)は図3の4a−4a線断面図、図4(b)は図4(a)の分解図である。
左フロントサイドフレーム11は、車体前後方向に延びるとともに開口部32が車体外側に向けて配置された断面略コ字形のサイドフレーム部材31と、サイドフレーム部材31の開口部32に嵌合した断面略コ字形のサイド外側壁(外壁部)33とを備える。
サイドフレーム部材31は、水平に配置された上面部34と、上面部34の内側辺から下方に延びた内壁部35と、内壁部35の下辺から車体幅方向外側に向けて延びた下面部36とを備える。
サイド外側壁33は、上下の折曲片33a,33bがサイドフレーム部材31の開口部32に沿って設けられている。
左アッパメンバー15は、車体前後方向に延びるとともに開口部42が車体内側に向けて配置された断面略コ字形のアッパメンバー部材41と、アッパメンバー部材41の中央開口部42aに嵌合した断面略コ字形のアッパ内側壁43とを備える。
アッパメンバー部材41は、車幅方向に水平に延びた上面部44と、上面部44の外側辺から下方に延びた外壁部45と、外壁部45の下辺から車体幅方向内側に向けて延びた下面部46とを備える。
アッパ内側壁43は、上下の折曲片43a,43bがアッパメンバー部材41の中央開口部42aに沿って設けられている。
上面部44は、前端部に車体中心に向けて張り出す上張出部51が設けられている。上張出部51は先端部51aがサイドフレーム部材31の上面部34に溶接で接合されている。
下面部46は、上面部44と同様に、前端部に車体中心に向けて張り出す下張出部52が設けられている。
下張出部52は先端部52aがサイドフレーム部材31の下面部36に溶接で接合されている。
これにより、左フロントサイドフレーム11の前端部11aおよび左アッパメンバー15の前端部15aは、車体幅方向に向けて配置されて互いに連結されている。
左フロントサイドフレーム11の前端部11aには、取付片37が張り出されている。また、左アッパメンバー15の前端部15aには、取付片47が張り出されている。
図5は本発明に係る車体前部構造を示す平面図である。
左フロントサイドフレーム11は、上面部34は、左フロントサイドフレーム11の略中央部11bから前端部11aに向けて外側辺34aが徐々に車体外側(左アッパメンバー15側)に移動するように傾斜角θ1で傾斜状に形成されている。
よって、上面部34は、略中央部11bから前端部11aに向けて横幅が徐々に広がるように形成されている。
図4に示す下面部36も、上面部34と同様に、略中央部から前端部に向けて外側辺が徐々に車体外側に移動するように傾斜角θ1で傾斜状に形成されている。
サイド外側壁33は、略中央部11bから前端部11aに向けて外側辺34aに沿って徐々に車体外側(左アッパメンバー15側)に移動するように傾斜角θ1で傾斜状に設けられている。
以下、左フロントサイドフレーム11のうち、略中央部11bから前端部11aまでの部位をサイド前半部54として説明する。
左アッパメンバー15は、略中央部15bから前端部15aまで車体前方に向けて車体中心側に徐々に移動するように傾斜角θ2で傾斜状に形成されている。
以下、左アッパメンバー15のうち、略中央部15bから前端部15aまでの部位をアッパ前半部55として説明する。
左フロントサイドフレーム11のサイド外側壁33を、サイド前半部54において傾斜角θ1で傾斜状に設けるとともに、左アッパメンバー15のアッパ前半部55を、傾斜角θ2で傾斜状に設けた。
これにより、サイドフレーム前端部11aおよびアッパメンバー前端部15aが近接された状態に配置される。
ここで、前述したように、左アッパメンバー15は、前端部15aのうち、上面部44に上張出部51が設けられるとともに、下面部46に下張出部52(図4参照)が設けられている。
上張出部51は先端部51aがサイドフレーム部材31の上面部34に溶接で接合されている。また、下張出部52は先端部52aがサイドフレーム部材31の下面部36に溶接で接合されている。
これにより、左フロントサイドフレーム11の前端部11aおよび左アッパメンバー15の前端部15aが強固に連結されている。
左フロントサイドフレーム11の前端部11aおよび左アッパメンバー15の前端部15aに、左取付プレート21を介して左衝撃吸収ユニット25が設けられている。
左衝撃吸収ユニット25にバンパービーム27の左端部27aが取り付けられている。
左衝撃吸収ユニット25は、左取付プレート21を介して左フロントサイドフレーム11の前端部11aに一体に取り付けられた内側衝撃吸収部62と、左取付プレート21を介して左アッパメンバー15の前端部15aに一体に取り付けられた外側衝撃吸収部63とを備える。
左取付プレート21は、前端部11aに取り付けられた内側取付部21aと、前端部15aに取り付けられた外側取付部21bとを有する。
内側取付部21aは、車幅方向に沿って平行に取り付けられたプレートである。
外側取付部21bは、内側取付部21aに対して角度θ3だけ後方に向けて傾斜させたプレートである。
内側衝撃吸収部62は、略矩形状の内筒体65を備え、後端部に内後フランジ66を備え、前端部に内前取付片67を備える。
内筒体65は、平面視で先細状に形成されている。
この内側衝撃吸収部62は、内後フランジ66が、左取付プレート21の内側取付部21aを介して左フロントサイドフレーム11の取付片37にボルト68…、ナット69…で取り付けられている。
よって、内側衝撃吸収部62は、左フロントサイドフレーム11の前方に設けられている。
内側衝撃吸収部62は、左取付プレート21から車体前方への突出量がL1に設定されている。
外側衝撃吸収部63は、略矩形状の外筒体75を備え、後端部に外後フランジ76を備え、前端部に外前取付片77を備える。
この外側衝撃吸収部63は、内側衝撃吸収部62に対して外側に所定間隔離間させて配置され、外後フランジ76が、左取付プレート21の外側取付部21bを介して左アッパメンバー15の取付片47にボルト68…、ナット69…で取り付けられている。
よって、外側衝撃吸収部63は、左アッパメンバー15の前方に設けられている。
外側衝撃吸収部63は、左取付プレート21から車体前方への突出量がL2に設定されている。
左衝撃吸収ユニット25は、外側衝撃吸収部63の突出量L2が内側衝撃吸収部62の突出量L1に対して短くなるように、内外側の衝撃吸収部62,63の突出量を異ならせている。
さらに、左衝撃吸収ユニット25は、内側衝撃吸収部62のうち、外側衝撃吸収部63から前方に突出した部位62aを変形させて低速衝突の衝撃エネルギーを吸収可能で、かつ、内外側の衝撃吸収部62,63を変形させて高速衝突の衝撃エネルギーを吸収可能に構成されている。
ここで、バンパービーム27は、車両の意匠性などを考慮して、左端部27aが後方に向けて湾曲状に形成されている。このため、左端部27aは、左取付プレート21に近づくことになる。
そこで、前述したように、左取付プレート21の外側取付部21bを内側取付部21aに対して角度θ3だけ後方に向けて傾斜させることにした。
よって、左端部27aと外側取付部21bとの間隔を略一定に確保することが可能になる。
これにより、外側衝撃吸収部63の内外側の側壁78,79を略同じ長さに確保することが可能になり、外側衝撃吸収部63の潰し代を良好に確保することができる。
外側衝撃吸収部63の外筒体75は、内側壁78が前端部75aから後端部75bに向けて傾斜角θ4で傾斜状に形成されている。
ここで、傾斜角θ4は、左フロントサイドフレーム11の外側辺34aの傾斜角θ1と略同じ傾斜角に設定されている。すなわち、傾斜角θ4および傾斜角θ1の関係は、θ4≒θ1の関係が成立する。
加えて、外筒体75の内側壁78は、左フロントサイドフレーム11のサイド外側壁33に対して車体中心側に配置されている。
これにより、外筒体75の後端部75bおよび左フロントサイドフレーム11の前端部11aで一部重ね合わされた重複部81が形成されている。
具体的には、外筒体75の後端部75bのうち内側壁78寄りの部位が、左フロントサイドフレーム11の前端部11aのうちサイド外側壁33寄りの部位に左取付プレート21を介在させた状態で重ね合わされている。
内側壁78寄りの部位とサイド外側壁33寄りの部位との重複幅はWである。
重複部81の幅Wは、例えば、相手車両が左側にずれてオフセット衝突した場合に、外筒体75の内側壁78に沿って後方に伝わった衝撃エネルギーがサイド外側壁33に効率よく伝達可能に決められている。
内側衝撃吸収部62の内前取付片67および外側衝撃吸収部63の外前取付片77に、バンパービーム27の左端部27aが溶接されている。
バンパービーム27は、左端部27aが車体側へ向けて後方に曲げられ、左端部27aにおいて、前部を切り欠くことで凹状の脆弱部29が形成されている。
バンパービーム27の前面27cにエネルギー吸収部材28が設けられている。
エネルギー吸収部材28は、樹脂製のビームであり、バンパービーム27の凹状の前部29に沿って左端部28aが配置されている。
前述したように、バンパービーム27は、左端部27aが車体側へ向けて後方に曲げられ、前部が凹状の脆弱部29に形成されている。
バンパービーム27の左端部27aを車体側へ向けて後方に曲げ、かつ、バンパービーム27の左端部27aに脆弱部29を形成することで、バンパービーム27の左端部27aを車体側に一層近づけることが可能になる。
よって、エネルギー吸収部材28の左端部28aを脆弱部29に沿って配置することで、左端部28aを車体側へ向けて後方に大きく曲げることができる。
これにより、エネルギー吸収部材28の左端部28aの前方に比較的大きな空間70を確保することができる。
ここで、バンパービーム27の脆弱部29およびエネルギー吸収部材28の左端部28a間に左蓋部材38が設けられている。
なお、エネルギー吸収部材28の左端部28aの前方に比較的大きな空間70を確保した理由については図8で詳しく説明する。
図6(a)は図2の6a−6a線断面図、図6(b)は図2の6b−6b線断面図である。
(a)に示すように、バンパービーム27は、車幅方向の中央部27d(図2参照)が、鉛直に配置された前壁部91と、前壁部91の上半部に設けられた上コ字状部材92と、前壁部91の下半部に設けられた下コ字状部材93とを備えている。
前壁部91は、上端部近傍に後方に突出した上リブ91aが形成され、下端部近傍に後方に突出した下リブ91bが形成されている。
上コ字状部材92は、前壁部91の上端部から後方に向けて折り曲げられた上部94と、上部94の後端部から下方に向けて折り曲げられた上後壁部95と、上後壁部95の下端部から前方に向けて折り曲げられた上中央部96と、上中央部96の前端部から下方に折り曲げられて前壁部91の中央部に接合された上接合片97とを備えている。
上部94の後端部および上後壁部95の上端部で上稜線部98が形成され、上後壁部95の下端部および上中央部96の後端部で上中央稜線部99が形成されている。
以下、上稜線部98を「上高強度部(高強度部)」と称し、上中央稜線部99を「上中央高強度部(高強度部)」と称す。
下コ字状部材93は、前壁部91の下端部から後方に向けて折り曲げられた下部101と、下部101の後端部から上方に向けて折り曲げられた下後壁部102と、下後壁部102の上端部から前方に向けて折り曲げられた下中央部103と、下中央部103の前端部から上方に折り曲げられて前壁部91の中央部に接合された下接合片104とを備えている。
下部101の後端部および下後壁部102の下端部で下稜線部105が形成され、下後壁部102の上端部および下中央部103の後端部で下中央稜線部106が形成されている。
以下、下稜線部105を「下高強度部(高強度部)」と称し、下中央稜線部106を「下中央高強度部(高強度部)」と称す。
よって、バンパービーム27の後半部27eに上高強度部98、上中央高強度部99、下高強度部105および下中央高強度部106が設けられている。
(b)に示すように、バンパービーム27の左端部27aは、前半部27f(図6(a)参照)が除去され、除去された部位に脆弱部29が設けられたものである。
よって、後半部27eのうち、左端部27aに対応する端部後半部27gにも上高強度部98、上中央高強度部99、下高強度部105および下中央高強度部106が設けられている。
左端部27aの端部後半部27gのうち、図3に示すように、車幅方向の外側に外側衝撃吸収部63の外前取付片77が接合されている。
また、左端部27aの端部後半部27gのうち、図3に示すように、車幅方向の内側に内側衝撃吸収部62の内前取付片67が接合されている。
よって、左端部27aの端部後半部27gが内外側の衝撃吸収部62,63で支持されている。
これにより、内外側の衝撃吸収部62,63を、高強度部98,99,105,106を有する端部後半部27gで強固に一体化させることができる。
ここで、図2に示すバンパービーム27の右端部27bは左端部27aと左右対称の部位であり、右端部27bの説明を省略する。
また、図2に示すエネルギー吸収部材28の右端部28bは、左端部28aと左右対称の部位であり、右端部28bの説明を省略する。
図1に戻って、左加速度センサー30は、左アッパメンバー15のうち外壁部45の前端壁部45aに設けられている。外壁部45の前端壁部45aは、左アッパメンバー15のうち、内側衝撃吸収部62から離れた部位で、かつ外側衝撃吸収部63に近い部位である。
左加速度センサー30は、内外側の衝撃吸収部62,63に衝撃加重が作用したときの加速度(減速度)Gを検知する加速度センサーである。
左加速度センサー30は、検知した加速度を制御部110に伝えるものである。
制御部110は、左加速度センサー30で検知した加速度が、予め記憶されているしきい値Gsを超えているか否を判断し、検知した加速度がしきい値Gsを超えている場合にエアバッグ装置112に展開信号を伝えるものである。
エアバッグ装置112は、制御部110からの展開信号に基づいてエアバッグ113を展開させ、運転者(図示せず)を拘束保護するものである。
このエアバッグ装置112は、ステアリングホイール114にエアバッグ113が折り畳まれた状態で内蔵されるとともにインフレータ(図示せず)が内蔵されている。
制御部110からの展開信号に基づいてインフレータからガスを供給し、ガスをエアバッグ113内に充填することでエアバッグ113を展開させる。
以下、加速度のしきい値Gsを図5、図7に基づいて詳しく説明する。
図7は本発明に係る車体前部構造に衝撃エネルギーが作用したときに発生する加速度を示すグラフである。
相手車両が左側にずれてオフセット衝突(高速衝突)した場合に、エネルギー吸収部材28に衝撃エネルギーが作用して車両に加速度G1が発生する。
エネルギー吸収部材28がストロークS1潰され(変形し)、エネルギー吸収部材28で衝撃エネルギーE1が吸収される。
エネルギー吸収部材28が潰れることで、バンパービーム27に残りの衝撃エネルギーが作用して車両に加速度G2が発生する。
バンパービーム27がストロークS2潰され(変形し)、バンパービーム27で衝撃エネルギーE2が吸収される。
ここで、外側衝撃吸収部63の突出量L2が内側衝撃吸収部62の突出量L1に対して短くなるように、内外側の衝撃吸収部62,63の突出量を異ならせている。
よって、バンパービーム27が潰れることで、内側衝撃吸収部62のうち、外側衝撃吸収部63から前方に突出した部位62aに残りの衝撃エネルギーが作用して車両に加速度G3が発生する。
内側衝撃吸収部62の部位62aがストロークS3潰され(変形し)、内側衝撃吸収部62の部位62aで衝撃エネルギーE3が吸収される。
内側衝撃吸収部62の部位62aが潰れることで、内側衝撃吸収部62の変形が外側衝撃吸収部63に達する。
よって、内側衝撃吸収部62の残部62bおよび外側衝撃吸収部63の2部材で残りの衝撃エネルギーを支えることになる。
2部材で残りの衝撃エネルギーを支えることで、大きな衝撃エネルギーが支えられ、車両の加速度G4の増量が大きくなる。
これにより、内側衝撃吸収部62の残部62bおよび外側衝撃吸収部63に残りの衝撃エネルギーが作用して車両に大きな加速度G4が発生する(すなわち、加速度が急激に上昇する)。
そこで、加速度G3と加速度G4との間の加速度Gsをしきい値として設定した。
よって、加速度が急激に上昇して加速度段差Gdが大きな範囲内(すなわち、「明確な加速度段差Gd」の範囲内)にしきい値Gsを設定することが可能なる。
このように、加速度G3と加速度G4との段差を明確な加速度段差Gdとすることで、加速度のばらつきに影響を受けることなく、しきい値Gsを制御部110(図1参照)で精度良く検知することができる。
なお、「加速度段差Gd」とは、内側衝撃吸収部62のみで衝撃エネルギーを吸収していたときの加速度G3と、内外側の衝撃吸収部62,63で衝撃エネルギーを吸収するときの加速度G4との差をいう。
ここで、左加速度センサー30は、左アッパメンバー15のうち外壁部45の前端壁部45aに設けられている(図3も参照)。
外壁部45の前端壁部45aは、左アッパメンバー15のうち、内側衝撃吸収部62から離れた部位で、かつ外側衝撃吸収部63に近い部位である。
すなわち、内側衝撃吸収部62は左フロントサイドフレーム11の前端部11aに設けられている。よって、内側衝撃吸収部62は、左アッパメンバー15の前端壁部45aから比較的離れている。
これにより、内側衝撃吸収部62のうち、外側衝撃吸収部63から前方に突出した部位62aの変形中に、左アッパメンバー15の前端壁部45aに衝撃エネルギーは伝わり難い。
左アッパメンバー15の前端壁部45aに生じる加速度G3は比較的小さくなる。
一方、外側衝撃吸収部63は左アッパメンバー15の前端部15aに設けられている。よって、外側衝撃吸収部63は、左アッパメンバー15の前端壁部45aに近い部位に設けられている。
これにより、外側衝撃吸収部63の変形中に、左アッパメンバー15の前端壁部45aに近い部位に衝撃エネルギーを効率よく伝えることができる。
よって、外側衝撃吸収部63が変形を開始したときに、左アッパメンバー15の前端壁部45aに大きな加速度G4を発生させることができる。
大きな加速度G4を発生させることで、加速度G3と加速度G4とに大きな段差(すなわち、明確な加速度段差)Gdを一層確実に生じさせることができる。
これにより、前端壁部45aに加速度センサー30を設けることで、しきい値Gsを一層精度良く検知することができる。
前述したように、内側衝撃吸収部62の残部62bおよび外側衝撃吸収部63に残りの衝撃エネルギーが作用することで、内側衝撃吸収部62の残部62bおよび外側衝撃吸収部63がストロークS4潰される(変形する)。
よって、内側衝撃吸収部62の残部62bおよび外側衝撃吸収部63で衝撃エネルギーE4が吸収される。
内側衝撃吸収部62の残部62bおよび外側衝撃吸収部63が潰れることで、左フロントサイドフレーム11および左アッパメンバー15に残りの衝撃エネルギーが作用して車両に加速度G5が発生する。
左フロントサイドフレーム11および左アッパメンバー15がストロークS5潰され(変形し)、左フロントサイドフレーム11および左アッパメンバー15で衝撃エネルギーE5が吸収される。
これにより、高速衝突で作用した衝撃エネルギーを吸収することができる。
つぎに、エネルギー吸収部材28の左端部28aの前方に比較的大きな空間70を確保した理由を図8に基づいて説明する。
図8は本発明に係る衝撃吸収構造のエネルギー吸収部材の左端部の前方に比較的大きな空間を確保した状態を示す図である。
外側衝撃吸収部63の突出量L2が内側衝撃吸収部62の突出量L1に対して短くなるように、内外側の衝撃吸収部62,63の突出量を異ならせた。
よって、バンパービーム27の左端部27aを車体側へ向けて曲げることができる。
加えて、左端部27aの前面に脆弱部29が形成されている。
これにより、エネルギー吸収部材28の左端部28aを車体側へ向けて後方に大きく曲げることができ、エネルギー吸収部材28の左端部28aの前方に比較的大きな空間70を確保することができる。
したがって、車両前部(すなわち、バンパーフェイス)82の左前角部82aを比較的大きな湾曲状に形成することができ、車両の意匠性を一層高めることができる。
つぎに、車体前部構造10に備えた衝撃吸収構造20に相手車両がオフセット状態で低速衝突(軽衝突)する例を図9に基づいて説明する。
図9(a),(b)は本発明に係る衝撃吸収構造でオフセット低速衝突の衝突エネルギーを吸収する例を説明する図である。
(a)において、相手車両85が衝撃吸収構造20に対して左側にずれてエネルギー吸収部材28の左端部28aにオフセット衝突(オフセット軽衝突)する。
軽衝突(低速衝突)により生じた衝撃エネルギーElowは、エネルギー吸収部材28の左端部28aおよびバンパービーム27の左端部27aを経て左衝撃吸収ユニット25に伝わる。
具体的には、内側衝撃吸収部62に矢印Aの如く衝撃エネルギーが伝わるとともに、外側衝撃吸収部63に矢印Bの如く衝撃エネルギーが伝わる。
ここで、内側衝撃吸収部62は、部位62aが外側衝撃吸収部63から車体前方に突出している。
内側衝撃吸収部62の部位62aが突出しているので、内側衝撃吸収部62に作用する衝撃エネルギーは、外側衝撃吸収部63に作用する衝撃エネルギーより大きい。
よって、内側衝撃吸収部62の部位62aは外側衝撃吸収部63と比較して潰れやすくなる。
ところで、低速衝突の場合、左加速度センサー30で検知する加速度は、しきい値Gsより小さいので、エアバッグ113を展開しない状態に保つことができる。
(b)において、エネルギー吸収部材28の左端部28aおよびバンパービーム27の左端部27aを潰すことで衝撃エネルギーElowの一部を吸収する。
残りの衝撃エネルギーを、内側衝撃吸収部62のうち、外側衝撃吸収部63から前方に突出した部位62aを潰す(変形する)ことで吸収する。
なお、内側衝撃吸収部62の変形にともなって、外側衝撃吸収部63が僅かに潰れる(変形する)ことが考えられる。
このように低速衝突の場合、左フロントサイドフレーム11や左アッパメンバー15に変形を生じさせることなく、衝撃エネルギーElowを吸収することができる。
よって、オフセット軽衝突後に、エネルギー吸収部材28、バンパービーム27および左衝撃吸収ユニット25をボルト68…を外して交換するという簡単な修理で対応することができる。
つぎに、車体前部構造10に備えた衝撃吸収構造20に相手車両がオフセット状態で高速衝突する例を図10〜図11に基づいて説明する。
図10(a),(b)は本発明に係る衝撃吸収構造にオフセット高速衝突する例を説明する図である。
(a)において、相手車両85が衝撃吸収構造20に対して左側にずれてエネルギー吸収部材28の左端部28aにオフセット衝突(オフセット高速衝突)する。
高速衝突により生じた衝撃エネルギーEhighは、エネルギー吸収部材28の左端部28aおよびバンパービーム27の左端部27aを経て左衝撃吸収ユニット25に伝わる。
具体的には、内側衝撃吸収部62に矢印Cの如く衝撃エネルギーが伝わるとともに、外側衝撃吸収部63に矢印Dの如く衝撃エネルギーが伝わる。
ここで、内側衝撃吸収部62は、部位62aが外側衝撃吸収部63から車体前方に突出している。
内側衝撃吸収部62の部位62aが突出しているので、内側衝撃吸収部62に作用する衝撃エネルギーは、外側衝撃吸収部63に作用する衝撃エネルギーより大きい。
よって、内側衝撃吸収部62の部位62aは外側衝撃吸収部63と比較して潰れやすい。
(b)において、相手車両85がオフセット衝突(高速衝突)することで、エネルギー吸収部材28の左端部28aおよびバンパービーム27の左端部27aを潰す(変形する)ことで衝撃エネルギーEhighの一部(E1、E2(図7参照))を吸収する。
残りの衝撃エネルギーの一部(E3(図7参照))を、内側衝撃吸収部62のうち、外側衝撃吸収部63から前方に突出した部位62aを潰す(変形する)ことで吸収する。
ここで、左加速度センサー30は内側衝撃吸収部62から離れた部位(すなわち、外壁部45の前端壁部45a)に設けられている。
このため、内側衝撃吸収部62に伝わった衝撃エネルギーを、左加速度センサー30に伝わり難い状態に保つことができる。
よって、左アッパメンバー15の前端壁部45aに生じる加速度G3(図7参照)は比較的小さくなる。
内側衝撃吸収部62の部位62aを潰す(変形する)ことで、内側衝撃吸収部62の変形が外側衝撃吸収部63に達する。
よって、残りの衝撃エネルギーを内側衝撃吸収部62および外側衝撃吸収部63の2部材で支えることになり車両の加速度が増す。
加えて、左加速度センサー30は、左アッパメンバー15のうち外壁部45の前端壁部45a(すなわち、外側衝撃吸収部63に近い部位)に設けられている。
よって、左アッパメンバー15の前端壁部45aに大きな加速度G4(図7参照)を発生させることができる。
大きな加速度G4を発生させることで、加速度G3と加速度G4とに大きな段差(すなわち、明確な加速度段差Gd(図7参照)を生じさせることができる。
これにより、車両の加速度のばらつきに影響を受けることなく、車両の加速度の増加を左加速度センサー30で確実に検知することができる。
左加速度センサー30で検知した加速度が制御部110に伝えられる。制御部110は、伝えられた加速度が、予め記憶されているしきい値Gsを超えていることを確認し、エアバッグ装置112(図1も参照)に展開信号を伝える。
制御部110からの展開信号に基づいて、エアバッグ装置112のエアバッグ113が展開して運転者(図示せず)を拘束保護する。
図11(a),(b)は本発明に係る衝撃吸収構造でオフセット高速衝突の衝突エネルギーを吸収する例を説明する図である。
(a)において、内側衝撃吸収部62および外側衝撃吸収部63を潰す(変形する)ことで、残りの衝撃エネルギーの一部を吸収する。
(b)において、左フロントサイドフレーム11を変形(すなわち、潰すように変形)する。
これにより、左フロントサイドフレーム11の略中央部11bを略く字状に変形させて衝撃エネルギーE5(図7参照)を良好に吸収することができる。
このように、左フロントサイドフレーム11を略く字状に変形させることで、エンジンルーム86を有効に潰すクラッシャブルゾーンとすることが可能になる。
これにより、左フロントサイドフレーム11の変形量を十分に確保して、エンジンルーム86の後方の車室内が変形することを抑えることができる。
以上説明したように、外側衝撃吸収部63の突出量L2を内側衝撃吸収部62の突出量L1に対して短くすることで、衝撃エネルギーを内側衝撃吸収部62のみで吸収したときの加速度G3(図7参照)と、内外側の衝撃吸収部62,63で吸収したときの加速度G4(図7参照)との加速度段差Gdを明確にした。
この明確な加速度段差Gdの範囲内にしきい値Gsを設定することで、しきい値Gsを精度良く検知するようにした。
よって、図8に示すように、車両前部(バンパーフェイス)82の左前角部82aを比較的大きな湾曲状に形成した車両に、明確な加速度段差Gdを発生させて、エアバッグ113の展開操作を適正化することができる。
なお、前記実施の形態では、加速度センサー30で検知した加速度に基づいて展開するエアバッグ装置112をステアリングホイール114に設けた例について説明したが、これに限らないで、インストルメントパネルやシートなどの他の部位に設けたエアバッグ装置を展開させるようにすることも可能である。
本発明の車体前部構造は、フロントサイドフレームに衝撃吸収部を設けた自動車への適用に好適である。
本発明に係る車体前部構造を示す斜視図である。 本発明に係る車体前部構造に備えた衝撃吸収構造を示す斜視図である。 図2の3部拡大図である。 (a)は図3の4a−4a線断面図、(b)は(a)の分解図である。 本発明に係る車体前部構造を示す平面図である。 (a)は図2の6a−6a線断面図、(b)は図2の6b−6b線断面図である。 本発明に係る車体前部構造に衝撃エネルギーが作用したときに発生する加速度を示すグラフである。 本発明に係る衝撃吸収構造のエネルギー吸収部材の左端部の前方に比較的大きな空間を確保した状態を示す図である。 本発明に係る衝撃吸収構造でオフセット低速衝突の衝突エネルギーを吸収する例を説明する図である。 本発明に係る衝撃吸収構造にオフセット高速衝突する例を説明する図である。 本発明に係る衝撃吸収構造でオフセット高速衝突の衝突エネルギーを吸収する例を説明する図である。
符号の説明
10…車体前部構造、11…左フロントサイドフレーム(フロントサイドフレーム)、11a,12a…左右のフロントサイドフレームの前端部、12…右フロントサイドフレーム(フロントサイドフレーム)、13…左フロントピラー(フロントピラー)、14…右フロントピラー(フロントピラー)、15…左アッパメンバー(アッパメンバー)、15a,16a…左右のアッパメンバーの前端部、16…右アッパメンバー(アッパメンバー)、27…バンパービーム、30…加速度センサー、45a…左アッパメンバーのうち外壁部の前端壁部(アッパメンバーのうち前記外側衝撃吸収部に近い部位)、62…内側衝撃吸収部、62a…内側衝撃吸収部のうち外側衝撃吸収部から前方に突出した部位、62b…内側衝撃吸収部の残部、63…外側衝撃吸収部、113…エアバッグ、G1〜G5…加速度、Gs…しきい値、L1…内側衝撃吸収部の突出量、L2…外側衝撃吸収部の突出量。

Claims (2)

  1. 車体前後方向にフロントサイドフレームを延ばし、前記フロントサイドフレームの上側後方にフロントピラーを設け、前記フロントピラーから前方に向けてアッパメンバーを延ばすとともに、前記アッパメンバーを前記フロントサイドフレームの外側に配置し、前記フロントサイドフレームおよび前記アッパメンバーの前端部に内外側の衝撃吸収部を内側と外側とに設け、前記内外側の衝撃吸収部に衝撃加重が作用したときにエアバッグを展開させるための加速度を検知する加速度センサーを設けた車体前部構造において、
    前記外側衝撃吸収部および前記内側衝撃吸収部は、
    前記外側衝撃吸収部が前記内側衝撃吸収部の突出量に対して短くなるように、前記内外側の衝撃吸収部の突出量を異ならせることで、
    前記内側衝撃吸収部のうち、前記外側衝撃吸収部から前方に突出した部位が衝撃エネルギーで変形するときの加速度と、前記内側衝撃吸収部の変形が前記外側衝撃吸収部に達した後、前記内外側の衝撃吸収部が衝撃エネルギーで変形するときの加速度との範囲内に、前記エアバッグを展開させるしきい値を設定可能としたことを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記加速度センサーは、前記アッパメンバーのうち、前記内側衝撃吸収部から離れた部位で、かつ前記外側衝撃吸収部に近い部位に設けられたことを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
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