JP2009107518A - 車両用歩行者保護装置 - Google Patents

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Yuji Kikuchi
裕二 菊池
Yutaka Okamoto
豊 岡本
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Abstract

【課題】本発明は、歩行者に対する保護性能を確実に高めることができる車両用歩行者保護装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、車両2のフード20の後方でリッド3が前記フード20側に開いてエアバッグ11を展開する車両用歩行者保護装置1であって、前記フード20の後端部20aに、前記フード20の後端部前20bの変形を防止する補強フレーム23(変形防止手段)を備えることを特徴とする。この車両用歩行者保護装置1では、補強フレーム23によってフード20の後端部前20bの変形が防止されるので、衝突エネルギを充分に吸収することができる程度に所定の変形ストロークをフード20の後端部前20bで確保する。
【選択図】図4

Description

本発明は、衝突した歩行者への衝撃を緩和する車両用歩行者保護装置に関する。
従来、車両用歩行者保護装置としては、車外側でフロントガラスを囲うようにフロントピラーおよびカウルトップの上で略U字状に展開するエアバッグを備えたものが広く知られている。このような車両用歩行者保護装置によれば、展開したエアバッグによって、フロントピラー、カウルトップ等の比較的に剛性が高い車両部分に対して歩行者が衝突した際に、歩行者への衝撃が緩和されることとなる。
そして、エアバッグは、展開前の通常時にはリッド付きのリテーナ内に折り畳んだ状態で収容することができる(例えば、特許文献1参照)。エアバッグを収容したリテーナは、フードの後側に位置するカウルトップに配置されるとともに、カウルトップのエアバッグ展開口には、リッドが配置されることとなる。また、リッドは、フロントガラスの反対側(フード側)に回動するようにヒンジでリテーナに取り付けることも考えられる。このようなリッドは、インフレータで瞬時にエアバッグが展開する際に、ヒンジによってリテーナから外れて不測の方向に飛ぶ恐れがなく、フロントガラスの反対側(フード側)に回動することでフロントガラスと干渉する恐れもない。
特開2004−58965号公報
しかしながら、前記したリテーナに収容されたエアバッグ(例えば、特許文献1参照)を備える車両用歩行者保護装置では、エアバッグが展開する際にヒンジ周りに勢い良く回動したリッドがフードと衝突する。そして、この車両用歩行者保護装置では、リッドがフードに衝突することでフードが下方に凹むことを本発明者らは確認している。
一方、小柄な歩行者に車両が衝突した場合は、エアバッグが展開するエリア、即ち、エアバッグ保護エリアまで歩行者の頭部が至らずに、直接、フードに衝突することもある。この場合、前記したように、エアバッグが展開することでフードが凹んで変形してしまうと、フード自体の変形に基づくエネルギ吸収量が低下することとなる。つまり、フードは、歩行者が衝突した場合を考慮して、衝突エネルギを吸収するように下方へ凹みうる余地、つまり所定の変形ストロークを確保している必要がある。したがって、車両用歩行者保護装置では、変形ストロークを減少させることとなるフードの凹みは可能な限り避けなければ歩行者に対する保護性能を確実に高めることはできない。
そこで、本発明は、歩行者に対する保護性能を確実に高めることができる車両用歩行者保護装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明は、車両のフードの後方でリッドが前記フード側に開いてエアバッグを展開する車両用歩行者保護装置であって、前記フードの後端部に、前記フードの後端部前の変形防止手段を備えることを特徴とする。
この車両用歩行者保護装置では、リッドが開いてエアバッグが展開する際に、リッドはフードの後端部に衝突する。そして、この車両用歩行者保護装置では、フードの後端部に備える変形防止手段によってフードの後端部前の変形が防止される。したがって、本発明の車両用歩行者保護装置では、小柄な歩行者に車両が衝突した場合でも、その衝突エネルギを充分に吸収することができる程度に所定の変形ストロークをフードの後端部前で確保する。
本発明の車両用歩行者保護装置によれば、所定の変形ストロークをフードの後端部前で確保することができるので、歩行者に対する保護性能を確実に高めることができる。
以下に、本発明に係る車両用歩行者保護装置の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ここで参照する図面において、図1は、実施形態に係る車両用歩行者保護装置を備えた車両の斜視図である。図2は、図1のII−II断面図であって、実施形態に係る車両用歩行者保護装置の構成説明図である。図3(a)は、フードの平面図、図3(b)は、(a)のIII−III断面図である。
なお、以下の説明において、前後上下の方向は、車両の前後上下の方向と一致しており、図1に示す各方向を基準としている。
図1に示すように、本実施形態に係る車両用歩行者保護装置1は、車外側でエアバッグ11を展開するエアバッグ機構10と、補強フレーム23を有するフード20とを備えている。なお、補強フレーム23は、特許請求の範囲にいう「変形防止手段」に相当する。
エアバッグ機構10は、フロントガラス2aの前端部とフード20の後端部との間に位置するカウルトップ4に配置されている。
エアバッグ機構10は、図2に示すように、エアバッグ11と、このエアバッグ11を折り畳んだ状態で収容するリテーナ12と、エアバッグ11を展開させるインフレータ13と、カウルトップ4に形成されたエアバッグ展開口4aを塞ぐようにリテーナ12に取り付けられたリッド3とを主に備えている。
エアバッグ11は、図1中の一点鎖線で示すように、車外側でフロントガラス2aを囲うようにフロントピラー2bおよびカウルトップ4の上で略U字状に展開するようになっている。
リテーナ12は、図2に示すように、ダッシュボードアッパ5に固定されたカウルトップ4に取り付けられることで、フロントガラス2aの前端部とフード20の後端部との間に配置されている。このリテーナ12は、上方に開口しており、この開口部からフロントガラス2a側に向かってエアバッグ11を展開可能なように、車両2の後側に傾斜している。ちなみに、展開時のエアバッグ11は、カウルトップ4に形成されたエアバッグ展開口4aを介して膨出することとなる。
インフレータ13は、例えば、車両2が歩行者に衝突したことを所定のセンサ(図示省略)が検知した際に、ガスをエアバッグ11に瞬時に噴出させるようになっている。その結果、エアバッグ11は、前記した略U字状に瞬時に展開することとなる。
リッド3は、図2に示すように、ヒンジ12aを介してリテーナ12に取り付けられている。ヒンジ12aは、板状体であって、その一端側がリッド3の裏面に取り付けられるとともに、その他端側がリテーナ12の前側の側壁に取り付けられている。そして、ヒンジ12aは、一端側と他端側との間で屈曲しており、この屈曲部は、リッド3がエアバッグ展開口4aを開ける際に延びるようになっている。つまり、リッド3は、エアバッグ11が展開する際に、ヒンジ12aの屈曲部を延ばしてエアバッグ展開口4aを大きく開けながらフード20の後方からフード20の後端部、具体的には、次に説明する補強フレーム23が設けられたフード20部分に向かって回動するようになっている。
次に、フード20について説明する。
図3(a)に示すように、フード20は、フレーム21と、スキン22と、前記した補強フレーム23(変形防止手段)とを備えている。
フード20は、図3(b)に示すように、フレーム21の上側に配置されたスキン22の周縁をフレーム21側にヘム加工してフレーム21とスキン22とが一体となったものである。そして、補強フレーム23は、図3(a)に示すように、フード20の後端部20aに設けられている。さらに具体的には、補強フレーム23は、図3(a)に示すように、フード20の後縁に沿うように延設されるとともに、図3(b)に示すように、フレーム21のスキン22側にスポット溶接されることで固定されている。この補強フレーム23は、後記するように、フード20の後端部前20bの変形を防止するものである。
次に、本実施形態に係る車両用歩行者保護装置1の動作について説明する。ここで参照する図4は、実施形態に係る車両用歩行者保護装置の動作を示す概念図である。
本実施形態に係る車両用歩行者保護装置1(図2参照)では、例えば、車両2が歩行者に衝突したことを所定のセンサ(図示省略)が検知した際に、インフレータ13は、ガスをエアバッグ11に瞬時に噴出させる。その結果、エアバッグ11は、図1に示すように、フロントピラー2bおよびカウルトップ4の上で瞬時に略U字状に展開する。その結果、フロントピラー2b、カウルトップ4等の比較的に剛性が高い車両2部分に対して歩行者が衝突した際に、車両用歩行者保護装置1は、歩行者への衝撃を緩和する。
その一方で、図4に示すように、リッド3は、瞬時に展開しようとするエアバッグ11に押されてカウルトップ4のエアバッグ展開口4aを勢いよく開ける。この際、車両用歩行者保護装置1では、リッド3がヒンジ12aでリテーナ12に取り付けられているので、リッド3はリテーナ12から外れて不測の方向に飛ぶ恐れがない。
また、この車両用歩行者保護装置1では、リッド3が図4中の矢印フード20側(フロントガラス2aの反対側)に回動することでエアバッグ展開口4aを開けるので、リッド3がフロントガラス2aと干渉する恐れがない。
また、この車両用歩行者保護装置1では、リッド3がエアバッグ展開口4aを開ける際にフード20の後端部20aに衝突する。ところで、図4中、一点鎖線で示すように、フード30(比較例)では、その後端部30aに補強フレーム23を有しないので、フード30の後端部前30bで下方に凹むように変形する。これに対して、本実施形態に係る車両用歩行者保護装置1のフード20では、その後端部20aに補強フレーム23を有しているので、リッド3が衝突しても後端部前20bでの変形量が低減される。したがって、本実施形態に係る車両用歩行者保護装置1は、歩行者がフード20に衝突した場合を考慮しても、その衝突エネルギを充分に吸収することができる程度に所定の変形ストロークをフード20の後端部前20bで確保する。その結果、本実施形態に係る車両用歩行者保護装置1によれば、歩行者に対する保護性能を確実に高めることができる。
本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、変形防止手段として補強フレーム23を備える車両用歩行者保護装置1について説明したが、本発明はフード20の後端部前20bでの変形を防止する他の変形防止手段を備えるものであってもよい。ここで参照する図5(a)は、他の実施形態(変形例)に係る車両用歩行者保護装置を備える車両の部分平面図であって、車両の前部を上方から見た様子を示す図、(b)は、(a)のV−V断面図である。なお、ここでの変形例としての車両用歩行者保護装置において、前記実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図5(a)に示すように、変形例としての車両用歩行者保護装置1aは、フード20の後端部20aにビード24を有している。なお、ビード24は、特許請求の範囲にいう「変形防止手段」に相当する。
このビード24は、図5(a)に示すように、フード20の後縁に沿うように形成されている。そして、このビード24は、図5(b)に示すように、フレーム21がスキン22側に部分的に凸となるように屈曲して形成されている。ちなみに、図5(a)および(b)中、符号2aはフロントガラスであり、符号4はカウルトップであり、符号4aはエアバッグ展開口であり、符号12aはヒンジである。
この車両用歩行者保護装置1aでは、図5(b)に示すように、リッド3が矢印Aの方向に回動してフード20の後端部20aに衝突した際に、図5(b)中、破線で示す後端部20aは、ビード24を境に下方に屈曲する。その結果、フード20の後端部20aが優先的に変形することで、リッド3のフード20に対する衝突エネルギが吸収されるので、フード20の後端部前20bでの変形量は低減される。したがって、変形例に係る車両用歩行者保護装置1aは、歩行者がフード20に衝突した場合を考慮しても、その衝突エネルギを充分に吸収することができる程度に所定の変形ストロークをフード20の後端部前20bで確保する。その結果、本実施形態に係る車両用歩行者保護装置1aによれば、歩行者に対する保護性能を確実に高めることができる。
次に、本発明の車両用歩行者保護装置の効果を確認した実施例について説明する。
(実施例)
本実施例では、図4に示すように、補強フレーム23を変形防止手段として有する車両用歩行者保護装置1について、エアバッグ11が展開してリッド3がフード20の後端部20aに衝突した際のフード20の永久変形量(以下、単に変形量という)をシミュレーションで算出した。この変形量は、フード20の左右中心線上における上下方向の高さ(フード20の表面の高さ)の変化として算出した。その結果を図6に示す。図6は、リッドが衝突した後のフードの変形量を示すグラフである。縦軸はフードの表面の高さを表し、所定の基準高さからの高さ(mm)で示しており、横軸はフードの表面の高さを算出したフードの左右中心線上の位置を表し、フードの前方における所定の基準位置からの距離(mm)で示している。なお、図6中、ラインL1は、フード20の後端部前20bにおいて、エアバッグ11が覆うこととなる前側限界位置である。図6中、ラインL3は、フード20が変形する前側限界位置である。つまり、図6中、ラインL1を境にして右側の領域がエアバッグ保護エリアであって、左側の領域(L1とL3の間の領域)がフード20の変形ストロークが要求されるフード保護エリアとなる。図6中、ラインL2は、フード20の後端部前20bにおいて、後記する「フードの変形量の評価」を行った位置である。また、図6には、変形前のフード20の高さ(mm)を「変形前」として併記した。
(比較例)
次に、比較例として、補強フレーム23を有しない以外は実施例と同様の車両用歩行者保護装置について、実施例と同様にしてフードの変形量をシミュレーションで算出した。その結果を図6に示す。
(フードの変形量の評価結果)
前記した比較例の車両用歩行者保護装置において、図6中、L2で示す位置でのフード20の変形量は、「変形前」の高さに対する高さの変化量として、24.5mmであった。
これに対し、実施例の車両用歩行者保護装置1(図4参照)において、図6中、L2で示す位置でのフード20の変形量は、「変形前」の高さに対する高さの変化量として、13.8mmであった。
実施例の車両用歩行者保護装置1では、比較例の車両用歩行者保護装置と比較して、フード20の変形量が約11mm減少しており、フード20の後端部20aに備える補強フレーム23(変形防止手段)によってフード20の後端部前20bの変形が防止されることが確認された。
つまり、実施例の車両用歩行者保護装置1では、小柄な歩行者に車両2が衝突した場合でも、その衝突エネルギを充分に吸収することができる程度に所定の変形ストロークをフード20の後端部前20bで確保することが確認された。
実施形態に係る車両用歩行者保護装置を備えた車両の斜視図である。 図1のII−II断面図であって、実施形態に係る車両用歩行者保護装置の構成説明図である。 (a)は、フードの平面図、(b)は、(a)のIII−III断面図である。 実施形態に係る車両用歩行者保護装置の動作を示す概念図である。 (a)は、他の実施形態に係る車両用歩行者保護装置を備える車両の部分平面図であって、車両の前部を上方から見た様子を示す図、(b)は、(a)のV−V断面図である。 実施例としての車両用歩行者保護装置、および比較例としての車両用歩行者保護装置において、リッドが衝突した後のフードの変形量を示すグラフである。縦軸はフードの表面の高さを表し、所定の基準高さからの高さ(mm)で示しており、横軸はフードの表面の高さを算出したフードの左右中心線上の位置を表し、フードの前方における所定の基準位置からの距離(mm)で示している。
符号の説明
1 車両用歩行者保護装置
1a 車両用歩行者保護装置
2 車両
3 リッド
11 エアバッグ
20 フード
20a 後端部
20b 後端部前
23 補強フレーム
24 ビード

Claims (1)

  1. 車両のフードの後方でリッドが前記フード側に開いてエアバッグを展開する車両用歩行者保護装置であって、
    前記フードの後端部に、前記フードの後端部前の変形防止手段を備えることを特徴とする車両用歩行者保護装置。
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